我が国の経済は、米中の通商問題を巡る動向や英国のEU離脱問題等による世界経済への影響に加え、相次ぐ自然災害による経済への影響や消費税率引上げによる消費者マインドの動向に留意しつつも、政府の経済対策による下支えを背景に、景気の拡大基調が続くと見られていました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大が国内外問わず経済に与える影響は大きく、今後悪化していくことが見込まれます。建設業界においても、昨年までの都市部の再開発や商業施設、ホテル等の需要の高まりは一変することが見込まれ、また、資材調達環境や労働環境にも影響を及ぼすことから、今後の動向には不透明感が強まっております。
2019年度のマンション市場においては、新規供給戸数は首都圏で2万8,563戸、近畿圏では1万7,452戸と、共に2018年度を下回りました。特に、首都圏では新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛要請の影響が出始めたことで3月の新規供給戸数が大幅減となり、1992年度(2万8,460戸)以来27年ぶりに3万戸を下回る低調な供給にとどまりました。新規供給戸数については2020年度においても首都圏で4万戸、近畿圏で2万戸程度の供給能力が存在する傾向は継続していますが、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため販売活動の自粛等が長期となった場合には、2019年度をさらに下回る可能性があります。
また、販売面においても、新型コロナウイルスの感染拡大の影響から経済状況の悪化、雇用・所得環境に大きな変化が生じた場合には、2019年度を下回る可能性があります。
当社グループは、2018年3月期より開始したNBj計画の最終年となる2020年3月期において、建設関連事業においては当社の土地情報収集力や商品企画力、施工品質や工期遵守に対する姿勢、効率的な生産体制等についてお客様や事業主様から評価頂いている一方、受注時採算の悪化及び資材労務費の上昇等により完成工事総利益率は低下しました。サービス関連事業においては分譲マンションの大型物件の引渡など、各社の業績が堅調に推移し利益を着実に積み重ねることができました。その結果、期初予想であった経常利益850億円を達成することができました。
2021年3月期より、「長谷工グループ長期ビジョン」ならびに新たな5か年の中期経営計画として「HASEKO Next Stage Plan(略称:NS計画)」をスタートします。世帯数の減少、消費者行動の変化やニーズの多様化、日々進化するIT技術など、急速に変化していく時代にマンション市場も大きく変化していくことが予想され、これらの変化に対応するため、長期的な視点も明確にした上で事業改革に取組みます。
NS計画は、長期ビジョンを実現するための道筋として、2025年3月期までの5か年を対象期間とする中期経営計画とし、コア事業の競争力の強化や不動産関連事業の投資拡大、将来の成長に向けた取組みを重点戦略と位置付け、成長戦略投資を実施してまいります。また、強固な財務基盤を維持しつつ株主還元の拡充を図り、資本効率性をより意識した経営に努めてまいります。新型コロナウイルス感染症の影響により、この先2年、3年は厳しい状況が続くことを想定しますが、この期間に足腰を鍛えた上で事業モデルを再構築し、5年目に経常利益1,000億円を達成すべく取組んでまいります。
今後、当社を取り巻く事業環境は大きく変化することが想定されますが、当社グループは、事業を通して社会課題の解決に取組むべくCSR経営の確立を目指すとともに、人的資産とグループ力を結集し、しなやかで強靭な経営を追求し持続可能な企業グループとして発展を続けてまいります。
長谷工グループ長期ビジョン ~2030年3月期に目指す姿~
■目指す姿
少子化・高齢化、人口減少、都市のコンパクト化、災害、建築物の老朽化、環境配慮・省エネルギー、コミュニティ形成などの社会情勢の変化に対応し、当社の企業理念である「都市と人間の最適な生活環境を創造し、社会に貢献する。」を具体的に実現する為、分譲マンションを中心に、賃貸・高齢者住宅や商業・介護・子育て・健康・医療・教育等を組み合わせ、ハード・ソフト両面から「住まいと暮らしの創造企業グループ」における更なる飛躍を目指す。
■目指す姿の実現に向けた事業戦略
①事業領域の拡大(事業エリア、建築メニュー)
②安定収益分野と成長分野へのバランスの取れた戦略投資
③サービス関連事業の拡大に向けて、デジタル技術などの先進技術等を積極活用し、新たな事業モデルによる商品・サービスの競争力強化および労働生産性の向上
④新たな事業分野への挑戦
■目指す利益水準
連結経常利益 1,500億円
中期経営計画概要
・計画名称 HASEKO Next Stage Plan(略称:NS計画)
~次なるステージへの成長を目指して~
・計画期間 2021年3月期~2025年3月期
・数値目標
2025年3月期 連結経常利益 1,000億円
2025年3月期 連結子会社経常利益 300億円以上
2021年3月期~2025年3月期 5期合計連結経常利益 4,000億円
・基本方針
1.新規の住宅供給等を主なマーケットとする建設関連事業と既存の住宅関連等を中心とするサービス関連事業
の両方に軸足をおく経営の強化
2.グループ連携を深化させ、都市居住生活者の信頼に応える企業体の実現
3.安全・安心で快適な住まいと都市環境を提供
4.成長戦略投資による安定した収益基盤の構築
5.強固な財務基盤の維持と株主還元の拡充
6.中長期的な視点を踏まえた新たな取組みへの挑戦
7.CSR経営の確立に向け注力
・重点戦略
1.コア事業の競争力強化
(1)建設関連事業の領域拡大
①超高層マンションの施工拡大等により、分譲マンション建設での優位性を維持・強化
②賃貸マンション、学生・シニア向けマンション、寮・社宅、ホテル、オフィス、物流施設など分譲マンション以外での建設受注拡大
③BIM及びその他のICT関連技術の活用による工期短縮・コスト競争力の強化
④環境配慮技術・IoTを活用した商品開発
(2)再開発・建替事業の拡大・コンパクトシティ化への対応
(3)サービス関連事業の継続強化
①事業エリアを大都市圏から地方主要都市へと拡大
②先進技術導入による事業モデルの再構築
2.不動産関連事業の投資拡大
(1)マンション分譲事業の事業エリア拡大
(2)賃貸不動産の保有・開発事業の展開
①安定収益源の底上げを目的とした賃貸不動産の保有
②私募REIT創設による開発案件の多様化、新たな収益源の確保
3.将来の成長に向けた取組み
(1)デジタルトランスフォーメーション(DX)の具現化に向けた投資
①AI、センサー、通信、ロボット等の最新のIT関連技術を活用し、各種メーカー、ベンチャー企業、大学、研究機関等、外部との連携を行い、デジタルトランスフォーメーションの推進
(2)価値創生部門による先進技術導入に向けた投資
①サービス関連事業を中心に、既存ビジネスの生産性の抜本的な改革
②先進技術を積極的に活用した新たな事業モデルの創生
(3)海外事業への投資
①米国(ハワイ)における収益基盤の再確立
②東南アジアにおける設計・施工生産体制の確立
③不動産開発プロジェクトへの参画
(4)新規投資
①時代のニーズに合わせた住まい方の提案、新商品、新サービスの開発
②既存事業のサービス向上や成長性のある事業領域拡大を重点対象としたM&Aの実施
(5)人的資産への投資
①成長戦略の基盤となる自律型の人材・組織づくり
②人材の多様性と社員一人ひとりの働きがいを引き出す環境づくり
③新たな価値を生み出す、イノベーティブ人材・グローバルに活躍する人材の育成
④社員の挑戦を後押しするメリハリのある処遇
4.投資計画
5か年合計投資額 2,400億円
(1)分譲事業 500億円
(2)賃貸不動産の保有・開発事業 700億円
(3)海外事業 600億円
(4)先進技術投資 200億円
(5)新規事業、M&A等 400億円
5.財務戦略・株主還元
(1)強固な財務基盤を維持しつつ、成長戦略投資の加速と株主還元の拡充
(2)安定的な配当の継続実施。加えて、自己株式の取得は、経営環境、成長投資機会、当社株価水準や資本効率向上等を踏まえ柔軟に対応
<株主還元方針>
①1株当たり年間配当金の下限を70円と設定
②5期合計の親会社株主に帰属する当期純利益に対して、総還元性向40%程度と設定
6.CSR経営への取組み
(1)事業を通じた課題解決によって「社会価値の創造」と「グループの成長」を両立させ、企業価値向上を実現
(2)長期的な成長を図るうえで重要なESG要素と当社グループの強みをCSR取組みテーマに取り纏め、CSRの目指す姿として推進
※なお、将来に関する事項については、当連結会計年度末日現在において判断したものであり、その達成を保証するものではありません。
当社グループの業績及び財政状態は、今後起こり得る様々な要因により影響を受ける可能性がありますが、事業等のリスクについては、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項について記載しております。当社グループは、これらの他にも様々なリスクがありうることを認識し、それらを可能な限り防止、分散あるいは回避するよう努めておりますが、当社グループの支配の及ばない外部要因や必ずしも現時点にて具現化する可能性が高くないと見られる事項等の発生により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、文中における将来に関する事項については、当連結会計年度末日現在において判断したものであります。
当社グループは、首都圏、近畿圏及び東海圏での分譲マンションに関わる事業をコアとしており、中でも分譲マンション建設事業に対する依存度が高くなっております。従って、受注高やその他の分譲マンション関連事業の取引高は、分譲マンションの新規供給量や販売状況、分譲マンション建設用地の供給、取引先デベロッパーの事業規模、住宅関連政策、住宅にかかる税制及び金利等の動向によっては大きく変動することになり、これらの変動が業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社は、土地情報収集力や分譲マンション事業に関するプロジェクトマネジメント力を背景として、土地持込による受注を主たるビジネスモデルとしておりますが、このビジネスモデルにより今後も引き続き競争優位に立ち、市場シェアや収益性の維持、拡大が図れるという保証はありません。
そのため、当社グループでは安定収益源の底上げを図るべく、賃貸マンションを中心とした保有・開発事業の拡大やサービス関連事業の事業エリア拡大に取組むことで、収益基盤の強化と収益構造の変化を目指しています。
当社は、建設資材・労務等の確保を本社機能部門による集中購買体制にて実施しており、将来の着工時期の予測を踏まえた運用や全体調達によるコスト競争力の強化に努めておりますが、建設業全般の業績の動向によりマンション建設の分野に対する参入が増え、同業他社との価格競争が激化した場合や、建設資材・労務等の急激な高騰及び調達難、協力業者等の確保状況による生産能力の低下等が生じた場合、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが事業を行う上で遵守すべき法令・規則等は多岐に渡っており、建築基準法、建設業法、宅地建物取引業法、建築士法といった事業に直接関係する法令のみならず、会社法、金融商品取引法といった事業に直接関係はしないものの重要な法令等があります。当社グループにおきましては、役職員がこれらの法令等を遵守することができるよう啓蒙を適宜実施しておりますが、これらの法令等を遵守できなかった場合、またはこれらの法令等が当社グループの予測し得ない内容に改廃もしくは新設された場合、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
特に、建築基準法等のマンション建設における法的規制の改廃もしくは新設、又は建築確認・検査の厳格化等により、事業計画の大幅な変更、建設工事の着工の遅延又は中止等が発生した場合、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、国内外の事業遂行にあたり、当社グループに対する訴訟等について、当社グループ側の主張・予測と相違する結果となった場合には、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
建設工事着工に際しましては、周辺住民に対する事業計画等の説明を実施しておりますが、反対運動及びそれに伴う訴訟等により、事業計画の大幅な変更、建設工事の着工の遅延又は中止等が発生した場合、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
建設部門・設計部門・技術推進部門に主力協力会社を加えた四位一体での品質向上活動への取組みにより、施工品質の維持向上には万全を期しておりますが、引当金の計上額を上回る瑕疵担保負担の発生や、保険等でカバーできない損害賠償が発生した場合、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、安全教育の実施、点検パトロール等、工事事故・品質事故・災害を撲滅するために安全管理・施工管理を徹底し、また、工事着手にあたり入念な施工計画の立案等、安全な作業環境を整え施工を行っておりますが、万が一、重大な工事事故・品質事故・労働災害等が発生した場合、社会的信用を失うとともに、企業イメージを損ない、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
建設業においては、一つの取引における請負金額が大きく、多くの場合工事代金の支払いは分割であり、目的物の引渡時及び引渡後に多額の支払が行われる傾向があります。当社グループでは取引先の信用力と信用額の管理を行っておりますが、工事代金の受領前に取引先が信用不安に陥った場合は、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、営業活動上の必要性から不動産を保有しておりますが、事業の分散あるいはリスク管理の観点から、不動産の投資分野毎の投資上限を定めた投資計画をもとに取得を行っております。しかしながら、不動産には時価の変動リスクがあるとともに、一般的に流動性が高くないため売却時における需給関係によっては相場価格により売却できない場合があります。
たな卸不動産については当社グループが開発ノウハウを持つ分譲住宅を中心とした投資を行っておりますが、事業計画の進捗次第では予定している回収額に満たない場合や様々な要因により計画を中止せざるを得ない場合があります。また、固定資産については当社グループが開発・運営のノウハウを持つ賃貸マンションを中心とした投資を行っておりますが、賃貸条件や事業収支の悪化が生じる等、予定しているキャッシュ・フローが得られなくなる場合があります。これらの場合には評価損失・減損損失・売却損失等が発生し、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、事業拡大や収益基盤の強化を目的に企業買収等を実施することがありますが、実施にあたっては、その重要性に応じ第三者の専門家による対象企業並びに事業環境等の調査を客観的かつ詳細に行い、その調査報告も参考に決定しております。しかしながら、買収等の対象事業を当社グループの経営戦略に沿って統合できない場合や、既存事業及び買収等の対象事業について効率的な経営資源の活用を行うことができなかった場合、また、急激な市況変化が生じた場合には、当初想定していた効果が得られないことにより、のれんの減損の発生等、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、事業拡大や収益基盤の強化を目的に地方主要都市を中心とした事業エリアの拡大に取組んでおりますが、会社の経営資源の多くは首都圏・近畿圏・東海圏に集中しております。このため、将来、首都圏・近畿圏・東海圏並びにその周辺において、地震、暴風雨、洪水その他の天災、感染症、事故、火災、その他の人災等が発生し、工期の遅延、消費者の購買意欲の減退、所有資産の毀損等があった場合には、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
海外での事業活動では、社会慣行の違い、法令・規制の予期せぬ変更、経済・為替の変動、政治・軍事問題等に関するリスクが存在し、これらに関した問題が発生した場合には、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、事業活動実績の少ない地域における新規事業の判断は、第三者の専門家等による多面的な評価を参考に取組みの判断を行うなど、社内におけるリスクコントロールの向上にも努めております。
当社グループが業務を遂行するにあたり、役職員による不正行為、不適切な行為、事務処理のミス、労務管理上の問題等の各種オペレーショナルリスクの発生が考えられます。当社グループはリスク管理規程を定め、オペレーショナルリスクも含めた事業遂行に関わる様々なリスクについて管理し、それらのリスクに対応することによって、グループの経営方針の実現を阻害するリスク要因を可能な限り低減させ、コントロールするよう努めておりますが、上記のようなオペレーショナルリスクが発生した場合、社会的信用を失うとともに、企業イメージを損ない、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、住宅購入顧客ならびに購入検討顧客や管理受託マンションの居住者等、多くの個人情報を保有しております。また、営業・購買情報等、多くのデータをコンピュータ管理しています。個人情報保護法にしたがって、個人情報の取扱いに関するルール(基本方針・規程・細則)を、また、マイナンバー(社会保障・税番号)制度への対応のため、マイナンバー関連規程(基本方針・規程)を設け、体制整備を行っております。また、個人情報以外の情報の取扱いについても、各部個別にセキュリティポリシー(基本方針・対策基準・実施手順)を順次整備する等、情報管理を徹底し万全を期しておりますが、コンピュータシステムのトラブルによる情報流出や犯罪行為等による情報漏洩が発生する可能性があります。その場合、社会的信用を失うとともに、企業イメージを損ない、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、借入や社債発行による資金調達を行っており、一部の借入については金利変動リスクに対応するために金利の固定化を実施しておりますが、金利等の市場環境の変化、あるいは当社に対する格付の引下げ等の信用力低下により資金調達コストが増加し、当社グループの業績及び財務内容に影響を与える可能性があります。
また、金融機関からの新規借入や社債発行にあたっては同様の条件により行えるという保証はなく、当社グループが金融機関から借入や社債発行による調達を適時に行えない場合には、当社グループの資金調達に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、事業上必要な資金調達について、主に金融機関との間で協調融資方式によるタームローン、及びコミットメントライン契約の借入契約を締結しております。これらの借入契約には、自己資本の維持と経常利益の確保の2項目に関して財務制限条項が付加されており、それに抵触した場合には、多数貸付人の意思結集に基づく請求により期限の利益を喪失する可能性があり、約定の返済期限より前に残元本及び利息等を返済する義務が発生する可能性があります。
当社グループは、市場性のある株式を保有しておりますが、株式市場が下落し、保有株式の価値が大幅に下落した場合には、当社グループの財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
影響を限定的にするために、株式の保有残高について連結純資産に対して一定程度を目安とすることとしております。
(16)中期経営計画について
当社グループは、2021年3月期をスタートとする中期経営計画「HASEKO Next Stage Plan」(略称:NS計画)において、収益基盤強化のための成長戦略投資や株主還元の拡充を行うとともに、事業を通して社会課題の解決に取組むべくCSR経営の確立を目指すことを公表しております。
計画内容の策定にあたっては、取締役会にて事業の課題や方向性等について充分な検討を重ねてきましたが、当社グループの業績は、経済環境等様々な要因の影響を受ける可能性があるため、目標値を達成できるという保証はなく、計画している事業上、財務上の効果が得られない可能性があります。
また、当社グループは収益基盤強化のため賃貸マンションを中心とした保有・開発事業の拡大やサービス関連事業における事業エリアの拡大などグループ事業展開の強化も計画しておりますが、予期せぬ経済情勢の変化、あるいはマーケットの急激な変化等により、事業展開が予定通りに実行できず、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(17)新型コロナウイルス感染症への対応
新型コロナウイルス感染症の影響により、当面の間は、不動産取扱量の減少を見込むことに加え、マンション販売モデルルームへの来客数の減少や、大規模修繕工事の受注減少が一定程度継続するなど、終息時期及び今後の経済環境の影響によっては、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす恐れがあります。
そのため、当社グループでは社長を本部長とするグループ横断での新型コロナウイルスグループ対策本部を設置し、従業員及び家族等の健康状態の把握を通じ感染予防に取組むとともに、リモートワークツールなどの活用により、在宅勤務にて業務を遂行できる環境の確保や、ウェブ会議システムの活用により対面での会議や面談等を極力削減するよう努めております。また、事業継続にあたっては、お客様や事業主様と綿密な協議を行い、従業員、協力会社等関係者の安全を確保すべく感染リスク対策の徹底に努めております。
当連結会計年度における国内経済は、雇用・所得環境の改善が続くなかで、緩やかに回復しておりましたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、急速に悪化しており、極めて厳しい状況にあります。先行きについては、感染症の影響による極めて厳しい状況が続くと見込まれ、感染症が内外経済をさらに下振れさせるリスクに十分注意する必要があります。
2019年度のマンションの新規供給戸数は首都圏で2万8,563戸(前期比22.0%減)、近畿圏でも1万7,452戸(同13.1%減)となりました。首都圏・近畿圏共に慎重に供給を行う傾向が継続したことに加え、特に首都圏では新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛要請の影響が出始めたこともあって、1992年度(2万8,460戸)以来27年ぶりに3万戸を下回る低調な供給にとどまりました。首都圏の初月販売率は61.3%(同0.7ポイント減)と4年連続で60%台となりましたが、在庫販売は順調で、2020年3月末の分譲中戸数は7,888戸(同4.6%減)に減少しました。近畿圏の初月販売率は73.1%(同1.3ポイント減)と70%を上回り、2020年3月末の分譲中戸数は2,731戸(同14.8%増)となりました。供給商品の内容をみると、首都圏の分譲単価は901千円/㎡(同3.0%増)に上昇し、平均面積は67.20㎡(同0.8%減)となったものの、平均価格は6,055万円と6,000万円を上回りました。近畿圏の分譲単価は691千円(同4.2%増)に上昇しましたが、コンパクト住戸を中心とした物件の供給増もあって、平均面積が56.51㎡(同4.1%減)に縮小したことから、平均価格は3,903万円と、前期と同値となりました。
このような中、中期経営計画「newborn HASEKO Jump Up Plan (略称:NBj計画)」最終年の当連結会計年度につきましては、建設関連事業において完成工事総利益率が低下したものの、サービス関連事業において各社の業績が堅調に推移し利益を着実に積み重ねてきた結果、期初予想であった経常利益850億円を達成することができました。
当連結会計年度における業績は、主に不動産の取扱量減少により売上高は8,460億円(同5.0%減)、主にマンション建築工事の完成工事総利益率の低下により、営業利益は859億円(同12.7%減)、経常利益は853億円(同15.1%減)の減収減益となりました。また、前期において事業の譲渡による特別利益を計上したことの反動により親会社株主に帰属する当期純利益は599億円(同31.5%減)となりました。営業利益率は10.2%(同0.8ポイント減)、経常利益率は10.1%(同1.2ポイント減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(単位:億円)
( )内は前期比増減額
(建設関連事業)
建設関連事業において、建築工事では、当社の土地情報収集力や商品企画力、施工品質や工期遵守に対する姿勢、効率的な生産体制等について事業主から評価を頂いている一方、受注時採算の悪化及び資材労務費の上昇等により、当期の完成工事総利益率は低下しました。
分譲マンション新築工事の受注は、首都圏で200戸以上の大規模物件26件を含む67件、近畿圏・東海圏で200戸以上の大規模物件8件を含む32件、合計で99件となりました。また、分譲マンション以外の工事として、賃貸マンション・社宅等、計8件を受注いたしました。
完成工事につきましては、賃貸マンション等11件を含む計108件を竣工させました。
当セグメントにおいては、主に不動産の取扱量減少により売上高は6,359億円(前期比8.1%減)となり、主に完成工事総利益率の低下により、営業利益は730億円(同16.3%減)となりました。
サービス関連事業において、大規模修繕工事・インテリアリフォームでは、消費税率引き上げに対する受注前倒しの反動に加えて、建物の長寿命化に伴う修繕周期の伸長により工事発注量が市場全体として減少していることもあり、減収減益となりました。
賃貸マンション運営管理・社宅管理代行では、新規受託の順調な推移や継続的な受託により、運営管理戸数は両事業合計163,519戸(前期末比6.0%増)となりました。
新築マンションの販売受託では、契約戸数は減少したものの、前連結会計年度に契約した物件の引渡が順調に進捗したこと等もあり、引渡戸数は増加となりました。
不動産流通仲介では、仲介の取扱件数は減少したものの、リノベーション事業の販売戸数は増加しました。
分譲マンション管理では、九州をはじめとする地方エリアの営業活動強化も寄与し、新規受託は堅調に推移し、管理戸数は407,941戸(同3.4%増)となりました。
不動産分譲では、新規に完成した分譲マンション8物件他の販売及び引渡しを行いました。
シニアサービスでは、主に近年開設した有料老人ホームの入居が進捗したことにより、有料老人ホーム・高齢者向け住宅の稼働数は2,311戸(同2.3%増)となりました。
以上の結果、当セグメントにおいては、売上高は2,561億円(前期比12.3%増)、営業利益は213億円(同37.3%増)となりました。
ハワイ州オアフ島において、戸建分譲事業が計画通りに進捗し、前連結会計年度末までに住宅の引渡がほぼ完了しております。当セグメントにおいては、売上高は4億円(前期比88.9%減)、たな卸資産評価損を25億円計上したことに伴い、営業損失は38億円(前期は営業損失4億円)となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
a.受注実績
(注) 1 当連結企業集団では建設関連事業における建設工事等及び設計監理、サービス関連事業における大規模修繕・内装工事等及び海外関連事業における建設工事等以外の受注実績を把握することが困難であるため記載しておりません。
2 セグメント間の取引については相殺消去しております。
b.売上実績
(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。
c.建設関連事業の状況
売上実績
(注) 数量及び稼働数は連結会計年度末現在で表示しております。
売上実績
なお、参考のため提出会社個別の事業の状況は次のとおりであります。
建設工事等及び設計監理の状況
(注) 1 前事業年度以前に受注したもので、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注高にその増減額を含んでおります。したがって、当期売上高にもかかる増減額が含まれております。
2 次期繰越高の施工高は、支出金により手持高の施工高を推定したものであります。
3 当期施工高は(当期売上高+次期繰越施工高-前期繰越施工高)に一致します。
工事受注方法は、特命と競争に大別されます。
(注) 百分比は請負金額比であります。
(注) 1 完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。
前事業年度 請負金額80億円以上の主なもの
当事業年度 請負金額80億円以上の主なもの
2 完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は次のとおりであります。
(注) 手持工事のうち請負金額70億円以上の主なものは、次のとおりであります。
(2) 財政状態
当連結会計年度末における連結総資産は、建設受注を目的とする不動産取得及び分譲マンション用地の取得に伴い販売用不動産及び不動産事業支出金が増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ261億円増加し、7,993億円となりました。
連結総負債は、未払法人税等が減少した一方で、借入金を調達したこと等により、前連結会計年度末に比べ65億円増加し、4,116億円となりました。
連結純資産は、配当金の支払及び自己株式の取得があった一方で、親会社株主に帰属する当期純利益を計上し利益剰余金が増加したこと等から、前連結会計年度末に比べ196億円増加し、3,877億円となりました。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の47.5%に対し、48.5%となりました。
建設受注を目的とする短期的な不動産取得及び分譲用不動産の仕入等により、当社グループの保有不動産は増加いたしましたが、適切なリスク管理を実施し、事業を推進しております。
セグメントごとの資産は、次のとおりであります。
(単位:億円)
( )内は前期比増減額
(建設関連事業)
建設関連事業において、当連結会計年度末における資産は、建設受注を目的とする不動産取得に伴い販売用不動産が増加したこと等により前連結会計年度末に比べ294億円増加し、2,936億円となりました。
(サービス関連事業)
サービス関連事業において、当連結会計年度末における資産は、分譲マンション用地の取得に伴い不動産事業支出金が増加したことに加え、株式会社細田工務店が新たに連結子会社となったこと等により、前連結会計年度末に比べ175億円増加し、3,994億円となりました。
(海外関連事業)
海外関連事業において、当連結会計年度末における資産は、借入金の返済に伴い現金預金が減少した一方で、関係会社に対する出資を行ったこと等により、前連結会計年度末に比べ74億円増加し、401億円となりました。
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度の331億円の収入超過と比較して483億円減少し、153億円の支出超過となりました。これは主に、たな卸資産の増加に伴う資金減少560億円(前連結会計年度は237億円の資金減少)によるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度の145億円の支出超過と比較して227億円減少し、372億円の支出超過となりました。これは主に、前連結会計年度において事業譲渡による収入204億円(当連結会計年度は該当無し)があったことによるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度の124億円の支出超過と比較して40億円増加し、84億円の支出超過となりました。これは主に、借入金・社債の調達及び返済に伴う資金増加266億円(前連結会計年度は38億円の資金増加)によるものであります。
以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末の2,130億円より612億円減少し、1,518億円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローが前期比で大幅に減少しておりますが、その要因は、主にたな卸資産の増加と法人税等の支払によるものであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。
当社グループでは主に建設受注を目的とする短期的な不動産取得、分譲用不動産等の仕入れ、賃貸用不動産及び海外事業への投資などの資金需要がありましたが、事業活動から生じる利益及び借入金・社債により調達した資金を充当しております。
当連結会計年度におきましては期限の到来に伴い234億円の借入金(新規連結の株式会社細田工務店の借入金53億円を含む)の返済及び100億円の社債の償還をしておりますが、普通社債の発行による100億円の調達に加えて500億円の長期借入金の調達を行っており、社債を含む借入金残高は319億円増加し1,523億円となりました。
また、当社は運転資金の安定的かつ機動的な調達を行うため取引金融機関と630億円のコミットメントラインを締結しており、現金預金とあわせて十分な流動性を確保しています。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されておりますが、この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値にその結果が反映されております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は異なることがあります。
当社グループが連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期等を含む仮定に関する情報は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(追加情報)」に記載しております。
(工事進行基準による収益認識)
当社グループは、当連結会計年度末までの進捗部分について成果の確実性が認められる工事については、工事進行基準を適用して収益認識しております。工事進行基準の適用にあたっては、工事収益総額、工事原価総額及び当連結会計年度末における工事進捗度を合理的に見積る必要があります。工事進行基準による収益認識の基礎となる工事原価総額は、工事契約毎の実行予算を使用して見積りを行っておりますが、当該実行予算の策定にあたっては、工事完成までに必要な作業内容及び工数の見積りに不確実性を伴うため、将来の経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、当社グループの業績を変動させる可能性があります。
(販売用不動産の評価)
当社グループは、四半期毎に販売用不動産の評価損計上の要否を検討しており、正味売却価額が取得価額よりも下落している場合には、当該正味売却価額をもって貸借対照表価額とするとともに、その差額について販売用不動産評価損として計上しております。正味売却価額は、近隣地域における取引事例、販売予定価格及びマンション需要予測等に基づいて算定しておりますが、それらの見積りに不確実性を伴うため、将来の経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、当社グループの業績を変動させる可能性があります。
(固定資産の減損)
当社グループは、四半期毎に固定資産の減損損失計上の要否を検討しており、減損損失を認識すべきと判定された資産については帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。回収可能価額は将来キャッシュ・フロー、正味売却価額及び割引率に基づいて算定しておりますが、それらの見積りに不確実性を伴うため、将来の経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、当社グループの業績を変動させる可能性があります。
該当事項はありません。
当社の研究開発活動は、集合住宅における新築とストックの両分野に軸足をおき、ICT・IoT等のデジタル技術や先端技術を積極的に活用しながら、安全・安心、快適・健康、品質・性能、生産性向上等のテーマに取り組むとともに、受注の拡大、利益の向上、新たな事業モデルの創出、将来の事業改革に寄与する研究・技術開発を目指しております。
活動にあたっては、研究・技術開発のスピードアップと採用促進を図るため、東京都多摩市の技術研究所を拠点としながら、大学・研究機関等との共同研究・開発を進めるとともに、当社技術推進部門・設計部門・建設部門・価値創生部門等社内各部門及び当社グループ各社の技術関連部門との連携・強化に努めております。
活動内容としては、①生産技術開発 ②商品開発 ③そのために必要な基礎的な研究開発、以上の3つに重点を置きながら、特に工業化対応、省エネ・環境対応、長寿命化、防災対応、ストック改修対応など、社会環境や顧客ニーズの変化に即した集合住宅関連技術の開発・商品化に注力しております。
当連結会計年度における研究開発費は、
(建設関連事業)
建設技能労働者の高齢化と将来の労働者不足の懸念に対し、中高層及び超高層物件を対象とした生産性向上、品質向上を目的とした工業化・ICT活用等、技術開発を推進してまいります。また、新たな価値を付与すべく商品開発を積極的に行い、着工物件において順次採用導入しております。特に、これまでの開発検証等をベースにして、下記の開発に注力・推進しております。
生産技術開発分野として、業務及び生産プロセスの合理化に向けたBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の導入・活用検討において、長谷工独自のBIMツールの開発や業務ワークフロー改善等による、設計・施工及びグループ企業と緊密に連携した「長谷工版BIM」の環境整備を強力に推進しております。当社設計・施工案件における「長谷工版BIM」採用の実施設計案件は7割を超えており、2020年3月末には全案件で採用する体制構築を完了しました。今後は、マンション設計における普及・展開を図るとともに、BIMデータを活用した施工技術の開発、及び体制構築を推進してまいります。
外装関連では、生産性の低い部位を対象にPCa化・新部材開発を推進しており、ALC無溶接工法の玄関袖壁への適用拡大を行いました。また、従来の鋳鉄製雨水ドレンの錆び汚れといった課題から、樹脂製ドレン・ストレーナーを開発しました。
内装関連では、間口の小さい住戸プランの採用が増える中、薄型下足入れ「Shoes Gallery」に対応した袖窓付玄関SD(スチールドア)を改良しました。また、生産性向上を目的に新型洗濯水栓を開発しました。
商品開発分野として、名鉄不動産㈱と共同開発し、デンマークの住まいを意識したライブラリーラウンジや開放的なウッドデッキを企画した「エムズシティ新安城ブランシエラ」(愛知県安城市、地上15階、163戸)、及びスマートフォンやタブレットと連動して安全性を高めた戸別宅配BOX等を導入した「ルネ横浜戸塚」(横浜市戸塚区、地上7階、439戸)の販売が開始されました。また、外装デザインの意匠性向上を目的にアルミ手摺の新型デザインを開発しました。
現在、「ローレルタワー御堂筋本町」(大阪市中央区、地上30階/地下1階、制振、241戸)、「ブランズタワー芝浦」(東京都港区、地上32階/地下1階、免震、482戸)、「錦二丁目7番第一種市街地再開発事業施設建築物等新築工事(A工区)」(名古屋市中区、地上30階/地下1階、制振、402戸)、「シエリア大阪上町台パークタワー」(大阪市中央区、地上29階/地下1階、制振、112戸)、「パークシティ柏の葉キャンパス サウスマークタワー」(千葉県柏市、地上29階、免震、364戸)、「(仮称)西区靱本町計画」(大阪市西区、地上36階/地下1階、制振、353戸)、「シエリアタワー大阪天満橋」(大阪市北区、地上30階/地下1階、制振、172戸)、「(仮称)名駅南二丁目計画」(名古屋市中村区、地上42階/地下1階、制振、441戸)を建設中です。
また、当期は「ローレルタワー ルネ浜松町」(東京都港区、地上23階/地下1階、耐震、227戸)、「都営住宅28CS-101東(港区北青山三丁目・港区施設)工事」(東京都港区、地上20階、耐震、302戸)が竣工しました。超高層案件ではPCa部材を用いることが多く、BIMデータと連動させることで、構造・仮設計画に配慮した適正な梁PCa分割位置を生成するツール開発を行いました。これにより施工計画検討業務の大幅な削減が見込まれます。更なる技術のレベルアップとして、設計基準強度が150N/mm2の超高強度コンクリートを用いた概ね50階建ての超高層RC造集合住宅に対応できる設計・施工技術の開発に取り組んでおります。
音環境関連技術に関しては、超高層タワーパーキングにおける騒音対策仕様を策定しました。また、循環型社会を目指し、集合住宅における木造採用の促進を目的に、木造共用棟の企画設計マニュアルの整備を行いました。
集合ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)普及に向け、企画設計段階でZEH-M仕様の要件を満たす仕様組み合わせ及び概算コストを算出する支援ツールを開発しました。
自然エネルギー利用技術に関する研究開発では、長谷工テクニカルセンターにおいて、地中熱を利用した集合住宅用輻射空調システムの開発、太陽熱を利用した新たな省エネ型給湯システムの開発等を推進しております。
近年増加している自然災害対策に関する研究開発では、建物の安全性に加え、震災後の生活維持を目的としたハード・ソフト面の提案を盛り込んだ、災害に強いマンション提案仕様を整備しました。また、兵庫耐震工学研究センターの実大試験体において、国立研究開発法人防災科学技術研究所と共同で震動台実験を実施し、当社の基本的な仕様の内外装及び設備関連部材の安全性、耐久性の確認をしました。
競争と連携のネットワークを構築するため、多様な研究機関、企業等の幅広い結集を図り、研究開発の共通基盤(プラットフォーム)の確立を目指している「建築研究開発コンソーシアム」等の活動に継続参画しております。
これまで当社では、段ボール古紙や木くずにおける循環型マテリアルリサイクルシステムの構築、また、廃プラスチック類のサーマルリサイクルシステムの構築をしてまいりました。今後も、作業所所員・作業員への環境関連教育を通して、環境に配慮した循環型社会の実現に向けた取り組みを推進してまいります。
「住まい情報と暮らし情報のプラットフォーム」(HASEKO BIM & LIM Cloud)の構築に向け、各種パートナー企業、大学や研究機関と連携し、センサー、AIやロボットなどICT活用に本格的に取り組んでおります。
具体内容として、ドローンやAR・VR、RFIDタグなどを活用し、作業所における施工管理、建設資材管理の効率化・高度化に向け、実案件での検証を進めています。また顔認証技術・音声認識技術等の活用により、次世代型集合住宅に向けた「IoTマンション」の具体案件での採用に向けて開発に取り組んでおります。
顔認証技術・地震センサー等の活用による、次世代型集合住宅「IoTマンション」第一号物件となる、「Feel I Residence(フィールアイレジデンス)」(㈱長谷工不動産所有の学生向け賃貸マンション、東京都板橋区、地上7階、72戸)が竣工し、稼働しました。
(サービス関連事業)
(1) 既築集合住宅を対象とした技術の開発
拡大する国内ストック市場における既築集合住宅向け「ストックビジネス」の技術基盤づくりを目指しております。共用部では「建物の延命化・耐震化の工法」、「居住者の負担を軽減できる工法」の開発等、専有部では「住まいの機能の維持やグレ-ドアップの提案」を進める等、継続的にストック・リフォーム分野における研究・技術開発を行っております。
当社グループ全体のサービス関連事業における顧客獲得増大を目指し、ICTを活用した各種Webマーケティング施策、カスタマーセンター機能の高度化等への投資を行いました。また、将来収益となる新たなビジネスモデル創出を目指し、サービスシステムの実証ならびに開発を進めました。
「グループIT投資戦略プロジェクト(名称:FITプロジェクト)」による開発リリース第一号となる、新築マンション探しをサポートするサービス「マンションFit(フィット)」を開始しました。
この他、竣工後のマンション管理業務の効率化や大規模修繕時の作業効率化、生産性向上にも取り組んでおります。
なお、子会社においては、研究開発活動は行われておりません。
建設関連事業及びサービス関連事業以外の事業においては、研究開発活動は行われておりません。
「第2 事業の状況」における各項目の記載金額には、消費税等は含まれておりません。