第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの売上高の大部分は完成工事高であるため、主に建設業における記載としております。

今後の見通しにつきましては、わが国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大による経済活動の停滞や外出自粛による個人消費の動向など、影響の予測が難しいリスクが存在し、先行き不透明感が拭えない状況にあります。

建設業界につきましては、公共投資は底堅く推移していくことが見込まれているものの、民間の設備投資は、経済活動の下振れにより不透明感が拭えません。また、将来的に建設就労者の減少が見込まれ、働き方改革、生産性の向上、将来を担う人材の確保・育成が業界全体で取り組むべき課題となっています。

このような事業環境のもと、当社グループは、「中期経営計画(2018年度-2020年度)」の最終年度であり創業130周年となる2020年度を迎えます。働き方改革、生産性向上、将来を担う人材の確保・育成など建設業全体の課題にも全力で取り組み、より一層の企業価値の向上を図ってまいります。

また新型コロナウイルス感染症への対処として、その影響を受けにくい建設分野への営業展開を図るとともに、日々の感染症拡大防止対策に万全を期すことで、業績への影響を最小限に抑えながら社会的責任を果たして参ります。

 

  中期経営計画(2018年度-2020年度)の主な施策

  ○基本方針

   ・更なる成長へ向け、経営資源の有効活用により「収益力の強化」を図る

  ○基本戦略

1.「品質・安全」を核とした、工事施工高の緩やかな増加

 ・現場生産性を重視(技術者一人当たり完工高、ICT技術の活用)/適正な配員

2.土木部門の更なる強化(海上土木はマリコントップクラスとしての進化)

 ・競争力強化に繋がる研究・開発/ICT技術の活用/総合評価対応力の強化

3.民間部門の拡充

 ・首都圏へ注力/法人顧客の拡大/民間建築への対応を強化(本支店建築体制の強化)

 ・取り組み案件の多様化(風力・バイオマス・太陽光・小水力等の再生可能エネルギー/耐震化/

  維持・修繕/不動産を活用した企画営業)

4.人員の確保・育成、活力の向上

 ・技術者の確保(採用方法の多様化)/社員教育の充実(技術の継承・スキルアップ・活力向上)

5.海外事業の基盤強化

 ・ODA案件を中心に民間案件へ(東南アジア地域)/国際部を中心に全社一体営業/

  海外組織力の強化/海外要員の育成/外国人の新卒技術者の採用

6.「更なる成長」へ積極的な資金投資

 ・収益基盤の多様化に関する投資/研究・開発/ICTを活用した業務改善/人材育成/

  協力会社への支援

7.「働き方改革」への取り組み

 ・現場生産性の向上/週休2日へ向けた段階的な取組み/業務の効率化、ICTを活用した業務改善/

  協力会社の処遇改善/意識改革の徹底/女性活躍推進

 

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、次のとおりであります。

 

 当社は、2018年度を初年度とする「中期経営計画(2018年度-2020年度)」を策定し全社一丸となって取り組んでおります。「品質・安全」を核に生産性の向上を図るため、各基本戦略を推進し、計画達成に向け取組むことにより、企業価値向上を目指してまいりました結果、計画2年目となる2019年度におきましては、好調な受注による完成工事高の増加と採算性の堅持により売上総利益が前年度比6.2%増加し、中期経営計画の目標といたしました経常利益38億円を10.8%上回る42億円となりました。

 今後につきましても、「中期経営計画(2018年度-2020年度)」に記載いたしました各基本戦略を推進し、企業価値向上を図るとともに、計画値であります経常利益3ヶ年計111億円の達成を目指しております。

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの経営成績及び財政状態等(株価等を含む)に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあり、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項と考えております。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2020年6月26日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

<特に重要なリスク>

(1)外部環境に係るリスク

 当社グループは、国内及び海外に建設事業を展開しており、その事業活動は地域の外部環境により大きく影響を受けることがあります。特に新型コロナウイルス感染症につきましては、有価証券報告書提出日時点での影響は軽微ではあるものの、国内外における今後の経過によっては長期間に渡る工事中断の発生と、これに伴う売上高及び売上総利益の減少により事業進捗等に大きな不確実性が生じる可能性があります。このため、店社及び施工現場において職場衛生環境の整備と三密を避ける行動を徹底し、感染症拡大防止に努めます。

(2)施工物等の瑕疵に対するリスク

 施工管理の徹底により品質管理には万全を期しておりますが、提供する施工物及びその他製品について重大な瑕疵が発生した場合、当社グループの経営成績や企業評価に影響を及ぼす可能性があります。当社では、本社に品質監理室を新設するとともに、支店に豊富な施工経験を有する品質アドバイザーを配するなど、工事品質の監理体制を強化しています。また、発生した瑕疵に対しましては、誠実な顧客対応と確実な是正措置を実施し、信用回復に取り組みます。

(3)建設市場の変動リスク

 世界の経済動向、天災または悪天候等に左右される建設需要の動向は、主たる売上を建設業としている当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。特に新型コロナウイルス感染症の影響により今後の民間設備投資額が大きく減少する場合、当社グループの受注活動における変動リスクとなると考えられます。そのため、比較的影響を受けにくいと想定される官庁工事や再生可能エネルギー分野への重点的な取り組みを行います。

(4)財務に関するリスク

 今後の市場環境の予期せぬ急変等により、金融機関の支援体制の変化、受注環境の悪化、販売用不動産及び賃貸用不動産の時価の下落等に陥った場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。この対策として資金面におきましては、取引金融機関と2019年9月27日付でシンジケートローン契約を更改しました。また、季節変動資金にも機動的に対応できる状況を整え、より安定的な資金調達態勢を確保しております。

<重要なリスク>

(1)海外活動に係るリスク

 当社グループの海外売上高は連結売上高に対する割合は低いものの、海外の各国においては次のようなリスクがあります。そのため、これらの事象が発生した場合は当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 ①予期し得ない法律・規制、不利な影響を及ぼす租税制度の変更。

 ②為替相場の急激な変動による為替損失の発生。

 ③テロ、戦争等による社会的混乱。

(2)市場リスク

 当社グループは金融機関や取引先等の株式を保有しております。これらの株式は株式市場の価格変動リスクを負っていますが、長期所有を原則としているため特別のヘッジ手段を用いておりません。

(3)不動産価値下落リスク

 当社グループは、国内各地において販売用不動産及び土地等の有形固定資産を保有しております。国内の不動産市況が悪化した場合には、販売用不動産の評価減及び固定資産の減損処理等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(4)重要な訴訟等

 当社グループは、国内及び海外事業に関連して、訴訟、紛争、その他の法律手続きの対象となるリスクがあります。これらの法的リスクについては当社グループの法務部門が管理しており、必要に応じて取締役会および監査役会に報告しております。当連結会計年度において当社グループの事業に重大な影響を及ぼす訴訟は提起されていませんが、将来重要な訴訟等が提起された場合には当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

業績等の概要

(1)業績

当連結会計年度におけるわが国経済は、上期においては企業収益が高い水準で推移し、雇用・所得の改善が続くなど、景気は緩やかな回復が続きました。しかし、下期は輸出・生産に弱さが一段と増し、海外経済の動向や金融資本市場の変動の影響、消費税引き上げ後の消費者マインドの動向など、不透明な要素が増してきました。加えて今年1月以降、新型コロナウイルス感染症の拡大は、内外経済に与える影響がきわめて大きく、先行きを見通せない状況にあります。

建設業界におきましては、公共投資、民間の設備投資ともに底堅く、事業環境は堅調に推移しました。

このような状況の下で、当社グループは、業績の向上に努めてまいりました。売上高につきましては、主に建設事業での工事進捗が順調であったことにより完成工事高が増加したため、1,078億円と前年と比べ8.2%の増収となりました。損益につきましては、主に工事利益率が改善したことにより営業利益50億円(前年同期比9.4%増加)、経常利益47億円(前年同期比6.9%増加)となりましたものの、主に税金費用の増加により親会社株主に帰属する当期純利益29億円(前年同期比7.5%減少)となりました。

 

事業の種類別セグメントごとの業績を示すと次のとおりであります(事業の種類別セグメントごとの業績については、セグメント間の内部売上高等を含めて記載しております)。

(建設事業)

建設事業を取り巻く環境は、公共投資、民間設備投資ともに堅調に推移しました。当社グループにおきましても工事進捗が順調であったことから当社グループの建設事業の売上高は1,070億円と前連結会計年度に比べ88億円(前年同期比9.0%増加)の増収となりました。損益につきましては主に工事利益率が改善したことにより営業利益66億円(前年同期比3.6%増加)となりました

(不動産事業)

不動産事業を取り巻く環境は、大都市圏での地価の上昇傾向が見られるものの、全国的には依然として厳しい状態が続いております。当社グループはこのような状況を考慮し販売活動を行いましたが、当社グループの不動産事業の売上高は5億円と前連結会計年度に比べ2億円(前年同期比27.2%減少)の減収となりました。損益につきましては、主に当社グループが保有する販売用不動産の評価損の計上額が減少したことにより営業利益1億円(前年同期は営業損失1億円)となりました

(2)キャッシュ・フローの状況

 当社グループは、キャッシュ・フローの安定化を図りながら、財務体質の改善・資産の効率化に取り組んでおります。

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローについては、主に2019年4月1日以降の新規工事下請契約から支払条件を全て現金払いに変更したことにより25億円の資金の減少(前年同期は3億円の増加)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローについては、主に有形固定資産の取得により23億円の資金の減少(前年同期は78百万円の増加)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローについては、主に短期借入金の増加により59億円の資金の増加(前年同期は1億円の増加)となりました。

以上の結果、現金及び現金同等物期末残高は、期首残高から6億円増加し、150億円となりました。

 

生産、受注及び売上の実績

(1)受注実績

  当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

前年同期比(%)

建設事業(百万円)

98,672

4.2

不動産事業(百万円)

 報告セグメント計(百万円)

98,672

4.2

その他(百万円)

182

△71.8

合計(百万円)

98,854

3.7

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(2)売上実績

  当連結会計年度の売上実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

前年同期比(%)

建設事業(百万円)

107,082

9.0

不動産事業(百万円)

592

△27.2

 報告セグメント計(百万円)

107,674

8.7

その他(百万円)

155

△75.6

合計(百万円)

107,830

8.2

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載しておりません。

4.売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高等及びその割合は、次のとおりであります。

 

前連結会計年度

 

国土交通省

 

20,019百万円

 

20.1%

当連結会計年度

 

国土交通省

 

21,349百万円

 

19.8%

 

 なお、参考として提出会社個別の事業の実績は次のとおりであります。

① 受注工事高、完成工事高、次期繰越工事高及び施工高

期別

工事別

前期繰越

工事高

(百万円)

当期受注

工事高

(百万円)

(百万円)

当期完成

工事高

(百万円)

次期繰越工事高

当期

施工高

(百万円)

手持高

(百万円)

うち施工高

(百万円)

第203期

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

建設事業

 

 

 

 

 

 

 

海上土木

16,391

30,274

46,665

29,209

17,456

0.0

1

29,181

陸上土木

47,453

33,649

81,103

39,478

41,625

0.1

47

39,374

建築

26,855

28,265

55,121

26,806

28,314

0.0

1

26,802

合計

90,700

92,190

182,891

95,494

87,396

0.1

51

95,358

第204期

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

建設事業

 

 

 

 

 

 

 

海上土木

17,456

30,447

47,904

33,337

14,566

3.5

511

33,847

陸上土木

41,625

40,784

82,409

44,640

37,769

0.0

16

44,608

建築

28,314

24,185

52,499

26,209

26,290

0.0

26,207

合計

87,396

95,417

182,814

104,187

78,626

0.7

528

104,664

 (注)1.前期以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注高にその増減額を含んでおります。

2.次期繰越工事高の施工高は未成工事支出金により手持高の施工高を推定したものであります。

3.当期施工高は(当期完成工事高+次期繰越施工高-前期繰越施工高)に一致します。

 

② 受注工事高の受注方法別比率

 工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。

期別

区分

特命(%)

競争(%)

計(%)

第203期

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

海上土木工事

20.5

79.5

100

陸上土木工事

60.1

39.9

100

建築工事

62.1

37.9

100

第204期

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

海上土木工事

40.5

59.5

100

陸上土木工事

23.3

76.7

100

建築工事

52.8

47.2

100

 (注) 百分率は請負金額比であります。

③ 完成工事高

期別

区分

官公庁(百万円)

民間(百万円)

計(百万円)

第203期

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

海上土木工事

24,543

4,665

29,209

陸上土木工事

21,369

18,109

39,478

建築工事

5,913

20,893

26,806

51,826

43,667

95,494

第204期

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

海上土木工事

21,801

11,536

33,337

陸上土木工事

25,089

19,550

44,640

建築工事

4,704

21,504

26,209

51,595

52,592

104,187

 (注)1.完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。

第203期 請負金額16億円以上の主なもの

国土交通省

東京国際空港国際線地区連絡道路橋ランプ部下部工事(その2)

宮城県

石巻漁港-6.0m岸壁外災害復旧(その2)工事

独立行政法人 鉄道建設・運輸施設整備支援機構

九州新幹線(西九州)、嬉野温泉駅高架橋他

東日本高速道路株式会社

京葉道路鬼高PA休憩施設新築工事

サモア独立国港湾公社

アピア港安全向上計画

第204期 請負金額10億円以上の主なもの

国土交通省

平成30年度福岡空港回転翼施設地盤改良外工事

東京都

呑川防潮堤耐震補強工事(その17)その2

東日本高速道路株式会社

東北自動車道蓮田SA(新上り線)休憩施設新築工事

昭和四日市石油株式会社

震災対応桟橋新設工事PART1第1期工事

JFEエンジニアリング株式会社

豊前バイオマス発電設備建設工事 土木建築工事

2.売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高等及びその割合は、次のとおりであります。

第203期

 

国土交通省

 

20,019百万円

 

20.8%

第204期

 

国土交通省

 

21,349百万円

 

20.4%

 

④ 手持工事高(2020年3月31日現在)

区分

官公庁(百万円)

民間(百万円)

計(百万円)

海上土木工事

8,727

5,839

14,566

陸上土木工事

20,667

17,102

37,769

建築工事

8,884

17,405

26,290

38,278

40,347

78,626

手持工事のうち請負金額11億円以上の主なものは、次のとおりであります。

荏原環境プラント株式会社

伊豆市伊豆の国市新ごみ処理施設整備・運営事業に係る土木・建築設計、土木建築工事

2022年9月竣工予定

学校法人福岡大学

福岡大学自修寮(仮称)新築工事

2022年2月竣工予定

国土交通省

令和元年度 富士海岸沼川新放水路建設工事

2022年9月竣工予定

国土交通省

川崎港臨港道路東扇島水江町線東扇島アプローチ部橋梁下部工事

2021年11月竣工予定

神戸市

平成30年災 神戸港沖災害復旧工事(その1)

2021年3月竣工予定

 

経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

 当社グループに関する財政状態及び経営成績の分析・検討内容は原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容であります。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2020年6月26日)現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営成績の分析

 当社グループの経営成績は、「第2事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要(1)業績」に記載しているとおりであります。以下、連結損益計算書に重要な影響を与えた要因について分析しております。なお、各セグメントの業績は、セグメント間の内部売上高等を含んで表示しております。

①売上高の分析

 当連結会計年度の連結売上高は1,078億円でありますが、これをセグメントごとに分析すると、建設事業は好調な受注活動により売上高が前連結会計年度に比べ9.0%増加の1,070億円となり、不動産事業は、売上高は前連結会計年度に比べ27.2%減少の5億円となりました。なお、当連結会計年度において感染者の発生等により長期間に渡り施工が中断となった工事がなかったため、新型コロナウィルス感染症の影響による売上高への影響は軽微であります。

 建設事業の売上高が増加いたしました主な要因は、民間部門の拡充を掲げた「中期経営計画(2018年度-2020年度)」の進捗によるものです。提出会社の受注工事高と完成工事高の推移を過去5年間で比較しますと、民間顧客が契約先である受注工事高の割合が35.0%から47.6%へ12.6ポイントの増加、完成工事高につきましては33.7%から50.5%へ16.8ポイントの増加となっております。この民間顧客からの受注工事高及び完成工事高増加の主な要因は、取り組み案件の多様化を図り、風力発電・バイオマス発電・太陽光発電等の再生可能エネルギー関連工事及び維持・修繕工事等の民間顧客の拡大を積極的に図ってきたことによるものです。

 

官公庁・民間別受注工事高実績(提出会社)

区分

官公庁

(百万円)

民間

(百万円)

(百万円)

官公庁比率

(%)

民間比率

(%)

2015年度

54,705

29,450

84,155

65.0

35.0

2016年度

53,851

36,170

90,021

59.8

40.2

2017年度

47,392

44,007

91,400

51.9

48.1

2018年度

43,087

49,102

92,190

46.7

53.3

2019年度

49,980

45,437

95,417

52.4

47.6

 

官公庁・民間別完成工事高実績(提出会社)

区分

官公庁

(百万円)

民間

(百万円)

(百万円)

官公庁比率

(%)

民間比率

(%)

2015年度

47,837

24,309

72,146

66.3

33.7

2016年度

52,307

25,888

78,196

66.9

33.1

2017年度

56,671

32,158

88,830

63.8

36.2

2018年度

51,826

43,667

95,494

54.3

45.7

2019年度

51,595

52,592

104,187

49.5

50.5

 

②販売費及び一般管理費の分析

 販売費及び一般管理費については、前連結会計年度に比べ5.6%増加の59億円となりました。これは主に働き方改革への対応に伴う経費の増加によるものです。

③営業利益の分析

 営業利益については、前連結会計年度に比べ9.4%増加の50億円となりました。これは主に①売上高の分析で記載した売上高の増加による完成工事総利益の増加によるものであります。

 

④経常利益の分析

 経常利益については、前連結会計年度に比べ6.9%増加の47億円となりましたが、これは主に③営業利益の分析と同じ原因によるものであります。

 上記により、提出会社の2018年度及び2019年度の経常利益の合計額は82億円となり、中期経営計画の計画値である経常利益3ヶ年計111億円に対する進捗率は74.5%となりました。

⑤親会社株主に帰属する当期純利益の分析

 親会社株主に帰属する当期純利益については、前連結会計年度に比べ7.5%減少の29億円となりました。これは主に税務上の繰越欠損金の期限切れに伴う税金費用の増加によるものであります。

(2)財政状態、資本の財源及び資金の流動性についての分析

①資産、負債及び純資産の状況に関する分析

(資産)

 流動資産は、民間部門の完成工事高の増加に伴い受取手形・完成工事未収入金等が25億円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ27億円増加し、723億円となりました。

 固定資産は、主に賃貸等不動産の取得により有形固定資産が12億円増加したこと等により、前連結会計年度末より15億円増加し、134億円となりました。

 主に上記の影響により、総資産は前連結会計年度末に比べ42億円増加し、858億円となりました。

(負債)

 流動負債は、受注工事高の増加により未成工事受入金等が15億円増加したこと及び外注契約における支払条件の変更により短期借入金が76億円増加、支払手形・工事未払金等が79億円減少したこと等により、前連結会計年度末に比べ29億円増加し、493億円となりました。

 固定負債は、退職給付に係る負債が7億円減少、長期借入金が返済により6億円減少したこと等により前連結会計年度末に比べ14億円減少し、50億円となりました。

 以上の結果、負債合計は前連結会計年度末に比べ15億円増加し、544億円となりました

(純資産)

 純資産は、主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上により前連結会計年度末より27億円増加し、314億円となりました

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループのキャッシュ・フローの状況は、「第2事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要(2)キャッシュ・フローの状況」に記載しているとおりであります。

 資金需要の動向と株主還元への支出

 当社の資金需要の動向につきましては、獲得した資金のうち3分の1を手元資金に、3分の1を今後の当社グループの成長に向けた投資に、3分の1を株主還元に振り分ける体制とすることを目標としております。成長に向けた投資につきましては、施工能力拡大を図るための設備投資、競争力強化に繋がる研究・開発費用の支出、人員の確保・育成、活力の向上のための社員教育の充実等を想定しております。株主還元への支出につきましては、中期経営計画(2018年度-2020年度)に記載の通り、配当性向を20%以上とし2020年度において25%以上とすることを目標としております。

 財務政策

 当社グループの運転資金需要の主なものは、工事施工に伴う材料費・外注費等の営業費用であり、当該支出は、工事代金及び短期借入で賄っております。また、設備投資資金等については、工事代金及び長期借入等により調達することにしております。なお、現時点では重要な設備投資を行う計画はありません。

 2020年3月31日現在の主な有利子負債は、短期借入金117億円、長期借入金4億円となっており、前連結会計年度末に比べ70億円の有利子負債の増加となりました。今後は財務体質の改善・資産の効率化を推し進め、有利子負債の圧縮を図る方針であります。

(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し総合的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5経理の状況 1.(1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。

①収益の認識基準

 当社グループの完成工事高の計上は成果の確実性が認められる工事については工事進行基準を、その他の工事については工事完成基準を適用しております。工事進行基準対象工事につきましては将来の発生原価を合理的に見積っておりますが、市況の変動や気象条件等の外的要因によりその見積り額が変動した場合は工事損益に影響を及ぼす可能性があります。

 有価証券報告書提出日時点で重大な影響が生じる状況を想定しておりませんが、今後新たに新型コロナウィルス感染症の影響により長期間に渡り施工を中断する工事が発生する場合、当該工事の工事損益を悪化させる可能性があります。

②貸倒引当金の計上基準

 当社グループは、売掛債権等の貸倒損失に備えて回収不能となる見積り額を貸倒引当金として計上しております。将来、顧客の財務状況が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上または貸倒損失が発生する可能性があります。

③完成工事補償引当金の計上基準

 当社グループは、完成工事に係る瑕疵担保等の費用に備えるため、過去の経験割合に基づく一定の算定基準を基礎に、期末日現在において予定されている瑕疵担保等の費用を合理的に見積った補償見込額を加味して完成工事補償引当金として計上しております。

④工事損失引当金の計上基準

 当社グループは、工事原価総額の見積りが工事収益総額を上回る可能性が高く、かつ、その損失見込額を合理的に算定できる場合、当該損失見込額を損失が見込まれた期に工事損失引当金として計上しております。

⑤販売用不動産の評価基準

 当社グループは、販売用不動産の評価について、個別法による原価法(貸借対照表価額については収益性の低下に基づく簿価切下げの方法)を採用しております。今後、国内の不動産市況が悪化した場合、簿価切下げが必要となる可能性があります。

⑥固定資産の減損処理

 当社グループは、固定資産の減損会計を適用しております。市場価格の著しい下落、経営環境の変化による企業収益の大幅な低下等の要因により、固定資産の減損処理が必要となる可能性があります。

⑦有価証券の減損処理

 当社グループは、金融機関や取引先等の株式を保有しております。これらの株式は株式市場の価格変動リスクを負っているため、合理的な基準に基づいて有価証券の減損処理を行っております。将来、株式市場が悪化した場合には有価証券評価損を計上する可能性があります。

⑧繰延税金資産の回収可能性の評価

 当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して将来の課税所得を合理的に見積っております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するので、その見積り額が減少した場合は繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

 特記事項はありません。

5【研究開発活動】

(建設事業)

当社の技術研究所では、(1)海洋構造物をはじめとする土木構造物の建設技術、(2)建設ICTを駆使した施工現場の生産性向上技術、(3)音響測深装置による水中の可視化技術、(4)臨海施設の維持管理・補修技術など、海洋・臨海域における多様な技術的ニーズに対応した研究開発に取組み、より実効性の高い技術の確立を図っております。また、建設生産システムの高度化を計るために有用視されている(5)AI活用技術は、施工管理分野において、いくつかの開発成果を上げております。なお、当連結会計年度の研究開発費は、201百万円でありました。

主な研究開発の成果や研究開発中の技術は以下のとおりであります。

(1) 土木構造物の建設技術

コンクリート構造物の耐久性、施工性を向上させるため、型枠材料メーカーと共同で技術開発に取り組んでおります。

軟弱地盤の改良や液状化対策について、その品質の計測方法・管理方法について技術を確立し、実施工現場において運用しております。

・吊荷回転制御装置(水中仕様)を開発いたしました。2020年度からブロック据付工事等において運用する予定であります。

(2) 施工現場の生産性向上技術

国土交通省が推進するICT活用工事に対して、各種作業船に搭載した施工管理システムやケーソン無人化据付システム、浚渫施工管理システムなど、我が社独自の技術を確立しており、多くの現場において実績を重ねております。

コンクリート打設時の施工管理システムにAI技術を取入れ、より生産性の高い施工管理技術の開発に取り組んでおります。

(3) 音響測深装置による水中可視化技術

ナローマルチビームや水中ソナーなどの音響測深装置をふんだんに活用しながら、水中構造物の築造工事における水中の可視化技術を実施工現場で運用しております。

・水中構造物の位置や形状をより直感的に可視化するため、音響カメラの機能の高度化に取り組んでおります。

(4) 臨海施設の維持管理・補修技術

臨海施設のリニューアル技術のうち、補修構造物の再劣化防止技術について、継続的な研究開発に取り組んでおります。

(5) AI活用技術

クレーンカメラとAIを活用して、クレーン下の作業員の安全管理システムを開発いたしました。

AIを活用して、港湾工事中における一般航行船舶の安全管理システムを開発いたしました。

 

 (不動産事業)

 特段の研究開発活動は行っておりません。