「第2 事業の状況」に記載している金額には、消費税等は含まれていない。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2021年3月31日)現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであるが、予測しえない経済状況の変化等さまざまな要因があるため、その結果について、当社が保証するものではない。
当社グループは、高い品質の建設サービスを通じて安全で快適な生活空間と豊かな社会環境を創造することで、顧客や取引先、株主や地域社会に貢献する企業として持続的に発展するため、下記の経営理念と中期ビジョンを定めております。
「経営理念」
『社会との共感』 『豊かな環境の創造』 『進取の精神の実践』
「中期ビジョン」
・海と大地の“創造企業”
私たちは、臨海部ナンバーワン企業として魅力ある空間創造を究め、提案型企業として顧客満足と社会貢献を追求します。
・確かな品質を約束する“こだわり企業”
私たちは、確かな技術に裏づけされた高い品質と安全なモノづくりを通じて、顧客と社会の信頼を築きます。
・子供たちに豊かな環境を遺す“未来企業”
私たちは、企業活動を通じて良質で豊かな環境を創造し、次世代に確かな夢を、希望を、可能性を伝えます。
当社グループは、上記の経営理念、中期ビジョンの実現を目指し、企業価値の向上を図るため、3カ年を期間とする中期経営計画を策定しております。
その中で、本業収益力を示す営業利益や株主価値を示す1株当たり当期純利益などの業績指標、財務の健全性を表す有利子負債残高、D/Eレシオ(ネット)などの経営指標とともに、自己資本利益率(ROE)と配当性向を株主価値向上への取組みを明確化するための目標数値としております。
中期経営計画(2020~2022年度)の主要数値の実績と目標は次のとおりです。
○中期経営計画の最終年度目標(2022年度)
〇 中期経営計画(2020~2022年度)主要数値の実績と目標(見直し後)
建設事業を取り巻く事業環境は、新型コロナウイルス感染症拡大の長期化により、国内の民間投資ならびに海外の建設投資は先行き不透明な状況が続いていますが、ポストコロナに向けた動きも活発化しています。国内の公共投資については、総額15兆円規模の「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」に支えられ、高水準で推移するものと期待されます。
中期経営計画(2020~2022年度)の2年目にあたる2021年度は、新型コロナウイルス感染症の長期化等の影響で当初計画に比べて減収減益となる見込みです。しかしながら、最終年度には、国内土木、国内建築、海外の各部門の事業量が回復する見込みです。目標達成に向けて部門の垣根を越えて全力で取り組んでまいります。
当社は本年4月、創業125周年という節目の年を迎えました。当社グループは、真のグローバル・ゼネラル・コントラクターとして、「働き方改革と生産性向上の先進企業」「D&I(Diversity and Inclusion)の先進企業」「進取の精神で新しいことに挑戦する企業」として、ESG重視のCSR経営を実践し、さらなる企業価値向上に取り組んでまいります。さらに、ポストコロナを見据えた成長戦略の柱である「デジタル」と「グリーン」に積極的に取り組み、持続的成長を目指します。なかでも洋上風力発電の建設やゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)の建築など、新分野、新技術に挑戦し、カーボンニュートラルの実現に貢献してまいります。
■中期経営計画(2020~2022年度)
● 五洋建設グループの使命
“良質な社会インフラの建設こそが最大の社会貢献”と考えて、
確かな安全と品質で顧客の信頼に応え、技術を以って社会に貢献する
● 目指すべき姿
臨海部と海外に強みを持つ“真のグローバル・ゼネラルコントラクター”
〇 真のグローバルゼネコンとは
・部門間連携が当たり前 : 土木・建築、国内・海外の垣根がない
・D&I(Diversity and Inclusion)が当たり前
: 国籍・性別によらず多様な人材が生き生きと働ける
〇 部門間連携の進化 ~五洋建設グループのDNA
・フロントローディングによる競争力強化 ~会社の総合力を発揮する
〇 外部連携の強化 ~国内外でアライアンスの推進
① 働き方改革と生産性向上の先進企業〔Social〕
〇 働き方改革の加速 ~働き方改革推進委員会による全社的な推進
〇 生産性向上の追求 ~働き方改革実現のためにも建設生産システム改革推進
〇 安全で安心して働ける職場環境の整備
② D&Iの先進企業〔Social〕
〇 多様な人材の獲得・育成 ~若手の早期戦略化
〇 D&Iの推進 ~女性、外国人の活躍推進
③ 進取の精神で挑戦する企業〔Environment〕
〇 洋上風力への挑戦 ~海洋土木の強みを生かす
〇 建設発生土・浚渫土リサイクルのエキスパート ~臨海部の強みを生かす
〇 ZEB(Zero Energy Building)への取り組み
④ ESG重視のCSR経営の実践〔Governance〕
〇 CSR経営 ~ステークホルダー重視、本業を通じた社会貢献
〇 実効あるガバナンスの推進 ~リスクマネジメントの徹底
〇 ESGの取組みの推進
● 投資計画
① 設備投資: 300億円 +α
〇 本業強化に繋がる投資は機動的に実施
・洋上風力: 大型SEP船(建造中)他
・作業船 : 新造(ロボット化、能力アップ等)、改造(自動化・AI化、環境対応等)
・その他 : 環境事業等その他事業関連
② 研究開発投資: 100億円 +α
・生産性向上技術、プロジェクト対応、洋上風力等
③ その他: 100億円 +α
・働き方改革関連(オフィス・テレワーク環境整備、ICT推進)、教育、アライアンス、その他
● 財務計画
① 資金需要の増加への対応
〇 戦略的設備投資と事業量拡大への対応
② グローバルCF管理と為替リスクへの対応
〇 海外事業拡大(エリア、事業量、取下条件等)
● 配当政策
① 利益配分の基本方針: バランスよく
・株主への還元~継続的かつ安定的な配当
・成長への投資~収益力向上、企業価値増大
・資本の充実~将来への備え
② 目標配当性向(連結): 30%以上
当社グループの経営成績、株価及び財政状態などに影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがある。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2021年3月31日)現在において当社グループが判断したものである。
公共投資の減少や国内外の景気後退による民間設備投資の減少などにより、建設投資が想定を超えて大幅に減少した場合には、競争環境や事業環境が大幅に変化し、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。
建設工事においては、一般的に一件の取引額が大きく、工事代金の多くの部分が引渡し時に支払われる場合が多いことから、発注者、協力業者、共同施工会社などが信用不安に陥った場合は、資金の回収不能や施工遅延などにより、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。
上記のリスクに対応するため、一定の基準を設けて取引先の与信審査を実施している。また、引き渡しから工事代金の回収までに要する期間が長期に及ぶリスクを検証し、社内基準に則り取締役会にて審議している。
工事用資材価格、労務費などが高騰した場合には、工事原価の上昇による利益率の低下により、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。
上記のリスクに対応するため、早期調達や集中購買、価格動向の調査等を実施している。また、発注者との工事請負契約締結の際に物価スライド条項を適用するよう努めている。
当社グループは、東南アジアを中心として海外で事業を展開しているため、現地での予期しない法律や規制の変更、テロ・戦争・紛争の発生などにより、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。
上記のリスクに対応するため、進出国における法令や諸規則、政治経済、社会情勢などについて、現地の専門家等より定期的に情報を入手し研修を実施するなど、リスクの早期把握、未然防止に努めている。
当社グループは、東南アジアを中心として海外で事業を展開しているため、外国通貨の急劇な為替相場の変動等により、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。
上記のリスクに対応するため、為替変動による業績への影響を緩和することを目的として、主要通貨に関して先物為替予約等を活用して為替ヘッジを行っている。
保有するたな卸不動産、有価証券などの時価の著しい下落や事業用の固定資産の収益性の著しい低下などが発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。
上記のリスクに対応するため、資産の購入・売却に関する社内基準に則り取締役会にて審議している。また、政策保有株式は、銘柄ごとに保有目的、保有に伴う便益やリスク及び資本コストと見合っているか等について、毎年、取締役会にて具体的に検証し保有の適否を判断している。
契約不適合や瑕疵による多額の損害賠償や改修費用が発生した場合は、当社グループの業績や企業評価に影響を与える可能性がある。
上記のリスクに対応するため、品質管理に万全を期すべく、国内外の各拠点において着工前のリスクアセスメントや品質パトロールを実施しリスク低減を図っている。
工事の施工にあたり予期しない重大事故や労働災害などが発生した場合は、受注機会の喪失や工期遅延などにより、当社グループの業績や企業評価に影響を与える可能性がある。
上記のリスクに対応するため、事故防止に万全を期すべく着工前のリスクアセスメントや安全衛生環境パトロールを実施しリスク低減を図っている。
当社グループの事業は、建設業法、宅地建物取引業法などによる法的規制を受けているが、万一これらに抵触する事象が発生した場合は、当社グループの業績や企業評価に影響を与える可能性がある。
上記のリスクに対応するため、代表取締役社長を委員長とするCSR委員会の下に「リスクマネジメント委員会」を設置し、同委員会を中心に「コンプライアンス基本方針」に基づき、役職員の法令遵守はもとより、社会的規範・企業倫理を尊重し常に誠実な行動の徹底を図っている。
個人情報や機密情報の漏洩などの情報セキュリティ事故が発生した場合は、社会的信用の失墜や損害賠償の発生等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。
上記のリスクに対応するため、情報管理規則を定めるとともに、外部専門家による情報セキュリティ診断をもとに情報セキュリティの強化を図っている。また、e-ラ―ニング等による情報教育を通じて情報管理技術・意識の向上に努めている。
(11)BCP、大規模災害リスク
大規模地震、津波、気候変動に伴う風水害等の自然災害、感染症の大流行などが発生し、工事中の構造物の損傷や流失、保有資産やサプライチェーンの毀損などにより、工事中断や物件の引渡遅延等により多額の費用が発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。
上記のリスクに対応するため、事業継続計画を策定しており、毎年大規模なBCP防災訓練と津波避難訓練を行うことにより発災時のリスクを最小限に抑制するよう努めている。
(新型コロナウイルス)
新型コロナウイルス感染症の影響としては、工事中止期間の長期化や想定以上に影響が拡大する場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。工事継続にあたっては、三密回避等の感染防止対策を徹底するとともに、感染防止対策としても有効なICTを活用した生産性向上(省人化、非接触、遠隔化)に取り組んでいる。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2021年3月31日)現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであるが、予測しえない経済状況の変化等さまざまな要因があるため、その結果について、当社が保証するものではない。
当連結会計年度末の資産合計は、現金預金や建設仮勘定の増加などにより、前連結会計年度末に比べ234億円増加し、4,522億円となった。負債合計は、コマーシャル・ペーパーの償還により減少したものの社債及び借入金の増加などにより、前連結会計年度末に比べ63億円増加し、2,938億円となった。純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加などにより、前連結会計年度末に比べ171億円増加し、1,584億円となった。
①事業全体の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、各種経済対策の効果により一部持ち直しの動きがみられたものの、新型コロナウイルス感染症再拡大の影響により先行き不透明な状況が続いた。建設業を取り巻く環境は、国内では政府の国土強靭化対策等の公共投資は堅調であり、民間投資は減少したものの、年度後半には持ち直しの動きがみられた。
当社においては、国内では工事は中断することなく継続し、新型コロナウイルス感染症の影響は限定的であった。海外においては、当社グループの海外拠点であるシンガポールとアフリカで工事中断の影響があったが、現在は全工事が稼働している。
このような事業環境の下、当社グループは、感染防止対策を徹底した上で工事を継続することが元請としての社会的使命であると考え、三密回避等の感染防止対策を徹底するとともに、ICT(Information and Communication Technology)の活用による非接触、遠隔化及び業務効率化の取組みを加速させ、事業を継続してきた。
その結果、当連結会計年度の当社グループの建設受注高は、シンガポールと香港において複数の大型工事を受注したことなどにより、前連結会計年度に比べ706億円(15.4%)増加し、5,291億円となった。
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ1,028億円(△17.9%)減少して4,711億円、営業利益は、前連結会計年度に比べ27億円(△8.1%)減少して305億円、経常利益は、前連結会計年度に比べ20億円(△6.1%)減少して305億円、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ24億円(△10.1%)減少して210億円となった。
売上高は国内建築事業が減少したことに加え、海外の一部で新型コロナウイルス感染症の影響により工事が中断したことなどにより減収となった。なお、新型コロナウイルス感染症の影響額は、売上高にして約300億円である。利益面では、売上高の減少により営業利益が減少し、親会社株主に帰属する当期純利益も減少したが、2020年5月に発表した当初見込みに比べて25億円改善した。
②セグメント情報に記載された区分ごとの状況(セグメント利益は連結損益計算書の営業利益ベース)
(国内土木事業)
国内土木事業においては、受注高は前連結会計年度に比べ80億円(△3.9%)減少し1,982億円となった。売上高は、前連結会計年度に比べ117億円(△5.6%)減少し1,990億円となったが、工事利益率が改善したことにより、セグメント利益は前連結会計年度に比べ22億円(10.5%)増加し229億円となった。
(国内建築事業)
国内建築事業においては、受注高は複数の官庁及び物流工事を受注したことにより、前連結会計年度に比べ122億円(7.2%)増加し1,799億円となった。売上高は前連結会計年度に複数の大型工事が竣工したことなどにより前連結会計年度に比べ526億円(△26.7%)減少し1,444億円となり、セグメント利益は前連結会計年度に比べ23億円(△35.9%)減少し40億円となった。
(海外建設事業)
海外建設事業においては、受注高はシンガポールと香港で複数の建築大型工事を受注したことなどにより、前連結会計年度に比べ665億円(78.7%)増加し1,510億円となった。シンガポール及びアフリカにおいて新型コロナウイルス感染症の影響で工事が中断したことにより、売上高は前連結会計年度に比べ357億円(△22.6%)減少し1,219億円となり、セグメント利益は34億円(△54.6%)減少し、29億円となった。
(その他)
国内開発事業、造船事業、環境関連事業等を主な内容とするその他の売上高は前連結会計年度に比べ28億円(△32.7%)減少し57億円となり、セグメント利益は7億円(前連結会計年度は2億円のセグメント損失)となった。
③経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 2事業等のリスク」に記載のとおりである。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
当連結会計年度における売上実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
(注) 1 その他の受注実績については、当社グループ各社における受注の定義が異なり、また、金額も
僅少であるため、建設事業のみ記載している。
2 当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載していない。
3 受注実績、売上実績については、セグメント間の取引を相殺消去して記載している。
4 売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は次のとおりである。
なお、参考のため提出会社単独の事業の状況は次のとおりである。
提出会社における受注高、売上高の状況
イ.受注高、売上高及び繰越高
(注) 1 前期以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注高にその増減額を含む。
したがって当期売上高にもかかる増減額が含まれる。
2 前期繰越高の上段( )内表示額は前期における次期繰越高を表わし、下段表示額は、当該事業年度の外国為替相場が変動したため海外繰越高を修正したものである。
3 当期受注高のうち海外工事の割合は、第70期18.5%、第71期27.9%でそのうち請負金額100億円以上の主なものは次のとおりである。
ロ.受注工事高の受注方法別比率
工事の受注方法は、特命と競争に大別される。
(注) 百分比は請負金額比である。
ハ.完成工事高
(注)1 海外完成工事高の地域別割合は、次のとおりである。
2 完成工事のうち主なものは、次のとおりである。
第70期 請負金額20億円以上の主なもの
第71期 請負金額20億円以上の主なもの
3 完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりである。
ニ.次期繰越工事高(2021年3月31日現在)
(注) 次期繰越工事高のうち請負金額50億円以上の主なものは、次のとおりである。
(3)キャッシュ・フローの状況
現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ162億円(37.6%)増加し、592億円となった。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりである。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税金等調整前当期純利益が302億円となったことに加え、未成工事受入金の増加などにより、307億円の収入超過(前連結会計年度は44億円の収入超過)となった。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
子会社株式の取得及びSEP型多目的起重機船の建造による支出などにより、128億円の支出超過(前連結会計年度は91億円の支出超過)となった。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
社債の発行による収入があったものの、社債及びコマーシャル・ペーパーの償還による支出などにより、31億円の支出超過(前連結会計年度は135億円の収入超過)となった。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
当社グループの資金の源泉は、主として国内及び海外建設事業に係る営業活動からのキャッシュ・フローと金融機関からの借入及び社債の発行による収入からなる。
資金調達を行う際は、期間や国内外の市場金利動向等、または自己資本比率、D/Eレシオ(ネット)や自己資本利益率(ROE)といった財務指標への影響度等を総合的に勘案しながら、最適な調達を実施することとしている。
なお、コミットメントライン契約については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結貸借対照表関係)」に記載のとおりである。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されている。この連結財務諸表の作成にあたっては、資産・負債並びに収益・費用の数値に影響を与える見積り及び判断が一定の会計基準の範囲内で行われており、これらの見積り等については、継続して評価し、事象の変化等により必要に応じて見直しを行っているが、見積りには不確実性を伴うため、実際の結果はこれらとは異なる場合がある。
連結財務諸表を作成するに当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりである。
①重要な収益及び費用の計上基準
完成工事高及び完成工事原価の計上基準は、当連結会計年度末までの進捗部分について成果の確実性が認められる工事については工事進行基準を、その他の工事については工事完成基準を適用している。工事進行基準による完成工事高の計上においては、工事収益総額、工事原価総額等を、信頼性をもって見積る必要があるが、これらの見積りは、気象条件、海象条件、施工条件、資機材価格等様々な仮定に基づいている。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において認識する完成工事高、完成工事原価等に重要な影響を与える可能性がある。
②退職給付に係る会計処理
当社グループの退職給付債務、退職給付費用及び年金資産は、数理計算上の仮定と見積りに基づいて計算されている。これらの数理計算上の仮定には、退職給付債務の割引率、予想昇給率、死亡率、退職率、期待運用収益率等の様々な計算基礎がある。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において認識する退職給付に係る資産及び退職給付に係る負債、退職給付費用等の金額に重要な影響を与える可能性がある。
なお、当連結会計年度末の退職給付債務、退職給付費用及び年金資産の算定に用いた主要な数理計算上の仮定は、「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (退職給付関係)」に記載している。
③新型コロナウィルス感染症拡大に伴う会計上の見積り
新型コロナウイルス感染症再拡大の影響により、景気は当面不透明な状況が続くものと予想される。
このような状況の中、当社グループにおいては、国内の手持ち工事は中断することなく進捗し、海外においてはシンガポールとアフリカのODA工事で一時中断の影響があったものの、現在は全工事が稼働している。
新型コロナウイルス感染症の影響については、今後の広がり方や収束時期等について統一的な見解はないため、予測困難である。当社グループにおいては、三密回避等の感染症対策を徹底するとともに、ICTを活用した生産性向上を通じて安定的な事業継続が可能であるとの前提のもと、工事進行基準適用工事等に関する会計上の見積もりを行っている。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大による経済活動への影響については不確定要素が多く、上記の仮定に状況変化が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性がある。
該当事項なし。
当連結会計年度は、生産性向上とICT技術の積極的導入を技術開発方針として、ブランド技術の開発や技術提案力の向上に資する技術開発を推進した。
なお、当連結会計年度における研究開発費は、
また、当連結会計年度における主要な研究開発内容および成果は次のとおりである。
(国内土木事業、国内建築事業及び海外建設事業)
1.土木分野
国土交通省は「発注工事の原則BIM/CIM化」を当初計画より二年前倒しとなる2023年までに達成すると発表し、BIM/CIM導入の取り組みを加速させている。当社は2016年度より桟橋工事に港湾分野としては初の全面的なBIM/CIMを導入して効果の検証を行うなど、積極的にBIM/CIMに取り組んできており、当連結会計年度も土木分野での取組案件数約100件を三年連続で達成した。
当連結会計年度においては4Dシミュレーションによる施工工程確認、XR(VR:Virtual Reality,MR:Mixed Realityなどの総称)を活用した安全教育や埋設物などの可視化、現地計測点群データとの重畳による干渉チェックなど、施工現場でのBIM/CIM活用の幅も広げてきた。当社はこれからも生産性向上や現場職員の負担軽減に寄与できるよう積極的にBIM/CIMの活用・導入に取り組む予定である。
(2)地盤情報の可視化ツール(Gi-CIM)の開発
地盤改良工事は施工対象が地中となるため、既設埋設物との干渉リスクがあり、また出来形や品質を直接確認することができない。当連結会計年度はこれらの課題に対して、既設埋設物等のCIMモデルに地盤改良の調査・設計・施工管理等の情報を三次元的に統合して可視化することができるGi-CIM(Ground Improvement Construction Information Modeling)を開発した。
曲がり削孔式浸透固化処理工法による地盤改良工事にGi-CIMを導入した結果、危険箇所(削孔と既設埋設物との干渉)の見える化によるトラブル回避、削孔出来形(設計との誤差把握)を反映した薬液注入計画の最適化など、安全・品質に関する効果が確認できたGi-CIMは、サンドコンパクションパイル工法(SCP工法)、深層混合処理工法(CDM工法)等の多様な地盤改良工事へも適用可能である。今後も、地中の地盤情報を三次元的に統合することにより地盤改良工事の見える化を行い、安全・品質の向上に取り組んでいく。
当社は、国土交通省の官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)を活用した「建設現場の生産性を飛躍的に向上するための革新的技術の導入・活用に関するプロジェクト」に三年連続で採択された。
三年目となる当連結会計年度は、中部地方整備局発注の「平成31年度設楽ダム廃棄岩骨材運搬路整備工事」において、IoTバックホウによる法面地質AI自動判別システムを開発・導入したことで、重機オペレータや現場職員の省力化が実現した。また、「抜き取り測定」が標準的な品質管理手法となっている路床のプルーフローリング試験におけるたわみ測定、盛土敷均しにおける撒き出し厚測定などについて、施工機械が稼働すると同時に計測も完了する「全量測定」システムを開発し、客観的なデジタル指標による品質管理の高度化を実現した。さらに、XRを用いた遠隔臨場システムを導入したことで、よりタイムリーに的確に発注者を含めた多くの関係者間で施工状況の確認や技術的な打ち合わせが可能となった。引き続き当社は、これらの知見を活かし、ICT技術の適用工種を拡大していく予定である。
山岳トンネル工事での切羽評価は、技術者の経験や知識により実施されることが多いが、熟練技術者の減少に伴い、属人的な技術判断を必要としない客観的な評価手法が求められている。
当社は、複数のセンシング技術を組み合わせた山岳トンネルの切羽評価システムを開発した。これまで、熟練技術者が観察や打診などによって必要な評価項目を評価していたが、本システムでは削岩機の油圧データ、ステレオカメラ画像、スペクトルカメラから得られるスペクトル特性などの複数のセンシング技術とAI技術を用いることで、客観的な切羽評価が可能となった。今後も当社は、山岳トンネルに限らずセンシング技術を積極的に導入して、デジタルデータに基づく施工品質の向上を目指していく。
海外のプロジェクトでは、国内で経験のない施工条件や課題が課せられる場合が多く、また設計や施工計画・管理に必要な気海象情報が不足することが多い。バングラデシュのマタバリプロジェクトの建設場所は波浪条件の厳しい外洋に面しており、潮流が速く海域は著しく濁っている。このような環境下にあるため、現地に波高・流速計、濁度計などを設置して時系列データを取得するとともに、定期的な深浅測量や採水調査などを実施し、海底地形変化に関する総合的なモニタリング調査を行った。これらの物理データを基に開発した航路埋没予測解析モデルをブラッシュアップし、埋め戻り土砂量を考慮した浚渫計画に反映した。
また、マダガスカルのトアマシナ港拡張事業、インドネシアのパティンバン新港事業などの大型プロジェクトに対して、海外機関が公開している気海象推算データの導入・精度検証を行った上で、国内で活用実績が豊富な気海象予測システムや稼働率算定システム、数値波動水路CADMAS-SURF等の数値解析技術を適用し、構造物の設計や施工順序などの施工計画に反映した。
港湾施設の目視調査は、専門知識を有するものが小型船に乗り、船上から構造物を観察して劣化状況を把握するが、専門家の確保が困難であること、特に桟橋下面は狭い空間で上向きの調査となるため労力・時間を要することが問題となっていた。そこで「i-Boat(旧称:無線LANボート)」を航行させ、搭載したカメラにより桟橋下面の劣化状況を撮影し、得られた画像から構造物の劣化度を診断できるシステムを開発し、これまで複数の桟橋調査に適用してきた。
当連結会計年度には、「i-Boatを用いた港湾構造物の点検・診断システム」が国土交通省港湾局による「港湾の施設の新しい点検技術カタログ」に掲載された。厳しい塩害環境下にある港湾施設は老朽化した施設が増加傾向にあるため、今後も港湾施設の適切な維持管理・更新に貢献していく予定である。
国内洋上風力発電プロジェクトは、港湾区域に引き続き、一般海域においても洋上風力発電の開発を促進する法律が整備され、全国各地で取り組みが本格化している。また、洋上風力発電の導入が進む欧州では、風車の大型化が進んでいる。
これらの動向を見据え,洋上風車および基礎構造の大型化に対応するため、10~14MWクラスの風車を複数基運搬・設置可能な1,600t吊SEP型多目的起重機船を、前連結会計年度に建造開始し、2022年9月完成・引渡し予定である。同船には、当社保有の800t吊SEP型多目的起重機船「CP-8001」に搭載している開発済みの「リアルタイムLEG着底監視システム」を導入するとともに、運用で得られたノウハウ、技術を結集する。
当社は、保有する「CP-8001」と自航式多目的起重機船「CP-5001」に加え、新たな1,600t吊SEP型多目的起重機船を投入することで、洋上風力建設工事に積極的に参入していく予定である。
2.建築分野
当社は、フロントローディングによる品質および生産性の向上を目指し、計画・設計段階や施工段階でのBIM活用に取り組んでいる。
当連結会計年度は、4件の設計施工案件に対してBIMを適用し、基本設計・実施設計を行った。まず、基本設計段階において意匠設計と構造設計の3次元モデルを統合して納まりを調整し、その後、実施設計段階において建築(意匠・構造)と設備(電気・機械)の統合・調整をおこなった。これにより、意匠・構造・設備間で整合性が取れた3次元モデルから任意の2次元設計図を作成することが可能となり、品質の向上につなげることができた。今後は実施設計段階の3次元モデルを施工に引き継ぎ、施工図の作成に活用する予定である。また、施工支援として30件の工事に対し、施工検討や納まり調整等にBIMを導入・活用した。今後も、設計施工案件や施工案件でBIM活用を進め、さらなる品質と生産性の向上を目指していく。
(2)ICTを用いた施工管理システムの開発と導入
当社は、前連結会計年度にBIMモデルを活用して建築工事を統括管理する「五洋建設統合施工管理システム」(PiCOMS(ピーコムス):Penta-ocean integrated COnstruction Management System)を開発し、生産性向上に資するICT技術として工事現場へ導入した。
前連結会計年度はプレキャスト工事のみへの適用であったが、当連結会計年度は6件の鉄骨工事にも適用を拡張し、それぞれの現場での運用を通じて生産性向上に対する効果を確認した。今後も他工種および品質管理にも展開し、さらなる生産性向上に向けて現場導入を加速させる予定である。
当社は、脱炭素社会の形成と地球環境問題の改善に寄与することを目的とし、建築コンクリート構造物に求められる所要の品質を確保しつつ、コンクリート材料に由来する二酸化炭素の排出量の約9~63%を削減するCELBIC(セルビック:Consideration for Environmental Load using Blast furnace slag In Concrete)を13社共同で開発した。
CELBICは、建築物の部位・部材や所定の性能に合わせて、セメントの10~70%を高炉スラグ微粉末と置換したコンクリートである。使用する高炉スラグ微粉末の量に応じて、A種クラス(普通ポルトランドセメントと類似した性能)、B種クラス(高炉セメントB種と類似した性能)、C種クラス(適用箇所は限定されるが、60%以上の二酸化炭素排出量を削減することが可能)の3種類に分類される。今後は、環境配慮性を有したCELBICを適材適所に活用し、普及展開を図っていく予定である。
(建設材料技術性能証明)
CELBIC-環境配慮型BFコンクリート-:一般財団法人日本建築総合試験所
GBRC材料証明 第20-04号
室内の環境の良し悪しは、健康や知的生産性等多くの面で人の活動に影響を与える。その中でも、空気環境に位置付けられる花粉やPM2.5などの微粒子の侵入や不快な臭気、有害な化学物質の発生、さらに最近は菌、ウイルスなどの脅威にも晒されることがあり、室内空気環境を改善することが重要な課題となっている。そこで当社では、医療施設等を対象に菌や化学物質の除去に有効な空気清浄システムの開発に取り組んでいる。当連結会計年度は、第三者試験機関において空気清浄システムの除菌性能を確認し、同システムの最適配置を検討するための解析ツールの整備を図った。今後、当社が提供する施設建物への適用に向け取り組みを加速させていく予定である。
(5) ZEB化技術への取り組み
地球温暖化防止に向けた脱炭素化への動きを背景に、省エネルギー・ZEB化に対する顧客の関心が高まっている。前連結会計年度末に竣工し、設計において建築物省エネルギー制度(BELS)の最高ランク「ZEB」(Net Zero Energy Building)の認証を受けた久光製薬ミュージアムでは、当連結会計年度での運用データの分析結果においても「ZEB」を達成していることを確認した。
当連結年度では、ZEBの実績を生かして建設した協和エクシオ南関東支店でも、BELSのNearly ZEBの認証を受けており、そのほかZEB化建物の提案や建設を進めている。今後とも、各施設のZEB化で得たデータ、知見を活かして、顧客への設計提案、技術提案に積極的に取り組んでいく予定である。
3.環境分野
カルシア改質土は、浚渫土にカルシア改質材(転炉系製鋼スラグを成分管理、粒度調整した材料)を混合することで、浚渫土の物理性・化学性を改善した材料である。港湾工事によって発生する浚渫土を有効活用し、埋立材や干潟・浅場の中詰材、潜堤材等として使用されている。前連結会計年度は、浚渫土とカルシア改質材をバックホウで効率よく混合できるカルシア混合バケットを開発した。
当連結会計年度は、大規模施工(2,500~4,000m3/日)に対応可能なカルシア落下混合船「オーシャン3号」を新たに建造した。材料の混合比率、含水比や湿潤密度などをリアルタイムで測定する機能を備えているため、品質の良いカルシア改質土の製造が可能となる。試験施工によって施工性や品質に関する性能を確認した後、カルシア改質土による中仕切堤の築造工事に適用した。今後さらに、カルシア落下混合船を活用し、埋立や浅場・干潟の造成等を効率的に進めていく予定である。
4.技術評価証等の取得
NETIS登録
・盛土併用真空圧密工法の自動動態観測システム HK-200012-A
・キュアロード HK-200019-A
大臣認定
・高強度コンクリート(Fc60~120):国土交通大臣認定(一般) 2020年4月
・高強度コンクリート(Fc60~120):国土交通大臣認定(一般) 2020年5月
・高強度コンクリート(Fc60~120):国土交通大臣認定(一般) 2020年7月 (2件)
・高強度コンクリート(Fc60~120):国土交通大臣認定(一般) 2020年8月 (2件)
・高強度コンクリート(Fc60~150):国土交通大臣認定(一般) 2020年9月
・耐火構造(CFT):国土交通大臣認定(一般) 2020年7月 (2件)
・耐火構造(CFT):国土交通大臣認定(一般) 2020年8月 (2件)
・耐火構造(鋼管柱):国土交通大臣認定(一般) 2020年10月