1【公開買付者の氏名又は名称及び住所又は所在地】

名称   大成建設株式会社

所在地  東京都新宿区西新宿一丁目25番1号

 

2【公開買付者が買付け等を行う株券等の種類】

普通株式

 

3【当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由】

(1)本公開買付けに関する意見の内容

 当社は、2025年8月8日開催の取締役会において、下記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」に記載の根拠及び理由に基づき、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨することを決議いたしました。

 なお、上記取締役会決議は、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑤ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び監査役全員の異議がない旨の意見」に記載の方法により決議されております。

 

(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由

 本公開買付けに関する意見の根拠及び理由のうち、公開買付者に関する記載については、公開買付者から受けた説明に基づいております。

 

① 本公開買付けの概要

 公開買付者は、2025年8月8日開催の取締役会において、株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)プライム市場に上場している当社の普通株式(以下「当社株式」といいます。)の全て(ただし、当社が所有する自己株式及び本不応募合意株式(以下に定義します。)を除きます。)を取得することにより、当社を完全子会社化することを目的とする取引(以下「本取引」といいます。)の一環として、本公開買付けを実施することを決議したとのことです。なお、公開買付者は、本書提出日現在、当社株式を所有していないとのことです。

 公開買付者は、当社の主要株主でありその他の関係会社(2025年3月31日現在の株主名簿上の順位は第1位。以下、株主順位の記載について同じとします。)である前田建設工業株式会社(所有株式数:19,047,510株、所有割合(注9):20.19%。以下「前田建設工業」といいます。)との間で、2025年8月8日付で公開買付不応募契約(以下「本不応募契約」といいます。)を締結し、前田建設工業は、その所有する当社株式の全て(19,047,510株、所有割合:20.19%。以下「本不応募合意株式」といいます。)を本公開買付けに応募しないこと、及び、下記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、本公開買付けの成立後に行われる当社の株主を公開買付者及び前田建設工業のみとするための一連の手続(以下「本スクイーズアウト手続」といいます。)の効力発生後に当社が実施する予定の本不応募合意株式を対象とする自己株式取得(以下「本自己株式取得」といい、本自己株式取得に係る株式併合前1株当たりの自己株式取得価格を「本自己株式取得価格」といいます。)に応じて本不応募合意株式を売却することに合意しているとのことです。本不応募契約の詳細については、下記「(7)公開買付者と当社の株主との間における公開買付けへの応募に係る重要な合意に関する事項」の「① 本不応募契約」をご参照ください。

(注9) 「所有割合」とは、当社が2025年8月7日付で公表した「2026年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」に記載された2025年6月30日現在の当社の発行済株式総数(94,371,183株)から、同日現在の当社が所有する自己株式数(44,708株(ただし、同日現在において役員報酬BIP(Board Incentive Plan)信託(以下「BIP信託」といいます。)が所有する当社株式数(364,466株)を含みません。以下、自己株式数の記載において同じとします。))を除いた株式数(94,326,475株。以下「本基準株式数」といいます。)に対する割合をいい、小数点以下第三位を四捨五入しております。以下、所有割合の記載において同じとします。‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬

 

 加えて、公開買付者は、連名により当社株式についての大量保有報告書を提出しており当社の筆頭株主であるWK 1 LLC(所有株式数:9,200,000株、所有割合:9.75%、株主名簿上の順位は第2位。以下「WK1」といいます。)、WK 2 LLC(所有株式数:9,190,000株、所有割合:9.74%、株主名簿上の順位は第3位。以下「WK2」といいます。)、WK 3 LLC(所有株式数:5,890,300株、所有割合:6.24%、株主名簿上の順位は第5位。以下「WK3」といいます。)及び合同会社Yamauchi-No.10 Family Office(所有株式数:2,627,600株、所有割合:2.79%、株主名簿上の順位は第6位。以下「Yamauchi-No.10 Family Office」といい、WK1、WK2、WK3及びYamauchi-No.10 Family Officeを総称して「YFO」といいます。(注10))との間で、2025年8月8日付で公開買付応募契約(以下「本応募契約」といいます。)を締結し、YFOは、その所有する当社株式の全て(所有株式数の合計:26,907,900株、所有割合の合計:28.53%。以下「本応募合意株式」といいます。)を本公開買付けに応募することを合意しているとのことです。当該合意の詳細については、下記「(7)公開買付者と当社の株主との間における公開買付けへの応募に係る重要な合意に関する事項」の「② 本応募契約」をご参照ください。

(注10) YFOが2025年6月4日付で関東財務局宛に提出した大量保有報告書の変更報告書No.16によれば、WK1、WK2、WK3及びYamauchi-No.10 Family Officeは、当社株式に関し共同保有者の関係にあるとのことです。

 

 本取引は、(ⅰ)本公開買付け、(ⅱ)本公開買付けが成立した場合であって、公開買付者が本公開買付けにおいて、当社株式の全て(ただし、当社が所有する自己株式及び本不応募合意株式を除きます。)を取得できなかった場合に、当社の株主を公開買付者及び前田建設工業のみとすることを目的として当社が行う本株式併合(下記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」で定義します。以下同じです。)、(ⅲ)本自己株式取得を実行するための資金を確保することを目的とする、公開買付者から当社に対する本自己株式取得に係る対価に充てる資金の提供(当該時点の財務状況を踏まえ必要となる場合に限り提供するものとし、以下「本資金提供」といいます。)、及び本自己株式取得を実行するための分配可能額を確保することを目的とする当社における会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。以下「会社法」といいます。)第447条第1項及び第448条第1項に基づく当社の資本金及び資本準備金の額の減少(以下「本減資等」といいます。(注11))、並びに(ⅳ)本公開買付けの成立及び本株式併合の効力発生を条件とする当社による本自己株式取得からそれぞれ構成され、最終的に、公開買付者による当社の完全子会社化を企図しているとのことです。なお、本株式併合の詳細につきましては、下記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」をご参照ください。

(注11) 公開買付者は、本自己株式取得を実施するために必要な分配可能額が確保されない場合に限り、当社に対して、本減資等の実施を要請する予定とのことです。

 

 公開買付者は、本公開買付けにおいて、買付予定数の下限を33,035,700株(所有割合:35.02%)として設定しており、本公開買付けに応募された株券等(以下「応募株券等」といいます。)の数の合計が買付予定数の下限(33,035,700株)に満たない場合は、応募株券等の全部の買付け等を行わないとのことです。他方、公開買付者は、本公開買付けにおいて当社株式の全て(当社が所有する自己株式及び本不応募合意株式を除きます。)を取得することにより、当社を完全子会社化することを目的としていることから、買付予定数の上限は設定しておらず、応募株券等の数の合計が買付予定数の下限(33,035,700株)以上の場合は、応募株券等の全部の買付け等を行うとのことです。

 公開買付者は、当社の過去の定時株主総会における議決権行使比率に着目した場合、株式併合によるスクイーズアウト手続を実施する上で、本公開買付け実施後に、本不応募合意株式とあわせて当社の総議決権数の3分の2に相当する株式数を所有することは必須ではないと考えられるため、本公開買付けの成立の蓋然性を高める観点から、本公開買付けの買付予定数の下限について、当社の本基準株式数(94,326,475株)から2025年6月30日現在においてBIP信託が所有する当社株式数(364,466株)を控除(注12)した株式数(93,962,009株)に係る議決権の数(939,620個、以下「本基準議決権数」といいます。)に55.43%(当社の過去6年間の定時株主総会における議決権行使比率に株主総会の特別決議の可決に要する議決権比率である3分の2を乗じた割合)を乗じた数(520,832個、小数点以下を切り上げ)から、本不応募合意株式数(19,047,510株)に係る議決権の数(190,475個)を控除した数(330,357個)に当社の単元株式数である100株を乗じた株式数(33,035,700株)(以下「本下限」といいます。)に設定したとのことです。‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬

(注12) 当社においては当社の取締役及び執行役員を対象に業績連動型株式報酬制度としてBIP信託を導入しておりますが、BIP信託が保有する当社株式は2025年11月中旬を目途に開催される予定の本臨時株主総会(下記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」において定義します。以下同じです。)の基準日までに受益者に対する交付、本公開買付けへの応募その他の処分は予定されておらず、また、BIP信託が保有する当社株式に係る議決権は信託期間(当該信託期間は2028年8月までとしている。)中行使されないこととされており、本臨時株主総会においても当該議決権は行使される可能性がないことから、公開買付者は、買付予定数の下限の設定に際し、2025年6月30日現在においてBIP信託が保有する当社株式数(364,466株)を買付予定数の下限の設定の基礎となる当社株式数に加算していないとのことです。

 

 買付予定数の下限の設定について、公開買付者は、(ⅰ)2020年から2024年の5年間に公表された、上場会社の非公開化を目的として成立した公開買付け253件のうち、親子会社間、持分法適用会社間、いわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)(注13)案件の合計139件を除いた資本関係のない第三者間の取引で、スクイーズアウト手続としての株式併合議案に係る株主総会を実施した43件においては、株式併合議案に対する議決権行使比率(ただし、公開買付者及びその特別関係者の行使個数は当該計算から除いております。)の平均値は約37.0%、中央値は約41.5%と、平時の定時株主総会の議決権行使比率(平均値73.5%、中央値73.6%)に比して大きく低下する傾向があることを踏まえると、少なくとも平時の定時株主総会の議決権行使比率の平均値の3分の2の議決権を確保できれば、本臨時株主総会に付議される本株式併合に係る議案(以下「本株式併合議案」といいます。)を可決できる蓋然性が認められること、(ⅱ)当社の過去6年間の定時株主総会における議決権行使比率に着目した場合、議決権行使比率の平均値は83.15%(小数点以下第三位を四捨五入。以下、議決権行使比率の計算について他に取扱いを定めない限り同じとします。)となっているところ(注14)、上記(ⅰ)を踏まえると、当該数値に3分の2を乗じた55.43%に相当する議決権割合(注15)を本不応募合意株式とあわせて確保できれば、本株式併合議案を可決できる蓋然性が認められることを踏まえ、本不応募合意株式とあわせて55.43%の議決権割合に係る当社株式を本公開買付け後に所有するに至れば、本株式併合議案が可決される蓋然性が高いといえることを考慮し、買付予定数の下限を33,035,700株(所有割合:35.02%)と設定したとのことです。

(注13) 「マネジメント・バイアウト(MBO)」とは、公開買付者が対象者の役員との合意に基づき公開買付けを行うものであって対象者の役員と利益を共通にするものである取引をいいます。

(注14) 当社が2025年6月25日に提出した有価証券報告書において記載された2025年6月25日開催の第103回定時株主総会の基準日(2025年3月31日)の総議決権数(942,204個)、及び2025年6月27日に提出した臨時報告書に記載された第103回定時株主総会において行使された議決権数(781,070個)から、第103回定時株主総会において行使された議決権は総議決権数に対して82.90%に相当します。同様の方法で計算をした場合、2024年6月26日開催の第102回定時株主総会は82.35%、2023年6月27日開催の第101回定時株主総会は92.25%、2022年6月24日開催の第100回定時株主総会は81.26%、2021年6月25日開催の第99回定時株主総会は81.40%、2020年6月26日開催の第98回定時株主総会は78.76%となります。なお、当社の過去6年間の定時株主総会における議決権行使比率の最大値は2023年6月27日開催の第101回定時株主総会の92.25%であるところ、これはYamauchi-No.10 Family Office及び株式会社KITEによる2022年4月に行われた当社株式に対する公開買付けの申込みに端を発する各種報道やYamauchi-No.10 Family Officeによる役員選任等の株主提案等の特殊要因に起因する異常値と考えられますが、当社の議決権行使比率の平均値の算出にあたっては、保守的に当該異常値も含めているとのことです。

(注15) 「議決権割合」とは、本基準議決権数(939,620‬‬個)に‬‬対する割合をいい、小数点以下第三位を四捨五入しているとのことです。以下、議決権割合の記載において同じとします。‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬

 

 本公開買付けにおいては、上記のとおり、買付予定数の下限を本不応募合意株式とあわせて当社の総議決権数の3分の2に相当する議決権数を確保できる株式数に設定していないことから、本公開買付けの成立後、公開買付者及び前田建設工業が所有する当社の議決権の合計数が当社の総議決権数の3分の2を下回る場合、本株式併合議案が本臨時株主総会において承認されない可能性も理論上は否定できないとのことです。

 しかし、仮に、当該承認が得られない場合であっても、公開買付者は、最終的に当社株式の全て(当社が所有する自己株式を除きます。)を取得することを目的とし、当社の完全子会社化を行う方針であることから、本公開買付けにおける応募状況や当該時点における当社の株主の所有状況及び属性並びに市場株価の動向も踏まえた上で、株式併合に係る議案が当社の株主総会において現実的に承認される水準(具体的な水準は本臨時株主総会における議決権行使比率や直近の当社の株主構成を踏まえて決定するとのことです。)に至るまで、市場内での買付け等の方法により、当社株式を追加取得し、当社の完全子会社化を目指す予定とのことです。当該追加取得に関しては、公開買付者は、本公開買付価格と経済的に同等と評価される価格(当社が株式併合又は株式分割等、支払う対価の調整を要する行為を行わない限り、1株当たり、本公開買付価格と同額)により、当社株式を取得する方針とのことです。このような追加取得の具体的な時期及び方法並びにその後の株主総会による株式併合に係る議案の承認までに要する期間については、市況等の諸事情によるため現時点では決定することができませんが、公開買付者としては実務上可能な限り速やかに株式併合が実施されるように最大限努めるものとするとのことです。

 

 公開買付者は、本公開買付けにより当社株式の全て(当社が所有する自己株式及び本不応募合意株式を除きます。)を取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後に、下記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、本スクイーズアウト手続を実施することを予定しているとのことです。

 また、本スクイーズアウト手続後、本不応募合意株式について、本自己株式取得を実施し、当社の株主を公開買付者のみとすることを予定しているとのことです。公開買付者は、本自己株式取得について、前田建設工業において、法人税法(昭和40年法律第34号。その後の改正を含みます。)に定めるみなし配当の益金不算入規定が適用されることが見込まれることを考慮し、当社の少数株主の皆様への配分をより多くすることで、本公開買付価格の最大化と株主間の公平性を両立させることができるとの考えの下、本自己株式取得を実施することとしたとのことです。なお、公開買付者は、前田建設工業との協議・交渉を踏まえ、(ⅰ)本自己株式取得が行われた場合の前田建設工業の税引後手取り額が、(ⅱ)仮に前田建設工業が本公開買付けに応じた場合に得られる税引後手取り額とほぼ同等となるよう算出した結果、本自己株式取得価格を1株当たり1,476円とすることとしたとのことです。

 

 また、本取引を図で表示すると大要以下のとおりとのことです。

 

(ⅰ)本公開買付けの実施前(現状)

 本書提出日現在において、前田建設工業が当社株式19,047,510株(所有割合:20.19%)、YFOが当社株式26,907,900株(所有割合:28.53%)、少数株主が残りの当社株式48,371,065株(所有割合:51.28%)株を所有。

0100010_001.png

 

(ⅱ)本公開買付け(2025年8月12日~2025年9月24日)

 公開買付者は、当社株式の全て(ただし、当社が所有する自己株式及び本不応募合意株式を除きます。)を対象とする本公開買付けを実施。

0100010_002.png

 

(ⅲ)本スクイーズアウト手続の実施(2025年12月中旬(予定))

 公開買付者は、本公開買付けにより、当社株式の全て(ただし、当社が所有する自己株式及び本不応募合意株式を除きます。)を取得できなかった場合には、当社に対して本株式併合の手法による本スクイーズアウト手続を実施。

0100010_003.png

 

(ⅳ)(本株式併合の効力発生後)本資金提供及び本減資等(2025年12月中旬(予定))

 公開買付者は、本株式併合の効力発生後に、本自己株式取得に必要となる資金及び分配可能額を確保するために、本資金提供及び本減資等を実施する予定。

0100010_004.png

 

(ⅴ)本自己株式取得(2025年12月下旬(予定))

 当社は、本資金提供及び本減資等により確保した資金及び分配可能額を活用し、前田建設工業が所有する本不応募合意株式の全てを取得するための本自己株式取得を実施する予定。

 なお、本自己株式取得直前の公開買付者及び前田建設工業の議決権所有割合は、本株式併合における併合割合次第となるため、以下の図においては、本株式併合の効力発生直前の議決権所有割合を記載しているとのことです。

0100010_005.png

 

(ⅵ)本取引実施後

0100010_006.png

 

② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程

 公開買付者は、1873年10月に大倉喜八郎氏が大倉組商会を創立し、諸建造物の造営等に当たったのが起源であり、1887年3月には、渋沢栄一氏、藤田伝三郎氏と相談し、公開買付者の前身となる有限責任日本土木会社が設立されたとのことです。1892年11月に有限責任日本土木会社は解散し、その事業は、大倉喜八郎氏単独経営の大倉土木組に継承され、1911年11月、大倉土木組は、株式会社大倉組に合併され株式会社大倉組土木部となったとのことです。その後、1917年12月に株式会社大倉組より分離して株式会社大倉土木組となり、1946年1月に現在の商号である大成建設株式会社に改称したとのことです。公開買付者は、その株式を1956年9月に東京店頭市場に公開し、1957年9月に東京証券取引所に上場し、1959年10月には株式会社名古屋証券取引所(以下「名古屋証券取引所」といいます。)及び株式会社大阪証券取引所(以下「大阪証券取引所」といいます。)に上場したとのことです。その後、公開買付者は、2013年7月に大阪証券取引所における現物市場が東京証券取引所に統合されたことにより、東京証券取引所市場第一部及び名古屋証券取引所市場第一部に上場することとなったとのことです。また、2022年4月の東京証券取引所及び名古屋証券取引所の市場区分の見直しにより、東京証券取引所プライム市場及び名古屋証券取引所プレミア市場へ移行しているとのことです。

 公開買付者は、本書提出日現在、公開買付者、子会社81社及び関連会社53社からなる企業グループ(以下「公開買付者グループ」といいます。)を構成しており、「人がいきいきとする環境を創造する」をグループ理念として、土木事業、建築事業、開発事業及びエンジニアリング事業等を展開しているとのことです。

 公開買付者グループは、2021年5月14日付で公表した「中長期的に目指す姿[TAISEI VISION 2030]」において、中長期的な外部環境や構造変化を「IX・SX・DX(注16)」の3つのXとして特定し、グループ理念とグループ理念を追求するための考え方である「大成スピリット 自由闊達・価値創造・伝統進化」に基づいて、公開買付者グループが2030年に目指す姿として、「進化し続ける The CDE(キューブ)(注17)カンパニー ~人々が豊かで文化的に暮らせるレジリエントな社会づくりに貢献する先駆的な企業グループ~」を掲げたとのことです。その後、公開買付者グループは、2024年5月13日付で[TAISEI VISION 2030]を確実に達成するべく、[TAISEI VISION 2030]がターゲットとする2030年までの7年間を見据えた重点課題や具体的な方策を整理した「[TAISEI VISION 2030]達成計画」を公表したとのことです。[TAISEI VISION 2030]達成計画に基づき、建設・開発・エンジニアリング・エネルギー・環境の5つの分野に特に力を入れるとともに、本業である建設事業で確実に利益を上げ、財務基盤及び資本効率のさらなる向上により持続可能な成長と中長期的な企業価値向上の実現を目指し、役職員一丸となって取り組んでいるとのことです。

(注16) 「IX」とは、インダストリー・トランスフォーメーション(Industry Transformation)の略称であり、公開買付者グループが属する業界の再編圧力の高まりを示しているとのことです。「SX」とは、サステナビリティ・トランスフォーメーション(Sustainability Transformation)の略称であり、公開買付者グループの事業を通じて、環境・社会課題を解決する方向へ向かうことを示しているとのことです。「DX」とは、デジタル・トランスフォーメーション(Digital Transformation)の略称であり、デジタル技術やデータの活用により飛躍的な生産性向上や意思決定のスピードアップや新たなサービスの創出が可能になることを示しているとのことです。

(注17) 「CDE(キューブ)」とは、建設事業(Construction)、開発事業(Development)、エンジニアリング事業(Engineering)、エネルギー(Energy)、環境(Environment)の頭文字を取ったものとのことです。

 

 具体的には、2030年に目指す姿として、グループ国内建築事業では変化する社会ニーズを捉えた成長戦略を描き、技術に裏打ちされた建築関連サービスの提供(建築物の工事をはじめ、建築物に関する環境技術やデジタル・スマート化技術の提供等)により、顧客・社会の建築物に関する価値向上に貢献し、グループ国内土木事業では、トンネル・橋梁・ダム・鉄道・高速道路等の建設工事における高い技術力と、道路舗装工事に強みを持つ大成ロテック株式会社やプレストレストコンクリート工事に強みを持つピーエス・コンストラクション株式会社等のグループ会社との連携によるグループの総合力を生かしたインフラ整備のトップランナーとして環境・社会課題の解決に貢献し、グループ国内開発事業では培ってきた「開発ノウハウ」とゼネコンとしての「技術力」を武器に、開発事業の企画提案から設計・施工・管理・運営に至る、多様な事業スキームを踏まえた収益性のある計画の提案や、地域の魅力を向上させる新しい価値の提供、先端技術(カーボンニュートラル、緑化、スマートビル、レジリエンス等)を採用した商品開発等を通じて、付加価値の高いまちづくりに貢献し、グループ海外事業では国内で培った技術ノウハウを活用し、自らも海外成長市場での現地化・高い技術力による差別化・魅力ある事業体制の構築等の成長を実現しながら、経済的・社会的発展の原動力である質の高い社会インフラ整備(注18)により、進出国の経済的・社会的発展に貢献し、グループエンジニアリング事業では製造施設の最新技術に対応しながら、高いエンジニアリング力とゼネコンとしての建築・土木の設計施工力を生かし、生産施設の企画・設計・施工から維持管理までの一貫したサービス体制を顧客に提供するよう、それぞれ取り組んでいるとのことです。

(注18) 「質の高い社会インフラ整備」とは、インフラの整備にあたり、その需要に量的に対応するのみならず、透明性、開放性、ライフサイクルコストからみた経済性、債務持続可能性等を考慮していくことを示しているとのことです。

 

 また、公開買付者グループは、[TAISEI VISION 2030]の第2フェーズとなる「中期経営計画(2024-2026)」(以下「本中期経営計画(公開買付者)」といいます。)を、3年後のマイルストーンとして、数値目標を中心に設定したとのことです。

 [TAISEI VISION 2030]達成計画における上記の取り組みにより、公開買付者グループは、本中期経営計画(公開買付者)期間の最終年度である2026年3月期の目標として、グループ営業利益1,200億円、グループ純利益800億円、自己資本当期純利益率(ROE):8.5%程度を数値目標としているとのことです。

 

 一方、当社は、1929年7月に、兵庫県西宮市鳴尾地区に工業用地及び工事港を造成することを目的に、阪神築港株式会社として設立され、1932年に建設請負業を開始し、戦時中の経済情勢により鳴尾埋立事業を一時中断し、海洋土木工事の請負を主業として、事業を展開してまいりました。また、1964年5月に商号を東洋建設株式会社に変更しております。鳴尾埋立事業は1967年5月に再開され、1986年9月に完了されており、1965年以降は陸上土木工事、1975年以降は建築工事について本格的に取り組んでおります。株式市場との関係では、1961年10月に大阪証券取引所市場第二部に、1962年10月に東京証券取引所市場第二部に上場され、1964年8月に東京、大阪証券取引所市場第一部に指定されました。その後、2013年7月に大阪証券取引所と東京証券取引所の現物市場が統合されたことに伴い、東京証券取引所市場に上場し、2022年4月に東京証券取引所の市場区分の見直しにより、東京証券取引所市場第一部から東京証券取引所プライム市場に移行し、現在に至っております。

 当社の企業集団は、本書提出日現在、当社、連結子会社6社、非連結子会社3社、関連会社1社及びその他の関係会社3社(以下「当社グループ」といいます。)で構成されており、国内土木事業、国内建築事業、海外建設事業、不動産事業を主な事業の内容としております。

 当社は、2029年7月に迎える創立100周年に向けて、2023年度を初年度とする中期経営計画(以下「本中期経営計画(当社)」といいます。)のテーマである①”守りから攻め”への転換、②”高収益モデル”への転換、③”資本効率経営”への転換の3つの大きな経営の転換を柱とする取り組みを継続しており、国内土木においては海上土木の事業規模の維持・安定や成長ドライバーである洋上風力建設事業の強化に向けた取り組み、建築事業においては組織営業力の強化や収益力の強化、及びデジタル化による生産性の向上に向けた取り組み、海外建設事業においては海外市場における収益力の強化等、中長期的な事業環境の変化を見据えた各種取り組みを推進しております。

 当社は、「創意革新」「人間尊重」「責任自覚」のもと、「夢と若さをもって全員一致協力し新しい豊かな技術で顧客と社会公共に奉仕することに努め、会社の安定成長と従業員の福祉向上を期する」ことを経営理念として掲げ、港湾建設を主体とした海洋土木工事を強みとし、2025年3月期の連結売上高は1,726億円と、海洋ゼネコン業界において有価証券報告書を提出又は事業報告を公開している合計8社中第3位の売上実績となっている(注19)など、同業界の事業者として確固たる地位を築いていると考えております。

(注19) 海洋ゼネコン業界において有価証券報告書を提出又は事業報告を公開している合計8社の開示内容を参照しております。

 

 当社グループとしては、政府が掲げる2050年カーボンニュートラルの実現に向け大きな役割を担う洋上風力発電の展開や「国家防衛戦略」、「国土強靭化基本計画」に基づく重要インフラ施設の整備など当社にとって前向きな外部環境がある一方、労働力不足の深刻化、働き方改革への対応、ライフスタイル・ワークスタイルの変化、「新築」から「維持・更新」への変化の対応など、建設業を取り巻く環境は大きく変化していると認識しております。

 

 当社は、上記の認識のもと、労働力不足の深刻化、働き方改革への対応、ライフスタイル・ワークスタイルの変化、「新築」から「維持・更新」への変化の対応等の経営課題を解消し、中長期的に競争力・収益力を高めるために、当社の企業価値向上に向けて当社が上場を維持しつつ事業規模を拡大することを含め様々な検討を実施してまいりました。

 

 このような背景の中、公開買付者は、上記の[TAISEI VISION 2030]達成計画において、M&Aを活用した事業変革を確実に実行すべく、IXによる建設業界の健全な発展(注20)にこれまで以上に注力するとともに、担い手確保や省人化を図る垂直統合、新たな価値創造を目指すバリューチェーン統合、事業拡大を目指す海外展開もターゲットとし、新たな成長基盤を構築するためにあらゆる機会を模索していたとのことです。そのような中、公開買付者は、当社を公開買付者グループに迎え、緊密に連携することで、以下の(ⅰ)から(ⅴ)のような様々なシナジー効果が期待できると考えたとのことです。公開買付者は、本公開買付け後に少なくとも議決権割合50.01%の当社株式を所有すれば、本取引成立の蓋然性が認められると考え、本取引の成立の蓋然性を確認する観点から、2025年3月19日に当社株式26,907,900株(所有割合:28.53%)を所有するYFOに対して協議を申し入れ、YFOが所有する当社株式の譲受について初期的な打診をしたところ、YFOより、当社の中長期的な企業価値向上に資するパートナーにYFOが所有する当社株式を譲渡したいとの意向が示されるとともに、協議に応じる旨の回答があったとのことです。また、上記と同じ理由から、公開買付者は、2025年3月25日に当社株式19,047,510株(所有割合:20.19%)を所有する前田建設工業の完全親会社であるインフロニア・ホールディングス株式会社(以下「インフロニア」といいます。)に対しても協議を申し入れ、前田建設工業が所有する当社株式の譲受について初期的な打診をしたところ、正式な提案があれば真摯に検討する旨の回答があったとのことです。公開買付者は、YFOからの紹介を契機として、2025年4月3日に当社との間で面談を行い、公開買付者グループの事業内容の説明や想定シナジー等の提案、当社の経営状況や今後の事業方針等について協議を行ったとのことです。また、かかる協議を踏まえ、公開買付者は、2025年5月14日に、当社に対して、本取引を希望する旨の法的拘束力を有しない意向表明書を提出するとともに、本取引について本格的に検討するため、当社に対してデュー・ディリジェンスを実施したい旨の申し入れを行ったところ、2025年5月16日、当社から、公開買付者によるデュー・ディリジェンスを受け入れることとともに本取引の実施に向けた協議を進める旨の連絡を受けたとのことです。これを受け、公開買付者は、2025年5月中旬、公開買付者、当社、インフロニア、前田建設工業及びYFOから独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてみずほ証券株式会社(以下「みずほ証券」といいます。)を、リーガル・アドバイザーとしてTMI総合法律事務所をそれぞれ選任し、本取引の実現可能性の精査のためのデュー・ディリジェンスを2025年5月下旬から同年7月中旬まで実施するとともに、並行して、当社との間で、本取引の意義及び目的に関する協議・検討を行い、公開買付者グループと当社との間の事業シナジーの創出に向けた具体的な施策、本取引後の経営方針等についての検討を進めていったとのことです。

(注20) 「IXによる建設業界の健全な発展」とは、国内建設投資について、需要面では、ポストコロナの経済回復などから、投資意欲は堅調である一方、供給面では、生産性の向上はあるものの、就業者数の減少傾向が続くため、横ばいに留まり、需給ギャップが拡大することにより、建設業界が社会から求められる使命を十分に果たせなくなることから、IXにより、各社の技術やノウハウを共有し、環境・社会課題の解決力や生産性を飛躍的に向上させることが建設業界の健全な発展に繋がり、こうした機運が建設業界全体として高まっていくという公開買付者の考えを示しているとのことです。

 

 かかる検討の結果、公開買付者は、本取引において以下のような取り組みやシナジー効果を期待できると考えているとのことです。

(ⅰ)国内土木事業

 公開買付者の強みである陸上工事と当社の海洋工事での優れた技術や豊富な実績をもって両社が緊密に連携し、強みを相互に活かすことで、今後拡大が見込まれる水素・アンモニアのサプライチェーン構築等のカーボンニュートラル関連施設工事や洋上風力発電関連工事において、幅広い連携が可能と考えているとのことです。さらに、公開買付者の支援により、当社は、優位性のある海上工事等の工事分野への人員シフトを戦略的に推し進めていくことや、案件の大型化に取り組むことで、利益生産性及び一人当たり完成工事高の向上ができると考えているとのことです。

 

(ⅱ)国内建築事業

 公開買付者は、2020年11月より国内建築事業の戦略の柱としてリニューアル本部を新設し、本格的に建築物のリニューアル事業の強化を進めているとのことです。公開買付者による、建物診断からのリニューアル提案のノウハウやグリーンリニューアル(注21)技術を当社へ共有することで、当社の提案営業の強化に繋がり、当社のReReC(注22)領域強化に貢献できると考えているとのことです。

(注21) 「グリーンリニューアル」とは、公開買付者の登録商標で、既存建物のZEB化(注23)を推進することでスピーディーに目標を達成するだけではなく、人も建物も地球も健康になる取り組みのことです。

(注22) 「ReReC」とは、Renewal(再生)、Renovation(性能向上)、Conversion(用途変更)を総称した当社の登録商標で、改修工事全般の取り組みのことです。

(注23) 「ZEB」とは、Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の略称で、快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物のことです。

 

(ⅲ)海外建設事業

 フィリピンの経済発展に伴い、今後大型案件が増えることが期待され、両社の海外営業情報力、特に当社の連結子会社であるCCT CONSTRUCTORS CORPORATIONを軸に50年にわたって築かれたフィリピンの現地顧客とのネットワーク、経験豊富なローカルスタッフによるリソースを活用することにより、両社の受注機会も増加すると考えているとのことです。

 

(ⅳ)洋上風力事業

 公開買付者はコンクリート製セミサブ型(注24)浮体式基礎を開発し躯体製造工事を受注することを目指している一方、当社はTLP型(注25)浮体式の係留に関する技術開発・建設及び海底ケーブル敷設船等による工事受注を目指しており、重複がなく、かつ相互補完性が高いため、当社の受注機会を増加させることができると考えているとのことです。

(注24) 「セミサブ型」とは、複数の柱や浮体を組み合わせて構成される半潜水型の浮体式基礎のことをいいます。

(注25) 「TLP型」とは、海底基礎との緊張係留により浮体を係留する方式のことをいいます。

 

(ⅴ)経営基盤の強化

 公開買付者は、DX推進に向けた部署を設置し、DX実現に向けた施策の加速、AIを利活用した経営基盤の強化に注力しているとのことです。公開買付者の注力領域の一つである「生産プロセスのDX」では、BIM/CIM(注26)やAI、IoT、ロボット等を活用することによって、品質確保や原価低減、工期短縮、危険予測、環境負荷低減を図り、生産性向上の実現を目指しているとのことです。また、DX技術を共有することで、当社の人員不足の解消や効率運営の一助となると考えているとのことです。デジタル化の取り組みについても両社での取り組みを推進することで、重複する投資を抑え、スケールメリットを享受できると考えているとのことです。

(注26) 「BIM/CIM」とは、建設事業で取り扱う情報をデジタルデータとして統合管理することにより、調査、測量、設計、施工、維持管理等の建設事業の各段階に携わる受発注者のデータ活用・共有を容易にし、建設事業全体における一連の建設生産・管理システムの効率化を図ることをいいます。

 

 公開買付者は、公開買付者グループの調達網を活用し、スケールメリットのある主要部材を両社で共同調達することで、工事原価を低減できると考えているとのことです。また、双方のサプライチェーンを共有することで、専門工事業者や資機材調達先の選択肢が広がり、より安価かつ時宜を得た調達が可能になると考えているとのことです。さらに、中長期的には、地域や時期によるサプライヤーの繁忙度の平準化が期待でき、施工体制の拡充に繋がると考えているとのことです。

 公開買付者の「社員教育システム」の利活用や人材交流を通じて、両社の社員の技術力向上が図れると考えているとのことです。また、公開買付者グループの資金調達力を活かし、親子ローン・CMS等を通じて、機動的かつ低コストの資金提供が可能になると考えているとのことです。

 

 これらの検討の中で、公開買付者は、当社株式の一部の取得を行った上での資本業務提携や上場維持を前提とした連結子会社化の場合には、迅速かつ柔軟な意思決定に支障が生じる、秘匿性の高い情報の共有ができないといった、両社における協業体制の構築や共有できる経営資源やノウハウに一定の制約があることから、上記の施策やシナジーを迅速かつ着実に実現し効果を享受するためには、公開買付者による当社の完全子会社化が望ましいとの考えに至ったとのことです。なお、公開買付者は、本取引によるディスシナジーとしては、(ⅰ)公開買付者以外のゼネコンからの受注及びJV組成の機会逸失(ⅱ)案件獲得に際しての両社の連携不足による失注の可能性、(ⅲ)当社が上場会社でなくなることにより、上場会社として享受してきた知名度や社会的信用力、人材の確保に影響を及ぼす可能性、(ⅳ)資金調達に影響を及ぼす可能性等の懸念があり得るものの、上記(ⅰ)については、足元の市場環境を踏まえれば、他案件への置換等により十分補完可能と考えており、公開買付者との協業によって、これまで以上の受注が可能になると考えていること、上記(ⅱ)については、本取引成立後の入念なPMI、制度設計を行い、特にマネジメントレベルから現場レベルで意思疎通が容易になるよう、両社でコミュニケーションを図り、取り組み案件の事前調整を入念に行うことで失注リスクを減らせると考えていること、上記(ⅲ)については、当社の上場維持コストの削減や、両社の従業員の間での交流によって、ノウハウの共有や適材適所の実現が可能であり、より良い職場環境の醸成につながるものと考えており、上記のシナジーの発揮によりディスシナジーを大幅に上回る効果を生み出すことができると考えていること、上記(ⅳ)については、公開買付者グループの資金調達力を活かし、親子ローン・CMS等を通じて、機動的かつ低コストの資金提供が可能になると考えており、上記のシナジーの発揮によりディスシナジーを上回る効果を生み出すことができると考えているとのことです。

 

 公開買付者は、2025年6月11日、YFOから、公開買付価格を1,750円とするよう提案があったため、同日、YFOに対して、当社に対するデュー・ディリジェンスの結果等を踏まえ、公開買付価格を1,750円とする可能性について検討を進める旨返答したとのことです。

 また、公開買付者は、2025年6月26日、インフロニアとの間で本取引のスキーム及び本公開買付価格について協議を実施したところ、2025年7月4日、インフロニアより、本公開買付価格を1,750円とすること、及び本取引において当社が前田建設工業から本自己株式取得を実施するスキーム(以下「本自己株式取得スキーム」といいます。)を採用することについて前向きに検討する旨の連絡を受けたとのことです。

 そして、公開買付者は、2025年7月7日に、当社に対するデュー・ディリジェンスの結果等を踏まえて、当社に対して、本取引において本自己株式取得スキームを採用すること並びに当社の2026年3月期の中間配当及び期末配当を無配とすることを前提として、本公開買付価格を1,750円(提案日の前営業日である2025年7月4日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値1,485円に対して17.85%(小数点以下第三位を四捨五入。以下、プレミアム率の計算において同じです。)、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値(円未満を四捨五入。以下、終値単純平均値の計算において同じとします。)1,460円に対して19.86%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値1,388円に対して26.08%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値1,368円に対して27.92%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)とし、また、買付予定数の下限を、本基準議決権数(939,620個)に50.01%を乗じた数(469,904個、小数点以下を切り上げ)から、本不応募合意株式(19,047,510株)に係る議決権の数(190,475個)を控除した数(279,429個)に当社の単元株式数である100株を乗じた株式数(27,942,900株、所有割合:29.62%)(以下「当初下限案」といいます。)とする旨の本取引に係る法的拘束力を有する提案書(以下「本提案書」といいます。)を提出したとのことです。その後、当社より、同日に、本自己株式取得スキーム及び公開買付価格について、公開買付者と前田建設工業との間で事実上の合意が得られていると判断できなかったため、本提案書については当社が求めていた法的拘束力を有する最終提案として取り扱うことはできないとの連絡を受け、本提案書の受領を拒絶されたものとして取り扱うこととしたとのことです。その後、公開買付者は、2025年7月24日、インフロニア及び前田建設工業より、本自己株式取得スキームを前提として本自己株式取得価格を1,476円とする提案に応じる方向で検討している旨の連絡を受けたとのことです。その後、公開買付者は、2025年7月28日、インフロニア及び前田建設工業より、本自己株式取得スキームを前提として本自己株式取得価格を1,476円とする提案に応じる旨の連絡を受けたことから、同日その旨を当社に対して説明したとのことです。これに対して、公開買付者は、2025年7月28日及び31日、当社及び本特別委員会(下記「④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に定義します。以下同じです。)より、当社の一般株主の判断機会の確保への配慮の観点から、買付予定数の下限を、当初下限案から引き上げるよう要請を受けたとのことです。その後、公開買付者は、当社及び本特別委員会からの要請を踏まえて買付予定数の下限設定の再検討を真摯に行い、2025年8月4日、買付予定数の下限を本下限(33,035,700株、所有割合:35.02%)に引き上げる旨を当社及び本特別委員会に回答したとのことです。これを受けて、同日、当社及び本特別委員会より、買付予定数の下限を本下限に引き上げることに応じる旨の回答を受けたとのことです。その後、2025年8月4日、公開買付者は、当社及び本特別委員会より、その前営業日である2025年8月1日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値が1,731円となり、公開買付者が公開買付価格として提案する1,750円の当該終値に対するプレミアムが1.10%と僅少になり、その後の株価推移次第では1,750円が本公開買付けの当初の公表予定日であった2025年8月7日の前営業日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値を下回る可能性もあり、特にそのようなディスカウントによる公開買付けとなった場合には、当社の株主の皆様から十分に応募を集められず本公開買付けが不成立に終わることも懸念され、公表したにもかかわらず不成立に終わった場合には、当社の従業員・取引先を含むステークホルダーとの関係上、当社の企業価値に重大な毀損が生じるリスクがあると考えられたことから、公開買付価格を引き上げるよう要請を受けたとのことです。かかる要請を受け、公開買付者は、改めて当社株式の本源的価値を検討しましたが、2025年8月5日に、当社及び本特別委員会に対し、1,750円という公開買付価格は妥当な水準である旨回答したとのことです。それに対し、公開買付者は、2025年8月6日、当社及び本特別委員会より、上記と同様の理由から、賛同意見を表明するためには、少なくとも、当初予定していた公表日である2025年8月7日(以下「当初予定日」といいます。)の前営業日の終値まで公開買付価格を引き上げるよう要請を受けたとのことです。そして、2025年8月6日、公開買付者は当社及び本特別委員会に対し、2025年8月1日以降の株価動向は当社株式の本源的価値を適切に反映した水準であるとは必ずしも言えないものと認識しており、また、情報漏洩があった可能性が否定できない中で本公開買付けの開始前に公開買付価格を引き上げることは適切ではなく、賛同意見を表明いただけない場合は当初予定日の公表については延期せざるを得ない旨回答したとのことです。その後、2025年8月6日、公開買付者は、当社及び本特別委員会より公開買付価格を当初予定日の前営業日の終値である1,784円以上とするよう再検討の要請を受け、また、公開買付価格が1,784円以上であれば、本取引に対して賛同及び応募推奨を出す準備がある旨が示されたとのことです。これに対し、2025年8月7日、公開買付者は、当社及び本特別委員会に対し、改めて直近株価動向は当社株式の本源的価値を示すものとは必ずしも言えないものと認識しており、本公開買付けの開始前に公開買付価格を引き上げることは適切でないと考えている旨とともに、今後の株価動向を慎重に見守り、改めて本公開買付けの開始について提案をする可能性がある旨を回答したとのことです。その後、2025年8月7日、当社及び本特別委員会より、本取引に係る提案に対しては不賛同とし、検討を終了する旨の通達があったとのことです。その後、当社株式の株価が1,750円を下回る1,700円で2025年8月7日の取引を終えたことを受け、同日、公開買付者より本取引の検討再開の申出を行い、2025年8月8日、当社より、本公開買付けについて賛同及び応募推奨する旨の回答を受領したとのことです。

 

 以上の経緯を経て、公開買付者は、2025年7月7日以降、当社との協議と並行して、インフロニア及び前田建設工業との間で本不応募契約に関する協議を、YFOとの間で本応募契約に関する協議を、それぞれ実施したとのことです。

 具体的には、公開買付者は、2025年7月7日にインフロニアに対して、本自己株式取得スキームを前提として、本自己株式取得価格を1,476円とする提案を行い、その後、インフロニア及び前田建設工業との間で本不応募契約に関する複数回に亘る協議を行ったとのことです。公開買付者は、2025年7月28日、インフロニア及び前田建設工業より、本自己株式取得スキームを前提として本自己株式取得価格を1,476円とする提案に応じる方向で検討している旨の連絡を受けたとのことです。その後、公開買付者は、2025年7月28日、インフロニア及び前田建設工業より、本自己株式取得スキームを前提として本自己株式取得価格を1,476円とする提案に応じる旨の連絡を受けたことから、2025年8月8日付で前田建設工業との間で本不応募契約を締結したとのことです。

 また、公開買付者は、2025年7月7日にYFOに対して、当社に対するデュー・ディリジェンスの結果等を踏まえ、本自己株式取得スキームを前提として本公開買付価格を1,750円とするYFOの提案を応諾する旨の連絡を行い、その後、YFOとの間で本応募契約に関する複数回に亘る協議を行いました。公開買付者は、2025年8月8日に、YFOより、本公開買付価格を1,750円として本公開買付けへの応募合意に応じる旨の意向であることを確認したことから、2025年8月8日付でYFOとの間で本応募契約を締結したとのことです。これらの協議・交渉を経て、公開買付者は、2025年8月8日開催の取締役会において、本公開買付価格を1,750円(本公開買付価格の詳細については、下記「(3)算定に関する事項」の「② 公開買付者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」をご参照ください。)として本公開買付けを実施することを決議したとのことです。

 

③ 本公開買付け後の経営方針

 本取引後、公開買付者は、当社がこれまで推進してきた事業運営方針を尊重しつつ、本企業価値向上施策の推進により当社のさらなる成長の実現、及び公開買付者グループと当社の協業を通じたシナジー創出を目指す方針とのことですが、現時点で確定した事項はなく、本取引後に当社と協議していく予定とのことです。

 また、本取引後の当社の役員構成を含む経営体制の詳細につき、取締役会等の監督体制に関しては、公開買付者グループから役員を派遣する等、公開買付者グループの経営体制やガバナンス体制を踏まえた形への移行に向けた調整を進めつつ、業務執行体制に関しては、シナジー実現に必要な範囲の公開買付者グループからの派遣を除き、概ね現状維持を前提とすることを予定しているとのことですが、本書提出日現在において未定であり、本取引後、当社と協議しながら決定していく予定とのことです。なお、本取引の実行後においても、当社従業員については、原則として現在の雇用及び処遇を維持することを想定しているとのことです。

 

④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由

(ⅰ)検討体制の構築の経緯

 上記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載のとおり、2025年4月3日に、公開買付者より本取引の検討を行っている旨の連絡を受けたことを契機として、本取引の実施について、公開買付者との間で協議を開始するとともに、本取引の実施の是非等を含めた検討を開始いたしました。

 その後、当社は、2025年5月14日に、公開買付者から、法的拘束力のない金額レンジ(以下「初期的価格」といいます。)を含む初期的な提案書(以下「初期的提案書」といいます。)を受領したことを受け、当社の中長期的な企業価値向上及び当社株主の共同の利益の観点から、初期的提案書の内容につき、真摯な検討を行うことを決定いたしました。

 そこで、当社は、2025年5月中旬に、本公開買付価格の公正性その他の本取引の公正性を担保すべく、公開買付者、当社、インフロニア、前田建設工業及びYFOから独立したリーガル・アドバイザーとして長島・大野・常松法律事務所を、同じく公開買付者、当社、インフロニア、前田建設工業及びYFOから独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてPwCアドバイザリー合同会社(以下「PwCアドバイザリー」といいます。)をそれぞれ選任いたしました。

 また、当社は、本取引の検討を進めるに際して、本取引はいわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)や支配株主との取引等には該当しないものの、当社株式の非公開化が予定されており、その場合には当社の一般株主に大きな影響を与えること、また、本取引にあたっては初期的提案書において当社の主要株主である前田建設工業及び筆頭株主であるYFOそれぞれとの間で本不応募契約及び本応募契約を締結することが想定されており、前田建設工業及びYFOと当社の少数株主の利害が必ずしも一致しない可能性があることを踏まえて、本取引に関する検討において、当社の意思決定の恣意性を排除し、意思決定過程の公正性、透明性及び客観性を確保すべく、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載のとおり、2025年5月15日に、公開買付者、当社、インフロニア、前田建設工業、YFO並びに本取引の成否のいずれからも独立した、いずれも当社の独立社外取締役である松木和道氏、鳴澤隆氏、内山正人氏、名取勝也氏及び藤井佳子氏によって構成される、本取引の提案を検討するための特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。)を設置いたしました。なお、本特別委員会の委員の構成その他具体的な諮問事項等については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「④ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。また、当社取締役会は、本特別委員会の設置にあたり、(a)本特別委員会における判断及び検討に必要な情報を収集・受領する権限、(b)自らアドバイザー等を選任し又は当社のアドバイザー等の選任について意見する権限、(c)本特別委員会が必要と判断する場合には当社と公開買付者との協議・交渉に参加し、当社のために協議・交渉をする権限、及び(d)本取引の検討について、当社取締役会に対して、必要に応じて意見・提言する権限を付与することを決議いたしました。

 また、本特別委員会は、当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるPwCアドバイザリー並びに当社のリーガル・アドバイザーである長島・大野・常松法律事務所について、その独立性及び専門性に問題がないことを確認の上、その選任を承認いたしました。

 

(ⅱ)検討・交渉の経緯

 当社は、本特別委員会の意見を最大限尊重しつつ、PwCアドバイザリー及び長島・大野・常松法律事務所から助言を受けながら、本取引の是非及び取引条件の妥当性について慎重に検討を行うとともに、公開買付者との間で複数回にわたる協議・交渉を重ねてまいりました。

 具体的には、当社は、公開買付者から2025年5月14日に初期的提案書を受領いたしました。当社は、初期的提案書について慎重に検討を行い、公開買付者が提案する企業価値向上策が当社の中長期的な企業価値向上につながる可能性があり、価格面においても、さらなる検討及び交渉を要するものの、それまでの当社市場株価に対して一定のプレミアムが加えられており、当社の本源的価値の観点からも、検討を進めるに値する価格であると判断されたことから、当社は、2025年5月下旬から同年7月上旬まで、公開買付者による事業、財務・税務、法務等に関するデュー・ディリジェンスを受け入れ、公開買付者との間で本取引の実施において期待されるシナジーについて協議を実施いたしました。

 しかし、上記デュー・ディリジェンスを行う中、当社市場株価が上昇傾向にあり、当社の本源的価値を踏まえても、初期的価格の水準で本取引を進めた場合には当社株主の支持を得ることが期待しにくくなった状況を受け、当社は、2025年6月上旬頃、当社と公開買付者にて面談を行い、初期的価格を超える水準の公開買付価格とすることを求め公開買付者との間で協議を行っていたところ、当社は、同年6月11日、YFOから公開買付者に対し、公開買付価格を1,750円とするよう提案があり、公開買付者は、本取引の公開買付価格を1,750円とする可能性についてさらに検討を進めることをYFOに返答した旨公開買付者から報告を受けました。

 その後、当社は、2025年6月19日に、公開買付者に対し、2025年7月7日を期限として、本取引の目的、想定されるシナジー等、本取引後の経営方針及び経営体制並びに本公開買付けに係る公開買付価格等を記載した、法的拘束力を有する本取引に係る最終意向表明書の提出を求める旨の書面(以下「本プロセスレター」といいます。)を公開買付者に対して送付いたしました。

 公開買付者は、本プロセスレターに従い、本公開買付けを通じて本取引に関する正式な意向を表明する法的拘束力を有する提案書(以下「本提案書」といいます。)を準備していたところ、当社は、同年7月1日、公開買付者から、公開買付者と前田建設工業との協議において、今後の両社での交渉次第では本提案書で提示される本取引のスキーム及び公開買付価格が変わりうる状況であることの連絡を受けました。かかる報告を受け、当社は、公開買付者と前田建設工業との交渉がまとまっておらず、本取引のスキーム及び公開買付価格について前田建設工業との間で事実上の合意が得られていない状態で本提案書を受領した場合には、公開買付者との間で公開買付価格についての協議を開始することはできず、前田建設工業との間で事実上の合意が得られた段階でスキーム及び公開買付価格がある程度確実になった状態で本提案書を提出するよう要請し、あらためて法的拘束力を有する提案書を提出することを求めることになる旨伝達いたしました。

 同年7月7日、公開買付者は、PwCアドバイザリーに対して本提案書を提出いたしましたが、同日までの公開買付者と前田建設工業の協議状況等に鑑み、本取引のスキーム及び公開買付価格について前田建設工業との間で事実上の合意が得られていると判断できなかったため、本提案書については当社が求めていた法的拘束力を有する最終提案として取り扱うことはできないとした上で、速やかに本取引のスキーム及び公開買付価格についての当社と公開買付者との間の協議の土台を固め、公開買付価格について効果的に検討し公開買付者との間で交渉するため、公開買付者に対し、遅くとも2025年7月25日までに前田建設工業から本取引のスキーム及び公開買付価格についての事実上の合意を得るよう、要請いたしました。

 その後、当社は、2025年7月25日、公開買付者から、インフロニア及び前田建設工業より、本自己株式取得スキームを前提として本自己株式取得価格を1,476円とする提案に応じる旨の連絡があった旨、説明を受けました。当社は、公開買付者からのかかる説明を踏まえ、公開買付者から2025年7月7日付けで受領した最終提案書(本取引において本自己株式取得スキームを採用すること、並びに、当社の2026年3月期の中間配当及び期末配当を無配とすることを前提として、本公開買付価格を1,750円(2025年7月7日の前営業日である2025年7月4日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値1,485円に対して17.85%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値(円未満を四捨五入。以下、終値単純平均値の計算において同じとします。)1,460円に対して19.86%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値1,388円に対して26.08%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値1,368円に対して27.92%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)とし、また、買付予定数の下限を、本基準議決権数(939,620個)に50.01%を乗じた数(469,904個、小数点以下を切り上げ)から、本不応募合意株式(19,047,510株)に係る議決権の数(190,475個)を控除した数(279,429個)に当社の単元株式数である100株を乗じた株式数(27,942,900株、所有割合:29.62%)とすることを提案するもの。)は当社が求めていた法的拘束力を有する最終提案として取り扱うに足りるものであると判断した上で、2025年7月28日及び31日、公開買付者に対して、買付予定数の下限を公開買付者が提案する本基準議決権数に50.01%を乗じた数を控除した数とした場合、本基準議決権数の約1.29%の所有割合に相当する株式を保有する一般株主が応募するのみで本公開買付けが成立することとなってしまい、一般株主の判断機会の確保への配慮を欠いているとされるおそれがあることから、買付予定数の下限を引き上げるよう要請いたしました。

 また、2025年8月4日には、その前営業日である2025年8月1日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値が1,731円となり、公開買付者が本公開買付価格として提案する1,750円の当該終値に対するプレミアムが1.10%と僅少になり、その後の株価推移次第では1,750円が本公開買付けの当初の公表予定日であった2025年8月7日の前営業日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値を下回る可能性もあり、特にそのようなディスカウントによる公開買付けとなった場合には、当社の株主の皆様から十分に応募を集められず本公開買付けが不成立に終わることも懸念され、公表したにもかかわらず不成立に終わった場合には、当社の従業員・取引先を含むステークホルダーとの関係上、当社の企業価値に重大な毀損が生じるリスクがあると考えられたことから、本公開買付価格の引上げを要請いたしました。

 その後、公開買付者は、当社及び本特別委員会からの要請を踏まえて本公開買付価格の引上げ、及び買付予定数の下限設定の再検討を真摯に行い、2025年8月5日、本公開買付価格については1,750円に据え置き、買付予定数の下限を本下限(33,035,700株、所有割合:35.02%)に設定する旨を当社及び本特別委員会へ回答いたしました。

 かかる公開買付者からの通知を受け、当社は、2025年8月6日、公開買付者に対して、当社の懸念は引き続き払拭されず、本公開買付価格の引上げについて再考するよう要請いたしました。これに対して、公開買付者は、同日、公開買付価格を1,750円とする公開買付けに対して当社が賛同意見を表明できない場合には、本公開買付けの公表を延期せざるを得ない旨通知いたしました。これを受けて、当社は、公開買付者に対して、同日中にあらためて、直近株価に対するディスカウントで本取引を公表することについては受け入れ困難であり、当初の公表予定日であった2025年8月7日の朝までに、2025年8月6日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値である1,784円以上での公開買付けを公表する旨の連絡がない場合には、本取引の検討を終了する旨を通知いたしました。

 公開買付者は、当社及び本特別委員会に対して、2025年8月7日、公開買付価格の引上げには応じられない旨回答いたしました。

 本公開買付けの公表予定日であった2025年8月7日の時点において、公開買付者から提示された公開買付価格である1,750円は、その前営業日である2025年8月6日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値1,784円を下回っていたものであるところ、ディスカウントによる公開買付けについては、アクティビストの介入リスクを含め株主がどのように判断するか見通しが立たず成立見込みには強い懸念があり、公表したにもかかわらず不成立に終わった場合には、当社の従業員・取引先を含むステークホルダーとの関係上、当社の企業価値に重大な毀損が生じるリスクがあると考えられること等に鑑み、当社は、2025年8月7日に公開買付価格を1,750円とする公開買付けを公表したいとする公開買付者からの提案に対しては、不賛同とすることとし、本取引の検討を終了することとし、当社としての結論を公開買付者に対して通知いたしました。またあわせて、当社取締役会は、本特別委員会を廃止いたしました。

 しかし、公開買付者は、2025年8月8日、かかる通知後に当社株価が2025年8月7日前場終値(1,792円)から同日終値(1,700円)まで急落したことを受け、当社に対して、あらためて、公開買付価格を1,750円とする公開買付けを2025年8月8日に公表したい旨通知いたしました。そこで、当社取締役会は、2025年8月8日、前日に廃止した本特別委員会を復活させ本取引についての検討を継続させることを決議した上で、本取引について本特別委員会に対してあらためて諮問いたしました。

 そして、当社は、2025年8月8日、本特別委員会から、(a)本取引は当社の企業価値の向上に資するものであると認められる、(b)本取引の検討・協議・交渉に係る手続は公正であったと認められる、(c)本取引の手法・取引条件は公正・妥当であると認められる、(d)上記(a)乃至(c)を踏まえて、当社取締役会における本取引の決定が当社の少数株主にとって不利益でないと認められることから、当社取締役会は、本公開買付けに賛同の意見を表明し、当社株主に対して本公開買付けへの応募を推奨するべきである旨の本答申書(下記「(ⅲ)当社の意思決定の内容」に定義します。)提出を受けております(本答申書の概要については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「④ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)。

 なお、本取引の検討及び決定に際しての当社の意思決定過程における恣意性を排除する観点から、過去に公開買付者の執行役員であった当社の社外取締役である岡田雅晴氏については、本取引に関する当社の取締役会の審議及び決議には参加しておらず、本取引に関する当社における意思決定には一切関与しておりません。

 

(ⅲ)当社の意思決定の内容

 以上の経緯を経て、当社は、長島・大野・常松法律事務所から受けた本公開買付けを含む本取引に関する意思決定過程、意思決定方法その他本公開買付けを含む本取引に関する意思決定にあたっての留意点についての法的助言、PwCアドバイザリーから受けた財務的見地からの助言、及び当社がPwCアドバイザリーから2025年8月7日付で取得した株式価値算定書(以下「本株式価値算定書」といいます。)の内容を踏まえつつ、本特別委員会から提出を受けた2025年8月8日付答申書(以下「本答申書」といいます。なお、本答申書の概要については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「④ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)において示された本特別委員会の判断内容を最大限尊重しながら、本公開買付けを含む本取引が当社の企業価値の向上に資するか否か、及び本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件が妥当なものか否かについて、慎重に検討・協議を行いました。

 その結果、当社は、以下の観点から、本取引が当社の企業価値向上に資するものであると判断いたしました。すなわち、当社と公開買付者は、本取引によって事業面・財務面・人材交流面・管理面等における総合的な両社の連携が進み、以下の点で当社にシナジー効果ないしメリットをもたらすと判断しております。

 

 本取引の実行により想定される具体的なシナジーは、以下のとおりです。

(a)事業・経営基盤強化に関するシナジー

 公開買付者の作業所業務推進センター(注27)等の事業基盤を活用することで、DX推進等による間接業務の集約、設計・積算業務の高度化による生産性向上、主要資材の集中購買によるコスト競争力強化、知名度を活用した採用力強化やジョブローテーション等を通じた育成強化、そして資本力強化を背景とした洋上風力や土木技術の開発及び設備投資の更なる推進が可能となると考えております。

(注27) 「作業所業務推進センター」とは、作業所業務の分業化と効率化を推進するため、全国の作業所の集約可能な業務を代行して行う、公開買付者の建築本部・土木本部内に設置された組織を指します。

 

 また、事業別には下記のとおり、当社の施策における効果を期待しております。

(b)土木事業

 陸上工事において公開買付者の優れた技術力・ノウハウを活用し、協業(JV含む)を通じた落札率の向上やより大型の案件獲得による収益拡大が期待されるほか、カーボンニュートラル関連施設といった民間大型案件における海陸共同提案を通じた受注増加、さらに海外工事の共同受注及び公開買付者のPPP/PFI関連案件への参画による新たな収益機会の創出が可能になると考えております。

(c)建築事業

 公開買付者の営業ネットワークを活用することで、より大型・高収益・高生産性案件を中心とした案件機会の増加が期待されるほか、新築やReReC案件におけるカーボンニュートラル対応力やZEB/ZEH(注28)ノウハウを強化し、提案力の向上と受注機会の増加を図ることができると考えております。また構造や設備など設計機能が強化されることによって設計施工案件の受注機会増と収益性向上も可能になると考えております。

(d)洋上風力事業

 当社及び公開買付者でそれぞれ開発・実証実験を進める浮体式洋上風力事業について、その実用化に向けた共同開発の取り組みを強化するとともに、公開買付者との連携により陸上系統工事と洋上風力ケーブル敷設埋設工事の共同受注の推進、受注機会の拡大が可能になると考えております。また今後実際のプロジェクトを受注・推進していくにあたって、公開買付者の有する法務・財務や事業開発のノウハウや洋上風力のプロジェクト全体のエンジニアリングノウハウを活用・補完することで、当社の洋上風力事業の立ち上げに向けた取り組みがより着実なものになると考えております。

(注28) 「ZEB(NetZero Energy Building)/ZEH(Net Zero Energy House)」とは、ネット・ゼロ・エネルギーを達成することを目的とした建築物を指します。

 

 なお、本取引によるディスシナジーとしては、(a)公開買付者以外のゼネコンからの受注及びJV組成の機会逸失、(b)案件獲得に際しての両社の連携不足による失注の可能性、(c)当社が上場会社でなくなることにより、上場会社として享受してきた知名度や社会的信用力、人材の確保に影響を及ぼす可能性等の懸念、(d)当社株式の非公開化により、当社は、資本市場からエクイティ・ファイナンスによる資金調達を行うことができなくなることといった、これまで上場会社として享受してきたメリットを喪失する可能性があるものの、上記(a)については、足元の市場環境を踏まえれば、他案件への置換等により十分補完可能と考えており、公開買付者との協業によって、これまで以上の受注が可能になると考えていること、上記(b)については、本取引成立後の入念なPMI、制度設計を行い、特にマネジメントレベルから現場レベルで意思疎通が容易になるよう、両社でコミュニケーションを図り、取り組み案件の事前調整を入念に行うことで失注リスクを減らせると考えていること、上記(c)については、当社の上場維持コストの削減や、両社の従業員の間での交流によって、ノウハウの共有や適材適所の実現が可能であり、より良い職場環境の醸成につながるものと考えており、上記のシナジーの発揮によりディスシナジーを大幅に上回る効果を生み出すことができると考えております。また、業界内における当社の社会的信用や知名度は公開買付者グループに入ることで、むしろ高まることも想定されることから、非公開化による取引先や従業員への影響は限定的であり、業界内での知名度が低減するということも想定しておりません。上記(d)については、当社の自己資本比率は2020年3月期以降、常に40%以上の十分な自己資本水準を維持していることから、当面の間、市場を通じたエクイティ・ファイナンスの必要性は低いため、今後の当社の事業拡大において、当社が上場会社である必要性は高くないと考えております。

 

 以上に加えて、当社は、本公開買付価格について、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「② 当社における独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載されているPwCアドバイザリーによる本株式価値算定書における当社株式の株式価値の算定結果のうち、市場株価基準方式による算定結果のレンジの上限と同値であり、ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー方式(以下「DCF方式」といいます。)による算定結果のレンジの中央値を上回るものであります。なお、本公開買付価格は、本公開買付けの公表日の前営業日である2025年8月7日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値1,700円に対して2.94%、また、2025年7月8日から2025年8月7日までの過去1ヶ月の終値単純平均株価1,613円に対して、8.49%、2025年5月8日から2025年8月7日までの過去3ヶ月の終値単純平均株価1,492円に対して17.29%、2025年2月10日から2025年8月7日までの過去6ヶ月の終値単純平均株価1,415円に対して23.67%のプレミアムを加えた価格であるところ、経済産業省が「公正なM&Aの在り方に関する指針」(以下「M&A指針」といいます。)を公表した2019年6月28日以降に公表の時価総額1,000億円以上の国内上場企業を対象とし、完全子会社化又は非公開化を企図した上限が付されていない他社株公開買付けの事例(REIT関連事例、マネジメント・バイアウト(MBO)事例、対抗的な公開買付けの事例、公開買付け公表時点において対象者が応募推奨を決議していない事例、及び公開買付者と対象会社との間に一定の資本関係がある事例等を除く。)13件のプレミアム水準(公表日前営業日の終値に対するプレミアムの中央値・平均値(26.48%、28.71%)、直近1ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアムの中央値・平均値(34.98%、37.14%)、直近3ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアムの中央値・平均値(42.81%、46.19%)及び直近6ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアムの中央値・平均値(54.34%、54.44%))と比較して、遜色のない水準であるとは言い難いものであります。しかし、当社は、2023年以降、2つの公開買付け(うち1つは予告)の対象になりながらもいずれも不成立又は撤回となって上場を維持しており、かつ、これらの公開買付けを試みた前田建設工業及びYFOのいずれもが20%以上を保有し続けている特殊な状況にあり、EBITDAマルチプルの同業他社と比較した顕著な上昇傾向が各年利益の増減に影響されず一貫して継続していることから当社の株価に特殊な要因が寄与していることがうかがわれ、本公開買付価格を評価する上で、類似事例におけるプレミアムとの比較は参照価値が低いとも考えられるところであります。一方、本公開買付価格は、当社がYFO及び前田建設工業の交渉力も活用しつつ、公開買付者との間で建設的かつ効果的に十分な交渉を尽くした結果として得られた価格であると評価することができ、PwCアドバイザリーによる本株式価値算定書におけるDCF方式の算定結果を踏まえると、当社の本源的な株式価値を十分に反映した合理的な水準にある価格と評価できると考えており、プレミアムが類似事例における水準と比較して低いことは、本公開買付価格の合理性に疑義を生じさせるものではないと考えております。下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載の本公開買付けの公正性を担保するための措置が採られており、当社の少数株主の利益への配慮がなされていると認められること等を踏まえて総合的に判断すると、本公開買付価格は、妥当なものであり、本公開買付けは当社の株主の皆様に対して合理的な株式売却の機会を提供するものであると判断いたしました。

 なお、本公開買付け公表日に向けて当社の株価が乱高下する中で、本公開買付価格はその2営業日前から4営業日前の終値を下回っており、前営業日である2025年8月7日の終値に対するプレミアムも僅少であることから、本公開買付けへの応募について、当社の株主に対して推奨すべきか、その判断に委ねるべきかを検討いたしましたが、本公開買付価格は、公開買付者との間で十分な交渉を尽くした上で得られた価格であり、第三者算定機関による当社株式の価値算定結果との比較の観点においても合理的な水準にあると考えられる妥当な価格であると認められ、また、2025年8月6日の取引終了に向けた当社の株価は合理的な理由に基づいて価格形成されていなかった可能性もあるとのPwCアドバイザリーの助言に基づき、これらの点をもって当社の株主に対して応募を推奨するに足りると判断いたしました。

 以上より、当社は、2025年8月8日開催の取締役会において、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けに応募することを推奨する旨を決議いたしました。当該取締役会決議の詳細については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑤ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び監査役全員の異議がない旨の意見」をご参照ください。

 

 なお、当社は、前田建設工業との間で、本公開買付けの成立を条件として、2002年7月に締結した業務提携基本協定書に基づく資本業務提携を解消することについて合意しており、上記の取締役会において決議しております。詳細につきましては、当社が2025年8月8日付で公表した「資本業務提携の解消及びその他の関係会社の異動(予定)に関するお知らせ」をご参照ください。

 

(3)算定に関する事項

① 当社における独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関からの株式価値算定書の取得

(ⅰ)第三者算定機関の名称並びに当社及び公開買付者との関係

 当社は、本公開買付けに関する意見表明を行うにあたり、公開買付者から提示された本公開買付価格に対する意思決定の公正性を担保するために、当社、公開買付者、インフロニア、前田建設工業及びYFOから独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるPwCアドバイザリーに対し、当社株式価値の算定及び付随する財務分析を依頼し、同社から2025年8月7日付で、本株式価値算定書を取得いたしました。なお、PwCアドバイザリーは、当社及び公開買付者の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。

 なお、当社は、公開買付者及び当社において、少数株主の利益に配慮して、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載した本公開買付けの公正性を担保するための措置を実施していることを踏まえ、当社の少数株主の利益には十分な配慮がなされていると考え、PwCアドバイザリーから本公開買付けの価格の公正性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)は取得しておりません。

 また、本取引に係るPwCアドバイザリーに対する報酬には、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬が含まれております。当社は、本取引が不成立となった場合に生じる当社の金銭的負担が成功報酬を含まない報酬体系に比べて小さい面で当社にとっての経済的合理性があることに加え、同種の取引における一般的な実務慣行及び本取引が成立した場合に限って支払われる報酬体系ではないこと等に鑑み本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬が含まれていることをもって独立性が否定されるわけではないと判断の上、上記の報酬体系によりPwCアドバイザリーを当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として選任しており、本特別委員会においても、PwCアドバイザリーの独立性に問題ないことが確認されております。

 

(ⅱ)算定の概要

 PwCアドバイザリーは、複数の株式価値算定手法の中から当社株式の株式価値算定にあたり採用すべき算定手法を検討した上、当社が継続企業であるとの前提の下、当社株式の株式価値について多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、当社株式が東京証券取引所プライム市場に上場しており、市場株価が存在することから市場株価基準方式を、また、当社の将来の事業活動の状況を評価に反映するためにDCF方式を用いてそれぞれ株式価値の算定を行いました。

 PwCアドバイザリーが上記各手法に基づき算定した当社株式の1株当たりの株式価値はそれぞれ以下のとおりです。

 

市場株価基準方式:1,415円~1,750円

DCF方式   :1,336円~1,854円

 

 市場株価基準方式では、本公開買付けの公表日の前営業日にあたる2025年8月7日を基準日として、東京証券取引所プライム市場における当社株式の基準日終値1,700円、直近1週間平均値1,750円、直近1ヶ月間の終値平均値1,613円、直近3ヶ月間の終値平均値1,492円及び直近6ヶ月間の終値平均値1,415円を基に、当社株式の1株当たり株式価値の範囲を1,415円から1,750円と算定しております。

 DCF方式では、中期経営計画(当社)を基に、足許の実績及び事業環境を勘案して作成した2026年3月期から2028年3月期までの3期分の事業計画における収益及び投資計画(以下「本事業計画」といいます。)、当社の2025年3月期における財務情報及び一般に公開された情報等の諸要素を前提として、当社が2026年3月期以降に創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを、事業リスクを考慮した適切な割引率で現在価値に割り引いて当社の株式価値を算定し、当社株式の1株当たり株式価値の範囲を1,336円から1,854円と算定しております。

 なお、本事業計画には、大幅な増減益を見込んでいる事業年度は含まれておりませんが、フリー・キャッシュ・フローの大幅な増減を見込んでいる事業年度が含まれます。具体的には、2027年3月期においては営業利益の増益及び運転資本の減少によりフリー・キャッシュ・フローはマイナス13,265百万円からマイナス8,731百万円に増加を見込んでおり、2028年3月期においても、営業利益の増益及び運転資本の減少により、フリー・キャッシュ・フローはマイナス8,731百万円から4,921百万円に増加を見込んでおります。

 また、本事業計画は本取引の実施を前提としたものではなく、上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載の本取引後の具体的な施策及びその効果については含んでおりません。なお、本事業計画は、公開買付者、本応募合意株主及び本不応募合意株主から独立した当社関係者による主導の下で作成されており、作成過程において公開買付者らが関与した事実はございません。本特別委員会は、当社が本取引のために本事業計画を作成するにあたり、事業計画案の内容及び重要な前提条件等について説明を受けるとともに、最終的な本事業計画の内容、重要な前提条件及び作成経緯等について合理性を確認し、承認をしております。

(注28) PwCアドバイザリーは、当社株式の株式価値の算定に際して、当社から受けた情報、ヒアリングにより聴取した情報、一般に公開された情報等を原則としてそのまま採用し、採用したそれらの資料及び情報が全て正確かつ完全なものであること、かつ、当社株式の株式価値の算定に重大な影響を与える可能性がある事実でPwCアドバイザリーに対して未開示の事実はないことを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性の検証を行っておりません。加えて、本事業計画に関する情報については、当社の経営陣による現時点で得られる最善の予測と判断に基づき合理的に作成されたことを前提としております。また、当社の資産及び負債(金融派生商品、簿外資産及び負債、その他偶発債務を含みます。)に関して独自に評価、鑑定又は査定を行っておらず、第三者機関への評価、鑑定又は査定の依頼も行っておりません。PwCアドバイザリーによる当社株式の株式価値の算定は、2025年8月7日までの上記情報を反映したものです。PwCアドバイザリーは、算定の基礎とした本事業計画について、複数回、当社と質疑応答を行い、また、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「④ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、本特別委員会がその内容、重要な前提条件及び作成経緯等の合理性を確認しております。

 

② 公開買付者における独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関からの株式価値算定書の取得

(ⅰ)第三者算定機関の名称並びに当社及び公開買付者との関係

 公開買付者は、本公開買付価格の公正性を担保するため、本公開買付価格を決定するに際して、公開買付者、当社、インフロニア、前田建設工業及びYFOから独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるみずほ証券に対して、当社株式の株式価値の算定を依頼し、2025年8月7日付で、株式価値算定書(以下「本株式価値算定書(みずほ証券)」といいます。)を取得したとのことです。

 なお、みずほ証券は公開買付者、当社、インフロニア、前田建設工業及びYFOの関連当事者には該当せず、本取引に関して重要な利害関係を有していないとのことです。みずほ証券のグループ会社である株式会社みずほ銀行(以下「みずほ銀行」といいます。)は、公開買付者の株主たる地位を有しているほか、公開買付者、当社、インフロニア及び前田建設工業に対して通常の銀行取引の一環としての融資取引等を行っており、また、みずほ証券のグループ会社であるみずほ信託銀行株式会社(以下「みずほ信託銀行」といいます。)は公開買付者に対して通常の銀行取引の一環としての融資取引等を行っておりますが、本取引に関して公開買付者、当社、インフロニア、前田建設工業及びYFOとの利益相反にかかる重要な利害関係を有していないとのことです。みずほ証券によれば、みずほ証券は金融商品取引法(昭和23年法律第25号。その後の改正を含みます。)第36条及び金融商品取引業等に関する内閣府令(平成19年内閣府令第52号。その後の改正を含みます。)第70条の4の適用法令に従い、みずほ証券とみずほ銀行及びみずほ信託銀行間の情報隔壁措置等の適切な利益相反管理体制を構築し、かつ実施しており、みずほ銀行及びみずほ信託銀行の株主及び貸付人の地位とは独立した立場で算定を行っているとのことです。公開買付者は、みずほ証券とみずほ銀行及びみずほ信託銀行間で情報隔壁措置等の適切な弊害防止措置が講じられていること、公開買付者とみずほ証券は一般取引先と同様の取引条件での取引を実施しているため、みずほ証券は第三者算定機関としての独立性が確保されていること、みずほ証券は過去の同種事案の第三者算定機関としての実績を有していること等を踏まえ、公開買付者はみずほ証券を独立した第三者算定機関として選定したとのことです。

 

(ⅱ)算定の概要

 みずほ証券は、当社の財務状況、当社株式の市場株価の動向等について検討を行った上で、多面的に評価することが適切であると考え、複数の株式価値算定手法の中から採用すべき算定手法を検討した結果、市場株価基準法、類似企業比較法及びDCF法の各手法を用いて当社株式の価値算定を行ったとのことです。上記各手法において算定された当社株式1株当たりの株式価値の範囲はそれぞれ以下のとおりです。

 

市場株価基準法:1,415円から1,700円

類似企業比較法:1,093円から1,574円

DCF法   :1,166円から2,164円

 

 なお、本公開買付価格である1,750円は、本公開買付けの公表日の前営業日である2025年8月7日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値1,700円に対して2.94%、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値1,613円に対して8.49%、同過去3ヶ月間の終値の単純平均値1,492円に対して17.29%、同過去6ヶ月間の終値の単純平均値1,415円に対して23.67%のプレミアムをそれぞれ加えた価格となるとのことです。

 

(4)上場廃止となる見込み及びその事由

 当社株式は、本書提出日現在、東京証券取引所プライム市場に上場しておりますが、公開買付者は本公開買付けにおいて買付予定数に上限を設定していないため、本公開買付けの結果次第では、当社株式は、東京証券取引所の上場廃止基準に従い、所定の手続を経て上場廃止となる可能性があります。

 また、本公開買付けの成立時点で当該基準に該当しない場合でも、公開買付者は、本公開買付けの成立後、下記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、本株式併合を実施することを予定しているとのことですので、その場合、当社株式は東京証券取引所の上場廃止基準に従い、所定の手続を経て上場廃止となります。なお、上場廃止後は、当社株式を東京証券取引所プライム市場において取引することはできません。

 

(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)

 公開買付者は、上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」に記載のとおり、本公開買付けにより、当社株式の全て(ただし、当社が所有する自己株式及び不応募合意株式を除きます。)を取得できなかった場合には、本公開買付けの決済の完了後速やかに、当社に対し、以下の方法により、当社の株主を公開買付者及び前田建設工業のみとし、当社を完全子会社化することを目的とした本スクイーズアウト手続を実施することを予定しているとのことです。

 具体的には、公開買付者は、会社法第180条に基づき当社株式の併合(以下「本株式併合」といいます。)及び本株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といいます。)を開催することを、本公開買付けの決済の完了後速やかに当社に要請する予定とのことです。なお、公開買付者及び前田建設工業は本臨時株主総会において上記各議案に賛成する予定とのことです。

 本臨時株主総会において本株式併合の議案についてご承認をいただいた場合には、本株式併合がその効力を生ずる日において、当社の株主の皆様は、本臨時株主総会においてご承認をいただいた本株式併合の割合に応じた数の当社株式を所有することとなるとのことです。本株式併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、端数が生じた当社の株主の皆様に対して、会社法第235条その他の関係法令の定める手続に従い、当該端数の合計数(合計した数に1株に満たない端数がある場合には、当該端数は切り捨てられます。以下同じです。)に相当する当社株式を当社又は公開買付者に売却すること等によって得られる金銭が交付されることになるとのことです。当該端数の合計数に相当する当社株式の売却価格については、当該売却の結果、本公開買付けに応募されなかった当社の株主に交付される金銭の額が、本公開買付価格に当該株主の皆様が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一となるように算定した上で、裁判所に対して任意売却許可の申立てを行うことを当社に対して要請する予定とのことです。また、当社株式の併合の割合は、本書提出日現在において未定ですが、公開買付者は、当社に対して、公開買付者及び前田建設工業が当社株式の全て(ただし、当社が所有する自己株式を除きます。)を所有することとなるよう、本公開買付けに応募されなかった当社の株主の皆様(公開買付者、前田建設工業及び当社を除きます。)の所有する当社株式の数が1株に満たない端数となるように決定するよう要請する予定とのことです。当社は本公開買付けが成立した場合には、公開買付者によるこれらの要請に応じる予定です。本臨時株主総会を開催する場合、2025年11月中旬頃を目途に開催される予定ですが、その具体的な手続及び実施時期等については、当社と協議の上、決定次第、当社が速やかに公表する予定とのことです。

 本株式併合に関連する少数株主の権利保護を目的とした会社法上の規定として、本株式併合により株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、会社法第182条の4及び第182条の5その他の関係法令の定めに従って、当社の株主の皆様(公開買付者及び当社を除きます。)は、当社に対してその所有する株式のうち1株に満たない端数となるものの全部を公正な価格で買い取ることを請求することができる旨及び裁判所に対して当社株式の価格決定の申立てを行うことができる旨が定められているとのことです。

 上記のとおり、本株式併合においては、本公開買付けに応募されなかった当社の株主の皆様(公開買付者、前田建設工業及び当社を除きます。)の所有する当社株式の数は1株に満たない端数となる予定ですので、本株式併合に反対する当社の株主の皆様(公開買付者、前田建設工業及び当社を除きます。)は、上記申立てを行うことができることになる予定とのことです。なお、上記申立てがなされた場合の当社株式の買取価格は、最終的には裁判所が判断することとなるとのことです。

 上記の本株式併合の手続については、関係法令についての改正、施行、当局の解釈等の状況等によっては、実施の方法及び時期に変更が生じる可能性があるとのことです。ただし、その場合でも、本公開買付けに応募されなかった当社の株主の皆様(公開買付者、前田建設工業及び当社を除きます。)に対しては、最終的に金銭を交付する方法が採用される予定であり、その場合に当該各株主に交付される金銭の額については、本公開買付価格に当該各株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一になるよう算定する予定とのことです。以上の場合における具体的な手続及びその実施時期等については、当社と協議の上、決定次第、当社が速やかに公表する予定とのことです。

 なお、本公開買付けへの応募又は上記の各手続における税務上の取扱いについては、当社の株主の皆様において自らの責任にて税理士等の専門家にご確認いただきますようお願いいたします。

 

(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置

 本書提出日現在、公開買付者は当社株式を所有しておらず、本公開買付けは支配株主による公開買付けには該当いたしません。また、当社の経営陣の全部又は一部が公開買付者に直接又は間接に出資することも予定されておらず、本公開買付けを含む本取引は、いわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)取引にも該当いたしません。もっとも、①本公開買付けは公開買付者が当社を完全子会社化することを前提として行われ、当社の一般株主に大きな影響を与えること、並びに②(ⅰ)本不応募契約において、当社の主要株主である前田建設工業が、本不応募合意株式(19,047,510株、所有割合:20.19%)を本公開買付けに応募しないこと、及び、本自己株式取得に応じて本不応募合意株式を売却することについて合意していること、(ⅱ)本応募契約において、筆頭株主であるYFOが、その所有する本応募合意株式(所有株式数:26,907,900株、所有割合:28.53%)を本公開買付けに応募することについて合意していることから、前田建設工業及びYFOと当社の少数株主の利害が必ずしも一致しない可能性があることを踏まえ、当社は、本公開買付価格の公正性を担保しつつ、本公開買付けの実施を決定するに至る意思決定の過程における恣意性及び利益相反のおそれを排除し、本取引の公正性及び透明性を担保するため、以下の措置を講じております。

 なお、公開買付者は、本公開買付けにおいて、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)の買付予定数の下限を設定すると、本公開買付けの成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けによる当社株式の売却を希望する当社の少数株主の皆様の利益に資さない可能性もあるものと考え、本公開買付けにおいて、「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)に相当する買付予定数の下限は設定しておりませんが、公開買付者及び当社において、以下の措置をそれぞれ実施していることから、公開買付者としては、当社の少数株主の皆様の利益には十分な配慮がなされていると考えているとのことです。

 以下の記載のうち、公開買付者において実施した措置等については、公開買付者から受けた説明に基づくものです。

 

① 公開買付者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得

 公開買付者は、本公開買付価格の公正性を担保するため、本公開買付価格を決定するに際して、公開買付者、当社、インフロニア、前田建設工業及びYFOから独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるみずほ証券に対して、当社株式の株式価値の算定を依頼し、本株式価値算定書(みずほ証券)を取得したとのことです。公開買付者がみずほ証券から取得した本株式価値算定書(みずほ証券)の詳細については、上記「(3)算定に関する事項」の「② 公開買付者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」をご参照ください。

 

② 当社における独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関からの株式価値算定書の取得

 当社は、公開買付者、当社、インフロニア、前田建設工業及びYFOのいずれからも独立した第三者算定機関として、PwCアドバイザリーを選任し、本公開買付価格に関する公開買付者との交渉方針に関する助言を含めて、本取引の検討過程全般にわたって財務的見地からの助言を受けております。また、当社は、公開買付者から提示された本公開買付価格に対する意思決定の過程における公正性を担保するために、PwCアドバイザリーに対し、当社株式の株式価値の算定を依頼し、2025年8月7日付で本株式価値算定書を取得いたしました。本株式価値算定書の概要については、上記「(3)算定に関する事項」の「① 当社における独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」をご参照ください。

 

③ 当社における独立したリーガル・アドバイザーからの助言の取得

 当社は、本公開買付けを含む本取引に係る当社取締役会の意思決定の公正性及び適正性を確保するために、公開買付者、当社、インフロニア、前田建設工業及びYFOのいずれからも独立したリーガル・アドバイザーとして長島・大野・常松法律事務所を選任し、同事務所から、本取引において手続の公正性を確保するために講じるべき措置に関する助言を含めて、本取引の検討過程全般にわたって法的助言を受けております。なお、長島・大野・常松法律事務所は、公開買付者、当社、インフロニア、前田建設工業及びYFOのいずれの関連当事者にも該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。長島・大野・常松法律事務所に対する報酬には、本取引の公表や成立等を条件に支払われる成功報酬は含まれておりません。また、本特別委員会においては、長島・大野・常松法律事務所の独立性に問題がないことを確認しております。

 

④ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得

(ⅰ)設置等の経緯

 本取引はいわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)や支配株主との取引等には該当しないものの、当社株式の非公開化が予定されており、その場合には当社の一般株主に大きな影響を与えること、また、本取引にあたっては初期的提案書において当社の主要株主である前田建設工業及び筆頭株主であるYFOそれぞれとの間で本不応募契約及び本応募契約を締結することが想定されており、前田建設工業及びYFOと当社の少数株主の利害が必ずしも一致しない可能性があることを踏まえ、当社は、本取引に係る当社の意思決定の恣意性を排除し、意思決定の過程の公正性、透明性及び客観性を確保することを目的として、2025年5月15日に開催した当社取締役会において、当社の独立社外取締役である松木和道氏、鳴澤隆氏、内山正人氏、名取勝也氏及び藤井佳子氏の5名から構成される本特別委員会を設置する旨を決議いたしました。また、当社は、2025年8月7日に開催した取締役会において本特別委員会の廃止を決議いたしましたが、2025年8月8日に開催した取締役会においてこれを復活させる旨の決議をいたしました(経緯の詳細については、下記(ⅲ)(b)の答申理由の記載をご参照ください。)。なお、当社は本特別委員会の委員として設置当初からこの5名を選定しており、本特別委員会の委員を変更した事実はありません。また、本特別委員会の互選により、松木和道氏が本特別委員会の委員長に就任しております。また、本特別委員会の委員の報酬は、答申内容にかかわらず稼働時間に時間単価を乗じて算出するものとしており、本取引の成立等を条件とする成功報酬は採用しておりません。当社は、本特別委員会の委員について、いずれも公開買付関係者からの独立性並びに本取引の成否からの独立性を有することを確認しております。

 当社取締役会は、本特別委員会に対し、(a)本取引が当社の企業価値の向上に資するものであるか否か、(b)本取引の検討・協議・交渉に係る手続が公正であったか否か、及び、(c)本取引の手法・取引条件が公正・妥当であるか否か、(d)上記(a)乃至(c)を踏まえて、当社取締役会における本取引の決定が当社の少数株主にとって不利益でないか否かを踏まえて、当社取締役会が本公開買付けについて賛同し、当社株主に対して本公開買付けへの応募を推奨するべきか否かについての検討を諮問(以下「本諮問事項」といいます。)し、当社取締役会に答申書を提出することを要請いたしました。なお、当社取締役会は、(ア)当社の企業価値向上に資するか否かの観点から、本取引の是非について検討・判断するとともに、(イ)当社の一般株主の利益を図る観点から、取引条件の妥当性及び手続の公正性(本取引のために講じられた公正性担保措置の内容を含みます。)について検討・判断するものとすることを併せて決議しております。

 また、当社取締役会は、本取引の実施に関する当社取締役会の意思決定は、本公開買付けへの賛否を含め、本特別委員会の判断内容を最大限尊重しなければならず、本取引の取引条件について本特別委員会が妥当でないと判断した場合には、当社取締役会は本取引の実施を決定しないことを併せて決議しております。

 当社取締役会は、本特別委員会に対し、(a)本特別委員会における判断及び検討に必要な情報を収集・受領する権限、(b)自らアドバイザー等を選任し又は当社のアドバイザー等の選任について意見する権限、(c)本特別委員会が必要と判断する場合には当社と公開買付者との協議・交渉に参加し、当社のために協議・交渉をする権限、及び(d)本取引の検討について、当社取締役会に対して、必要に応じて意見・提言する権限を付与することを決定しております。

 

(ⅱ)検討の経緯

 本特別委員会は、2025年5月15日から2025年8月8日までの間に合計17回にわたって開催されたほか、各会日間においても電子メールを通じて報告・情報共有、審議及び意思決定を行うなどして、本諮問事項に係る協議及び検討を行っております。

 具体的には、長島・大野・常松法律事務所及びPwCアドバイザリーについて、その独立性及び専門性に問題がないことを確認の上、それぞれを当社のリーガル・アドバイザー及びファイナンシャル・アドバイザー兼第三者算定機関として選任することについて承認しております。また、本特別委員会は、当社が社内に構築した本取引の検討体制に独立性の観点から問題がないことを確認の上、承認をしております。

 また、本特別委員会は、本事業計画の内容、重要な前提条件及び作成経緯等について合理性を確認し、承認をしております。上記「(3)算定に関する事項」の「① 当社における独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」「(ⅱ)算定の概要」に記載のとおり、PwCアドバイザリーは、本事業計画を前提として当社株式の価値算定を実施しておりますが、本特別委員会は、PwCアドバイザリーから、実施した当社株式の価値算定に係る算定方法、当該算定方法を採用した理由、各算定方法による算定の内容及び重要な前提条件について説明を受け、質疑応答及び審議・検討を行った上で、これらの事項について合理性を確認しております。

 さらに、本特別委員会は、PwCアドバイザリー及び長島・大野・常松法律事務所から、本取引の手続面における公正性を担保するための措置並びに本取引に係る当社取締役会の意思決定の方法及び過程その他の利益相反を回避するための措置の内容について説明を受け、本取引において手続の公正性を確保するために講じるべき措置について審議・検討を行っております。

 その他、本特別委員会は、(a)当社及び公開買付者より提出された各資料及び書類の検討、(b)公開買付者に対する、本取引の意義・目的、本取引による企業価値向上策・シナジー、本取引のディスシナジー、本取引後の経営方針、想定取引スキーム等に関する事項の当社と連名の質問書の送付、(c)当社の役職員に対する、本取引による企業価値向上策・シナジー、本取引のディスシナジー、本取引後の経営方針等に関する事項の確認、並びに(d)PwCアドバイザリーに対する当社株式の価値分析に関する事項の確認を行っております。また、本特別委員会は、当社から、公開買付者と当社との間における本取引に係る協議及び交渉の経緯及び内容等につき適時に報告を受けた上で、本特別委員会を開催して協議及び交渉の方針等を協議し、上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、当社が公開買付者から2025年7月7日付けで受領した最終提案書を法的拘束力を有する最終提案として取り扱うに足りるものであると判断するに至るまでの過程、一般株主の判断機会の確保に配慮するための買付予定数の下限の引上げ交渉及び公開買付けの成立可能性を確保するための公開買付価格の引上げ交渉について、意見を述べたり、当社と連名で公開買付者に対して書簡を送付したりする等して、公開買付者との交渉過程に実質的に関与しております。

 

(ⅲ)判断内容

 本特別委員会は、上記のとおり本諮問事項について慎重に協議及び検討を重ねた結果、2025年8月8日付で、当社取締役会に対し、委員全員の一致で、大要以下を内容とする本答申書を提出しております。

 

(a)答申内容

(ア)本取引は当社の企業価値の向上に資するものであると認められる。

(イ)本取引の検討・協議・交渉に係る手続は公正であったと認められる。

(ウ)本取引の手法・取引条件は公正・妥当であると認められる。

(エ)上記(ア)乃至(ウ)を踏まえて、当社取締役会における本取引の決定が当社の少数株主にとって不利益でないと認められる。

 

 よって、当社取締役会は、本公開買付けに賛同の意見を表明し、株主に対して本公開買付けへの応募を推奨するべきである。

 

(b)答申理由

(ア)本取引が当社の企業価値の向上に資するものであるか否かという観点からの検討

・本特別委員会は、公開買付者が考える本取引により期待されるシナジー及びデメリット並びに本取引後の経営方針について、大要上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載の公開買付者の想定するシナジー及びデメリット並びに「③ 本公開買付け後の経営方針」に記載のとおり説明を受け、当社執行サイドが考える本取引により期待されるシナジー及びデメリットについて、大要上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」の「(ⅲ)当社の意思決定の内容」に記載の本取引により想定されるシナジー及びデメリットについて説明を受けた。

・当社執行サイドは、当社の企業価値向上に向けた様々な検討を実施したが、現時点において本取引と比較可能な程度の具体性を伴う選択肢は存在せず、本取引は、当社が上場を維持しつつ事業規模を拡大することを含む他のあり得る選択肢と比較しても当社の企業価値の向上の実現に貢献する施策であると考えているとのことであり、本特別委員会も係る判断は合理的であると考える。

・公開買付者及び当社執行サイドからの説明を踏まえて、本特別委員会において慎重に審議・検討をしたところ、公開買付者及び当社執行サイドから説明を受けた本取引によるシナジーは、労働力不足の深刻化、働き方改革への対応、ライフスタイル・ワークスタイルの変化、「新築」から「維持・更新」への変化の対応等の当社の経営課題の解決及び当社の企業価値の向上につながるものとして、当社の現在の事業内容・事業環境を前提として合理的な内容であり、また、具体的な施策についても一定程度協議が進んでいることも確認することができた。適切な対応をとれば本取引によるデメリットは限定的であるとする公開買付者及び当社執行サイドの分析・説明も合理的な内容であり、本取引はデメリットを大幅に上回るシナジーを期待することができる当社の企業価値向上に資するものと認められる。

(イ)本取引の検討・協議・交渉に係る手続が公正であったか否かの検討

・本取引においては、当社において、(イ)本特別委員会の設置、(ロ)外部専門家による独立した専門的助言の取得、(ハ)専門性を有する独立した第三者算定機関からの本株式価値算定書の取得、(ニ)独立した社内検討体制の構築、(ホ)本取引公表後における当社株主の本公開買付けに対する応募についての適切な判断機会の確保といった、各種の公正性担保措置が履践されている。

・上記(イ)について、本特別委員会は、公開買付者、当社、インフロニア、前田建設及びYFO及び本取引の成否に利害関係を有しない当社の独立社外取締役により構成され、各委員の報酬には本取引の成立等を条件とする成功報酬は含まれておらず、公開買付価格についての公開買付者との間の交渉においても、公開買付者と当社との間における本取引に係る協議及び交渉の経緯及び内容等につき適時に報告を受けた上で、本特別委員会を開催して協議及び交渉の方針等を協議し、本取引に係る検討過程に実質的に関与した。さらに、本特別委員会は、公開買付者から提案を受けた本公開買付けの買付予定数の下限について、本基準議決権数に50.01%を乗じた数から本不応募合意株式に係る議決権の数を控除した数に当社の単元株式数である100株を乗じた株式数に設定した場合、約1.29%の所有割合に相当する株式を保有する一般株主が応募するのみで本公開買付けが成立することとなってしまい、一般株主の判断機会の確保への配慮を欠いているとされるおそれがあることから下限を引き上げさせる必要がある旨助言し、結果として引上げを獲得し、本取引の公正性の確保に実質的に貢献した。

・上記(ロ)について、当社は、公開買付者、当社、インフロニア、前田建設工業及びYFOのいずれからも独立したリーガル・アドバイザーとして長島・大野・常松法律事務所を選任し、同法律事務所より、本公開買付けを含む本取引に関する意思決定過程、意思決定方法その他本取引に関する意思決定にあたっての留意点等について、必要な法的助言を受けている。また、当社は、公開買付者、当社、インフロニア、前田建設工業及びYFOのいずれからも独立したファイナンシャル・アドバイザーとしてPwCアドバイザリーを選任し、公開買付者との交渉方針や本株式価値算定書の内容等について、専門的見地からの必要な助言を受けている。

・上記(ハ)について、当社は、公開買付者、当社、インフロニア、前田建設工業及びYFOのいずれからも独立した専門性を有する第三者算定機関として選任したPwCアドバイザリーから本株式価値算定書を取得している。

・上記(ニ)について、当社は、公開買付者、インフロニア、前田建設工業及びYFOのいずれからも独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行う体制を当社の社内に構築し本答申書の提出日に至るまでかかる取り扱いを継続している。本取引の検討及び決定に際しての当社の意思決定過程における恣意性を排除する観点から、過去に公開買付者の執行役員であった当社の独立社外取締役である岡田雅晴氏については、本取引に関する当社の取締役会の審議及び決議には参加しておらず、当社は本取引に関する当社における意思決定における恣意性の排除に努めたものと認められる。

・上記(ホ)について、本公開買付けにおいて、本公開買付けにおける買付等の期間(以下「公開買付期間」といいます。)は30営業日とされており、少数株主を含む当社株主の本公開買付けに対する応募についての適切な判断機会及び公開買付者以外の者による当社株式に対する買付け等の機会は確保されている。また、公開買付者及び当社は、当社が対抗的買収提案者と接触することを禁止するような取引保護条項を含む合意等、対抗的買収提案者が当社との間で接触することを制限するような内容の合意は一切行っておらず、対抗的な買付け等の機会を妨げないこととしており、公開買付期間の設定と併せ、対抗的な買付け等の機会が確保されることにより、本公開買付けの公正性の担保に配慮している。

・本取引においては、一段階目として行われる本公開買付けにおいて、買付予定数の下限が、当社の2025年6月30日時点の発行済株式総数から、当該時点の当社の所有する自己株式数及び当社の役員報酬BIP信託が所有する当社株式数を控除した株式数に係る議決権数に55.43%を乗じた数から公開買付者が前田建設工業との間で不応募の合意をした株式に係る議決権の数を控除した数に当社の単元株式数である100株を乗じた株式数(33,035,700株)に設定されているところ、これは、不応募株式を合計しても二段階目のスクイーズアウトのための株式併合議案が理論的に確実であるということができる当社の総議決権数の3分の2に相当する株式の数に満たない。もっとも、55.43%は、当社の過去6年間の定時株主総会における議決権行使比率の平均値は83.15%に3分の2を乗じた数値であり、株式併合議案に係る臨時株主総会の議決権行使比率が例年の定時株主総会並だとしても公開買付者及び本不応募契約において株式併合議案に賛同することを公開買付者と合意している前田建設工業が賛同することにより、株式併合議案は可決されることになる。さらに、公開買付者によれば、本取引と類似する取引における株式併合議案に係る臨時株主総会の公開買付者及びその特別関係者を除く株主の議決権行使比率は平均値約37.0%、中央値約41.5%と平時の定時株主総会に比べて大きく低下する傾向にあるとのことであるから、仮に本公開買付けに下限と同数の応募しかなかったとしても、公開買付者及び前田建設工業を除く株主が仮に全員株式併合議案に反対したとしてこれを否決するに足りる数の議決権(かかる株主が保有する議決権数の約62%より多い数の議決権)が行使される蓋然性は低く、さらに実際に想定される公開買付者及び前田建設工業を除く株主の賛同率を勘案するに、株式併合議案が否決されることは想定し難い。さらに、公開買付者は株式併合議案に係る臨時株主総会において株式併合議案が否決された場合であっても、市場内買付け等の方法により株式併合議案が株主総会において現実的に承認される水準に至るまで当社株式を追加取得しスクイーズアウトを実行する予定であることを表明している。

・よって、買付予定数の下限を33,035,700株と設定したとしても、本公開買付けが成立した場合には、スクイーズアウトを実行することができる高い蓋然性が認められ、万が一の手当てとして公開買付者が当社株式の追加取得を行ってでもスクイーズアウトを実行する予定であることを表明しており、これらの事情は開示書面において株主に対しても十分に情報提供される予定であるから、少数株主を含む当社株主が、本公開買付けが成立したにもかかわらずスクイーズアウトが実行されず、本公開買付けに応募した株主よりも不利な状態となることを懸念するおそれは小さいと考えられる。また、本スクイーズアウト手続において、スクイーズアウトされる当社株主に対価として交付される金銭は、本公開買付けにおける当社株式1株当たりの買付け等の価格に当該各株主の所有する当社株式の数を乗じた価格と同一となるように算定される予定であり、その旨が本公開買付けの開始に際して公表される予定である。したがって、少数株主を含む当社株主が本公開買付けに応募するか否かについて適切に判断を行う機会を確保し、これをもって強圧性が生じないように配慮されていると認められる。

・本公開買付けにおいてはいわゆるマジョリティ・オブ・マイノリティに相当する買付予定数の下限は設定されていないが、公開買付者も指摘するとおりマジョリティ・オブ・マイノリティ条件を設定することによりかえって当社の少数株主の利益に資さない可能性はあり、当社の少数株主の利益には他の公正性担保措置を通して十分に配慮することが可能であるので、マジョリティ・オブ・マイノリティ条件が設定されていないことは、本取引に係る手続の公正性に疑義を生じさせるものではない。

・本取引においては、市場における潜在的な買収者の有無を能動的・積極的に調査・検討するいわゆる積極的なマーケット・チェックは実施されていないが、少なくとも当社に関する限り、本公開買付けの公表後に他の潜在的な買収者が対抗提案を行うことが制限されているわけではなく、また、積極的なマーケット・チェックの実施については情報管理等の実務上の障害もあるので、積極的なマーケット・チェックを実施しないことは、本取引に係る手続の公正性に疑義を生じさせるものではない。

・以上より、本取引に係る手続においては公正性担保措置が講じられており、本取引に係る手続の公正性を妨げるような特段の事情は認められず、本取引に係る手続はその過程において十分な公正性担保措置が講じられた公正なものであると認められる。

(ウ)本取引の手法・取引条件が公正・妥当であるか否かの検討

・本株式価値算定書は、本中期経営計画(当社)を基に、当社が足許の実績及び事業環境を勘案して作成した本事業計画を算定の前提としているところ、本特別委員会は、本事業計画の重要な前提事実等に関する当社執行サイドの本特別委員会に対する説明及び本特別委員会との質疑応答に基づき、本事業計画について、本中期経営計画からの変更点についても根拠及び内容について不合理なものではないことを確認した上で、その作成経緯及び内容に不合理な点は見受けられないものと判断した。

・本株式価値算定書における株式価値の算定手法は、非公開化取引における株式価値算定において一般的に利用されている算定手法であり、当社が2023年12月14日付で赤坂国際会計事務所から取得した当社株式に係る価値算定におけるDCF法による算定に係る割引率や残存価値の算出方法等の相違等を含めPwCアドバイザリーから説明を受けるとともに質疑応答を実施してその合理性を確認しており、PwCアドバイザリーによる本株式価値算定書に不合理な点は認められない。

・本公開買付価格は、本公開買付けの公表日の前営業日である2025年8月7日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値1,700円に対して2.94%、2025年7月8日から2025年8月7日までの過去1ヶ月の終値単純平均株価1,613円に対して、8.49%、2025年5月8日から2025年8月7日までの過去3ヶ月の終値単純平均株価1,492円に対して17.29%、2025年2月10日から2025年8月7日までの過去6ヶ月の終値単純平均株価1,415円に対して23.67%のプレミアムを加えた価格であるところ、M&A指針が公表された2019年6月28日以降に公表の時価総額1,000億円以上の国内上場企業を対象とし完全子会社化又は非公開化を企図した上限が付されていない他社株公開買付けの事例(REIT関連事例、マネジメント・バイアウト(MBO)事例、対抗的な公開買付けの事例、公開買付け公表時点において対象者が応募推奨を決議していない事例、及び買付者と対象会社との間に一定の資本関係がある事例等を除く。)13件のプレミアム水準(公表日前営業日の終値に対するプレミアムの中央値・平均値(26.5%、28.7%)、直近1ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアムの中央値・平均値(35.0%、37.1%)、直近3ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアムの中央値・平均値(42.8%、46.2%)及び直近6ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアムの中央値・平均値(54.3%、54.4%))と比較して遜色のない水準であるとは言い難い。しかし、インフロニアが2022年3月22日に当社株式に対する公開買付けを公表して以来の当社の株価推移(いずれも同日終値)を振り返るに、当該公表日の前営業日である2022年3月18日の株価が599円であったところ、公表日の翌営業日には788円、YFOが当社株式に対する1株1,000円での公開買付けの予告を公表した2022年5月18日の翌営業日には921円、その後、2023年9月25日まで795円を下回らず推移した後、YFOが公開買付け価格を1,255円へ引き上げたことを公表した2023年9月26日の翌営業日には1,214円となり、YFOによる公開買付けの撤回が公表された2023年12月20日以後も、順調に推移し、本公開買付けの公表日の前営業日まで、40.8%上昇し、599円からの上昇率は183.8%であった。PwCアドバイザリーによれば、この間、土木事業をメインとしており、同セグメントにおける海洋土木の売上割合が50%超である上場会社の株価はそれぞれ31.2%、145.7%、105.6%上昇している。一方、当社を含む4社のEBITDAマルチプルを比較するに、2021年3月期末時点では3.7倍(当社)、7.5倍、5.1倍、7.5倍であったのに対し、2025年3月期末時点では10.6倍(当社)、11.1倍、5.5倍、8.7倍となっており、当社の株価は同業他社に比してもEBITDAマルチプルの顕著な上昇を基に推移していることがうかがわれる。

・株価の形成要因を一概に判じることはできないが、2つの公開買付け(うち1つは予告)の対象になりながらもいずれも不成立又は撤回となって上場を維持しており、かつ、これらの公開買付けを試みた前田建設工業及びYFOのいずれもが20%以上を保有し続けている特殊な状況に鑑み、当社についての資本取引(買収取引)に対する期待が当社の株価に影響していることは想像に難くなく、EBITDAマルチプルが同業他社に比して顕著な上昇傾向にあり、かかる上場傾向が各年利益の増減に影響されず一貫して継続していることは当社の株価に特殊な要因が寄与していることを示唆しているように思われる。したがって、本公開買付価格を評価する上で、類似取引におけるプレミアムとの比較は参照価値が低いとも考えられる。

・上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」の「(ⅱ)検討・交渉の経緯」記載のとおり、当社は本特別委員会の実質的関与も得ながら交渉を行い、さらに、それぞれの賛同が本取引において必須と考えられ、公開買付者に対して実質的な交渉力を有すると考えられるYFO及び前田建設工業においても公開買付者との間で交渉を行った。本特別委員会は、情報漏洩のリスクを抑える観点から本取引の検討をできる限り短期間で実施することを公開買付者に対して求め、当社における対応も実施した。かかる本取引における対応の一環として、当社は、本提案書には引上げ余地を残した金額ではなく、公開買付者として最大限の金額を公開買付価格として提示するよう要請した。本公開買付価格である1,750円は、かかる交渉環境及び当社から公開買付者に対する要請の中で、初期的価格から一定程度引き上げられ、また、YFOから公開買付者に対して提示された価格に満額で応じるものであり、公開買付者との間で十分な交渉を尽くした上で得られた価格であると評価することができると考えられる。本特別委員会としては、一般株主のために更なる引上げ交渉を行うべきかについて慎重に検討したが、当社の本源的価値の観点からも合理的な水準にあり、本取引に関する交渉を早期に妥結し情報漏洩のリスクを回避し速やかに本取引を公表することが一般株主を含む当社株主及び当社の利益に適うと判断していた。しかし、当社の株価は、公開買付者から提出を受けた最終提案書を当社が求めていた法的拘束力を有する最終提案として取り扱うに足りると判断した2025年7月28日以降、大幅に上昇し、1,750円が本公開買付けの公表予定日である2025年8月7日の前営業日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値を下回る可能性も懸念されたため、2025年8月4日、当社は、公開買付者に対して引上げを要請し、短期間の中で複数回の書簡のやりとりを経て、本公開買付けの公表日の前営業日である2025年8月7日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値である1,784円以上への引上げを目指して交渉した。公開買付者から引上げを獲得することはできなかったが、交渉は真摯に行われた。当社は、本特別委員会の実質的関与も得ながら、YFO及び前田建設工業の交渉力も活用しつつ、公開買付者との間で建設的かつ効果的に交渉を尽くし、当社の本源的価値の観点からも合理的と評価することができる水準の価格を獲得した上で、さらに、当社株価の推移を踏まえ、本公開買付けの確実な成立を期して粘り強く交渉したものであるから、当社は十分な交渉を尽くしたと評価することができる。

・以上のとおり、本公開買付価格(本スクイーズアウト手続において当社株主に交付される対価を含む。)については、公開買付者との間で十分な交渉を尽くした上で得られた価格であると評価することができ、第三者算定機関による当社株式の価値算定結果との比較の観点においても合理的な水準にあると考えられる。過去の類似取引におけるプレミアム水準との比較において、本公開買付価格のプレミアムは遜色のない水準にあるとは言い難いが、本公開買付価格を評価する上で、類似取引におけるプレミアムとの比較は参照価値が低いとも考えられることは前述のとおりであり、プレミアムの小ささは、本公開買付価格の合理性に疑義を生じさせるものではなく、本公開買付価格は妥当であると認めることができる。なお、本公開買付け公表日に向けて当社の株価が乱高下する中で、本公開買付価格はその2営業日前から4営業日前の終値を下回っており、前営業日である2025年8月7日の終値に対するプレミアムも僅少であることから、本公開買付けへの応募について、当社の株主に対して推奨すべきか、その判断に委ねるべきかを検討したが、前述のとおり、本公開買付価格は、公開買付者との間で十分な交渉を尽くした上で得られた価格であり、第三者算定機関による当社株式の価値算定結果との比較の観点においても合理的な水準にあると考えられる妥当な価格であると認められ、また、2025年8月6日の取引終了に向けた当社の株価は後述のとおり合理的な理由に基づいて価格形成されていなかった可能性もあるとのPwCアドバイザリーの助言に基づき、これらの点をもって当社の株主に対して応募を推奨するに足りると判断した。

・本取引のスキームは、買付予定数の下限設定及び前田建設工業が本自己株式取得に応じた際に得られる本自己株式取得価格の計算(前田建設工業が自己株式取得に応じた場合の税引後手取額として計算される金額が、仮に前田建設工業が本公開買付価格で本公開買付けに応募した場合に得られる税引後手取額として計算される金額とほぼ同額となるようにしたもの)も含めて不合理な点は認められず、妥当であると認められる。

・以上より、本特別委員会は、本取引の取引条件は公正かつ妥当な条件であると判断する。

 

(エ)本公開買付けの公表直前における検討状況

・本公開買付けの公表予定日であった2025年8月7日の時点において、公開買付者から提示されていた公開買付価格である1,750円は、その前営業日である2025年8月6日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値1,784円を下回っていた。公開買付者は、2025年8月1日以降の当社株価の動向について、情報漏洩があった可能性は否定できないとし、情報漏洩に基づいて株価形成されていることを示唆していたが、本特別委員会としては、同業他社の株価も軒並み上昇していること等を考えると一概に情報漏洩に基づいて株価形成されているとは断定できないと判断した。本特別委員会は、PwCアドバイザリーより、取引についての憶測報道がなされている、対象会社が救済を必要とする状況にある等の特段の事情がない限り、公表日の前営業日の終値に対してディスカウントとなる価格で公開買付けを開始することに賛同した類似事例はないとの報告を受けたことも踏まえ、ディスカウントによる公開買付けについては、アクティビストの介入リスクを含め株主がどのように判断するか見通しが立たず成立見込みには強い懸念があり、公表したにもかかわらず不成立に終わった場合には、当社の従業員・取引先を含むステークホルダーとの関係上、当社の企業価値に重大な毀損が生じるリスクがあると考えられること等に鑑み、公開買付者の提案に対しては賛同することができない旨決議し、取締役会への答申を行った。当社は、かかる答申を受け、2025年8月7日に公開買付価格を1,750円とする公開買付けを公表したいとする公開買付者からの提案に対しては、不賛同とすることとし、本取引の検討を終了することとあわせて、公開買付者に対して通知した。また、当社取締役会は、本特別委員会の意見も踏まえ、本特別委員会を存置することは本取引についての憶測報道があった場合の対応等を考えると望ましくないと判断し、本特別委員会を廃止した。

・しかし、公開買付者は、かかる通知後に当社株価が2025年8月7日前場終値(1,792円)から同日終値(1,700円)まで急落したことを受け、当社に対して、あらためて、公開買付価格を1,750円とする公開買付けを2025年8月8日に公表したい旨通知した。当社取締役会は、2025年8月8日、前日に廃止した特別委員会を復活させ本取引についての検討を継続することを決議した上で、本取引について本特別委員会に対してあらためて諮問した。

・本特別委員会は、2025年8月7日以降の急落を含む当社株価の乱高下について、2025年8月6日の取引終了に向けた当社の株価が合理的な理由に基づいて価格形成されていなかった可能性もあるとのPwCアドバイザリーの助言に基づき、2025年8月7日時点の不賛同の判断の前提に変化が生じていることも踏まえて判断することとした上で、本公開買付けは外形上ディスカウントによる公開買付けではなくなり応募不成立のおそれも相応に減殺されたと考えることができること、本取引を速やかに公表しなかった場合には情報漏洩のリスクによるステークホルダーとの関係性への悪影響や情報漏洩による株価変動により本取引の公表に繰り返し支障が生じることへ強い懸念があることを確認した。その上で、本特別委員会は、不賛同の判断をした翌日に判断を翻すことが検討プロセスとして適切であるかについては懸念を有するものの、本特別委員会においては、当社株価急騰に伴い2025年8月7日時点ではディスカウントによる公開買付けとなりその成立可能性について強い懸念が生じていたことを除き、一貫して本取引が当社の企業価値向上に資するものであり、取引条件も公正かつ妥当であると評価していたものであるから、唯一の懸念であった取引成立可能性への懸念が緩和され、また、不賛同の判断以降の本取引の関係者との協議において多くの関係者が関与し複雑な機微が絡む本取引を遂行する上で機を捉えて実行することの重要性があらためて確認されたこと、そして、PwCアドバイザリーからの2025年8月6日の取引終了に向けた当社の株価が合理的な理由に基づいて価格形成されていなかった可能性もあるとの助言、当社の最新の決算公表の結果を反映した2025年8月8日午前の株価が前日終値をさらに下回って推移していることなども踏まえ、追加の検討期間を確保することで検討プロセスをより充実させることが望ましいものの、既に公正性高く手続を遂行してきた中でさらに手続の充実を追求することに拘泥するのではなく、現時点において本公開買付けに賛同することが当社及び当社株主の共同の利益になるものと判断した。

(オ)上記(ア)乃至(ウ)を踏まえて、当社取締役会における本取引の決定が当社の少数株主にとって不利益でないかの観点からの検討

・上記(ア)乃至(ウ)のとおり、本公開買付けは、当社の企業価値向上に資すると考えられ、その取引条件も妥当であり、公正な手続も実施されている。そこで、本取引は当社の少数株主にとって不利益なものではないと判断する。そこで、本特別委員会は、当社は本公開買付けに関して賛同の意見を表明し、株主に対して本公開買付けへの応募を推奨すべきであると判断する。

 

⑤ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び監査役全員の異議がない旨の意見

 当社は、PwCアドバイザリーより取得した本株式価値算定書の内容及び同社から受けた財務的見地からの助言、並びに、長島・大野・常松法律事務所から得た法的助言を踏まえつつ、本答申書の内容を最大限に尊重しながら、本取引が当社の企業価値の向上に資するか否か、及び本公開買付価格を含む本取引の諸条件が妥当なものか否かについて、慎重に検討・協議を行いました。

 その結果、上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、当社取締役会は、2025年8月8日開催の当社取締役会において、審議及び決議に参加した当社の取締役の全員一致で、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して本公開買付けへの応募を推奨する旨の決議をいたしました。また、上記の取締役会において、審議に参加した監査役2名全員が上記の決議についても異議がない旨の意見を述べております。なお、当社の監査役である保田志穂氏及び川口浩一氏は、都合により上記の取締役会に欠席いたしましたが、上記の取締役会の後、当該決議の内容につき説明を受け、当社取締役会が上記決議を行うことにつき異議がない旨の意見を述べております。また本取引の検討及び決定に際しての当社の意思決定過程における恣意性を排除する観点から、過去に公開買付者の執行役員であった当社の社外取締役である岡田雅晴氏については、本取引に関する当社取締役会の審議及び決議には参加しておらず、本取引に関する当社における意思決定には一切関与しておりません。

 

⑥ 他の買付者からの買付機会を確保するための措置

 公開買付者は、公開買付期間を、法令に定められた最短期間が20営業日であるところ、30営業日に設定しております。公開買付者は、公開買付期間を法定の最短期間より長期に設定することにより、当社の株主の皆様に本公開買付けに対する応募について適切な判断機会を確保するとともに、当社株式について公開買付者以外の者にも対抗的な買付け等を行う機会を確保することにより、本公開買付けの公正性を担保することを企図したとのことです。

 また、公開買付者及び当社は、当社が対抗的買収提案者と接触することを禁止するような取引保護条項を含む合意等、対抗的買収提案者が当社との間で接触することを制限するような内容の合意は一切行っておらず、対抗的な買付け等の機会を妨げないこととしております。このように、上記公開買付期間の設定と併せ、対抗的な買付け等の機会が確保されることにより、本公開買付けの公正性の担保に配慮しております。

 

⑦ 当社の株主が本公開買付けに応募するか否かについて適切に判断を行う機会を確保するための措置

 公開買付者は、上記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、(ⅰ)本公開買付けの決済の完了後速やかに、本株式併合及び本株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む本臨時株主総会の開催を当社に要請することを予定しており、当社の株主の皆様に対して株式買取請求権又は価格決定請求権が確保されない手法は採用しないこと、(ⅱ)株式併合をする際に、当社の株主の皆様に対価として交付される金銭は本公開買付価格に当該各株主(公開買付者、前田建設工業及び当社を除きます。)の所有する当社株式の数を乗じた価格と同一になるように算定されることを明らかとしているとのことから、当社の株主の皆様が本公開買付けに応募するか否かについて適切に判断を行う機会を確保し、これをもって強圧性が生じないように配慮しているとのことです。

 

(7)公開買付者と当社の株主との間における公開買付けへの応募に係る重要な合意に関する事項

① 本不応募契約

 上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」に記載のとおり、本公開買付けに際して、公開買付者は、2025年8月8日付で、前田建設工業との間で、(所有株式数の合計:19,047,510株、所有割合:20.19%)との間で、本不応募契約を締結しているとのことです。なお、前田建設工業は、本自己株式取得における対価を除き、本取引に際して本不応募合意株式の対価を受領することは想定していないとのことです。

 本不応募契約の概要は以下のとおりとのことです。

(ⅰ)前田建設工業は、本不応募合意株式について、本公開買付けに応募しない。

(ⅱ)前田建設工業は、その所有する当社株式を譲渡してはならず、かつ、いかなる担保権の設定も行ってはならない。

(ⅲ)前田建設工業は、本不応募契約締結日後、本自己株式取得の実行日までの間、本公開買付けに競合し、若しくは本公開買付けと矛盾し、又は本公開買付けによる当社株式の買付けを困難とする取引(当社による第三者との間の合併・会社分割、株式移転・株式交換・株式交付等の組織再編行為その他の方法を問わず当社並びにその子会社及び関連会社(以下総称して、「当社子会社・関連会社」という。)の株式を取得する取引、当社子会社・関連会社の株式又は事業の全部又は重要な一部を処分する取引、その他当社子会社・関連会社の経営権の所在に異動をもたらす一切の行為を含む。)に関する提案、勧誘、協議、交渉、合意、実行又は情報提供(総称して、以下「競合取引」という。)を行わない。

(ⅳ)前田建設工業及び公開買付者は、決済の開始日後、(a)当社をして、本株式併合の議案を付議議案に含む本臨時株主総会の開催を含む、本スクイーズアウト手続を実施させ、また、(b)自ら本スクイーズアウト手続に必要な一切の行為(本臨時株主総会における賛成の議決権の行使を含む。)を行うことで、本スクイーズアウト手続を完了させる。

(v)前田建設工業は、本公開買付けが成立したこと、本株式併合の効力発生が発生したこと及び本自己株式取得を実施するために必要となる分配可能額を確保できていることを条件として、本株式併合の効力発生日以降の実務上合理的に可能な限り早い日をもって、本自己株式取得における取得価額の総額を受領することと引き換えに、前田建設工業が保有する本不応募合意株式の全部を当社に対して売り渡す。

(vi)前田建設工業及び公開買付者は、本自己株式取得を実施するために必要となる分配可能額又は資金を確保するために必要である場合、本自己株式取得の実行までに、(a)当社による公開買付者に対する第三者割当の方法による株式発行その他の措置を講じるとともに、(b)当社の資本金及び準備金の額を、それぞれ、本自己株式取得を実施するために必要となる分配可能額を確保し、本自己株式取得を法令等に従い実施することができるために必要な金額となるよう減少させる。

(ⅶ)前田建設工業及び公開買付者は、本不応募契約の締結日から本株式併合の効力発生日までの間に開催される当社の株主総会において議決権を行使できる場合、(a)剰余金の配当その他の処分に関する議案、及び(b)可決されれば当社の財政状態、経営成績、キャッシュ・フロー、事業、資産、負債若しくは将来の収益計画又はその見通しに重大な悪影響を及ぼす議案が上程されるときは、その所有する本不応募合意株式に係る当該株主総会における議決権について、当該議案に反対の議決権を行使する。

(ⅷ)前田建設工業は、本公開買付けの開始日の前営業日までに限り、(a)公開買付者による表明及び保証(注29)が重要な点において真実かつ正確でないことが判明した場合、(b)本不応募契約に基づき公開買付者が履行又は遵守すべき義務(注30)が重要な点において履行又は遵守されていない場合、(c)公開買付者について倒産手続等が開始された場合には、公開買付者に事前に書面で通知することにより本不応募契約を解除することができる。

 公開買付者は、本公開買付けの開始日の前営業日までに限り、(a)前田建設工業による表明及び保証(注31)が重要な点において真実かつ正確でないことが判明した場合、(b)本不応募契約に基づき前田建設工業が履行又は遵守すべき義務(注32)が重要な点において履行又は遵守されていない場合、(c)前田建設工業について倒産手続等が開始された場合、又は(d)前提条件の全部又は一部が満たされないことが明らかになった場合には、前田建設工業に事前に書面で通知することにより本不応募契約を解除することができる。

 前田建設工業及び公開買付者は、上記のほか、書面で合意することによって本不応募契約を解除することができる。

(注29) 本不応募契約において、公開買付者は、(ア)有効な設立、(イ)法律上の権能、(ウ)執行可能性、(エ)必要な承認の取得、(オ)法令等との抵触の不存在、(カ)反社会的勢力の排除、(キ)倒産手続等の不存在について表明及び保証を行っているとのことです。

(注30) 本不応募契約において、公開買付者は、前田建設工業に対して、上記(ⅳ))、(ⅵ)及び(ⅶ)に加え、大要、(ア)表明保証違反を認識した場合の通知義務、(イ)公租公課及び費用の負担義務、(ウ)秘密保持義務、(エ)契約上の地位の譲渡等の禁止義務を負っているとのことです。

(注31) 本不応募契約において、前田建設工業は、(ア)有効な設立、(イ)法律上の権能、(ウ)執行可能性、(エ)必要な承認の取得、(オ)法令等との抵触の不存在、(カ)当社株式の保有、(キ)反社会的勢力の排除、(ク)倒産手続等の不存在について表明及び保証を行っているとのことです。

(注32) 本不応募契約において、前田建設工業は、公開買付者に対して、上記(ⅰ)乃至(ⅶ)に加え、大要、(ア)表明保証違反を認識した場合の通知義務、(イ)公租公課及び費用の負担義務、(ウ)秘密保持義務、(エ)契約上の地位の譲渡等の禁止義務を負っているとのことです。

② 本応募契約

 上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」に記載のとおり、本公開買付けに際して、公開買付者は、2025年8月8日付で、YFO(WK1の所有株式数:9,200,000株、所有割合:9.75%。WK2の所有株式数:9,190,000株、所有割合:9.74%。WK3の所有株式数:5,890,300株、所有割合:6.24%。Yamauchi-No.10 Family Officeの所有株式数:2,627,600株、所有割合:2.79%。所有株式数の合計:26,907,900株、所有割合の合計:28.53%)との間で、本応募契約を締結しているとのことです。なお、YFOは、本公開買付けにおける対価を除き、本取引に際して本応募合意株式の対価を受領することは想定されていないとのことです。

 本応募契約の概要は以下のとおりとのことです。

(ⅰ)YFOは、公開買付者が本公開買付けを開始した場合には、以下の条件が全て満たされていることを前提条件として、本応募合意株式について、本応募合意株式に設定されている担保権を含む一切の担保権その他の負担等を消滅(担保権等を設定する契約の解消その他の方法により担保権等を消滅させること及び担保権等に係る記録の抹消又は変更のために必要な一切の行為を行うことをいう。)させた上で、本公開買付けに応募するものとし、かつ、本応募を撤回せず、本応募の結果成立した本応募合意株式の買付けに係る契約を解除しないものとする。ただし、YFOは、その任意の裁量により、以下のいずれの条件も放棄することができる。

(a)公開買付者の表明及び保証(注33)が重要な点において全て真実かつ正確であること。

(b)公開買付者において、本公開買付けの開始日までに本応募契約に基づき履行又は遵守すべき義務(注34)が、重要な点において全て履行又は遵守されていること。

(c)本公開買付けで企図される公開買付者による本応募合意株式の買付けが法令に違反しておらず、かつ、司法・行政機関等により本公開買付けで企図される公開買付者による本応募合意株式の買付けが法令等に違反する旨又は実施を停止若しくは延期すべき旨の指導・回答・勧告その他措置・処分がないこと。

(d)本公開買付けの開始日の前日までに、当社の賛同決議が適法かつ有効に行われ、当社によりその内容が公表されており、かつ、本公開買付けの開始日において、当社において賛同決議を撤回する又はこれと矛盾する内容のいかなる決議も行われていないこと。

(注33) 本応募契約において、公開買付者は、(ア)有効な設立、(イ)法律上の権能、(ウ)執行可能性、(エ)必要な承認の取得、(オ)法令等との抵触の不存在、(カ)反社会的勢力の排除、(キ)倒産手続等の不存在について表明及び保証を行っているとのことです。

(注34) 本応募契約において、公開買付者は、YFOに対して、大要、(ア)表明保証違反を認識した場合の通知義務、(イ)公租公課及び費用の負担義務、(ウ)秘密保持義務、(エ)契約上の地位の譲渡等の禁止義務を負っているとのことです。

(ⅱ)YFOは、その所有する当社株式を譲渡してはならず、かつ、いかなる担保権の設定も行ってはならない。

(ⅲ)YFOは、本応募契約締結日後、決済の開始日までの間、競合取引を行わない。

(ⅳ)YFOは、本公開買付けの開始日の前営業日までに限り、(a)公開買付者による表明及び保証が重要な点において真実かつ正確でないことが判明した場合、(b)本応募契約に基づき公開買付者が履行又は遵守すべき義務が重要な点において履行又は遵守されていない場合、(c)公開買付者について倒産手続等が開始された場合、(d)応募に係る前提条件が満たされないことが明らかになった場合には、公開買付者に事前に書面で通知することにより本応募契約を解除することができる。

 公開買付者は、本公開買付けの開始日の前営業日までに限り、(a)YFOによる表明及び保証(注35)が重要な点において真実かつ正確でないことが判明した場合、(b)本応募契約に基づきYFOが履行又は遵守すべき義務(注36)が重要な点において履行又は遵守されていない場合、(c)YFOについて倒産手続等が開始された場合、又は(d)前提条件の全部又は一部が満たされないことが明らかになった場合には、YFOに事前に書面で通知することにより本応募契約を解除することができる。

 YFO及び公開買付者は、上記のほか、書面で合意することによって本応募契約を解除することができる。

(注35) 本応募契約において、YFOは、YFOに関して(ア)有効な設立、(イ)法律上の権能、(ウ)執行可能性、(エ)必要な承認の取得、(オ)法令等との抵触の不存在、(カ)当社株式の保有、(キ)反社会的勢力の排除、(ク)倒産手続等の不存在について表明及び保証を行っているとのことです。

(注36) 本応募契約において、YFOは、公開買付者に対して、上記(ⅰ)乃至(ⅲ)に加えて、大要、(a)表明保証違反を認識した場合の通知義務、(b)公租公課及び費用の負担義務、(c)秘密保持義務、(d)契約上の地位の譲渡等の禁止義務を負っているとのことです。

 

4【役員が所有する株券等の数及び当該株券等に係る議決権の数】

氏名

役名

職名

所有株式数(株)

議決権の数(個)

吉田 真也

代表取締役

会長執行役員CEO

1,877

18

中村 龍由

代表取締役

社長執行役員COO

12,115

121

平田 浩美

代表取締役

副社長執行役員

52,784

527

鳴澤 隆

取締役(社外)

 

0

0

松木 和道

取締役(社外)

 

802

8

内山 正人

取締役(社外)

 

802

8

岡田 雅晴

取締役(社外)

 

0

0

名取 勝也

取締役(社外)

 

0

0

藤井 佳子

取締役(社外)

 

406

4

田邊 勝規

常勤監査役

 

1,471

14

保田 志穂

監査役(社外)

 

240

2

野中 智子

監査役(社外)

 

174

1

川口 浩一

監査役(社外)

 

348

3

71,019

706

 (注1) 役名、職名、所有株式数及び議決権数は本書提出日現在のものです。

 (注2) 所有株式数及び議決権の数は、それぞれ当社役員持株会を通じた所有株式数及びそれらに係る議決権の数を含めた数を記載しております。

 

5【公開買付者又はその特別関係者による利益供与の内容】

 該当事項はありません。

 

6【会社の支配に関する基本方針に係る対応方針】

 該当事項はありません。

 

7【公開買付者に対する質問】

 該当事項はありません。

 

8【公開買付期間の延長請求】

 該当事項はありません。

 

以 上