文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社は「創意革新」「人間尊重」「責任自覚」のもと「夢と若さをもって全員一致協力し、新しい豊かな技術で顧客と社会公共に奉仕することに努め、会社の安定成長と従業員の福祉向上を期する」ことを経営理念とし、これを実践することにより、建設を営む企業として社会的要請に適った建設技術の研鑚に努め、より良質で価値ある社会基盤の構築に貢献することを目指しております。
(2) 経営環境
建設産業におきましては、「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」により公共建設投資は堅調に推移すると見込まれますが、民間設備投資については昨今の世界情勢による企業収益の圧迫が懸念され、先行きに不透明感が強まっております。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループでは、中期経営計画“Being a resilient company”の最終年度である2022年度は、レジリエント企業の実現に向けた次のステップにつなげるために、基幹3事業である国内土木、国内建築、海外建設各事業における重点施策を積み残しなく実行し、計画達成に向けて邁進してまいります。
■課題解決に向けた主な取り組み
|
◇会社を取り巻く課題への対応 |
●働き方改革への対応
全ての作業所における週休二日の早期実現に向けて、社員の意識改革やICT施工の高度化のみならず、業界団体を通じた発注者への適正工期の理解促進に着実に取り組んでおります。
(2021年度進捗状況)
・週休二日100%達成に向け、作業所の4週8閉所率は着実に向上
・現場業務の効率化につながるデジタライゼーションツールの早期導入を検討
・日本建設業連合会や日本埋立浚渫協会等を通じ、発注者への適正工期や施工時期平準化の理解促進の取り組み実施
・社員の働き甲斐向上に向けた人事制度改革の検討完了
(2022年度の取り組み)
・遠隔管理ソフト、データベース型の施工情報共有システム等、デジタライゼーションツールの積極導入による現場業務の生産性向上
・発注者へ適正工期や施工時期平準化について継続した働きかけ
・時短に関する教育と指導による意識改革
・改正育児・介護休業法への適切な対応
●建設生産体制の維持に向けた取り組み
建設産業全体の課題である担い手不足の解消に向けて、協力会社と一体となり生産性向上や建設産業の魅力向上を目標とするアクションプランを策定し実行します。
(2021年度進捗状況)
・協力会社が抱える問題・ニーズの把握
・担い手確保、生産性の向上、働き方改革、安定経営、業務支援等13項目の取り組みを掲げたアクションプランの策定完了
(2022年度の取り組み)
・上記のアクションプランを実行
・協力会社が抱える問題・ニーズの継続把握とフォローアップ
●人財育成
当社の経営理念を体現できる次世代の人財を早期に育成します。
(2021年度進捗状況)
・階層別研修、新入社員長期育成プログラムを実施
・年功序列型の職能資格制度の見直しや役割、成果に応じた賃金体系拡充の検討完了
(2022年度の取り組み)
・生産性向上に向けた人事制度改革を実現
・次世代リーダー育成プログラムを検討
・安定的に入職者を確保できる体制を構築
●建設資機材価格等の高騰への対応
新型コロナウイルスの影響によるサプライチェーンの寸断やロシア・ウクライナ情勢、さらには急激な円安により、建設産業におきましては、建設資機材価格や輸送価格等の高騰、及び納期遅延が大きな課題となっております。市場コストや為替変動、及び資機材の納期状況に関する最新動向を入手し早期調達や調達先の多様化に取り組むほか、発注者との請負契約において物価スライド条項を定める等の工事採算確保に向けた対策、さらには納期に関する契約条件を明確にする等の契約履行リスクのヘッジを実施してまいります。
|
◇社会を取り巻く課題(SDGs)への主な対応 |
社会課題は成長機会のシーズであり、経営理念の実践(事業活動)を通じ、社会課題の解決に積極的に取り組んでおります。
●カーボンニュートラルに向けた取り組み
洋上風力発電施設に関する事業参画と建設コスト低減の技術開発や、ZEB(Zero Energy Building)の建築技術の確立に積極的に取り組みます。
(2021年度進捗状況)
〔国内土木〕
・洋上風力発電事業の低コスト工法の技術開発を継続
・㈱商船三井と洋上風力発電関連作業船の協業検討に関する覚書を締結
・ケーブル敷設船の建造を発表
・石炭灰およびバイオマス灰等によるCO₂固定・有効活用に関する要素技術を検討
〔国内建築〕
・当社初の設計施工「ZEB Ready」(省エネにより従来の建物で必要なエネルギーを50%以下まで削減)の事務所が完成
(2022年度の取り組み)
〔国内土木〕
・洋上風力発電事業における着床式(マルチバケット)及び浮体式(TLP)の商用化を目指した技術開発
・ケーブル敷設船の設計に着手
・保有作業船にてCO₂発生を軽減させる発電機を導入
・石炭灰処分場でのCO₂固定化技術の実証実験を実施
〔国内建築〕
・ZEB(Zero Energy Building)、ZEH(Zero Energy House)案件に注力
●途上国におけるインフラ整備に向けた取り組み
海外における最重要拠点であるフィリピンを中心に、インドネシア、ケニアといった拠点国のインフラ整備事業に継続的に参画します。
(2021年度の進捗状況)
・フィリピンにおいて河川改修工事を2件受注
(2022年度の取り組み)
・海外事業自体を成長ドライバーと捉え、地域に根差した事業展開を継続
・若手職員やローカルスタッフの人財育成に注力
・当社関係会社の「快適トイレ」を海外現場に展開
・現地ニーズを踏まえ衛生環境の悪い地域に「快適トイレ」の提供を検討
●途上国における質の高い就学機会確保に向けた取り組み
フィリピンとケニアにおいて給付型奨学金制度の設立等を計画しております。
(2021年度の進捗状況)
・フィリピンにおける給付型奨学金制度の設立を計画
(2022年度の取り組み)
・フィリピン、ケニアにおいて特定の大学や高校に給付型奨学金制度を導入
■中期経営計画(2020年度~2022年度) “Being a resilient company”
●基本方針
|
レジリエント企業(*)へ変貌するために、基軸(原点)を持ち、 人を育て、問題に向き合い、付加価値生産性を高める |
(*)レジリエント企業:ぶれない基軸を持ち、刻々と変化する環境にフレキシブルに対応し、厳しい逆境にも立ち向かうことができる持続可能な企業
●基本戦略
①人財への投資
②生産体制の維持
③付加価値生産性の向上
④海外建設市場における収益力の強化
⑤社会課題の解決による成長
●3年後(2023年3月期)達成目標
|
3年間の連結営業利益合計 |
300億円 |
|
連結営業利益率 |
6%以上 |
|
連結純資産 |
700億円 |
|
連結自己資本比率 |
45% |
|
連結ROE |
10%以上 |
(ご参考)
中期経営計画の進捗状況
単位:億円
|
2021年3月期 |
|
2022年3月期 |
|
2023年3月期 |
|
中期経営計画 |
実績 |
計画比 |
|
中期経営計画 |
実績 |
計画比 |
|
中期経営計画 |
業績予想 |
|
売上高 |
|
1,750 |
1,729 |
△21 |
|
1,800 |
1,525 |
△275 |
|
1,770 |
1,820 |
|
国内土木 |
|
984 |
1,085 |
101 |
|
973 |
890 |
△83 |
|
986 |
911 |
|
国内建築 |
|
547 |
485 |
△62 |
|
585 |
435 |
△150 |
|
584 |
662 |
|
海外建設 |
|
211 |
151 |
△60 |
|
235 |
189 |
△46 |
|
192 |
240 |
|
不動産他 |
|
8 |
8 |
0 |
|
7 |
8 |
1 |
|
8 |
7 |
|
売上総利益 |
|
173 |
232 |
59 |
|
189 |
190 |
1 |
|
226 |
203 |
|
国内土木 |
|
108 |
178 |
70 |
|
118 |
125 |
7 |
|
141 |
132 |
|
国内建築 |
|
44 |
46 |
2 |
|
48 |
32 |
△16 |
|
56 |
48 |
|
海外建設 |
|
17 |
2 |
△15 |
|
19 |
27 |
8 |
|
22 |
19 |
|
不動産他 |
|
4 |
4 |
0 |
|
4 |
5 |
1 |
|
5 |
4 |
|
営業利益 |
|
81 |
142 |
61 |
|
91 |
96 |
5 |
|
128 |
97 |
|
営業利益率 |
|
4.6% |
8.2% |
3.6% |
|
5.1% |
6.3% |
1.2% |
|
7.2% |
5.3% |
|
経常利益 |
|
77 |
141 |
64 |
|
90 |
91 |
1 |
|
126 |
96 |
|
当期純利益* |
|
50 |
91 |
41 |
|
59 |
58 |
△1 |
|
83 |
65 |
*親会社株主に帰属する当期純利益
|
純資産 |
|
593 |
658 |
65 |
|
636 |
698 |
62 |
|
700 |
740 |
|
自己資本比率 |
|
42.0% |
43.1% |
1.1% |
|
43.0% |
50.2% |
7.2% |
|
45.0% |
- |
|
ROE |
|
8.7% |
15.3% |
6.6% |
|
9.3% |
8.9% |
△0.4% |
|
11.8% |
9.1% |
※計画値は2020年3月25日に発表した数値
※3年間の連結営業利益合計:333億円(予想)
※連結営業利益の3年間平均: 6.6%(予想)
なお、業績予想につきましては、本資料発表日において入手可能な情報に基づき当社で判断したものであり、実際の業績は様々な要因によって予想値と異なる場合があります。
当社グループの事業展開に関して、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。
当社グループでは、グループ全体のリスク管理方針及び管理体制について「リスク管理規程」を定め、その方針及び体制に基づき「リスクマネジメント委員会」を定期的に開催し、事業を取り巻く様々なリスクに対して適切な管理を行い、発生の未然防止に努めております。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)法令・コンプライアンスに関するリスク
当社グループの事業は、国内の建設業法、建築基準法、港則法、労働安全衛生法、品質確保法、独占禁止法等の法的規制の適用を受けております。また、海外事業においては、当該国の法的規制の適用を受けておりますが、当社グループが進出している開発途上国では、法制度及びその運用が未整備な国もあります。
これら国内外の法令等に違反した場合や、コンプライアンスに反した場合、法令による処罰のみならず社会的制裁を受け、受注機会の損失及び顧客の信頼を失う可能性があります。
また、顧客や社会等が求めている品質を備えた施工やサービスを常に提供するため、品質マネジメントシステムを運用し、品質確保に万全を期しておりますが、品質基準への未達、安全性の問題等の契約不適合による損害賠償責任が発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、役員、社員一人一人が事業活動を行うに際して基準とすべき行動規範及びコンプライアンス関連事項について、具体的に守らなければならないことを行動指針として定め、法令違反やコンプライアンスに反した行為等を禁止しております。加えて、海外においては、現地の法令や外国公務員贈収賄防止法の順守を徹底しております。
(2)工事施工中の事故・災害発生のリスク
当社グループでは、働く人及びその他の関係者全員で労働安全衛生マネジメントシステムを運用し、職場の労働災害や健康障害を防止して、安全で健康的な労働環境の形成に万全を期しておりますが、巨大地震、津波、また、台風、大雨による風水害等の自然災害の発生や、施工中工事の重大災害等が発生した場合、施工中工事への損傷や船舶・機械・建物等の所有資産への被害、工事の中断、工期遅延、また第三者への損害賠償責任等、予定外の費用が発生することにより業績に影響を及ぼす可能性があります。
事故・災害防止への取り組みとして、工事着手前の事故・災害に関するリスクアセスメント、実施・評価・改善までのサイクル管理及び作業者の危険感受性の向上教育等も取り入れ、安全衛生管理を徹底しております。
自然災害リスクに対しては、災害時の事業継続計画(BCP)を策定し、現場および顧客施設の被害状況の確認と復旧、国・自治体等関係機関と連携したインフラ・地域社会の迅速な復旧・復興が取れる体制を構築しております。
(3)気候変動のリスク
近年、気候変動の影響により大型台風、ゲリラ豪雨等が発生しており、これらの災害により更なる損害が発生し業績に影響を及ぼす可能性があります。また、温室効果ガス排出量の上限規制や炭素税の導入等がなされた場合、事業活動や業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、CO₂排出量の削減目標を掲げ、環境マネジメントシステムを適正に運用することで、建設機械・船舶からのCO₂排出量削減、また、建設副産物の再資源化等、脱炭素社会への移行に向け取り組んでおります。
(4)生産体制と人財確保に関するリスク
当社グループでは、社員の教育訓練による社内人財育成を始め、協力会社への技術教育・指導を継続的に実施しておりますが、生産年齢人口の減少、建設技能者の高齢化等により、将来的に建設業従事者が更に減少した場合、経営計画の実行及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
これらの課題への対応として、生産性の向上を図るためにICT施工の高度化やBIM/CIM(*)の適用を進展させ、また、生産体制を維持するために協力会社を対象とした資格取得支援、研修のほか、建設産業の魅力向上を目標としたアクションプランを策定し、協力会社の担い手確保への取り組みを強化しております。
人財確保につきましては、定期新卒採用及び中途キャリア採用を積極的に実施し、将来に向けた人財を育成しております。働き方改革における人事制度の諸施策により、社員一人一人の特有なスキル、経験、価値観を活用し、能力や経験が認められて仕事に参画できる組織づくりを進めており、海外事業においても、それぞれの進出国においてローカル社員の育成を行い、現地化を図っております。
(*)Building/Construction Information Modeling Management:
IT技術を駆使した3次元モデルにより、計画、設計、施工、維持管理に至る関係者すべてが情報共有し、業務の効率化と高度化を図る生産システム。
(5)建設資材価格及び労務単価の変動のリスク
建設資材価格、労務費などが高騰、あるいは資機材の納期遅延が生じた場合には、工事採算が悪化し当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
市場の最新動向を入手し早期調達や調達先の多様化に取組み、また、発注者との請負契約において物価スライド条項を含める等の対策を実施しております。
(6)情報セキュリティに関するリスク
外部からの攻撃や社員の過失等により、営業・技術機密情報、個人情報が漏洩または消失した場合やシステム障害が発生した場合は、社会的信用の毀損、損害賠償や復旧費用等の発生により業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、情報資産の重要度、脆弱性及び脅威の重大性を勘案して適宜リスク評価を行うとともに、技術的な対策及び社員へのセキュリティ教育を実施しております。
(7)海外事業におけるリスク
当社グループは、主にアジア、アフリカにおける建設事業を展開しておりますが、それら進出国における、テロ、紛争等の政情不安、経済情勢の変動、法制度の変更、為替レートの急激な変動等、事業環境に著しい変化が生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
海外プロジェクトの取り組みにあたっては、当該国の政治・経済情勢、治安、資機材の調達リスク等を十分調査した上で、取締役会、経営方針会議で審議しております。
(8)新型コロナウイルスの感染拡大による事業リスク
当社グループの主力事業である建設事業につきまして、土木事業は政府が打ち出す国土強靭化、防災・減災の取り組みや「大阪・関西万博2025」を始めとした大規模プロジェクト等が見込まれておりますが、世界的な新型コロナウイルス感染が収束せず、建設・設備投資計画の縮小・延期等が行われた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、施工中の工事において資材調達の遅延、海外事業における進出国でのロックダウン(都市封鎖)、渡航制限及び物流機能の不全等により、売上高や工事粗利益に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、感染拡大防止を徹底し、従来よりお取引のある顧客を始めとした案件の着実な受注、優良サプライヤーによる調達ルートの安定化や進出国での施工体制の維持に努めております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況の概要
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症による社会経済活動の制約が徐々に緩和される中で持ち直しの動きが見られました。一方で、ロシア・ウクライナ情勢等による不透明感がみられる中で、半導体などの供給不足や原材料価格の高騰等による下振れリスクも顕在化しました。
建設産業におきましては、公共投資は防災・減災、国土強靭化施策により底堅く推移しており、民間投資においても物流や製造業を中心に持ち直しの動きが見られ、概ね堅調に推移いたしました。一方で、原油・資材価格や労務費などのコスト増加による業績への影響が懸念されております。
このような中、当社グループは、中期経営計画“Being a resilient company”の2年目となる当連結会計年度をレジリエント企業への変貌を加速させる年と位置付けました。カーボンニュートラルへの対応などの環境変化を認識し、洋上風力発電施設の建設事業といった将来に向けての新たな成長戦略を推進し、基幹3事業である国内土木、国内建築、海外建設各事業における重点施策を力強く実行するとともに、グループ力を最大限に発揮し、計画の目標達成に向けて取り組んでまいりました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
総資産は、受取手形・完成工事未収入金等の減少などから、前連結会計年度末に比べ133億70百万円減少し、1,355億82百万円となりました。
負債は、短期借入金の減少などから、前連結会計年度末に比べ173億95百万円減少し、656億82百万円となりました。
純資産は、期末配当の実施及び当期純利益の計上などから、前連結会計年度末に比べ40億24百万円増加し、698億99百万円となりました。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の43.1%から50.2%となり、7.1ポイント上昇いたしました。
b.経営成績
当連結会計年度の売上高は、前期比11.8%減の1,525億24百万円となり、営業利益は前期比32.6%減の96億16百万円、経常利益は前期比35.2%減の91億39百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比36.1%減の58億63百万円となりました。
事業セグメント別の実績は以下のとおりであります。
(国内土木事業)
国内土木事業におきましては、当社の基盤である海上工事の安定的シェア確保及び成長ドライバーである洋上風力関連事業の強化に向けた取り組みのほか、民間及び陸上工事の受注拡大に努めてまいりました。当連結会計年度の売上高は、当期受注工事の減少に加え、前期と比較して大型の設計変更を獲得した工事が少なかったことなどにより前期比18.0%減の890億58百万円、セグメント利益は前期比47.7%減の60億37百万円となりました。
(国内建築事業)
国内建築事業におきましては、営業利益を安定的に確保するため、組織営業力の強化や強いコスト競争力・調達力による収益力の向上及びBIM(Building Information Modeling)活用による生産性の向上に努めたほか、収益構造変革に向けた対策にも積極的に取り組んでまいりました。当連結会計年度の売上高は、前期からの繰越工事を含め受注から着工までに時間を要する設計施工案件が多く、主に2022年度以降に順次着工することなどから、前期比10.2%減の435億86百万円、セグメント利益は前期比45.3%減の15億99百万円となりました。
(海外建設事業)
海外建設事業におきましては、地域に根差した事業展開を継続し、取り組み分野の拡大、コスト競争力強化、リスクコントロール、人財育成により、各拠点が補完しあえる安定した事業の実現に向けて基盤強化に努めてまいりました。当連結会計年度の売上高は、ケニア、インドネシアの大型港湾工事やフィリピンの河川改修工事が順調に進捗したことにより、前期比25.7%増の189億81百万円となりました。セグメント利益は、各工事において設計変更が順調に獲得できたことにより前期から採算が大幅に改善し16億65百万円となりました。
(不動産事業)
当連結会計年度の売上高は前期比32.2%増の6億76百万円、セグメント利益は前期比19.1%増の2億82百万円となりました。
(その他事業)
保険代理店業、物品の販売・リース事業などであり、当連結会計年度の売上高は前期比23.9%減の2億21百万円、セグメント利益は前期比49.0%減の31百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権の減少などから、222億87百万円の収入超過となりました。(前期は65億48百万円の支出超過)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産・無形固定資産の取得による支出などから、11億9百万円の支出超過となりました。(前期は9億61百万円の支出超過)
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の返済、配当金の支払などから、74億62百万円の支出超過となりました。(前期は20億95百万円の支出超過)
以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、304億85百万円となりました。(前期末残高は166億70百万円)
キャッシュ・フロー指標の推移
|
|
2018年3月期 |
2019年3月期 |
2020年3月期 |
2021年3月期 |
2022年3月期 |
|
自己資本比率(%) |
30.7 |
36.8 |
41.3 |
43.1 |
50.2 |
|
時価ベースの自己資本比率(%) |
29.7 |
28.6 |
30.4 |
36.3 |
53.7 |
|
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) |
1.3 |
1.3 |
- |
- |
0.3 |
|
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
41.5 |
59.9 |
- |
- |
231.2 |
※自己資本比率:自己資本(純資産-非支配株主持分)/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払
①各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
②株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式控除後)により計算しております。
③キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち短期借入金、長期借入金を対象としております。また、利払は連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
④キャッシュ・フローがマイナスである場合は、当該年度の記載を省略しております。
③生産、受注及び販売の実績
|
(1)受注実績 |
(単位 百万円) |
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
国内土木事業 国内建築事業 |
76,807 67,290 |
△32.1 21.2 |
|
海外建設事業 不動産事業 その他事業 |
40,305 676 221 |
- 32.2 △23.9 |
|
合計 |
185,301 |
7.0 |
(2)売上実績 (単位 百万円)
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
国内土木事業 国内建築事業 |
89,058 43,586 |
△18.0 △10.2 |
|
海外建設事業 不動産事業 その他事業 |
18,981 676 221 |
25.7 32.2 △23.9 |
|
合計 |
152,524 |
△11.8 |
(注)1.当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産の実績」は記載しておりません。
2.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
3.前年同期比が1,000%を超える場合は、記載を省略しております。
なお、提出会社個別の事業の状況は次のとおりであります。
受注工事高(契約高)及び施工高の状況
①受注工事高、完成工事高、繰越工事及び施工高
|
第101期(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
(単位 百万円) |
|
種類別 |
前期繰越 工事高 |
当期受注 工事高 |
計 |
当期完成 工事高 |
次期繰越高 |
当期施工高 |
||
|
手持工事高 |
うち施工高 |
|||||||
|
建設事業 |
|
|
|
|
|
% |
|
|
|
海上土木 |
(40,997) 40,862 |
59,235 |
100,098 |
64,023 |
36,075 |
1.4 |
522 |
63,994 |
|
陸上土木 |
(31,920) 32,070 |
43,799 |
75,870 |
42,706 |
33,163 |
0.5 |
162 |
42,553 |
|
建 築 |
50,467 |
54,685 |
105,153 |
47,574 |
57,579 |
1.4 |
833 |
47,673 |
|
計 |
(123,385) 123,401 |
157,721 |
281,122 |
154,304 |
126,818 |
1.2 |
1,518 |
154,220 |
|
不動産事業 |
- |
494 |
494 |
494 |
- |
- |
- |
- |
|
合計 |
(123,385) 123,401 |
158,215 |
281,617 |
154,798 |
126,818 |
- |
- |
- |
|
第102期(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
(単位 百万円) |
|
種類別 |
前期繰越 工事高 |
当期受注 工事高 |
計 |
当期完成 工事高 |
次期繰越高 |
当期施工高 |
||
|
手持工事高 |
うち施工高 |
|||||||
|
建設事業 |
|
|
|
|
|
% |
|
|
|
海上土木 |
(36,075) 35,702 |
75,617 |
111,319 |
62,376 |
48,942 |
0.5 |
230 |
62,085 |
|
陸上土木 |
(33,163) 32,579 |
22,912 |
55,492 |
30,709 |
24,782 |
0.9 |
214 |
30,761 |
|
建 築 |
57,579 |
66,586 |
124,165 |
42,827 |
81,338 |
1.1 |
914 |
42,908 |
|
計 |
(126,818) 125,861 |
165,115 |
290,977 |
135,913 |
155,063 |
0.9 |
1,360 |
135,755 |
|
不動産事業 |
- |
657 |
657 |
657 |
- |
- |
- |
- |
|
合計 |
(126,818) 125,861 |
165,772 |
291,634 |
136,570 |
155,063 |
- |
- |
- |
(注)1.前事業年度以前に受注したもので、契約の変更により請負金額に増減のあるものについては、当期受注工事高にその増減を含んでおります。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれております。
2.次期繰越高の施工高は、支出金により手持高の施工高を推定したものであります。
3.次期繰越高(手持工事高)は、不動産事業を除き(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)に一致しております。
4.前期繰越高の上段( )内表示額は、前事業年度における次期繰越高であり、下段は「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当期の期首より前に遡及適用した場合の数値及び外国為替相場の変動による増減額等を反映させたものであります。
②受注工事高の受注方法別比率
|
工事受注方法は、特命と競争に大別されます。 |
(単位 %) |
|
期別 |
区分 |
特命 |
競争 |
計 |
|
第101期 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
海上土木工事 |
7.5 |
92.5 |
100 |
|
陸上土木工事 |
8.3 |
91.7 |
100 |
|
|
建築工事 |
34.0 |
66.0 |
100 |
|
|
第102期 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
海上土木工事 |
4.6 |
95.4 |
100 |
|
陸上土木工事 |
20.6 |
79.4 |
100 |
|
|
建築工事 |
39.9 |
60.1 |
100 |
(注)算出は請負金額比によります。
③完成工事高
(Ⅰ)完成工事高 (単位 百万円)
|
期別 |
区分 |
国内 |
海外 |
計 (B)
|
||
|
官公庁 |
民間 |
(A) |
(A)/(B) (%) |
|||
|
第101期 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
|
海上土木工事 |
43,299 |
13,684 |
7,039 |
11.0 |
64,023 |
|
陸上土木工事 |
33,898 |
6,857 |
1,949 |
4.6 |
42,706 |
|
|
建築事業 |
3,249 |
44,224 |
99 |
0.2 |
47,574 |
|
|
計 |
80,447 |
64,767 |
9,089 |
5.9 |
154,304 |
|
|
第102期 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
|
海上土木工事 |
41,315 |
10,623 |
10,438 |
16.7 |
62,376 |
|
陸上土木工事 |
19,924 |
7,759 |
3,025 |
9.9 |
30,709 |
|
|
建築事業 |
5,043 |
37,725 |
57 |
0.1 |
42,827 |
|
|
計 |
66,283 |
56,108 |
13,521 |
9.9 |
135,913 |
|
(注)1.完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。
第101期 請負金額10億円以上の主なもの
|
フィリピン公共事業道路省 |
パッシグ・マリキナ河川改修Phase3(円借)(マリキナ工区) |
|
国土交通省 |
横浜港新本牧地区岸壁(-18m)(耐震)海上地盤改良工事 |
|
東京都 |
六郷ポンプ所ほか1か所耐震補強及び設備再構築に伴う建設工事 |
|
川崎市 |
塩浜3丁目地区内土地造成工事 |
|
横浜冷凍株式会社 |
(仮称)ヨコレイアイランドシティ物流センター新築工事(建築工事) |
|
センコー株式会社 |
センコー㈱岐阜羽島PDセンター新築工事 |
第102期 請負金額10億円以上の主なもの
|
インドネシア共和国 |
パティンバン新港開発事業(第1期-1工事)パッケージ2 |
|
国土交通省 |
東京国際空港C滑走路他地盤改良工事(その2) |
|
宮城県 |
平成29年度県債311地震災1464-001号 野々島地区海岸災害復旧工事 |
|
関西エアポート株式会社 |
関西国際空港1期島消波ブロック設置工事(1工区) |
|
神戸市 |
六甲アイランド東部公共上屋新築工事 |
|
センコーグループ株式会社 |
(仮称)センコーグループホールディングス岩槻物流センター新築工事 |
2.完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は次のとおりであります。
第101期 国土交通省 28,037百万円 18.2%
第102期 国土交通省 29,286百万円 21.5%
|
(Ⅱ)不動産事業売上高 |
(単位 百万円) |
|
期別 |
区分 |
金額 |
|
第101期 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
土地建物販売収入 |
106 |
|
賃貸収入 |
387 |
|
|
計 |
494 |
|
|
第102期 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
土地建物販売収入 |
239 |
|
賃貸収入 |
417 |
|
|
計 |
657 |
|
④手持工事高(2022年3月31日現在) |
(単位 百万円) |
|
区分 |
国内 |
海外 |
計 |
|
|
官公庁 |
民間 |
|||
|
海上土木工事 |
16,805 |
5,434 |
26,702 |
48,942 |
|
陸上土木工事 |
17,452 |
6,478 |
851 |
24,782 |
|
建築工事 |
13,887 |
67,450 |
- |
81,338 |
|
計 |
48,145 |
79,364 |
27,554 |
155,063 |
(注)手持工事のうち請負金額10億円以上の主なものは、次のとおりであります。
|
オリックス不動産株式会社 |
(仮称)加須ロジスティクスセンター新築工事 |
2023年4月完成予定 |
|
国土交通省 |
令和3年度鹿児島港(谷山二区)係留施設築造工事(第2次) |
2024年2月完成予定 |
|
大阪市高速電気軌道株式会社 |
北港テクノポート線インフラ部整備工事のうち仮設工事 |
2024年3月完成予定 |
|
首都高速道路株式会社 |
高速大師橋更新事業(工事) |
2025年5月完成予定 |
|
フィリピン共和国 |
パッシグ・マリキナ河川改修(フェーズ4)(パッケージ2) |
2025年10月完成予定 |
|
霧島市 |
(仮称)霧島市クリーンセンター整備・運営事業建設工事 |
2026年2月完成予定 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
受注高 1,657億円(前期比75億円増)※当社個別
・国内土木事業は、注力していた大型案件の受注時期のずれや失注、及び前期のような大型の設計変更を獲得し
た工事が少なかったことから362億円の減少、国内建築事業は、注力分野である環境関連施設、物流倉庫の受注
を中心に堅調であったことから119億円の増加、海外建設事業は、最重要拠点であるフィリピンにおいて大型の
河川改修工事を2件受注したことなどから317億の増加となりました。
連結売上高 1,525億円(前期比204億円減)
・国内土木事業では当期受注工事が減少したほか、国内建築事業では設計施工案件の着工時期のずれ込んだこと
などにより前期から減少いたしました。
連結売上総利益 190億円(前期比41億円減)
・海外建設事業では、各工事において設計変更の獲得など大幅な増益となった一方で、国内土木事業及び国内建
築事業において完工高が減少したことにより減益となりました。
連結営業利益 96億円(前期比46億円減)
・変動要因としては、売上総利益41億円の減少(国内土木事業の売上総利益52億円及び国内建築事業の売上総利益13億円の減少及び海外建設事業の売上総利益24億円の増加)によるものであります。
② 資本の財源及び資金の流動性
a.キャッシュ・フロー
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.資金需要
当社グループの事業活動における資金需要は主に大きく分けて運転資金と設備資金の2つがあります。季節的変動の影響を受けやすい建設業の事業特性を踏まえ、運転資金調達についてはコミットメントライン(特定融資枠)設定契約によるものとし、2022年3月に金融機関1行と総額50億円、期間1年のコミットメントライン設定契約を締結しております。また、2020年9月に金融機関7行と総額100億円、期間3年のシンジケーション方式によるコミットメントライン設定契約を締結しております。設備資金調達については、主要借入行を中心とした調達を行っております。
c.財務政策
当社グループの事業活動の推進、運営に必要な運転資金及び設備資金の調達を安定的に確保するため、金融機関からの借入による資金調達を行っております。
当連結会計年度末における長期借入金は27億22百万円、短期借入金は28億69百万円となり、有利子負債総額は前連結会計年度末比50億2百万円減の55億91百万円となっております。また引き続き、資金調達コスト低減にも取り組んでまいります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたっての重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、完成工事高及び完成工事原価の計上、販売用不動産の評価、貸倒引当金・完成工事補償引当金・工事損失引当金等の重要な引当金の計上、退職給付に係る負債の計上、繰延税金資産の計上等に関して、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる要因に基づき、見積り及び判断を行い、その結果を連結貸借対照表及び連結損益計算書の金額に反映しております。但し、実際の結果は、見積りによる不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。また、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が当社グループの業績に重要な影響を及ぼすと考えております。
a.一定の期間にわたり履行義務を充足し収益を認識する方法による完成工事高
完成工事高の計上にあたっては、工事収益総額、工事原価総額及び連結会計年度末における工事進捗度を合理的に見積り、完成工事高を計上しております。工事施工中の事故・災害発生等による予定外の費用の発生等により工事進捗度が変動した場合は、完成工事高及び完成工事原価が変動し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の拡大に関する会計上の見積りに関しては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 追加情報」及び「第5 経理の状況 2.財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 追加情報」の箇所に記載しております。
④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当連結会計年度における計画達成状況
|
連結 |
年度計画 |
実績 |
達成状況 |
|
|
業績指標 |
売上高 |
1,700億円 |
1,525億円 |
(達成率 89.7%) |
|
|
営業利益 |
92億円 |
96億円 |
(達成率 104.5%) |
|
|
営業利益率 |
5.4% |
6.3% |
(目標値 +0.9ポイント) |
|
|
経常利益 |
91億円 |
91億円 |
(達成率 100.4%) |
|
|
親会社株主に帰属する 当期純利益 |
60億円 |
58億円 |
(達成率 97.7%) |
|
財務指標 |
純資産(非支配株主持分除く) |
700億円 |
681億円 |
(達成率 97.3%) |
|
|
自己資本比率 |
45.0% |
50.2% |
(目標値 +5.2ポイント) |
|
|
ROE |
9.2% |
8.9% |
(目標値 △0.3ポイント) |
該当事項はありません。
当社はコーポレート・メッセージとして『人と地球にあたたかな技術』を掲げております。これは「技術は人のため、地球に生きるみんなのために使われるべきものであり、技術を使う我々は、それを理解して事業活動を持続していく」という精神と決意を謳っております。総合技術研究所をはじめ、本社技術部門ではこの決意に則って、研究開発に取り組む技術が地球環境に優しいこと、また生産性を向上させること、そしてより安全であることを希求して日々研鑽を積んでおります。
当連結会計年度においては「カーボンニュートラルに資する洋上風力関連事業への取り組み」「ICTおよび自動化技術の導入による生産性向上」「建設DXの推進」等の社会課題に対して研究開発を推進してまいりました。主な成果は以下のとおりです。なお国内土木事業、国内建築事業及び海外建設事業を対象に行った研究開発活動の総額は
(1) サクションバケット基礎の施工技術実証試験
当社は、洋上風力発電施設の着床式基礎工法であるサクションバケット基礎工法の開発を、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の助成を受け、日立造船株式会社と共同で開発を進めております。
2021年度は、サクションバケット基礎大型模型(基礎重量約100t、基礎高さ約20m)の施工技術実証試験を実海域で実施し、施工速度や施工精度などが既存工法と同程度であること、優れた撤去性を有すること、施工中の振動騒音・汚濁などの環境負荷が極めて少ないことを確認いたしました。また、将来の大型風車(15MW級以上の風車)に対応できる基礎形式であるマルチバケットタイプの室内実験を実施し、2022年夏頃に実海域での大型模型実験を行う予定です。今後、技術認証を経て2026年頃にサクションバケット基礎の実用化を目指してまいります。
(2) TLP方式による浮体式洋上風力発電施設の係留基礎に関する技術開発
当社は、2020年度よりNEDOの委託を受け、洋上風力発電施設における新たな浮体係留形式として期待されるTLP(Tension Leg Platform『緊張係留』)方式の係留基礎設計手法および低コスト化施工方法の開発を実施しております。
2021年度においては、当社並びに三井海洋開発株式会社、古河電工株式会社、株式会社JERAと共同で、グリーンイノベーション基金事業の『洋上風力発電の低コスト化プロジェクト』に「TLP方式による浮体式洋上風力発電 低コスト化技術検証事業」を提案し、採択されました。本事業は、2030年代初頭の浮体式によるウインドファームの実用化を念頭に、浮体・係留システム及び海底送電システムの要素技術の確立を目指すものであり、当社はこの事業の中で係留基礎の要素技術を担当いたします。
TLP方式は、海底基礎との緊張係留による高い安定性により、発電コストの低減と占有面積を抑えた社会受容性が期待される係留方式であり、今後の浮体式洋上風力発電の普及に必要な技術です。当社も海洋構造物の設計と施工に関する豊富な実績を最大限に活用し、TLP方式の実用化を目指してまいります。
(3) 「打設杭トータル施工管理システム Pile T」の開発
当社は、杭の打設における位置誘導から支持層への打止め確認までの施工管理を合理化できる「打設杭トータル施工管理システムPile T」を開発し、現場に導入いたしました。
このトータルシステムは、当社のNETIS登録技術である「3D鋼管杭打設管理システム(NETIS、CBK-150003-A)」を発展させ、VR(仮想現実)空間上に 3Dモデルで杭の打設状況を表示できるようにしたもので、打設中の杭だけでなく周辺の構造物や地層分布もリアルに可視化され、オペレーターの技量や経験に左右さない高精度で効率的な杭の打設が可能となりました。また、支持層での打止め確認に必要な計測員の省人化を図ることもできました。
今後は、当システムでデジタル化した計測データをBIM(Building Information Modeling)/CIM(Construction Information Modeling)と連携させ、更に高品質で生産性の高い杭工事を実現してまいります。
(4) ポンプ浚渫施工管理システム「TOP SYSTEM-Auto」に「運転学習機能」を搭載
当社は、当社が開発したポンプ浚渫施工管理システム「TOP SYSTEM-Auto」に「運転学習機能」を搭載し、ポンプ浚渫作業の更なる効率化を図りました。
「TOP SYSTEM-Auto」は、GNSS(Global Navigation Satellite System)によるポンプ浚渫船の位置情報や各種センサーにより得られるカッターヘッドの位置及び深度情報をもとに、設計値に従いラダー位置を自動制御し、浚渫状況をリアルタイムで3次元アニメーション表示するものですが、今回このシステムに熟練オペレーターの運転技術を学習・再現する機能を取り入れることで、従来の深度方向に加えて水平方向の浚渫作業においても自動化を実現いたしました。
浚渫作業の自動運転は、オペレーターの技量や経験に左右されず、高い精度で効率的な施工を可能とします。今後も実工事での検証を重ね、自動運転のさらなる精度向上を図ってまいります。
(5) 透明ディスプレイ表示システム「スルーNavi」の開発
近年の港湾工事におけるICT施工では、船舶の操船室やクレーンの操作室にレーダーやGNSS、カメラ映像などのデータを活用するために複数のモニターが配置されており、情報を見るために操作者はその都度、視線を該当のモニター画面に移さなければなりません。そこで当社は、操作者の負担軽減と危険性の除去、さらには視認性を高めるため、施工管理・支援システムから発信される誘導や指示などの信号データをリアルタイムに透明なディスプレイへ表示させるシステムを開発いたしました。
このシステムを当社の海上衝突防止支援システムに搭載して実際に海域を航行したところ、透明ディスプレイの透過性と、そのディスプレイへのタイムラグのない視認性の高い信号データの表示の両立を確認することができました。これにより、操作者は視界を遮られることなく、航行中のデータや海上衝突防止支援システムの情報を確認しながら、より安全に操作することが可能となりました。
今後、このシステムを陸上機械モニターにも装備展開していくとともに、ガラスの透明ディスプレイ化やAR(拡張現実)表示、海中・水中対応の透明ディスプレイ化等、多種多様な開発に取り組み、安全性確保と施工効率向上を図ってまいります。
(6) 広域俯瞰映像を表示できる「フライングビュー※」を海上工事の安全対策に適用
当社は、沖電気工業株式会社、富士通株式会社と協働し、国土交通省四国地方整備局発注の浚渫工事において、海上運搬を行う土運船に沖電気工業株式会社のリアルタイムリモートモニタリングシステム「フライングビュー」を試験導入し、海上工事の安全対策での実用性を確認いたしました。
今回の試験導入においては、4台の魚眼カメラを一体化したユニットを作業船に取り付け、撮影した映像を操船室のモニターに死角の無いシームレスな映像として表示し、土運船の離接舷状況、浚渫土積込中の作業員動向状況などを詳細に把握できることを確認いたしました。また、土運船の海上運搬中においては、フライングビューの広域俯瞰映像を用いたAI船舶検知システムによる船舶の検出機能が、船長や見張員の目視監視を補完できることを確認いたしました。
今後はフライングビューによる船舶画像をAIに追加学習させ、船舶検知システムの精度を向上し、更なる安全性の向上を図ります。また、フライングビューの俯瞰映像とAIを融合させ、船上作業員の動向を検知するシステムの開発など建設DXを推進し、安全性や作業効率の向上を図ってまいります。
※フライングビュー:沖電気工業株式会社の登録商標です。
(7) 「カルシア改質土の土運船混合管理システム」の開発
土運船泥倉内に投入された浚渫土にカルシア改質材を投入し、バックホウにて均一になるまで攪拌混合するカルシア改質土の製造工法では、工程の短縮と品質が求められています。そこで当社はこの攪拌混合を短時間で均一に混ぜることを目的とした「カルシア改質土の土運船混合管理システム」を開発いたしました。
当システムは、バックホウと土運船にGNSSやチルトセンサーを複数取り付け、バケット刃先の位置と混合時間の履歴、また土運船泥倉内の混合進捗の可視化を図ったものであり、モニター上で混合作業を行う泥倉内をブロック毎に分割して進捗を色別表示していることから、オペレーターの技量差による未改良や混合不足等、品質のばらつきを改善し、均一化と施工効率の向上を図ることができました。
また、当システムは、函館港若松地区泊地浚渫工事(当社施工)のカルシア改質による浚渫土の有効利用において優れた成果を挙げたことが認められ、第23回国土技術開発賞(入賞)を受賞いたしました。
(8) 建築物の省エネルギー性と知的生産性の両立
当社は、効率良く一次エネルギー消費量を削減する取り組みの一環として、設計施工のオフィスビル案件において「ZEB Ready」(省エネにより従来の建物で必要なエネルギーを50%以下まで削減)認証を取得いたしました。
近年、ESG投資の考え方が急速に広まっており、オフィスビルなどにおいては、省エネルギー性に加えて執務者の知的生産性向上に対する配慮も求められておりますので、今後はビルの運用段階でのエネルギー削減量のデータを集積し、省エネルギー性と知的生産性の両立を実現したオフィスビルの提案ができる技術の修得を目指してまいります。また、当社では住宅のゼロエネルギー化にも取り組んでおり、ZEB(Zero Energy Building)プランナー、ZEH(Zero Energy House)デベロッパーの登録を済ませ、社会的なニーズに広く対応できる体制を構築いたしました。
(9) 設計施工一貫BIMプロセスの研究・開発
当社は、これまで研究開発してきたBIM-DPX®※による「設計施工一貫BIMプロセス」の取り組みとして、初めて建築確認申請にBIMを適用いたしました。
また、熊本大学大西康伸研究室との共同研究開発で「鉄骨建方可否判定プログラム」を開発いたしました。さらに、2020年度に続き、当社のBIM連携の取り組み提案が国土交通省BIMパートナー事業として採択されました。この国土交通省BIMパートナー事業では、国土交通省が推進する都市モデル「PLATEAU」と連携し、アルゴリズミックデザインにより計画建物の外装ルーバーを自動生成した後、環境シミュレーションを実施するプロセスを確立いたしました。今後の展開として、これらのデジタル情報を蓄積していくことにより、隠れた価値をAIによって分析・見える化することが可能になります。
今日の建設業界ではリアル空間の情報をIoTで集め、仮想空間でリアル空間を再現するデジタルツイン、メタバースという手法が台頭しており、様々なデータをクラウド上のサーバで連携させ、AIが分析・処理することで実際の空間で起こりうる現象をシミュレートすることが可能となってきています。当社は、これらの技術をより一層レベルアップすることで、工事監理における安全・品質・生産性の向上に繋げたいと考えております。
※BIM-DPX®:BIM–Digital Process Transformation の略で「BIMによるデジタルプロセスの浸透が、建設業の
取り組みをあらゆる面でより良い方向に変化させること」と当社が新たに定義した商標登録です。