(注) 「第2 事業の状況」における各事項の記載につきましては、消費税等抜きの金額で表示しております。
文中における将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社は、「高い技術をもって、社業の発展を図り、健全な経営により社会的責任を果たす。」を社是に掲げ、着実な経営計画により競争に打ち勝ち、誠実な施工で永い信用を築くことにより、皆様の信頼と期待にお応えし、皆様と共に発展して行くことを経営理念に据えております。
当期の我が国経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染再拡大による経済活動の停滞が長期化した影響もあり、景気は厳しい状況にあります。
建設業界におきましては、国内景気の低迷により民間建設投資が減少したものの、公共投資については堅調に推移し、将来に向けても「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」が閣議決定されるなど、底堅い推移が期待できる状況であります。
当社におきましては、国内工事は新型コロナウイルス感染症による大きな影響を受けることなく、施工は順調に進みました。一方で、海外の一部の国におきましては、政府による外出禁止等の統制や外国人の出入国の制限等により、工事を中断せざるを得ない状況もありましたが、中断していた工事も昨年6月以降は順次再開し、下期ではほぼすべての工事が稼働に至っております。
(3)中長期的な会社の経営戦略並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは10年後のあるべき姿「社会を支え、人と世界をつなぎ、未来を創る」長期ビジョン〈TOA2030〉を掲げ、長期ビジョンの実現に向けて、2020~2022年度を事業構造の変革に注力するための期間と位置づけた「中期経営計画(2020~2022年度)」にもとづき、当社の経営理念である「高い技術」と「誠実な施工」により、お客様に納得していただける高い品質のものをお届けすること、生産性・安全性の一層の向上のため、無人化施工等の先端技術を導入すべく積極的な投資を行うことを着実に推進しています。
また、地盤改良工事における施工不良等の瑕疵修補に係る工事は完成したものの、再発防止に向けて社員のコンプライアンス意識向上に常に取り組み、誠実な企業風土を醸成していくことで、ステークホルダーの皆様と社会の期待に応えられる持続的成長企業となることを目指しております。
◆長期ビジョン〈TOA2030〉
社会を支え、人と世界をつなぎ、未来を創る
◆中期経営計画(2020~2022年度)の基本方針
長期ビジョン〈TOA2030〉の実現に向けた事業構造の変革
●既存事業の高度化(競争力が高い事業領域の成長加速)
(国内土木事業)‐港湾・海洋土木事業の堅持と進化
(国内建築事業)‐得意分野(物流施設、PFI事業等)における技術・ノウハウによる
差別化の推進
(海外事業) ‐事業規模の拡大と進化
●事業領域拡大の加速(継続的な事業拡大に向けた事業領域の多様化)
(国内土木事業)‐洋上風力受注強化に向けた投資、陸上土木の強化
(国内建築事業)‐事業領域多様化の推進
(海外事業) ‐地域・工種の多様化による拡大
(全事業共通) ‐各部門の協働による新規領域への取組み
‐ICTの積極的な導入
●経営基盤の強化(事業戦略を支える実行体制の強化及び生産性の向上)
(管理本部) ‐人財投資の強化
‐ガバナンスの充実
‐働き方改革の推進
(社長直轄部門)‐変革実現に向けた組織の見直し
‐全社横断の業務効率化による生産性向上
以上の施策を当社グループの役職員が共有、着実に実行し、経営課題の解決に取り組んでまいります。なお、経営上の目標達成状況を判断するための主な客観的指標は、売上高、営業利益、当期純利益であり、中期経営計画の最終年度である2022年度における計画数値は以下の通りです。
「中期経営計画(2020~2022年度)」における2023年3月期の目標数値
※連結の当期純利益につきましては、親会社株主に帰属する当期純利益を記載しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの売上高の主要部分を占める国内建設事業につきましては、我が国の公共事業投資並びに民間設備投資の動向によりまして、影響を受ける可能性があります。当社グループは、競争力が高い事業領域の成長を加速させるとともに、事業領域の多様化にも取り組んでまいります。
建設資材価格などの高騰により工事採算が悪化した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、調達先との取引関係を強化し、常に市場の最新情報を入手することで、資材価格高騰などによる影響を最小限に抑えられるよう努めております。
当社グループは、世界各国にて建設事業を行っておりますが、その施工場所における政情の変化、経済情況の変化、予期せぬ法令・規制の変更等により、影響を受ける可能性があります。当社グループは、受注前に予め現地や専門家等の意見を十分に収集するなどし、リスク評価を行っております。また海外事業に関する為替変動リスクにつきましては、外貨建工事代金収入に対応させて原価支払いを外貨建としたり、必要に応じ為替予約などを通じヘッジしております。ただし、そのリスクをすべて排除することは不可能であり、為替変動等により影響を受ける可能性があります。
工事の品質管理には万全を期しておりますが、瑕疵担保責任及び製造物責任による損害賠償が発生した場合は、影響を受ける可能性があります。当社グループは施工検討会で事前に品質上の課題を確認し、そこで抽出された課題に対し適切に施工しているか施工中にパトロールによって確認し、竣工時に社内検査を行い不適合発生防止に努めております。
建設工事は契約から完成引渡しまで長期にわたり、また一件当たりの請負金額が大きく、一般的に工事目的物の引渡し時に多額の工事代金が支払われるため、取引先の信用リスクが生じる可能性があります。そのほか、協力業者が信用不安に陥った場合、工事の進行に影響を受ける可能性があります。当社グループは、危機管理マニュアルの運用を徹底するとともに、企業調査の実施や日々の情報収集等により与信管理を行っております。
近年の少子高齢化による労働人口の減少は、十分な人材の確保に影響を受ける可能性があります。当社グループは、ICTの積極的な導入による効率化など働き方改革を推進しつつ、個人の適正・能力の伸長に応じたセミオーダー型の育成体系で多様なニーズに対応した人材の育成や担い手確保の強化を行ってまいります。
グループ内の子会社・関連会社が実施している事業に関しまして、経済環境の急激な変動があった場合には、影響を受ける可能性があります。親会社において事業計画や財政状態等を定期的にモニタリングし、経営サポートを図っております。
当社グループの保有する不動産・有価証券の時価の下落により、影響を受ける可能性があります。保有する資産は時価評価等を通じてモニタリングしており、遊休不動産で将来活用の見込みがない場合は売却に向けた検討を進めるなどしております。また政策保有株式は、年に一度保有目的及び経済的合理性等を検証し、保有効果が薄れたと判断した場合は適宜売却に向けた手続きを進めております。
繰延税金資産につきましては、今後の課税所得をもって全額回収可能と判断しておりますが、将来の課税所得見積額の変更等により、繰延税金資産について一部回収が困難であると判断した場合は、影響を受ける可能性があります。
工事施工にあたっては事故防止に万全を期しておりますが、予期せぬ要因から事故や労働災害が発生する可能性があります。この場合、損害賠償や指名停止などによる受注機会の減少により業績に影響が及ぶ可能性があります。当社グループは、安全衛生管理計画書の周知・徹底及び安全教育、安全パトロールの強化により、事故や労働災害の防止に努めております。
新型コロナウイルス感染症への対策として、当社グループは時差通勤やテレワークの導入、また事務所にマスクや手指の消毒液を設置するなどの感染予防対策を施し、社員及び協力業者等の健康管理を徹底したうえで事業を継続しております。しかしながら、今後、世界的な感染拡大が収束せず、その影響が長期化した場合、民間企業の設備投資計画見直しによる受注高及び売上高の減少や工事の一時中断等のリスクがあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度の当社グループの連結業績につきましては、売上高は189,712百万円(前連結会計年度比0.3%減)、営業利益は8,714百万円(前連結会計年度比9.5%増)、経常利益は9,247百万円(前連結会計年度比21.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は6,859百万円(前連結会計年度比37.0%増)となりました。
また、当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末と比較して1,542百万円増加し、204,200百万円となりました。
負債は、前連結会計年度末と比較して5,466百万円減少し、128,025百万円となりました。
純資産は、前連結会計年度末と比較して7,009百万円増加し、76,175百万円となりました。
当社グループのセグメントの業績は、次のとおりであります。
海上土木分野を中心に、港湾・鉄道・道路などのインフラ・社会資本の整備に継続的に取り組んでおります。前連結会計年度と比べて大きく売上高を計上する個別案件が少なかったことから、当連結会計年度の売上高は、95,385百万円(前連結会計年度比6.0%減)となりました。
セグメント利益(営業利益)は、一部不採算工事の損益を改善できたものの、売上高の減少等により、7,100百万円(前連結会計年度比1.0%減)となりました。
当社個別の受注につきましては、海上土木分野だけでなく、各高速道路会社をターゲットに道路工事の受注拡大にも注力した結果、38,847百万円増加し、127,816百万円となりました。
特命案件・企画提案案件・設計施工案件の受注拡大に取り組んでおります。物流や住宅分野等の大型案件で売上高を伸ばし、当連結会計年度の売上高は、57,024百万円(前連結会計年度比15.3%増)となりました。工事の採算性も改善し、セグメント利益(営業利益)は3,586百万円(前連結会計年度比37.7%増)となりました。
当社個別の受注につきましては、概ね順調に推移し前期に比べて5,268百万円増加し、58,004百万円となりました。
東南アジアを中心に中東・アフリカなどにおいて、海上土木工事などに取り組んでおります。一部の国で新型コロナウイルスに起因する工事中断の影響を受け、当連結会計年度の売上高は26,812百万円(前連結会計年度比7.6%減)となりました。売上高の減少や一部不採算工事の損益悪化により、セグメント損失(営業損失)は495百万円(前連結会計年度はセグメント利益248百万円)となりました。
当社個別の受注につきましては、前期に比べて3,015百万円減少し、62,925百万円となりました。
当連結会計年度の売上高は10,490百万円(前連結会計年度比1.1%増)、セグメント利益(営業利益)は1,989百万円(前連結会計年度比8.6%増)となりました。
当連結会計年度におきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは、1,471百万円の資金増加(前連結会計年度は11,496百万円の資金増加)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得等により、4,731百万円の資金減少(前連結会計年度は2,851百万円の資金減少)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは短期借入金の返済等により、8,254百万円の資金減少(前連結会計年度は3,373百万円の資金増加)となりました。以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べ11,436百万円減少し、32,310百万円となりました。
③生産、受注及び販売の実績
当社グループが営んでいる事業の大部分を占める建設事業及び不動産事業では「生産」を定義することが困難であり、建設事業におきましては請負形態をとっているため「販売」という定義は実態にそぐいません。
また、当社グループとしての受注高、繰越高を正確に把握することも困難なため、記載可能な情報を「経営成績等の状況の概要」におきましてセグメントの業績に関連付けて記載しております。
なお、参考のため当社単独の事業の状況は次のとおりであります。
(注) 1 前期以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額に変更あるものにつきましては、当期受注高にその増減額を含めております。したがって当期売上高にもかかる増減額が含まれております。
2 次期繰越高の施工高は支出金により手持工事等の施工高を推定したものです。
3 当期施工高は、不動産等を除き(当期売上高+次期繰越施工高-前期繰越施工高)に一致します。
工事の受注方法は特命と競争に大別されます。
(注) 百分比は請負金額比であります。
(注) 1 完成工事のうち、主なものは、次のとおりであります。
第130期の主なもの
第131期の主なもの
2 売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は、次のとおりであります。
第130期
第131期
d. 手持工事高(2021年3月31日現在)
手持工事のうち主なものは次のとおりであります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(財政状態の分析)
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末と比較して1,542百万円増加し、204,200百万円となりました。これは主に、現金預金が減少した一方、受取手形・完成工事未収入金等が増加したことによります。
負債は、前連結会計年度末と比較して5,466百万円減少し、128,025百万円となりました。これは主に、未成工事受入金が増加した一方、短期借入金が減少したことによります。
純資産は、主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上で利益剰余金が増加したことにより、前連結会計年度末と比較して7,009百万円増加し、76,175百万円となりました。なお、自己資本比率は36.9%と、前連結会計年度末と比較して3.1ポイント増加しております。
D/Eレシオ(有利子負債/株主資本)は、0.41(前連結会計年度:0.53)となりました。
当社は2021年2月22日に自己株式を取得することを決議し、2021年2月24日から取得を開始しています。また、2021年3月31日を基準日とする剰余金の配当については、1株当たり配当金を80円(前連結会計年度比30円増)とさせていただきました。
今後も安定した配当を行いながら、機動的に自己株式取得を検討していくなど、株主還元の一層の安定化、充実化を図ってまいります。
当連結会計年度の売上高については、国内土木事業は、大きな売上高を計上する個別案件が少なかったことから前連結会計年度より減少しました。国内建築事業においては物流や住宅分野などの大型案件で売上高を伸ばし、前連結会計年度より増加しました。海外事業では、新型コロナウイルスの影響により一部工事の中断の影響を受け、前連結会計年度よりやや減少しました。全体では前連結会計年度に比べ566百万円(0.3%)減収の189,712百万円となりました。
営業利益は、前連結会計年度に比べ757百万円(9.5%)増益の8,714百万円となり、期首計画数値を上回りました。
国内土木事業は、不採算工事の採算改善は進んだものの、売上高の減少に伴い減益となりました。
国内建築事業は当社の強みが生かせる設計施工案件の売上高を増加させることができたため、利益率が向上し、国内建築事業としては過去最高益を記録できました。
海外事業においては売上高の減少や一部工事の採算悪化などにより減益となりました。
関係会社においては一部子会社が計画していた大規模修繕を実施して赤字となったものの、信幸建設株式会社が増益となったため増益となりました。
経常利益は、営業利益の増加に伴い、前連結会計年度に比べ1,643百万円(21.6%)増益の9,247百万円となり、期首計画数値を上回りました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券の売却益の計上、経常利益の増加などにより、前連結会計年度に比べ1,852百万円(37.0%)増益の6,859百万円となり、期首計画数値を上回りました。
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」を参照ください。
当社グループは、将来の事業活動に必要な資金を確保し、適切な流動性を維持することを財務の基本方針としております。資金需要の主なものは、工事原価、販売費及び一般管理費などの運転資金及び設備投資資金であります。
その資金の原資は、自己資金、営業キャッシュ・フロー、金融機関からの借入及び社債の発行等による収入であります。
また、運転資金の効率的な調達を行うため、複数の金融機関とコミットメントライン(特定融資枠)契約を締結しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結貸借対照表関係)」に記載のとおりであります。
更に、当社グループ内の資金の効率性を高めるため、一部の子会社を含めたグループ間のキャッシュマネジメントシステムを特定の金融機関と構築しております。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表作成にあたっては、過去の実績や現在の状況に基づき合理的と考えられる見積りによっている部分があり、実際の結果がこれらの見積りと異なる場合があります。個々の項目については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
なお、新型コロナウイルス感染症による影響につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。
特記事項はありません。
当社グループにおきましては、現在、i-Construction・環境・防災・リニューアル・海洋資源開発に関わる技術に重点をおいて研究開発を推進しております。当連結会計年度における研究開発費は
(国内土木事業・国内建築事業及び海外事業)
港湾構造物の海上コンクリート施工では、特殊技能を有する作業員が必要で多大な労力を要すること、工事進捗が海象条件等に大きく左右されることから、海上作業の省力化と安全性の向上が喫緊の課題となっております。また、桟橋上部工のような複合構造物では、部材間の接合が重要となります。しかし、海上での鋼管杭の打込みでは高い精度を要求することが難しいことから、桟橋の上部工築造においては、大掛かりな支保工を構築して現場打ちコンクリートによる施工が一般的でした。近年、杭頭部をプレキャスト化して施工する事例も増えていますが、施工誤差の吸収や海上作業の削減面で課題がありました。
そこで、海上桟橋の上部工を構成する杭頭部、梁、床版の部材をプレキャスト化し、鋼管杭と杭頭ブロックの相対的な位置のずれに対し柔軟な設計を可能とする「鉄骨差込み接合」を用いた「プレキャスト桟橋上部工の施工合理化工法」を開発しました。
本工法は、海上桟橋の上部工築造において、コンクリート工の大半の作業を海上ではなく陸上で行うものであります。この点においては、従来のプレキャスト施工と大きな相違はありませんが、港湾の海上桟橋では類のない「鉄骨差込み接合」の採用により、鋼管杭の施工誤差を吸収できるため、施工の合理化や安全性の向上を可能とします。
今後は杭頭部の構造のみならず梁や床版等も含めた一連のプレキャスト桟橋構築作業の合理化を目指し、ICT導入等により機械化・自動化技術に発展させることを想定しております。また、桟橋施工全体の合理化技術の完成に向けて、現場実証実験や試験施工等を経て実用化を進めていく予定であります。
当社は1990年代に、埋立や盛土工事を対象として、軟弱な粘性土地盤に対する調査・設計から施工に至るまでの一連のプロセスを、一貫した手法に基づいて評価/管理する技術「ACCESS法」を開発しました。当技術は、電気式コーン貫入試験(CPT)をはじめとした原位置試験と、一面せん断試験(DST)などの室内土質試験を組み合わせた独自性の高い技術として評価されてきました。一方で、原位置試験機を地盤へ貫入させる手段として、ボーリング機械や大型地盤貫入機をプラットフォームとして利用することが前提となっているため、主にコスト面から、適用ケースが大型プロジェクトに限定される、という制約がありました。
そこで、このACCESS法を大型プロジェクトのみならず、比較的小規模な工事に至るまで幅広く活用していくことを目指し、工事現場での機動性と操作性に富んだ専用プラットフォームとして表・中層型原位置試験機「TOA-SID-MarkⅡ」を開発・導入しました。
「TOA-SID-MarkⅡ」は、より多くの現場で手軽に適用できるように、機体の小型化を図り、運搬時に一般貨物自動車に積載できる仕様を採用しました。これにより、調査地点までスムーズに移動することができます。さらに、自走式キャタピラ構造を備えつつ、軽量化を図ることで、不陸やぬかるみなどの厳しい現場環境においても優れた機動性を発揮します。
冷凍冷蔵倉庫の外壁には、建物の機能上、高い断熱性能を要求される一方で、建築基準法上の耐火性能も要求されます。そのため、従来の冷凍冷蔵倉庫では鉄筋コンクリート製の外壁に200mm程度の厚みの断熱層を設けて設計しています。
近年、現場での施工省力化に伴い、柱梁の躯体にプレキャスト化が採用され、外壁にはコンクリートパネル等を利用した乾式工法を採用し、耐火性能を確保することが多くなってきました。また、断熱性能を確保するために、現場で断熱材を200mm程度吹き付けますが、吹き付け作業は、飛散養生に手間が掛かる上に作業環境も悪く、さらに労務不足もあって現場施工の負担になっていました。
そこで当社は、耐火性能と断熱性能の両方を併せ持つ防熱耐火パネルを開発し、建築基準法で規定する1時間耐火構造壁および30分耐火構造壁の国土交通大臣の認定を取得しました。
防熱耐火パネルは、耐火性能と断熱性能が一体化したパネルであるため、現場における断熱材および耐火吹付材の吹き付け作業、更にはそれを覆う仕上げ材の工程が不要となり、現場作業の環境改善に加えて工期短縮にも有効であります。また、施工段階で断熱材が露出していない為、現場における火災リスク低減にも貢献します。
(その他)