第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

       文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものである。

 

   (1) 経営の基本方針

当社グループは国土づくりを通じて社会に貢献し続けるという使命をステークホルダーの皆様に広くご理解いただき、それに向けた価値観、目標を当社グループ内で共有するため、以下の通り経営理念を定めている。

  <経営理念>

       Mission (使 命): 豊かで安全・安心な国土づくりに貢献します

         Value   (価値観): あらゆる変化を進化に換えて未来に向かって歩み続けます

        Vision  (目 標): 世代を超えて生き続ける独自の技術を提供します 

 

また、この経営理念を実現すべく、「土木、地盤改良、ブロックの3事業が協調し、海に陸に、持続的な成長を目指します」を経営方針としている。

 

   (2) 経営環境及び対処すべき課題

当社の主力とする公共建設市場は、2025年度まで「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」が実施され、また、2022年度に第2次補正予算も計上されていることから、2023年度も堅調に推移するものと予想している。

また、当社グループの持続的な成長・発展のためには、建設需要の新規建設から維持管理・リニューアル事業への転換、建設物価上昇による事業量の減少、少子高齢化に伴う担い手不足など建設業界でおこる変化に対応して、市場ニーズに応じた技術開発、建設DXを軸とした生産性向上、働き方改革と人材確保などに加えて、カーボンニュートラルへの対応など地球環境や社会の持続性を重視する施策も取り入れながら対処していくことが課題となる。

このため2018年度より、長期的視点に立ち中期経営計画を3期に分け遂行することとし、2期目の当期間(2021~2023年度)は「成長・拡大」の期間と位置づけ、その基本方針に基づいて各種施策の展開に取り組んでいる。

 

  (3) 目標とする経営指標

     <長期目標>

 

2017年度

2027年度

売上高

(既存分野)

628億円

800億円

(新規分野)

+α

営業利益率

 

5.9%

5.0%以上

 

 

   ◆前期中期経営計画の基盤整備に引き続き、更なる経営資源への投資、収益基盤の多様化に取り組む。


 

 

<中期経営計画(2021~2023年度)の概要と経営目標>

 ○基本方針

 

基本方針1

持続的な成長に向けた戦略的投資及び事業領域拡大を促進する

 

 

   ◆事業ポートフォリオの方向性

    ➢建設分野の幅広い領域を既存3事業でカバーすることによる強みを維持
           ➢既存3事業のそれぞれが長期的に企業価値を生み出すための成長戦略を促進する

 

    ◆成長の方向性

    ➢将来の追加収益に資する戦略投資、事業領域の拡大(周辺分野、新規分野)
        ➢ステークホルダーとともに成長(社会貢献、人材活用、環境配慮)

 

    ◆持続的な成長に必要なリソースの投入

    ➢経営資源の適正な配分、外部経営資源の活用(M&A含む)

 

基本方針2

 

経営理念を基盤としたESG(環境・社会・ガバナンス)経営の実践により社会に貢献する企業グループを目指す

 

 

 

当社が持続的に成長するための6つの重点課題

 E
 環境

①環境
  ~持続可能な社会の実現~

気象変動の緩和と適応、循環型社会の実現、自然共生社会の実現

 S
 社会

②消費者課題
  ~安全・安心な国土づくり~

持続可能で強靭な国土と質の高いインフラ整備への貢献、イノベーションの推進

③コミュニティへの参画及び開発

地域の発展、活性化への貢献

④人権・労働慣行

あらゆる人々の活躍の推進

 G
 ガバナンス

⑤企業統治

企業経営の健全性と効率性の向上

⑥公正な事業慣行

倫理的行動の徹底

 

 

基本方針3

資本コストを意識した経営を実践する

 

 

      ◆「資本コストを意識した経営」を実践する期間と位置付け、展開を図る

➢資本コストの認識

加重平均資本コスト(WACC)6%程度

➢資本コストを意識した投資

資本コストを上回る持続的成長に必要な戦略投資

➢資本コストの低減

最適資本構成を意識した財務レバレッジの活用

 

 

○経営目標(連結ベース)

 

 

 

 

項目

目標

 

2022年度目標

2022年度実績

①業績目標

3ヵ年での営業利益

120億円以上

 

39億円

36億円

②資本効率目標

自己資本当期純利益率(ROE)

8%以上

 

8%以上

7.1%

③株主還元目標

配当性向

40%程度

 

40%程度

42%

 

 

○全社数値目標(連結ベース)

 

 

(単位:億円)

 

中期経営計画

累計

 

実績

計画

累計

2021年度

2022年度

2023年度

2021年度

2022年度

2023年度

受注高

690

724

776

2,190

639

740

750

2,129

売上高

750

777

809

2,336

668

705

730

2,103

営業利益

38

39

43

120

33

36

37

106

当期純利益

24

26

28

77

21

22

23

66

 

 

 

       ○セグメント別の事業方針と戦略

 事業
セグメント

事業内容

中期経営計画(2021~2023年度)

事業方針

事業戦略

土木事業

道路・鉄道・港湾・空港などの交通インフラ、河川・海岸などの防災、上下水道・土地造成などの生活基盤、エネルギーなどの施設整備に関わる陸海の土木工事の施工を行っている。近年はこれらの施設の維持修繕に関わる工事にも領域を広げている。

陸海の土木工事を施工する総合コンストラクターとして、事業規模・領域の拡大を図るとともに、DX(デジタルトランスフォーメーション)を積極的に推進することにより生産性を向上させ、長期的に安定した業績を持続できる体制の構築

◆既存市場

  ・国直轄工事の維持拡大

 ・NEXCO、地方自治体、民間

  営業の強化

◆新市場

  ・維持修繕工事への参入強化

  ・土壌汚染対策関連業務の取組

  み強化

◆人的資源への投資

 ・人材確保・若手技術者の早期
  戦力化

◆生産性の向上

 ・建設DXの積極的推進

◆気候変動課題への対応

 ・カーボンニュートラルの取り

  組み推進

地盤改良事業

建物や道路、河川護岸、港湾空港施設などの社会基盤が、地盤の沈下や地震による液状化など被害を受けることを防ぐためには、地盤の性状をよく理解し、それぞれの構造物に適した地盤を造成することが不可欠である。当事業は地盤改良に特化したエキスパートとして、数多くの独創的な工法を開発し国内外において豊富な施工実績をあげ、業界のトップを守り続けている。

地盤改良のリーディングカンパニーとして、多様化する社会的要求への対応に向け、新技術の開発・導入を軸とした持続的な事業の発展と事業領域の更なる拡大

◆事業領域の拡大

 ・主力工法の改善改良による競
  争力アップ

 ・新技術・新工法の開発、導入
  強化

 ・海外事業の強化
  (東南アジア・米国)

◆体制強化

 ・現場生産性の向上

  (施工データクラウド化等)

  ・設備の適正化、効率化

  ・研究開発の強化

  (ICT、AIによる省力化等)

 ・人材確保、働き方改革対応

ブロック事業

テトラポッドに代表されるコンクリートブロックを中心に型枠賃貸や環境景観商品の販売を行うとともに、水際線における様々な技術・設計サービス、景観と生態系を護る製品の開発と販売により社会インフラの整備・保全に貢献している。

消波・根固ブロックのリーディングカンパニーとして、技術に裏付けされた製品と技術の提供による安定した収益基盤の構築

「防災・減災」、「環境創造・共生」、「海外」市場の強化

◆国土強靭化5ヵ年加速化対策へ
 の取り組み強化

◆港湾・空港・漁港市場

 ・ICT活用による老朽化対策
  嵩上市場の強化
 ・設計波見直し案件への取り組

  み強化

◆建設市場

 ・河川・海岸市場への営業強化

 ・砂防市場への取り組み強化

◆海外事業の強化

◆グリーンインフラ・ブルーカー
 ボン関連事業への取り組み推進

 

以上のように、長期目標及び中期経営計画を実現するため、様々な課題への対応と持続的成長に向けて掲げた方針に取り組み、投資と株主還元を両立させながら、更なる企業価値の向上を目指していく。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 (1)  サステナビリティに関する考え方

当社は、経営理念のなかで当社の使命を「豊かで安全・安心な国土づくりに貢献する」としており、社会インフラの整備を通して、持続可能な社会の実現に向けて貢献していく意思を表したものである。

一方、世界の潮流として、SDGsに代表されるように、気候変動対策や人権の尊重など、持続可能な社会実現に向けた課題への対応は、国家やソーシャルセクターだけではなく、民間企業や個人に対しても、その責任を求められており、当社は、これらを推進する取組みを支持し、建設業に携わる企業として、社会インフラの整備にとどまらず、環境、エネルギー、まちづくり、人づくりなどを通して、社会的責任を果たしていくこととしている。

このようなサステナビリティに関する重要事項は、取締役や各本部長を委員としたサステナビリティ委員会を設 置し、審議・検討を行っている。当委員会では、サステナブル経営の基本方針の策定やESGに関するリスクと機会の識別・評価、重要課題(マテリアリティ)の特定とその監視・測定及び分析評価を実施し、審議された内容は、取締役会に答申のうえ、同会にて審議・決定することとしている。  


 (2)  気候変動に関する取組

 ①取組方針

当社は、SDGsがめざす持続可能な社会の形成には環境課題への対応が重要な経営課題と捉えており、その課題への取組みを通じてESG経営を推進している。

なかでも気候変動は、水害・土砂災害の増大を招いており、当社グループの使命からも、重要なテーマであると考えている。このため、気候変動リスク及び機会が及ぼす影響を評価し経営戦略に統合することが、当社の企業価 値向上に資するものと考え、TCFD提言に則った情報開示を進めている。

 

 ②ガバナンス

  サステナビリティに関する考え方で示した通り、サステナビリティ委員会を設置し、審議・検討を行っている。

 

 ③戦略

当社では、気候変動によるリスクと機会の特定及び、事業への影響度と対応策に関する考察・分析にあたり、  IPCCやIEAが公表する各種シナリオを参考に、4℃シナリオと2℃未満シナリオの2つを設定している。

 

(4℃シナリオ)

化石燃料需要の成行き的な拡大などを背景に、軽油・重油をはじめとしたエネルギー価格の上昇を予測しているほか、風水害の拡大による直接的な被害の最大被害額や屋外作業の作業効率低下や熱中症リスクの拡大も想定されることから、2℃未満シナリオと比較して2倍以上の財務的な被害を予測している。ただし、気象災害をはじめとした自然災害の被害緩和・回避・防止を目的とした関連工事はより拡大することが見込まれる。

(2℃未満シナリオ)

脱炭素化に向けたカーボンプライシングの影響が、新たな事業運営コストとして財務的なインパクトとなることを予測しているほか、サプライチェーンではカーボンプライシングによる影響が製品の販売価格に上乗せされることで原材料コスト増が想定される。一方、再生エネ需要の拡大から再生可能エネルギー施設の工事が増加することが見込まれ、関連工事への積極的な参画が事業機会となり得ると考えている。

 

 ④気候変動関連のリスクと機会

  (リスク)

分類

影響要因

特定した具体的影響

4℃

シナリオ

2℃未満

シナリオ

現在の取り組み例

移行リスク

炭素税の導入や

法規制

炭素税の導入による事業運営コストの増加

自家消費型太陽光発電導入

(研究所・機械センター)

温室効果ガス排出量削減に伴う設備投資等の支出増加

資材やエネルギーの価格変動

石油需要の変化や炭素税の導入による原材料価格の高騰

自家消費型太陽光発電導入(研究所・機械センター)

化石燃料・電力価格などエネルギー価格の高騰

CO2削減に向けた技術開発の取り組み

物理的リスク

気象災害の激甚化(洪水・高潮)

被災による直接的な損害の発生

東京機械センターにおいて自然災害に備えるための耐震化・水害対策等の実施

サプライヤーの被災による原材料供給の停止

台風や豪雨・豪雪による工期の遅延や対応コストの発生

平均気温の上昇

熱中症危険の増大と生産性の低下

ICT活用による新技術開発

極端な気象パターン変容による工期の遅延

 

 

  (機会)

分類

特定した具体的影響

4℃

シナリオ

2℃未満

シナリオ

現在の取り組み例

エネルギー源

再生可能エネルギー関連工事の増加

再生可能エネルギー関連工事への取り組み

製品・サービス

環境配慮型工法の需要増加

環境配慮型工法の開発

環境配慮型工法事例:モールエコジェット工法/ネガティブエミッション技術

市場

洪水や高潮被害に対する防災・減災を目的とした工事の増加

総合技術研究所における新技術開発・取り組み

 

 

  (リスク管理)

気候関連リスクについては、品質環境委員会と連携し、サステナビリティ委員会が識別し、ESGに関わる様々なリスクと統合的に評価している。また、同委員会の答申を受けて取締役会が重要課題(マテリアリティ)を決定し、特定されたリスクや重要課題の管理については、同委員会をはじめとする各種委員会で、リスクの管理・緩和に取り組む方針である。

 

 

 ⑤指標と目標

 当社ではCO2排出量を指標とした目標の設定と進捗の管理に取り組んでいる。

※Scope1+2を2030年度で2020年度比30%のCO2排出量の原単位削減(t-CO2/億円)、2050年までに実質ゼロとす

ることを目指し、※Scope3では 2030年度で2020年度比10%のCO2排出量の原単位削減(t-CO2/億円)を目指し活動を継続している。

CO2削減目標

指標

基準年

目標年

目標

Scope1・2削減率

2020年

2030年

▲30.0%

2050年

▲100.0%

Scope3  削減率

2020年

2030年

▲10.0%

 

   Scope1:自社事業から直接的に排出されるCO2排出

   Scope2:他社から供給された電気、熱、蒸気の使用に伴う間接排出

   Scope3:Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)

 

 (3)  人的資本・多様性に関する取組

 ①ガバナンス

当社の人的資本・多様性に関する課題については、サステナビリティに関する重要事項として、サステナビリテ ィ委員会での審議の対象としており、持続的な企業価値の向上には、人的資本への投資や多様性の推進が重要と認識し、様々な取り組みを行っている。

 

 ②リスク管理

人的資本リスクについては、サステナビリティ委員会が識別・評価することとしている。サステナビリティ委員会において、各部門・関係会社から報告された内容を、ESGに関わる様々なリスクと統合的に評価している。サステナビリティ委員会で審議された内容は、取締役会に付議・答申のうえ、取締役会が重要課題(マテリアリティ)を決定し、特定されたリスクや重要課題の管理については、サステナビリティ委員会と必要に応じてリスク管理委員会で、リスクの管理・緩和に取り組む方針である。

 既に行っている取り組みの概要、成果(提出会社の状況)について以下に示す。

 

 ○人材の確保

少子高齢化が進む中、建設業にとって人材確保は中長期的な最重要課題であり、当社においても、特に40歳前後の中堅世代が不足しているという課題を解消し、次世代の人材を確保する観点で、中途採用を含め、中長期的な社員の採用目標を掲げ、継続的に人材の確保を積極的に行っている。

 

直近の採用者数は以下のとおりである。

分類

年度

技術系

事務系

技能系

新規定期採用者数

2023年4月入社

29名

4名

1名

34名

2022年4月入社

29名

6名

1名

36名

中途採用者数

2022年度入社

7名

7名

0名

14名

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  ○多様性の推進

当社は、性別や国籍に関係なく、個々人の適性、能力、経験を重視した人材採用を行っている。また、社会環 境の変化や社員のニーズに対応した人事制度の改正を行うとともに、多様な働き方を実現するための支援制度を拡充している。

   このなかで特に女性の活躍に力を入れており、2021年4月に「えるぼし」の3つ星の認定を受けている。

※「えるぼし」

女性活躍推進法における一般事業主行動計画の策定・届出を行った事業主のうち、女性の活躍推進に関する状況が優良である等の一定の要件を満たした場合に厚生労働省から認定される。

評価基準を満たす項目数に応じて3段階あり、当社は5つの項目全てを満たしており、3段階目(3つ星)認定を受けている。

 

 当社は以下の目標を掲げ女性活躍を推進している。

目標①

新卒総合職採用において女性採用者に占める技術系の割合を40%以上とする。

目標②

管理職及びリーダー層の女性の人数を現行(2021年度末)の1.3倍以上とする。

目標③

男女を問わず、多様な働き方を実現するための支援制度を拡充する。

 

 

 その他多様性の推進に関する2022年度の人材データは以下のとおりである。

多様性に関する数値(2022年度)

新規定期採用に占める女性労働者の割合

19.4%

男性労働者の育児休暇取得率

107.7%

女性管理職の割合

4.1%

従業員に占める中途採用労働者の割合

26.4%

 

 ※男性労働者の育児休暇取得率に関する補足説明

本数値は、育児・介護休業法に基づく算出方法(分母:雇用する男性労働者のうち、2022年度中に子供が生まれた者、分子:2022年度中に育児休業を取得した者)によるものである。前年度以前に生まれ、2022年度に育児休業を取得する者が含まれるため、取得率が100%を超えることがある。

なお、女性労働者で子供が生まれた者は全員、育児休業を取得している。

 

  ○人材の育成

当社は、豊富な知識と経験、高度な技術を持つ「人財」の育成に力を入れ、個々人が最大限の力を発揮できる ような環境整備を進めており、全社員のマネジメントスキル向上を目的として、各階層に応じた継続的な教育研修を行っている。

 

  ○働き方改革への取組

当社は、生産性向上と時間外労働削減の両立、社員の健康増進の課題について労使一体となり取り組み、社員 の働きがい・満足度を高め、魅力ある会社・職場づくりを目指している。

このため、2020年度に働き方改革推進課を新設し、建設現場を中心とした働き方改革推進に取り組んでいる。

また、ワークライフバランスの実現に向けた取り組みにも力を注ぎ、育児や介護などを行う従業員が安心して働き、仕事との両立ができるよう様々な支援制度を設けている。

 

働き方改革推進に関するデータの推移は以下のとおりである。

項目

2020年度

2021年度

2022年度

有給休暇取得率※

55.2%

55.8%

60.9%

一人当たりの年平均総労働時間

2,066時間

2,050時間

2,036時間

※当該年度に付与された有給休暇の取得率

 

 

  ○健康経営

当社は、2021年8月に健康経営宣言を行い、2022年3月以降「健康経営優良法人」の認定を受けており、定期 健康診断の100%受診、生活習慣病などの疾病予防のための運動指導など、社員の健康増進に関わる様々な取り組みを行っている。

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの事業に係るリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主な事項は、以下のようなものがある。
 これらはリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努めていく。
 なお、文中における将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものである。

(1) 市場及び事業に関するリスク

  ①建設市場の変動

当社グループは社会資本の整備・維持に係る事業を主なターゲットとしており、政府建設投資の規模やその重点投資分野の変動または、政府及び地方公共団体等の発注内容や発注時期の変動等により、業績に影響を及ぼす可能性がある。

このため、常に将来の需要動向をリサーチし、顧客のニーズ等への対応に注力することでシェアの拡大を図るとともに、必要に応じて人材・設備などの経営資源の適正配分を行うこととしている。また、得意とする「防災・減災」分野に加えて「維持補修」分野など今後有望視される市場への参入など、事業領域の拡大にも努めている。

 

  ②少子高齢化の進展等による担い手不足

少子高齢化が想定を超え進行しており、建設業界への就労人口の減少が一層深刻化していくことが予想されるなか、十分な担い手を確保できない場合には事業活動に支障をきたし、業績に影響を及ぼす可能性がある。

このため、中長期的な視点に立って経営・事業を支える人材を計画的に獲得するため新卒採用、中途採用を強化するとともに、働き方改革をはじめ、多様な働き方に対応する制度などの充実を進め、働きやすい、働きがいや魅力のある安心して働くことができる会社を目指し、人材の確保と社員教育の充実を図っている。(前記「2.サステナビリティに関する考え方及び取組」(3)人的資本・多様性に関する取組 参照)

   また各事業部門においては、ICTの開発・利用促進を通じて担い手不足への対応も同時に進めている。

 

③建設資材・労務費等の価格変動・調達困難

建設資材価格・労務費等の急激な高騰により、工事原価の上昇を招く可能性があるが、これを請負代金に反映することが困難な場合には、業績に影響を及ぼす可能性がある。

このため、購買部門が工事の受注検討や施工計画の段階から参画し、適正な調達価格で安定した調達を図ることができるよう努めている。

 

  ④取引先の信用不安

当社グループは国及び地方自治体等から発注される公共事業を主なターゲットとしているが、受注形態(元請・下請区分)により契約先の顧客は50%強が民間建設会社となる。

従って、これらの会社が信用不安に陥り、債権の回収遅延や貸倒れが発生した場合には、業績に影響を及ぼす可能性がある。また、顧客のみならず協力業者や共同施工会社が信用不安に陥った場合にも、施工進捗の遅れや共同企業体メンバーからの出資債権の未回収、債務の負担から、業績に影響を及ぼす可能性がある。

このため、取引先の与信管理については、日常的には信用情報を収集し、受注にあたっては信用調査機関からの調査書を基に社内審査を徹底するとともに、ケースに応じて債権に保証を付保する等の手段を講じ、信用リスクの回避に努めている。

 

  ⑤製品の欠陥

品質管理には万全を期しているが、工事目的及び商品について契約不適合責任などにより多額の損害賠償請求等を受けた場合には、業績に影響を及ぼす可能性がある。

このため、工法別作業マニュアルに基づき、工事現場での品質管理を徹底している。また、内部監査部門が適宜監査を実施することにより契約不適合発生の防止に努めている。

 

 

(2) 金融・政治・経済に関するリスク

  ①資金調達及び為替変動

金融危機が発生したり、急激な市場変動により業績が悪化した場合には、資金の調達に支障が出たり、調達コストが上昇し、業績に影響を及ぼす可能性がある。

このため、複数年度にわたるコミットメントライン契約を結ぶことなどにより、上記リスクが発生した場合でも、適正な手元流動性を確保し、財政状況の健全化を維持できるよう努めている。

また、海外取引から発生する為替変動リスクに対しては必要に応じて為替予約等によりリスクの低減に努めている。

 

   ②海外事業

当社グループは、主に東南アジア及び米国で事業を展開しているが、現地の政治・経済情勢、法規制に著しい変化が生じた場合や戦争・紛争・テロが発生した場合には、業績に影響を及ぼす可能性がある。

このため、危険度が高いとされている国、地域の工事の受注については、予め、リスクの評価・分析を行い、受注を決定している。

また、受注後においては、海外危機管理マニュアルに基づき、現地での医療リスクの回避やテロ・災害時の緊急避難体制について、危機管理会社への委託や海外安否確認システムを導入するなどにより、有事に備えた体制を構築し、社員ほか現地での従事者の安全を図っている。

 

(3) 事故・災害・環境問題に関するリスク

  ①事故及び災害

一般的に建設現場は、特定の期間に多様な会社の人材や機械が混在しながら作業するという特性から、他の産業に比べて事故及び災害の発生率が高いというリスクがあり、重大な事故及び災害が発生した場合には、工事の中断、発注官庁からの指名停止等の行政処分に加えて社会的な評価にも及び、業績に影響を及ぼす可能性がある。

このため、安全品質環境本部が中心となり、安全週間、各拠点の安全大会、本社幹部パトロールを設け、また、定期的な安全パトロールを行うなどにより、安全教育・啓蒙活動を継続的に実施し、災害発生の防止に努めている。

 

  ②自然災害

大規模な自然災害の発生により施工中の工事目的物が被災し、その修復や作業中断による工期の延長等により相応の費用が発生した場合や、社会インフラや会社施設に甚大な被害が及び長期にわたり事業が中断した場合には、業績に影響を及ぼす可能性がある。

このため、後者に対しては事業継続計画を策定し、国からの災害時の基礎的事業継続力評価の認定を受けるとともに、非常時に事業の早期復旧を可能とする体制を整備し、定期的な訓練、備蓄や諸施設の耐震化、社内情報の外部データセンターへの保管などを行い、有事への備えを進めている。

 

③気候変動

脱炭素社会への移行に向けて、工事施工時に排出される温室効果ガス排出量の規制や炭素税が導入された場合、事業活動の抑制やコスト増加により、業績に影響を及ぼす可能性がある。

このため、施工段階における排出量を2050年までに実質ゼロにすることを目指し、省燃費運転の励行や燃費効率の高い建機・省エネ機器の採用及び、資機材の運搬距離の短縮・運搬方法の改善、施工工法の変更等に取り組んでいる。

またオフィス活動においても、自社保有施設を中心に使用電力について再生可能エネルギーを利用した電力へと移行する取組みを進めている。

なお、当社は、2023年2月に気候関連財務情報開示タスクフォース(以下TCFD)への賛同を表明し、気候変動課題への対応についてTCFDの提言に則った開示を行っている。

(前記「2.サステナビリティに関する考え方及び取組」(2)気候変動に関する取組参照)

 

 

 

  ④感染症等

感染症(パンデミック)が発生し事業活動に制限を受ける事態となった場合には、受注の減少、工事進捗の遅れ、コスト上昇などにより業績に影響を及ぼす可能性がある。

当社グループでは、新型コロナウイルス感染症に対しては、工事現場を除くオフィス勤務者については、在宅勤務の推進等により社員の安全を確保しつつ事業を継続する体制としている。

また、工事現場においては、協力会社を含めた社員の安全を確保しつつ施工を継続する体制としているが、施工中の現場内で感染症が発生した場合には現場が長期にわたり中断するなどの影響を受けることから、感染症対策の徹底を図った施工体制としている。

 

(4) 法的規制等に関するリスク

当社グループの事業は、建設業法、労働安全衛生法等多数の法的規制を受けているが、これらの法律の改廃、法的規制の新設、適用基準の変更等がなされた場合、業績に影響を及ぼす可能性がある。

このため、関係部署による法改正等の動向をモニタリングし、事前に法改正等に向けた対応方針の策定と当社グループとサプライチェーンへの具体策の展開に向けた体制を整備している。

また、法令等の改廃に伴う各種要領やマニュアルの整備と定期的な見直しを行い、説明会等を通じ当社グループ及び協力会社への浸透を図っている。万一これらの法令等に違反する事態が発生した場合は、業績に影響を及ぼす可能性がある。

このため、法令遵守と企業倫理の追求を経営の最重要課題と位置づけ、コンプライアンス体制の充実を図るとともに、関係法令の遵守を目的とした研修会を継続的に実施し、コンプライアンスマニュアルを作成、配布するなどにより教育、啓蒙活動を拡充している。また、外部窓口を有した実効性のある企業倫理ヘルプラインを設置し、法令遵守と企業倫理に関する通報、相談を適切に受付けることにより、法令等違反行為の早期発見と是正を図ることができる体制を整備している。

 

 

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものである。

 

(1) 財政状態の状況

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末と比べて4,227百万円増加し、56,128百万円となった。主に契約資産の増加や、設備投資による固定資産が増加したことなどによる。

負債合計は、前連結会計年度末と比べて2,729百万円増加し、24,280百万円となった。主に未払消費税等や預り金は減少したものの、仕入債務(支払手形及び工事未払金)や短期借入金が増加したことなどによる。

純資産合計は、剰余金の配当により減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が増加したことで前連結会計年度末と比べて1,498百万円増加し、31,848百万円となった。

この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末と比べて1.7ポイント減少し、56.0%(前連結会計年度末57.7%)となった。当社は持続的な成長と経営の安定性を保つ観点から、成長投資や突発的なリスクへの備えとして、適正な株主資本の水準を維持することとしている。

 

(2) 経営成績の状況

 ①事業全体の状況

  当期のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症が落ち着きを見せ、行動制限が緩和されるなど経済社会活動

 の正常化が進み、景気は緩やかな持ち直しの動きが見られたものの、ウクライナ情勢からの食品・エネルギー価

 格の高騰等による物価上昇や欧米を中心とした金融引き締め等による海外景気の下振れリスクがあり、依然とし

 て先行きが不透明な状況が続いている。

  建設業界においては、公共建設投資は、引き続き防災・減災対策や設備の老朽化に伴う維持更新への需要が堅

 調であったものの、民間建設投資は、コロナ禍から脱し企業の設備投資が積極的な姿勢に変わった反面、資材価

 格高騰による建設コストの上昇を吸収できず、採算面においては押し下げ圧力が強くなった。

  当社グループの業績については、期首手持ち受注高は67,440百万円(前期比3.7%減)、受注高が74,010百万円

 (前期比15.8%増)と増加し、それに加え下半期の工事進捗の回復もあり、売上高は70,466百万円(前期比5.5%

 増)と増収となった。

  営業利益は3,602百万円(前期比9.2%増)、経常利益は3,458百万円(前期比2.3%増)、親会社株主に帰属す

 る当期純利益は2,166百万円(前期比5.0%増)とそれぞれ増益となった。

 

②セグメント情報に記載された区分ごとの状況 

  (土木事業)

土木事業では、受注高は、34,159百万円前期比22.6%増)と増加したものの、売上高は、工事進捗の遅れもあり32,159百万円前期比0.2%増)と前期並みとなった。営業利益は、手持ち工事の採算性改善が進み1,303百万円前期比32.0%増)と増益となった。

 

  (地盤改良事業)

地盤改良事業では、受注高は、37,467百万円前期比15.4%増)と増加し、売上高は、35,300百万円前期比11.7%増)と増収となった。営業利益は、増収に加えて採算性の高い工事の完成や円安による為替の好影響もあり2,597百万円前期比39.5%増)と増益となった。

 

  (ブロック事業)

ブロック事業では、受注高は、主力の型枠賃貸が、災害復旧需要の一巡に加え、資材価格高騰の影響を受けた発注予定案件の数量減や発注時期の繰延が各所で起こるなど市場環境が悪化し、2,711百万円前期比22.0%減)と減少し、売上高は、2,711百万円前期比26.8%減)と減収となった。営業損益は、減収に加えて型枠稼働率低下に伴う間接原価の負担増により、406百万円(前期530百万円の営業利益)の損失となった。

 

 

  ③受注高・売上高・営業利益又は営業損失(△)

 

(単位:百万円)

年 度 別

前連結会計年度

当連結会計年度

 

2021年4月1日

2022年4月1日

比 較 増 減

2022年3月31日

2023年3月31日

 

期首手持ち

受注高

土木事業

57,342

53,120

△4,222

地盤改良事業

12,974

14,132

1,158

ブロック事業

398

169

△229

全社計

70,027

67,440

△2,587

受注高

土木事業

27,865

34,159

6,294

地盤改良事業

32,473

37,467

4,994

ブロック事業

3,474

2,711

△764

全社計

63,896

74,010

10,114

売上高

土木事業

32,087

32,159

71

地盤改良事業

31,609

35,300

3,692

ブロック事業

3,704

2,711

△993

全社計

66,778

70,466

3,688

営業利益又は営業損失(△)

土木事業

987

1,303

316

地盤改良事業

1,862

2,597

735

ブロック事業

530

△406

△936

全社計

3,297

3,602

305

次期繰越

受注高

土木事業

53,119

55,120

2,001

地盤改良事業

13,838

16,298

2,460

ブロック事業

169

169

△0

全社計

67,146

70,984

3,839

 

※1 全社計には3セグメント以外のその他事業及び連結調整が含まれるため、3セグメントの合算値と全社計は一致していない。

  2 当連結会計年度前に外貨建てで受注した海外工事で、当連結会計年度中の為替変動により、外貨額を円貨に換算した金額が増減した場合については、期首手持ち受注高に反映している。

 3 受注高、売上高については、セグメント間の内部売上高又は振替高を含めて記載している。

 4 売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は次のとおりである。   

相  手  先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

国土交通省

7,885

11.8

11,898

16.9

 

 

 

 

 

(3) キャッシュ・フローの状況

営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権は増加したものの、税金等調整前当期純利益の計上などにより560百万円の収入超過(前連結会計年度は1,035百万円の支出超過)となった。

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得などにより1,288百万円の支出超過(前連結会計年度は2,088百万円の支出超過)となった。

財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払による支出があったものの、短期借入金の増加などから1,203百万円の収入超過(前連結会計年度は502百万円の収入超過)となった。

以上より、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末と比べて479百万円増加し、9,761百万円となった。

 

(4) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの資金需要のうち主なものは、土木事業での工事資金や地盤改良及びブロック事業での船舶・機械、ブロック型枠等の設備投資資金である。これらの財源は自己資金及び金融機関からの借入により調達している。
  工事資金に対しては、工事立替金を対象とした特殊当座貸越契約及び債権の流動化契約を、また将来の成長投資や突発的なリスクへの備えとして、複数の金融機関とシンジケーション方式のコミットメントライン契約を締結しており、手元流動性と合わせて十分な資金の流動性を確保している。
 

(5) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されている。

この連結財務諸表作成にあたっては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積り及び判断が行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されている。

重要な会計方針については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載している。

また、見積りにあたっては過去の経験やその時点の状況に応じて妥当と考えられる様々な要素に基づき行っているが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらとは異なることがある。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載している。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

当社は、2022年9月26日開催の取締役会において、2023年4月1日を効力発生日として、完全子会社である株式会社ソイルテクニカの建設機械等の賃貸事業を当社が承継することについて決議し、吸収分割契約を締結した。

詳細については、「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な後発事象」をご参照下さい。

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、各事業における独自の技術とノウハウを有する分野を中心に、研究開発活動を行っている。
 なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は738百万円である。

セグメントごとの内訳は、土木事業79百万円、地盤改良事業477百万円、ブロック事業182百万円である。

 

(1) 総合技術研究所

総合技術研究所は、海洋・水理、環境修復、地盤、材料・構造、基盤技術の5つのグループで研究開発活動を実施している。

海洋・水理グループは海域、河川域の各種構造物の水理安定性や水理機能を、環境修復グループは地下水・土壌の汚染浄化技術を、地盤グループは地盤改良技術を、材料・構造グループはブロックの構造強度を、基盤技術グループは中長期に利用可能な汎用技術を主な研究対象としており、様々な経歴を有するメンバーや各事業の技術者との連携や協働により、社会のニーズに沿った新しい技術の研究開発を進めている。

当連結会計年度は、「海洋資源の有効利用を目指した海洋鉱物を効率よく回収するための技術」、「深海底でのコンクリートの耐久性」、「地球温暖化に伴う海面上昇や波浪の増大により懸念される砂浜の消失対策工法」、「自然の力により固化させた砂やグリーンインフラを用いた海岸保全技術」、「繊維補強コンクリートを再利用可能とするための環境に配慮した材料等に関する研究」、「地盤改良施工機を用いた地中熱交換システムや地中に炭素を貯留する技術」等について実施した。

 

(2) 土木事業

当分野では、環境修復技術及び陸海の土木施工技術について研究開発活動を行っている。

①環境修復技術

ふっ素汚染土壌の原位置対策として反応性を高めた不溶化剤の開発、当社の独自技術である土壌還元法の改善として、対象となるVOCs(揮発性有機化合物)の分解が長期間有効に働く徐放性栄養剤(一部食品廃棄物含む)の開発を進めている。また、今後大規模な市場になると見込んでいる自然由来重金属含有土壌(砒素、ふっ素、鉛)を対象とした汚染土処理についての対策工法の開発を継続的に進めている。さらに、環境省の実証事業である、福島県内で発生し中間貯蔵施設で保管中の除去土壌の減容化技術開発に取り組んでいる。

②土木施工技術

当社では国土交通省の施策であるi-ConstructionやDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進に対応して、ICT施工の研究開発やデジタルデータの活用に取り組んでいる。ICT施工の開発では、消波ブロックやケーソン据付作業における安全性や施工精度向上を目指したシステムを開発し、そのシステムを実際の工事で使用することで有効性を確認した。また、コンクリートの品質向上を目的とした施工管理システムの開発にも取り組んでいる。デジタルデータの活用では、BIM/CIMによる施工管理業務を効率化するために属性情報の入力を自動化するプログラムを開発し、入力作業時間の大幅な短縮を実現した。また、3次元データを現実空間に再現するAR技術や測量点群データを用いた施工管理技術の採用に取り組んだ。

 

 

(3) 地盤改良事業

当分野では、砂杭系や固化処理系等の地盤改良工法について、生産性向上・環境対策等の付加価値向上や、コスト削減による競争力強化等の視点から研究開発活動を行っている。具体的には、総合技術研究所内に整備した多目的試験フィールドを利用すると共に、材料実験室や実験棟において種々の工法開発を進めている。

①既存杭引抜き跡埋戻し固化砂杭工法を長谷工コーポレーションと共同で開発し、昨年8月に発表した。工法名「HiFill-CP(ハイフィル-シーピー)」は、High-quality filling-compaction pile in remains after pile removal(杭引抜き跡への高品質な埋戻し締固め砂杭)の略称である。本工法は、液状化対策として使用される静的締固め砂杭工法を利用し、既存杭を撤去した箇所に均質かつ強度制御された固化砂杭を造成することで、後に行う新設杭の施工性と品質向上への寄与を実現した。これより、本工法を活用した建替計画・再開発計画へのさらなる参画を目指していく。

②ICTを活用した地盤改良のさらなる効率化を図るために、2020年度に開発した自動打設システム「GeoPilot®- AutoPile」(ジオパイロット・オートパイル)を、汎用性の高い小型施工機に適用することに成功し、昨年10月に発表した。この「GeoPilot®-AutoPile」小型機タイプは機械撹拌式深層混合処理工法(CI-CMC工法)に加えて、業界で初めて高圧噴射攪拌工法(FTJ-NA工法)の自動化施工を実現した。これにより、狭隘地施工や地中構造物への密着施工など難易度の高い工事においても自動化施工による省力化が可能になることから、より安全な施工でより確実な品質が期待できる。

③地球温暖化の抑制に向けて、カーボンニュートラル技術の開発を加速させている。昨年5月には、砂地盤の液状化対策を応用した炭素貯留技術の開発に着手したことを発表し、バイオマス混合材料をサンドコンパクションパイル(SCP)工法の中詰め材料として地盤打ち込むことで、多くの炭素を地中に貯蔵できる「ネガティブエミッション技術」の研究に、他の研究機関と取り組んでいる。

 

(4) ブロック事業

当分野では、全国的に既設ブロックの老朽化が進んでいること、および最近の激甚災害への対応から、防波堤・護岸に使用されているブロックの維持管理に関わる技術開発の一環として、波浪と構造物の相互作用に関する数値解析手法の開発を実施している。また、ブロック施工の担い手不足が懸念されるなか、施工効率を向上させ、生産性アップを目指すために、ICTを活用した技術開発を実施している。さらに、ブロックのみならず、環境商品に関しても既存商品の改良に加えて、次期商品の開発調査を継続して実施している。

    ①ICTを活用した生コンクリート打設機の開発

 ブロックの生産性向上(省力化、省人化)を目的に、ICTを活用した生コンクリート打設機を開発している。打設機は、ブロック製作工以外の工種へも適用可能とし、当社ブロックおよび土木工事の受注拡大を目指す。

②数値解析手法

 近年の数値解析手法の発展には目覚ましいものがあり、様々な現象の数値解析による解明が図られつつある。波に対するブロックの安定性などはこれまでは実験で検討せざるを得なかったが、海外の専門家との連携により、粒子法を用いたブロック挙動の数値解析手法の開発・高精度化を行っている。また、消波ブロックの据付検討をPC上で実施できる手法を開発した。それらの数値解析ツールの技術サービスへの適用を目指す。

③環境商品の改良・開発

 環境商品分野では、フィルターユニットS型やリーフマット等を主力商品として販売実績を上げている。また、藻類栄養分供給素材のラインナップを増やすべく、イオンカルチャーの改良、新素材の開発を進めている。