第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2022年3月31日)現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであるが、予測しえない経済状況の変化等さまざまな要因があるため、その結果について、当社が保証するものではない。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、高い品質の建設サービスを通じて安全で快適な生活空間と豊かな社会環境を創造することで、顧客や取引先、株主や地域社会に貢献する企業として持続的に発展するため、下記の経営理念と中期ビジョンを定めております。

 

「経営理念」

『社会との共感』 『豊かな環境の創造』 『進取の精神の実践』

 

「中期ビジョン」

・海と大地の“創造企業”

私たちは、臨海部ナンバーワン企業として魅力ある空間創造を究め、提案型企業として顧客満足と社会貢献を追求します。

・確かな品質を約束する“こだわり企業”

私たちは、確かな技術に裏づけされた高い品質と安全なモノづくりを通じて、顧客と社会の信頼を築きます。

・子供たちに豊かな環境を遺す“未来企業”

私たちは、企業活動を通じて良質で豊かな環境を創造し、次世代に確かな夢を、希望を、可能性を伝えます。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、上記の経営理念、中期ビジョンの実現を目指し、企業価値の向上を図るため、3カ年を期間とする中期経営計画を策定しております。

その中で、本業収益力を示す営業利益や株主価値を示す1株当たり当期純利益などの業績指標、財務の健全性を表す有利子負債残高、D/Eレシオ(ネット)などの経営指標とともに、自己資本利益率(ROE)と配当性向及び総還元性向を株主価値向上への取組みを明確化するための目標数値としております。

中期経営計画(2020~2022年度)の主要数値の実績と目標は次のとおりです。

 

○中期経営計画の最終年度(2022年度)目標(見直し後)

 

(連結)

売上高

5,150

億円

 

当期純利益

210

億円

 

有利子負債残高

960

億円

 

ROE

10

%以上

 

配当性向

30

%以上

 

総還元性向

40

 

 

 

  〇 中期経営計画(2020~2022年度)主要数値の実績と目標(見直し後)

 

2020年度実績

2021年度実績

2022年度目標

個別

連結

個別

連結

個別

連結

 業績目標

 

 

 

 

 

 

建設受注高

5,050億円

 

3,735億円

 

6,800億円

 

売上高

4,451億円

4,711億円

4,290億円

4,582億円

4,705億円

5,150億円

営業利益

270億円

305億円

133億円

159億円

280億円

315億円

経常利益

273億円

305億円

132億円

157億円

275億円

310億円

当期純利益

187億円

210億円

91億円

108億円

190億円

210億円

1株当たり当期純利益

65.6円

73.6円

32.0円

37.7円

66.6円

73.7円

 財務目標(連結)

 

 

 

 

 

 

有利子負債残高

822億円

926億円

960億円

D/Eレシオ(ネット)

0.1倍

0.3倍

0.3倍

自己資本利益率(ROE)

14.0%

6.8%

12.6%

配当性向

38.1%

61.1%

32.7%

総還元性向

40.0%

 

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略ならびに会社の対処すべき課題

2022年度は、国内では引き続き高水準の公共投資と堅調な民間投資に加え、土木、建築ともに大型プロジェクトが始動します。年度末にはいよいよ洋上風力建設プロジェクトも始まります。また海外もインフラ需要は堅調で、ODAによる大型港湾工事も再び本格化する見込みです。2022年度は、2020年度並みの売上、利益水準へとV字回復を目指します。さらに2023年度以降も事業量の拡大が期待できることから、その足固めをしたいと考えています。

しかしながら、新型コロナウイルス感染症の長期化にロシアのウクライナ侵攻が加わり、世界的な資源や原材料の高騰、供給制約、サプライチェーン制約が生じており、我が国のエネルギーや建設資材の高騰、供給にも影響が出ています。

当社は、建設資材価格や需給の動向に細心の注意を払いながら、営業と工事、土木と建築が部門の垣根を越えて連携し、技術に裏打ちされた総合力を発揮することによって、その影響を最小限にとどめたいと考えています。

 

■中期経営計画(2020~2022年度)

● 五洋建設グループの使命

“良質な社会インフラの建設こそが最大の社会貢献”と考えて、
確かな安全と品質で顧客の信頼に応え、技術を以って社会に貢献する

 

● 目指すべき姿

臨海部と海外に強みを持つ“真のグローバル・ゼネラルコントラクター”

〇 真のグローバルゼネコンとは

・部門間連携が当たり前 : 土木・建築、国内・海外の垣根がない

・D&I(Diversity and Inclusion)が当たり前

: 国籍・性別によらず多様な人材が生き生きと働ける

〇 部門間連携の進化 ~五洋建設グループのDNA

・フロントローディングによる競争力強化 ~会社の総合力を発揮する

〇 外部連携の強化 ~国内外でアライアンスの推進

 

① 働き方改革と生産性向上の先進企業〔Social〕

〇 働き方改革の加速 ~働き方改革推進委員会による全社的な推進

〇 生産性向上の追求 ~働き方改革実現のためにも建設生産システム改革推進

〇 安全で安心して働ける職場環境の整備

② D&Iの先進企業〔Social〕

〇 多様な人材の獲得・育成 ~若手の早期戦略化

〇 D&Iの推進 ~女性、外国人の活躍推進

③ 進取の精神で挑戦する企業〔Environment〕

〇 洋上風力への挑戦 ~海洋土木の強みを生かす

〇 建設発生土・浚渫土リサイクルのエキスパート ~臨海部の強みを生かす

〇 ZEB(Zero Energy Building)への取り組み

④ ESG重視のCSR経営の実践〔Governance〕

〇 CSR経営 ~ステークホルダー重視、本業を通じた社会貢献

〇 実効あるガバナンスの推進 ~リスクマネジメントの徹底

〇 ESGの取組みの推進

 

● 投資計画

① 設備投資: 300億円 +α
〇 本業強化に繋がる投資は機動的に実施
 ・洋上風力: 大型SEP船(建造中)他
 ・作業船 : 新造(ロボット化、能力アップ等)、改造(自動化・AI化、環境対応等)
 ・その他 : 環境事業等その他事業関連

② 研究開発投資: 100億円 +α
  ・生産性向上技術、プロジェクト対応、洋上風力等

③ その他: 100億円 +α
 ・働き方改革関連(オフィス・テレワーク環境整備、ICT推進)、教育、アライアンス、その他

 

● 財務計画

① 資金需要の増加への対応

〇 戦略的設備投資と事業量拡大への対応

② グローバルCF管理と為替リスクへの対応

〇 海外事業拡大(エリア、事業量、取下条件等)

 

● 配当政策

① 利益配分の基本方針: バランスよく
・株主への還元~継続的かつ安定的な配当
・成長への投資~収益力向上、企業価値増大
・資本の充実~将来への備え

② 目標配当性向(連結): 30%以上

③ 目標総還元性向(連結):40%

 

 

2 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、株価及び財政状態などに影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがある。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2022年3月31日)現在において当社グループが判断したものである。

(1)市場のリスク

公共投資の減少や国内外の景気後退による民間設備投資の減少などにより、建設投資が想定を超えて大幅に減少した場合には、競争環境や事業環境が大幅に変化し、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。

 

(2)取引先の信用リスク

建設工事においては、一般的に一件の取引額が大きく、工事代金の多くの部分が引渡し時に支払われる場合が多いことから、発注者、協力業者、共同施工会社などが信用不安に陥った場合には、資金の回収不能や施工遅延などにより、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。

上記のリスクに対応するため、一定の基準を設けて取引先の与信審査を実施している。また、引き渡しから工事代金の回収までに要する期間が長期に及ぶリスクを検証し、社内基準に則り取締役会にて審議している。

 

(3)工事用資材価格、労務費などの変動

工事用資材価格、労務費などが高騰した場合には、工事原価の上昇による利益率の低下により、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。

上記のリスクに対応するため、早期調達や集中購買、価格動向の調査等を実施している。また、発注者との工事請負契約締結の際に物価スライド条項を適用するよう努めている。

 

(4)海外工事におけるカントリーリスク

当社グループは、東南アジアを中心として海外で事業を展開しているため、現地での予期しない法律や規制の変更、テロ・戦争・紛争の発生などにより、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。

上記のリスクに対応するため、進出国における法令や諸規則、政治経済、社会情勢などについて、現地の専門家等より定期的に情報を入手し研修を実施するなど、リスクの早期把握、未然防止に努めている。

 

(5)為替相場の変動

当社グループは、東南アジアを中心として海外で事業を展開しているため、外国通貨の急激な為替相場の変動等により、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。

上記のリスクに対応するため、為替変動による業績への影響を緩和することを目的として、主要通貨に関して先物為替予約等を活用して為替ヘッジを行っている。

 

(6)保有資産の時価変動等

保有する棚卸不動産、有価証券などの時価の著しい下落や事業用の固定資産の収益性の著しい低下などが発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。

上記のリスクに対応するため、資産の購入・売却に関する社内基準に則り取締役会にて審議している。また、政策保有株式は、銘柄ごとに保有目的、保有に伴う便益やリスク及び資本コストと見合っているか等について、毎年、取締役会にて具体的に検証し保有の適否を判断している。

 

(7)施工リスク(品質)

契約不適合や瑕疵による多額の損害賠償や改修費用が発生した場合には、当社グループの業績や企業評価に影響を与える可能性がある。

上記のリスクに対応するため、品質管理に万全を期すべく、国内外の各拠点において着工前のリスクアセスメントや品質パトロールを実施しリスク低減を図っている。

 

 

(8)施工リスク(安全衛生環境)

工事の施工にあたり予期しない重大事故や労働災害などが発生した場合には、受注機会の喪失や工期遅延などにより、当社グループの業績や企業評価に影響を与える可能性がある。

上記のリスクに対応するため、事故防止に万全を期すべく着工前のリスクアセスメントや安全衛生環境パトロールを実施しリスク低減を図っている。

 

(9)コンプライアンスリスク

当社グループの事業は、建設業法、宅地建物取引業法などによる法的規制を受けているが、万一これらに抵触する事象が発生した場合には、当社グループの業績や企業評価に影響を与える可能性がある。

上記のリスクに対応するため、代表取締役社長を委員長とするCSR委員会の下に「リスクマネジメント委員会」を設置し、同委員会を中心に「コンプライアンス基本方針」に基づき、役職員の法令遵守はもとより、社会的規範・企業倫理を尊重し常に誠実な行動の徹底を図っている。

 

(10)情報リスク

個人情報や機密情報の漏洩などの情報セキュリティ事故が発生した場合には、社会的信用の失墜や損害賠償の発生等により、当社グループの業績や企業評価に影響を与える可能性がある。

上記のリスクに対応するため、情報管理規則を定めるとともに、外部専門家による情報セキュリティ診断をもとに情報セキュリティの強化を図っている。また、e-ラ―ニング等による情報教育を通じて情報管理技術・意識の向上に努めている。
 

(11)BCP、大規模災害リスク

大規模地震、津波、感染症の大流行などが発生し、工事中の構造物の損傷や流失、保有資産やサプライチェーンの毀損などにより、工事中断や物件の引渡遅延等により多額の費用が発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。

上記のリスクに対応するため、事業継続計画を策定しており、毎年大規模なBCP防災訓練と津波避難訓練を行うことにより発災時のリスクを最小限に抑制するよう努めている。

 

(新型コロナウイルス)

新型コロナウイルス感染症の影響としては、工事中止期間の長期化や想定以上に影響が拡大する場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。工事継続にあたっては、三密回避等の感染防止対策を徹底するとともに、感染防止対策としても有効なICTを活用した生産性向上(省人化、非接触、遠隔化)に取り組んでいる。

 

(12)気候変動に関するリスク

気候変動問題に関する政策・規制強化により、設備投資や資材調達コストが増加する移行リスクや、自然災害が激甚化・頻発化し、サプライチェーンの寸断や施工中の工事が被災することで工期遅延が発生するなどの物理的リスクが顕在化した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。

上記のリスクに対応するため、2022年5月にTCFD提言への賛同を表明し、関連情報を開示するとともに、事業活動で排出するCO2削減やBCP体制の強化に努め、建物の省エネルギー化、洋上風力発電施設の建設などを通じて、脱炭素社会の実現に向けて貢献していく。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)財政状態の状況

当連結会計年度末の資産合計は、現金預金が減少したものの受取手形・完成工事未収入金等の増加などにより、前連結会計年度末に比べ151億円増加し、4,674億円となった。負債合計は、コマーシャル・ペーパーの増加などにより、前連結会計年度末に比べ137億円増加し、3,076億円となった。純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加などにより、前連結会計年度末に比べ14億円増加し、1,598億円となった。

 

(2)経営成績の状況

①事業全体の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、ポストコロナに向けて景気回復の兆しもあったが、新型コロナウイルス感染症感染拡大の長期化や世界的な資源や原材料の高騰と供給・サプライチェーンの制約の影響に、年度末にはウクライナ情勢が加わり、先行き不透明な状況が続いた。

建設市場は、国内では防災・減災、国土強靱化5か年加速化対策等により高水準の公共投資が続くとともに、民間投資も旺盛な物流関連や再開発に加え、ポストコロナに向けた設備投資の動きがみられた。また海外においても、新型コロナウイルス感染症の影響を受けながらも建設投資は堅調に推移した。しかしながら、国内外において建設資機材の高騰や供給制約、労務費の上昇が顕著になっており、事業環境は厳しさを増している。

このような事業環境の下、当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高4,582億円(前連結会計年度比2.7%減)、営業利益159億円(同47.7%減)、経常利益157億円(同48.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益108億円(同48.8%減)となった。売上高の減少は、国内では前期に東京オリンピック・パラリンピック関連の大型土木工事が完成したこと、海外ではODA関連の大型港湾工事が完成または概成したことが主な原因である。利益面では、シンガポールの大型土木工事において、一つは現場条件の不一致と新型コロナウイルス感染症拡大の長期化の影響により工事原価が増大する見込みとなったこと、もう一つは完成工事の設計変更協議が難航していることにより、合わせて約90億円の工事損失見込みを計上した。また、国内土木の完成工事高の減少による完成工事総利益の減少が影響した。その結果、営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益はいずれも大幅な減益となった。

 

②セグメント情報に記載された区分ごとの状況(セグメント利益は連結損益計算書の営業利益ベース)

(国内土木事業)

 国内土木事業においては、受注高は前年に大型港湾工事の受注があった影響と官庁陸上工事の減少により前期に比べ188億円減少し、1,794億円(前連結会計年度比9.5%減)となった。売上高は1,769億円(同11.1%減)となり、売上高の減少に伴い完成工事総利益も減少したことにより、セグメント利益は175億円(同23.6%減)となった。

(国内建築事業)

 国内建築事業においては、受注高は177億円減少し、1,622億円(前連結会計年度比9.9%減)となった。売上高は1,534億円(同6.2%増)となり、セグメント利益は36億円(同9.9%減)となった。

(海外建設事業)

 海外建設事業においては、受注高は大型工事の受注が1件にとどまり、前期に比べ949億円減少し、560億円(前連結会計年度比62.9%減)となった。売上高は1,203億円(同1.4%減)となり、セグメント損失は60億円(前連結会計年度は29億円のセグメント利益)となった。

(その他)

国内開発事業、造船事業、環境関連事業等を主な内容とするその他の売上高は76億円(前連結会計年度比33.2%増)となり、セグメント利益は8億円(同16.5%増)となった。

 

③経営成績に重要な影響を与える要因について

「第2 事業の状況 2事業等のリスク」に記載のとおりである。

 

 

④目標とする経営指標の達成状況

目標の達成状況を判断するための主要な指標と当連結会計年度における達成状況は以下のとおりである。

連結

2021年度目標

2021年度実績

増減

業績指標

売上高

4,910億円

4,582億円

△328億円

営業利益

290億円

159億円

△131億円

経常利益

285億円

157億円

△128億円

親会社株主に帰属する当期純利益

200億円

108億円

△92億円

1株当たり当期純利益(EPS)

70.2円

37.7円

△32.4円

財務指標

自己資本比率

37.0%

34.1%

△2.9pt

有利子負債残高

830億円

926億円

96億円

D/Eレシオ(ネット)

0.2倍

0.3倍

0.1pt

自己資本利益率(ROE)

12.2%

6.8%

△5.4pt

配当性向(連結)

32.9%

61.1%

28.3pt

 

なお当社グループは、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)目標とする経営指標及び(3)中長期的な会社の経営戦略並びに会社の対処すべき課題」に記載しているとおり、2020年度を初年度とする「中期経営計画(2020~2022年度)」を策定しており、その中で目標とする業績指標、財務指標及び配当性向を定めている。

 

 

⑤生産、受注及び販売の実績は、次のとおりである。

イ.受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。

セグメントの名称

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

(百万円)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

(百万円)

国内土木事業

198,227

179,446

9.5%減

国内建築事業

179,908

162,185

9.9%減

海外建設事業

150,954

56,023

62.9%減

合計

529,091

397,656

24.8%減

 

 

ロ.売上実績

当連結会計年度における売上実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。

セグメントの名称

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

(百万円)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

(百万円)

国内土木事業

199,005

176,940

11.1%減

国内建築事業

144,422

153,443

6.2%増

海外建設事業

121,934

120,261

1.4%減

その他

5,696

7,586

33.2%増

合計

471,058

458,231

2.7%減

 

(注) 1 その他の受注実績については、当社グループ各社における受注の定義が異なり、また、金額も
僅少であるため、建設事業のみ記載している。

2 当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載していない。

3 受注実績、売上実績については、セグメント間の取引を相殺消去して記載している。

4 売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は次のとおりである。

第71期

国土交通省

58,327

百万円

12.4

第72期

国土交通省

51,629

百万円

11.3

 

 

 

なお、参考のため提出会社単独の事業の状況は次のとおりである。

提出会社における受注高、売上高の状況

イ.受注高、売上高及び繰越高

期別

種類別

前期繰越高
(百万円)

当期受注高
(百万円)


(百万円)

当期売上高
(百万円)

次期繰越高
(百万円)

第71期

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

国内土木事業

199,482

185,669

385,151

185,502

199,649

国内建築事業

212,012

178,216

390,228

142,102

248,126

海外建設事業

(348,022)

344,718

141,067

485,785

117,232

368,552

建設事業計

(759,516)

756,212

504,953

1,261,166

444,837

816,328

その他

304

304

304

合計

(759,516)

756,212

505,258

1,261,470

445,142

816,328

第72期

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

国内土木事業

199,649

165,481

365,130

160,550

204,579

国内建築事業

248,126

160,055

408,181

151,693

256,488

海外建設事業

(368,552)

391,484

47,973

439,458

115,341

324,117

建設事業計

(816,328)

839,260

373,510

1,212,770

427,584

785,185

その他

1,406

1,406

1,406

合計

(816,328)

839,260

374,916

1,214,177

428,991

785,185

 

(注) 1 前期以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注高にその増減額を含む。

  したがって当期売上高にもかかる増減額が含まれる。

2 前期繰越高の上段( )内表示額は前期における次期繰越高を表わし、下段表示額は、当該事業年度の外国為替相場が変動したため海外繰越高を修正したものである。

3 当期受注高のうち海外工事の割合は、第71期27.9%、第72期12.8%でそのうち請負金額100億円以上の主なものは次のとおりである。

第71期

シンガポール政府

シンガポール・マレーシア国境鉄道施設工事

( シンガポール )

 

香港大学

香港大学研究実験棟及びIT棟新築工事

(  香   港  )

第72期

シンガポール政府

クロスアイランド・ライン(地下鉄)
CR117工事

( シンガポール )

 

 

 

 

 

 

ロ.受注工事高の受注方法別比率

工事の受注方法は、特命と競争に大別される。

期別

区分

特命(%)

競争(%)

計(%)

第71期

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

土木工事

34.0

66.0

100

建築工事

11.3

88.7

100

第72期

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

土木工事

34.9

65.1

100

建築工事

25.0

75.0

100

 

(注) 百分比は請負金額比である。

 

 

ハ.完成工事高

期別

区分

国内

海外


(B)
(百万円)

官公庁
(百万円)

民間
(百万円)

(A)
(百万円)

(A)/(B)
(%)

第71期

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

土木工事

137,608

47,894

89,216

32.5

274,719

建築工事

19,094

123,007

28,015

16.5

170,117

156,703

170,901

117,232

26.4

444,837

第72期

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

土木工事

120,950

39,599

70,884

30.6

231,435

建築工事

20,887

130,805

44,456

22.7

196,149

141,837

170,405

115,341

27.0

427,584

 

(注)1 海外完成工事高の地域別割合は、次のとおりである。

地域

第71期(%)

第72期(%)

東南アジア

63.7

80.9

その他

36.3

19.1

100

100

 

2 完成工事のうち主なものは、次のとおりである。

第71期 請負金額20億円以上の主なもの

関東地方整備局

東京港臨港道路南北線沈埋函(4号函・5号函・6号函)製作・製造等工事

東京都下水道局

砂町水再生センター合流改善施設建設その5工事

万葉倶楽部株式会社

(仮称)小田原東口駅前再開発ビル新築工事

株式会社立飛リアルエステート

三井不動産株式会社

MFLP立川立飛新築工事

シンガポール政府

トムソンライン 地下鉄工事 T211工区

 

第72期 請負金額20億円以上の主なもの

株式会社JERA

衣浦1号地前面北側灰捨地護岸工事

川崎市

都市計画道路殿町羽田空港線ほか道路築造工事

武蔵小山駅前通り地区市街地再開発組合

武蔵小山駅前通り地区第一種市街地再開発事業 施設建築物新築工事

株式会社ゴールドクレスト

(仮称)クレストフォルム矢向ⅢH棟新築工事

インドネシア政府

パティンバン港開発事業(第一期)パッケージ1ターミナル建設工事

 

3 完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりである。

第71期

国土交通省

58,067

百万円

13.1

第72期

国土交通省

50,606

百万円

11.8

 

 

ニ.次期繰越工事高(2022年3月31日現在)

区分

国内

海外
(百万円)


(百万円)

官公庁
(百万円)

民間
(百万円)

土木工事

110,386

94,193

176,279

380,859

建築工事

41,621

214,867

147,837

404,325

152,008

309,060

324,117

785,185

 

(注) 次期繰越工事高のうち請負金額50億円以上の主なものは、次のとおりである。

西日本高速道路株式会社

広島呉道路 坂工事

2026年7月完成予定

万葉倶楽部株式会社

(仮称)千客万来施設6街区新築計画

2024年1月完成予定

シンガポール政府

ノースサウスコリドー高速道路N105工事

2027年5月完成予定

 

 

(3)キャッシュ・フローの状況

現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ156億円△26.4%)減少し、436億円となった。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりである。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

税金等調整前当期純利益が161億円となる一方、売上債権の増加などにより、77億円の支出超過(前連結会計年度は307億円の収入超過)となった。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

持分法適用関連会社株式の取得及び有形固定資産の取得による支出などにより、118億円の支出超過(前連結会計年度は128億円の支出超過)となった。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

コマーシャル・ペーパーの発行による収入などにより、14億円の収入超過(前連結会計年度は31億円の支出超過)となった。

(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)

当社グループの資金の源泉は、主として国内及び海外建設事業に係る営業活動からのキャッシュ・フローと金融機関からの借入及び社債の発行等による収入からなる。

資金調達を行う際は、期間や国内外の市場金利動向等、または自己資本比率、D/Eレシオ(ネット)や自己資本利益率(ROE)といった財務指標への影響度等を総合的に勘案しながら、最適な調達を実施することとしている。

なお、コミットメントライン契約については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結貸借対照表関係)」に記載のとおりである。

 

(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されている。この連結財務諸表の作成にあたっては、資産・負債並びに収益・費用の数値に影響を与える見積り及び判断が一定の会計基準の範囲内で行われており、これらの見積り等については、継続して評価し、事象の変化等により必要に応じて見直しを行っているが、見積りには不確実性を伴うため、実際の結果はこれらとは異なる場合がある。

連結財務諸表を作成するに当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりである。

①重要な収益及び費用の計上基準

 主要な事業である建設事業においては、顧客との工事請負契約に基づき、目的物の完成及び顧客に引渡す義務を負っている。

 当該履行義務は、主として工事の進捗に伴い支配を顧客に移転することになるため、一定の期間にわたり充足されると判断しており、履行義務の充足に係る進捗度に基づき、一定の期間にわたり収益を認識している。一定の期間にわたり履行義務を充足し収益を認識する方法による完成工事高、工事収益総額、工事原価総額等を、信頼性をもって見積る必要があるが、これらの見積りは、気象条件、海象条件、施工条件、資機材価格等様々な仮定に基づいている。
 当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において認識する完成工事高、完成工事原価等に重要な影響を与える可能性がある。

 

②退職給付に係る会計処理

 当社グループの退職給付債務、退職給付費用及び年金資産は、数理計算上の仮定と見積りに基づいて計算されている。これらの数理計算上の仮定には、退職給付債務の割引率、予想昇給率、死亡率、退職率、期待運用収益率等の様々な計算基礎がある。
 当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において認識する退職給付に係る資産及び退職給付に係る負債、退職給付費用等の金額に重要な影響を与える可能性がある。
 なお、当連結会計年度末の退職給付債務、退職給付費用及び年金資産の算定に用いた主要な数理計算上の仮定は、「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (退職給付関係)」に記載している。

 

③新型コロナウイルス感染症拡大に伴う会計上の見積り

新型コロナウイルス感染症再拡大の影響により、景気は当面不透明な状況が続くものと予想される。

このような状況の中、当社グループにおいては、国内の手持ち工事は中断することなく進捗し、海外においては前連結会計年度にシンガポールとアフリカの工事で一時中断の影響があったものの、現在は全工事が稼働している。

新型コロナウイルス感染症の影響については、今後の広がり方や収束時期等について統一的な見解はないため、予測困難である。当社グループにおいては、三密回避等の感染症対策を徹底するとともに、ICTを活用した生産性向上を通じて安定的な事業継続が可能であるとの前提のもと、会計上の見積りを行っている。

なお、新型コロナウイルス感染症拡大による経済活動への影響については不確定要素が多く、上記の仮定に状況変化が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性がある。

 

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項なし。

 

 

5 【研究開発活動】

当連結会計年度は、デジタルとグリーンに着目した技術の積極的導入を技術開発方針として、ブランド技術の開発や技術提案力の向上に資する技術開発を推進した。

なお、当連結会計年度における研究開発費は、24億円であった。

また、当連結会計年度における主要な研究開発内容および成果は次のとおりである。

 

(国内土木事業、国内建築事業及び海外建設事業)

1.土木分野

(1)BIM/CIMへの取組み

 国土交通省は「発注工事の原則BIM/CIM化」を2023年までに達成するという目標を掲げ、BIM/CIM導入の取り組みを加速させている。当社は2016年度より桟橋工事に港湾分野としては初の全面的なBIM/CIMを導入して効果の検証を行うなど、積極的にBIM/CIMに取り組んできており、当連結会計年度も土木分野での取組案件数約100件を四年連続で達成した。
 当連結会計年度においては、3次元の空間データに時間軸を持たせた4Dシミュレーションによる施工工程確認、XR(VR:Virtual Reality,MR:Mixed Realityなどの総称)を活用した安全教育や埋設物などの可視化、現地計測点群データとの重畳による干渉チェックなど、広範な用途にてBIM/CIMを活用し、多くの現場に展開した。当社はこれからも生産性向上や現場職員の負担軽減に寄与できるよう積極的にBIM/CIMの活用・導入に取り組む予定である。

 

(2)地盤情報の可視化ツール(Gi-CIM)の開発

 地盤改良工事は施工対象が地中となるため、既設埋設物との干渉リスクがあり、また出来形や品質を直接確認することができない。当社はこれらの課題に対して、既設埋設物等のCIMモデルに地盤改良の調査・設計・施工管理等の情報を3次元的に統合して可視化することができるGi-CIM(Ground improvement Construction Information Modeling)を開発し、既に多くの工事で活用してきた。
 曲がり削孔式浸透固化処理工法による空港の滑走路、誘導路等の地盤改良工事では、危険箇所(削孔と既設埋設物との干渉)の見える化によるトラブル回避、削孔出来形(設計との誤差把握)を反映した薬液注入計画の最適化など、安全・品質に関する効果を確認した。また、当連結会計年度においては、曲がり削孔による削孔出来形をリアルタイムに可視化する機能を付加し、施工リスクのさらなる低減を図ってきた。今後も、地盤情報と施工情報を3次元的かつリアルタイムに統合することにより地盤改良工事の見える化を行い、安全・品質の向上に取り組んでいく。なお、本技術を適用した「平成30年北海道胆振東部地震により被災した札幌市清田区里塚地区の市街地復旧プロジェクト」は当連結会計年度において「地盤工学会技術業績賞」を受賞した。
 

(3)革新的ICT技術の山岳トンネル工事への導入

 当社は、国土交通省の官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)を活用した「建設現場の生産性を飛躍的に向上するための革新的技術の導入・活用に関するプロジェクト」に四年連続で採択された。
 四年目となる当連結会計年度は、四国地方整備局発注の「平成29-32年度見の越トンネル工事」において、自律制御バックホウによる自動コソク作業を現場試行し、切羽付近の安全性の向上と作業員の省人化を実現した。また、デジタルツインによる没入型遠隔臨場を開発・導入し、施工管理IоTデータをデジタルツインにリアルタイムに反映させ、タブレットなどを用いた関係者の常時現場確認を可能にした。さらに、VRデバイスを用いてデジタルツインに没入することにより、実寸での現場状況確認や切羽付近における多人数での打合せを安全に行うことが可能になった。引き続き当社は、これらの知見を活かし、ICT技術の適用工種を拡大していく予定である。
 

 

(4)センシング技術を用いた山岳トンネルの切羽評価システムを開発

 山岳トンネル工事の切羽評価では、経験と知見が豊富な熟練技術者の減少により、属人的な技術判断を必要としない客観的な評価手法が求められている。
 当社は、複数のセンシング技術を組み合わせた山岳トンネルの切羽評価システムを開発した。これまで、熟練技術者が岩石の観察や現位置試験などによって必要な項目を評価していたが、本システムでは削岩機の削孔検層、3D LiDAR、ステレオカメラ、スペクトルカメラなどの複数のセンシング技術とAI技術を用いることで、客観的な切羽評価を可能とした。当社は、山岳トンネル以外の分野でもさまざまなセンシング技術を積極的に導入して、デジタルデータに基づく施工品質の向上と作業の効率化、省力化を目指していく。

 

(5)海外大型プロジェクトへの国内技術導入

 海外のプロジェクトでは、国内で経験のない施工条件や課題が課せられる場合が多く、また設計や施工計画・管理に必要な気海象情報が不足することが多い。バングラデシュのマタバリプロジェクトの建設場所は波浪条件の厳しい外洋に面しており、潮流が速く海域は著しく濁っている。このような環境下にあるため、現地に波高・流速計、濁度計などを設置して時系列データを取得するとともに、定期的な深浅測量や採水調査などを実施し、海底地形変化に関する総合的なモニタリング調査を行った。これらの物理データを基に開発した航路埋没予測解析モデルをブラッシュアップし、埋め戻り土砂量を考慮した浚渫計画に反映した。
 また、マダガスカルのトアマシナ港拡張事業、インドネシアのパティンバン新港事業などの大型プロジェクトに対して、海外機関が公開している気海象推算データの導入・精度検証を行った上で、国内で活用実績が豊富な気海象予測システムや稼働率算定システム、数値波動水路CADMAS-SURF等の数値解析技術を適用し、構造物の設計や施工順序などの施工計画に反映した。
 

(6)桟橋の調査診断システムおよび残存耐力評価技術の開発

 港湾施設の目視調査は、専門知識を有するものが小型船に乗り、船上から構造物を観察して劣化状況を把握するが、専門家の確保が困難であること、特に桟橋下面は狭い空間で上向きの調査となるため労力・時間を要することが問題となっていた。そこで「i-Boat(旧称:無線LANボート)」を航行させ、搭載したカメラにより桟橋下面の劣化状況を撮影し、得られた画像から構造物の劣化度を診断できるシステムを開発し、これまで複数の桟橋調査に適用してきた。
 また、点検・診断結果からAIを用いて桟橋の残存耐力を評価する技術を開発した。これは、桟橋が地震や経年劣化によってどのように損傷するかを予測するものである。施設管理者にとって供用継続の可否や補修・補強の意思決定がしやすいため、不具合が生じてから対策を行う事後保全から、合理的・計画的な予防保全への転換が期待できる。なお、本技術は当連結会計年度において「日本港湾協会論文賞」を受賞した。
 厳しい塩害環境下にある港湾施設は老朽化した施設が増加傾向にあるため、今後も港湾施設の適切な維持管理・更新に貢献していく予定である。
 

(7)新船種作業船の開発・建造

 国内洋上風力発電プロジェクトは、港湾区域に引き続き、一般海域においても洋上風力発電の開発を促進する法律が整備され、全国各地で取り組みが本格化している。また、洋上風力発電の導入が進む欧州では、風車の大型化が進んでいる。
 これらの動向を見据え、洋上風車および基礎構造の大型化に対応するため、10~15MWクラスの風車を複数基運搬・設置可能な1,600t吊SEP型多目的起重機船を、前々連結会計年度に建造開始し、2023年3月就役予定である。
 さらに、連結子会社であるジャパンオフショアマリン㈱において、現在DEME Offshore社が保有する外国船籍のSEP船「Sea Challenger」を取得の上、1,600t吊に大規模改造し、2025年春の供用開始を目指して日本船籍化して保有する予定である。また、洋上風力発電向けのケーブル敷設船の保有に向けて検討を進めている。
 当社グループは、保有する「CP-8001」と自航式多目的起重機船「CP-5001」に加え、新たな1,600t吊SEP型多目的起重機船を2隻とケーブル敷設船を投入することで、洋上風力建設工事に積極的に参入していく予定である。

 

 

2.建築分野

(1)設計、施工へのBIM活用

 当社は、フロントローディングによる品質および生産性の向上を目指し、計画・設計段階や施工段階でのBIM活用に取り組んでいる。
 当連結会計年度は、6件の設計施工案件に対してBIMを適用し、基本設計・実施設計を行った。まず、基本設計段階において意匠設計と構造設計の3次元モデルを統合して納まりを調整し、その後、実施設計段階において建築(意匠・構造)と設備(電気・機械)の統合・調整をおこなった。これにより、意匠・構造・設備間で整合性が取れた3次元モデルから任意の2次元設計図を作成することが可能となり、品質の向上につなげることができた。さらに、実施設計が完了した4件については設計の3次元モデルを施工に引き継ぎ、施工図の作成に活用した。また、施工支援として15件の工事に対し、施工検討や納まり調整等にBIMを導入・活用した。今後も、設計施工案件や施工案件でBIM活用を進め、さらなる品質と生産性の向上を目指していく。

 

(2)ICTを用いた施工管理システムの開発と導入

 当社は、これまでにBIMモデルを活用して建築工事を統括管理する「五洋建設統合施工管理システム」(PiCOMS(ピーコムス):Penta-ocean integrated COnstruction Management System)を開発し、生産性向上に資するICT技術として工事現場へ導入してきた。
 当連結会計年度は5件の建築工事へ導入、プレキャスト外壁工事や杭工事にも適用範囲を拡張し、それぞれの現場での運用を通じて生産性向上に対する効果を確認した。今後も他工種および品質管理にも展開し、さらなる生産性向上に向けて現場導入を加速させる予定である。
 

(3)環境配慮型BFコンクリート「CELBIC」の開発と活用

 前連結会計年度において、脱炭素社会の形成と地球環境問題の改善に寄与することを目的とし、建築コンクリート構造物に求められる所要の品質を確保しつつ、コンクリート材料に由来する二酸化炭素の排出量の約9~63%を削減するCELBIC(セルビック:Consideration for Environmental Load using Blast furnace slag In Concrete)を13社共同で開発した。
 当連結会計年度では、当社初めての実績(共同開発グループ内で2例目)としてヒューリック錦糸町へB種クラスを適用し、建築物のコンクリート材料に由来する二酸化炭素の51%削減を達成した。今後もカーボンニュートラル実現へ向けCELBICを適材適所に活用し、普及展開を図っていく予定である。
 

(4)室内(空気)環境改善に関する技術開発

 室内の環境の良し悪しは、健康や知的生産性等多くの面で人の活動に影響を与える。その中でも、空気環境に位置付けられる花粉やPM2.5などの微粒子の侵入や不快な臭気、有害な化学物質の発生、さらに最近はコロナウイルスや菌などの脅威にも晒されることがあり、室内環境を改善することが重要な課題となっている。そこで当社では、医療施設等不特定多数が利用する施設を対象に菌や化学物質の除去に有効な空気清浄システムの開発に取り組んでいる。前連結会計年度は、第三者試験機関において空気清浄システムの除菌性能を確認し、同システムの最適配置を検討するための解析ツールの整備を図った。
 当連結会計年度では、実建物(飲食店)への適用を実現し、施設での運用を通じて除菌性能に対する効果を確認した。今後は、当社が提供する施設建物への適用に向け取り組みを加速させていく予定である。
 

 

(5) ZEB化技術への取り組み

  地球温暖化防止に向けた脱炭素化への動きを背景に、省エネルギー・ZEB化に対する顧客の関心が高まっている。前々連結会計年度末に竣工し、設計において建築物省エネルギー制度(BELS)の最高ランク「ZEB」(Net Zero Energy Building)の認証を受けた久光製薬ミュージアムでは、運用データの分析結果においても二年連続して、「ZEB」を達成していることを確認した。
 当連結会計年度では、BELSのNearly ZEBの認証を受けたJR九州社員研修センターやホーコス株式会社本社ビルをZEBの実績を活かして施工した。また、そのほかにも建物のZEB化提案や施工を進めている。今後とも、各施設のZEB化で得たデータ、知見を活かして、顧客への設計提案、技術提案に積極的に取り組んでいく予定である。
 

3.環境分野

(1)浚渫土の有効利用技術

 カルシア改質土は、浚渫土にカルシア改質材(転炉系製鋼スラグを成分管理、粒度調整した材料)を混合することで、浚渫土の物理性・化学性を改善した材料である。港湾工事によって発生する浚渫土を有効活用し、埋立材や干潟・浅場の中詰材、潜堤材等として使用されている。前連結会計年度は、大規模施工(2,500~4,000m3/日)に対応可能なカルシア落下混合船「オーシャン3号」を建造した。従来は、カルシア改質土の製造・運搬・投入作業をバックホウ、土運船、グラブ浚渫船など複数の重機と作業船で行っていたが、カルシア改質土の製造から投入までの作業を一隻で行うことが可能となった。
 ただし、「オーシャン3号」が有する高い施工能力を発揮するためには、カルシア改質土の投入時の材料分離と海域の濁りを抑制する必要があった。そこで当連結会計年度は、浅場造成工事において新たに開発したトレミー管を用いてカルシア改質土の水中投入を行った。カルシア改質土の品質確保と海洋環境の保全を満足しつつ急速施工を実現することが確認できた。今後もカルシア落下混合船とトレミー管を活用し、埋立や干潟・浅場の造成等を効率的に進めていく予定である。

 

(2)泥土のリサイクル技術

 河川・湖沼の浚渫土や陸上の掘削工事にともなって発生する泥土の利活用は重要な課題であり、その解決のため当社はこれまで様々な技術開発に取り組んできた。
 吸水性泥土改質材「ワトル」は、製紙会社から発生するペーパースラッジ焼却灰(PS灰)に特殊薬剤を混合し水和処理した製品で、泥土に対し、吸水による物理的改質(瞬時の改良効果)に加え、時間経過にともなう化学的改質(緩やかな強度発現)を合わせ持つことが特徴である。高含水比状態の建設汚泥や発生土のような泥土を処理する場合、天日干しやセメント・石灰等による固化処理が用いられてきたが、時間やコスト、アルカリ化等の課題があった。「ワトル」はこのような課題を解決する多くの使用実績があるが、さらにカーボンリサイクルへの貢献など環境負荷の低減、利用用途の拡大など、より高機能な材料の開発へと取り組みを進めている。なお、本技術は当連結会計年度において「国土技術開発賞優秀賞」を受賞した。
 

4.技術評価証等の取得

 NETIS更新
・吸水性泥土改質材「ワトル」 TK-160010-VR

 

NETIS登録

・CIMを活用した施工情報収集共有システム(i-PentaCOL)       QS-210005-A
・航跡波予測システム                          KTK-210008-A
・Gi-CIM                             KTK-210009-A
・ポンプ浚渫船の自動浚渫制御システム                  KTK-210010-A
・土質定数推定システム「サウンディングAI」                 KTK-210017-A
・トラックスケール自動計量・伝票発行システム「K-GO!システム」 KTK-210018-A

 

 

建築物防災技術評価

・鋼構造物の耐震補強を対象とした高力ボルトによる挟み込み接合(PNW工法)2021年6月

 

性能評定

・非耐力壁の一部に水平部分を有するせっこうボードを用いた耐火壁構造(クランク耐火壁)
 の耐火性能に関する技術的評価:一般財団法人ベターリビング、CBL PF012-20号 2022年3月

 

大臣認定
・高強度コンクリート(Fc60~120):国土交通大臣認定(一般) 2021年8月