第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

当連結会計年度におけるわが国経済は、政府や日銀による経済・金融政策を背景に企業収益や雇用情勢に改善傾向が続き、景気は緩やかな回復基調で推移したものの、中国をはじめとする海外経済の減速や年明けから急速に進んだ円高・株安など、景気の下振れリスクを内包しながら、先行き不透明な状況で推移しました。

情報通信分野におきましては、光アクセス等の固定通信関連工事は減少傾向が続くものの、移動通信関連工事は  LTE-Advancedが本格化するなど、ブロードバンドを活用したスマートフォン・タブレット端末の普及によるモバイルトラフィックの増加や高速化に伴うネットワーク環境の構築・整備等が進みました。

また、公共・民間分野におきましては、国土強靭化や地方創生を契機とした自治体等のICT投資や、2020年開催の東京オリンピック・パラリンピック等による首都圏再開発案件での電気設備工事、無電柱化工事の拡大、老朽化した社会インフラの更改等、インフラ投資の加速が期待されるとともに、セキュリティ強化やマイナンバー導入など、IoT時代に迅速に対応するためのシステム投資も積極化するものと想定されます。

このような事業環境のもと、当社グループは「トータルICTソリューションをグループ一体で推進し、価値創造と成長基盤を確立する」という中期ビジョンのもと、グループ一体となってコア事業である通信インフラ構築関連の生産性・品質向上や効率化を推進する中で、主要子会社である和興エンジニアリング株式会社と池野通建株式会社を統合したほか、ネットワーク系施工事業を展開する子会社3社を統合するなど、グループ子会社の再編による生産性の向上に努めました。また、ICTソリューション事業や保守業務など引き続き成長事業の拡大に取り組む中で、日本マイクロソフト株式会社と連携し、当社の通信インフラ事業と同社のクラウドサービスを組み合わせた「クラウド総合エンジニアリング事業」を強化することとしたほか、ジオアプリの開発や測位技術に強みを持つ株式会社WHEREを完全子会社化し、屋内外の空間測位と地図情報を組み合わせた「G空間ビジネス」を本格的に推進することとしました。当社が持つ通信インフラ構築技術やソフトウェア開発技術など、様々な技術・サービスを融合させ、今後の成長が期待できる分野に積極的に取り組むことで、環境変化に強い経営基盤の構築に努めました。

当連結会計年度の経営成績につきましては、受注高は 3,004億3千8百万円(前期比 99.7%)、完成工事高は2,874億3千7百万円(前期比 95.5%)となりました。損益面につきましては、営業利益は 184億1千2百万円(前期比 100.3%)、経常利益は 185億1千2百万円(前期比 99.6%)、親会社株主に帰属する当期純利益は 121億8千4百万円(前期比 99.3%)となりました。

当連結会計年度におけるセグメント別の概況は、次のとおりであります。

 

①エンジニアリングソリューション

受注高につきましては、NTTグループ関連工事は堅調に推移しましたが、マルチキャリア工事の減少等により、前年同期と比べ減少しました。

完成工事高につきましては、NTTグループ関連工事の完成時期の遅れやマルチキャリア工事の受注減少の影響等により、前年同期と比べ減少しました。

②システムソリューション

受注高、完成工事高ともに、前期に子会社化した株式会社アドヴァンスト・インフォーメイション・デザインの影響等により、前年同期と比べ増加しました。

 

 

 (2)キャッシュ・フロー

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ82億5千4百万円減少し、160億3千7百万円となりました。
 各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果獲得した資金は53億8千9百万円(前期は231億6千7百万円の獲得)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は139億7百万円(前期は28億2千8百万円の使用)となりました。これは主に有形固定資産の取得によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果獲得した資金は3億1千3百万円(前期は123億4千3百万円の使用)となりました。これは主に短期借入金の増加によるものであります。

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)受注実績

  当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

(百万円)

前期比

(%)

次期繰越工事高

(百万円)

前期比

(%)

エンジニアリングソリューション

261,995

97.2

112,179

111.0

システムソリューション

38,442

120.9

6,205

140.3

合計

300,438

99.7

118,384

112.3

 

(2)売上実績

  当連結会計年度の売上実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

売上高(百万円)

前期比(%)

エンジニアリングソリューション

250,776

93.4

システムソリューション

36,661

112.8

合計

287,437

95.5

 (注)1.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

    2.当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載しておりません。

3.主な相手先別の売上高及びその割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 平成26年4月1日

至 平成27年3月31日)

当連結会計年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

売上高

(百万円)

割合(%)

売上高

(百万円)

割合(%)

東日本電信電話株式会社

73,181

24.3

74,729

26.0

株式会社NTTドコモ

58,949

19.6

54,443

18.9

 

3【対処すべき課題】

情報通信分野におきましては、光アクセス等の固定通信関連工事は減少傾向が続くものの、移動通信関連工事は、トラフィック増加に対応するサービス品質向上に向けたネットワークの構築・整備等が引き続き堅調に推移するものと思われます。

また、公共・民間分野におきましては、国土強靭化や地方創生を契機とした自治体等のICT投資や、2020年開催の東京オリンピック・パラリンピック等による首都圏再開発案件での電気設備工事、無電柱化工事の拡大、老朽化した社会インフラの更改等、インフラ投資が引き続き見込まれるとともに、IoT時代に迅速に対応するためのシステム投資も着実に拡がるものと思われます。

このような事業環境下において、当社グループは平成29年3月期をスタートとする新たな中期経営計画を策定いたしました。

「グループ総力を結集し、トータルソリューションで新たな成長ステージへ」という新ビジョンのもと、グループ一体で既存技術とサービスの融合によるエンジニアリング周辺事業などの拡大により、事業ポートフォリオの再構築を進め、システムソリューション事業を第2の柱へ育成するとともに、コア事業である通信インフラ構築関連の生産性・品質向上や徹底した効率化による収益力強化を図り、より強固な経営基盤の確立に努めてまいります。

 

 

4【事業等のリスク】

(1)特定取引先に対する依存度が高いことについて

 当社グループは情報通信ネットワークの構築・施工を主な事業としていることから、通信事業者各社との取引比率が高く、この傾向は今後とも継続することが見込まれます。
  したがって、情報通信業界の市況動向や技術革新等により通信事業者各社の設備投資行動及び設備投資構造が変化した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2)重要な情報の管理について

 当社グループは事業運営上、顧客等が保有する技術データ・顧客データ等の重要な情報を取り扱っております。このため、情報セキュリティマネジメントシステムを構築・運用するとともに、情報セキュリティ最高責任者の配置や情報セキュリティ委員会の設置をする等情報管理に対する重要性を十分認識した体制作りに取り組み、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の認証及びプライバシーマークを取得しております。
 このように情報管理を徹底してはおりますが、不測の事態により当社グループからこれら重要な情報が流出した場合、顧客からの信頼を低下させるほか、損害賠償義務の発生等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3)重大な人身・設備事故等の発生について

 当社グループは、建設工事現場における人身・設備事故を未然に防ぐため、「安全・品質の確保」に対する取り組みには万全を期し、管理を強化することで、事故の発生防止に日々努めております。
 しかしながら、当社グループにおいて不測の事態により重大な人身・設備事故を発生させた場合、顧客からの信頼を低下させるほか、損害賠償義務の発生や受注機会の減少等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4)取引先企業の経営破綻による貸倒債権の発生について

 当社グループは、取引先企業に対する与信管理と債権管理・回収体制を確立させ、工事代金等の速やかな回収により、貸倒債権発生のリスク回避と最小化に努めております。
 しかしながら、今後事業活動を拡大していく上で、不測の事態により取引先企業の経営破綻による貸倒債権が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(5)自然災害等の発生について

 当社グループは、自然災害や新型ウイルスパンデミック等の発生に備え、人的被害の回避を最優先としつつ事業継続を図るため、各種設備の導入、訓練の実施及び規程・マニュアルの整備等により、リスク回避と被害最小化に努めております。

 しかしながら、大規模災害等の発生及びそれに伴うライフラインの停止や燃料・資材・人員の不足による工事の中断・遅延、事業所の建物・資機材への損害等の不測の事態が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

6【研究開発活動】

当社グループは、品質・安全性・生産性の向上や成長事業の拡大などに関する技術開発・支援に取り組んでおり、当連結会計年度におけるセグメント別研究開発費は、エンジニアリングソリューション 1千万円、システムソリューション 2億9千8百万円、各セグメントに配分できない基礎研究費用 5千万円となり、総額は3億5千8百万円であります。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)重要な会計方針及び見積り

  当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められた会計基準に準拠して作成されております。この財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行なっております。
 会計方針の詳細については、連結財務諸表「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

(2)財政状態

  ① 資産、負債及び純資産

 資産は、前連結会計年度末と比較して98億7千9百万円増加し、2,383億1百万円(前期比104.3%)となりました。これは主に完成工事未収入金及び土地の増加によるものであります。

 負債は、前連結会計年度末と比較して54億6百万円増加し、870億6千万円(前期比106.6%)となりました。これは主に短期借入金の増加によるものであります。

 純資産は、前連結会計年度末と比較して44億7千2百万円増加し、1,512億4千1百万円(前期比103.0%)となりました。これは主に利益剰余金の増加によるものであります。

 ② キャッシュ・フロー

 キャッシュ・フローの状況につきましては、「1 業績等の概要」に記載しております。

(3)経営成績

① 完成工事高

 NTTグループ関連工事の完成時期の遅れやマルチキャリア工事の受注減少の影響等により、完成工事高は、前連結会計年度と比べ134億7千4百万円減少し、2,874億3千7百万円(前期比95.5%)となりました。

② 営業利益

 完成工事高は減少したものの、効率化施策効果等により、営業利益は、前連結会計年度と比べ5千3百万円増加し、184億1千2百万円(前期比100.3%)となりました。

③ 経常利益

 為替差損等の影響により、経常利益は、前連結会計年度と比べ7千6百万円減少し、185億1千2百万円(前期比99.6%)となりました。

④ 親会社株主に帰属する当期純利益

 経常利益や特別利益の減少により、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度と比べ7千9百万円減少し、121億8千4百万円(前期比99.3%)となりました。また、1株当たり当期純利益(EPS)は2.07円増加し、125.90円となりました。

(4)経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える可能性がある事象につきましては、「4 事業等のリスク」に記載しております。

(5)経営者の問題認識と今後の方針について

 経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「3 対処すべき課題」に記載しております。