第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

当社グループは、すべてのステークホルダーと連携し、工事を通して安心・信頼を提供していくことが建設業の社会的使命と考え、下記の企業理念と経営理念を掲げております。

 

  企業理念: 内外一致 同心協力

  経営理念:「品質と安全」を核とした施工により、お客様の信頼を高め、社会に貢献する。

 

経営環境につきましては、新型コロナウイルス感染症への対策緩和が進む一方で、ウクライナ情勢等による世界的な資源、エネルギー価格の高騰など、先行き不透明な状況が続いています。国内の建設市場におきましては、国土強靱化政策など引き続き社会資本整備は堅調に推移すると想定され、民間設備投資におきましても長期的には都市圏を中心として需要の回復も見込まれています。しかし一方、将来的には建設就労者の減少が懸念され、週休二日の実現を含めた働き方改革、生産性の向上、担い手確保などが業界全体の喫緊の課題となっています。また企業には、気候変動や資源不足、人口構造の変化等に伴う社会的な課題の解決に向けて積極的に取り組むなど、社会価値(ESG・SDGs)と経済価値を包括した経営が求められています。

このような事業環境のもと、当社は創業140周年に向け「サステナビリティの追求」を基本方針とした長期ビジョンを策定し、その第1期となる「中期経営計画(2021年度-2023年度)」では「事業基盤の強化」と「ESG経営の推進」を基本戦略とし、全社一丸となって企業価値の向上に取り組んでおります。

 

  中期経営計画(2021年度-2023年度)の主な施策

1.事業基盤の強化

  ・顧客ニーズに応えられる企画・提案力の強化

  ・生産性の向上

  ・人的資源の充実

  ・財務体質の強化

 

2.ESG経営の推進

E(環境)   ・再生可能エネルギー分野への注力

        ・建設工事でのCO2削減

        ・ブルーカーボンなど、海洋環境改善への取組み

S(社会)   ・安全かつ良質なインフラの提供

        ・アフターコロナにおける働きがいのある職場環境

        ・建設業を担う人材の育成

        ・協力会社との共生

        ・地域社会への貢献

G(ガバナンス)・新様式をふまえたリスクマネジメント

        ・ガバナンスの強化

        ・コンプライアンスの徹底

        ・IRの強化

 

 

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、次のとおりであります。

 

 当社は2021年度を初年度とする「中期経営計画(2021年度-2023年度)」を策定し、事業基盤の強化とESG経営を推進し、計画達成に向け全社一丸となって取り組んでおります。中期経営計画の目標数値として最終年度での単体営業利益を50億円としておりましたが、2022年度において単体営業利益56億円となり、計画初年度である2021年度と同様に最終年度目標を上回る結果となりました。

 今後も引き続き各基本戦略を推進し、企業価値の向上に努めてまいります。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社は、2021年に策定した長期ビジョンにおいて「品質・安全」を核とした施工をベースに3つの持続性(市場での持続性、組織の持続性、社会の持続性)を追求してゆくことを基本方針として掲げ、その基本戦略として事業基盤の強化とESG経営の推進に取り組んでおります。この一環として当社も持続可能な開発目標(SDGs)に賛同し、よりよい国際社会の実現に貢献するため、積極的に取り組みを進めております。その中でも、地球温暖化や気象災害の激甚化をはじめとする気候変動課題は喫緊の社会課題の一つと捉え、温室効果ガス排出量の削減や海洋環境の維持をはじめとする環境保全に配慮した活動を積極的に推進しております。また、サステナビリティ経営において、気候変動が事業に及ぼす影響についても重要なテーマと認識しており、TCFDガイドラインに則した気候変動リスク及び機会が及ぼす影響の評価と、それを受けた対応策の検討及び事業戦略への統合は、当社の持続的成長と企業価値向上に資するものと考えております。

 

(1)ガバナンス

 気候変動をはじめとするサステナビリティに関連する重要事項は、代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会にて審議検討を行っております。また、委員会下に専門部会を設置し、各マテリアリティについての取り組み進捗を管理しております。サステナビリティ委員会は年1回開催し、各部会で審議検討された内容に対する実行計画の策定と進捗モニタリングを行い、決議事項は取締役会へ報告しております。また、取締役会は当社の環境課題や人的資本課題への対応方針および実行計画等についての論議・監督を実施し、その決定事項は各部門の担当執行役員で構成される業務執行会議へ指示・報告することで、環境課題および人的資本課題への審議・決議内容の全社的な経営戦略への統合を図っております。

 

(2)戦略

 当社が実施した気候変動によるリスクと機会の特定及び、事業への影響度と対応策について考察・分析にあたっては、IPCCやIEAが公表するシナリオを用いて、産業革命期頃の世界平均気温と比較して2100年頃までに4℃上昇するとする4℃シナリオと、カーボンニュートラルへの取り組みにより1.5℃~2℃程度に気温上昇が抑制される2℃未満シナリオの2つのシナリオを設定し、それぞれの世界観における2030年時点での当社への影響を想定しております。

 4℃シナリオにおいては化石燃料需要の成行き的な拡大などを背景にアスファルト原材料価格の上昇が予測されるほか、台風や大雨をはじめとする異常気象の激甚化に伴う物理的リスクが拡大することによる直接的な被害が想定されます。しかしながら、気象災害による被害を防止・抑制するための、減災・防災工事需要の拡大も見込まれ、各事業における社会貢献の可能性についても模索・検討しております。対して、2℃未満シナリオでは炭素税や電力価格の高騰により操業コストの増加や、サプライチェーンにおける同様の影響から原材料コスト増が想定される一方、再生エネ需要の拡大から再エネ関連工事が増加することが見込まれ、当社の豊富な太陽光、陸上風力、バイオマス、小水力関連の施工請負実績も背景として、積極的な関連工事への参画による事業機会を確認しております。なお、気象災害による被害額は4℃シナリオと比較して半減する一方で、熱中症リスクをはじめとする慢性的な気温上昇による労働効率の低下は双方のシナリオ共に同程度の影響を予想しております。

 また当社は2021年に策定した長期ビジョンにおいて、重視する3つのサステナビリティのひとつに「組織の持続性」を掲げ、働きがいのある職場環境の実現や建設業を担う人材を育成するための施策を展開しております。具体的には、現場での週休二日を目指す働き方改革や、健康経営の推進、社内教育制度「はぐくみ」によるスキルアップ支援など、社員のエンゲージメント向上、建設事業を担う人材の確保に向けた取り組みを推進しております。

 

 

(3)リスク管理

 気候変動リスクについてはサステナビリティ委員会に報告され、各サステナビリティ課題と統合し、「社会にとっての重要度」「自社経営にとっての重要度」の2つの指標を軸に重要度の評価を行っております。また、特定した気候変動リスクについては、必要に応じて危機管理委員会にも共有され、危機管理委員会がその他リスクも含め統合的に管理を行っております。特定及び評価した各種リスクについてはリスク管理担当部署を置き、リスク管理規程に基づいてリスクが顕在化することを防止すると共に、リスクの軽減を図っております。具体的な取り組み事例として、近年の気温上昇と相まって発生する熱中症リスクを軽減するために、工事施工における対策を標準ルールとして定め熱中症の発生抑制を図っております。また、今後の気候変動に応じて変化するさまざまなリスクに対して、定期的にリスクの再評価を行い対応策を講じていく体制を整えております。

 

 

 

 

(4)指標及び目標

 当社は、サステナビリティ課題における当社のマテリアリティの策定に際して、SDGsの目標年とされる2030年を長期目標とし、複数のKPI目標を設定しております。そのうち、気候変動に関わる目標としては、“施工段階におけるCO排出量を指標として、2030年度までに2013年度比40%削減”に向けて取り組みを推進しております。また、持続可能な国際社会への貢献努力として、再生可能エネルギー関連施設の建設工事への積極的な参画により、年間発電量総計100億kWh(出力100万kW級の原子力発電1基相当)分の施工実績を目指しております。

 人的資本に関わる目標としては、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、育児休業や有給休暇の取得促進および所定外労働時間の削減を掲げております。また女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画では、総合職採用に占める女性の割合を15%程度とすること、女性の育児短時間勤務の利用率を80%以上にすることを指標とし、これらの行動計画に基づきサステナブルな組織の構築に取り組んでおります。

 

 

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの経営成績及び財政状態等(株価等を含む)に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあり、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項と考えております。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月30日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

<特に重要なリスク>

(1)施工物等の瑕疵に対するリスク

 施工管理の徹底により品質管理には万全を期しておりますが、提供する施工物及びその他製品について重大な瑕疵が発生した場合、当社グループの経営成績や企業評価に影響を及ぼす可能性があります。当社では、本社品質監理室および支店の品質アドバイザーによる品質監理を強化しています。また、発生した瑕疵に対しましては、誠実な顧客対応と確実な是正措置を実施し、信用回復に取り組みます。

(2)建設市場の変動リスク

 世界の経済動向、天災または悪天候等に左右される建設需要の動向は、主たる売上を建設業としている当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。今後の民間設備投資額が大きく減少する場合、当社グループの受注活動における変動リスクとなると考えられます。そのため、比較的影響を受けにくいと想定される官庁工事や再生可能エネルギー分野への重点的な取り組みを行います。

(3)財務に関するリスク

 今後の市場環境の予期せぬ急変等により、金融機関の支援体制の変化、受注環境の悪化、販売用不動産及び賃貸用不動産の時価の下落等に陥った場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。この対策として資金面におきましては、取引金融機関との間で既存のシンジケートローン契約を更改いたしました。また、季節変動資金にも機動的に対応できる状況を整え、より安定的な資金調達態勢を確保しております。

 

 

<重要なリスク>

(1)海外活動に係るリスク

 当社グループの海外売上高は連結売上高に対する割合は低いものの、海外の各国においては次のようなリスクがあります。そのため、これらの事象が発生した場合は当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 ①予期し得ない法律・規制、不利な影響を及ぼす租税制度の変更。

 ②為替相場の急激な変動による為替損失の発生。

 ③テロ、戦争等による社会的混乱。

(2)市場リスク

 当社グループは金融機関や取引先等の株式を保有しております。これらの株式は株式市場の価格変動リスクを負っていますが、長期所有を原則としているため特別のヘッジ手段を用いておりません。

(3)不動産価値下落リスク

 当社グループは、国内各地において販売用不動産及び土地等の有形固定資産を保有しております。国内の不動産市況が悪化した場合には、販売用不動産の評価減及び固定資産の減損処理等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(4)重要な訴訟等

 当社グループは、国内及び海外事業に関連して、訴訟、紛争、その他の法律手続きの対象となるリスクがあります。これらの法的リスクについては当社グループの法務部門が管理しており、必要に応じて取締役会および監査役会に報告しております。当連結会計年度において当社グループの事業に重大な影響を及ぼす訴訟は提起されていませんが、将来重要な訴訟等が提起された場合には当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(5)コンプライアンス違反リスク

 当社グループは、法令・規制の遵守の徹底に加え、従業員等によるコンプライアンス遵守を推進しておりますが、個人的な不正行為を含め、重大な法令違反等を引き起こした場合には、顧客や社会からの信頼を失うとともに、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(6)情報セキュリティに対するリスク

 事業活動を行う過程で機密情報や事業の過程で入手した顧客情報のセキュリティについては細心の注意を払っていますが、万が一保護すべき情報が外部からの攻撃や従業員の過失等によって漏洩又は消失した場合には、顧客や社会からの信用を失うとともに、取引の停止や損害賠償により業績に影響を及ぼす可能性があります。

(7)人材の確保におけるリスク

 近年の少子高齢化による労働人口の減少、また、建設業の担い手である技能労働者の高齢化が進んでおり、人材の確保が十分にできない場合には、長期的な視点から当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(8)気候変動リスク

 近年、気候変動により自然災害が激甚化する傾向にあり、台風や洪水等による施工現場への被害や施工遅延といった物理的リスクがあります。また、気候変動に伴い低酸素・脱炭素社会への移行に向けて、温室効果ガスの上限規制による施工量の制限や、炭素税を導入された場合、コスト増等により、事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社は2021年6月、金融安定理事会により設置された気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に賛同しました。気候変動が事業に及ぼすリスクと機会の分析と対応について随時検討し、今後、コーポレートサイト等で情報開示を行っていきます。

(9)外部環境に係るリスク

 当社グループは国内及び海外に建設事業を展開しており、その事業活動は地域の外部環境により大きく影響を受けることがあります。新型コロナウイルス感染症につきましては対策緩和が進んでいるものの、引き続き集団感染等による工事中断リスクや事業進捗の不確実性などが生じる可能性があります。このため、社員及び取引先をはじめとするあらゆるステークホルダーの安全と健康を守り、安定的に事業運営を継続していくための対策を講じることを重要課題として取り組んでいます。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

業績等の概要

(1)業績

当連結会計年度におけるわが国経済は、ウィズコロナの下で個人消費や設備投資が緩やかに持ち直しつつありますが、物価上昇や為替の変動、金融政策の動向に留意する必要があります。さらに、欧米を中心とした金融不安や海外景気の後退懸念、地政学的不安要素等の景気下押し要因にも注目が必要です。

建設業界においては、公共投資は防災・減災対策を中心に底堅く推移する見込みです。民間建設投資は、企業収益の改善などを背景に持ち直していますが、建設資材価格の高騰や景気の後退による設備投資の抑制などにも留意が必要です。

このような状況の下で、当社グループは、業績の向上に努めてまいりました。売上高につきましては主に前期と比較して建設事業の工事の進捗度が減少したことから840億円と前年と比べ5.8%の減少となりました。損益につきましては、主に完成工事高の減少により営業利益62億円(前年同期比8.8%減少)、主に為替差益の発生により経常利益65億円(前年同期比3.5%減少)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、主に繰延税金資産を計上したことにより54億円(前年同期比14.9%増加)となりました。

 

事業の種類別セグメントごとの業績を示すと次のとおりであります(事業の種類別セグメントごとの業績については、セグメント間の内部売上高等を含めて記載しております)。

(建設事業)

建設事業を取り巻く環境は、公共投資は防災・減災対策を中心に底堅く推移する見込みです。民間建設投資は、企業収益の改善などを背景に持ち直していますが、建設資材価格の高騰や景気の後退による設備投資の抑制などにも留意が必要です。当社グループはそのような状況の中、努力を続けてまいりました。建設事業の売上高は826億円と前連結会計年度に比べ52億円(前年同期比6.0%減少)の減収となりました。損益につきましても、営業利益80億円(前年同期比6.5%減少)となりました。

(不動産事業)

不動産事業を取り巻く環境は、全国的に地価の上昇傾向が見られ、全体的に回復傾向にあります。当社グループはこのような状況を考慮し、販売活動を行いましたが、当社グループの不動産事業の売上高は6億円と前連結会計年度に比べ0.3億円(前年同期比5.6%減少)の減収となりました。損益につきましては、営業利益1億円(前年同期比44.6%増加)となりました。

(2)キャッシュ・フローの状況

 当社グループは、キャッシュ・フローの安定化を図りながら、財務体質の改善・資産の効率化に取り組んでおります。

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローについては、主に売上債権の減少により151億円の資金の増加(前年同期は160億円の増加)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローについては、主に有形固定資産の取得により13億円の資金の減少(前年同期は14億円の減少)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローについては、主に借入金の減少及び配当金の支払により29億円の資金の減少(前年同期は127億円の減少)となりました。

以上の結果、現金及び現金同等物期末残高は、期首残高から109億円増加し、273億円となりました。

 

生産、受注及び売上の実績

(1)受注実績

  当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

建設事業(百万円)

92,804

△2.2

不動産事業(百万円)

 報告セグメント計(百万円)

92,804

△2.2

その他(百万円)

675

△4.1

合計(百万円)

93,480

△2.2

 (注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(2)売上実績

  当連結会計年度の売上実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

建設事業(百万円)

82,666

△6.0

不動産事業(百万円)

614

△5.6

 報告セグメント計(百万円)

83,280

△6.0

その他(百万円)

724

19.7

合計(百万円)

84,004

△5.8

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載しておりません。

3.売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高等及びその割合は、次のとおりであります。

 

前連結会計年度

 

国土交通省

 

26,832百万円

 

30.1%

 

 

MES-E JOINT OPERATION

 

10,169百万円

 

11.4%

当連結会計年度

 

国土交通省

 

26,369百万円

 

31.4%

 

 なお、参考として提出会社個別の事業の実績は次のとおりであります。

① 受注工事高、完成工事高、次期繰越工事高及び施工高

期別

工事別

前期繰越

工事高

(百万円)

当期受注

工事高

(百万円)

(百万円)

当期完成

工事高

(百万円)

次期繰越工事高

当期

施工高

(百万円)

手持高

(百万円)

うち施工高

(百万円)

第206期

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

建設事業

 

 

 

 

 

 

 

海上土木

17,941

31,064

49,005

33,760

15,245

0.8

129

33,867

陸上土木

39,649

33,031

72,680

32,994

39,685

0.3

111

32,997

建築

22,573

27,485

50,058

18,338

31,720

0.3

104

18,386

合計

80,164

91,580

171,745

85,093

86,651

0.4

344

85,250

第207期

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

建設事業

 

 

 

 

 

 

 

海上土木

15,245

38,090

53,336

28,616

24,720

0.9

219

28,705

陸上土木

37,185

32,782

69,968

28,517

41,450

0.3

113

28,519

建築

31,720

18,698

50,418

22,877

27,541

0.6

178

22,952

合計

84,151

89,571

173,723

80,011

93,711

0.5

510

80,177

 (注)1.前期以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注高にその増減額を含んでおります。

2.次期繰越工事高の施工高は未成工事支出金により手持高の施工高を推定したものであります。

3.当期施工高は(当期完成工事高+次期繰越施工高-前期繰越施工高)に一致します。

4.前期繰越高のうち、事業の中止により陸上土木工事の受注額2,500百万円を当期において減額修正しております。

 

② 受注工事高の受注方法別比率

 工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。

期別

区分

特命(%)

競争(%)

計(%)

第206期

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

海上土木工事

50.8

49.2

100

陸上土木工事

41.5

58.5

100

建築工事

18.9

81.1

100

第207期

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

海上土木工事

51.6

48.4

100

陸上土木工事

59.5

40.5

100

建築工事

47.8

52.2

100

 (注) 百分率は請負金額比であります。

③ 完成工事高

期別

区分

官公庁(百万円)

民間(百万円)

計(百万円)

第206期

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

海上土木工事

20,816

12,943

33,760

陸上土木工事

20,690

12,304

32,994

建築工事

7,201

11,137

18,338

48,707

36,385

85,093

第207期

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

海上土木工事

17,682

10,934

28,616

陸上土木工事

20,774

7,743

28,517

建築工事

5,726

17,151

22,877

44,183

35,828

80,011

 (注)1.完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。

第206期

国土交通省

令和元年度 名古屋港金城ふ頭岸壁(-12m)築造工事

宮城県

清水田地区海岸外災害復旧工事

中日本高速道路株式会社

東名高速道路 綾瀬スマートインターチェンジ工事

日鉄エンジニアリング株式会社

苅田バイオマス発電所建設工事

いすゞ自動車販売株式会社

いすゞ自動車九州株式会社 熊本支店・熊本サービスセンター増改築工事

第207期

国土交通省

令和3年度 東京国際空港A誘導路地盤改良工事

独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構

北陸新幹線、坂井丸岡高架橋

宮城県

気仙沼漁港港町地区外防潮堤外工事(その2)

三菱地所レジデンス株式会社

目黒区八雲5丁目有料老人ホーム計画新築工事

合同会社唐津バイオマスエナジー

唐津バイオマス発電所 造成工事

2.売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高等及びその割合は、次のとおりであります。

第206期

 

国土交通省

 

26,832百万円

 

31.1%

 

 

MES-E JOINT OPERATION

 

10,169百万円

 

11.8%

第207期

 

国土交通省

 

26,369百万円

 

32.5%

 

④ 手持工事高(2023年3月31日現在)

区分

官公庁(百万円)

民間(百万円)

計(百万円)

海上土木工事

20,890

3,829

24,720

陸上土木工事

25,706

15,744

41,450

建築工事

8,130

19,410

27,541

54,727

38,984

93,711

手持工事のうち主なものは、次のとおりであります。

国土交通省

令和4年度馬毛島仮設桟橋築造工事(その3)

2023年11月竣工予定

国土交通省

令和元年度 富士海岸沼川新放水路建設工事

2023年11月竣工予定

独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構

中央新幹線、中央アルプストンネル(尾越)

2026年7月竣工予定

西日本高速道路株式会社

令和3年度 九州自動車道 北熊本SA休憩施設改築工事

2024年9月竣工予定

東洋・日鉄特定建設工事共同企業体

唐津バイオマス発電所建設工事 土木・建築工事

2024年10月竣工予定

 

経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

 当社グループに関する財政状態及び経営成績の分析・検討内容は原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容であります。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月30日)現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営成績の分析

 当社グループの経営成績は、「第2事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要(1)業績」に記載しているとおりであります。以下、連結損益計算書に重要な影響を与えた要因について分析しております。なお、各セグメントの業績は、セグメント間の内部売上高等を含んで表示しております。

①売上高の分析

 当連結会計年度の連結売上高は840億円でありますが、これをセグメントごとに分析すると、建設事業は売上高が前連結会計年度に比べ6.0%減少の826億円となり、不動産事業は、売上高は前連結会計年度に比べ5.6%減少の6億円となりました。

 建設事業売上高の減少は、主に工事の進捗遅れと受注時期の遅れによるものです。官公庁発注の工事におきましては、働き方改革への対応により工期が延びる傾向にあり、その分全体的に工事進捗度が減少しております。民間顧客からの受注工事高につきましても以前の年度と比較して減少しました。今後も工事生産性の向上に取り組むとともに民間取り組み案件の多様化を図り、風力発電・バイオマス発電・太陽光発電等の再生可能エネルギー関連工事及び維持・修繕工事等の分野において顧客の拡大を図ってまいります。

 

官公庁・民間別受注工事高実績(提出会社)

区分

官公庁

(百万円)

民間

(百万円)

(百万円)

官公庁比率

(%)

民間比率

(%)

2018年度

43,087

49,102

92,190

46.7

53.3

2019年度

49,980

45,437

95,417

52.4

47.6

2020年度

50,041

37,652

87,694

57.1

42.9

2021年度

47,405

44,174

91,580

51.8

48.2

2022年度

60,365

29,206

89,571

67.4

32.6

 

官公庁・民間別完成工事高実績(提出会社)

区分

官公庁

(百万円)

民間

(百万円)

(百万円)

官公庁比率

(%)

民間比率

(%)

2018年度

51,826

43,667

95,494

54.3

45.7

2019年度

51,595

52,592

104,187

49.5

50.5

2020年度

48,473

37,498

85,972

56.4

43.6

2021年度

48,707

36,385

85,093

57.2

42.8

2022年度

44,183

35,828

80,011

55.2

44.8

 

②販売費及び一般管理費の分析

 販売費及び一般管理費については、前連結会計年度に比べ5.8%増加の64億円となりました。これは主に人件費の増加によるものです。

③営業利益の分析

 営業利益については、土木工事において複数の高採算工事があったものの、完成工事高の減少により前連結会計年度に比べ8.8%減少の62億円となりました。

 当社は2021年度を初年度とする「中期経営計画(2021年度-2023年度)」を策定し、中期経営計画の目標数値として最終年度での単体営業利益を50億円としております。2022年度は単体営業利益56億円となり、計画初年度である2021年度に引き続き、最終年度目標を上回る結果となっております。

④経常利益の分析

 経常利益については、前連結会計年度に比べ3.5%減少の65億円となりました。これは主に③営業利益の分析の原因及び為替差益4億円の計上によるものであります。

⑤親会社株主に帰属する当期純利益の分析

 親会社株主に帰属する当期純利益については、前連結会計年度に比べ14.9%増加の54億円となりました。これは主に③営業利益の分析の原因、④経常利益の分析の原因及び繰延税金資産の計上によるものであります。

(2)財政状態、資本の財源及び資金の流動性についての分析

①資産、負債及び純資産の状況に関する分析

(資産)

 流動資産は、主に現金預金が109億円増加、受取手形・完成工事未収入金等が60億円減少したこと等により、前連結会計年度末に比べ53億円増加し、715億円となりました。

 固定資産は、主に投資有価証券が6億円増加、繰延税金資産が4億円増加、有形固定資産が3億円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ15億円増加し、168億円となりました。

 主に上記の影響により、資産合計は前連結会計年度末に比べ68億円増加し、883億円となりました。

(負債)

 流動負債は、主に支払手形・工事未払金等が43億円増加、未成工事受入金等が19億円増加、流動負債その他が20億円減少したこと等により、前連結会計年度末に比べ43億円増加し、390億円となりました。

 固定負債は、主に長期借入金が9億円減少、完成工事補償引当金が9億円減少したこと等により前連結会計年度末に比べ18億円減少し、65億円となりました。

 以上の結果、負債合計は前連結会計年度末に比べ25億円増加し、456億円となりました。

(純資産)

 純資産は、主に親会社株主に帰属する当期純利益を計上したこと等により前連結会計年度末より43億円増加し、426億円となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループのキャッシュ・フローの状況は、「第2事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載しているとおりであります。

 資金需要の動向と株主還元への支出

 当社の資金需要の動向につきましては、獲得した資金のうち3分の1を手元資金に、3分の1を今後の当社グループの成長に向けた投資に、3分の1を株主還元に振り分けることを目標としております。成長に向けた投資につきましては、施工能力拡大を図るための設備投資、競争力強化に繋がる研究・開発費用の支出、基幹システムの連携強化を図る等のDX投資、人員の確保・育成、活力の向上のための社員教育の充実等を想定しております。株主還元への支出につきましては、中期経営計画(2021年度-2023年度)に記載の通り、配当性向を30%以上とすることを目標としております。

 財務政策

 当社グループの運転資金需要の主なものは、工事施工に伴う材料費・外注費等の営業費用であり、当該支出は、工事代金及び長期借入、短期借入で賄っております。また、設備投資資金等については、工事代金及び長期借入等により調達することにしております。なお、重要な設備投資として、建設事業において作業船等の建設機材への投資、不動産事業において賃貸資産の取得を計画しております。

 2023年3月31日現在の主な有利子負債は、短期借入金15億円、長期借入金27億円となっており、前連結会計年度末に比べ18億円の有利子負債の減少となりました。今後は財務体質の改善・資産の効率化を推し進め、有利子負債の圧縮を図る方針であります。

(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し総合的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下の通りであります。なお、販売用不動産の評価基準、完成工事補償引当金の計上基準に関する見積については「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。

 

①一定の期間にわたり認識された収益にかかる工事原価総額の見積り

 当社グループの完成工事高の計上は進捗度を合理的に見積ることができる場合には、当該進捗度に応じて一定の期間にわたり収益を認識しております。一定の期間にわたり収益を認識する際の主要な見積りである工事原価総額については、過去の工事の施工実績を踏まえ、個々の案件に特有の状況を織り込んだ実行予算を基礎とするとともに、様々な状況変化を適時適切に見積りに反映しておりますが、市況の変動や気象条件等の外的要因によりその見積り額が変動した場合は工事損益に影響を及ぼす可能性があります。

②工事損失引当金の計上基準

 当社グループは、受注工事に係る将来の損失に備えて、当連結会計年度末における手持工事のうち、損失の発生が見込まれ、かつ、その金額を合理的に見積ることができる工事について、その損失見込額を工事損失引当金として計上しております。将来の工事施工状況が想定から乖離する等、工事損失算定の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、工事損失の追加計上が必要となる可能性があります。

③固定資産の減損処理

 当社グループは、固定資産のうち減損の兆候のある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、固定資産の帳簿価額を回収可能額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候把握、減損損失の認識や測定にあたっては慎重に検討しておりますが、市場価格の著しい下落、経営環境の変化による企業収益の大幅な低下等の要因により、固定資産の減損処理が必要となる可能性があります。

④繰延税金資産の回収可能性の評価

 当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して将来の課税所得を合理的に見積っております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積り額が減少した場合は繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

5【経営上の重要な契約等】

 特記事項はありません。

6【研究開発活動】

(建設事業)

当社の技術研究所では、(1)海洋構造物をはじめとする土木構造物の建設技術、(2)ICTを活用した施工現場の生産性・安全性向上技術、(3)音響測距技術を活用した水中作業の効率化、(4)臨海施設の維持管理・補修技術など、海洋・臨海域における多様な技術的ニーズに対応した研究開発に取組み、より実効性の高い技術の確立を図っております。また、建設生産システムの高度化を図るために有用視されている(5)AI・AR活用技術は、施工管理分野においていくつかの開発成果を上げ、現場で順次運用しております。さらに、(6)SDGsに貢献する技術開発も行っております。なお、当連結会計年度の研究開発費は、225百万円でありました。

主な研究開発の成果や研究開発中の技術は以下のとおりであります。

(1) 土木構造物の建設技術

・軟弱地盤の改良や液状化対策に対する品質管理および出来形管理について、映像情報、物理情報、温度や電気的な情報など、多様な情報を総合的に分析して行う管理手法を開発しております。

・ケーソン据付作業の完全自動化に向けて、注排水作業、ウインチ操作の制御技術、計測管理作業の遠隔化技術と、それらを統合的に管理運用するための技術を開発しております。

(2) 施工現場の生産性・安全性向上技術

・国土交通省が推進する施工現場におけるICT活用については、ケーソン無人化据付システム、浚渫施工管理システム、ブロック据付システムなど、当社が独自で保有する技術の改良を随時行っております。

・潜水士の安全確保を目的として、潜水士の体調(脈拍・呼吸・体温など)や作業状況を、リアルタイムでモニタリングするシステムを開発しております。

(3) 音響測距技術を活用した水中作業の効率化

・ナローマルチビームや水中ソナーなどの音響測距装置を活用しながら、水中構造物の築造工事における水中の可視化技術を施工現場で運用しております。

・音響測距技術を活用して、ブロック据付作業の効率化・無人化技術を開発しております。

(4) 臨海施設の維持管理・補修技術

・臨海部におけるコンクリート構造物の維持管理を確実に行うことを目的として、マクロセル腐食を抑制する技術を開発いたしました。

・ROVやラジコンボートを活用して、臨海施設の劣化調査技術の開発を行っております。

(5) AI・AR活用技術

・人工知能(AI)による画像解析技術を活用して、一般航行船舶の安全確保や、現場作業員の災害防止、施工における検査や管理の効率化など、多方面にわたる技術開発を行っております。

(6) SDGs達成に貢献する技術

・環境保護と資源の有効活用を目的として、バイオマス発電所から排出される焼却灰を、浚渫土などの泥土改質剤として有効活用するための技術開発を行っております。

 (不動産事業)

 特段の研究開発活動は行っておりません。