第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループは、総合エンジニアリング企業への成長を続けるとともに、今後ともエネルギーとシステムを支える企業として、「暮らしのより確かな基盤をつくる」という当社グループの存在目的のもと全力で事業に邁進してまいります。

0102010_001.png

 

(2)経営戦略等

当社グループは、経営環境の変化に適応し、持続的な成長を実現していくために「2021年度中期経営計画」(2021年度~2023年度)を策定し、以下の経営目標達成に向けた諸施策を展開してまいります。

 

[最重点課題]

『基盤事業の強靭化と新事業領域の更なる拡大による企業価値の向上』

 

[重点目標]

① 設備工事を主体とした基盤事業の強靭化

② 新事業領域の更なる拡大と収益力向上

③ 新たな環境価値創造へ寄与する技術力・競争力強化

④ グループ組織力の最大化

⑤ 「キュードの価値観」を基盤とした企業風土の再構築

⑥ 福島復興への継続的貢献

 

Q’d(キュード)は、「どこまでもQuality Oriented」でありたいという考えを表したものです。

Q’dとは、お客さまのために、社会のために、より良い提案をしていきたいと誓い合う言葉でもあります。

 

なお、当中期経営計画期間の連結業績目標(3ヵ年平均)を次のとおり設定しております。

 

〇 受注高              900億円程度

〇 売上高              800億円程度

〇 営業利益             50億円程度

〇 経常利益             50億円程度

〇 親会社株主に帰属する当期純利益  35億円程度

 

 

(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題

今後の見通しにつきましては、電力業界において2020年4月に施行された発電部門と送電部門との法的分離によって一連の電力システム改革の最終段階を迎えたことから、厳しい競争環境が恒常化していくものと思われ、エネルギーインフラ事業に携わる当社グループにとっては引き続き厳しい事業環境が続くものと予想されます。

また、至近では新型コロナウイルス感染症の終息が不透明な状況であることから経済活動が制約され、景気の回復基調は限定的で、厳しい局面は今しばらく継続するものと予想されます。

一方で、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロとする政府方針が示され、再生可能エネルギーの主力電源化、カーボンニュートラル等へ向けた様々な取り組みが活性化すると予想され、当社も様々な事業に挑戦し続けることでビジネス領域を拡大する好機であるとも考えております。

このような状況の中、当社グループは、本年4月から新たな中期経営計画(2021年度~2023年度)をスタートさせ、「基盤事業の強靭化と新事業領域の更なる拡大による企業価値の向上」を最重点課題に掲げ、これまでの取り組みを加速させてまいります。

事業領域の裾野を拡げるため、これまで培ってまいりました技術力を活かし、コージェネレーションシステムや空調設備等の需要家さまの設備や、太陽光・小水力・風力・バイオマス・地熱等の再生可能エネルギー設備等の工事において、EPC(設計・調達・建設)からO&M(運転・保守)まで一貫したワンストップサービスをご提供してまいります。

更に、社内外のリソースを徹底的に活用し、新たな環境価値創造へ寄与する技術力・競争力の強化に取り組んでまいります。

2020年12月、当社グループは、地球規模で取り組むべきCO2削減、カーボンニュートラルへの取り組みの一環として、鳥取県境港市において2022年度の営業運転開始を目指し、自社所有となる木質バイオマス発電所の建設工事に着手いたしました。

他のバイオマス発電事業につきましても、自社所有発電所の建設によって蓄積した知見を活用し、お客さまの様々な事業計画に一連のバリューチェーン、すなわち資本参加からオーナーズエンジニアリング(建設中管理業務)、建設工事、O&M、LTSA(長期保守契約)等のあらゆる局面で貢献できるよう着実に取り組みを進めてまいります。

水力発電分野につきましては、鳥取県営水力発電所再整備事業におきまして、当社設立以来70有余年にわたり積み重ねてきた技術力を活かして、発電所の土木、建築工事から水車、発電機の据付工事に参画する等、再生可能エネルギー分野の事業として更に強化してまいります。

原子力発電分野につきましては、東日本大震災直後から福島第一原子力発電所の事故収束作業にあたり、その後も継続して廃炉・汚染水処理の作業に携わってまいりましたが、廃炉作業がより核心部へ移りつつある中、Wi-Fiネットワークシステム搭載型遠隔走行作業車等を開発し現場への実践投入を図る等、今後も困難な作業へ積極的に関わり続けることで福島復興に向けた取り組みを継続してまいります。

また、柏崎刈羽原子力発電所での安全対策工事等で培った防消火設備工事の知見と技術力を活かして、女川原子力発電所、志賀原子力発電所、島根原子力発電所、東海第二原子力発電所等の安全対策工事へ活動領域を拡げており、引き続き、脱炭素化へ効果が大きい原子力発電所の再稼働へ向け貢献してまいります。

火力発電分野につきましては、ベース電源としての信頼性の維持・環境負荷の軽減(水素、アンモニアの活用やCCS(二酸化炭素回収・貯留))へ対応していくことで、電力事業を安定的に支えてまいります。

この度の株式会社日立プラントコンストラクションからの火力事業の承継につきましては、同社が所有する優れた技術による生産性の向上、優秀な人材の活用によるグローバルな事業展開、豊富な協力会社体制による施工力の強化等、様々なシナジーが期待できることから、火力発電分野に限定せずその効果を最大限に発揮するために、着実な統合作業を進めてまいります。

海外事業分野につきましては、アジア地域の旺盛なエネルギー需要に応えるべく、タイ王国内に設立いたしましたTokyo Enesys (Thailand) Co.,Ltd.の工場稼働を本格化させ、当社グループとして設備の設計・製造から建設、運転・保守まで一貫した設備工事の受注を進めてまいります。

今後とも当社グループは、「暮らしのより確かな基盤をつくる」という理念のもと、あらゆる事業分野において、工事の安全・品質の確保を最優先に取り組み、全社を挙げて持続的な成長と企業価値の向上に努めてまいります。また、社会と共生していくために、ESG(環境・社会・ガバナンス)やSDGs(持続可能な開発目標)へ取り組むとともに、働き方改革、女性活躍推進、障がい者雇用や外国人技能実習生の受入れを精力的に進め、企業としての社会的責任を果たしてまいります。

なお、今後も社会全般にわたり経済活動へ広く影響が予想される新型コロナウイルス感染症に対しても、お客さまへご迷惑をお掛けすることのないよう感染拡大防止策を徹底しBCP(事業継続計画)を実践してまいります。

 

2【事業等のリスク】

  有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があると認識しているリスクには、以下のようなものがあります。

当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。

  なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響については、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。

 

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 受注環境

当社グループは、市場の変化に対応して営業体制の強化を図るとともに、お客さまや市場のニーズを的確に捉えた技術提案型営業活動を積極的に展開しております。しかしながら、当社グループに影響の大きい電力関連設備工事において、今後の電力エネルギー政策の動向、想定を上回る電力設備投資の減少、また、地震、風水害等の大規模自然災害や感染症の流行が発生した場合、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。

 

② 工事施工

当社グループは、設備工事業を主たる事業としており、「品質」「環境」「労働安全衛生」を統合したマネジメントシステムを基軸とした工事施工品質の向上とお客さまや市場のニーズを的確に把握するためのCS(お客さま満足)活動のレベルアップにより、事業基盤の一層の強化に努めております。しかしながら、設備工事において人的・物的事故や災害が発生した場合や工事施工中において、地震、風水害等の大規模自然災害や感染症の流行が発生した場合、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。

また、施工後においても、自然災害による損害を受けた設備に対して、契約上の復旧義務が生じた場合等、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。

 

③ 工事原価の変動

当社グループは、工事用資機材の集中購買や競争入札の拡大等により、工事原価の徹底した管理に努めております。しかしながら、材料費や労務費の高騰等により工事の施工段階において大幅な工事原価の変動が発生した場合、工事損失引当金の計上等、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。

 

④ 株式及び債券等の保有

当社グループは、株式や債券等を保有しており、企業年金資産においても株式や債券等を保有しております。これらは、株式市況や債券市況の動向等により時価が変動するため、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。

 

⑤ 取引先の信用

当社グループは、企業情報の把握と分析・評価による与信管理の徹底に努めております。しかしながら、建設業においては、工事目的物の引渡し後に工事代金が支払われる条件で契約が締結される場合が多く、このため工事代金を受領する前に取引先が信用不安に陥った場合、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。

 

⑥ 海外事業

当社グループが事業展開している国において、法律や規制、税制の動向、為替相場の変動、社会・経済情勢等の予期しない変化等が生じた場合、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。

 

なお、新型コロナウイルス感染症の再拡大が懸念されることから、工事中断や工期延伸、更には経済活動の停滞による受注環境の悪化等も想定され、当該リスクが顕在化した場合には、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

その感染拡大防止への取り組みについては、テレワークによる在宅勤務や時差出勤等の対策を講じる等、事業に及ぼす影響を最小限に抑制するよう努めております。

 

これらの経営に重大な影響を及ぼすおそれのあるリスクについては、事業運営会議及びリスク管理委員会において、リスクの顕在化の予防に努めるとともに、万一顕在化した場合には、迅速かつ的確に対応することにより、被害・影響範囲を極小化し、事業の継続性を確保してまいります。

 

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①  財政状態及び経営成績の状況

イ  財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末と比べて42億14百万円増加し、896億16百万円となりました。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末と比べて21億13百万円増加し、247億56百万円となりました。

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末と比べて21億円増加し、648億59百万円となりました。

 

ロ  経営成績

当連結会計年度の経営成績は、受注高801億62百万円(前期比25.2%増)、売上高595億14百万円(前期比10.5%減)、営業利益41億4百万円(前期比4.7%増)、経常利益39億20百万円(前期比0.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益27億47百万円(前期比15.6%増)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

設備工事業は、受注高793億31百万円(前期比25.9%増)、売上高586億83百万円(前期比10.4%減)、セグメント利益69億61百万円(前期比1.9%増)となりました。

その他の事業は、受注高及び売上高8億58百万円(前期比14.3%減)、セグメント損失9百万円(前期はセグメント利益2億63百万円)となりました。

 

 

②  キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前連結会計年度末と比べて48億79百万円減少の、92億64百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、107億54百万円の資金の増加(前連結会計年度は23億90百万円の資金の増加)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益の計上及び売上債権の減少によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、161億64百万円の資金の減少(前連結会計年度は32億24百万円の資金の減少)となりました。これは主に有価証券の取得及び有形固定資産の取得によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、4億69百万円の資金の増加(前連結会計年度は9億65百万円の資金の減少)となりました。これは主に長期借入れによるものであります。

 

③  生産、受注及び販売の実績

 セグメントごとの受注実績及び売上実績は、次のとおりであります。

 

イ  受注実績

セグメントの名称

前連結会計年度

 (自  2019年4月1日

 至  2020年3月31日)

(百万円)

当連結会計年度

 (自  2020年4月1日

 至  2021年3月31日)

(百万円)

増減率(%)

設備工事業

62,999

79,331

25.9

その他の事業

1,001

858

△14.3

セグメント計

64,001

80,189

25.3

差異調整額

10

△27

64,012

80,162

25.2

 

ロ  売上実績

セグメントの名称

前連結会計年度

  (自  2019年4月1日

至  2020年3月31日)

(百万円)

当連結会計年度

  (自  2020年4月1日

至  2021年3月31日)

(百万円)

増減率(%)

設備工事業

65,508

58,683

△10.4

その他の事業

1,001

858

△14.3

セグメント計

66,509

59,541

△10.5

差異調整額

10

△27

66,520

59,514

△10.5

(注) 1  セグメント間取引については、相殺消去しております。

2  生産実績については、定義することが困難であるため、記載しておりません。

3  売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

売上高(百万円)

割合(%)

売上高(百万円)

割合(%)

㈱JERA

11,808

17.8

13,736

23.1

東京電力ホールディングス㈱

14,392

21.6

11,875

20.0

三菱パワー㈱

10,641

16.0

6,024

10.1

(注) 三菱日立パワーシステムズ株式会社は、2020年9月1日に三菱パワー株式会社に社名変更しております。

 

  なお、参考のため提出会社個別の事業の状況は次のとおりであります。

a.受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高

期別

セグメントの名称

前期繰越

工事高

(百万円)

当期受注

工事高

(百万円)

 

(百万円)

当期完成

工事高

(百万円)

次期繰越

工事高

(百万円)

前事業年度

 (自  2019年4月1日

至  2020年3月31日)

設備工事業

68,212

72,063

140,275

64,965

75,310

その他の事業

245

245

245

セグメント計

68,212

72,308

140,521

65,211

75,310

差異調整額

10

10

10

68,212

72,319

140,531

65,221

75,310

当事業年度

 (自  2020年4月1日

至  2021年3月31日)

設備工事業

75,310

80,411

155,721

61,102

94,619

その他の事業

240

240

240

セグメント計

75,310

80,651

155,962

61,343

94,619

差異調整額

△27

△27

△27

75,310

80,624

155,934

61,315

94,619

(注) 1  前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含んでおります。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれております。

2  次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)であります。

 

b.受注工事高の受注方法別比率

工事受注方法は、特命と競争に大別されます。

期別

セグメントの名称

特命(%)

競争(%)

計(%)

前事業年度

 (自  2019年4月1日

至  2020年3月31日)

設備工事業

83.3

16.7

100

当事業年度

 (自  2020年4月1日

至  2021年3月31日)

設備工事業

65.8

34.2

100

(注)  百分比は請負金額比であります。

 

c.完成工事高

期別

セグメントの名称

官公庁(百万円)

民間(百万円)

計(百万円)

前事業年度

 (自  2019年4月1日

至  2020年3月31日)

設備工事業

983

63,981

64,965

その他の事業

245

245

セグメント計

983

64,227

65,211

差異調整額

10

65,221

当事業年度

 (自  2020年4月1日

至  2021年3月31日)

設備工事業

575

60,527

61,102

その他の事業

240

240

セグメント計

575

60,767

61,343

差異調整額

△27

61,315

(注) 1  完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。

前事業年度  請負金額1億円以上の主なもの

相手先

工事件名

日本原燃㈱

2019年度 設備点検工事(その10)

東京電力ホールディングス㈱

福島第一原子力発電所 1~4号機サブドレン集水設備保守点検業務委託(2019)

合同会社茨城ソーラー

茨城県北茨城市 太陽光発電設備建設工事

㈱JERA

広野火力発電所 6号ボイラー定検手入工事その1

東京都

環2築地大橋景観照明設置工事(30一-環2築地)その2

当事業年度  請負金額1億円以上の主なもの

相手先

工事件名

日本ファシリティ・ソリューション㈱

KHネオケム㈱千葉工場 ガスタービンコージェネレーション設備工事

合同会社播磨ソーラー

SHIRAKAWA-FUKUSHIMA発電所 建設工事

㈱JERA

富津火力発電所 4-1号タービン定期点検手入工事

東京電力ホールディングス㈱

福島第一原子力発電所 1~4号機サブドレン除鉄装置設置

三菱パワー㈱

福島ガス発電㈱ 相馬港における天然ガス火力発電所建設工事

 

2  完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりであります。

 

相手先

前事業年度

当事業年度

完成工事高

(百万円)

割合(%)

完成工事高

(百万円)

割合(%)

㈱JERA

11,808

18.1

13,736

22.4

東京電力ホールディングス㈱

14,392

22.1

11,875

19.4

三菱パワー㈱

10,641

16.3

6,024

9.8

(注) 三菱日立パワーシステムズ株式会社は、2020年9月1日に三菱パワー株式会社に社名変更しております。

 

d.次期繰越工事高

2021年3月31日現在

 

セグメントの名称

官公庁(百万円)

民間(百万円)

計(百万円)

設備工事業

829

93,789

94,619

その他の事業

セグメント計

829

93,789

94,619

差異調整額

94,619

(注)  次期繰越工事のうち請負金額1億円以上の主なものは、次のとおりであります。

相手先

工事件名

完成予定年月

M&C鳥取水力発電㈱

鳥取県水力発電所再整備事業

2024年10月

三菱パワー㈱

JERAパワー姉崎 姉崎火力発電所 発電設備建設工事

2023年8月

東京エネシス・東北発電工業特定工事共同企業体

女川原子力発電所第2号機自動消火設備設置工事(Ⅱ期工事)(B工事)

2023年3月

東京電力パワーグリッド㈱

虎ノ門・麻布台地区 特定送配電事業施設 新築特定送配電設備工事(その1)

2023年4月

合同会社境港エネルギーパワー

境港バイオマス発電所建設工事

2022年10月

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①  重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。具体的には「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。

 

見積り及び仮定の重要度が高いものは以下であります。

イ 重要な収益及び費用の計上基準

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要な収益及び費用の計上基準で重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

ロ 工事損失引当金

受注工事の損失に備えるため、当連結会計年度末の手持工事のうち、損失が発生すると見込まれ、かつ金額を合理的に見積ることが可能な工事について、損失見積額を計上しております。

損失額の見積りは実行予算によって行います。実行予算作成時には、入手可能な情報に基づいた施工条件や資機材価格等を仮定し、作業効率等を勘案して各工種毎に積み上げて作成しております。工事着手後は実際の発生原価と対比して適時・適切に実行予算の見直しを行っておりますが、発注者との変更契約の締結や、設備工事における人的・物的事故等の内的要因、また、市況の変動や自然災害及び感染症拡大等の外的要因により、仮定要素は将来変動する可能性があります。

 

ハ 退職給付引当金

退職給付費用及び債務の計算は、割引率、退職に対する給付額、利息費用、年金資産の期待収益率、死亡率、退職率等の要素が含まれております。これらの仮定と実際の結果が異なる数理計算上の差異については、発生した連結会計年度に全額一括費用処理しております。

 

ニ 繰延税金資産の回収可能性

繰延税金資産の回収可能性の評価については、当社グループの各社毎に将来の課税所得を見積り、回収可能と認められない金額について評価性引当額を計上しております。

将来の課税所得は、現在入手可能な情報に基づき合理的に見積っておりますが、大幅な経営環境の変化等により、その見積額が減少した場合は繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。

 

②  当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

イ  経営成績等

当期におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける中で、国・自治体の経済政策により一部持ち直しの動きがみられたものの、足元では感染症が再拡大しており、先行きに対する不透明感は払拭されずに推移いたしました。

当社グループを取り巻く経営環境は、電力システム改革の進展により電力関連設備工事の市場競争が激化しており、また、新型コロナウイルス感染症の影響による企業収益の減少を背景として、民間設備投資の抑制及び工事計画の見直し等が発生し、依然として厳しい状況が続いております。

このような状況の中、当社グループは、電力安定供給のための社会インフラを支える企業としての使命を果たすため、感染拡大防止策を徹底した上で、事業活動の継続に取り組んでまいりました。

具体的には、既存事業領域を堅持するとともに、中期経営計画(2018年度~2020年度)の最重点課題である「収益構造の多様化と組織力の最大化による持続的な成長・拡大」を確実に遂行すべく、各火力・原子力・水力発電所の点検・保守、福島第一原子力発電所の廃止措置関連業務や福島復興関連業務、原子力発電所の安全対策工事、更に大型火力発電設備・コージェネレーション設備・通信設備等の工事、太陽光発電・バイオマス発電・水力発電等の再生可能エネルギー関連設備等の工事において受注・売上の拡大を図り、全社を挙げて利益の創出に努めてまいりました。

この結果、当連結会計年度の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況については次のとおりとなりました。

 

 

a.財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末と比べて42億14百万円増加し、896億16百万円となりました。これは主に現金預金及び受取手形・完成工事未収入金等が減少したものの、有価証券の増加によるものであります。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末と比べて21億13百万円増加し、247億56百万円となりました。これは主に支払手形・工事未払金等が減少したものの、未成工事受入金及び長期借入金の増加によるものであります。

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末と比べて21億円増加し、648億59百万円となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上に伴う利益剰余金の増加によるものであります。

 

b.経営成績

当連結会計年度における受注高は、自然災害に伴う太陽光発電設備工事の計画延伸があったものの、大型火力発電設備の建設工事やバイオマス発電所の長期運転保守受託の増加により、801億62百万円(前期比25.2%増)となりました。売上高は、コージェネレーション設備工事や原子力発電所の安全対策工事が進捗したものの、前期に比べ大型の火力発電設備や太陽光発電設備の建設工事が減少したことや、新型コロナウイルス感染症拡大の影響によるお客さまの工事計画の延伸・中止が生じたこと等により、595億14百万円(前期比10.5%減)となりました。

次期繰越高は、863億86百万円(前期比31.4%増)となり、過去最高額を大幅に更新することとなりました。

利益面につきましては、売上高の減少はあったものの、原価管理の徹底や経費の削減等により収益が改善されたことに加え、原価率の高い工事が比較的少なかったこともあり、営業利益は41億4百万円(前期比4.7%増)となりましたが、経常利益は投資事業の運用損等により39億20百万円(前期比0.5%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、保有株式の売却益等により27億47百万円(前期比15.6%増)となりました。

 

c.キャッシュ・フローの状況

  当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

ロ  経営成績に重要な影響を与える要因

当社グループを取り巻く経営環境は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 事業上及び財務上の対処すべき課題」に記載のとおりであり、また、「2 事業等のリスク」及び「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ① 重要な会計方針及び見積り」に記載している各要因が、当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

 

ハ  資本の財源及び資金の流動性

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、工事の施工に要する外注費等の工事費や販売費及び一般管理費の営業費用によるものであります。投資を目的とした資金需要のうち主なものは、設備投資や債券等の購入によるものであります。

当社グループは、財務基盤の健全性を維持しつつ、成長分野への投資を可能とする財務環境の創出を基本方針としております。

運転資金及び設備投資資金については、自己資金及び金融機関からの借入により資金調達しております。

なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は18億30百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は92億64百万円となっております。

また、新型コロナウイルス感染症の影響による工事の中止や延期等、不測の事態に備えるため、金融機関とコミットメントライン契約を締結することで、十分な手元流動性を確保しております。

 

ニ  経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、2018年度にスタートした前中期経営計画において「収益構造の多様化と組織力の最大化による持続的な成長・拡大」を掲げ、「①事業領域の確保・拡大」「②利益を継続的に生み出せる企業体質への変革」「③人と技術の育成・強化」「④社会的責任を果たす行動の実践」「⑤福島復興への継続的貢献」を主要施策として取り組んでまいりました。

その結果、業績は、当初設定した3ヵ年平均の計画値に対していずれも未達となりましたが、これまでのコア事業であった設備工事業に加え、O&M事業(福島天然ガス発電所)、製造事業(タイ王国Bangpakong工場)、発電事業(境港バイオマス発電所:建設中)等、新しい事業へも進出し、事業構造改革において相応の成果を出すことができました。

 

2020年度を最終年度とする中期経営計画(2018年度~2020年度)の達成状況は次のとおりであります。

受注高は、計画比で3億円減(0.5%減)となりました。これは大型火力発電設備建設工事やバイオマス発電事業(O&M、LTSA)が増加したものの、自然災害による太陽光発電設備工事の計画延伸や点検手入工事の繰り延べ等により減少したことによるものであります。

売上高は、計画比で81億円減(11.1%減)となりました。これはコージェネレーション設備工事や原子力発電所の安全対策工事が進捗したものの、大型火力発電所建設工事や太陽光発電設備工事が減少したこと、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による工事計画の延伸・中止が生じたこと等によるものであります。

利益面につきましては、工事原価の低減及び徹底した諸経費の削減を図ってまいりましたが、売上高の減少や新領域分野における原価率の上昇により、営業利益は計画比12億円減(22.1%減)、経常利益は計画比12億円減(22.1%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は計画比11億円減(28.1%減)となりました。

 

 

指標

(2018年度~2020年度)

計画

(3ヵ年平均)

実績

(3ヵ年平均)

計画比

受注高

730億円程度

726億円

3億円減( 0.5%減)

売上高

730億円程度

648億円

81億円減(11.1%減)

営業利益

55億円程度

42億円

12億円減(22.1%減)

経常利益

55億円程度

42億円

12億円減(22.1%減)

親会社株主に帰属する当期純利益

40億円程度

28億円

11億円減(28.1%減)

 

ホ  セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(設備工事業)

受注高は、電力部門等の増加により、793億31百万円(前期比25.9%増)となりました。売上高は、原子力部門が増加したものの、エネルギー・産業部門及び電力部門の減少により、586億83百万円(前期比10.4%減)となりました。

セグメント利益は、69億61百万円(前期比1.9%増)となりました。

(その他の事業)

受注高及び売上高は、8億58百万円(前期比14.3%減)となりました。

セグメント損失は、9百万円(前期はセグメント利益2億63百万円)となりました。

 

参考:セグメントの名称に対応した部門等の名称

セグメントの名称

部門等

設備工事業

エネルギー・産業部門、電力部門、原子力部門、海外事業部、溶接・検査センター、バイオマス燃料・発電プロジェクト

その他の事業

発電事業、不動産事業、リース・レンタル事業、保険代理業、製造・販売事業、卸売業

(注)当連結会計年度から組織改編に伴い、「設備工事業」セグメントの「エネルギー・産業部門」については、それぞれの事業目的別に再編した「エネルギー・産業部門」、「電力部門」、「海外事業部」、「溶接・検査センター」に区分変更しております。

 

4【経営上の重要な契約等】

(会社分割による事業承継)

 当社は、2021年1月27日開催の取締役会において、株式会社日立プラントコンストラクションの火力発電に関連する事業の一部を会社分割により承継する統合基本契約を締結することを決議し、同日締結いたしました。また、2021年5月17日に当社は、統合基本契約に定めるところに基づき、株式会社日立プラントコンストラクションとの間で吸収分割契約を締結いたしました。

 

 なお、詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。

 

5【研究開発活動】

  当社の研究開発は、主に技術開発部が中心となり、工事施工における生産性の向上、コストダウン及び安全性の向上を目的とした新技術、新工法の研究開発及び新分野における研究開発に重点をおいて推進しております。

  当連結会計年度における研究開発費は56百万円であり、主な研究開発の内容は以下のとおりであります。

  なお、子会社においては、研究開発活動は特段行われておりません。

 

(1) 高線量下領域における遠隔操作・作業装置の開発(設備工事業)

原子力発電所構内の高線量下領域における現場調査・除染・切断・解体・穿孔・高所作業等を目的に、狭隘な管路を通行可能、かつグレーチング上の走行が可能なロボットの開発を実施しました。

 

(2) 状態監視保全(CBM)に係る振動診断技術の開発(設備工事業)

火力発電所における回転機器の設備診断技術の構築を目的に、振動測定技術及び赤外線サーモグラフィ技術を使用した状態監視技術の開発を実施しました。

 

(3) 水中UT(超音波探傷検査)による汚染水タンク底部肉厚測定工法の開発(設備工事業)

福島第一原子力発電所構内に設置されている汚染水タンクの余寿命診断の一環として、ROV(水中カメラロボット)に水中UTスキャナーを搭載し、タンクの水を抜かずに底板の肉厚測定を行う装置及び工法の開発を実施しました。