文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2025年3月31日)現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであるが、予測しえない経済状況の変化等さまざまな要因があるため、その結果について、当社が保証するものではない。
当社グループは、すべての事業活動、企業活動のよりどころとなるものとして「経営理念」、サステナビリティ経営の「ビジョン」及び「マテリアリティ」、そして「行動規範」からなる理念体系を定めています。

「経営理念」
『社会との共感』 『豊かな環境の創造』 『進取の精神の実践』
「ビジョン」
サステナビリティ経営を実践する“真のグローバル・ゼネラルコントラクター”
~サステナブルな建設事業活動を通じて社会の持続的な発展に貢献する
「行動規範」
当社グループは、上記の経営理念、ビジョンの実現を目指し、企業価値の向上を図るため、3か年を期間とする中期経営計画を策定しております。
その中で、本業収益力を示す営業利益や株主価値を示す1株当たり当期純利益などの業績指標、財務の健全性を表す有利子負債残高、D/Eレシオ(ネット)などの経営指標とともに、自己資本利益率(ROE)と総還元性向を株主価値向上への取組みを明確化するための目標数値としております。
中期経営計画(2023~2025年度)の最終年度である2025年度における主要数値の目標は次のとおりです。
○中期経営計画の最終年度(2025年度)目標(見直し後)
世界経済は、堅調な成長を維持するものと予想されるものの、ウクライナ情勢や中東情勢等の地政学的リスクに加え、米国のトランプ政権の関税政策をはじめ、西欧諸国の政治の不安定化による影響が注視される状況にあります。我が国においては、政府の総合経済対策に加えて、経済安全保障やCN推進の観点からの民間設備投資の増加、インバウンドの拡大等によって緩やかな景気回復が続く見通しです。
建設業を取り巻く環境は、国内にあっては切れ目のない予算執行による堅調な公共投資と、民間では旺盛な物流やデータセンター、都市再開発に加え、経済安全保障の観点からサプライチェーン強靱化やCN推進に関する設備投資の増加が見込まれます。海外においても、当社の拠点であるシンガポールをはじめ東南アジアでは引き続き堅調な建設需要が見込まれます。燃料や建設資材価格の高騰及び供給制約、また地域や業種によっては技能者の確保等に課題がありますが、「サステナビリティの取組みは現場から」をスローガンに、協力会社や取引先と一体になってサステナブルな建設事業活動を推進し、技術に裏打ちされたターゲットを明確にした営業戦略とフロントローディングの取組みにより、事業量の拡大を利益の拡大に繋げてまいります。
■中期経営計画(2023~2025年度)
● 目指す姿(ビジョン)
サステナビリティ経営を実践する“真のグローバル・ゼネラルコントラクター”
~サステナブルな建設事業活動を通じて社会の持続的な発展に貢献する
● 目指す姿と基本戦略
1. 良質な社会インフラ・建築物を提供する企業
○ 良質な社会インフラ・建築物の建設(サステナブルな建設)
○ 技術に裏打ちされた競争力の強化、総合力の発揮
(フロントローディング、部門間連携、技術開発、外部連携)
2. 現場生産性向上を推進するDX先進企業
○ DXの推進
○ 設計・施工・管理の効率化
(BIM/CIM、デジタルツイン、自動・自律化、AI活用)
○ 現場書類のデータ化、情報共有の効率化
○ 現場遠隔支援体制の拡充
3. 豊かな地球環境を創造するGX先進企業
○ 建設事業活動のCN化
○ 本業によるCN実現への貢献
(洋上風力建設、建物のZEB化)
○ 豊かな環境の創造
(資源循環、ブルーカーボン)
4.多様な人材が活躍するDE&I先進企業
○ 多様な人材の確保・育成
○ DE&Iの進化~女性、外国人の活躍推進
○ 働き方改革の加速
5. サステナビリティ経営の実践
○ サステナビリティ経営の推進
○ 人間尊重~人権の尊重、労働安全衛生の確保
○ 実効あるガバナンスの推進
● 投資計画
1. 設備投資: 約300億円/年
○ 洋上風力建設に用いる大型作業船の建造
○ 作業船のDX、GXへの対応
2. 研究開発投資: 約30億円/年
○ DX、GXの推進に向けた技術開発の強化
● 財務計画
1. 資金使途に応じた資金調達
○ 洋上風力建設拡大に向けた設備投資への対応
○ 事業量の拡大による運転資金需要への対応
2. 為替リスクへの対応
○ 外貨建て債権・債務のバランス均衡に向けた取組みの強化
○ 費用対効果を考慮した為替ヘッジの実行
● 株主還元
1. 利益配分の基本方針: バランスよく
○ 株主への還元~継続的かつ安定的な配当、自己株買いによる株式価値向上
○ 成長への投資~収益力向上、企業価値増大
○ 資本の充実~将来への備え
2. 目標総還元性向(連結):40%以上
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は次のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
(1)サステナビリティ経営の実践
当社グループは「良質な社会インフラ・建築物の建設こそが最大の社会貢献」と考え、ESG重視のサステナビリティ経営を実践しています。安全、環境への配慮と技術に裏打ちされた確かな品質の提供を通じて、株主、顧客、取引先、従業員のみならず、地域社会にとって魅力ある企業を目指します。
当社は、サステナビリティに関わる課題への適切な対応が、リスクの減少のみならず収益機会の増大につながる重要な経営課題であると認識し、代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ推進委員会の下、人権委員会、カーボンニュートラル推進委員会、リスクマネジメント委員会、中央安全衛生環境委員会、品質・環境マネジメント委員会、DE&I推進委員会を設置し、ESG重視のサステナビリティ経営を推進しています。サステナビリティに関する戦略や進捗状況については、取締役会へ定期的に報告し、中長期的な企業価値向上の観点から監督を受けています。
サステナビリティのガバナンス体制概要は下図のとおりです。

各委員会の活動概要
※1 2024年度は、CSR委員会の名称で開催
※2 2024年度は、働き方改革推進委員会、D&I推進委員会の名称で開催
・マテリアリティ
当社グループは、2023年5月に公表した中期経営計画(2023~2025年度)において、「サステナビリティ経営を実践する真のグローバル・ゼネラルコントラクター」を目指す姿としています。
サステナビリティ経営の推進に当たっては、企業の中長期の成長と、社会の持続可能性の両立を目指し、最優先でリソースを投入するべき課題をマテリアリティ(重要課題)として特定しました。
具体的には、①気候変動問題への対応、②豊かな環境の創造、③良質な社会インフラ・建築物の建設、④技術開発・技術力の強化、⑤DE&Iの推進、⑥人権の尊重と持続可能なサプライチェーン、⑦労働安全衛生の確保、⑧実効あるガバナンスの推進の8項目のマテリアリティを特定しました。それぞれに関して、具体的な方針、体制、指標を定めて進捗を管理しています。
当社グループのマテリアリティ(重要課題)

・教育、啓発
グループ全役職員を対象とした、サステナビリティ研修をグローバルで毎年実施するほか、階層別研修、部門主催の研修会等で、サステナビリティをテーマとした講義を行っています。
2024年9月からは、サステナビリティ経営の取組を、自社グループだけなく現場で働く協力会社の方々とも共有するために、マテリアリティの各テーマを題材とした「サステナビリティ朝礼」を毎週1回実施しています。
また2024年12月には、シンガポール進出60周年を記念して「第1回サステナビリティ・アワード」を開催し、現場におけるESGの取組事例を共有しました。2025年度には、サステナビリティ表彰を国内でも実施予定です。
③リスク管理
マテリアリティ特定のプロセスを通じて、SASB、GRIスタンダード等のグローバルなESG基準、規制等の動向及びステークホルダーの要望を分析し、重要課題に関連した中長期のリスクと機会を把握しています。
主要なリスクに関しては、サステナビリティ推進委員会でモニタリングを行い、結果を取締役会に報告しています。同時に、個別リスクに関しては、サステナビリティ推進委員会傘下の各委員会等で進捗管理を行います。
中でも経営への影響が大きく、全社的な対応が必要なリスクに関しては、全社のリスクマネジメント委員会で管理を行います。
当社グループのマテリアリティ項目の主な指標及び目標は以下のとおりです。

※最新の実績については、当社ホームページ内に掲載しております「ESGデータシート」をご覧ください。
なお、2024年度における実績は、後日開示を予定しております。
(2)人的資本、多様性
重要な賃金制度、職務体系、重要な組織等の設置、変更及び廃止など、人財戦略に関する経営方針を取締役会で審議、決議しています。人財戦略に関する具体的な課題や施策、すなわち、人材採用、人員数・人件費、能力開発、後継者人材の育成、障がい者雇用、社員の健康状況などの計画・実績について、四半期に1回の頻度で取締役会への業務執行報告を行っています。
取締役会の内部委員会として設置される人事委員会では、取締役、監査役、執行役員等の選任・解任に関する事項のほかに、その他重要な人事に関する事項を審議し、代表取締役に答申しています。人事委員会は、会社法に定める社外取締役全員とその他の取締役若干名で構成されており、委員の過半数は社外取締役としています。
また、公正・透明な評価、納得性の高い適正な処遇、一段高い社員の能力発揮や一層の成果向上に向けた人材育成に資する活動を行うことを目的に、人事制度運営委員会を設置しています。人事制度運営委員会は人事担当役員を委員長とし、各部門の本部長から委員長が指名した者及び人事部長から構成されており、人事制度改定や人事評価調整の指導方針、能力開発施策など人財戦略について審議した事項について、代表取締役社長に上申しています。

②戦略
当社は、「多様な人材がお互いを認め合い、いきいきと働き、成長を実感できる企業」を目指し、「サステナビリティを実践し、真のグローバル・ゼネラルコントラクターを担う人材」や「『先見性・勇気・スピード』でお客様の要望や社会の要請に応える人材」の確保・育成を基本方針としています。以下の戦略・施策を通じて、当社が掲げるサステナビリティ経営へ貢献し、働き手の満足度(従業員エンゲージメント)向上を図ることで、人財の価値を最大に引き出し、当社の中長期的な企業価値向上につなげていきます。
● DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の推進
● 人材の確保と育成
● ウェルビーイングの向上

●DE&Iの推進
当社グループは、すべての事業活動、企業活動のよりどころとなるものとして理念体系を定めています。DE&Iの推進を含む理念体系については、トップマネジメントからのメッセージ、経営会議や各種委員会、階層別研修などの各種研修において繰り返し取り上げ、役職員への共有・浸透を図っています。
DE&I推進のために、性別や国籍を問わない多様な人材の確保・育成に取り組んでいます。また、女性活躍推進や男性も含めたワークライフバランス向上のため、ライフイベントを迎えても働きやすい環境を整備しています。海外の現地国で働く外国人を対象に、目標管理型の人事評価、報酬制度であるグローバル人事制度を導入するとともに、外国人留学生向けにグローバル総合職を新設して定期的な採用等を行っています。
・女性活躍推進
女性が配属された工事事務所では、チェックリストを用いた職場環境(更衣室・休憩室・快適トイレ等)の確認を実施するとともに、現場職員や協力業者を対象としたハラスメント研修を実施しています。
先輩女性社員が中心となり、定期的に若手女性社員へのヒアリング(女性特有の悩みやキャリアに関する相談)や若手女性総合職研修を実施し、キャリアやロールモデルの共有、会社の制度や育児と仕事の両立に関する情報を提供しています。
・外国籍社員の活躍推進
日本語を母国語としない優秀な外国人留学生(日本・ASEANの大学及び大学院)を毎年採用し、入社後に日本語教育や外国籍社員向け研修を実施することで国内・海外問わず活躍できる人材として育成しています。現場の課題解決ができるエンジニアとして、日本人と現地スタッフとの橋渡し役を担い、将来的には、マネジメント人材として期待しています。また、2020年4月から新しく「グローバル総合職制度」を導入し、外国籍社員がさらに活躍できる体制を整えました。
・グローバル人事制度
2017年度から当社国際部門の主要拠点であるシンガポールと香港の外国籍職員を対象とした人事評価制度を導入しており、2018年7月からは等級・報酬制度も導入しました。人事評価制度は、目標達成の動機づけと人材開発の促進、上司・部下のコミュニケーションの促進を目的としており、等級・報酬制度は、業績達成・目標達成に対して適切にインセンティブを持たせ、報酬に国際部門の業績や評価を反映させることで、外国籍職員の目標達成に対するエンゲージメントを高めることができます。
・障がい者の雇用
「障害者雇用促進法」の立法趣旨に則り、サテライトオフィスを利用した障がい者雇用の拡大などの取組を行っています。現在は東京(新宿・三鷹)と神奈川(横浜)に作業室を設置しており、障がい者の方にも働きやすい環境づくりを行っています。
・シニア社員の活躍推進
当社グループは、高年齢者雇用安定法改正を受け、定年到達後も継続勤務を希望する総合職、担当職全員に新しい仕事と労働条件を提示しています。また、豊富な知識・経験を持ったシニア社員を安全品質教育センターでの若手社員教育の指導員とするなど、活躍の場の創出も行っています。
・相談窓口の充実
コンプライアンス/ハラスメント/人権それぞれの問題について、相談窓口を設置し、当社従業員のみならず、当社グループに関わる全ての関係者からの相談・通報について受け付けています。社内相談窓口のみならず、社外相談窓口(弁護士事務所)でも相談が可能です。相談事項については、社内規程に沿って個人情報の取り扱いに注意しつつ、適正に対応しています。また、相談事項等を踏まえ、未然防止への環境整備も進めています。
●人材の確保と育成
事業量の拡大、グローバル化の推進、洋上風力事業等の新分野への挑戦のためには、多様な人材の確保・育成が不可欠です。2024年4月より適用となった時間外労働の上限規制遵守のためにも、現場の交代要員の確保、現場を支援する本支店等のバックオフィスの充実も必要です。そこで、新卒採用はもとより、キャリア採用、外国籍社員の採用、60歳以上のシニア社員の活躍推進、各階層・職種別の研修の拡充などを進めてきました。
当社は、職場教育・集合研修・自己啓発援助の機会を設け、人材育成に努めており、また、「役割等級制度」「目標管理制度」「人事評価制度」などを整備・運用を通じて、社員の適性把握、社員の意欲向上、組織の活性化、公正な処遇などを実現しています。さらに、職種(土木職・建築職・事務職)ごとに特色のある育成制度を整備・運用することとあわせて、「安全品質教育センター」のシニア社員による若手現場社員に対するマンツーマン教育を継続的に実施しています。これらの施策を通じ、若手社員の自己成長を促し、社員の定着を図っています。
・人事制度
当社の人事制度は、社員に目指すべき人材像を明確に示し、常に一段階高いレベルの役割と行動を志向することにより、プロフェッショナル人材を継続的に創出し、その結果、業績の向上と社員の自己実現を両立させることを目指しています。
人事制度に重要な以下の3点の実現のため、「役割等級制度」「目標管理制度」「人事評価制度」「能力開発制度」などを整備、運用しています。
・社員の強み・弱み、適性を把握し、能力開発及び適正配置に結び付けられていること
・社員のやる気・意欲の向上、組織の活性化につながる仕組みであること
・公正な処遇を実現することができる仕組みであること
(ⅰ)チャレンジする環境づくり
当社は、社員の自己実現と業績向上の両立に向け、目標設定とそのフォローに力を入れています。
目標は、年度当初に上司と面談を実施し、社員本人にとって挑戦的かつ実現可能なものを設定しており、その後の期中も、上司は日常業務や面談の場を通してフォローを行い、目標の達成と社員自身の成長を促します。期末には、目標に対する達成度や発揮された取組み(行動・姿勢)度合によって評価が決まり、その結果を本人にフィードバックし、結果に対する本人の納得性を高めるとともに、次年度以降の本人の成長課題を明確にしています。また、この仕組みが適切に機能しているかどうかをチェックするため、毎年、労働組合と会社が共同で人事制度の運用状況に関するアンケートを実施しており、その結果をもとに、社員の生の声が制度運営に反映されるよう改善を図っています。
(ⅱ) 評価者の育成
人事制度運用の成否の最大の鍵は評価者が握っており、当社では人事評価の目的を社員に周知するとともに、評価スキルのばらつきをなくすために、新任評価者を対象とした研修を毎年継続的に実施しています。併せて、一定期間毎に全評価者・全管理職を対象とした評価者更新研修も実施しています。
・新卒採用、キャリア採用
当社は、新卒採用において、完全オープンエントリー制を取り入れ、学生の皆さんとの対話を重視した採用活動を展開しています。新卒採用の一環として、学生の業界理解の向上と将来の進路決定に必要となる就業体験機会を提供するために、毎年度、インターンシップ生の受け入れも実施しています。また、社外で様々なキャリアに裏打ちされたスキルを当社で活かし、当社の組織力向上を達成するために、積極的なキャリア採用を推進しています。2025年からは、既存のジョブ・リターン制度を改定し利便性を高め、当社を一旦離職した再雇用希望者に対して復職の機会を広く提供しています。
・人材育成
当社は、真のグローバル・ゼネラルコントラクターとして総合力を発揮すべく、個々人の力を伸ばすとともに、その力を結集して組織力を高める能力開発を推進しています。個々の能力向上は、職場教育(OJT=On the Job Training)、集合研修(Off-JT)、自己啓発援助(SDS=Self Development System)を3本柱としています。現場力、技術力の強化に資する知識、技術、目標意識、行動力の育成について、社員が相互に若しくは結集して能力を活用し合う環境を醸成し、組織力の向上を図っています。
建設業においては、仕事を通し成長していくこと(OJT)が重要であると考え、新入社員一人ひとりに対し、先輩社員をOJTの担当者に選任し、きめ細やかな教育を実施することで、教える方も教わる方もともに育つ、「共育風土」の醸成を図っています。
同時に、経験だけでは得られない知識や能力、ものの見方・考え方などを習得するための集合研修(Off-JT)として、職務遂行能力の成長段階に応じた等級別研修をはじめ、専門知識の習得を目的とした各本部主催の職種別研修などを実施しています。
また、社員には、建設業で働く上で必要な公的資格や免許取得を推進しており、社内講習会の実施をはじめ、受験料等の取得費用や資格の重要度に応じた合格報奨金を支給するなど、全面的なバックアップを行っています。その他、社員個人が外部主催研修を選び受講できる選択型研修の推奨や、通信教育等の自己啓発に対する支援など、各種の学びの場や機会を提供するのみならず、自己研鑽やリスキリングのための自己啓発支援金制度も整備しています。
社外取締役を中心に構成される人事委員会の審議の一環として、将来の経営を担う人材による経営戦略について討議する機会を設け、後継者育成にもつとめています。また、新任執行役員は、他社・他業種を交えた執行役員向け社外セミナーに参加し、経営に必要な知識やスキルの習得をしています。
・人材定着のための教育システム
OJT、Off-JT、SDSの3本柱のほか、職種ごとに特色のある育成制度を運用することで、若手職員の成長を促し、人材定着を図っています。
土木部門の職種別研修では、「ナナイチ計画」(7年で一通りのことを学ぶ)と呼ぶ若手育成プログラムを提供しています。一人前の土木技術者として必要な、施工・設計・積算などの講座を体系的に学ぶことができます。対面講習に加えて、YouTubeやeラーニングでいつでも視聴・利用が可能であり、一部講座は英語版も用意しているため、グローバル総合職をはじめとした外国籍社員も利用できます。
建築部門では、入社8年目までの施工職を対象とし、専門指導員が現場実務を個々に指導教育する部署として「タスクサポートセンター」を2020年に設け、技術力の底上げと適材適所の配置を実施しています。設備職や設計職についても、それぞれの育成プログラムに基づき、若手職員の技術力向上を図っています。
事務職については、1年目は研修期間として全員を人事部配属とし、本社・支店・工事事務所それぞれ4カ月経験し、事務職の基本を一通り学んでから、2年目に本配属としています。
●ウェルビーイングの向上
当社は、サステナブルな建設事業活動を実践することで社会の持続的な発展に貢献することを目指しています。達成に向けて、その活動を担う役職員の心と体の健康づくりを推進しています。
当社においては、継続して働き方改革の推進に取り組んできました。労働時間の適正化、ワークライフバランスの向上を図ることで、心身ともに健康な状態を目指しています。毎年実施しているストレスチェックのフィードバックレポートによる組織運営の改善、メンタルヘルス問題に関する外部カウンセリング機関の利用などにより、職員のメンタルヘルス対策に努めています。また、健康保険組合との連携などを通じ役職員の健康増進を図るとともに、復職支援、療養と仕事の両立支援、福利厚生制度の充実などにより、健康でいきいきと働ける環境づくりに努めています。
・多様な働き方に対応した福利厚生制度の充実
2022年度に「次世代育成支援に向けた第5次行動計画」を策定し、性別に関わらずワークライフバランスを実現しながら、その能力を発揮できるようにする取組を3か年計画で行ってきました。2025年度からの「次世代育成支援に向けた第6次行動計画」では第5次計画での取組を継続的に実施します。
具体的な取組として、育児と仕事、介護と仕事の両立支援ハンドブックを作成し、性別に関わらず育児休業や介護休業、子の看護休暇や介護休暇を取得しやすい環境づくり、育休取得者面談シートを活用し、会社や上司と復職後の働き方やキャリアについて相互理解を深める取組を行っています。また、お子さんを出生予定の男性職員が、育休等の取得時期や働き方などについて上司と相談しやすい環境を整備しています。
育児と仕事の両立のための制度を拡充するとともに、ジョブ・リターン制度、配偶者転勤同行勤務地変更制度、フレックスタイムやテレワーク制度を通じた多様な働き方を推進しています。従業員に年5日の計画的な休暇取得を義務付け、休暇を取得しやすくするとともに、単身赴任者が帰省時に十分な自宅滞在時間を確保できるような環境も整備しています。また、役職員向けにダイバーシティ講演会を毎年開催し、仕事と私生活の調和のための意識醸成を図っています。
また、我が国における少子化対策の一環として、出生支援に関する制度の整備をすすめ、2024年からは信頼できる企業で働く独身者専用の縁結びアプリの福利厚生サービスを社員に提供しています。
(ⅰ) 育児休業
出産・育児などのライフイベントを迎えても社員が仕事を継続できるように育児休業制度を設けています。2022年度より出生時育児休業中の就業を認めることで、男性の育児休業取得推進を進めています。加えて、育児支援制度として短時間勤務や始業・終業時刻の繰り上げ・繰り下げ制度など(最大、子が小学校を修了するまで)を用意し、男性・女性を問わず仕事と育児が両立しやすい環境を整えています。
(ⅱ) 介護休業と介護・看護休暇
家族の介護を行う必要が生じた社員が仕事を継続できるように介護休業制度を設けています。加えて、要介護者または小学校修了前の子どもを持つ社員に家族や子の介護や看護の必要が生じた場合、その社員が年次有給休暇とは別に12日の休暇を取得できる制度を整えています。看護休暇の取得事由については、2025年の法改正に合わせ、法規定に上乗せし(授業参観や運動会など)、取得を推進しています。
(ⅲ) 年次有給休暇取得
2017年度から半日単位での有給休暇の取得、2021年度から時間単位での有給休暇取得を可能としています。これにより、例えば単身赴任者は金曜日の昼から月曜日の昼までといった柔軟な休暇取得が可能となり、ワークライフバランスの推進に資することができると考えています。また、2025年度からは単身赴任者の帰省時に合わせて前後に特別有休休暇を付与し、自宅から遠方赴任地でも帰省時に十分な自宅滞在時間を確保できる帰省時特別有給休暇制度も整備しています。
(ⅳ) 出生支援に関する制度
不妊治療時に活用できる休暇・休職制度(「出生支援休暇」「出生支援休職」)ならびに経済的負担の軽減のための特別融資制度を整備しています。
(ⅴ) 勤務継続・復職を可能とする諸制度
育児、介護、配偶者の転勤等による既退職者の再雇用を推進するための制度整備をしていましたが、2025年度からは、当社ホームページからの申入れなど制度利用の利便性をさらに高め、再雇用希望者への復職の機会を提供するジョブ・リターン制度を改定し運用しています。また、特別な事情がある場合、退職しなくとも自己都合理由で休職できる特別休職制度や、配偶者(社内外を問わず)の転勤に同行を希望する担当職が条件に合致する地域で働ける機会を提供する配偶者転勤同行勤務地変更制度などを整備しています。
・健康経営の推進
当社の経営理念の実現に向けては、すべての役職員が安心していきいきと働ける環境の整備と心と体の健康の増進が重要です。社会の持続的な発展に貢献しつづける企業を目指すため、その礎となるすべての役職員が能力を最大限に発揮できるように「心と体の健康づくり」に取り組んでいます。こうした取り組み姿勢を明確にするため、2024年度に「五洋建設グループ 健康経営宣言」を採択しました。代表取締役社長が責任者となり、労働組合・健康保険組合・専門家など社内外の組織と連携・協力しながら、健康経営を推進しています。
・職場環境の整備
当社が推進するサステナビリティ経営を支える根幹には、高い倫理観とコンプライアンス精神が求められます。研修や職制などを通じて、どんなことでも言い合える、風通しのよい職場環境や働きやすく働きがいが感じられる職場環境の整備・醸成に努めています。具体的には、アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)やハラスメントに関する研修の拡充、ストレスチェック結果の有効活用を図っています。
また、働き方改革の一環として、現場業務の遠隔支援強化やデジタル化による施工管理の効率化・高度化などにより、省力化・効率化の推進を推し進めています。フレックスタイムの導入や朝礼の交代制、柔軟な勤務時間の設定の推進、バディ制(交代制)の推進など、柔軟な働き方にも取り組んでいます。
当社は、経営資源の成長分野への重点的な投入、役職員の能力開発やスキル向上などを通じて、持続的な成長と生産性向上に取り組み、企業価値の最大化に注力しています。その上で、生み出した収益・成果に基づいて、社会情勢や自社の状況を踏まえた適切な方法による賃金の引上げを行うとともに、従業員のエンゲージメント向上や更なる生産性の向上に資するよう、人財投資に積極的に取り組んでいます。当社の競争力の源泉たる人材の採用計画、育成計画が不達若しくは不十分だった場合、持続的な成長と生産性向上の阻害要因になりえます。採用や育成については、部門間が連携して、計画・実施・振り返りを不断に行い、リスクの最小化に努めています。
④指標及び目標
上記「②戦略」に記載した取組に係る指標については、当社グループの一部の会社では未実施のため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、主要な事業を営む当社のものを記載しております。
その他の人的資本・多様性関連の実績(2023年度。2024年度における実績は後日開示予定)については、当社ホームページ内に掲載しております「ESGデータシート」をご覧ください。
※ 海外現地採用職員を含む。目標値は2035年度
(3)人権の尊重
当社は「国連グローバルコンパクト」署名企業として「国際人権章典」、「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」等の人権に関する国際規範を支持、尊重するとともに、「国連ビジネスと人権に関する指導原則」のフレームワークに沿って活動を推進しています。
①ガバナンス
当社は、代表取締役社長を委員長とする人権委員会を2023年5月に設置しました。当社グループの人権方針の策定、定期的な人権影響評価の実施を通じた重要な人権リスクの把握、救済・是正措置の実効性モニタリング等、人権デューデリジェンスの推進等を行っています。
②戦略
・方針
人権を尊重する企業の責任を果たしていくために、「五洋建設グループ人権方針」に基づいた企業活動を行っています。人権方針は、社外の専門家からの助言を得て作成し、2023年6月27日の取締役会決議を経て策定・開示しました。
五洋建設グループ人権方針
・教育・啓発
取引先とのパートナーシップを推進するとともに、法令の遵守、人権の尊重、環境への配慮等に取り組み、持続可能なサプライチェーンを取引先とともに構築することを目的に、「五洋建設グループ 持続可能なサプライチェーン方針・ガイドライン」を、2023年11月21日の取締役会決議を経て策定・開示しました。本方針・ガイドラインを全取引先に送付するとともに、主要な取引先を対象とした説明会を各地で開催することで、理解の促進と本方針・ガイドラインに基づく実践をお願いしています。また、社内に向けても、説明会の開催や全役職員を対象としたeラーニング等で周知を図っています。
・相談窓口の設置
是正・苦情処理メカニズムとして、人権への負の影響の早期発見と是正を図ることを目的に、当社グループの企業活動の影響を受ける全ての人々を対象とした人権相談窓口を、2023年8月に設置しました。ハラスメント相談窓口とあわせて受付件数、内容を人権委員会等で報告しています。
・ステークホルダーとの対話
ビジネスと人権の取組の実効性を確保するため、2024年は、責任ある外国人労働者受入プラットフォーム(JP-Mirai)の有識者と外国人労働者の人権に関する意見交換を行いました。また、UNDP(国連開発計画)ビジネスと人権アカデミーの個別ガイダンスセッションに参加し、当社のビジネスと人権の取組に対して有識者から助言をいただきました。
③リスク管理
当社は「国連ビジネスと人権に関する指導原則」に基づいた人権デューデリジェンスを実施しています。
2022年度に社外の専門家の助言を得ながら特定した建設業界における人権リスクと優先的に検討すべき課題に基づき、2023年度は当社グループ、2024年度は協力会社・資材納入会社を対象にモニタリングを実施しました。社会の要請や企業活動に応じて変化する人権課題に対応していくために、定期的に人権影響評価に基づく、人権リスクの見直しを行っていきます。

具体的な取組(人権リスクの特定・評価、予防・是正措置)
〔2022年度〕 建設業界における人権リスクを特定
・ 国際機関、業界団体、NGO等が発行するレポートや人権侵害事例などから建設業界の人権リスクを特定
・ 想定される人権リスクごとに、バリューチェーン上で影響を受ける可能性があるステークホルダーをマッピング
〔2023年度〕 五洋建設グループの人権リスクコントロール状況を把握
・ 特定した人権リスクについて、関係者の理解促進のために社内説明会を開催。ヒアリングやモニタリング調査を通じて、当社の支店、海外拠点、グループ会社などを対象に、「個別ルールの有無」「実態の把握状況」等を確認
・ 優先的に取り組むべき予防、是正措置について人権委員会で対応策を審議し、進捗状況を継続的にフォロー
〔2024年度〕 人権モニタリング調査結果に基づく施策実施、取引先への展開
・ 安全、人事など主管部門による具体的施策を実施、グループ会社へも展開
・ 専門家の知見を得て、各国における人権関連法令や社会規範に基づくチェックリストを作成
・ 主要な協力会社・資材納入会社を対象にモニタリング調査を実施。持続可能なサプライチェーン方針・ガイドラインに基づくセルフ・アセスメント質問表(SAQ)により、人権尊重の取組を確認
④指標及び目標
「人権の尊重」に関する指標と目標は、「(1)サステナビリティ経営の実践 ④ 指標及び目標」に記載しています。
(4)持続可能なサプライチェーン
当社グループは、協力会社や資材納入会社等の取引先と、対等な立場に立った適正取引を行い、連携、共存共栄を図るパートナーシップの構築を推進します。また、取引先とともに法令の遵守、人権の尊重、環境への配慮等に取り組み、持続可能なサプライチェーンの構築を推進しています。
①ガバナンス
持続可能なサプライチェーンの構築に関しては、サステナビリティ推進委員会の任務の一つとして明確化し、戦略の策定と推進を行っています。
②戦略・方針
「五洋建設グループ 持続可能なサプライチェーン方針・ガイドライン」を、2023年11月21日の取締役会決議を経て策定・開示しました。また、取引先の皆様と連携し共存共栄を進めるために、パートナーシップ構築宣言も公表しています。
五洋建設グループ 持続可能なサプライチェーン方針・ガイドライン
五洋建設 パートナーシップ構築宣言
・教育・啓発
方針・ガイドラインの取引先への展開に先立ち、全役職員を対象にeラーニングを実施したほか、国内支店、海外拠点、グループ会社を対象とした説明会を2023年12月から2024年6月までに計19回開催しました。取引先に向けては、本方針・ガイドラインを全取引先に書面等で送付するとともに、2024年2月から主要な取引先を対象とした説明会を計12回開催し、取組の背景の解説やガイドライン解説資料を用いた取組事例の紹介などを行いました。
③リスク管理
国内では、2024年7月に、安全・品質の確保を協力会社と一体となって行うための組織である「五洋建設労務安全協議会」の役員会社や主要な資材納入会社、グループ会社の主要取引先など159社を対象に、持続可能なサプライチェーンガイドラインの項目(法令遵守、適正取引、人権尊重、環境保全等)を具体化した設問から構成された質問表(SAQ)を用いて、取組み状況の自己評価を依頼しました。回答結果を分析の後、9社を訪問し、回答内容のヒアリングと意見交換を行いました。今後も特に確認が必要と考えられる取引先には追加のヒアリングを実施するほか、課題が判明した場合は改善に向けた対応を依頼し、当社グループもその活動を支援します。海外においては、主要拠点であるシンガポール、香港、タイ、インドネシア、ベトナムで説明会を行い、70社を対象にSAQによる調査を実施しました。2025年度は「五洋建設労務安全協議会」の全会員企業に対象を拡大し、資材納入会社も対象を拡大して自己評価を実施する予定です。
④指標及び目標
「持続可能なサプライチェーン」に関する指標と目標は、「(1)サステナビリティ経営の実践 ④指標及び目標」に記載しています。
(5)気候変動
当社は、気候変動問題への対応を経営上の重要課題と認識し、2021年7月、代表取締役社長を委員長とするカーボンニュートラル推進委員会と推進部署であるCN推進室を設立し、部門を超えて温室効果ガスの削減に向けた取組を強化しています。
当委員会は、当社グループのサステナビリティ経営を統括するサステナビリティ推進委員会の下部組織として、人権委員会、リスクマネジメント委員会、中央安全衛生環境委員会、品質・環境マネジメント委員会、DE&I推進委員会と並んで設立され、当社グループの気候変動問題への対応の基本方針、戦略の企画・立案、取組状況のモニタリング結果に基づく対応策等の重要事項の審議を担っています。その審議結果はサステナビリティ推進委員会に報告・審議されます。決定された方針や戦略は各部門の事業計画、全社の年度計画及び中期経営計画に織り込まれ実施されます。さらに取締役会は、サステナビリティ推進委員会からの報告を受け、気候関連問題への対応を含むサステナビリティに関わる全ての課題について監督します。
気候変動問題への対応の実施状況は、カーボンニュートラル推進委員会で継続的にモニタリングを行い、取組方針や戦略の見直し・改善に繋げます。

②戦略
建設業は、建設工事に起因するCO2排出量は他産業に比べて比較的少ないものの、サプライチェーン全体でみると、鋼材やセメント等製造段階で多くのCO2排出を伴う建設資材を使用すること、また完成後も建物やインフラ構造物の耐用年数が長く、運用段階でCO2排出量が多いという特性があります。さらに、当社が強みを持つ海洋土木工事では、作業船を使用するため、建築や陸上の土木工事に比べてCO2の排出量が多いという特徴があります。
海洋土木工事に強みを持つ当社は、作業船の稼働による影響で、完成工事高が同規模の同業他社に比べてCO2排出量が多くなっています。特に海外においては、複数の大型浚渫船が稼働しているため、排出量削減の基準年とした2019年度を例にとると、完成工事高は国内の約40%にも関わらず、CO2排出量は国内の約1.9倍となっています。したがって、建設事業活動においても、気候変動問題に関する政策の変化や規制の強化が、経営に与える影響は同業他社に比べて相対的に大きいため、気候変動問題に対する対応を経営上の重要課題の一つと捉えています。
その課題解決の一環として、気候変動問題が当社グループに与えるリスクと機会を特定し、発生可能性と影響の程度を分析し、重要性が高いものについてシナリオ分析を実施しました。
リスクは、低炭素社会への移行に伴うCO2削減のための政策や規制の強化(省エネ法の強化やZEBの義務化、炭素税の導入等)の影響による「移行リスク」と、慢性的な気温上昇や温暖化による異常気象の激甚化・頻発化等の影響による「物理的リスク」に分類しました。
機会は、気候変動問題への対応に関する事業機会を検討し、「移行リスク」と「物理的リスク」への対応として想定される事業機会を抽出しました。シナリオ分析は、産業革命前と比べて今世紀末の気温上昇を1.5~2℃未満に抑える「1.5~2℃シナリオ」と、気温上昇が4℃を超える「4℃シナリオ」の二つのシナリオ※を想定し、特定したリスクと機会が、2030年における当社グループの財務へ与える影響を定量的に分析し「大、中、小」の三段階で評価しました。
その結果、気候変動問題への対応として、作業船のカーボンニュートラル化に向けた維持更新、新造等の設備投資の増加が見込まれますが、当社にとっては、それを上回る事業機会が創出されると考えています。土木分野では洋上風力発電建設の推進が、建築分野ではZEBの推進が挙げられます。特に、海洋土木技術に強みを持つ当社は、洋上風力建設のフロントランナーとしてわが国の再生可能エネルギーの供給拡大に貢献してまいります。
また、今回実施したシナリオ分析により特定されたリスクと機会への対応策は、年度事業計画や中期経営計画(2023~2025年度)に織り込み、着実に実行することで、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
※1.5~2℃シナリオ:IEA 持続可能な開発シナリオ(SDS)、IEA ネットゼロシナリオ(NZE)
IPCC 代表的濃度経路シナリオ(RCP 2.6)
4℃シナリオ :IEA 公表政策シナリオ(STEPS)、IPCC 代表的濃度経路シナリオ(RCP 8.5)
当社グループのリスクと機会

当社グループの対応策

③リスク管理
当社は、代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ推進委員会の下に設置されたリスクマネジメント委員会が中心となって、事業活動において想定されるリスクを体系的に分類し、各リスクについてリスク担当部署を設定し、リスクマネジメントを実施しています。そのため事業活動を行う上で発生する気候変動を含む種々のリスクについて、リスクの発生の防止及びリスク発生に伴う損失の最小化を図ることを目的として「リスク管理規則」を制定しています。
気候変動リスクはCN推進室が担当部署となり、長期的な視点でリスクの識別・評価・対策を行います。法規制の改定や社会経済情勢の変化等により、リスク対策に変更の必要が生じたときは、カーボンニュートラル推進委員会において、個別リスクとその対応策を適宜見直します。カーボンニュートラル推進委員会での審議結果は、サステナビリティ推進委員会で報告・審議されます。サステナビリティ推進委員会の活動状況は取締役会へ報告され、取締役会は気候変動のリスクマネジメントの実施状況を監督します。また、気候変動リスク発生時には、経営に与える影響度に応じて決められている報告先(重大リスクは取締役会報告)へ迅速に報告され、適時適切に対応する体制を整えています。
④指標及び目標
当社は、2050年カーボンニュートラル実現を目指して、当社のCO2排出量の過半を占める海外事業も含め、2019年度を基準年度としてCO2排出量の削減目標を設定しています。
Scope1、2は、太陽光や風力等の再生可能エネルギーを積極的に利用するとともに、作業船・建機の電動化やICTを活用した施工の効率化、自動・自律化施工の導入推進、また作業船・建機の燃料として短期的には燃費を向上させる添加剤の活用、中期的には代替燃料(BDF、GTL)、再エネ由来の電力活用(陸電供給や大容量蓄電池の活用を含む)、長期的には加えて水素・アンモニア等次世代エネルギーの導入によりCO2排出量の削減を推進します。まずは、建設現場のCO2の見える化を図り、グリーンモデル現場で施工の効率化による省エネ化と重油・軽油用の燃費を向上させる添加剤の活用、工事事務所のZEB化(再エネ由来の電力利用)を推進し、2030年度までに全現場に展開します。
Scope3は、当社の施工する建物のZEB化、すなわち省エネと太陽光発電等の再生可能エネルギー由来の電力使用を推進するとともに、CO2吸着材料や低炭素型コンクリートの導入等の拡大によりCO2排出量を削減します。建築分野では特に当社の設計施工案件においてZEB化を推進するとともに、土木分野ではプレキャストコンクリート(PCa)や低炭素コンクリートの積極的活用を図ります。また、浚渫土の固化処理によるCO2固定化やCO2吸収コンクリートに関する研究を推進します。
なお、当社グループのCO2排出量削減目標は科学的知見に整合しており、SBT(Science Based Targets)※1 「1.5℃水準」の認定を取得しています。
当社グループのCO2の排出量削減目標
(単位:千t-CO2)
最新の実績については、当社ホームページ内に掲載しております「ESGデータシート」をご覧ください。
なお、2024年度におけるCO2の排出量実績については、後日開示を予定しております。
※1 SBT:パリ協定と科学的に整合した温室効果ガス削減目標の設定を企業に促す国際的なイニシアティブで、最新の「気候科学の知見に整合」している目標を設定することが認定の要件となります。当社の削減目標は地球上の気温上昇を産業革命前の気温と比べて、1.5℃に抑えることを目指すために必要な削減レベルと整合しています。
※2 Scope1:作業船・建機の燃料使用による直接排出
※3 Scope2:購入した電気・熱の使用に伴う間接排出
※4 Scope3:サプライチェーンにおける間接排出。なお、基準年度である2019年度は、カテゴリ11(竣工引渡後の建築物の使用時のCO2排出量)がScope3排出量の71%を、カテゴリ1(建設資材の製造時のCO2排出量)が26%、併せて97%を占めます。
当社グループの経営成績、株価及び財政状態などに影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがある。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2025年3月31日)現在において当社グループが判断したものである。
公共投資の減少や国内外の景気後退による民間設備投資の減少などにより、建設投資が想定を超えて大幅に減少した場合には、競争環境や事業環境が大幅に変化し、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。
建設工事においては、一般的に一件の取引額が大きく、工事代金の多くの部分が引渡し時に支払われる場合が多いことから、発注者、協力業者、共同施工会社などが信用不安に陥った場合には、資金の回収不能や施工遅延などにより、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。
上記のリスクに対応するため、一定の基準を設けて取引先の与信審査を実施している。また、引き渡しから工事代金の回収までに要する期間が長期に及ぶリスクを検証し、社内基準に則り取締役会にて審議している。
工事用資材価格、労務費などが高騰した場合には、工事原価の上昇による利益率の低下により、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。
上記のリスクに対応するため、早期調達や集中購買、価格動向の調査等を実施している。また、発注者との工事請負契約締結の際に物価スライド条項を適用するよう努めている。
当社グループは、東南アジアを中心として海外で事業を展開しているため、現地での予期しない法律や規制の変更、テロ・戦争・紛争の発生などにより、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。
上記のリスクに対応するため、進出国における法令や諸規則、政治経済、社会情勢などについて、現地の専門家等より定期的に情報を入手し研修を実施するなど、リスクの早期把握、未然防止に努めている。
当社グループは、東南アジアを中心として海外で事業を展開しているため、外国通貨の急激な為替相場の変動等により、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。
上記のリスクに対応するため、為替変動による業績への影響を緩和することを目的として、主要通貨に関して先物為替予約等を活用して為替ヘッジを行っている。
保有する棚卸不動産、有価証券などの時価の著しい下落や事業用の固定資産の収益性の著しい低下などが発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。
上記のリスクに対応するため、資産の購入・売却に関する社内基準に則り取締役会にて審議している。また、政策保有株式は、銘柄ごとに保有目的、保有に伴う便益やリスク及び資本コストと見合っているか等について、毎年、取締役会にて具体的に検証し保有の適否を判断している。
契約不適合や瑕疵による多額の損害賠償や改修費用が発生した場合には、当社グループの業績や企業評価に影響を与える可能性がある。
上記のリスクに対応するため、品質管理に万全を期すべく、国内外の各拠点において着工前のリスクアセスメントや品質パトロールを実施しリスク低減を図っている。
工事の施工にあたり予期しない重大事故や労働災害などが発生した場合には、受注機会の喪失や工期遅延などにより、当社グループの業績や企業評価に影響を与える可能性がある。
上記のリスクに対応するため、事故防止に万全を期すべく着工前のリスクアセスメントや安全衛生環境パトロールを実施しリスク低減を図っている。
当社グループの事業は、建設業法、宅地建物取引業法などによる法的規制を受けているが、万一これらに抵触する事象が発生した場合には、当社グループの業績や企業評価に影響を与える可能性がある。
上記のリスクに対応するため、代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ推進委員会の下に「リスクマネジメント委員会」を設置し、同委員会を中心に「コンプライアンス方針」に基づき、役職員の法令遵守はもとより、社会的規範・企業倫理を尊重し常に誠実な行動の徹底を図っている。
個人情報や機密情報の漏洩などの情報セキュリティ事故が発生した場合には、社会的信用の失墜や損害賠償の発生等により、当社グループの業績や企業評価に影響を与える可能性がある。
上記のリスクに対応するため、情報管理規則を定めるとともに、外部専門家による情報セキュリティ診断をもとに情報セキュリティの強化を図っている。また、eラーニング等による情報教育を通じて情報管理技術・意識の向上に努めている。
(11)BCP、大規模災害リスク
大規模地震、津波、感染症の大流行などが発生し、工事中の構造物の損傷や流失、保有資産やサプライチェーンの毀損などにより、工事中断や物件の引渡遅延等により多額の費用が発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。
上記のリスクに対応するため、事業継続計画を策定しており、毎年大規模なBCP防災訓練と津波避難訓練を行うことにより発災時のリスクを最小限に抑制するよう努めている。
(12)気候変動に関するリスク
気候変動問題に関する政策・規制強化により設備投資や資材調達コストが増加する移行リスクや、自然災害が激甚化・頻発化し、サプライチェーンの寸断や施工中の工事が被災することで工期遅延が発生するなどの物理的リスクが顕在化した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。
上記のリスクに対応するため、2022年5月にTCFD提言への賛同を表明し、関連情報を開示するとともに、事業活動で排出するCO2削減やBCP体制の強化に努め、建物の省エネルギー化、洋上風力発電施設の建設などを通じて、脱炭素社会の実現に向けて貢献していく。
(13)人権に関するリスク
配慮すべき人権が広範囲に及び、自社のみならずサプライチェーン全体における人権尊重に取り組む必要がある中で、人権問題への対応や未然防止を怠ることは、社会的信用の失墜、職場の生産性低下や離職者の増加など、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。
上記のリスクに対応するため、2022年度から国際規範に則した形へ取組を強化した。2023年度には代表取締役社長を委員長とする人権委員会の設置、人権方針の策定、人権相談窓口の新設を実施するとともに、社内(グループ会社、海外を含む)を対象とした人権モニタリングを実施した。2024年度には、前年度のモニタリング調査結果に基づくリスクの予防・是正策、及びサプライチェーンへの展開を行った。
今後も引き続き、モニタリング調査を随時実施し予防・是正を図るとともに、サプライチェーンについても人権デューデリジェンスの対象範囲を拡大し、リスクの低減を図っていく。
当連結会計年度末の資産合計は、受取手形・完成工事未収入金等の増加及び有形固定資産の増加などにより、前連結会計年度末に比べ941億円増加し、6,601億円となった。負債合計は、借入金の増加やコマーシャル・ペーパーの発行などにより、前連結会計年度末に比べ950億円増加し、4,880億円となった。なお、有利子負債残高については、前連結会計年度に比べ562億円増加し、1,665億円となった。純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が増加したものの、自己株式の取得やその他有価証券評価差額金の減少などにより、前連結会計年度末に比べ9億円減少し、1,721億円となった。
①事業全体の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用情勢の改善や継続的な賃上げ等による所得環境の緩やかな改善に伴う個人消費の回復に加え、好調な企業業績を背景とした堅調な設備投資やインバウンド需要の増加などにより、緩やかな景気の回復基調が続いた。一方で、ウクライナ情勢や中東情勢等の地政学的リスクとそれによる原材料・エネルギー価格の高止まりに加え、時間外労働の上限規制による物流コストの増加や人手不足による供給制約等による物価上昇、金融資本市場の変動等もあり、先行き不透明な状況が続いている。
建設業を取り巻く環境は、国内では政府による2023年度補正予算と2024年度当初予算が切れ目なく執行され、防災・減災、国土強靭化5か年加速化対策に加え、防衛関係のインフラ整備等による堅調な公共投資が継続した。また、経済安全保障やカーボンニュートラル推進の観点からの民間設備投資の増加により、建設投資は官民ともに堅調に推移した。一方で、建設資材価格の高止まりに加え、建設需要が集中する地域において協力会社の労務逼迫が生じている。また、海外においても、当社の主要市場であるシンガポール、香港及び東南アジアの建設投資は堅調であったが、国内同様、建設資材価格の高止まりや労務費の上昇が続いた。
このような事業環境の下、当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高7,275億円(前連結会計年度比17.8%増)、営業利益217億円(同25.6%減)、経常利益188億円(同30.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益125億円(同30.3%減)となった。
②セグメント情報に記載された区分ごとの状況(セグメント利益は連結損益計算書の営業利益ベース)
(国内土木事業)
大型港湾工事を含む手持工事が順調に進捗したことにより、売上高は3,073億円(前連結会計年度比15.3%増)と大幅に増加した。セグメント利益は売上高の増加に伴い前年同期並みの278億円(同0.2%減)となった。
当社個別の受注高については、前事業年度より407億円減少し2,330億円(同14.9%減)となった。これは前事業年度に大型工事の受注や手持大型工事の追加工事等の受注があったことによる影響である。
(国内建築事業)
大型工事を含む手持工事が順調に進捗したことにより、売上高は2,545億円(同34.5%増)、セグメント利益は売上高の増加に加え工事採算の改善により90億円(同85.4%増)と、いずれも大幅に増加した。
当社個別の受注高については、データセンターや防衛施設等の大型工事受注したことにより、前事業年度より653億円増加し3,159億円(同26.1%増)と大幅に増加した。
(海外建設事業)
売上高は1,518億円(同0.8%増)となり、セグメント損失は156億円(前連結会計年度は42億円のセグメント損失)となった。これは、シンガポールの大型土木工事及び香港の土木工事において追加の工事損失を計上したことによるものである。
当社個別の受注高については、シンガポールで大型建築工事及びバングラデシュで大型港湾工事を受注したことにより、前事業年度より501億円増加し1,181億円(同73.7%増)となった。
(その他)
国内開発事業、造船事業、環境関連事業等を主な内容とするその他の売上高は139億円(前連結会計年度比22.1%増)となり、セグメント利益は5億円(同18.0%減)となった。
③経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 3事業等のリスク」に記載のとおりである。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
当連結会計年度における売上実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
(注) 1 その他の受注実績については、当社グループ各社における受注の定義が異なり、また、金額も
僅少であるため、建設事業のみ記載している。
2 当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載していない。
3 受注実績、売上実績については、セグメント間の取引を相殺消去して記載している。
4 売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は次のとおりである。
なお、参考のため提出会社単独の事業の状況は次のとおりである。
提出会社における受注高、売上高の状況
イ.受注高、売上高及び繰越高
(注) 1 前期以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注高にその増減額を含む。
したがって当期売上高にもかかる増減額が含まれる。
2 前期繰越高の上段( )内表示額は前期における次期繰越高を表わし、下段表示額は、当該事業年度の外国為替相場が変動したため海外繰越高を修正したものである。
3 当期受注高のうち海外工事の割合は、第74期11.5%、第75期17.7%でそのうち請負金額100億円以上の主なものは次のとおりである。
ロ.受注工事高の受注方法別比率
工事の受注方法は、特命と競争に大別される。
(注) 百分比は請負金額比である。
ハ.完成工事高
(注)1 海外完成工事高の地域別割合は、次のとおりである。
2 完成工事のうち主なものは、次のとおりである。
第74期 請負金額20億円以上の主なもの
第75期 請負金額20億円以上の主なもの
3 完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりである。
ニ.次期繰越工事高(2025年3月31日現在)
(注) 次期繰越工事高のうち請負金額50億円以上の主なものは、次のとおりである。
(3)キャッシュ・フローの状況
現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ28億円(△4.7%)減少し、568億円となった。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりである。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税金等調整前当期純利益が193億円となったものの、売上債権の増加などにより、233億円の支出超過(前連結会計年度は91億円の収入超過)となった。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
大型基礎施工船の建造による支出などにより、232億円の支出超過(前連結会計年度は64億円の支出超過)となった。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
コマーシャル・ペーパーの発行や借入金の増加などにより、439億円の収入超過(前連結会計年度は67億円の収入超過)となった。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
当社グループの資金の源泉は、主として国内及び海外建設事業に係る営業活動からのキャッシュ・フローと金融機関からの借入及び社債の発行等による収入からなる。
資金調達を行う際は、期間や国内外の市場金利動向等、または自己資本比率、D/Eレシオ(ネット)や自己資本利益率(ROE)といった財務指標への影響度等を総合的に勘案しながら、最適な調達を実施することとしている。
なお、コミットメントライン契約については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結貸借対照表関係)」に記載のとおりである。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されている。この連結財務諸表の作成に当たっては、資産・負債並びに収益・費用の数値に影響を与える見積り及び判断が一定の会計基準の範囲内で行われており、これらの見積り等については、継続して評価し、事象の変化等により必要に応じて見直しを行っているが、見積りには不確実性を伴うため、実際の結果はこれらとは異なる場合がある。
連結財務諸表を作成するに当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりである。
①重要な収益及び費用の計上基準
主要な事業である建設事業においては、顧客との工事請負契約に基づき、目的物の完成及び顧客に引渡す義務を負っている。
当該履行義務は、主として工事の進捗に伴い支配を顧客に移転することになるため、一定の期間にわたり充足されると判断しており、履行義務の充足に係る進捗度に基づき、一定の期間にわたり収益を認識している。一定の期間にわたり履行義務を充足し収益を認識する方法による完成工事高、工事収益総額、工事原価総額等を、信頼性をもって見積る必要があるが、これらの見積りは、気象条件、海象条件、施工条件、資機材価格等様々な仮定に基づいている。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において認識する完成工事高、完成工事原価等に重要な影響を与える可能性がある。
②退職給付に係る会計処理
当社グループの退職給付債務、退職給付費用及び年金資産は、数理計算上の仮定と見積りに基づいて計算されている。これらの数理計算上の仮定には、退職給付債務の割引率、予想昇給率、死亡率、退職率、期待運用収益率等の様々な計算基礎がある。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において認識する退職給付に係る資産及び退職給付に係る負債、退職給付費用等の金額に重要な影響を与える可能性がある。
なお、当連結会計年度末の退職給付債務、退職給付費用及び年金資産の算定に用いた主要な数理計算上の仮定は、「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (退職給付関係)」に記載している。
該当事項なし。
当連結会計年度は、レジリエンス、DX・GXの推進に着目した技術の積極的導入を技術開発方針として、ブランド技術の開発や技術提案力の向上に資する技術開発を推進した。
なお、当連結会計年度における研究開発費は、
また、当連結会計年度における主要な研究開発内容及び成果は次のとおりである。
(国内土木事業、国内建築事業及び海外建設事業)
1.土木分野
国土交通省は2023年度に開始した「発注工事の原則BIM/CIM化」に加え、2024年4月に、より一層の省力化を目指した「i-Construction2.0」を掲げ、ICTの更なる活用を目指しており、BIM/CIMはデジタルデータの活用基盤として更に重要度を増している。当社は2016年度より港湾分野として初の全面的なBIM/CIMを導入して効果の検証を行うなど、積極的にBIM/CIMに取り組んでおり、当連結会計年度も土木分野で100件超の案件に取り組んだ。
当連結会計年度においては、BIM/CIMモデルを情報の基盤とした自社開発クラウド「施工情報共有システム(i-PentaCOL/3D)」について、過年度より導入してきたトンネル工事以外にも、造成工事のような土工へも適用を広げた。また、社内で蓄積したノウハウを活かして、土木職員のBIM/CIMをはじめとしたデジタル活用スキルの向上を目的とした集合研修を行うことにより、高度な施工検討、効率的な数量算出ができる若手職員の数を増やすことができた。
このほか、3Dモデルをベースとした業務により、社内業務だけでなく関連する協力会社の作業時間短縮や、VR・ARコンテンツ開発能力の向上などの成果も残すことができた。当社はこれからも、生産性・安全性の向上と現場職員の負担軽減を両立できる、BIM/CIM活用を進めていく予定である。
(2) 3D-LiDARを用いた計測管理手法の効率化
当社ではレーザー光を用いて簡便な3次元計測を可能にする3D-LiDAR※1を活用し、計測作業の省力化や新たな観測手法の開発に取り組んでいる。
防波堤築造工事における石材数量検収作業では、SLAM技術※2を活用した3次元測量により、約5人で20分程度を必要とする従来計測と比較して作業時間を30%、作業人員を20%削減することができた。捨石投入位置管理では、職員が手動で記録していた捨石投入位置を自動検出することで、職員1名あたり作業時間を4時間削減することができた。
また、東京大学と共同で応募した国土交通省の「革新的河川技術プロジェクト」に採択され、3D-LiDARによるリアルタイム波浪うちあげ高観測システムを開発した。従来、高波や高潮による陸地の浸水はビデオカメラ等による目視で確認していたが、夜間の視認性等に課題があった。本システムは3D-LiDARを活用することで昼夜問わず安定した計測を可能にした。加えて、目視観測では困難な定量的なうちあげ高の計測や遡上波と地形の同時計測を可能にし、海岸管理の高度化への貢献が期待できる。
当社はこれからも生産性向上や現場職員の負荷軽減に寄与できるように、3D-LiDARを用いた計測管理手法の高度化に取り組む予定である。
※1 3D-LiDAR:レーザー光を使用してターゲットの表面までの距離を3次元的に測定するマッピング技術
※2 SLAM技術:移動体が今どこにいるのかを推測する「自己位置推定」と、その周辺がどういう状況にあるのかを把握する「環境地図作成」を同時に行う技術の総称
(3) 複合構造を用いた臨港道路橋脚「シーコーム工法」の開発
近年、鉄筋コンクリート橋脚に要求される耐震性能の高まりにより、鉄筋は過密配筋となり、コンクリートの充填性や作業効率の低下が懸念されている。また、鋼管矢板井筒基礎により構築される臨港道路橋脚では、頂版部の配筋量が多く、施工時には狭隘部への鉄筋架台の設置が必要となるため、安全性及び作業効率の観点から合理化された施工が望まれている。
そこで当社は、臨港道路橋脚の作業効率や安全性の改善を目的に、太径鉄筋の代替としてスタッドを有するI形鋼材を用いた橋脚及び頂版の構築工法として「シーコーム工法」を開発した。シーコーム工法は、従来のRC橋脚ならびにRC頂版に代わる新しい合理化施工技術である。本工法に使用するI形鋼材やスタッドはともに広く普及している材料であることから、既存の橋脚合理化施工技術と比較して、納期の短縮やコストの低減が可能である。シーコーム工法の適用による工期短縮や作業人員削減の効果について、鋼管矢板井筒基礎(幅30m×奥行き12m)と橋脚(幅15m×奥行き5m×高さ25m)からなる臨港道路橋脚を対象に試算したところ、頂版から橋脚構築まで工程を約50%削減、作業人員を約50%削減できることを確認した。今後、本工法を臨港道路橋脚及び陸上橋脚に適用して、建設現場の更なる生産性の向上に取り組んでいく予定である。
一般に、山岳トンネルの防水工においては、トンネル壁面(支保工面)全面に展張した幅約2m/枚の防水シート同士を3人の作業員が手作業で溶着して接合するが、狭隘な足場台車上での高所作業となり、トンネル天端付近は上向きの不安定な姿勢での作業となる。また、防水シートは凹凸のある吹付けコンクリート面にたるみをもたせて展張するため、溶着ラインは3次元的に不規則に波をうった状態となる。このため、確実に溶着するためには熟練の技能工が必要となる。
そこで当社は、作業員の技量によらず1人で安全に防水シートを溶着・接合できる「防水シート自動溶着システム」を開発し、高速道路トンネル新設工事に導入した。本システムは、一般に使用されている足場台車に取り付けたガイドレールを自走しながら、バランサーで3次元的な溶着ラインに沿って溶着するシステムである。作業員が足場台車に乗ることなく、複雑で不規則な溶着部のたわみやよれに追従しながら、自動で溶着できることを確認し、国土交通省が運用する新技術情報提供システム(NETIS)に登録した。
当連結会計年度は、本システムを広島県発注の道路トンネル新設工事にも適用した。その際、九州大学開発の熱画像リモートセンシング技術を用いた品質管理手法も導入して、溶着部の品質管理の自動化とあわせて、従来の抜取り検査から全数検査への対応が可能となることを確認した。今後も、センシング技術、IoT技術を活用して山岳トンネル工事における安全性と生産性の向上に資する技術開発に取り組んでいく予定である。
海外の建設プロジェクトでは、国内で経験のない施工条件に対応しなければならない場合が多く、また設計や施工計画・管理に必要な気海象情報が不足することが多い。バングラデシュのマタバリプロジェクトの建設場所は波浪条件の厳しい外洋に面しており、潮流が速く海域は著しい濁りが発生する。このような環境下にあるため、これまで現地に波高・流速計、濁度計などを設置して時系列データを取得するとともに、定期的な深浅測量や採水調査などを実施し、海底地形変化や海中の濁度に関する総合的なモニタリング調査を行ってきた。これらの物理データを検証データとして、航路埋没予測解析モデルを高精度化し、予測した埋め戻り土砂量を浚渫計画に反映した。2025年に始まるマタバリ港開発事業(第一期)パッケージ1工事においても、これまでの知見を活かすとともに、新たな国内技術の導入を積極的に進めていく予定である。また、インドネシアのパティンバンプロジェクトにおいても施工中の航路の埋め戻りが懸念されたため、工事着手に先立ち、過去の実測データに基づいて埋没予測解析を実施し、施工計画に反映した。
マダガスカルのトアマシナ港拡張事業に対しては、国内で活用実績が豊富な気海象予測システム、海外機関が公開している気海象推算データに基づく稼働率解析、数値波動水路(CADMAS-SURF)等の高精度波浪解析技術を適用し、構造物の設計、海上作業の施工計画や日々の施工管理・安全管理に反映した。
従来の港湾施設の目視調査は、専門技術者が小型船に乗り、船上から構造物を観察して劣化状況を把握していたが、劣化状況の判断が点検実施者の主観に依存せざるを得ないこと、また桟橋下部では狭隘な空間で上向きの作業となるため労力・時間を要することが問題となっていた。そこで「i-Boat」を水面上で走行させて、搭載したカメラにより桟橋下面の劣化状況を撮影し、得られた画像から構造物の劣化度を客観的に診断できるシステムを開発し、これまで複数の桟橋調査に適用してきた。
また、点検・診断結果からAIを用いて桟橋の残存耐力を評価する技術も開発した。これは、現在及び将来(経年劣化後)の桟橋に対して、地震時の損傷状態を予測するものである。施設管理者にとって供用継続の可否や補修・補強の意思決定がしやすいため、不具合が生じてから対策を行う事後保全から、合理的・計画的な予防保全への転換が期待できる。本技術について、当社は内閣府が主導する国家プロジェクトである「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」に参画し、AIを用いた残存耐力評価技術の高精度化や社会実装に向けた取り組みを産官学の共同研究体制により進めている。これまでに桟橋の残存耐力評価技術の精度向上や、地震による損傷だけでなく船舶の接岸や牽引による損傷もAIにより評価できる技術を開発した。さらに、港湾管理者が保有する桟橋を対象に開発技術を試行し、社会実装に向けた精度検証を実施した。
なお、3D画像処理から劣化度診断、残存耐力評価までの維持管理トータルシステムについては、「第7回インフラメンテナンス大賞 情報通信技術の優れた活用に関する総務大臣賞」を受賞している。
国内洋上風力発電プロジェクトは、港湾区域に引き続き、一般海域においても洋上風力発電の開発を促進する法律が整備され、全国各地で取り組みが本格化している。また、洋上風力発電の導入が進む欧州では、風車の大型化が進んでいる。
これらの動向を見据え、洋上風車及び基礎構造の大型化に対応するため建造に着手し、10~15MWクラスの風車を複数基運搬・設置可能な1,600t吊SEP型多目的起重機船「CP-16001」の引渡しを前連結会計年度に受け、当連結会計年度には洋上風車基礎工事に従事した。また、当連結会計年度においては、外国船籍のSEP船「Sea Challenger」を1,600t吊へ大規模に改造する工事に着手し、2026年の運用開始を目指す。また、当連結会計年度に洋上風力発電向けケーブル敷設船、及び風車の大型化に伴い15MW~20MWクラスの風車の大型基礎(モノパイル)を安全かつ効率的に施工するための大型基礎施工船の建造契約をシンガポールの造船所と締結し、2028年度の運用開始を目指す。さらに、資材運搬船などの保有に向けて検討を進めている。
当社は、保有するSEP船「CP-8001」、「CP-16001」と自航式多目的起重機船「CP-5001」に加え、新たに1,600t吊SEP船「Sea Challenger」とケーブル敷設船、大型基礎施工船などを投入することで、洋上風力建設工事に積極的に参入していく予定である。
2.建築分野
当社は、フロントローディングによる品質及び生産性の向上を目指し、設計、施工各フェーズで案件毎の特性に合わせた効果的なBIM活用を推進している。
当連結会計年度においては、前連結会計年度からの継続案件と新規案件の合計52件に対しBIM活用を行い、課題の早期発見や早期解決などの業務効率化に貢献した。またクラウドソリューションを併用し、発注者や監理者、別途業者もBIMコーディネーション会議に参画することで、受発注者間の合意形成や意思決定についても有効に活用することができた。ソフト面においては、施工図の符号・寸法をBIMデータから半自動生成させるアドインを開発し、システム連携に必要な情報を入出力させるプログラムを作成するなど、属人化の解消や業務の省力化に向けた活動も進めている。
今後も働き方改革を継続し、BIM活用によるコミュニケーション活性化を更に推進すると共に、デジタルツインや施工監理システムとの効果的な連携やデジタル化に対応した技術者の育成についても精力的に取り組む予定である。
(2) ICT技術を用いた業務効率化システムの開発と運用
当社は、BIMやタブレット端末を活用したシステム開発を行い、ICT技術による現場業務の効率化及び生産性向上に向けて継続して取り組んでいる。
当連結会計年度では、BIMを活用した「五洋建設統合施工管理システムPiCOMS(ピーコムス):Penta-ocean integrated Construction Management System」でのPCa(プレキャスト)部材の運送・保管管理において、部材に添付したQRコードをスマートフォン等で読み取ることで管理情報を入力する方法を開発した。従来の方法と比較して入力の手間が大幅に減少し、建設現場での運用を通じて生産性向上効果を確認した。また、現場状況の「見える化」を改善のための第一歩として位置づけ、工事用仮設ELVの運転状況を見える化した「仮設エレベータ運転状況モニタリングシステム」や、現場内での職員の位置情報を見える化した「職員位置情報モニタリングシステム」も開発し、都内の大型現場へ導入し効果の検証を始めている。
引き続き、ICT技術の開発及び現場運用を通して、生産性向上への取組みを加速させていく予定である。
当社は、これまでに脱炭素社会の形成と地球環境問題の改善に寄与することを目的に、建築構造物に求められる所要の品質を確保しつつ、コンクリート材料に由来する二酸化炭素の排出量の約9~63%を削減するCELBIC(セルビック:Consideration for Environmental Load using Blast furnace slag In Concrete)を開発し、建設現場に導入してきた。
当連結会計年度においては、CELBICの適用範囲の拡大に取り組み、CELBICと再生骨材を併用した低炭素性と資源循環性を併せ持つ「CELBIC-RA(セルビック-アールエー:Consideration for Environmental Load using Blast furnace slag In Concrete - Recycled Aggregate)」の国土交通大臣認定を取得した。
今後もカーボンニュートラル社会の実現に向けて、技術開発及び普及展開を進めていく。
カーボンニュートラル実現に向けた機運が高まるなか、建築分野においては、建物の省エネルギー・ZEB化に対して顧客の関心が高まっている。当社は、これまでにZEB化建物の実績を積み重ねつつ、ZEB化技術の開発に積極的に取り組んでいる。当連結会計年度は、設計者が早期にZEB化の判断を可能にするために過年度に開発したZEB、ZEH-M簡易評価ツールについて、適用範囲を拡げる改良を行った。
今後も積み重ねた実績と開発した技術を活用し、顧客への設計提案、技術提案に積極的に取り組んでいく予定である。
(5) 環境配慮技術の取組み
近年働き方改革が求められるなかで、執務者のウェルネスやプロダクティビティに影響を与えるオフィス空間に、よりよい室内環境の創出が求められている。当社では、目に見えない室内環境の状態や変化を「見える化」する技術を、室内環境の評価・改善ための基本技術と位置づけ、室内環境可視化技術の開発に取り組んでいる。
当連結会計年度においては、執務者のウェルネスに加えエネルギー消費が大きい空調の省エネ運用の観点から温熱環境に焦点を当て、自社オフィスにおける被験者実験をもとに執務者の温冷感を適切に評価できる手法を開発した。
今後は、手法をもとに室内の温熱環境を定量的に評価し、空調の配置計画や運転方法、運転制御システムの実用化に向けてさらなる開発を進め、顧客施設に対し、さらなる快適な室内温熱環境の提供ができるよう努めていく予定である。
3.環境分野
カルシア改質土は、浚渫土にカルシア改質材(転炉系製鋼スラグを成分管理、粒度調整した材料)を混合することで、浚渫土の物理性・化学性を改善した材料である。港湾工事によって発生する浚渫土を有効活用し、埋立材や干潟・浅場の中詰材、潜堤材等として使用されている。
これまでに開発した、大規模施工に対応可能なカルシア落下混合船やバックホウ混合を効率化するカルシアバケット、軟弱な海底地盤の表層改良を可能とするカルシア改質土のバッチ式原位置混合工法の改良や適用を進めている。
浚渫土に製鋼スラグ、高炉スラグ微粉末等を混合して人工石を作成し、海域に設置して海藻の着生基盤として活用可能であることを確認した。また、カルシア改質土で造成した浅場に人工石を配置し、人工石に着生・生長した海藻により固定されたCO2 が、前連結会計年度に引き続き当連結会計年度もJブルークレジットとして認証・発行された。人工石はコンクリートと比較して低炭素材料であることに加え、製造過程でCO2を供給することでCO2 をCaCO3として固定できること、材料としてカーボンネガティブ化も可能であることを確認した。今後さらに技術開発を進めるとともに、現場への適用を図る予定である。
(3) 泥土のリサイクル技術
河川・湖沼の浚渫土や陸上の掘削工事にともなって発生する泥土の利活用は重要な課題であり、その解決のため当社はこれまで様々な技術開発に取り組んできた。
吸水性泥土改質材「ワトル」は、製紙会社から発生するペーパースラッジ焼却灰(PS灰)に特殊薬剤を混合し水和処理した製品で、泥土に対し、吸水による物理的改質(瞬時の改良効果)に加え、時間経過にともなう化学的改質(緩やかな強度発現)を合わせ持つことが特徴である。従来、建設汚泥や含水比が高い発生土に対して、天日干しやセメント・石灰等による固化処理が用いられてきたが、時間やコスト、アルカリ化等の課題があった。「ワトル」はこのような課題を解決する多くの使用実績があるが、さらにカーボンリサイクルへの貢献など環境負荷の低減、利用用途の拡大など、より高機能な材料の開発へと取り組みを進めていく。
4.技術評価証等の取得
NETIS
<新規登録>
・LiDAR を用いた施工管理システム KK-240054-A
・ノンセパ+EPSによるコンクリート橋脚合理化施工法 CB-240034-A
<更新>
・AR安全可視化システム KTK-190007-VE
水産公共関連民間技術確認審査・評価事業
<新規登録>
・CFRPを用いた小規模タンクの津波対策工法 第23-A-001号
性能評定
<更新>
・非耐力壁の一部に水平部分を有するせっこうボードを用いた耐火壁構造
(クランク耐火壁)の耐火性能に関する技術的評価
:一般財団法人ベターリビング、評定CBL FP013-19号、2025年3月
大臣認定
<新規登録>
・高強度コンクリート(Fc60~120) :国土交通大臣認定(一般)、MCON-4737、2024年5月
・再生骨材コンクリート(Fc18~45):国土交通大臣認定(一般)、MCON-4758・4759、2024年6月
・仕上材・軽量気泡コンクリ-トパネル・吹付けロックウール合成耐火被覆/鉄骨はり(耐火構造3時間/はり)
:国土交通大臣認定(一般)、FP180BM-0827、2024年10月
・軽量気泡コンクリート板/仕上材・吹付けロックウール合成被覆/鋼管柱(耐火構造3時間/柱)
:国土交通大臣認定(一般)、FP180CN-1094、2025年2月
・軽量気泡コンクリートパネル/吹付けロックウール合成耐火被覆/CFT(耐火構造2時間/柱)
:国土交通大臣認定(一般)、FP120CN-1109、2025年3月
・軽量気泡コンクリートパネル/吹付けロックウール合成耐火被覆/CFT(耐火構造3時間/柱)
:国土交通大臣認定(一般)、FP180CN-1124、2025年3月
<変更>
・コンクリート板/吹付ロックウール合成被覆/鉄骨はり(変更)(耐火構造1時間/はり)
:国土交通大臣認定(一般)、FP060BM-0655-1、2025年3月