第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、「技術力を培う 豊かさを求める 社会に貢献する」という企業理念のもと、株主をはじめとするすべてのステークホルダーから信頼される誠実で透明性の高い経営の実現を目指しております。
 このような基本方針のもと企業行動規範を制定し、コンプライアンス・プログラムを実施するとともに、内部監査制度の充実、IR活動の強化や適切な社内組織の見直し等により業務の有効性・効率性を確保してまいります。
 また、情報通信ネットワークの構築をはじめとした多彩なエンジニアリング及びソリューションを提供することにより、豊かな生活環境を創り出す企業集団として社会に貢献してまいりたいと考えております。

 

(2)経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

今後の当社を取りまく経営環境につきましては、新型コロナウイルスの流行によりサービス業や製造業などを中心に多くの分野が影響を受け、世界中の経済活動が停滞しておりますが、通信インフラの重要性は相対的にこれまで以上に高まるものと考えられ、日本国内においても5G商用サービスが開始されたことにより、エリア拡大のため無線基地局の設置やバックホールの構築が進むものと想定されるほか、インターネット動画の視聴拡大や在宅勤務の増加などによる通信量の増大に対応するため、情報通信分野における設備投資は堅調に推移し、働き方や生活スタイルの多様化に関連するソリューション分野もますます拡大していくものと予想されます。

 

このような経営環境のなか当社グループは、持続的な企業価値向上を目指し、通信キャリア事業におきましては、引き続き西日本子会社や従来子会社と連携しグループシナジー創出による収益力強化に努め、成長事業に位置付ける都市インフラ事業とシステムソリューション事業におきましては、営業強化を図るとともに、新技術・新領域にチャレンジしていくことで売上拡大と収益力向上に取り組みます。グローバル分野におきましては事業領域の拡大と合わせ人材育成にも注力し成長基盤の確立に取り組みます。

また、業務の「見える化」や「自動化」に注力し、業務プロセスのデジタル化による生産性向上に努めていくほか、各事業の収益力強化とともに機動的な資本政策を実行していくことで資本効率の向上にも努めてまいります。

なお、当社グループは新型コロナウイルスの流行に対して、国内外を問わず従業員やその家族および関係者の生命の安全を第一に考え、ステークホルダーと協同して臨機応変かつ柔軟な事業運営を行うとともに、地域との共生を目指し、さまざまな社会貢献活動を展開するなど、ESGの取り組みを一層強化してまいります。

 

(3)目標とする経営指標

当社グループは、2020年度(2021年3月期)を最終年度とする5ヵ年の中期経営計画を策定し、中期ビジョン「グループ総力を結集し、トータルソリューションで新たな成長ステージへ」のもと、グループ一体で業容拡大と生産性向上、各種効率化による収益力強化に取り組み、持続的な企業価値の向上に努めております。

その目標値は、連結売上高 5,000億円、連結営業利益 330億円、ROE 8.5%、EPS 210円以上としておりましたが、2020年5月に発表した2020年度(2021年3月期)の業績予想において、連結売上高 5,250億円、連結営業利益 320億円と改め、ROE 7.8%、EPS 189円となる見込みであります。

連結売上高については、都市インフラ事業やシステムソリューション事業が順調に拡大しており、通信キャリア事業も堅調なことから当初目標を上回る見込みですが、連結営業利益は高収益工事の減少やM&Aに伴う販売費及び一般管理費の増加等により若干下回る見込みであり、これにより連結当期純利益も減少することからROEとEPSも下回る見込みとなっております。

なお、上記業績予想において、新型コロナウイルスの流行による影響は、現在入手している情報のなかで、その影響が明らかな事項のみ織り込んでおります。現時点でその影響は限定的と想定しておりますが、諸情勢の変化等により、その影響が現時点での想定より大きくなる可能性があります。

 

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、当社グループのリスク管理体制については、リスク管理に関わる基本事項を定めた「リスク管理規程」を制定し、リスクカテゴリーとそれに対応するリスク管理部門を設定するとともに、全社的リスクマネージャーとして事業リスク管理委員会を設置し、当社グループ全体レベルでのリスクの識別及び評価を行う体制を構築・運用しております。

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グル-プが判断したものであります。

 

(1)特定取引先に対する依存度が高いことについて

 

当該リスクが顕在化した場合に経営成績等の状況に与える影響の内容

当社グループは情報通信ネットワークの構築・施工を主な事業としていることから、通信キャリア各社との取引比率が高く、この傾向は今後とも継続することが見込まれます。

したがって、情報通信業界の市況動向や技術革新等により通信キャリア各社の設備投資行動及び設備投資構造が変化した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

当該リスクへの対応策等

通信キャリア事業においては、5G商用サ-ビスが開始されたことにより、エリア拡大のための無線基地局の設置やバックホ-ルの構築が進むほか、新型コロナウイルスの流行を契機に、働き方や生活スタイルの多様化が進み通信インフラの重要性はこれまで以上に高まるものと考えられます。

また、総務省が2030年代に導入が見込まれる「Beyond 5G」の推進戦略を検討開始するなど、今後も益々通信インフラの高度化・技術革新が進展していくものと想定されます。

通信キャリア各社の設備投資は今後も堅調に推移するものと想定されますが、特定取引先へ依存しない筋肉質な経営基盤の確立のため、都市インフラ事業とシステムソリュ-ション事業において新技術・新領域へのチャレンジや新規顧客開拓に尽力し、売上拡大と収益力向上に取り組みます。

 

(2)重要な情報の管理について

 

当該リスクが顕在化した場合に経営成績等の状況に与える影響の内容

当社グループは事業運営上、顧客等が保有する技術データ・顧客データ等の重要な情報を取り扱っておりますが、不測の事態により当社グループからこれら重要な情報が流出した場合、顧客からの信頼を低下させるほか、損害賠償義務の発生等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

当該リスクへの対応策等

情報セキュリティマネジメントシステムを構築・運用するとともに、情報セキュリティ最高責任者の配置や情報セキュリティ委員会の設置をする等情報管理に対する重要性を十分認識した体制作りに取り組むとともに、継続的な改善を図るために情報セキュリティマネジメントシステムの認証及びプライバシーマークを取得しております。

また、近年より多様化・巧妙化するサイバーセキュリティ脅威に対して、適切かつ迅速な対応を実現すべくEXEO-SIRT(EXEO Security Incident Response Team)を2019年7月に設立するとともに、日本シーサート協議会に2019年12月に加盟し、サイバーセキュリティ脅威へのさらなる対応体制強化に努めております。

 

(3)重大な人身・設備事故等の発生について

 

当該リスクが顕在化した場合に経営成績等の状況に与える影響の内容

当社グループにおいて不測の事態により重大な人身・設備事故を発生させた場合、顧客からの信頼を低下させるほか、損害賠償義務の発生や受注機会の減少等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

当該リスクへの対応策等

当社グループは、建設工事現場における人身・設備事故を未然に防ぐため、「安全・品質の確保」に対する取り組みには万全を期し、管理を強化することで、事故の発生防止に日々努めております。

2016年から「安全品質文化の原点回帰」を5ヵ年のスローガンとして掲げ、未来のために「安全・品質」の重要性を一人ひとりが理解し基本動作を実践できる体制づくりに向けて取り組んでおります。

安全に関しては、ヒヤリ・ハットの情報収集によって同じヒューマン・エラーが起きないよう相互に注意喚起を行ったり、日々の安全施工サイクルの履行確認を確実・効率的に行うことが出来るようにシステム化して取り組んでおります。

また、「安全・品質」の継続的な改善を図るために労働安全衛生マネジメントシステム、品質マネジメントシステムの認証を取得しております。

(4)自然災害等の発生について

 

当該リスクが顕在化した場合に経営成績等の状況に与える影響の内容

大規模災害等の発生及びそれに伴うライフラインの停止や燃料・資材・人員の不足による工事の中断・遅延、事業所の建物・資機材への損害等の不測の事態が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

なお、新型コロナウイルスの流行による影響は、現時点で限定的ですが、諸情勢の変化等により、その影響が現時点での想定より大きくなる可能性があります。

 

当該リスクへの対応策等

当社グループは、自然災害や新型ウイルスのパンデミック等の発生に備え、人的被害の回避を最優先としつつ事業継続を図るため、各種設備の導入、訓練の実施及び規程・マニュアルの整備等により、リスク回避と被害最小化に努めております。

また、近年の台風の大型化、集中豪雨の多発などによる自然災害、新型ウイルスなどの新たな脅威の高まりや、今後は東京でのスポーツの一大イベントをはじめとするさまざまな国際イベントが開催されることに伴い、当社グループにとっても事業運営への危機管理対応力の強化が不可欠と捉え、2020年4月に新組織「危機管理室」を設置し、当社提供サービスへの対応をはじめとした各種設備の保守、サイバーテロやパンデミックなどによるレピュテーションリスクへの対応を一層強化しております。

 

(5)海外事業開拓について

 

当該リスクが顕在化した場合に経営成績等の状況に与える影響の内容

当社グループでは、東南アジアを中心とした諸外国で事業を展開しており、政治・経済情勢の急激な変化、為替レートの大きな変動、法的規制の予期せぬ変更、地震・台風など自然災害、感染病・疫病の流行をはじめとした様々なリスクが存在します。

事前に想定できなかった問題の発生やこれらのリスクに対処できないことなどにより、事業展開が困難になった場合には、中期的なグロ-バル分野での事業領域の拡大に支障が出るなど、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

当該リスクへの対応策等

現在、アジア地域ではフィリピン、タイ王国、シンガポールに拠点を有していますが、これら海外子会社のオペレーションマネジメントならびに戦略的マネジメントを円滑に遂行する目的で、2018年11月、アジア地域における事業運営統括会社「EXEO GLOBAL」をシンガポールに設立し、現地の情報収集、分析等を通じた管理・モニタリングを行うとともに本社と海外子会社をつなぐ機能を果たしております。

また、個々の事業投資等にあたっては、想定されるリスクの洗い出し、対応策の検討を行うとともに、知見・経験が十分でない事項については、外部専門家によるレビュ-を行っております。

 

(6)M&A、事業提携について

 

当該リスクが顕在化した場合に経営成績等の状況に与える影響の内容

当社グループは、今後の業容拡大等においてM&A及び事業提携戦略は重要かつ有効であると認識しております。

しかしながら、有効な投資機会を見出せない場合や、当初期待した投資効果を得られない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、M&A等により新規事業領域・新規市場へ参入する場合には、その事業・市場固有のリスクが新たに加わる可能性があります。

なお、のれんが発生する場合はその償却額を超過する収益力が安定的に確保できることを前提としておりますが、買収後の事業環境や競合状況の変化等により買収当初の事業計画遂行に支障が生じ、計画どおりに進まない場合は当該のれんに係る減損損失等の損失が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

当該リスクへの対応策等

当社グループは、中期経営計画(2016~2020年度)の中期ビジョン「グル-プ総力を結集し、ト-タルソリュ-ションで新たな成長ステ-ジへ」のもと、M&Aなどの戦略投資にも積極的に取り組む方針としていることから、当該リスクが顕在化する可能性を常に認識しておく必要があります。

M&A及び事業提携を行う場合においては、今後の市場動向の見通しや当社グループとのシナジ-を検討するとともに、対象企業の財務内容及び法務等について詳細なデューデリジェンスを行うことによって、極力リスクを回避するように努めております。

更に、M&A等実施後においては、M&A等の検討段階での事業計画の進捗状況やシナジ-効果の獲得度合い等、モニタリングの取り組みを強化してまいります。

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりであります。

 ① 経営成績の状況

ア. 完成工事高

 各事業の受注が好調であるほか、2018年10月に経営統合した西日本子会社の通年寄与により、完成工事高は、前連結会計年度と比べ1,008億4千7百万円増加し、5,245億7千4百万円(前年同期比 123.8%)となりました。

イ. 営業利益

 完成工事高は増加したものの、高収益工事の減少及びM&A関連費や新規子会社分の販売費及び一般管理費が増加したことにより、営業利益は、前連結会計年度と比べ 6億1千6百万円減少し、311億円(前年同期比 98.1%)となりました。

ウ. 経常利益

 営業利益の減少により、経常利益は、前連結会計年度と比べ 27億6千1百万円減少し、306億6千9百万円(前年同期比 91.7%)となりました。

エ. 親会社株主に帰属する当期純利益

 経常利益の減少及び買収した子会社の「のれん減損損失」を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度と比べ 246億1千5百万円減少し、156億3百万円(前年同期比 38.8%)となりました。また、自己資本利益率(ROE)は 12.4ポイント減少し、5.9%となり、1株当たり当期純利益(EPS)は 250.5円減少し、139.75円となりました。

 

 なお、当連結会計年度における新型コロナウイルスの流行による影響は、極めて限定的でした。

 また、当連結会計年度におけるセグメント別の概況は、次のとおりであります。

(単位:百万円)

報告セグメント

協和エクシオ

グループ

(注)2

シーキューブ

グループ

(注)3

西部電気工業

グループ

(注)3

日本電通

グループ

(注)3

金額

前年

同期比

金額

前年

同期比

金額

前年

同期比

金額

前年

同期比

受注高

(注)1

382,473

109.8

74,657

221.0%

59,788

239.0%

39,401

228.2%

完成工事高

(注)1

357,308

105.9

72,527

208.8%

56,572

171.2%

38,166

206.1%

セグメント利益

23,275

84.8

4,645

176.8%

2,100

170.1%

1,334

255.6%

(注)1.「受注高」「完成工事高」については外部顧客への取引高を記載しております。

2.報告セグメントにおける協和エクシオグループには、シーキューブグループ、西部電気工業グループ、日本電通グループは含んでおりません。

3.前第3四半期連結会計期間において、当社を株式交換完全親会社としシーキューブ株式会社、西部電気工業株式会社及び日本電通株式会社を株式交換完全子会社とする各株式交換を実施したことにより、各社及び各社の連結子会社を前第3四半期連結会計期間より連結の範囲に含めております。

 

 ② 財政状態の状況

資産は、前連結会計年度末と比較して 284億2千2百万円増加し、 4,449億5百万円(前年同期比 106.8%)となりました。これは主に受取手形・完成工事未収入金の増加によるものであります。

負債は、前連結会計年度末と比較して 261億2千3百万円増加し、1,747億9千5百万円(前年同期比 117.6%)となりました。これは主に社債の増加によるものであります。

純資産は、前連結会計年度末と比較して 22億9千8百万円増加し、2,701億9百万円(前年同期比 100.9%)となりました。これは主に利益剰余金の増加によるものであります。

 ③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ 45億4千3百万円増加し、460億1千2百万円となりました。

各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

ア. 営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動の結果獲得した資金は 172億9千9百万円(前期は 127億7千万円の獲得)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益及び法人税等の支払によるものであります。

イ. 投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動の結果使用した資金は 170億8千5百万円(前期は 176億9百万円の使用)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出によるものであります。

ウ. 財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動の結果獲得した資金は 42億2千7百万円(前期は 49億2千4百万円の使用)となりました。これは主に社債の発行及び自己株式の取得による支出、配当金の支払によるものであります。

 

 ④ 生産、受注及び販売の実績

 ア. 受注実績

 当連結会計年度のセグメントごとの受注実績については、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 なお、当連結会計年度の受注実績を事業区分ごとに示すと次のとおりであります。

事業区分の名称

受注高

(百万円)

前年同期比

(%)

次期繰越工事高

(百万円)

前年同期比

(%)

エンジニアリングソリューション

431,816

122.6

209,378

115.5

システムソリューション

124,504

172.8

21,568

141.2

合計

556,321

131.1

230,946

117.5

 

 イ. 売上実績

 当連結会計年度のセグメントごとの売上実績については、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 なお、当連結会計年度の売上実績を事業区分ごとに示すと次のとおりであります。

事業区分の名称

売上高(百万円)

前期比(%)

エンジニアリングソリューション

403,851

115.3

システムソリューション

120,722

164.4

合計

524,574

123.8

(注)1.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

2.当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産実績」は記載しておりません。

3.主な相手先別の売上高及びその割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

売上高

(百万円)

割合(%)

売上高

(百万円)

割合(%)

東日本電信電話株式会社

79,118

18.7

81,731

15.6

西日本電信電話株式会社

54,431

12.8

79,612

15.2

株式会社NTTドコモ

60,346

14.2

59,037

11.3

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 ① 当連結会計年度の財政状況及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度(2019年4月1日~2020年3月31日)におけるわが国経済は、政府や日銀による経済・金融政策を背景に企業収益や雇用・所得環境の改善が続いておりましたが、消費税増税に伴う景気への影響に加え、年度末には新型コロナウイルスの流行により世界経済は大幅な減速局面に突入し、感染拡大の収束と経済回復の時期を探る不透明な状況になっております。

情報通信分野におきましては、各通信キャリアで端末代と通信代を分離する新料金プランへの見直しが行われたほか、5Gの商用サービスが始まり、基地局整備の前倒し計画が発表されました。今後はエリア拡大とともに5Gを活用する新たなサービスの出現が期待されます。

また、IoTやAIなどの最新テクノロジーも広がり、様々な情報がデータ化されデータの流通・利活用などデジタルトランスフォーメーションの取り組みが急速に進行しており、消費者にはキャッシュレス決済が普及し始めました。

一方、建設分野におきましては、2020年夏に開催予定であった東京オリンピック・パラリンピックに向けてインフラ整備や都市開発などの工事がピークを迎え、建設投資は高水準で推移していたものの、新型コロナウイルスの流行により開催が延期されることになったほか、感染防止のため都市部を中心に工事中断の動きが出始めました。

このような環境下において、当社グループは中期経営計画(2016~2020年度)の中期ビジョン「グループ総力を結集し、トータルソリューションで新たな成長ステージへ」のもと、コア事業である通信キャリア事業は、固定通信・モバイル通信工事ともに西日本子会社や従来子会社とのグループフォーメーションの再構築による収益力強化に努め、成長事業に位置付ける都市インフラ事業とシステムソリューション事業は、大型受注獲得のための積極的な営業展開やM&AによるSIビジネスの基盤強化およびAPAC地域におけるグローバルビジネスの拡大に取り組みました。

また、2018年10月1日に経営統合を行った西日本子会社とは事業セグメント毎に営業連携・施工連携を進め、新規受注の獲得や施工稼働の相互支援を実施するなど、グループシナジーの創出に尽力しました。

なお、当社は、経済産業省と東京証券取引所が共同で、女性活躍推進に優れた上場企業を選定する令和元年度「なでしこ銘柄」に選定されました。2016年より組織活性化を目指した経営戦略として本格的にダイバーシティ推進に取り組んでおり、今後も女性活躍にとどまらず、ジェンダー、信条、国籍、障がいの有無、性的指向等を問わず多様な価値観を認め合い、会社の持続的な成長のためにダイバーシティ&インクルージョンを推進してまいります。

 

 なお、当連結会計年度におけるセグメント別の状況は、次のとおりであります。

(協和エクシオグループ)

通信キャリア事業におきましては、光回線工事や屋内ネットワーク工事が堅調に推移したほか、4G無線基地局の増強に加え主要都市部においてラグビーW杯試合会場でのプレサービス時のモバイル工事など、5G関連工事の受注が始まりました。また、台風などの自然災害によって被災した地域の通信設備の復旧などにも尽力しました。都市インフラ事業におきましては、太陽光発電施設やデータセンターの大型工事などを受注したほか、全国の空港や高速道路の電気通信工事に取り組みました。システムソリューション事業におきましては、システム保守・運用の大型案件やグローバル分野で国際空港の通信設備工事を受注したほか、大規模競技施設のインタラクトスポーツ照明システムの構築を手掛けるなど、IoTサービス等の本格普及に向けて新しいソリューション領域の拡大に注力しました。

なお、2019年11月に開催された「天皇陛下御即位記念 第57回技能五輪全国大会」の情報ネットワーク施工職種において、当社社員が金メダルを獲得しました。今後も優秀な技術者の育成を図り、高い施工技術で社会に貢献してまいります。

 

(シーキューブグループ)

通信キャリア事業におきましては、アクセス分野において工事体制の見直しなど生産性向上施策を推進するとともに、保守業務の拡大に取り組みました。また、ネットワークの電力工事や4G無線基地局工事も好調に推移したほか、5G関連工事が始まり、伝送路の構築工事やラグビーW杯試合会場でのプレサービス時の設備構築工事などを受注しました。都市インフラ事業におきましては、電線共同溝工事や太陽光電力管路工事の大型案件を受注したほか、お取引先の機器更改に伴う工場の電源設備工事を円滑に進めました。システムソリューション事業におきましては、企業や公共機関におけるWindows10への切り替えやPC等の機器導入のほか、消費税増税に伴うシステム改修等の案件に取り組みました。

(西部電気工業グループ)

通信キャリア事業におきましては、主要顧客から高度無線環境整備のための伝送路工事や電磁誘導対策工事を受注したほか、光回線工事や設備保守業務の拡大に取り組みました。都市インフラ事業におきましては、新築ビルの電気・機械設備工事に取り組んだほか、大型の太陽光発電設備工事を受注しました。システムソリューション事業におきましては、高度道路交通システム工事や学校教育関連の通信ネットワーク整備工事などに取り組みました。

また、社員の健康増進に向けた各種取り組みを強化した結果、経済産業省と日本健康会議が共同で、社員の健康管理を経営的な視点で考え戦略的に取り組んでいる法人を選定する「健康経営優良法人」の認定を取得したほか、旧熊本本社跡地で建設していた複合オフィスビル「SDK熊本ビル」が竣工し昨年9月より営業を開始しました。

 

(日本電通グループ)

システムソリューション事業におきましては、自社開発のAI商品を中心とした新規ソリューションビジネスとデジタルマーケティング活動が連動することにより、新規顧客の開拓とグループ協業が進展し、基幹系システム開発、サーバー等のリプレイス、教育系パソコンの導入等のビジネスが堅調に推移しました。都市インフラ事業におきましては、高速道路や国道の通信設備工事、サービスエリアのPOSシステム等の販売機器導入の大型案件を受注し、エンジニアリング技術を活かしたインフラ事業に取り組みました。通信キャリア事業におきましては、NCC分野の4G無線基地局工事が順調に推移しました。

なお、「受注拡大」、「グループ協業の進展」、「人材育成」、「ITの活用」の4項目を重点施策として取り組み、企業基盤の拡大と収益力の強化に努めました。

 

 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

ア.キャッシュ・フローの状況の分析

当社グループのキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しております

イ.資金需要の動向

当社グループの資金需要は、経常的な運転資金のほか、生産性向上を目的とした不動産等への設備投資資金、事業拡大を目的としたM&A等の投資資金であります。

また、株主還元については、積極的かつ安定的な配当を継続していくことを基本方針としており、DOE(連結自己資本配当率)3.5%を目途に配当を実施するとともに、自社株式の取得についても機動的に実施いたします。

ウ.資金調達の方法

当社グループの資金調達の源泉は主に営業活動によって獲得したキャッシュでありますが、不足が生じた場合は、健全な財務体質の維持を考慮しつつ、負債を中心とした資金調達を実施しております。一時的な資金不足に対しては、金融機関からの短期借入により調達し、投資等の長期的な資金需要が生じた場合は、普通社債発行を主に検討し、対応しております。

また、国内子会社の資金は当社において一元管理しており、当社グループ内の資金効率化、および流動化を図っております。

 

 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められた会計基準に準拠して作成されております。この財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行なっております。

当社グループでは、見積りの変化が親会社株主に帰属する当期純利益に重要な影響を及ぼす可能性があるものとして、下記に関する見積りを、特に重要な会計上の見積りに該当すると考えています。

なお、新型コロナウイルスの流行による影響は、現時点で入手している情報より、その影響は限定的であると仮定して重要な会計上の見積りを行っています。

ア. のれんの評価

のれんの帳簿価額については、その償却期間で回収できなくなる可能性を示す兆候がある場合には、のれんの評価を実施しております。資産グループは、のれんの残高のある会社及び会社グループを単位とし、回収可能価額は、使用価値に基づき算定しております。使用価値は、経営者により承認された事業計画等を基礎とした将来キャッシュ・フローの見積額を、加重平均資本コストをもとに算定した割引率で現在価値に割引いて算定しております。

評価の結果、のれんの帳簿価額が回収可能価額を超える場合には、その超過額を減損損失として認識しております。

当該算定に当たっては、当社グループの経営者による市場環境を考慮した判断及び仮定を前提とした事業計画等に基づいており、前提とした状況が変化すれば、回収可能価額の算定結果が異なる結果となるため、当社グループでは当該見積りは重要なものであると判断しております。

イ. 工事損失引当金

工事損失引当金は、受注工事の損失に備えるため、当連結会計年度末における手持工事のうち、損失発生の可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積ることができる工事について、翌連結会計年度以降の損失見込額を計上しております。しかしながら、実際の結果は、見積り特有の不確実性が伴うことから、これら見積りと異なる可能性があります。

損失の見積りについては、受注時の概括的な見積額の算定時、受注後の施工方法、工程の具体的検討、原価の策定等の実行予算作成時、施工中の施工方法の見直し等、事業部門で個別工事の管理が適宜なされており、引当額については少なくとも四半期ごとに見直しを行っております。

ウ. 退職給付債務及び退職給付費用

退職給付債務及び退職給付費用は、主に数理計算で設定される退職給付債務の割引率、年金資産の期待運用収益率等に基づいて計算しております。割引率については、一定の格付けを有し安全性の高い長期債券をもとに算出しております。また、期待運用収益率については、現在及び予想される年金資産の配分と、年金資産を構成する多様な資産からの現在及び将来期待される長期の収益率を考慮して算出しております。

 

(3)経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える可能性がある事象につきましては、「2 事業等のリスク」に記載しております。

 

(4)経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

当社グループは、品質・安全性・生産性の向上や成長事業の拡大などに関する技術開発・支援に取り組んでおり、当連結会計年度におけるセグメント別研究開発費は、協和エクシオグループ 83百万円、シーキューブグループ 122百万円、西部電気工業グループ25百万円、日本電通グループ35百万円となり、総額は266百万円であります。