(注)「第2 事業の状況」における各事項の金額については、消費税等抜きの金額で表示している。
文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものである。
(1)経営基本方針
当社グループは国土づくりを通じて社会に貢献し続けるという使命をステークホルダーの皆様に広くご理解いただき、それに向けた価値観、目標を当社グループ内で共有するため、以下の通り経営理念を定めている。
<経営理念>
Mission (使 命): 豊かで安心な国土づくりに貢献します
Value (価値観): あらゆる変化を進化に換えて未来に向かって歩み続けます
Vision (目 標): 世代を超えて生き続ける独自の技術を提供します
また、この経営理念を実現すべく、「土木、地盤改良、ブロックの3事業が協調し、海に陸に、持続的な成長を目指します」を経営方針としている。
(2)経営環境及び対処すべき課題
当社グループを取り巻く経営環境は、短期的には引き続き新型コロナウイルス感染症による社会・経済への影響が懸念され、民間建設投資の回復は不透明ながら、公共投資は、「防災・減災、国土強靭化のための5ヵ年加速化対策」により、5年で約15兆円の予算が実施されるなど、引き続き堅調に推移していくものと予想される。
また、中長期的には、持続可能な社会の実現、情報技術の発展、自然災害の多発化・激甚化、インフラの老朽化、少子高齢化による担い手不足などへ対処していくことが課題となる。
このような中、当社グループの新中期経営計画は、前中期経営計画において掲げた「2027年度には収益力を維持したまま売上高800億円以上、営業利益5%以上」の長期目標に向かっての第二段階にあたる「成長・拡大」の期間と位置付けている。
<長期目標>
◆前期中期経営計画の基盤整備に引き続き、更なる経営資源への投資、収益基盤の多様化に取り組む。

<中期経営計画(2021~2023年度)の概要と経営目標>
○基本方針
◆事業ポートフォリオの方向性:建設分野の幅広い領域を既存3事業でカバーすることによる強みを維持
既存3事業のそれぞれが長期的に企業価値を生み出すための成長戦略を
促進する
◆成長の方向性:将来の追加収益に資する戦略投資、事業領域の拡大(周辺分野、新規分野)
ステークホルダーとともに成長(社会貢献、人材活用、環境配慮)
◆持続的な成長に必要なリソースの投入:経営資源の適正な配分、外部経営資源の活用(M&A含む)
◆「資本コストを意識した経営」を実践する期間と位置付け、展開を図る
○セグメント別の事業方針と戦略
以上のように、長期目標及び新中期経営計画を実現するため、様々な課題への対応と持続的成長に向けて掲げた方針に取り組み、投資と株主還元を両立させながら、更なる企業価値の向上を目指していく。
当社グループの事業に係るリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主な事項は、以下のようなものがある。
これらはリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努めていく。
なお、文中における将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものである。
①建設市場の変動
当社グループは社会資本の整備・維持に係る事業を主なターゲットとしており、政府建設投資の規模やその重点投資分野の変動により、業績に影響を及ぼす可能性がある。
このため、常に将来の需要動向をリサーチし、必要に応じて人材・設備などの経営資源の適正配分を行うとともに、得意とする「防災・減災」分野に加えて「維持補修」分野など今後有望視される市場への参入など、事業領域の拡大にも努めている。
②少子高齢化の進展
少子高齢化が想定を超え進行しており、建設業界への就労人口の減少が一層深刻化していくことが予想されるなか、十分な担い手を確保できない場合には事業活動に支障をきたし、業績に影響を及ぼす可能性がある。
このため、働き方改革をはじめ、多様な働き方に対応する制度などの充実を進め、働きやすい、働きがいのある魅力ある会社を目指し、人材の確保と社員教育の充実を図っている。
③建設資材・労務費等の価格変動・調達困難
建設資材価格・労務費等の急激な高騰により、工事原価の上昇を招く可能性があるが、これを請負代金に反映することが困難な場合には、業績に影響を及ぼす可能性がある。
このため、購買部門が工事の受注検討や施工計画の段階から参画し、適正な調達価格で安定した調達を図ることができるよう努めている。
④取引先の信用不安
当社グループは国及び地方自治体等から発注される公共事業を主なターゲットとしているが、受注形態(元請・下請区分)により契約先の顧客は50%強が民間建設会社となる。
従って、これらの会社が信用不安に陥り、債権の回収遅延や貸倒れが発生した場合には、業績に影響を及ぼす可能性がある。また、顧客のみならず協力業者や共同施工会社が信用不安に陥った場合にも、施工進捗の遅れや共同企業体メンバーからの出資債権の未回収、債務の負担から、業績に影響を及ぼす可能性がある。
このため、取引先の与信管理については、日常的には信用情報を収集し、受注にあたっては信用調査機関からの調査書を基に社内審査を徹底するとともに、ケースに応じて債権に保証を付保する等の手段を講じ、信用リスクの回避に努めている。
⑤製品の欠陥
品質管理には万全を期しているが、工事目的及び商品について契約不適合責任などにより多額の損害賠償請求等を受けた場合には、業績に影響を及ぼす可能性がある。
このため、工法別作業マニュアルに基づき、工事現場での品質管理を徹底している。また、内部監査部門が適宜監査を実施することにより契約不適合発生の防止に努めている。
①資金調達及び為替変動
金融危機が発生したり、急激な市場変動により業績が悪化した場合には、資金の調達に支障が出たり、調達コストが上昇し、業績に影響を及ぼす可能性がある。
このため、複数年度にわたるコミットメントライン契約を結ぶことなどにより、上記リスクが発生した場合でも、適正な手元流動性を確保し、財政状況の健全化を維持できるよう努めている。
また、海外取引から発生する為替変動リスクに対しては必要に応じて為替予約等によりリスクの低減に努めている。
②海外事業
当社グループは、主に東南アジア及び米国で事業を展開しているが、現地の政治・経済情勢、法規制に著しい変化が生じた場合や戦争・紛争・テロが発生した場合には、業績に影響を及ぼす可能性がある。
このため、危険度が高いとされている国、地域の工事の受注については、予め、リスクの評価・分析を行い、受注を決定している。
また、受注後においては、海外危機管理マニュアルに基づき、現地での医療リスクの回避やテロ・災害時の緊急避難体制について危機管理会社に委託したり、海外安否確認システムを導入するなどにより、有事に備えた体制を構築し、社員ほか現地での従事者の安全を図っている。
①事故及び災害
一般的に建設現場は、特定の期間に多様な会社の人材や機械が混在しながら作業するという特性から、他の産業に比べて事故及び災害の発生率が高いというリスクがあり、重大な事故及び災害が発生した場合には、工事の中断、発注官庁からの指名停止等の行政処分に加えて社会的な評価にも及び、業績に影響を及ぼす可能性がある。
このため、安全品質環境本部が中心となり、安全週間、各拠点の安全大会、本社幹部パトロールを設け、また、定期的な安全パトロールを行うなどにより、安全教育・啓蒙活動を継続的に実施し、災害発生の防止に努めている。
②自然災害
大規模な自然災害が発生し、施工中の工事目的物が被害を被りその修復や作業中断による工期の延長等により相応の費用が発生した場合や、社会インフラや会社施設に甚大な被害が及び長期にわたり事業が中断した場合には、業績に影響を及ぼす可能性がある。
このため、後者に対しては事業継続計画を策定し、国からの災害時の基礎的事業継続力評価の認定を受けるとともに、非常時に事業の早期復旧を可能とする体制を整備し、定期的な訓練、備蓄や諸施設の耐震化、社内情報の外部データセンターへの保管などを行い、有事への備えを進めている。
③感染症等
感染症(パンデミック)が発生し事業活動に制限を受ける事態となった場合には、受注の減少、工事進捗の遅れ、コスト上昇などにより業績に影響を及ぼす可能性がある。
当社グループでは、新型コロナウイルス感染症に対しては、工事現場を除くオフィス勤務者については、在宅勤務の推進等により社員の安全を確保しつつ事業を継続する体制としている。
また、工事現場においては、協力会社を含めた社員の安全を確保しつつ施工を継続する体制としているが、施工中の現場内で感染症が発生した場合には現場が長期にわたり中断するなどの影響を受けることから、感染症対策の徹底を図った施工体制としている。
①法的規制
当社グループの事業は、建設業法、労働安全衛生法等多数の法的規制を受けているが、これらの法律の改廃、法的規制の新設、適用基準の変更等がなされた場合、業績に影響を及ぼす可能性がある。
このため、関係部署による法改正等の動向をモニタリングし、事前に法改正等に向けた対応方針の策定と当社グループとサプライチェーンへの具体策の展開に向けた体制を整備している。
また、法令等の改廃に伴う各種要領やマニュアルの整備と定期的な見直しを行い、説明会等を通じ当社グループ及び協力会社への浸透を図っている。万一これらの法令等に違反する事態が発生した場合は、業績に影響を及ぼす可能性がある。
このため、法令遵守と企業倫理の追求を経営の最重要課題と位置づけ、コンプライアンス体制の充実を図るとともに、関係法令の遵守を目的とした研修会を継続的に実施し、コンプライアンスマニュアルを作成、配布するなどにより教育、啓蒙活動を拡充している。また、外部窓口を有した実行性のある企業倫理ヘルプラインを設置し、法令遵守と企業倫理に関する通報、相談を適切に受付けることにより、法令等違反行為の早期発見と是正を図ることができる体制を整備している。
②工事収益の認識
工事収益については主に工事の進行に応じて収益を計上しており、その適用にあたっては工事収益総額、工事原価総額及び工事進捗度を合理的に見積もる必要がある。しかしながら、工事進捗に伴い工事収益総額、工事原価総額は変動する可能性があるため、見積りの合理性が乏しい場合には、業績に影響を及ぼす可能性がある。
また、実態に即していない工事支出金の過大、過少計上誤り等によっても業績に影響を及ぼす可能性がある。
このため、工事の進捗動向を常に注視し、適宜適切な実行予算管理による合理的な見積りの実施及び適切な会計処理を行っている。
文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものである。
受注高は65,551百万円(前期比7.3%減)と減少したが、売上高は72,308百万円(前期比1.6%増)と増収となり、営業利益は4,518百万円(前期比0.5%増)、経常利益は4,718百万円(前期比7.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,990百万円(前期比7.7%増)とそれぞれ増益となった。
なお、当連結会計年度において新型コロナウイルス感染症の影響は海外での受注活動及び施工の遅れが一部発生したものの、軽微であった。
土木事業では、受注高は、30,492百万円(前期比17.0%減)と減少したものの、売上高は、豊富な期首手持ち受注高の進捗により35,617百万円(前期比4.0%増)と増収となった。営業利益は、増収に加え、手持ち工事の採算性の改善により2,235百万円(前期比72.2%増)と増益となった。
地盤改良事業では、受注高は、新型コロナウイルス感染症による海外での受注の停滞を国内で補い31,446百万円(前期比3.0%増)と増加したものの、売上高は、期首手持ち受注高の減少や海上工事の着工の遅れもあり32,777百万円(前期比1.4%減)と減収となった。営業利益は、減収に加え、工事の着工遅れに伴い、想定より固定費の負担割合が増加したため2,314百万円(前期比27.7%減)と減益となった。
ブロック事業では、受注高は、主力の型枠賃貸が前年までの災害復旧需要により増加し4,364百万円(前期比20.4%増)となったことで、売上高は、4,367百万円(前期比18.4%増)と増収に、また営業利益は988百万円(前期比100.4%増)と増益となった。
※1 全社計には3セグメント以外のその他事業及び連結調整が含まれるため、3セグメントの合算値と全社計は一致していない。
2 当連結会計年度前に外貨建てで受注した海外工事で、当連結会計年度中の為替変動により、外貨額を円貨に換算した金額が増減した場合については、期首手持ち受注高に反映している。
3 受注高、売上高については、セグメント間の内部売上高又は振替高を含めて記載している。
4 売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は次のとおりである。
(2) 財政状態の状況
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末と比べて1,151百万円増加し、54,082百万円となった。主に受取手形・完成工事未収入金等の減少があったものの、現預金や有形無形の固定資産が増加したことなどによるものである。
負債合計は、前連結会計年度末と比べて758百万円減少し、24,396百万円となった。主に、工事の完成に伴う未払消費税の増加などがあったものの、短期借入金や退職給付に係る負債が減少したことなどによるものである。
純資産合計は、剰余金の配当及び自己株式の取得により減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が増加したことで前連結会計年度末と比べて1,909百万円増加し、29,687百万円となった。
この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末と比べて2.4ポイント好転し、54.2%(前連結会計年度末51.8%)となった。当社は持続的な成長と経営の安定性を保つ観点から、成長投資や突発的なリスクへの備えとして、株主資本の水準を維持することとしている。
営業活動によるキャッシュ・フローは、主に大型工事の完成に伴い売上債権の回収が進んだことなどにより10,451百万円の収入超過(前連結会計年度は4,659百万円の支出超過)となった。
投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資の増加による固定資産の取得などにより2,661百万円の支出超過(前連結会計年度は577百万円の収入超過)となった。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払、自己株式の取得、借入金の返済などから4,754百万円の支出超過(前連結会計年度は583百万円の収入超過)となった。
以上より、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末と比べて3,036百万円増加し、11,904百万円となった。
当社グループの資金需要のうち主なものは、土木事業での工事資金や地盤改良及びブロック事業での船舶・機械、ブロック型枠等の設備投資資金である。これらの財源は自己資金及び金融機関からの借入により調達している。
工事資金に対しては、工事立替金を対象とした特殊当座貸越契約及び債権の流動化契約を、また将来の成長投資や突発的なリスクへの備えとして、複数の金融機関とシンジケーション方式のコミットメントライン契約を締結しており、手元流動性と合わせて十分な資金の流動性を確保している。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されている。
この連結財務諸表作成にあたっては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積り及び判断が行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されている。
重要な会計方針については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載している。
また、見積りにあたっては過去の経験やその時点の状況に応じて妥当と考えられる様々な要素に基づき行っているが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらとは異なることがある。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載している。
特記事項なし。
当社グループは、各事業における独自の技術とノウハウを有する分野を中心に、研究開発活動を行っている。
なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は
セグメントごとの内訳は、土木事業
総合技術研究所は、海洋・水理、環境修復、地盤、材料・構造、基盤技術の5つの研究グループと知的財産戦略を担当する知的財産グループの6つのグループで構成されている。海洋・水理グループは海域・河川域の各種構造物の水理安定性や水理機能を、環境修復グループは地下水・土壌の汚染浄化技術を、地盤グループは地盤改良技術を、材料・構造グループはブロックの構造強度を、基盤技術グループは中長期的に利用可能な汎用技術を主な研究対象としているが、各グループメンバーの持てる力の結集と連携と協働により、顧客のニーズに沿った社会に貢献する新しい技術の研究を進めている。75期は、海洋資源の有効利用を目指した海底鉱物を効率良く回収するための技術の研究、深海底でのコンクリートの耐久性や経年変化の研究、地球温暖化に伴う海面上昇や波浪の増大により懸念される砂浜の消失対策工法の研究を前期に引き続き実施した。また、自然の力により固化させた砂やグリーンインフラを用いた海岸保全技術の研究、構造物に使用されている繊維補強コンクリートを再利用可能とするための環境に配慮した材料の研究に着手した。
当分野では、環境修復技術及び陸海の土木施工技術について研究開発活動を行っている。
①環境修復技術
ふっ素汚染土壌の対策として反応性を高めた不溶化剤の開発、特許を保有する土壌還元法の改善としてVOCs(揮発性有機化合物)汚染土壌及び地下水の浄化技術のための徐放性栄養剤(一部食品廃棄物含む)の開発を進めている。また、今後大規模な市場になると見込んでいる自然由来重金属含有土壌(砒素、ふっ素、鉛)を対象とした汚染土処理についての対策工法の開発を継続的に進めている。
②土木施工技術
国土交通省が推進する「BIM/CIM」への対応として、道路分野においては昨年度に引き続き複雑な地形を有する箇所に橋梁下部工等の多くの構造物を建設する高速道路工事1件、港湾分野での橋梁下部工1件、実務以外では、現場においてCIM試行を実施し、橋脚下部工のCIMモデルへの属性情報付与を行い、現場施工要員へのCIMのスキル取得を試みた。また、直轄工事でのICT土工の導入のほか、生産性向上技術への対応としてAIを活用した新技術の研究開発を継続して進めている。
海洋関係技術としては、消波ブロックの調査、設計、施工、維持管理といった一連のサイクルの管理に三次元モデルを活用するためのシステム開発を継続的に進めている。また、水産庁のフロンティア漁場整備事業への参加を目指して、大水深における湧昇流マウンド築造システムを開発した。
当分野では、砂杭系や固化処理系等の地盤改良工法について、生産性向上・環境対策等の付加価値向上や、コスト削減による競争力強化等の視点から研究開発活動を行っている。
具体的には、総合技術研究所内に整備した多目的試験フィールドを利用すると共に、材料実験室や、新たに整備した実験棟において種々の工法開発を進めている。
①硬質地盤を改良する市場の拡大
高品質な大径深層混合処理工法であるCI-CMC工法の貫入能力を向上させた技術である「CI-CMC-HG工法」の現場実績が増加している。背景として、年々激甚化する自然災害に備えるために、従来よりも硬質な地盤を改良する必要性が増えていることが挙げられる。
②ICTを活用したシステムの開発
ICTを活用した地盤改良工法の新技術として、CI-CMC工法の自動打設システム「GeoPilot®-AutoPile」を発表したが、さらにその技術を応用して、動作状況をクラウドに転送して施工機の整備に役立てる予防保全システム「Visios-TC」を開発した。部材の補強や交換のタイミングを正確に見極めることで、現場での故障などによる生産性の低下を防ぐ効果が期待できる。また、地盤内の作業の見える化と共有化ができる「Visios-3D」を、海上深層混合処理船のCMC7号に対応させた。今後はBIM/CIM機能の強化を行う予定である。
③空洞化充填の取組み
液状化対策の「SAVE-SP工法」に用いる流動化砂の技術を応用して、地中の空洞を充填する工事の2例目を実施した。現在は様々な条件の空洞に対応させるために、充填材料のバリエーションを増やす技術開発に取り組んでおり、市場での適用拡大を図っていく。
当分野では、全国的に既設ブロックの老朽化が進んでいること、及び最近の激甚災害への対応から、防波堤・護岸に使用されているブロックの維持管理に関わる手法の開発を進めるとともに、技術の高度化を目的に、波浪と構造物の相互作用に関する数値解析手法の開発を実施している。また、ブロックのみならず、環境商品に関しても既存商品の改良に加えて、次期商品の開発調査を継続して実施している。
①ブロック維持管理手法
既設の防波堤や護岸のブロックについては、長年の風浪で沈下や飛散が起こり本来の消波機能を十分果たせない箇所が増加していることから、嵩上げ等の維持補修を合理的に実施する技術についての研究を実施している。当年度は、これまでに開発した消波工劣化判定技術の現地適用を行うと共に、消波工の3次元データからブロック嵩上げ数量を直接算出する方法を提案した。現在、最近の激甚災害への対応として設計条件の見直しが各地で図られており、今後の嵩上げ事業への適用により、事業化が加速されることが期待される。
②数値解析手法
近年の数値解析手法の発展には目覚ましいものがあり、様々な現象の数値解析による解明が図られつつある。波に対するブロックの安定性などはこれまでは実験で検討せざるを得なかったが、海外の専門家との連携により、波とブロックの挙動を連成させた解析手法を開発している。
③環境商品の改良・開発
環境商品分野では、フィルターユニットS型やリーフマット等を主力商品として販売実績を上げているが、当年度は、これらに改良を施してラインナップを拡充する検討を行った。競争力の高い商品として、今後の売上への寄与が期待される。また、洋上風力発電施設の計画が本格化する中、基礎の洗掘対策へのフィルターユニットS型の適用を推し進めるべく、技術課題の解決を目的とした研究に着手した(一般財団法人沿岸技術研究センター、国立研究開発法人港湾空港技術研究所との共同研究)。