(注)「第2 事業の状況」における各事項の金額については、消費税等抜きの金額で表示している。
文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものである。
当社グループを取り巻く経営環境は、長期的には国家財政の制約による公共建設投資の圧縮懸念や、社会資本の老朽化進展により建設投資が新設から更新投資へ移行する等の市場の変化に加え、少子高齢化が進み労働人口が減少することでの人材獲得競争の激化、情報テクノロジーの飛躍的進展、ESGを重視する企業への評価の強まり等の社会情勢や投資環境の変化が想定され、これらの影響を考慮した長期的視点に立った経営が必要となる。
また、中期的には担い手確保のため働き方改革による長時間労働の是正や、これに対応した生産性の向上が喫緊の課題となる。
以上を踏まえ、当社は、本年5月11日に「中期経営計画(2018~2020年度)」を発表した。本計画では、長期的な視点で社会情勢・事業環境の変化を見据え、その期間を持続的な成長に向けた基盤整備期間として位置付け、上記の課題に取り組み更なる企業価値の向上を目指していく。
<長期目標>
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2017年度 |
2027年度 |
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売上高 |
(既存分野) |
628億円 |
800億円 |
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(新規分野) |
― |
+α |
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営業利益率 |
5.9% |
5%以上 |
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<中期経営計画(2018~2020年度)の概要>
○基本方針
①有形無形の経営資源への戦略的投資及び収益基盤の多様化に取り組む
②ESGを基本としたCSR経営により、ステークホルダーから一層信頼される会社づくりを目指す
③資本コストを意識した経営管理体制を構築する
○経営目標(連結ベース)
①業績目標 3ヵ年での営業利益 100億円以上
②資本効率目標 自己資本当期純利益率(ROE) 8%以上
③株主還元目標 総還元性向 50%程度
○持続的成長に向けた投資
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新中計3ヵ年の広義の投資 総額100億円を想定 |
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設備 |
研究開発 |
人的資本 |
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中長期の視点から主に安定した収益基盤の多様化を目的とした投資 |
新規分野を重点と位置づけ、戦略的技術開発に取り組む |
新たな付加価値を生み出すことのできる人材の確保・育成 |
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・新規分野への展開 ・既存分野の工法・製品の 付加価値化 ・現保有設備の老朽化対策 |
・新規分野開拓に向けた開発 ・既存分野の付加価値技術の深耕 ・生産性向上技術の開発 |
・人材の確保 ・人材の育成 ・人材の活用 |
○株主還元
剰余金の還元については、基本方針を踏まえつつ、総還元性向50%程度を目標と定め、配当と自己株式取得のバランスについては、状況の応じて機動的に対処していく。
当社グループの事業に係るリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主な事項は、以下のようなものがある。
当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努めていく。
なお、文中における将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものである。
建設投資の減少、受注価格競争の激化があった場合には、業績に影響を及ぼす可能性がある。
建設資材等の価格が急激に高騰し、または、これらの調達が困難になった際、調達価格や工程への影響による工事原価の上昇を請負代金に反映することが困難な場合には、業績に影響を及ぼす可能性がある。
取引先の与信管理については、信用情報の収集、受注前の審査の徹底、債権保証の付保等によりリスク回避に努めているが、取引先が信用不安に陥った場合は、業績に影響を及ぼす可能性がある。
年金資産の時価の下落及び期待運用利回り・割引率等の退職給付債務算定に用いる前提に大きな変動があった場合には、業績に影響を及ぼす可能性がある。
為替相場の急激な変動や海外工事を行っている国の政治、経済、法制度等に著しい変化が生じた場合には、業績に影響を及ぼす可能性がある。
安全衛生管理には万全を期しているが、重大な災害、事故等が発生した場合には、業績に影響を及ぼす可能性がある。
また、大規模な自然災害の発生に備え、事業継続計画を策定し、非常時に事業の早期復旧を可能とする体制を整備しているが、大規模な自然災害により施工中の工事目的物が被害にあった場合には、その修復や、作業中断による工期の延長等により相応の費用が発生し、業績に影響を及ぼす可能性がある。
品質管理には万全を期しているが、工事目的物の瑕疵担保責任により多額の損害賠償請求等を受けた場合には、業績に影響を及ぼす可能性がある。
当社グループの事業は、建設業法、労働安全衛生法等多数の法的規制を受けているが、これらの法律の改廃、法的規則の新設、適用基準の変更等がなされた場合、業績に影響を及ぼす可能性がある。
また、コンプライアンス体制の充実を図っているが、万一これらの法令に違反する事態が発生した場合は、業績に影響を及ぼす可能性がある。
係争中の案件や訴訟等において、当社グループの主張や予測と異なる結果となった場合は、業績に影響を及ぼす可能性がある。
文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものである。
なお、中期経営計画(2015~2017年度)の経営目標及び成果は、以下のとおりであり、公共事業の発注スタンスの変化に加え、選別受注や技術力の優位性から採算性が改善して目標の全てを上回ることとなった。
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計 画 |
実 績 |
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2015年度 |
2016年度 |
2017年度 |
累計 |
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業 績 |
3ヵ年での連結営業利益 |
90億円以上 |
31.2億円 |
38.1億円 |
37.1億円 |
106.4億円 |
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資本効率 |
自己資本当期純利益率(ROE) |
8%以上 |
9.7% |
11.6% |
10.2% |
― |
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株主還元 |
連結配当性向 |
25%以上 |
32.8% |
38.4% |
33.5% |
― |
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成 果 |
・業績は、3ヵ年での営業利益について計画比で18%上回り、計画を達成 |
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・資本効率は、収益性の向上に伴い全期間にわたり計画を達成 |
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・配当は、財務基盤の充実を図りつつ、目標を上回る還元を実現 |
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(単位:百万円) |
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年 度 別 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
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自 平成28年4月1日 |
自 平成29年4月1日 |
比 較 増 減 |
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至 平成29年3月31日 |
至 平成30年3月31日 |
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期首手持ち 受注高 |
土木事業 |
33,203 |
30,774 |
△2,429 |
|
地盤改良事業 |
12,104 |
18,082 |
5,979 |
|
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ブロック事業 |
683 |
575 |
△108 |
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全社計 |
45,917 |
49,419 |
3,501 |
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受注高 |
土木事業 |
34,238 |
37,588 |
3,349 |
|
地盤改良事業 |
31,976 |
30,804 |
△1,172 |
|
|
ブロック事業 |
4,362 |
2,793 |
△1,570 |
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|
全社計 |
70,612 |
71,162 |
550 |
|
|
売上高 |
土木事業 |
36,667 |
27,090 |
△9,578 |
|
地盤改良事業 |
25,998 |
32,576 |
6,578 |
|
|
ブロック事業 |
4,470 |
3,144 |
△1,326 |
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|
全社計 |
67,157 |
62,805 |
△4,352 |
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営業利益又は営業損失(△) |
土木事業 |
3,030 |
1,540 |
△1,491 |
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地盤改良事業 |
1,934 |
3,243 |
1,309 |
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ブロック事業 |
△149 |
△174 |
△25 |
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全社計 |
3,809 |
3,709 |
△100 |
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次期繰越 受注高 |
土木事業 |
30,774 |
41,272 |
10,498 |
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地盤改良事業 |
18,082 |
16,311 |
△1,771 |
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|
ブロック事業 |
575 |
223 |
△351 |
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全社計 |
49,372 |
57,776 |
8,404 |
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※1 全社計には3セグメント以外のその他事業及び連結調整が含まれるため、3セグメントの合算値と全社計は一致していない。
2 当連結会計年度前に外貨建てで受注した海外工事で、当結累計会計年度中の為替変動により、外貨額を円貨に換算した金額が増減した場合については、期首手持ち受注高に反映している。
3 受注高、売上高については、セグメント間の内部売上高又は振替高を含めて記載している。
4 売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は次のとおりである。
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相 手 先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
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金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
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国土交通省 |
13,217 |
19.7 |
12,234 |
19.5 |
|
環 境 省 |
7,680 |
11.4 |
― |
― |
現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べ105億7百万円増加し、203億76百万円となった。主に、期末日が金融機関休日による影響等での仕入債務の増や工事受注の増加に伴う未成工事受入金の増等によるものである。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の計上や売上債権の回収が進んだことに加え、負債の増加等により126億82百万円の収入超過(前連結会計年度は34億81百万円の収入超過)となった。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得等により9億20百万円の支出超過(前連結会計年度は5億73百万円の支出超過)となった。
財務活動によるキャッシュ・フローは、リース債務の返済及び配当金の支払等により、12億52百万円の支出超過(前連結会計年度は9億46百万円の支出超過)となった。
b.資金の源泉
主に営業活動によるキャッシュ・フローにより、必要とする資金を調達している。
特記事項なし。
当社グループは、各事業における独自の技術とノウハウを有する分野を中心に、研究開発活動を行っている。
なお、当社グループの研究開発費は特定の事業に区分することが困難なため、土木事業、地盤改良事業及びブロック事業ごとの研究開発費を記載していない。当連結会計年度における研究開発費の総額は4億47百万円であり、活動の主な成果は次のとおりである。
当分野では、環境修復技術及び陸海の土木施工技術について研究開発活動をおこなっている。
①環境修復技術
シアン汚染土壌浄化工法、フッ素含有土壌浄化工法に加えて、当社が特許を保有する土壌還元法を利用したVOCs(揮発性有機化合物)汚染土壌の浄化工法の改良を継続的に行っている。また、大規模な市場と見ている自然由来汚染土処理について、対策工法の開発に着手している。
②土木施工技術
国土交通省が推進する「CIM」に対応するため、陸上分野においては3次元モデルに施工管理情報を一元化することで情報共有することを目的とする「CIM」をトンネル工事2件、高速道路工事1件において導入し有効性の検証を実施した。
港湾分野においては、ドローンやナローマルチビームを使用して水上や水中の消波工全体形状を3次元で捉える試みを行った。施工時には取得した3次元データをもとに消波ブロック据付システムを使用したICT施工を行うことで施工の効率化を図った。今後は高感度水中ソナーを利用するなど、水中部の誘導据付けが可能となるシステム開発を進めていく。
当分野では、砂杭系及び固化処理系等の地盤改良工法について、付加価値向上やコスト削減及び環境対策等の多様な視点から研究開発活動を行っている。ここでは、当年度のトピックスを示す。
①多目的試験フィールドの整備
研究開発において実物大のスケールで実験を行う場合、通常は土地を借りて実施するが、適切な地盤条件や施工条件の土地を確保することが開発のネックの一つとなっていた。そこで、総合技術研究所内に深さ8mの地盤を造成できる多目的試験フィールドを整備した。これにより、適切な地盤条件での実験や改良体深部からの掘り起こしが可能となり、開発のスピードアップを目指して、鋭意実験を行っている。
②砂杭系工法
「SAVEコンポーザーHA」を前年度にNETIS登録し、硬質地盤への適用拡大と支持層への着底管理の確実性を向上させた。将来的にAIを利用した施工システムを目指して、現場での各種データ収集を行っている。また、盛り上り土の有効活用を図るトータルリソイルシステムの現場試験を継続し、データを蓄積することにより、ほぼ実用化の段階に入った。
③固化処理系工法
前年度NETIS登録した「CI-CMC-HA工法」を多くの現場で適用している。さらに貫入能力を向上させた新型オーガーモーターを開発し、硬質地盤への適用拡大を図っている。
高圧噴射(ジェット)系の固化処理工法である「FTJ工法」においては、撹拌翼の性能向上を図り、砂質地盤において直径3m以上の固化改良体の造成を可能としている。
④ICTや生産性向上に関わる技術
施工状況を随時アニメーションで確認できる「リアルタイム施工管理システム」と施工情報を3次元で表示できる「3次元モデル化システム」とを組み合わせた「Visios-3D」を開発し、前年度に「CI-CMC工法」の施工機に搭載した。当年度は14件の現場に適用され、「施工状況の見える化」を進めている。
また、所定深度にセンサーを取り付けたプラスチックボードを地盤中に打設することで、「FTJ工法」の噴射距離を計測する技術を開発し、「見える化」とともに品質の向上を図っている。
さらに、AR技術を利用して、GNSS等を装備したログローダーを用いて、敷鉄板を目印なしに所定位置に設置する技術を開発し、生産性(能率)及び安全性の向上を進めている。
当分野では、東日本大震災を踏まえた「津波に対する防災・減災」及び、大型港湾等で課題となっている「港内長周期波対策」に係るブロックの適用技術の開発を継続することに加えて、全国的に既設ブロックの老朽化が進んでいることから、防波堤・護岸に使用されているブロックの維持補修に関わる手法の開発に着手した。
①津波に対する防災・減災
津波の越流があっても倒壊しにくい「粘り強い構造」の防波堤に関する当社の研究成果は、国土交通省や水産庁の設計指針に織り込まれており、当社製品が全国の港湾、漁港で採用されている。当年度は、従来明確にされていなかった津波の流れに対する設計手法の確立に向け、(一社)漁港漁場新技術研究会の取り組みの一環として実験方法の検討を行った。今後この方法を当社製品に適用し、設計に用いるブロックの特性値を明確にすることにより、津波が越流しないが流れが厳しい場所等での当社ブロックの採用拡大が期待される。
②港内長周期波対策
港湾内の船舶の航行・係留に支障を及ぼす長周期波への対策として考案した、当社ブロックを用いた「没水型長周期波対策工」が前々年度以降継続して採用されている。当年度には、潮位変化に対する設計手法を提案した。
③ブロック維持管理手法
既設の防波堤や護岸のブロックについては、長年の風浪で沈下や飛散が起こり本来の消波機能を十分果たせない箇所が増加していることから、嵩上げ等の維持補修を合理的に実施する技術についての研究を開始した。当年度には、ドローンを利用した消波工の沈下形状の把握並びに、3Dプリンターを活用した嵩上数量の自動計算、嵩上げブロックの据付検討を行った。今後のブロックを用いた構造物の長寿命化事業において当社ブロックの採用拡大が期待される。