文中における将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社は、「高い技術をもって、社業の発展を図り、健全な経営により社会的責任を果たす。」を社是に掲げ、着実な経営計画により競争に打ち勝ち、誠実な施工で永い信用を築くことにより、皆様の信頼と期待にお応えし、皆様と共に発展して行くことを経営理念に据えております。
当連結会計年度における我が国経済は、雇用・所得環境に改善が見られるなど緩やかに回復しました。しかしながら中東情勢の緊迫化による原油価格上昇に伴う更なる物価高、米国の通商政策をめぐる動向、金融資本市場の変動等により不透明感が継続しております。
建設市場においては、資機材価格の高騰や労務費上昇の影響は依然として注視する必要があるものの、公共投資については堅調に推移しており、2021~2025年度までの「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」および2025年6月に閣議決定された「第1次国土強靱化実施中期計画」に基づく防災・減災対策、防衛力強化に伴う安全保障関係のインフラ整備等により、将来的にも堅調な市場の成長が期待できる状況にあります。
(3)中長期的な会社の経営戦略並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、2026年3月に「中期経営計画〈2026 - 2028〉『社会の要請に応える人材と事業の成長』」を策定しました。ありたい姿「社会を支え、人と世界をつなぎ、未来を創る」を掲げる「長期ビジョン〈TOA2035〉」の実現に向けた事業戦略およびサステナビリティ戦略を推進してまいります。
中期経営計画〈2026 - 2028〉においては、中長期的な売上高の成長と収益性の向上を目指し、その実現に向けて達成すべき財務数値・グループ従業員数などを明確化した上で、2026年度からの3年間で取り組むべき行動計画を具体化しました。各事業部門および管理部門における人材戦略・生産性向上策、DX戦略にフォーカスし、組織能力やキャパシティを向上させ売上高・利益の拡大を図るための取組みを進めてまいります。
<中期経営計画の概要>
■長期ビジョン〈TOA2035〉 ありたい姿
「社会を支え、人と世界をつなぎ、未来を創る」
■中期経営計画 基本方針
「社会の要請に応える人材と事業の成長」
■経営数値目標
2028年度(計画最終年度)及び2035年度(長期ビジョン目標年度)の連結目標数値
■事業戦略
国内土木事業
・ 港湾・空港などの得意分野を堅持しながら緩やかに拡大させるとともに、防衛・米軍、陸上分野の更なる拡大を図る
・ カーボンニュートラル、CCS、洋上風力等の社会課題に対応した新たな領域にもチャレンジ
*CCS:火力発電所や工場などから排出される二酸化炭素を分離・回収し、地中深くに圧入・貯留する事業
国内建築事業
・ 冷蔵倉庫など得意分野を更に深掘り・高度化し競争優位性を確立するとともに、社会公共インフラ部門の営業体制を再構築し、安定的な受注確保を図る
・ 国内土木部門と連携して新規顧客を開拓
・ 事業領域の拡大として、関係会社と連携し、事業開発分野やリニューアル・建物管理分野への取組みを強化
海外事業
・ 土木分野で従来の強みを生かしながら、注力地域を明確にした上で建築分野を着実に拡大
・ 外部環境や規制動向の変化にも柔軟に対応できる事業基盤を構築し、海外事業の安定成長とリスク体制の強化を両立
■投資計画
・ 当中期経営計画期間の投資計画額は500億円(期間費用を含む、M&A投資枠は別枠)に拡充する
■株主還元
・ 配当性向目標40%以上(連結)として配当を行う
・ 事業環境や財務状況を踏まえて、株主還元の一環として機動的に自己株式取得を行う
<アンローダークレーン解体工事における重大災害に関して>
2026年4月7日に、当社が施工中の「扇島先導エリアA・Bバース公共化対応解体工事」において重大な事故が発生いたしました。本件を極めて重大に受け止め、外部有識者を交えた社内事故調査委員会を設置しました。事実関係の確認および分析を行い、再発防止策を策定し、確実に講じてまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、今後の環境変化により実際の結果と大きく異なる可能性があります。
当社グループは、社会の持続的な発展と企業価値向上を両立させるため、2035年のありたい姿として「社会を支え、人と世界をつなぎ、未来を創る」を掲げています。
本ビジョンの実現に向けては、事業戦略とサステナビリティ戦略を一体的に推進し、環境・社会変化に伴うリスクの低減と、社会課題の解決を成長機会へ転換する経営基盤の強化に取り組んでいます。特に、サプライチェーン全体を視野に入れた取り組みにより、持続可能性と収益性を両立するビジネスモデルへの展開を図っています。
当社グループ全体へ持続的な価値創出を実現する「サステナビリティ経営」の浸透を図ることで、ステークホルダーとの信頼関係を深化させ、社会とともに持続的に成長していきます。
(1)サステナビリティ全般に関する基本方針と取組
当社グループは、サステナビリティ関連のリスク及び機会を重要な経営課題として認識しております。当社グループの経営方針および経営戦略等に影響を及ぼす可能性のあるサステナビリティ関連の重要なリスクおよび機会を特定するにあたり、以下のとおりガバナンスおよびリスクマネジメント体制を整備しております。
当社グループの全社的なサステナビリティ活動の推進のため、サステナビリティ委員会を設置しております。委員会は社長を委員長とし、副社長2名、本部長7名、常勤監査等委員である取締役、社外取締役1名以上で構成されます。サステナビリティ委員会は年2回開催され、気候変動や労働安全衛生をはじめとするサステナビリティ課題について報告を受けております。これに基づき、戦略の進捗やリスク管理の状況をレビューするとともに、必要な施策について審議を行っております。さらに、全社的なリスクと機会、重要課題やKPIの見直しを行い、その進捗管理を通じてサステナビリティ経営の実効性向上を図っております。委員会の審議結果は取締役会に報告されるとともに、重要決定事項は事業部門(支店を含む)およびグループ会社に伝達され、グループ一体でのガバナンス体系を構築しております。

当社グループでは、リスクマネジメント体制図に示すように、3つのラインからなるリスク管理体制を構築しております。第1線では、本社・支店各主管部署、グループ会社が、年1回見直されるリスク一覧を基に、期首に主管するリスク項目への対応策を立案し、リスク管理を遂行しております。第2線では、グループ全体のリスクを網羅的に把握するリスクマネジメント小委員会が、グループ内のリスク対応状況や外部環境情報などを基に、サステナビリティ委員会に報告・改善案などを提案するほか、第1線のリスク管理を支援しております。サステナビリティ委員会では、当社グループのリスク管理に関する方針、体制を審議しております。また、リスク一覧の見直しや対策指示などを行い、状況を取締役会に報告しております。さらに、第3線の内部監査室は、第1線と第2線から独立した立場から、適正なリスク管理が遂行されるよう連携し、取組み状況を取締役会に報告しております。その他、新たなリスクなど議論されるべき事項がある場合には、適宜付議し、対応について検討をしております。

(2)重要項目における取組
サステナビリティ委員会では、戦略の進捗やリスク管理に関する報告を踏まえ、全社的なリスクおよび機会を見直し、これらの重要性(影響度・発生可能性)を評価しています。
その結果、当社グループの経営方針および経営戦略等に重要な影響を与える可能性があるサステナビリティ関連のリスクおよび機会として、次の3つの重要テーマを選定しました。
(イ) 気候変動への取組
(ロ) 労働安全衛生
(ハ) 人的資本政策
以下に、3つの重要テーマにおける具体的な取組を示します。
(イ) 気候変動への取組(TCFD提言に沿った気候変動関連の情報開示)
気候変動問題は世界的に取り組まなくてはならない喫緊の課題であり、なかでも建設業が果たすべき役割は非常に重要であると考えております。当社では、TCFD提言に沿った気候関連の情報開示を拡充し、企業価値の向上を図りながら、事業を通じて社会の持続可能な発展に貢献してまいります。
Ⅰ.ガバナンス
気候変動を当社グループのサステナビリティ経営における重要な課題の1つと捉え、気候変動に関するガバナンスは、前述の「(1)ガバナンス及びリスク管理 」に示す体制で取り組んでおります。
Ⅱ.戦略
TCFD提言に基づき、当社グループにおけるリスクおよび機会を特定・評価し、気候関連問題が事業に与える影響を把握するため、短期・中期・長期のすべての視点を踏まえてシナリオ分析を実施しております。なお、シナリオ分析にあたり、以下の代表的なシナリオを採用しております。
■気候関連の主なリスクおよび機会と対応策
(1.5℃または4℃のいずれかのシナリオで影響度を「大」と評価したリスク・機会のみ記載)
本シナリオ分析の結果に基づき、具体的な対応策として、施工段階でのCO2排出量低減、建築物のZEB/ZEH化の推進、洋上風力発電事業への参画に向けた取組み、インフラの防災・減災やリニューアルに資する技術開発、ブルーカーボン創出のための技術開発などに戦略的に取り組み、財務への負の影響を抑制するとともに、事業機会の最大化に努めております。
Ⅲ.リスク管理
気候変動に関するリスクを当社グループのサステナビリティ経営における重要リスクと位置づけ、全社的リスク管理に統合して管理しております。詳細については「(1)サステナビリティ全般に関する基本方針と取組 Ⅱ.リスク管理」を参照ください。
Ⅳ.指標及び目標
当社はサステナビリティに関する取組みにおける重要指標(KPI)を策定しその状況をモニタリングしております。重要指標(KPI)の一つとして、今後の気候関連リスク・機会の影響を鑑みて、温室効果ガスの排出総量(Scope 1+2、Scope 3)を指標とし、SBTに基づいた削減目標を策定しております。また、Scope 1+2について、2050年度までに実質排出ゼロとする目標を設定しております。なお、2026年度からの目標として、Scope 1+2の2030年度削減目標を1.5℃目標(2020年度比で44%以上削減)に見直し、またScope 3を含むバリューチェーン全体で2050年度実質排出ゼロを目指すこととしました(2026年3月)。温室効果ガスの排出総量は、気候関連のリスク・機会の影響を受ける直接的なパラメーターとして管理し、具体的な削減対応を進めてまいります。
■指標/目標(排出総量)
※該当箇所の目標は、SBTのWB2℃目標としてSBTiに認定されております。(2022年9月)
■温室効果ガス排出量実績値
当社グループの温室効果ガス排出量(Scope1,2,3)の集計結果は下表のとおりです。
※Scope 1,2,1+2の1千t-CO2未満、Scope 3の10千t-CO2未満は切り捨てて表示しております。また、2025年度のScope 3は、現在データ集計及び算出中であります。
(ロ)労働安全衛生
Ⅰ.ガバナンス
労働安全衛生を当社グループのサステナビリティ経営における重要な課題の1つと捉え、重要な経営課題の1つと捉え、労働安全衛生に関するガバナンスは、前述の「(1)ガバナンス及びリスク管理 」に示す体制で取り組んでおります。
Ⅱ.戦略
当社グループは、労働安全衛生を重要な経営課題の一つと位置づけ、事業活動に伴うリスクを毎期体系的に特定・評価したうえで、その影響度を踏まえた対策を策定・実行し、継続的な改善を図る労働安全衛生マネジメントを推進しております。
具体的には、安全衛生環境管理計画書に基づき、危険予知活動、安全環境教育および安全環境パトロールを計画的かつ継続的に実施することで、事故・労働災害の未然防止に取り組むとともに、万一発生した場合においても被害の最小化を図る体制を整備しております。
これらの取り組みを通じて、安全性の確保と生産性の向上を両立し、持続的な事業運営基盤の強化および企業価値の向上につなげていきます。
■労働安全衛生に関する重大リスクとその影響および対応策
Ⅲ.リスク管理
労働安全衛生に関するリスクを当社グループのサステナビリティ経営における重要リスクと位置づけ、全社的リスク管理に統合して管理しております。詳細については「(1)ガバナンス及びリスク管理 」に記載しております。
Ⅳ.指標及び目標
当社グループは、「安全をすべてに優先させる」という基本方針の下、労働安全衛生に関する主要指標として、重大災害ゼロおよび重大公衆災害ゼロの達成を目標に設定しています。
本目標の達成に向けては、トップマネジメントのもと、全社員が「労働災害を絶対に発生させない」という意識を共有するとともに、現場を起点とした双方向コミュニケーションを通じて安全文化の定着を推進しています。
さらに、指標の進捗状況は経営層が定期的にモニタリングし、その結果を踏まえた施策の見直しを継続的に実施することで、重大災害の未然防止およびリスク低減を図り、持続的な事業運営基盤の強化につなげています。
■労働安全衛生に関する指標および実績
※ 指標「重大な環境事故の発生件数」は2024年度に設定されたため2023年度は集計対象外としております。
(ハ)人的資本政策
Ⅰ.ガバナンス
人的資本政策を当社グループのサステナビリティ経営における重要な課題の1つと捉え、人的資本政策に関するガバナンスは、前述の「(1)ガバナンス及びリスク管理 」に示す体制で取り組んでおります。
Ⅱ.戦略
当社グループは、長期ビジョン<TOA2035>において「社会を支え、人と世界をつなぎ、未来を創る」を掲げており、その実現に向けて、人材を最重要経営資源と位置付けております。その上で、事業規模の拡大と生産性向上を両立させるため、量的確保と質的高度化を同時に進める人的資本経営を推進しております。経営戦略を実現させる人材戦略を進める指針としては、人材育成基本方針、職場環境整備方針をかかげております。
中期経営計画(2026–2028)においては、「社会の要請に応える人材と事業の成長」を基本方針とし、事業戦略と人材戦略を一体で推進するため、「各事業戦略に即した人材戦略」と「各事業の人材戦略を加速させる全社人材戦略」を定め、着実に実行してまいります。
なお、連結子会社(その他の事業)においても、経営戦略の実現のための人材戦略を実施しておりますが、セグメント別売上高の構成比に鑑み、本項については提出会社のものを記載しております。
<人材育成基本方針>
・性別や国籍、年齢などの属性にとらわれない多様性と包摂を備え、従来の画一な人材育成とは異なる、個人の適性や能力に応じたセミオーダー型の人材育成を目指します。
・当社の将来の事業環境、事業ポートフォリオなどを想定した、計画的なプロフェッショナル人材の確保、育成を行います。
・多様な価値観を受け入れる組織文化、職場環境を構築し、個々のリスキリングなどを通じて、ライフサイクル全体を通じた長期的な人材の活躍を後押しします。
<職場環境整備方針>
当社は活き活きと誇りをもって働ける職場環境づくりとして、会社のあるべき姿を「人が集まる会社」と定め、社員の幸福度を向上させるとともに、関わるすべての人が幸せになる環境整備に取り組んでおります。また、こうした活動を通し、社会から信頼される企業となり、社会的責任を果たしてまいります。
①各事業戦略に即した人材戦略
当社は、長期ビジョン<2035>において掲げている事業規模の実現にむけて、国内土木事業、国内建築事業、海外事業の各事業戦略に即した人材の確保と育成に取り組んでまいります。全社共通の取り組みとしては、全社員リクルーター制度及びインターンシップの強化、退職後の得た知見を活かして再び当社で活躍してもらうための「カムバック採用」の拡充等、これらの全社共通の取り組みを通じて、新卒採用とキャリア採用を計画的に進めております。また、定年後のシニア社員の活躍により次世代への技術の継承、若手の育成支援を確実に進めるために、特定の職務を担うシニアS制度を2026年度より導入いたします。
■国内土木事業
港湾・空港等の得意分野を堅持しながら緩やかに拡大させるとともに、陸上分野の更なる拡大を目指しております。これに伴い、増加する工事に対応するために現場(作業所)の責任者である作業所長を担える人材の増員が必須となります。研修体制の再構築、必要資格取得支援、従業員のスキル管理、リスキリング(ベテラン社員の指導力向上等)等により、早期に作業所長に登用できる育成体制を整備してまいります。また、協力会社と当社が共に施工能力を向上させ、持続的に成長するために、当社の従業員と協力会社の従業員が合同で研修を実施する機会を設けております。
■国内建築事業
冷蔵倉庫をはじめとする得意分野を更に強化するとともに、社会公共インフラ部門にも注力してまいります。大規模化する工事を遂行する上で、中核的な役割を果たす従業員の拡充が不可欠です。即戦力キャリア採用の強化と、シニア社員の活躍、若手社員の底上げにより、計画的に作業所長及びその補佐をする次席の職責を担える人材を育成し、バランスの取れた要員構成に基づく現場管理体制を構築してまいります。また、作業所長・次席クラスのリスキルによる現場でのOJTの強化や、階層別研修体制の再構築を進めることで、次世代への技術継承を進めてまいります。これらの施策を進めるため、2026年度より建築本部に新設した建築人材戦略部が中心となり、事業戦略に即した高度な人材戦略を推進してまいります。
■海外事業
土木分野においては、これまでに培った強みを生かしながら、継続的な受注獲得に取り組んでまいります。また、建築分野においては、注力地域を明確にし、現地法人を中心とした着実な事業規模の拡大を進めてまいります。そのために、グローバル志向の若手社員の計画的な採用、海外業務に必要な知識・能力の向上、早期の海外赴任の実現、海外事業の基幹人材の育成、多様な国籍の従業員が活躍できる体制づくり等に注力してまいります。これらの施策を進めるため、2026年度より国際事業本部総務部に新設した人材開発課が中心となり、事業戦略に即した高度な人材戦略を推進してまいります。
②各事業の人材戦略を加速させる全社人材戦略
国内土木事業、国内建築事業、海外事業の各事業戦略に即した人材戦略を実現させるために、経営管理本部及び2026年度より新設した社長室が支援するとともに、その基盤となる全社人材戦略を推進してまいります。
また、従業員一人ひとりの成長に向け、キャリアロードマップ制度を2026年度より導入することを検討しております。各従業員が自律的に自身のキャリアを考える機会にするとともに、当社としては計画的かつ長期的な人材育成につなげてまいります。
■DE&I
当社はDE&Iの推進を、持続的な成長を支える重要な全社人材戦略の一つと位置づけております。男性中心の同質性の高い組織構成から脱却し、多様な属性を持つ従業員一人ひとりが互いを理解しあい働き甲斐のある組織を目指しております。多様な人材の知識や経験を掛け合わせることで生まれるイノベーションの創出は、各事業戦略に基づく人材戦略を加速させるものであり、それぞれが能力を最大限に発揮できる環境づくりを進めてまいります。
女性活躍推進においては、2030年度に女性管理職数を25名とすることを目指し、採用数拡大を図るとともに、地域限定総合職制度を導入し、研修制度の充実等に取り組んでおります。特に研修において、中堅層を対象に職域の拡大や将来の職場のリーダーとしてのマインドを醸成することを目的としたリーダーシップ研修を実施し、近年中に管理職への任用が期待される従業員に対しては選抜型のより実践的なリーダー育成研修を実施しております。今後、ジョブローテーションや教育機会をさらに拡充し、より高いレベルの業務で活躍できるよう継続的な支援を行ってまいります。また、多様な人材の活躍推進に向けた意識啓発を目的として、2024年度以降、管理職層を対象とした、アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)に気づき適切に対処するための研修を実施しております。
障がい者の採用にも積極的に取り組んでおります。障がいをもつアーティストを採用し、中期経営計画や統合報告書などの社内外で使用する資料の挿絵やデザインを担当してもらうなど、それぞれの才能を生かすことのできる職場環境の整備を進めております。
■経営人材の育成
次世代を担う人材の育成は、当社の持続的な成長と新たな価値創造のために重要なテーマであると認識し、経営人材育成計画(サクセッションプラン)の再整備を進めております。第一段階として20代後半から30代前半の総合職全員を対象に、経営人材基礎研修を実施し、早期から経営に対する意識づけを促進しております。第二段階として、準幹部職(課長級以上の任用資格を有する職階)の中からの選抜者を対象に、経営参画に必要な知識やマインドを習得するための研修を実施してまいります。第三段階として、幹部職(主に部長級以上の任用資格を有する職階)の中からの選抜者に対して、より発展的な内容の研修を実施しております。これらの取り組みを通じて、経営人材プールの充足を確実に進めております。
■従業員エンゲージメントの向上
当社は人材が最大限のパフォーマンスを発揮するために、従業員エンゲージメント(幸福度)の向上を重要な戦略の一つと位置付けております。従業員個人の幸福度と会社の幸せが連動し、ともに成長していける仕組みを構築することが組織力を高め、企業価値の向上につながると考えております。
社内における心理的安全性の浸透を目指し、カエル会議(チームで目指す「ありたい姿」を設定し、その達成に向けた課題を抽出し、改善案を策定・実行する会議)の開催、管理職層を対象に上司・同僚・部下が多面的に評価する「360度フィードバック」の実施、上司と部下が定期的にペアで対話する「TOAダイアログ」の実施等の施策を推進しております。従業員同士のオープンなコミュニケーションを通じて、安心して働ける環境整備を促進しております。
また、多様な属性を持つ人材が、ワークライフバランスを保ちながら、いきいきと働ける環境を目指し、テレワークを中心とした労働時間と勤務場所の柔軟化や、育児・介護等において仕事と生活の両立ができる環境づくりを推進しております。
これらを測る指標として、職場環境、仕事内容、人間関係、成長機会等の8つの項目に対する充足度を5点満点で評価・平均した従業員エンゲージメント指標を使用しております。
Ⅲ.リスク管理
人的資本政策に関するリスクを当社グループのサステナビリティ経営における重要リスクと位置づけ、全社的リスク管理に統合して管理しております。詳細については「(1)ガバナンス及びリスク管理 」に記載しております。
Ⅳ.指標及び目標
各事業戦略にもとづき、類似する指標においても異なる基準を設定しております。例えば、作業所長について、国内土木事業においては、工事件数の増加に対応するために早期の育成が求められていることから「35歳以下」と設定しているのに対し、建築工事においては、受注工事の大型化に対応するために、より多くの経験を要するという観点から、「45歳以下」と設定しております。
※1 1級土木・建築施工管理技士合格率は、当該事業年度に実施された1級土木・建築施工管理技術検定における、第2次検定合格者数を受験者数で除した割合としております。
※2 35歳以下の作業所長人数は、各事業年度内に任用された人数を合計しております。
※3 協力会社合同技術研修受講者数は、協力会社の従業員の受講者数を累計しております。
※4 直接要員とは現場(作業所)に常駐し、施工管理を担当する従業員をさしております。
※5 作業所長・次席級とは、当該事業年度末日現在において、これらの職責を担える人数を合計しております。
※6 45歳以下の作業所長人数は、2025年度以降に任用された人数を累計しております。
※7 準幹部職・幹部職は課長職以上の役職に就くことのできる職階をさしております。
人的資本データシート(提出会社)
※各指標の数値は、障がい者雇用率を除いて各事業年度末日現在のものを表示しております。
※前年まで、当社においては、当社と直接雇用関係にある者を「社員」と表記しておりましたが、本年度より「従業員」と表記しております。
※臨時従業員を除く従業員数(期末)・平均年齢・平均勤続年数に係る各指標においては、人的資本経営の観点から当社から社外への出向者を含み、他社から当社への出向者を除いております。これにより、
※障がい者雇用率は、障害者雇用促進法に基づき各事業年度6月1日時点のものを表示しております。
※育児休業平均取得日数は、厚生労働省が推奨する方法により当該年度に育児休業を終了し復帰した従業員の平均取得日数を記載しております。2023年度においては育児休業を取得した女性従業員はいたものの、同年度中に復職しなかったことから、日数の表示をしておりません。
当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。当社はこれらリスク発生の可能性を認識した上で、発生の予防及び発生した場合の対応に万全を期す方針であります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、組織横断的なリスクの特定や対応状況については、リスク管理規程に基づき、代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会が定期的に対応を見直し、その状況や対応内容を取締役会に報告する体制をとっております。なお、業務執行に係るリスク管理の詳細は、「第2 事業の状況 2.サステナビリティに関する考え方及び取組(1)サステナビリティ全般に関する基本方針と取組 Ⅱ.リスク管理」に記載しております。
(1)施工品質リスク
工事の品質管理には万全を期していますが、契約不適合責任および製造物責任による損害賠償が発生した場合は、当社グループの業績および社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、施工検討会において事前に品質上の課題を確認し、抽出された課題に対し適切な施工が行われているかを施工中のパトロールによって確認しております。さらに竣工時には社内検査を行い、不適合の発生防止に努めております。また、トラブル事例を共有することで再発防止を徹底し、施工品質の継続的な向上を図っております。
(2)災害・事故の発生
工事施工にあたっては事故防止に万全を期しておりますが、予期せぬ要因から事故や労働災害が発生する可能性があります。
当社グループは、安全衛生環境管理計画書に基づく危険予知活動、安全環境教育および安全環境パトロールを継続的に実施し、事故や労働災害の未然防止と、万一発生した場合の被害最小化に取り組んでおります。
(3)調達リスク
建設資材やエネルギー価格の高騰により工事採算が悪化した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
これに対し当社グループは、サプライチェーン全体を意識した安定的な調達体制の構築に努め、調達先との取引関係強化や情報共有を通じて市場動向を的確に把握しております。あわせて、正確な原価管理の徹底や早期購買の実施により、資材価格変動による影響を最小限に抑えるよう取り組んでおります。
(4)信用リスク
建設工事は契約から完成引渡しまで長期にわたること、一般的に工事目的物の引渡し時に多額の工事代金が支払われることから、発注者の信用リスクが生じた場合には、資金回収不能などにより当社グループの財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、協力業者が信用不安に陥った場合、工事の進行に支障を来す可能性があります。
これに対し当社グループは、危機管理マニュアルの運用を徹底するとともに、企業調査の実施や日々の情報収集等により与信管理を行っております。
(5)財務リスク
当社グループの不動産・有価証券等の保有資産の価値変動、資産構成の変化や資金調達環境の変化に伴う負債構造への影響、金利および為替相場の変動、税務上の解釈や税制改正等に起因する不確実性、ならびに市場環境の変化等は、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす場合があり、その結果、業績や企業価値、事業継続に支障を来す可能性があります。
これらのリスクの低減に向けて当社グループは、資産・負債のバランスを踏まえた財務運営に努めるとともに、保有資産の定期的な把握・評価、資金調達手段の安定的な確保に努めております。また、金利および為替変動による影響については、状況に応じて適切な管理を行う方針です。さらに、税務上の不確実性への対応や市場環境の変化を踏まえた財務方針の見直しを通じて、財務基盤の維持・強化に努めております。
(6)人材マネジメントにおけるリスク
少子高齢化や若年層の入職者減少等により人手不足が継続する中、十分な人材を確保できない場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。特に、技術者・技能者の不足や高齢化の進行は、技能継承の停滞や現場管理力の低下、過重労働による離職増加、施工品質や安全性、事業継続性への影響が懸念されます。
当社グループは、将来の事業規模を見据えた計画的な新卒・キャリア採用を行うとともに、若手社員の早期育成やシニア社員の経験・技能を生かした配置・指導体制を整備していきます。さらに、DXによる業務効率化や働き方改革を推進し、個人の適性・能力に応じた育成を行うとともに、社員の幸福と成長が企業の持続的成長につながるとの考えのもと、従業員エンゲージメントを定期的に把握し、人材の定着と組織力の強化を図っていきます。
(7)コンプライアンスリスク
当社グループは、建設業法、労働安全衛生法、労働基準法、独占禁止法、海洋汚染防止法など、さまざまな法規制の下で事業活動を行っており、これらに違反した場合には、業績や社会的信用に重大な影響を及ぼす可能性があります。加えて、労働環境や取引先を含むサプライチェーンにおける人権侵害、ハラスメント、不適切な労務管理などの人権リスクが顕在化した場合にも、企業価値の低下につながる可能性があります。また、社内規程の不遵守や内部統制、子会社を含むガバナンス体制の脆弱性は、コンプライアンス違反を招く要因となります。
これらのリスクに対応するため、当社グループは、法令遵守体制や内部統制の強化、グループ全体でのガバナンス確立に加え、人権基本方針の周知・教育や相談窓口の整備を通じて、コンプライアンス意識の浸透とリスク低減を図っております。
(8)情報セキュリティリスク
サイバーテロや不正アクセス、ランサムウェア攻撃の高度化・巧妙化により、企業の情報セキュリティリスクは一層高まっております。建設業においても、設計図書や顧客情報、取引先情報、工事データなどの漏えい・改ざん、システム停止が発生した場合、事業活動の停滞や損害賠償、社会的信用の低下を招く可能性があります。また、テレワークやICT活用の進展により、人的ミスを起因とした情報漏えいリスクも増大しております。
当社グループは、情報セキュリティポリシーの運用徹底、システムの技術的防御強化、社員への教育・訓練による意識向上に取り組んでおります。加えて、インシデント発生時の対応体制や復旧手順を整備し、被害の最小化と早期回復に努めます。
(9)環境課題リスク
当社グループの事業活動は、資材調達から施工、維持管理に至るまで環境への影響が大きく、気候変動や資源循環、生物多様性といった環境課題への対応が不可欠です。気候変動の進行は自然災害の激甚化を招き、インフラの安全性や事業継続に影響を及ぼします。また、資源制約の強まりや廃棄物増加は、持続可能な社会の実現に向けた課題となっております。
当社グループは、省エネルギー施工や再生可能エネルギーの活用、建設副産物の再資源化など資源循環の推進、環境配慮型資材の採用が重要であると考えております。加えて、自然環境への影響を低減する施工計画や施工方法の選定を通じ、環境負荷低減と企業価値向上の両立を図っていきます。
(10)自然災害・パンデミック
地震・台風・豪雨などの自然災害や、新型感染症の流行は、工事の中断、工期遅延、人的被害、資材調達の停滞などを引き起こし、事業活動や業績に影響を及ぼす可能性があります。近年は、気候変動に伴う災害の激甚化・頻発化や、パンデミックによる行動制限などを要因とする事業継続への影響が懸念されております。
当社グループは、災害発生時の事業継続計画(BCP)の策定・見直し、防災・減災対策の強化、複数調達先の確保によるサプライチェーンの強靭化に注力しております。加えて、感染症対策マニュアルの整備や安全衛生管理の徹底を通じ、被害の最小化と早期復旧に努めていきます。
(11)グローバルリスク
当社グループは、世界各国にて建設事業を行っておりますが、その施工地域における政情の変化、経済状況の変化、予期せぬ法令・規制の変更等により、当社グループの業績および事業運営に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、受注前に予め現地状況の調査・確認を行い、さらに外部専門家等の知見を活用するなどし、事業リスク評価を行っております。また、受注後においても、施工段階での進捗管理や現地情勢の変化を継続的に把握し、必要に応じて事業内容や対応方針の見直しを行うことで、リスクの低減に努めております。さらに、国際情勢の変化が国内に連鎖的に影響し国内事業に波及する可能性も認識しており、こうした外部環境の変化を踏まえた事業運営を行っております。
(12)建設市場の変動リスク
近年の建設市場は、資材価格やエネルギー価格の高騰、慢性的な人手不足により工事原価が上昇し、収益性が不安定化するリスクを抱えております。加えて、金利上昇や景気変動による民間投資の抑制、公共投資の方針転換は受注量の変動要因となります。一方で、老朽化インフラの更新需要、防災・減災投資の拡大、脱炭素やDX推進に伴う新技術・新分野への需要増加は成長機会となります。
当社グループは、市場変動を的確に捉え、人材育成と事業成長を促進するとともに、計画的な事業領域の拡大を進めていきます。
(13)事業戦略リスク
当社グループは、中長期的な成長や収益性の向上を目的として、事業ポートフォリオの見直し、新規事業の検討、既存事業の拡大や構造改革等の事業戦略を推進しております。しかしながら、これらの戦略が市場環境の変化、顧客ニーズや競争環境の変化、技術動向、法規制の変更等を十分に反映できない場合、または想定どおりに実行できない場合には、期待した成果が得られない可能性があります。
当社グループは、市場環境や技術動向を踏まえた中長期的な事業戦略・投資方針の策定と、定期的な見直しを行っております。投資案件については、収益性やリスク、財務への影響を多面的に検証する社内審査・意思決定プロセスを徹底し、過度な投資や機会損失を防止します。また、技術革新への対応力を高めるため、外部動向の継続的な把握と人材・技術への戦略的投資を行っていきます。あわせて、事業ポートフォリオの最適化や財務健全性を意識した運営を通じ、持続的成長の確保を図っていきます。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度の当社グループの連結業績につきましては、売上高は358,697百万円(前連結会計年度比8.5%増)、営業利益は24,199百万円(前連結会計年度比17.3%増)、経常利益は24,600百万円(前連結会計年度比22.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は19,361百万円(前連結会計年度比29.9%増)となりました。
また、当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末と比較して6,496百万円増加し、305,435百万円となりました。
負債は、前連結会計年度末と比較して3,555百万円減少し、187,509百万円となりました。
純資産は、前連結会計年度末と比較して10,052百万円増加し、117,926百万円となりました。
当社グループのセグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(国内土木事業)
海上土木分野を中心に、港湾・鉄道・道路などのインフラ・社会資本の整備に継続的に取り組んでおります。当連結会計年度の売上高は、大型港湾工事を中心に手持工事が順調に進捗し、156,001百万円(前連結会計年度比10.6%増)となりました。セグメント利益(営業利益)は、売上高の増加により13,717百万円(前連結会計年度比4.0%増)となりました。
なお、当社個別の受注高については、官公庁および民間の受注が順調に推移し、161,850百万円(前連結会計年度比14.1%増)となりました。
(国内建築事業)
物流施設を中心とした特命案件・企画提案案件・設計施工案件の受注拡大に取り組んでおります。当連結会計年度の売上高は、過去に受注した大型案件が竣工した一方で、当期に受注した大型物流施設の施工が本格化していない段階であることから94,250百万円(前連結会計年度比14.6%減)となりました。セグメント利益(営業利益)は、物価上昇の影響を受けた低採算案件が減少し、受注時採算が改善された案件の比率が高まったことなどにより、8,169百万円(前連結会計年度比27.2%増)となりました。
なお、当社個別の受注高については、民間からの物流施設等の案件獲得に加え、官公庁の受注も順調に推移し、103,339百万円(前連結会計年度比11.9%増)となりました。
(海外事業)
東南アジアを中心にアフリカ・南アジアなどにおいて、海上土木工事などに取り組んでおります。当連結会計年度の売上高は、東南アジアおよびアフリカの大型案件を中心に順調に工事が進捗し、92,337百万円(前連結会計年度比40.5%増)となりました。セグメント利益(営業利益)はアフリカの大型港湾工事の利益貢献により7,527百万円(前連結会計年度比77.9%増)となりました。
なお、当社個別の受注高については、前期から繰り越した手持工事において大型の設計変更等を獲得したものの前年に複数の大型案件を受注していたことにより73,533百万円(前連結会計年度比38.5%減)となりました。
(その他)
当連結会計年度の売上高は16,107百万円(前連結会計年度比21.4%増)、セグメント利益(営業利益)は1,643百万円(前連結会計年度比22.3%減)となりました。
当連結会計年度におきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは、48,006百万円の資金増加(前連結会計年度は14,255百万円の資金減少)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による増加があったものの有形固定資産の取得等により、1,542百万円の資金減少(前連結会計年度は93百万円の資金増加)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは短期借入金やコマーシャル・ペーパーの減少等により、39,122百万円の資金減少(前連結会計年度は1,250百万円の資金減少)となりました。以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べ7,648百万円増加し、49,231百万円となりました。
③生産、受注及び販売の実績
当社グループが営んでいる事業の大部分を占める建設事業及び不動産事業では「生産」を定義することが困難であり、建設事業におきましては請負形態をとっているため「販売」という定義は実態にそぐいません。
また、当社グループとしての受注高、繰越高を正確に把握することも困難なため、記載可能な情報を「経営成績等の状況の概要」におきましてセグメントの業績に関連付けて記載しております。
なお、参考のため当社単独の事業の状況は次のとおりであります。
(注) 1 前期以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額に変更あるものにつきましては、当期受注高にその増減額を含めております。したがって当期売上高にもかかる増減額が含まれております。
2 次期繰越高の施工高は支出金により手持工事等の施工高を推定したものです。
3 当期施工高は、不動産等を除き(当期売上高+次期繰越施工高-前期繰越施工高)に一致します。
工事の受注方法は特命と競争に大別されます。
(注) 百分比は請負金額比であります。
(注) 1 完成工事のうち、主なものは、次のとおりであります。
第135期の主なもの
第136期の主なもの
2 売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は、次のとおりであります。
第135期
第136期
d. 手持工事高(2026年3月31日現在)
手持工事のうち主なものは次のとおりであります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(財政状態の分析)
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末と比較して6,496百万円増加し、305,435百万円となりました。これは、主に退職給付に係る資産が増加したこと等によるものです。
負債は、前連結会計年度末と比較して3,555百万円減少し、187,509百万円となりました。これは、主に工事損失引当金が増加した一方で、短期借入金、コマーシャル・ペーパーが減少したこと等によるものです。
純資産は、前連結会計年度末と比較して10,052百万円増加し、117,926百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上で利益剰余金が増加したことによるものです。なお、自己資本比率は38.2%と、前連結会計年度末と比較して2.6ポイント増加しております。また、ROE(自己資本利益率)は17.4%と2.7ポイント増加しました。
当連結会計年度の売上高については、国内土木事業、国内建築事業において大型案件を中心に手持工事が進捗し増収となり、総じて、前連結会計年度に比べ28,224百万円(8.5%)増収の358,697百万円となりました。
営業利益は、国内土木事業は売上高の増加により増益、国内建築事業は物価上昇の影響を受けた低採算案件が減少し、受注時採算が改善された案件比率が高まったこと等で増益、海外事業はアフリカの大型港湾工事の利益貢献により増益となり、総じて、前連結会計年度に比べ3,577百万円(17.3%)増益の24,199百万円となりました。
経常利益は、営業利益の増加に伴い、前連結会計年度に比べ4,527百万円(22.6%)増益の24,600百万円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益の増加や投資有価証券売却益の計上などにより、前連結会計年度に比べ4,452百万円(29.9%)増益の19,361百万円となりました。
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」を参照ください。
当社グループは、将来の事業活動に必要な資金を確保し、適切な流動性を維持することを財務の基本方針としております。資金需要の主なものは、工事原価、販売費及び一般管理費などの運転資金及び設備投資資金であります。
その資金の原資は、自己資金、営業キャッシュ・フロー、金融機関からの借入及び社債・コマーシャル・ペーパーの発行等による収入であります。
また、運転資金の効率的な調達を行うため、複数の金融機関とコミットメントライン(特定融資枠)契約を締結しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結貸借対照表関係)」に記載のとおりであります。
更に、当社グループ内の資金の効率性を高めるため、一部の子会社を含めたグループ間のキャッシュマネジメントシステムを特定の金融機関と構築しております。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表作成にあたっては、過去の実績や現在の状況に基づき合理的と考えられる見積りによっている部分があり、実際の結果がこれらの見積りと異なる場合があります。個々の項目については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
特記事項はありません。
当社グループにおきましては、社会ニーズを踏まえた4つのマテリアリティ(重要課題)を定めて、これに基づいてテーマ選定し、研究開発を推進しております。
●4つのマテリアリティ(重要課題)
Blue・Green(ブルー・グリーン)‐地球温暖化対策・低炭素社会の構築、自然環境保全・再生・創出
Life-cycle(ライフサイクル) ‐維持・長寿命化、3Rの実践
Digital・Smart(デジタル・スマート)‐品質・安全・生産性の向上、ウエルネスの向上
Resilience(レジリエンス) ‐防災・減災、強靱化、安心・安全の提供
当連結会計年度における研究開発費は
(国内土木事業・国内建築事業及び海外事業)
当社は、温室効果ガス排出量(Scope1+2)について、2030年度までに2020年度比で44%削減すること、ならびに2050年度までに実質排出量ゼロを目指すことを中長期目標として掲げています。
当社の主力分野である港湾土木工事においては、大型作業船を使用することから排ガスの発生量が多く、作業船から排出されるCO₂の削減が重要な課題となっています。一方で、従来のCO₂回収手法は、大規模な設備や多くの追加エネルギーを必要とする場合があり、結果として新たなCO₂排出を伴う可能性が懸念されます。
このような背景のもと、当社は、排ガス中のCO₂を低エネルギーで回収するシステムを自社開発し、屋内環境において実証試験を実施しました。
本実証試験の結果、排ガスを加圧・減圧等の処理を行うことなく全量を有姿のままで処理できることを確認するとともに、今回実施した試験条件の範囲内において、排ガス中に含まれるCO₂を約8割回収できることを確認しました。また、排ガス中のCO₂を低エネルギーで回収できることについても確認しています。
当社は、今後、本実証試験で得られた知見を踏まえ、システムの改良を行い、より大型の発電機等から排出される排ガス量に対応可能な実機の開発を目指してまいります。
生物多様性国家戦略が2023年に閣議決定され、2030年までに生物多様性の損失を止めて反転させること(ネイチャーポジティブ)が目標として示されました。また、地球温暖化対策の一環として、ブルーカーボン生態系を活用したCO2吸収源の拡大によるカーボンニュートラルの実現への貢献や生物多様性による豊かな海の実現を目指し、藻場の拡大に向けた検討や取組みが進められています。
このような背景を踏まえ、当社は、ネイチャーポジティブおよびブルーカーボンに関する取組みの一環として、多様な魚介類の産卵・育成の場(いわゆる「海のゆりかご」)であるとともに、水質浄化機能やCO2の吸収・貯留機能を有するアマモ場の再生に取り組んでおります。具体的には、既存のアマモ場の定期的な観測・調査を実施するとともに、アマモの生育に関する研究開発を進めております。また、各地で開催されるアマモ移植イベント等にも積極的に参加しております。
今後も当社は、ネイチャーポジティブおよびカーボンニュートラルの実現を目指し、生物多様性の向上ならびにブルーカーボン生態系の拡大に資する研究開発を推進してまいります。
近年、カーボンニュートラル社会の実現に向けて、材料製造過程におけるCO2排出量が多いセメントを産業副産物で大量に置換した低炭素型コンクリートの研究開発・現場適用が進んでいます。しかしながら、既に現場適用が進んでいる技術は、高炉スラグ微粉末を高置換すること基本にしており、フライアッシュを大量に使用した技術はほとんどありませんでした。
そこで当社は、中部電力(株)(中部電力への研究委託元:(株)JERA)と共同で、セメントの一部(30%~70%)をフライアッシュで置換したフライアッシュ高置換コンクリートを開発しました。
フライアッシュ高置換コンクリートは、水中コンクリート(水中不分離性コンクリートを含む)および高流動コンクリートとして使用できます。
フライアッシュを多量にセメント置換することにより、従来の水中不分離性コンクリートおよび高流動コンクリートに求められるフレッシュ性状、充塡性、水中不分離性はそのまま保持しつつ、普通ポルトランドセメントを使用したコンクリートに対して、コンクリート製造に伴うCO2排出量を削減することができます。
本技術は、国土交通省が提供する新技術情報提供システム(NETIS)に登録されました。
今後は、港湾工事を中心にフライアッシュ高置換コンクリートを活用することで、カーボンニュートラルの実現に貢献してまいります。
これまで冷凍冷蔵倉庫の建設では、断熱性能を確保するため、コンクリート等で構成される壁や床に、押出法ポリスチレンフォーム張付け工法や硬質ウレタン吹付け工法等の断熱方法を用いてきました。
一方で、近年は資材価格の高騰に加え、断熱吹付工などの専門職の減少により、安定した施工が難しくなってきています。
そこで当社では、冷凍冷蔵倉庫の外壁に採用してきた断熱パネルに着目し、この断熱パネルを床スラブ施工時の仮設材として活用する「断熱パネル打込み型枠工法」を開発しました。
本工法は、コンクリート床スラブ構築において、断熱パネルをコンクリート打設時の型枠として利用するとともに、スラブの断熱材とすることで、型枠の解体を省略できることから、施工の省人化を図りながら、工期短縮と品質の安定的な確保を可能としました。
当社は、これまでの冷凍冷蔵倉庫の施工実績や知見を活かし、今後も技術開発を継続することで、施工の安定化や生産性の向上、現場負担の軽減につなげてまいります。
海上工事において、最新の気象情報などを作業員へ伝達するシステムとして、腕時計型受信機を用いて、気象情報やメッセージを音と振動で作業員へ伝達する「リアルタイムアラート伝達システム」を2011年に開発し、多くの現場で運用してきました。
しかしながら、気象情報配信サービスの更新により、受信可能な気象情報が減少したことに加え、安全のみならず工事に必要な情報をリアルタイムに伝達する環境を整備する必要がありました。
そこで、港湾工事に特化した気象・海象情報に加え、当社が保有する既存システムのアラート情報や任意のテキストメッセージを迅速かつ確実に伝達できるシステムに改良し、新名称を[現場ハザードウォッチャー」としました。
「現場ハザードウォッチャー」は、気象情報等をリアルタイムにスマートウォッチへ通知し、早期の判断・対応を支援することで現場の安全性を向上するシステムです。気象海象情報(天気予報・海象予報、台風情報など)、警報(気象警報、海上警報、防災情報、熱中症警戒アラート、現場独自に設定した作業中止基準など)、当社の保有する既存システムの警報(航跡波の接近、作業員の落水など)、任意のテキストメッセージ(業務連絡、ミーティングの開催連絡など)を通知することができます。また、各種警報は音と振動によって通知されるため、警報の聞き逃しを防止することができます。
物流倉庫の建設では、構造形式をブレース付きラーメン構造とすることが最もコストを低減できるため、当社では圧縮・引張ともに性能が安定した座屈拘束ブレースを多く採用しています。しかしながら、座屈拘束ブレースの国内シェアはメーカー製品が大部分を占めており、高価格でコスト低減が図りにくいという課題がありました。
そこで当社は、青木あすなろ建設(株)と(株)名構設計と共同で、数多くの要素実験や実大実験による検証を行い、上記の課題などを解決した『折返しプレート式座屈拘束ブレース(FP-BRB)』を開発し、日本ERI(株)の構造性能評価(ERI-K25001)を取得しました。
FP-BRBは、並列に配置した複数の鋼板を直列接合となる様に、端部を一筆書きの要領で交互に接合した折返し機構によって、圧縮材の座屈を隣り合う引張材が押し返す座屈拘束効果を有する新たな制振ブレースです。本ブレースは、鋼材のみで構成されるため鉄骨ファブリケーターでの製作が可能で、同等の性能を有するメーカー製品と比較してコスト低減が可能となります。
また、本ブレースは物流倉庫ばかりではなく、商業施設や事務所ビル等にも採用可能であり、様々な用途に対応できます。今後、当社の設計施工案件において、積極的に提案し普及展開を図ってまいります。
(その他)
研究開発活動は特段行っておりません。