第2 【事業の状況】

 

「第2 事業の状況」における各事項の記載については、消費税抜きの金額で表示しております。

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当期におけるわが国の経済は、一部に改善の遅れがみられるものの、個人消費は持ち直しの動きが続き、企業収益や雇用情勢も改善するなど、緩やかな回復基調が続きました。

建設業界におきましては、民間建設投資は、分譲マンションが着工減となる一方、節税対策による貸家の着工増が継続することから、民間住宅投資では増加が見込まれ、民間非住宅建設投資も企業収益の改善等を背景に設備投資は底堅く推移し、また、政府建設投資も、前年度を上回る水準が予想されるなど、建設投資全体としては前年度比増加となる見通しです。

このような状況のなかで、当社グループにおきましては、3ヵ年中期経営計画(2015~2018)『東鉄 3D Step2018』の2年目を迎え、その基本方針、及び基本戦略である『3D戦略』(スリーディ戦略)に基づき、諸施策の推進を積極的に図ってまいりました。

「顧客層」のウイング拡大を図る《Ⅹ軸戦略》につきましては、最大最重要顧客である東日本旅客鉄道(株)からの受注工事の安全遂行を当社の社会的使命と捉え、経営資源を継続的に重点投下し、その最も重要なプロジェクトの一つである首都直下地震に備えた耐震補強対策工事では、御茶ノ水盛土・切土耐震補強をはじめ、駅舎等の天井耐震化工事など数々の工事に継続して取り組んでまいりました。また、品川新駅プロジェクトに伴う東海道上り線の軌道移設工事、コンクリート製のランガー橋による成田線成田~下総松崎間高架橋新設工事、常磐線神立駅橋上化工事や新大久保駅バリアフリー化工事をはじめとする駅舎改良工事など、様々な鉄道関連工事の安全施工に努めました。社会的な要請が益々高まっているホームドアにつきましては、山手線に続き京浜東北線における設置工事に取り組んでおり、さらに、2020年東京オリンピック・パラリンピック関連工事では、千駄ヶ谷駅改良工事の施工を進めてまいりました。

東日本旅客鉄道(株)が計画中の新幹線鉄道大規模改修につきましては、当社におきましても、できるだけ早期に準備体制の構築を図ることが必要と判断し、昨年5月に「新幹線大規模改修本部」を設置いたしました。効率的な施工方法の検討や必要な機械の開発に加え、新規材料の開発・提案など、諸準備を進めてまいることとしております。また、鉄道関連工事のリーディング・カンパニーとして、海外の鉄道に関する様々なニーズにもお応えすることができるよう、本年4月に「線路海外事業部」を新たに設置いたしました。

多方面にわたる民間一般部門のお客様に対しては、「顧客層」のウイング拡大を図り、「地下鉄東西線行徳車両基地・深川車両基地分岐器改良工事(東京地下鉄(株))」「東武野田線六実~逆井間複線化工事(東武鉄道(株))」「東急田園都市線あざみ野駅高架下駐輪場新設工事(東京急行電鉄(株))」「リーフィアレジデンス栗平新築工事(小田急不動産(株))」「ゆめみ野研修所新築工事(日本リーテック(株))」「マーブルロードH&Hビル新築工事(エイチアンドエイチビルディング(株))」など、幅広いお客様から多数の受注を獲得いたしました。また、官公庁部門におきましても、当社初となる大型の公共建築工事である「高崎文化芸術センター新築工事(群馬県高崎市)」をはじめ、「大面川第二雨水幹線下水道整備工事(横浜市)」「大江戸線牛込神楽坂~上野御徒町間レール交換工事(東京都交通局)」「さくらの名所散策路整備工事(静岡県熱海市)」「東京大学生産技術研究所実験軌道工事(東京大学)」など様々な受注・施工実績をあげることができました。

「業域」の深掘りを図る《Y軸戦略》につきましては、当社の強みである鉄道関連工事、防災・耐震・メンテナンス関連工事などの業務分野を徹底的に継続強化したうえで、お客様や社会の新しいニーズに応じた業務・業域の深掘りによる拡大強化を図り、新しい成長機会に挑戦してまいりました。当期にスタートした最も革新的なプロジェクトの一つは、新幹線レール交換システム(通称REXS)の導入です。このREXSは、レール交換の主な作業であるレールの運搬・積みおろし・溶接・交換を、種々の大型機械を組み合わせて一つのシステムとして行うことができる世界初の保守用車であり、開業から35年が経過する東北新幹線のレール交換を計画的に施工してまいります。

 

また、当社が強みとするメンテナンス技術を活かした施工では、「聖橋長寿命化工事(東京都財務局)」「アトレ目黒B館減築工事(東日本旅客鉄道(株))」「いずみ野駅リニューアル工事(相模鉄道(株))」、また、大震災復興関連では、「常磐線竜田~小高間災害復旧工事(東日本旅客鉄道(株))」「富岡~夜ノ森間富岡川橋りょう撤去工事(同左)」「富岡駅新築工事(同左)」「閖上小塚原線道路改良工事(宮城県名取市)」「東松島市立大曲小学校改修工事(宮城県東松島市)」など、新しい業域での受注・施工実績をあげることができました。

環境事業につきましては、当社施工部門との相互連携・シナジー強化を目的に「東鉄ECO2プロジェクト」を積極的に推進中でありますが、環境に配慮した駅の実現に向けた「エコステ」化工事においては、「小淵沢駅エコステ化工事(東日本旅客鉄道(株))」「武蔵溝ノ口駅エコステ化工事(同左)」を、緑化事業では、「梶原工業新工場(梶原工業(株))」の苔緑化や「浦和駅エコステ化工事(東日本旅客鉄道(株))」における壁面緑化工事の受注・施工を行うなど、多くの案件に取り組みました。また、工事現場の周辺環境との調和や近隣への環境配慮を目的に進めている「工事用仮囲い緑化」につきましては、香りを醸し出す植物を一部に使用することで、工事現場周辺に癒しを提供することを目的とした「拡げよう香りの輪プロジェクト」が、環境省「第11回『みどり香るまちづくり』企画コンテスト」において、審査委員特別賞を受賞いたしました。

『3D戦略』(スリーディ戦略)において、最も重要な戦略である《Z軸戦略》につきましては、「安全」「品質・技術力」「施工力」「企業力」の一層の強化を図る様々な取り組みを実施してまいりました。

「安全」においては、経営の最重要事項に掲げている「安全はすべてに優先する」という経営理念のもと、お客様・地域社会・従業員の「究極の安全と安心」を徹底的に追求し、「東鉄グループ方式」による的確な「作業毎のリスク把握」と、危険なポイントを「見える化」した安全ビジュアル教材(「要注カード」など)の徹底活用など、実効性のある教育・訓練を継続実施し、全社をあげて重大事故、致命的労働災害の防止に努めてまいりました。

「品質・技術力」においては、安全・安心や品質に対する社会的責任や要請が益々高まるなかで、「品質管理」「技術力」のたゆまざる維持・強化に努め、品質管理力強化のための「見える化」、鉄道関連工事をはじめ様々な工事によって培ってきた専門的技術力の維持・向上・継承、研究開発力の強化、総合評価方式に対応する高度な技術力・提案力の強化などに取り組んでまいりました。なお、当社が過去に施工した耐震補強工事における仮締切材の不適切な処理に関しましては、速やかに適切な対応に努めるとともに、再発防止策を徹底的に実施してまいりました。

「施工力」につきましては、工事量の増大に対応するために、新卒・社会人採用の継続的強化を推進いたしました。協力会社との関係強化においては、技術力の育成支援をはじめ、宿舎の整備など福利厚生の向上に取り組むとともに、協力会社とその社員の方々をご紹介する「プロフェッショナル」誌の定期的な発行などを通して、パートナーシップの一層の強化を図りました。また、綿密な施工計画の徹底と様々な創意工夫、タブレット端末の導入促進などにより、施工や業務の効率化を図り、工期短縮にも努めてまいりました。

「企業力」においては、『東鉄 3D Step2018』の基本方針である、「全てのステークホルダーから信頼される誠実なCSR経営」、「攻めと守りのバランスのとれたコーポレート・ガバナンスによる経営」に取り組んでまいりました。コーポレートガバナンス・コードにも積極的に対応し、複数の独立社外取締役体制、及び任意の諮問機関としての「経営諮問委員会」などにより、独立社外取締役の適切な関与・助言を得る運営を一層強化いたしました。また、「取締役会全体の実効性評価」や、「議決権の電子行使および招集通知の英訳」にも速やかに対応し、平成28年7月時点において、コーポレートガバナンス・コードが求める全ての項目が実施済みとなり、さらに、資本効率や株主還元の一層の充実を図るべく、ROE・総還元性向の目標化、中間配当なども実施しております。また、コンプライアンス、リスク管理体制についてのさらなる強化を図るとともに、IR活動においては、継続的に適時適切な情報開示に努め、CSR報告書についても内容の充実化を図るなど、「誠実なCSR経営」の推進に取り組みました。

以上のとおり、中期経営計画(2015~2018)『東鉄 3D Step2018』の2年目におきましては、各分野において様々な施策に積極的に取り組んでまいりました。

 

当社グループは、上記諸施策を着実に実施した結果、当期の業績につきましては、受注高は、鉄道関連工事における増加はもとより、『3D戦略』(スリーディ戦略)の推進により、官公庁や民間一般など幅広いお客様からの受注も順調に増加し、前期比11,610百万円増加の127,067百万円となりました。

売上高は、前期から繰越工事高が高水準でスタートしたことや、工事の進捗も順調に進んだことから、前期比3,826百万円増加の130,634百万円と、当社グループ初の1,300億円台となりました。

利益につきましては、当社が過去に施工した耐震補強工事における仮締切材の不適切な処理に関し、平成28年3月期、及び当第2四半期に完成工事補償引当金を計上しましたが、追加費用見込額が算定されたことから、当第4四半期において追加計上したものの、上記売上高の増加とともに、従来から全社をあげて粘り強く取り組んできた不採算工事の徹底排除、原価管理の強化、種々のコストダウンなどの努力とも相まって、売上総利益は前期比904百万円増加の20,085百万円、営業利益は前期比891百万円増加の13,371百万円、経常利益は前期比918百万円増加の13,668百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比1,064百万円増加の9,583百万円となり、それぞれ過去最高益を更新しました。なお、営業利益につきましては、中期経営計画(2015~2018)『東鉄 3D Step2018』の最終年度(平成30年3月期)の数値目標である「130億円以上」(当初目標としていた「120億円」を平成28年5月に変更)を、1年前倒しにて達成することができました。

セグメントの業績は、次のとおりです。なお、セグメントの売上高につきましては、外部顧客への売上高を記載しております。

(土木事業)

受注高は83,359百万円(前期比4.0%増)、売上高は89,006百万円(前期比7.3%増)となりました。
 売上高のうち工事進行基準による計上額は54,237百万円であり、次期繰越高は45,429百万円となりました。
 セグメント利益は8,595百万円(前期比5.4%増)となりました。

(建築事業)

受注高は43,707百万円(前期比23.8%増)、売上高は35,107百万円(前期比7.4%減)となりました。
 売上高のうち工事進行基準による計上額は24,944百万円であり、次期繰越高は27,434百万円となりました。
 セグメント利益は3,990百万円(前期比7.0%増)となりました。

(その他)

売上高は6,520百万円(前期比9.8%増)で、その主なものは鉄道関連製品の製造及び販売収入であります。
 セグメント利益は770百万円(前期比32.5%増)となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当期末における現金及び現金同等物は、前期比472百万円減少し17,357百万円となりました。当期における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

売上債権の増加額の減少による収入の増加等により、営業活動におけるキャッシュ・フローは前期比1,464百万円収入が増加し3,587百万円の収入となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

有形固定資産の取得による支出の増加等により、投資活動におけるキャッシュ・フローは前期比764百万円支出が増加し1,565百万円の支出となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

自己株式の取得による支出の増加等により、財務活動におけるキャッシュ・フローは前期比295百万円支出が増加し2,494百万円の支出となりました。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 受注実績

 

セグメントの名称

前連結会計年度
(自 平成27年4月1日
 至 平成28年3月31日)
(百万円)

当連結会計年度
(自 平成28年4月1日
 至 平成29年3月31日)
(百万円)

土木事業

80,151

83,359

(   4.0% )

建築事業

35,305

43,707

( 23.8% )

合計

115,456

127,067

( 10.1% )

 

 

(2) 売上実績

 

セグメントの名称

前連結会計年度
(自 平成27年4月1日
 至 平成28年3月31日)
(百万円)

当連結会計年度
(自 平成28年4月1日
 至 平成29年3月31日)
(百万円)

土木事業

82,951

89,006

(   7.3% )

建築事業

37,916

35,107

( △7.4% )

報告セグメント 計

120,867

124,113

(   2.7% )

その他

5,940

6,520

(   9.8% )

合計

126,807

130,634

(   3.0% )

 

(注) 1 セグメント間の受注・取引については相殺消去しております。

2 当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載しておりません。

3 売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は次のとおりであります。

 

 

相 手 先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

土木事業

東日本旅客鉄道㈱

76,351

60.2

80,919

61.9

建築事業

東日本旅客鉄道㈱

24,081

19.0

19,035

14.6

 

 

 

なお、参考のため提出会社個別の事業の状況は次のとおりであります。

建設事業における受注工事高及び完成工事高の状況

① 受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高

 

期別

区分

前期繰越
工事高
(百万円)

当期受注
工事高
(百万円)


(百万円)

当期完成
工事高
(百万円)

次期繰越
工事高
(百万円)

前事業年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

土木工事

53,873

79,829

133,703

82,638

51,065

建築工事

21,089

33,553

54,642

36,289

18,353

74,963

113,383

188,346

118,928

69,418

当事業年度

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

土木工事

51,065

83,030

134,095

88,669

45,426

建築工事

18,353

41,860

60,213

33,251

26,961

69,418

124,890

194,308

121,920

72,388

 

(注) 1 前期以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額が含まれております。したがいまして、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれております。

2 次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)であります。

 

② 受注工事高の受注方法別比率

工事受注方法は、特命と競争に大別しております。

 

期別

区分

特命(%)

競争(%)

計(%)

前事業年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

土木工事

78.2

21.8

100

建築工事

35.7

64.3

100

当事業年度

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

土木工事

79.4

20.6

100

建築工事

41.9

58.1

100

 

(注) 百分比は請負金額比であります。

 

 

③ 完成工事高

 

期別

区分

官公庁
(百万円)

民間
(百万円)


(百万円)

前事業年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

土木工事

5,131

77,507

82,638

建築工事

601

35,687

36,289

5,733

113,195

118,928

当事業年度

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

土木工事

6,450

82,219

88,669

建築工事

913

32,337

33,251

7,363

114,556

121,920

 

(注) 1 完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。

前事業年度

東日本旅客鉄道㈱

(仮称)八王子新総合現業事務所新築工事

東日本旅客鉄道㈱

常磐線石岡駅橋上化及び自由通路新設工事

東日本旅客鉄道㈱

神田現業事務所(仮称)新築工事

新日本興和不動産㈱・双日新都市開発㈱

(仮称)大田区蒲田3丁目計画新築

共同企業体

東日本旅客鉄道㈱

常磐線夜ノ森・双葉間除染試験工事

 

当事業年度

東日本旅客鉄道㈱

東北線外利用高架橋その他耐震補強工事2015

梶原工業㈱

梶原工業株式会社新工場新築工事

ナイスエスト㈱・大栄不動産㈱・

(仮称)JV藤沢川名計画新築工事

三信住建㈱・京急不動産㈱共同企業体

㈱大京

(仮称)綾瀬三丁目新築工事

JR東京西駅ビル開発㈱

セレオ八王子北館 特別高圧受変電設備他更新工事

 

 

2 完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりであります。

 

前事業年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

当事業年度

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

相手先

金額
(百万円)

割合(%)

相手先

金額
(百万円)

割合(%)

東日本旅客鉄道㈱

100,201

84.3

東日本旅客鉄道㈱

99,831

81.9

 

 

 

④ 次期繰越工事高(平成29年3月31日現在)

 

区分

官公庁(百万円)

民間(百万円)

計(百万円)

土木工事

10,807

34,619

45,426

建築工事

4,978

21,983

26,961

15,785

56,602

72,388

 

(注) 次期繰越工事のうち主なものは、次のとおりであります。

群馬県 高崎市

高崎文化芸術センター(仮称)建設工事

 

平成31年3月完成予定

東日本旅客鉄道㈱

東北線外利用高架橋その他耐震補強工事その3

 

平成30年3月完成予定

 

日本リーテック㈱

(仮称)ゆめみ野新研修所プロジェクト

 

平成30年3月完成予定

鉄道・運輸機構 北海道新幹線建設局

北海道新幹線、野田追トンネル(南)他

 

平成34年3月完成予定

東日本旅客鉄道㈱

新大久保駅バリアフリー施設他工事

 

平成32年5月完成予定

 

 

 

3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

次年度のわが国の経済は、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、引き続き緩やかな回復が続くものと期待されます。しかしながら、海外経済における不確実性や、金融資本市場の変動の影響、地政学的リスクなどに留意する必要があり、先行き不透明な状況が続くものと思われます。

建設業界を取り巻く環境は、東京オリンピック・パラリンピックに向けた工事が本格化するものの、民間住宅投資、民間非住宅建設投資、政府建設投資ともに減少が見込まれ、建設投資全体では前年度を下回る水準となることが予想されます。また、技能労働者不足や、労務費・資機材価格の再高騰も懸念されはじめるなど、引き続き厳しい経営環境が続くものと思われます。

このような状況のなかで、当社グループにおきましては、中期経営計画(2015~2018)『東鉄 3D Step2018』の最終年度を迎えますが、その基本方針、及び基本戦略である『3D戦略』(スリーディ戦略)に基づき、引き続き「当社の社会的使命をしっかりと果たす」とともに、「量」を拡大させる「成長戦略」と、「質」を向上させる「クォリティ戦略」のベストバランスにより、「持続的な企業価値の向上」を図ってまいる所存であります。

新たな中期経営計画『東鉄 3D Step2018』の要旨につきましては、下記のとおりであります。

 

Ⅰ(基本方針)

 

 

 

 

 

 

 

(1)

「経営理念(~安全はすべてに優先する~)に基づいた軸のブレない経営」

 

 

 

「全てのステークホルダーから信頼される誠実なCSR経営」

 

 

 

「攻め(収益力/資本効率)」と「守り(リスク管理)」の
「バランスのとれたコーポレート
ガバナンスによる経営」

 

 

 

により、社会やお客様の安全・安心・安定・快適・品質などの様々なニーズに的確にお応えし、当社の社会的使命をしっかりと果たします。

 

 

 

 

 

 

 

(2)

「量」(「成長戦略」)と「質」(「クォリティ戦略」)のベストバランスにより、「持続的な企業価値の向上」を図り、「堂々たる成長の時代」への『Step』を切り拓いてまいります。

 

 

 

 

 

 

 

(3)

「基本戦略」となる『3D戦略』(スリーディ戦略)は継続させ、(前)中計を第一期の『Hop』と位置づけ、(新)中計では第二期の『Step』としてさらなる飛躍に挑戦いたします。

 

 

 

 

 

 

 

 

前中計(2012~2015):『東鉄 3D Hop2015』と命名

 

 

 

    ↓     ↓

 

 

 

新中計(2015~2018):『東鉄 3D Step2018』をスタート

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Ⅱ(基本戦略)

「基本戦略」となる『3D戦略』(スリーディ戦略)は不変とし、顧客層(X軸)と業域(Y軸)を拡げ、
質(Z軸)を向上させることにより、X×Y×Zの体積としての「企業価値」を最大化させる戦略をさらに
継続強化いたします。

 

 

基本戦略『3D戦略』

 

 

 

 

 

 

 

(1)

X軸戦略:「顧客層」のウイングを拡大(横軸)

⇒X×Y=「面積」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(2)

Y軸戦略:「業域」の深堀による拡大(縦軸)

 

 

 

 ⇒「量」を拡大させる「成長戦略」

 

 

 

 

×

 

 

 

 

(3)

Z軸戦略:「安全」・「品質・技術力」・「施工力」・「企業力」の強化(高さ軸)

 

 

 ⇒「質」を向上させる「クォリティ戦略」

 

 

 

 

 

 

 

 

(4)

『3D戦略』:(1)(2)(3)の各戦略により、X×Y×Z=「体積」を拡大

 

 

 

 ⇒「企業価値」を最大化

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Ⅲ(施策)

 

『3D戦略』の具体的な施策は以下のとおりです。

(1) X軸戦略(横軸)=「成長戦略」

JR東日本関連業務に経営資源を重点投下した上で、「土木/官公庁」「建築/民間一般」など、新たな顧客層のウイング拡大を図ります。

① 当社最大の強み・使命=JR東日本関連業務
  最大最重要顧客であるJR東日本からの受注・パートナーシップは当社の最大の強みであり、
  安全な工事の遂行は当社の社会的使命であります。
  ⇒JR東日本関連業務に経営資源を継続的に重点投下し、徹底的に強化

② 顧客層のウイング拡大
  その上で、新たな顧客層のウィング拡大を図る「成長戦略」を展開してまいります。
  ⇒JR東日本以外の顧客からの業務量を、将来的にはJR東日本と同レベルまで拡大を展望
  ⇒線路/私鉄・公共鉄道、土木/官公庁・私鉄、建築/民間一般からの受注強化が成長戦略の鍵

 

(2) Y軸戦略(縦軸)=「成長戦略」

当社の「強み」である業務分野を徹底的に強化した上で、関連業域の深掘り/新しい成長機会に挑戦いたします。

① 当社の強みである業務分野は徹底的に継続強化してまいります。

 

 

・鉄道関連工事

 

・交通・社会インフラ関連工事

 

・防災・耐震・老朽化関連工事・復興関連工事

 

・住宅・非住宅建設工事

 

・少子・高齢化関連工事

 

・メンテナンス関連工事

 

・環境関連工事

 

② その上で、関連業域の深掘りによる拡大強化/新しい成長機会に挑戦いたします。

関連業務の業域拡大

新しい社会環境の変化、時代の要請に応じた業域の拡大

 

 

 

 

(3) Z軸戦略(高さ軸)=「クォリティ戦略」

「安全」・「品質・技術力」・「施工力」・「企業力」の一層の強化を図り、「質」を向上させることで、企業価値を高める「クォリティ戦略」を推進いたします。

① 「安全はすべてに優先する経営」の徹底を貫いてまいります。
  ・ お客様・地域社会・従業員の「究極の安全と安心」を追求   
  ・ 実効性のある具体的な教育・訓練の継続実施

② 「品質・技術力」のたゆまざる維持・強化を図ってまいります。
  ・ 安全・安心で、高付加価値・高品質の技術・サービス・商品の提供により、
   お客様の高い満足度と信頼の確保を図る

③ 「施工力」の強化を図ってまいります。
  ・ 工事量増大に伴う「施工力」の強化
  ・ 協力会社とのパートナーシップ強化  
  ・ M&Aによる施工力増強も選択肢の一つ 

④ 企業力の向上
  ・ 「全てのステークホルダーから信頼される誠実なCSR経営」を推進いたします。
    ・ それぞれのステークホルダーに対する取り組み方針
    ・ 「人」を大切にする風土づくり
    ・ 「環境」への取り組み
  ・ 「攻め(収益力/資本効率)」と「守り(リスク管理)」の「バランスのとれた
    コーポレート・ガバナンス」による経営を推進いたします。 
    ・ 「コーポレートガバナンス・コード」への積極的対応
    ・ 適時・適切な情報開示(IR/株主との対話を継続強化)
    ・ 資本効率/株主還元の重視(ROE・総還元性向の目標化/中間配当実施など)
    ・ 取締役会の実効性確保(複数独立社外取締役の選任など)
    ・ コンプライアンス体制(法令・ルールの遵守)、リスク管理体制の維持・強化
  ・ 「成長戦略」の一環としての企業力強化を図ってまいります。
    ・ 剰余金の有効活用
    ・ 利益改善に対する継続的な取り組み
    ・ グループ連結経営の強化
    ・ 海外関連事業の検討
    ・ 財務体質の継続的強化

 

 

Ⅳ(数値目標)

[中期経営計画最終年度(平成30年3月期)数値目標]

(連結)

 

[中計初年度]

平成28年3月期

(実績)

 

[中計2年目]

平成29年3月期

(実績)

 

[中計最終年度]

平成30年3月期

(目標)

変更前

変更後

(平成29年5月11日発表)

 売上高

1,268億円

1,306億円

 

1,400億円

 

 

1,350億円

(△50億円)

 営業利益

 124億円

133億円

130億円以上

変更なし

 

 

当初目標としていた120億円を

 

 

 

 

平成28年5月に変更

 

 

 

 

 

 

 

 ROE(%)

14.4%

14.6%

10%以上

変更なし

 総還元性向(%)

 

27.0%

 (※1)

 

28.0%

 (※2)

30%

変更なし

 

(※1)配当金:年間40円     自己株式取得:300,000株(平成28年11月実施)

(※2)配当金:年間48円     自己株式取得:291,600株(平成29年5月実施)

 

[参考]総還元性向の算出方法

n年度の総還元性向(%) 

(n年度の年間配当金総額)+(n+1年度の自己株式取得額)

×100

n年度の親会社株主に帰属する当期純利益

 

 

(1)「中期経営計画(2015~2018)『東鉄 3D Step2018』」の数値目標につきましては、中計2年目の平成29年3月期において、「営業利益」は、中計最終年度の目標である「130億円以上」(当初目標としていた「120億円」を平成28年5月に変更)を1年前倒しにて達成することができましたが、最終年度(平成30年3月期)における各数値目標を慎重に検討した結果、繰越工事高や、依然として不透明な展開が続くものと予想される市場環境などを総合的に勘案し、「売上高」については、当初目標とした「1,400億円」を50億円減額し、「1,350億円」に変更することといたしました。

 なお、中期経営計画の基本方針、基本戦略や、「売上高」以外のその他の数値目標についての変更はありません。

  『東鉄 3D Step2018』の詳細につきましては、当社ホームページに掲載の「中期経営計画(2015~2018)『東鉄 3D Step2018』[詳細版]」、また、上記数値目標の一部変更につきましては、平成29年5月11日発表の「中期経営計画数値目標の一部変更に関するお知らせ」をご参照ください。

 

(2)「中期経営計画(2015~2018)『東鉄 3D Step2018』」の最終年度においても、その基本方針、及び基本戦略である『3D戦略』(スリーディ戦略)に基づき、引き続き「当社の社会的使命をしっかりと果たす」とともに、「成長力」・「収益力」という「量」を拡大させる「成長戦略」と、「安全」・「品質・技術力」・「施工力」・「企業力」における「質」を向上させる「クォリティ戦略」のベストバランスにより、「持続的な企業価値の向上」を図り、「堂々たる成長の時代」への『Step』を切り拓いてまいる所存であります。

 

 

4 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(平成29年3月31日現在)において当社グループが判断したものであります。

(1) 経済状況

当社グループの事業活動は主として東日本地域を中心に行っており、この地域における景気の後退、回復遅延など景気変動に大きく影響を受けます。また、競合する他社との受注競争の激化などにより、低採算化、収益力の低下など、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 資材価格の高騰

当社グループは建設業を主としているため、鋼材等の原材料が急激に高騰し、請負代金に反映させることが困難な場合には、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 得意先との取引

当社グループは、売上高に占める鉄道部門のウェイトが高い状況となっており、この分野における売上高は、公共交通機関等当社グループが管理できない要因等により大きな影響を受ける可能性があります。

また、建築部門においては、住宅需要の変化などによる顧客企業の業績不振、予期しない契約の打ち切り、顧客の要求に応じるための値下げにより、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 工事事故による影響

当社グループは、工事施工にあたっては、事前に安全施工審査や事故予防措置などを講じ、また、施工時には安全パトロール等による実態の把握、点検・指導等を行い事故防止に努めております。しかしながら、事故が発生した場合にその原因によっては、指名停止などによる行政処分、損害賠償など、当社グループの信頼と信用を著しく失墜させる恐れがあり、業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(5) 人材確保と育成

線路関係における施工技術は、従来、東日本旅客鉄道株式会社を母体として開発され、人材育成され、確保されてまいりました。しかし、近年、施工体制の変更などから、この人材確保は当社グループが主体となって行うこととなったことにより、優秀な人材の採用や教育・研修などによる人材育成にかかるコストの負担は、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(6) 施工物等の不具合

当社グループでは、品質管理には万全を期しておりますが、万一、重大な瑕疵が発生し、その修復に多大な費用負担が生じた場合には、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(7) 退職給付債務

当社グループの退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待運用収益率等に基づいて算出されております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、将来期間において認識される費用及び債務に影響を及ぼし、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(8) 法的規制等

建設業においては、建設業法、建築基準法、労働安全衛生法及び独占禁止法等により法的な規制を受けております。これらの法律の改廃、法的規制の新設、運用基準の変更等によっては、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(9) 大規模災害等

当社グループは、今後想定される震災等の大規模災害への備えとして、BCPマニュアルを整備しております。しかし、地震・洪水・台風等の自然災害により事業活動の一時的な停止や施工中物件の復旧に多額の費用と時間を要する等により、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

特記事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当期において、当社グループが支出した研究開発費の総額は80百万円であります。

なお、セグメントごとの主な研究開発活動は次のとおりであります。

(土木事業)

当期における研究開発費の金額は67百万円であります。

① 駅改良工事やホームドア整備工事に対応した鋼管杭打設工法に関して、削孔部改良及び特殊治具開発改良に取組み、効率的で安全な回転圧入鋼管杭連続工法とカウンターウェイトブロック工法等を開発しました。

②  駅改良工事やホームドア整備工事施工において、資機材を隣接ホームへ軌道上を跨いで運搬、搬入多くあることから作業効率、仮設撤去時間短縮、作業安全に優れた簡易型桟橋を開発しました。

③ 軌陸車走行の安全性向上を目的として、短絡走行できる軌道短絡装置(LPF)を開発し、軌陸車(T33D-3型)に取り付けて試験車にて確認しました。

④ 新幹線レール更新施工の資機材運搬用対応として、低床で2基のクレーン、パワーゲート搭載で作業床が水平移動できる効率的で安全な作業が可能な多目的運搬車を開発しました。

 

(建築事業)

当期における研究開発費の金額は2百万円であります。

① 資機材搬出入作業等において、積載型トラッククレーンに簡易に取り付け可能で旋回範囲等の制限機能を有する機械的に動作停止させるリミッターの開発を実施しました。

② ホーム旅客上家屋根修繕等の工事において、墜落防止として3点セット(親綱・歩み板・下部安全ネット)を設置していましたが、ネットを使用しない効率的で安全な工法を開発しました。

 

(その他)

当期における研究開発費の金額は10百万円であります。

① 室内緑化ニーズの高まりに対して、新たに室内対応型緑化システムを開発、製作原価、構築コストの圧縮を実施しました。

② 室内緑化において、手軽に設置でき、水やりの頻度を軽減できる潅水装置を開発しました。

③ 鉄道関連製品の製造・販売をしていますが、鉄道会社に向けた鉄道関連製品の試験及び開発を行っています。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されておりますが、この連結財務諸表の作成にあたっては過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる見積りが会計基準の一定の範囲内で行われており、連結決算日における資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りには不確実性が伴い実際の結果とは異なる場合があるため、連結財務諸表に影響を及ぼすものと考えられます。

 

(2) 財政状態の分析

当期末の資産合計は前期比8,163百万円増加し122,320百万円となりました。主な要因は、受取手形・完成工事未収入金等の増加であります。

負債合計は、前期比782百万円増加し51,978百万円となりました。主な要因は、支払手形・工事未払金等の増加であります。

その結果、純資産合計は前期比7,381百万円増加の70,341百万円となりました。また、自己資本比率は、前期末の54.3%から56.7%となりました。

 

(3) 経営成績の分析

(1 業績等の概要 (1)業績 に記載しております。)

 

(4) 経営成績に重要な影響を与える要因について

(4 事業等のリスク に記載しております。)

 

(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

(1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況 に記載しております。)

 

(6) 経営者の問題意識と今後の方針について

(3 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 に記載しております。)