第2【事業の状況】

「第2 事業の状況」における各事項の記載については、消費税等抜きの金額で表示しております。

 

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

当社は「創意革新」「人間尊重」「責任自覚」のもと「夢と若さをもって全員一致協力し、新しい豊かな技術で顧客と社会公共に奉仕することに努め、会社の安定成長と従業員の福祉向上を期する」ことを経営理念とし、これを実践することにより、建設を営む企業として社会的要請に適った建設技術の研鑚に努め、より良質で価値ある社会基盤の構築に貢献することを目指しております。

(2) 経営環境

建設産業におきましては、社会資本の維持・整備及び地域社会の安全・安心に欠かせない公共投資の継続に加え、民間設備投資においても底堅く推移するものと見込まれております。

一方では働き方改革、生産性向上、人材育成・担い手確保などが建設業界全体で取り組むべき課題となっております。

(3) 経営戦略及び対処すべき課題

当社グループは中期経営計画2年目となる平成30年度を重要な年度と位置づけ、基幹3事業である国内土木、国内建築、海外建設各事業における重点施策を推進するとともにグループ力を最大限に発揮し、計画の最終年度に向け更なる経営基盤の強化に努めてまいります。

 

□中期経営計画(平成29年度~平成31年度)   “Challenge to a new Stage”

●基本方針

安定した収益確保による経営基盤強化と

変化への果敢な挑戦によって更なる発展を目指す

 

●達成目標

・3ヵ年での連結営業利益   245億円以上

・3年後の連結営業利益率    5.0%以上

・3年後の単体純資産     500億円以上

●基本戦略

①基幹3事業(土木・建築・海外)の確実な発展による強靭な経営基盤の構築

②人材育成、技術力強化による生産性の向上

③グループ各社との相互連携強化によるグループ収益力の向上

④環境変化に即応できる機動的な組織への変革

⑤ガバナンス体制とリスクマネジメント力のより一層の強化

 

 

2【事業等のリスク】

 以下において、当社グループの事業展開上リスク要因となる可能性があると現時点で考えられる事項を記載しております。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を確認した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。

 

(1)建設市場の動向

 当社グループの主力である建設事業において、公共工事が予想を超えるスピードで削減が行われた場合や民間工事において国内外の経済情勢の変化に伴い、企業の設備投資計画の縮小・延期等が行われた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)取引先の信用リスク

 当社グループは、取引先について厳格な審査の実施や情報の収集等の与信管理を行いリスク回避に努めておりますが、取引先が信用不安に陥った場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)海外事業に伴うリスク

 当社グループは、東南アジア・アフリカ地域で事業展開を図っておりますが、これらの地域における予期しない政策の変更、法令・規制の変更、政情の悪化、テロ、伝染病等が発生した場合や経済状況の変化に伴う工事の縮小・延期等が行われた場合は、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、為替相場の急激な変動が発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)工事施工中の災害等

 当社グループは、工事施工その他の事業活動にあたり災害防止や当社保有の作業用船舶の保守管理に万全を期しておりますが、予期しない事態による災害、事故等や作業用船舶に重大な損傷等が発生した場合、工期に影響を及ぼすとともに、予定外の費用が発生することにより業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)自然災害リスク

 大規模地震、風水害等の自然災害や伝染病等の大流行が発生した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)瑕疵の発生

 当社グループは、品質管理には万全を期しておりますが、瑕疵担保責任等による損害賠償責任が発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)建設資材等の価格変動リスク

 当社グループの主力である建設事業において、当初想定していた以上に建設資材等の価格が高騰し、請負代金等に反映することが困難な場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)保有資産の時価変動リスク

 当社グループは、事業活動を展開する上で、不動産、有価証券等の資産を保有しておりますが、時価の変動により業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)法的規制リスク

 当社グループの事業は、建設業法、建築基準法、宅地建物取引業法、労働安全衛生法、品質確保法、独占禁止法等による法的規制を受けておりますが、これらの法律の改廃、法的規則の新設、適用基準の変更等がなされた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)新規事業展開リスク

 当社グループは、十分な検討を重ねた上で、新規事業の展開や新規地域への事業展開を図っておりますが、予期しない経済情勢の変化、市場の急激な変化、政情の変化等により、事業展開が予定どおりに実行できない場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)情報管理及び情報システムのリスク

 当社グループは、顧客の機密情報については細心の注意を払って管理しておりますが、万が一保護すべき情報が漏洩した場合には、顧客や社会からの信頼が失墜し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、業務の効率性及び正確性を確保するために情報システムの充実を図っておりますが、予期しない不正な情報システム技術に十分対応できず、業務の効率性及び正確性を確保できない場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況の概要

 当連結会計年度における我が国経済は、堅調な企業収益を背景に雇用・所得環境の改善が継続し、緩やかな回復基調で推移したものの、海外経済の不確実性など、先行きの不透明な状況が続いております。

 建設産業におきましては、公共投資は前年度から概ね横ばいで継続し、民間設備投資は、製造業を中心に堅調に推移いたしました。

 このような状況のなか、当社グループは平成29年度を初年度とする中期経営計画「Challenge to a new Stage」の目標達成に向け、土木、建築、海外からなる基幹3事業の安定した収益確保による経営基盤の構築及び時代の変化への果敢な挑戦によって更なる発展を目指してまいりました。

 この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

 総資産は、現金預金、受取手形及び完成工事未収入金等の増加などから、前連結会計年度末に比べ169億63百万円増加し、1,549億84百万円となりました。

 負債は、短期借入金及び長期借入金の減少はあったものの、支払手形及び工事未払金等の増加などから、前連結会計年度末に比べ104億39百万円増加し、1,063億44百万円となりました。

 純資産は、期末配当の実施及び当期純利益の計上などから、前連結会計年度末に比べ65億24百万円増加し、486億40百万円となりました。

 以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の29.9%から30.7%となり、0.8ポイント上昇いたしました。

 

b.経営成績

 当連結会計年度の売上高は、堅調な受注と豊富な手持工事から前期比13.1%増の1,726億35百万円となりました。

 利益面においては、主に国内土木工事の順調な進捗及び採算性の改善により、営業利益は前期比52.0%増の108億28百万円、経常利益は前期比66.5%増の105億34百万円となり、これに法人税等を計上いたしました結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比63.8%増の70億50百万円となり、連結会計年度の業績として営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益において過去最高を更新いたしました。

 

事業セグメント別の実績は以下のとおりであります。

(国内土木事業)

 港湾・空港など国際競争力強化のためのインフラ整備工事をはじめ、民間工事の受注及び施工に注力いたしました。また浚渫船、地盤改良船及び自航式多目的船などの主要作業船が各地で順調に稼働いたしました。当連結会計年度の売上高は前期比26.2%増の1,044億29百万円、セグメント利益は前期比138.2%増の79億53百万円となりました。

(国内建築事業)

 中期経営計画において重点施策に掲げた工場、物流センター、医療福祉、住宅の主要4分野の営業力強化に加え、環境施設、庁舎・オフィスビルなどの大型案件に対する積極的な対応を進めてまいりました。当連結会計年度の売上高は前期比5.6%減の462億75百万円、セグメント利益は前期比27.1%減の21億89百万円となりました。

(海外建設事業)

 ベトナムの航路浚渫工事、ミャンマーの港湾施設工事、グループ会社CCT CONSTRUCTORS CORPORATION(比国現地法人)による工場の新築、増築工事などが順調に推移いたしました。

 また、注力してまいりましたケニア・モンバサ港コンテナターミナル開発工事(2期)を3月に受注いたしました。1期工事で培ったノウハウを結集し鋭意取り組んでまいります。当連結会計年度の売上高は前期比4.1%増の206億91百万円、セグメント利益は前期比5.6%減の3億79百万円となりました。

(不動産事業)

 賃貸事業及び販売用不動産の売上により、当連結会計年度の売上高は前期比47.5%増の8億91百万円、セグメント利益は前期比11.0%減の2億58百万円となりました。

(その他事業)

 保険代理店業、物品の販売・リース事業などであり、当連結会計年度の売上高は前期比17.4%増の3億47百万円、セグメント利益は前期比46.7%減の47百万円となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の計上、仕入債務の増加などから、107億8百万円の収入超過となりました。(前期は123億54百万円の収入超過)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出などから、8億72百万円の支出超過となりました。(前期は30億17百万円の支出超過)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済、配当金の支払などから、36億81百万円の支出超過となりました。(前期は62億64百万円の支出超過)

 以上の結果、当連結会計年度末日の現金及び現金同等物の残高は、278億30百万円となりました。(前期末日残高は217億96百万円)

キャッシュ・フロー指標の推移

 

平成26年3月期

平成27年3月期

平成28年3月期

平成29年3月期

平成30年3月期

自己資本比率(%)

19.7

28.0

29.2

29.9

30.7

時価ベースの自己資本比率(%)

25.8

36.0

35.3

27.2

29.7

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

4.7

1.3

1.3

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

12.8

45.5

41.5

※自己資本比率:自己資本(純資産-非支配株主持分)/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払

①各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

②株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式控除後)により計算しております。

③キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち短期借入金、長期借入金を対象としております。また、利払は連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

④キャッシュ・フローがマイナスである場合は、当該年度の記載を省略しております。

③生産、受注及び販売の実績

(1)受注実績

(単位 百万円)

 

セグメントの名称

当連結会計年度

   (自 平成29年4月1日

    至 平成30年3月31日)

前年同期比(%)

国内土木事業

国内建築事業

99,605

53,015

10.0

2.4

海外建設事業

不動産事業

その他事業

24,072

891

347

605.5

47.5

17.4

合計

177,932

21.3

 

(2)売上実績                                      (単位 百万円)

セグメントの名称

当連結会計年度

   (自 平成29年4月1日

    至 平成30年3月31日)

前年同期比(%)

国内土木事業

国内建築事業

104,429

46,275

26.2

△5.6

海外建設事業

不動産事業

その他事業

20,691

891

347

4.1

47.5

17.4

合計

172,635

13.1

(注)1.当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載しておりません。

2.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

 

 なお、提出会社個別の事業の状況は次のとおりであります。

受注工事高(契約高)及び施工高の状況

①受注工事高、完成工事高、繰越工事及び施工高

第97期(自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日)

(単位 百万円)

 

種類別

前期繰越

工事高

当期受注

工事高

当期完成

工事高

次期繰越高

当期施工高

手持工事高

うち施工高

建設事業

 

 

 

 

 

 

 

海上土木

(75,234)

74,789

59,867

134,656

66,407

68,248

1.1

776

66,355

陸上土木

(33,539)

33,383

23,034

56,417

23,301

33,115

4.5

1,489

24,582

建  築

45,835

50,088

95,924

47,513

48,411

1.1

546

47,629

 計

(154,609)

154,008

132,990

286,998

137,223

149,775

1.9

2,812

138,567

 不動産事業

553

553

553

合計

(154,609)

154,008

133,543

287,551

137,776

149,775

 

第98期(自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日)

(単位 百万円)

 

種類別

前期繰越

工事高

当期受注

工事高

当期完成

工事高

次期繰越高

当期施工高

手持工事高

うち施工高

建設事業

 

 

 

 

 

 

 

海上土木

(68,248)

67,831

75,891

143,722

80,922

62,800

8.2

5,155

85,301

陸上土木

(33,115)

33,070

35,687

68,757

32,345

36,411

6.6

2,415

33,271

建  築

48,411

50,607

99,019

44,393

54,626

1.0

536

44,382

 計

(149,775)

149,313

162,186

311,499

157,661

153,838

5.3

8,107

162,956

 不動産事業

514

514

514

合計

(149,775)

149,313

162,701

312,014

158,175

153,838

(注)1.前事業年度以前に受注したもので、契約の変更により請負金額に増減のあるものについては、当期受注工事高にその増減を含んでおります。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれております。

2.次期繰越高の施工高は、支出金により手持高の施工高を推定したものであります。

3.次期繰越高(手持工事高)は、不動産事業を除き(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)に一致しております。

4.前期繰越工事高の上段( )内表示額は、前事業年度における次期繰越高であり、第97期の下段は、当該事業年度の外国為替相場の変動及び工事契約解除等による減額を、第98期の下段は、当該事業年度の外国為替相場の変動をそれぞれ反映させたものであります。

②受注工事高の受注方法別比率

 工事受注方法は、特命と競争に大別されます。

(単位 %)

 

期別

区分

特命

競争

第97期

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

海上土木工事

20.0

80.0

100

陸上土木工事

61.6

38.4

100

建築工事

22.3

77.7

100

第98期

(自 平成29年4月1日

至 平成30年3月31日)

海上土木工事

26.9

73.1

100

陸上土木工事

48.8

51.2

100

建築工事

28.7

71.3

100

 (注)算出は請負金額比によります。

 

③完成工事高

(Ⅰ)完成工事高                                   (単位 百万円)

期別

区分

国内

海外

(B)

 

官公庁

民間

(A)

(A)/(B)

(%)

第97期

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

 

海上土木工事

43,680

11,525

11,202

16.9

66,407

陸上土木工事

14,269

6,858

2,173

9.3

23,301

建築事業

9,648

37,403

461

1.0

47,513

67,598

55,787

13,837

10.1

137,223

第98期

(自 平成29年4月1日

至 平成30年3月31日)

 

海上土木工事

53,890

11,524

15,507

19.2

80,922

陸上土木工事

24,670

6,791

884

2.7

32,345

建築事業

8,899

35,454

38

0.1

44,393

87,460

53,770

16,430

10.4

157,661

(注)1.完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。

第97期 請負金額10億円以上の主なもの

国土交通省

釜石港湾口地区湾口防波堤(災害復旧)(北堤)築造工事

国土交通省

大阪港北港南地区岸壁(-16m)(C12延伸)築造工事

東京都

新宿区河田町、市谷本村町付近再構築工事

沖縄総合事務局

那覇空港滑走路増設護岸W工区築造工事(第3次)

ビー・ブラウンエースクラップ

株式会社

ビー・ブラウンエースクラップ株式会社栃木工場新築工事

株式会社OMこうべ

(仮称)「京コンピュータ前」駅前パイロットビル新築工事

 

第98期 請負金額10億円以上の主なもの

フィリピン共和国 公共事業道路省

パシグ・マリキナ河川改修事業(フェーズⅢ)パシグ工区

宮城県

大曲浜(矢本工区)林地荒廃防止施設災害復旧工事

沖縄総合事務局

那覇空港滑走路増設4工区埋立工事

今治造船株式会社

西ひうち埋立整備工事

三浦市

(仮称)三浦市低温卸売場建設工事

株式会社ランテック

株式会社ランテック大阪支店新築工事(新南港センター)

 

2.完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は次のとおりであります。

第97期  国土交通省 24,298百万円 17.7%

第98期  国土交通省 36,181百万円 23.0%

(Ⅱ)不動産事業売上高

(単位 百万円)

 

期別

区分

金額

第97期

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

土地建物販売収入

253

賃貸収入

300

553

第98期

(自 平成29年4月1日

至 平成30年3月31日)

土地建物販売収入

217

賃貸収入

297

514

 

④手持工事高(平成30年3月31日現在)

(単位 百万円)

 

区分

 国内

海外

官公庁

民間

海上土木工事

33,905

7,412

21,481

62,800

陸上土木工事

33,100

3,280

30

36,411

建築工事

9,548

45,077

54,626

76,554

55,771

21,512

153,838

(注)手持工事のうち請負金額10億円以上の主なものは、次のとおりであります。

国土交通省

釜石港湾口地区湾口防波堤(災害復旧)(南堤)築造工事

平成30年5月完成予定

常石造船株式会社

9岸北側埋立工事(埋立事業)

平成31年8月完成予定

鳥取市

鳥取市新本庁舎新築(建築・庁舎棟)工事

平成31年8月完成予定

株式会社武蔵野ホールディングス

(仮称)株式会社武蔵野京都工場増・改築工事

平成31年11月完成予定

東京都

13号地新客船ふ頭岸壁(29)建設工事

平成32年2月完成予定

ケニア共和国 ケニア港湾公社

パッケージ1 モンバサ港コンテナターミナル建設工事

平成33年6月完成予定

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたっての重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。

完成工事高及び完成工事原価の計上、販売用不動産の評価、貸倒引当金・完成工事補償引当金・工事損失引当金等の重要な引当金の計上、退職給付に係る負債の計上、繰延税金資産の計上等に関して、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる要因に基づき、見積り及び判断を行い、その結果を連結貸借対照表及び連結損益計算書の金額に反映しております。但し、実際の結果は、見積りによる不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 

②経営成績等

売上高     1,726億円(前期比200億円増)

売上総利益    192億円(前期比39億円増)

売上総利益率    11.1%

営業利益     108億円(前期比37億円増)

経常利益     105億円(前期比42億円増)

親会社株主に帰属する当期純利益   70億円(前期比27億円増)

純資産      486億円(前期比65億円増)

ROE       15.9%(前期比5.1ポイント増)

 

③経営成績及びセグメントごとの状況に関する認識及び分析・検討内容等

国内土木事業は、一部繰越工事の設計変更獲得に加え、全体的に採算が改善し、大幅なセグメント利益の増となりました。

国内建築事業は、受注時期が下期にずれたことにより売上高が減少し、高利益の工事の減少と相まってセグメント利益は減少いたしました。

海外建設事業は、売上高は増加したものの利益率が伸びず、セグメント利益は微減となりました。

営業利益の増加要因について、前連結会計年度との比較では、売上高の増加により24億円増加、工事利益率の改善により15億円増加、販売費及び一般管理費の増加により3億円減少し、合計37億円の増加となりました。

事業セグメント別の実績は以下のとおりです。

 

 

 

平成29年3月期

(百万円)

平成30年3月期

(百万円)

対前期増減率

(%)

売上高

 

152,587

172,635

13.1

 

国内土木事業

82,773

104,429

26.2

 

国内建築事業

49,035

46,275

△5.6

 

海外建設事業

19,879

20,691

4.1

 

不動産・その他

900

1,238

37.6

営業利益

 

7,123

10,828

52.0

 

国内土木事業

3,338

7,953

138.2

 

国内建築事業

3,004

2,189

△27.1

 

海外建設事業

402

379

△5.6

 

不動産・その他

379

305

△19.4

 

④経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループの平成31年3月期業績予想

受注高     1,744億円

売上高     1,823億円

売上総利益    168億円(売上総利益率 9.2%)

営業利益      82億円(営業利益率  4.5%)

経常利益      78億円

親会社株主に帰属する当期純利益  51億円

純資産      510億円

ROE       10.0%

 

(国内土木事業)

売上高     1,015億円

売上総利益    105億円(売上総利益率 10.3%)

セグメント利益   46億円

基本戦略

・安定的な営業利益の継続確保

・時代の変革にフレキシブルに対応し、利益を確保できる体制の構築

重点施策

・民間営業力強化による事業量拡大と海上工事のシェアをアップし、安定的な工事量を確保

・顧客ニーズ対応力の強化、ICT導入の推進等による技術戦略及び生産性の向上

・自航式多目的船AUGUST EXPLORERの有効活用による海洋事業戦略の推進

 

(国内建築事業)

売上高      561億円

売上総利益     41億円(売上総利益率 7.3%)

セグメント利益   25億円

基本戦略

・外部環境の変動時においても、営業利益を安定確保

・営業力、コスト競争力、人材・組織力の強化

重点施策

・得意分野育成、脱競争能力の向上、設計施工に注力した営業力の強化

・技術優位性の創出、工種別コスト競争力向上など、競争力の強化

・組織的な人材育成、機動的な組織運営、グループ連携の強化

 

(海外建設事業)

売上高      241億円

売上総利益    17億円(売上総利益率 7.1%)

セグメント利益  7億円

基本戦略

・安定した営業利益確保に向けた体制の構築

・将来的には収益の柱の一つとなるべく進化

重点施策

・間接部門の増強、現場支援体制強化の推進

・職員キャリアプランの作成、海外現地職員の育成継続の推進

・既進出国中心に、ターゲット案件の確実な受注を図るなど、地域別営業戦略の推進

 

⑤資本の財源及び資金の流動性

a.キャッシュ・フロー

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

b.資金需要

当社グループの事業活動における資金需要は主に大きく分けて運転資金と設備資金需要の2つがあります。季節的変動の影響を受けやすい建設業の事業特性を踏まえ、運転資金調達についてはコミットメントライン(特定融資枠)設定契約によるものとし、平成29年9月に金融機関8行と総額100億円、期間3年のシンジケーション方式によるコミットメントライン設定契約を締結しております。また、平成30年3月に金融機関1行と総額50億円、期間1年のコミットメントライン設定契約を締結しております。設備資金調達については、主要借入行を中心とした調達を行っております。

c.財務政策

当社グループの事業活動の推進、運営に必要な運転資金及び設備資金の調達を安定的に確保するため、金融機関からの借入による資金調達を行っております。

当連結会計年度末における長期借入金は43億49百万円、短期借入金は95億68百万円となり、有利子負債総額は前連結会計年度末比23億96百万円減の139億17百万円となっております。また引き続き、資金調達コスト低減にも取り組んでまいります。

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

5【研究開発活動】

当連結会計年度は、国内土木事業、国内建築事業及び海外建設事業を対象に研究開発活動を行い、その総額は464百万円となりました。なお連結子会社においては、建設事業に係る特段の研究開発活動は行っておりません。

  (研究開発・技術開発)

当社グループの研究開発活動の中心を担う総合技術研究所では「技術は人のため、地球に生きるみんなのために使われるべきものであり、技術を使う我々は、それを理解して事業活動を持続していく」と位置づけ、顧客及び市場の要求を的確に捉え、社会に役立つ企画・技術提案力を強化することが、事業量の確保と利益向上に結びつくとして、成果を速やかに実際の業務に反映するため、産・官・学との連携強化やオープンイノベーションの推進、技術の先端化(差別化)、開発のスピードアップ及びコスト低減を図っております。

技術開発においては、技術部門及び支店と連携し、実際の工事にも即応可能な技術開発を行うなど、コスト低減、施工効率向上に迅速な対応及び設計変更や施工方法変更に対する現場支援を迅速かつ的確に行い、工事利益確保と向上及び瑕疵工事低減を図るなど、会社業績への貢献に寄与することを常に希求しております。

 

(1) 捨石護岸施工時の被災程度を軽減させる工法研究

人工島などの外周護岸の一形式である捨石式護岸工事は、被覆石や消波ブロックの設置前は、小さな捨石が剥き出しであることから、高波浪が来襲すると捨石が飛散し堤体が被災するため、この被災程度の軽減方法として、当年度では、堤体内部に構築する透過性壁体を港湾工事等で一般的に使用されている蛇カゴで構築することを考案し、水理模型実験によりその効果を検証いたしました。その結果、従来に比べ捨石の流失量が1/3に低減し、被災程度軽減効果が確認されました。

 

(2) 施工や構造物の安定性に影響を与える波浪メカニズムの再検証

海上土木工事では、波浪作用下においても安全かつ安定した作業が求められております。経験を積んだ職員や作業員が減少するなか、高齢化に伴う職員や作業員不足対策として、彼らの経験値を数値化し、i-Constructionを始めとする業務の省力化、効率化及び高精度化に努める必要があります。

本研究においては、現場作業員の安全確保に重要となる波浪場のリアルタイム計測技術を提案し、現場にて試験運用を行い一定の成果を得ました。リアルタイム計測技術と連携して活用する技術として、事前に海上での浮体動揺を数値解析する技術を活用し、複数の防波堤築造現場において、作業中止判断基準の波浪を算定し、安全施工に貢献いたしました。また過去における作業日報を精査し、当日の波浪データと照合することにより、作業可否判断に影響を与え得る波浪条件を数値的に検証いたしました。

 

(3) 沿岸域地盤の安定化に関する調査・対策・評価技術の開発研究

防波堤、海底パイプライン及び洋上風力発電基礎などの構造物が、厳しい波浪や地震などの作用によって、どのようなメカニズムで不安定化していくのかを明らかにすると共に、いち早く構造物の変状や異常を捉えるためのモニタリング手法や地盤評価手法についての開発を進めております。

当年度は、前年度までに構築したドラム型遠心装置内での地震・波浪実験システムを駆使し、上記構造物に発生する砂の吸出し現象や地盤の液状化現象等を再現させ、不安定化メカニズムの分析を行うとともに、新たな施工法や対策工の提案を行ったほか、国立大学法人熊本大学と共同で干潟地形変化に関する光ファイバを利用したリアルタイムモニタリングを実施いたしました。

 

(4) 管理型処分場の造成・閉鎖技術

土質系遮水材HCB-Fの底面遮水工への適用に向けた実験により、実用化の可能性を確認し、補足知見を得るための実験を実施中であります。

石炭火力発電所から排出されるフライアッシュを高密度に埋め立てるためのスラリートレミー工法を電源開発株式会社と共に確立し、実用化技術の他電力への普及を図ったほか、処分場浸出水のpHの早期安定対策技術として、海水導入工法を中心とする技術体系をとりまとめ、処分場事業者や廃棄物関係の学識経験者に提案し、高評価を得ると共に、処分場事業者からの当社認知度向上に寄与いたしました。

 

(5) 海岸水理関係の数値解析技術の拡充

近年、公的研究機関や産官学連携の研究会では、海岸水理関係の数値解析プログラムが開発され、一般公開されているほか、世界的に著名なオープンソースも複数存在しております。こうした数値解析プログラムに対し、当社の先進的数値解析技術力を維持するため、当年度では、国立研究開発法人港湾空港技術研究所が公開した津波シミュレータ(T-STOC)及びオープンソースである3次元数値流体力学ツール(Open-FOAM)を導入し、公益社団法人土木学会・海洋開発委員会の高度数値解析ツール活用検討小委員会に参加し、検証作業を実施いたしました。

 

(6) コンクリート施工の合理化技術に関する研究

港湾構造物の施工合理化を目的として、主に海外工事を対象としたプレキャストコンクリートの研究開発を進めております。当年度では、ミャンマーの桟橋工事を通じたプレキャスト工法の施工性検証と課題の抽出、梁モデル試験による鉛直打継目の耐力評価、さらに新規接合構造の具現化検討を行いました。またコンクリートの水平打継ぎ面の品質確保を目的として、学校法人東洋大学との共同研究で実施した面ファスナーの打継ぎ処理工法については、各種試験で工法の効果を確認するとともに特許出願を行いました。

 

(7) コンクリートの高度化技術に関する研究開発

マスコンクリートの温度ひび割れ防止を目的とした水和熱の抑制工法に関する研究において、モデル実験により、流速の異なる鉛直パイプクーリングの効果を検証いたしました。また学校法人早稲田大学、国立研究開発法人港湾空港技術研究所及び民間3社の共同研究による、国土交通省「遠隔離島における産学官連携型の海洋関連技術開発」を通じ、海水と現地(珊瑚)骨材を用いた自己充填型コンクリートの基本(収縮・熱)特性、すり減り抵抗性及び梁部材の力学特性を明らかにし、その成果を各種学会で発表いたしました。

さらに低炭素化社会へ貢献できるよう、建築構造物に用いる環境配慮型コンクリートとして、JISの高炉セメントA種クラスやC種クラスコンクリートを使用可能とするため、高炉スラグ微粉末を混和材として用いたコンクリートの諸性状について調査研究を進めております。

 

(8) 構造物の維持管理技術における研究開発

長期耐久性・長期防食性を兼ね備えた新被覆防食工法の開発を目指し、国立大学法人鹿児島大学と共同で、導電性材料を用いた被覆モルタル配合の検討を継続するとともに、実環境下における暴露試験体による防食電流供給とその防食効果を検証しております。

新被覆工法は、海中部の電気防食の余剰電流を被覆モルタル中に流すことで鋼管杭上部などを防食する新工法であり、コンクリート表面への繊維植え込みによるタイルのモルタル張りの剥落防止工法について、耐久性試験や大型壁による施工試験等を踏まえ、剥落防止工法の選択肢のひとつとして実用化を目指しております。

 

(9) 音環境保全技術の研究開発

建物の静謐性確保に関する事例調査を実施し、固体音設計フロー及び要素技術シートを作成いたしました。今後は施工段階における高遮音性能確認のために、短時間で測定評価が可能な手法を検討してまいります。

 

(10) あと施工アンカーを用いた耐震補強に関する研究開発

耐震診断や耐震改修の法整備などに伴う地震対策に対する市場拡大により、自社保有技術の耐震化工法(マスターフレーム構法)の実績も増えているものの、現行構法では対応できない建物もあり、適用範囲を広げる必要があることから、設計方法の見直しによる性能向上を目指した構造実験を実施し、性能向上を確認いたしました。この結果をもとに、次年度に改定性能証明を取得する予定であります。