(注) 「第2 事業の状況」における各事項の記載につきましては、消費税等抜きの金額で表示しております。
文中における将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社は、「高い技術をもって、社業の発展を図り、健全な経営により社会的責任を果たす」を社是に掲げ、着実な経営計画により競争に打ち勝ち、誠実な施工で永い信用を築くことにより、皆様の信頼と期待にお応えし、皆様と共に発展して行くことを経営理念に据えております。
当期のわが国経済は米中関係悪化、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う影響で成長が鈍化したものの、国内建設市場においては、公共投資は防災・減災分野や社会資本の老朽化に対応する維持・更新等の分野を中心に堅調に推移し、民間投資は企業収益の高まりや税制改正の後押しを受け、底堅く推移してまいりました。新興国を中心に海外の建設市場も着実に拡大をしてまいりました。
(3)中長期的な会社の経営戦略並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
短期的には防災・減災分野やインフラの老朽化対策を中心に一定の公共投資が見込める一方、新型コロナウイルス感染症の影響で民間企業の設備投資計画見直しによる受注高減少のリスクや、長期的には人口減少の影響で国内建設市場は縮小するリスクがあります。加えて、急速な展開が予想される建設ICT・AI分野、無人化施工等の先端技術への対応、生産性・安全性の向上に向けた積極的な投資も必要となっていくと思われます。また、持続可能な社会の実現に向け当社グループにおいてもESG経営を推進し、SDGsへの一層の貢献が求められております。
こうした環境のもと、当社グループは10年後のあるべき姿「社会を支え、人と世界をつなぎ、未来を創る」長期ビジョン〈TOA2030〉を掲げました。当社の経営理念を踏まえ、高い技術と人財という礎によって社会を支え、人々と世界をつなぐ社会基盤の整備に貢献し、ステークホルダーの皆様の期待に応えられる、未来を創造する企業を目指してまいります。
その長期ビジョンの実現に向けて、事業構造の変革を基本方針とする中期経営計画(2020~2022年度)を策定いたしました。
また、地盤改良工事における施工不良等の瑕疵修補に係る工事は着実に進捗しております。当工事を一日も早く完遂させ、施工者としての責任を全うすることに全力を注ぐとともに、引き続き再発防止の取り組みを継続的に実施していくことにより、信頼の回復に努めてまいります。
新型コロナウイルス感染症の影響による不透明な要因もありますが、この中期経営計画を着実に推進し、継続的な変化と成長を続けてまいります。
◆長期ビジョン〈TOA2030〉
社会を支え、人と世界をつなぎ、未来を創る
◆中期経営計画(2020~2022年度)の基本方針
長期ビジョン〈TOA2030〉の実現に向けた事業構造の変革
●既存事業の高度化(競争力が高い事業領域の成長加速)
(国内土木事業)‐港湾・海洋土木事業の堅持と進化
(国内建築事業)‐得意分野(物流施設、PFI事業等)における技術・ノウハウによる
差別化の推進
(海外事業) ‐事業規模の拡大と進化
●事業領域拡大の加速(継続的な事業拡大に向けた事業領域の多様化)
(国内土木事業)‐洋上風力受注強化に向けた投資、陸上土木の強化
(国内建築事業)‐事業領域多様化の推進
(海外事業) ‐地域・工種の多様化による拡大
(全事業共通) ‐各部門の協働による新規領域への取組み
‐ICTの積極的な導入
●経営基盤の強化(事業戦略を支える実行体制の強化及び生産性の向上)
(管理本部) ‐人財投資の強化
‐ガバナンスの充実
‐働き方改革の推進
(社長直轄部門)‐変革実現に向けた組織の見直し
‐全社横断の業務効率化による生産性向上
以上の施策を当社グループの役職員が共有、着実に実行し、経営課題の解決に取り組んでまいります。なお、経営上の目標達成状況を判断するための主な客観的指標は、売上高、営業利益、当期純利益であり、中期経営計画の最終年度である2022年度における計画数値は以下の通りです。
「中期経営計画(2020~2022年度)」における2023年3月期の目標数値
※連結の当期純利益につきましては、親会社株主に帰属する当期純利益を記載しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの売上高の主要部分を占める国内建設事業につきましては、わが国の公共事業投資並びに民間設備投資の動向によりまして、影響を受ける可能性があります。当社グループは、競争力が高い事業領域の成長を加速させるとともに、事業領域の多様化にも取り組んでまいります。
建設資材価格などの高騰により工事採算が悪化した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、調達先との取引関係を強化し、常に市場の最新情報を入手することで、資材価格高騰などによる影響を最小限に抑えられるよう努めております。
当社グループは、世界各国にて建設事業を行っておりますが、その施工場所における政情の変化、経済情況の変化、予期せぬ法令・規制の変更等により、影響を受ける可能性があります。当社グループは、受注前に予め現地や専門家等の意見を十分に収集するなどし、リスク評価を行っております。また海外事業に関する為替変動リスクにつきましては、外貨建工事代金収入に対応させて原価支払いを外貨建としたり、必要に応じ為替予約などを通じヘッジしております。ただし、そのリスクをすべて排除することは不可能であり、為替変動等により影響を受ける可能性があります。
工事の品質管理には万全を期しておりますが、瑕疵担保責任及び製造物責任による損害賠償が発生した場合は、影響を受ける可能性があります。当社グループは施工検討会で事前に品質上の課題を確認し、そこで抽出された課題に対し適切に施工しているか施工中にパトロールによって確認し、竣工時に社内検査を行い不適合発生防止に努めております。
建設工事は契約から完成引渡しまで長期にわたり、また一件当たりの請負金額が大きく、一般的に工事目的物の引渡し時に多額の工事代金が支払われるため、取引先の信用リスクが生じる可能性があります。そのほか、協力業者が信用不安に陥った場合、工事の進行に影響を受ける可能性があります。当社グループは、危機管理マニュアルの運用を徹底するとともに、企業調査の実施や日々の情報収集等により与信管理を行っております。
近年の少子高齢化による労働人口の減少は、十分な人材の確保に影響を受ける可能性があります。当社グループは、ICTの積極的な導入による効率化など働き方改革を推進しつつ、個人の適正・能力の伸長に応じたセミオーダー型の育成体系で多様なニーズに対応した人材の育成や担い手確保の強化を行ってまいります。
グループ内の子会社・関連会社が実施している事業に関しまして、経済環境の急激な変動があった場合には、影響を受ける可能性があります。親会社において事業計画や財政状態等を定期的にモニタリングし、経営サポートを図っております。
当社グループの保有する不動産・有価証券の時価の下落により、影響を受ける可能性があります。保有する資産は時価評価等を通じてモニタリングしており、遊休不動産で将来活用の見込みがない場合は売却に向けた検討を進めるなどしております。また政策保有株式は、年に一度保有目的及び経済的合理性等を検証し、保有効果が薄れたと判断した場合は適宜売却に向けた手続きを進めております。
繰延税金資産につきましては、今後の課税所得をもって全額回収可能と判断しておりますが、将来の課税所得見積額の変更等により、繰延税金資産について一部回収が困難であると判断した場合は、影響を受ける可能性があります。
工事施工にあたっては事故防止に万全を期しておりますが、予期せぬ要因から事故や労働災害が発生する可能性があります。この場合、損害賠償や指名停止などによる受注機会の減少により業績に影響が及ぶ可能性があります。当社グループは、安全衛生管理計画書の周知・徹底及び安全教育、安全パトロールの強化により、事故や労働災害の防止に努めております。
新型コロナウイルス感染症への対策として、当社グループは時差通勤やテレワークの導入、また事務所にマスクや手指の消毒液を設置するなどの感染予防対策を施し、社員及び協力業者等の健康管理を徹底したうえで事業を継続しております。しかしながら、今後、世界的な感染拡大が収束せず、その影響が長期化した場合、民間企業の設備投資計画見直しによる受注高及び売上高の減少や工事の一時中断等のリスクがあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度の当社グループの連結業績につきましては、売上高は190,278百万円(前連結会計年度比9.5%増)、営業利益は7,957百万円(前連結会計年度比99.9%増)、経常利益は7,604百万円(前連結会計年度比92.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は5,007百万円(前連結会計年度比63.0%増)となりました。
また、当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末と比較して142百万円増加し、202,657百万円となりました。
負債は、前連結会計年度末と比較して177百万円減少し、133,491百万円となりました。
純資産は、前連結会計年度末と比較して320百万円増加し、69,166百万円となりました。
当社グループのセグメントの業績は、次のとおりであります。
海上土木分野を中心に、港湾・鉄道・道路などのインフラ・社会資本の整備に継続的に取り組んでおります。当連結会計年度の売上高は、手持ち工事が順調に推移し、101,454百万円(前連結会計年度比8.0%増)となり、セグメント利益(営業利益)は売上高の増加や工事採算性の改善などにより7,172百万円(前連結会計年度比37.9%増)となりました。
当社個別の受注につきましては、陸上の大型工事が複数あった前期に比べると23,635百万円減少し、88,969百万円となりました。
特命案件・企画提案案件・設計施工案件の受注拡大に取り組んでおります。当連結会計年度の売上高は、一部工事の着工時期が遅れたことなどにより49,439百万円(前連結会計年度比4.8%減)となりましたが、利益率改善に向けて受注時採算の改善や生産性の改善に取り組んだ結果、セグメント利益(営業利益)は2,605百万円(前連結会計年度比27.5%増)となりました。
当社個別の受注につきましては、概ね順調に推移し前期に比べて419百万円増加し、52,736百万円となりました。
東南アジアを中心とした海上土木工事を主軸としつつ、進出地域・取り組み工種の拡大に取り組んでおります。当連結会計年度の売上高は、一部工事の着工の遅れがありましたが手持ち工事が進捗したことで29,012百万円(前連結会計年度比48.3%増)となりました。利益につきましては、一部不採算工事があったことや、新型コロナウイルスの影響から一時中断となった進行基準工事の予算を見直したことなどにより、セグメント利益(営業利益)は248百万円(前連結会計年度はセグメント損失1,056百万円)となりました。
当社個別の受注につきましては、進出地域・取り組み工種の拡大に取り組んだ結果、前期に比べて15,412百万円増加し、65,940百万円となりました。
当連結会計年度の売上高は10,372百万円(前連結会計年度比25.9%増)、セグメント利益(営業利益)は1,832百万円(前連結会計年度比69.8%増)となりました。
当連結会計年度におきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは売上債権の減少等により、11,496百万円の資金増加(前連結会計年度は2,347百万円の資金減少)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得等により、2,851百万円の資金減少(前連結会計年度は1,496百万円の資金減少)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは社債の発行等により、3,373百万円の資金増加(前連結会計年度は1,042百万円の資金減少)となりました。以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べ11,946百万円増加し、43,746百万円となりました。
③生産、受注及び販売の実績
当社グループが営んでいる事業の大部分を占める建設事業及び不動産事業では「生産」を定義することが困難であり、建設事業におきましては請負形態をとっているため「販売」という定義は実態にそぐいません。
また、当社グループとしての受注高、繰越高を正確に把握することも困難なため、記載可能な情報を「経営成績等の状況の概要」におきましてセグメントの業績に関連付けて記載しております。
なお、参考のため当社単独の事業の状況は次のとおりであります。
(注) 1 前期以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額に変更あるものにつきましては、当期受注高にその増減額を含めております。したがって当期売上高にもかかる増減額が含まれております。
2 次期繰越高の施工高は支出金により手持工事等の施工高を推定したものです。
3 当期施工高は、不動産等を除き(当期売上高+次期繰越施工高-前期繰越施工高)に一致します。
工事の受注方法は特命と競争に大別されます。
(注) 百分比は請負金額比であります。
(注) 1 完成工事のうち、主なものは、次のとおりであります。
第129期の主なもの
第130期の主なもの
2 売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は、次のとおりであります。
第129期
第130期
d. 手持工事高(2020年3月31日現在)
手持工事のうち主なものは次のとおりであります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(財政状態の分析)
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末と比較して142百万円増加し、202,657百万円となりました。これは主に、現金預金が増加し、受取手形・完成工事未収入金等、立替金、投資有価証券が減少したことによります。
負債は、前連結会計年度末と比較して177百万円減少し、133,491百万円となりました。これは主に、転換社債型新株予約権付社債が増加し、電子記録債務、支払手形・工事未払金等が減少したことによります。
純資産は、主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上で利益剰余金が増加したことにより、前連結会計年度末と比較して320百万円増加し、69,166百万円となりました。なお、自己資本比率は33.8%と、前連結会計年度末と比較して0.1ポイント増加しております。
D/Eレシオ(有利子負債/株主資本)は、0.53(前連結会計年度:0.45)となりました。
当社は、2019年12月13日に「2024年満期円貨建転換社債型新株予約権付社債」を発行し、7,000百万円の資金を調達いたしました。これは、洋上風力発電施設の建設に使用する自己昇降式作業台船( SEP:Self Elevating Platform )の建造資金(手元資金の取り崩しによる既払い分を含む。) に約5,000百万円充当するとともに、約2,000百万円を自己株式の取得に充当しております。
今後の成長が期待される分野への投資資金に充当するだけでなく、資本効率の向上や、株主還元の充実も図っております。
当連結会計年度の売上高は、国内土木事業及び海外事業においては、それぞれ手持ち工事が進捗したことなどにより前連結会計年度より売上が増加しました。一方、国内建築事業においては当社の強みを生かすべく注力してきた設計施工案件が増加しましたが、一部工事の着工が後ろ倒しになった影響などにより前連結会計年度より微減しました。全体では前連結会計年度に比べ16,586百万円(9.5%)増収の190,278百万円となり、期首計画数値を上回りました。
営業利益は、前連結会計年度に比べ3,976百万円(99.9%)増益の7,957百万円となり、期首計画数値を上回りました。
国内土木事業は、手持ち工事の順調な進捗により、増収増益となりました。
国内建築事業は全体の売上高こそ減少したものの、当社の強みが生かせる設計施工案件の売上高を増加させることができたため、利益率が向上し、国内建築事業としては過去最高益を記録できました。
海外事業においては売上高が増加しただけでなく、利益率も向上したことから増益となりました。
関係会社においては一部子会社で赤字となったものの、信幸建設株式会社が増益となったため増益となりました。
経常利益は、営業利益の増加に伴い、前連結会計年度に比べ3,660百万円(92.8%)増益の7,604百万円となり、期首計画数値を上回りました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券の評価損の計上などもありましたが、経常利益の増加などにより、前連結会計年度に比べて1,935百万円(63.0%)増益の5,007百万円となり、期首計画数値を上回りました。
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」を参照ください。
当社グループは、将来の事業活動に必要な資金を確保し、適切な流動性を維持することを財務の基本方針としております。資金需要の主なものは、工事原価、販売費及び一般管理費などの運転資金及び設備投資資金であります。
その資金の原資は、自己資金、営業キャッシュ・フロー、金融機関からの借入及び社債の発行等による収入であります。
また、運転資金の効率的な調達を行うため、複数の金融機関とコミットメントライン(特定融資枠)契約を締結しております。詳細は、「第5 経理の状況 連結財務諸表等 注記事項(連結貸借対照表関係)」に記載のとおりであります。
更に、当社グループ内の資金の効率性を高めるため、一部の子会社を含めたグループ間のキャッシュマネジメントシステムを特定の金融機関と構築しております。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表作成にあたっては、過去の実績や現在の状況に基づき合理的と考えられる見積りによっている部分があり、実際の結果がこれらの見積りと異なる場合があります。個々の項目については「第5 経理の状況 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、特に重要なものは以下のとおりであります。
当連結会計年度末までの進捗部分について成果の確実性が認められる工事については工事進行基準を適用しております。適用にあたっては、工事原価総額及び当連結会計年度末の進捗率を合理的に見積る必要があります。工事進行基準適用工事の予定利益率等に関する見積り及び判断について、継続して評価し、過去の実績や状況に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性を伴い、将来の工事原価総額等が変動した場合、連結財務諸表に影響を及ぼす可能性があります。
将来の利益計画を基に、今後の課税所得が十分に確保でき、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。この判断にあたり、将来の利益計画は一定の仮定によって見積っているため、その見積りの前提とした条件や仮定に変動があった場合、繰延税金資産を取り崩す必要が生じ、連結財務諸表に影響を及ぼす可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症による影響を見積り、当連結会計年度に一定程度見込んでおります。詳細は、「第5 経理の状況 連結財務諸表等 注記事項(追加情報)」をご覧ください。
特記事項はありません。
当社グループにおきましては、現在、i-Construction・環境・防災・リニューアル・海洋資源開発に関わる技術に重点をおいて研究開発を推進しております。当連結会計年度における研究開発費は
(国内土木事業・国内建築事業及び海外事業)
風の影響を受けやすい海上等での吊作業では、吊荷が回転してしまう恐れがあり、吊荷と作業員が接触する危険性がありました。また、足場が不安定な水中や水際での人力による据付作業では吊荷の回転制御を十分に行うことができませんでした。
この様な背景から、「人間の手を介さず、遠隔操作により自在に吊荷の回転を制御し、吊作業時の安全性を向上させる」ことを目的に、既に技術が確立されていた吊荷制御装置を購入し、現場実証および改良を経て「GYCO」として導入しました。
「GYCO」はGyro Rotation Control Device の略で、「ジャイロ効果」を利用して、吊荷の姿勢を一定に保ち、「ジャイロモーメント」により、遠隔操作で自在に吊荷を水平旋回させることが可能であります。
中低層住宅や物流倉庫などの基礎梁では、人通用あるいは設備用として円形の開孔部が設けられます。このうち、建物のメンテナンスで使用する人通孔は、一般には梁スパン中央付近に設けられ、直径は600mm程度の大開孔となります。一方、開孔の直径は、慣用的に梁せいの1/3 以下に制限されており、基礎梁では、応力から決定される基礎梁せいが1500mm であったとしても、人通孔径の3倍である1800mmの断面を設定しなければならない実情がありました。
この点を合理化するため、2011年に当社、株式会社安藤・間及び西武建設株式会社の3社共同による「RC 基礎梁人通孔の合理化」に着手し、2011年に「エコ基礎梁工法」として一般財団法人日本建築総合試験所の建築技術性能証明を取得しました。エコ基礎梁工法は、在来補強により梁せいの1/2.5 以下の開孔を設けることを可能とした補強方法です。これにより施工時に基礎梁根切り底が浅くなり、掘削量やコンクリートの削減についても可能となりました。
さらに、技術の優位性を高め、かつコストダウンを図るために「孔直径の拡大」と、施工性を向上し省力化を図るために「既製金物の併用」を可能とする等、適用範囲の拡大を行いました。これにより、梁せいの1/2 以下の開孔を設けることを可能とし、従来の1/2.5 以下において既製金物が併用できるなど自由度の高い工法に改良したものとして、一般財団法人日本建築総合試験所の建築技術性能証明を取得しました。
飛島建設株式会社と共同開発した「ブラストキー工法」は、「チッピング工法」に代わる低騒音・低振動・低粉塵型の目荒らし工法であり、「あと施工アンカー」と「ブラストキー」を併用することで接合面の定量化を構築した工法として、2014年に一般財団法人日本建築総合試験所の建築技術性能証明を取得しました。取得後、実施案件への採用および普及を目指しましたが、設計式が煩雑である等の課題がありました。そこで、適用範囲の拡大と更なる普及を目指し、「ブラストキーの構造性能確認」、「チッピングからの置き換えに関する構造性能確認」、「増し打ち壁への適用に関する構造性能確認」を行い、一般社団法人建築研究振興協会の技術(性能)評価を取得しました。
2019年に開発した航行支援システム「ARナビ」は、高性能カメラ、GNSS端末、AIS(自動船舶識別装置)、船舶レーダー等を利用して、操船者に対してカメラで撮影した映像上に航行経路や針路、危険エリアなどを拡張現実(AR)として重ねて表示し、視覚情報と音声情報で分かりやすくナビゲーションするシステムであり、様々な港湾工事で使用されています。当該システムで他船舶の動静監視は大型船をAIS、小型船を船舶レーダーで実施しています。しかし、AISは情報の更新間隔が不規則であり最新情報を入手できないことや、船舶レーダーは波と小型船の区別がつかないなどの課題もありました。
そこで、富士通株式会社が開発したAI画像船舶認識技術を港湾工事へ試験的に導入し、4Kカメラで撮影した高画質な映像内の船舶(大型船・小型船)の船種を自動で識別して、操船者へ知らせることで船舶監視の負担軽減に寄与することを確認しました。
今後、AI画像船舶認識技術を「ARナビ」に組み込むことで、土運船等の長距離航行や、一般航行船舶が多く行き交う現場において、航行監視の効率化・負担軽減が期待されます。さらに様々な現場で検証を重ねることで、港湾工事に特化したシステムとして機能拡張を図ってまいります。
(その他)