第2 【事業の状況】

 

「第2 事業の状況」における各事項の記載については、消費税抜きの金額で表示しております。

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営方針・経営戦略等

次年度のわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により景気は急速に悪化しており、極めて厳しい状況が続くと見込まれております。また、感染症が内外経済をさらに下振れさせるリスクに十分注意するとともに、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要があります。

建設業界を取り巻く環境は、自然災害や切迫する巨大地震等に対する防災・減災、国土強靭化のための緊急対策、戦略的なインフラ老朽化対策など政府建設投資は前年度を上回る水準が予想される一方、新型コロナウイルス感染症の影響により、個人消費及び企業収益に下押し圧力が高まり、民間建設投資の大幅な下振れ懸念もあります。

また、建設各社においては、新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策として、お客様はもとより作業員等の生命・生活の安全を守ることを最優先に、お客様との協議により作業所の閉鎖等に取り組んでおりますが、感染予防策や工期の延長等による、費用の増加、採算の悪化、損失が発生するものと予想されます。

当社の得意とする鉄道関連分野につきましても、大幅な輸送量減少により設備投資の抑制や先送りが懸念されるなど、不透明な状況が続くものと予想されます。

このような経営環境のなか、当社グループにおきましては、お客様はもとより、社員やその家族、協力会社への安全を確保しつつ、当社の事業の特性にかんがみ、経営理念である「安全はすべてに優先する」を堅持し、安全レベルを下げることはせず、社会インフラの維持に必要な工事は継続してまいります。

また、中期経営計画(2018~2021)『東鉄 3D Power Up 2021』の最終年度を迎えますが、2021年3月期連結業績予想につきましては、現時点で合理的な算定が困難であることから、未定とさせていただきます。今後、予想が可能になった段階で速やかに発表いたします。

併せて、中期経営計画の数値目標を2021年3月期連結業績予想とともに見直す等アップデートする可能性があります。しかしながら、基本戦略である「3D戦略」は堅持し、「成長戦略[X軸×Y軸]」における諸施策の推進を図るとともに、「クォリティ戦略[Z軸]」における「Power Up Project」を着実に推進し、安全・品質・技術力・人材力・生産性・ESGなどの「基礎体力」を一段と強化させ、ステークホルダーとの「共通価値の創造」を図り、当社の「社会的使命」をしっかりと果たしてまいります。

 

中期経営計画(2018~2021)『東鉄 3D Power Up 2021』の要旨は、下記のとおりです。

 

  ①当社の目指す「ゴール」

 

 

 

(1)

「社会的使命」を果たす

 

・「経営理念(~安全はすべてに優先する~)」に基づいた「軸のブレない経営」、及び

 

・「ステークホルダーから信頼」される「誠実な経営」により、

 

・社会やお客様の「安全」・「安心」・「品質」などのニーズに的確にお応えし、

 

 当社の「社会的使命」をしっかりと果たします。

 

 

(2)

「企業価値向上」と「持続的成長」を図る

 

・事業活動を通じ、「企業価値向上」と「持続的成長」を図り、

 

・「堂々たる成長と飛躍」(「Jump」)に挑戦し続けます。

 

 

(3)

ステークホルダーとの「共通価値の創造」

 

・「SDGs」(持続可能な開発目標) 及び「ESG」(環境・社会・ガバナンス)を意識した経営により、

 

・お客様、株主、協力会社、従業員、地球環境など、ステークホルダーとの「共通価値の創造」を

 

 図ります。

 

 

 

 

  ②『東鉄 3D Power Up 2021』基本方針

 

 

 

(1)

「3D戦略」の継続

 

・「基本戦略」である「3D戦略」(スリーディ戦略)を継続強化し、

 

・良好な事業環境を最大限活かし、「成長戦略」(Ⅹ軸×Y軸)により、受注力、

 

 キャッシュ創出力を一層強化するとともに、

 

・「クォリティ戦略」(Z軸)との「スパイラル相乗効果」を図ります。

 

 

(2)

「Power Up Project」を新たにスタート

 

・「クォリティ戦略」(Z軸)においては、将来の「Jump」に備え、Z軸を大幅に伸ばし、

 

 「基礎体力」を一段と強化するための3年間と位置づけ、

 

 「Power Up Project」を新たにスタートさせます。

 

・このプロジェクトを通して、ステークホルダーとの「共通価値の創造」を図ります。

 

・「追い風環境」の今だからこそ、創出キャッシュを有効に活用します。

 

 

(3)

「堂々たる成長と飛躍」(「Jump」)につなげる

 

・「Power Up Project」により伸ばしたZ軸を基に、さらなる「成長戦略」(Ⅹ軸×Y軸)

 

 の展開を図り、「堂々たる成長と飛躍」(「Jump」)につなげてまいります。

 

 

 

 

 

 

(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 

<事業環境/事業機会・施策>

 

 ・鉄道関連工事・耐震・防災・維持・修繕工事などに強みを持つ当社にとって、

  当社の特徴を特に活かすことができる事業環境、及び代表的な事業機会・施策は下記のとおりです。

事業環境

代表的な事業機会・施策

A

安全・安心ニーズの高まり

・安全で快適な交通ネットワークを支える鉄道メンテナンス

・ホームドア整備・駅施設などのバリアフリー化

・免震マンションなどをはじめとする安心安全な建築物

B

復旧・復興・防災・減災対策

・東日本大震災への対応

・首都直下地震対策関連工事

・降雨/暴風などの異常気象対策

・土木・建築構造物の耐震補強工事

C

インフラ老朽化・長寿命化対策

・新幹線レール交換

・新幹線鉄道大規模改修

・鉄道、道路、橋りょう、高架橋、建築構造物などの
 補強・維持・更新

D

東京オリンピック・パラリンピック/

インバウンド

・競技会場周辺駅等の改良

・首都圏ホテル建設活発化

・暑熱・緑化対策

E

鉄道ネットワークの機能・利便性向上

・品川再開発プロジェクト(新駅・線路切替・街づくり)

・中央快速線等へのグリーン車サービスに伴う駅・線路改良

・羽田空港アクセス線構想

Y

新しい展開/

深掘りする新規事業

・国土強靭化計画・地方創生

・建築構造物の長寿命化、リノベーション、コンバージョン

・海外関連

 

 

 

<「Power Up Project」に関する施策>

 

    ・「3D戦略」の「クォリティ戦略」(Z軸)において、特に重要な4つのテーマについて取り組みます。
    ・将来の「堂々たる成長と飛躍」(「Jump」)に備え、Z軸を大幅に伸ばし、安全・品質・技術力・
     人材力・生産性・ESGなどにおける「基礎体力」を一段と強化させます。
    ・このプロジェクトを通して、ステークホルダーとの「共通価値の創造」を図ります。
    ・事業活動により創出されたキャッシュを有効に活用し、各種施策・投資メニューを推進します。

 


 

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。 

なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2020年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経済状況

当社グループの事業活動は主として東日本地域を中心に行っており、この地域における景気の後退、回復遅延等景気変動に大きく影響を受けます。また、競合する他社との受注競争の激化等により、低採算化、収益力の低下等、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 資材価格の高騰

当社グループは、鋼材等原材料の市場価格動向の情報収集・分析と集中購買の導入により、影響の軽減化に努めておりますが、急激な価格高騰により、請負代金に反映させることが困難な場合には、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 大規模災害等

当社グループは、今後想定される震災等の大規模災害への備えとして、事業継続計画(BCP)の整備、役職員の安否確認システムの導入、防災訓練の実施等の各種対策を講じております。しかしながら、地震・洪水・台風等の自然災害により、事業活動の一時的な停止や施工中物件の復旧に多額の費用と時間を要した場合には、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

なお、システム障害等の情報セキュリティ上のリスクに対しても、全役職員を対象とした情報セキュリティ教育の実施、データセンターの設置等の対策を講じております。

(4) 工事事故による影響

当社グループは、経営の最重要事項に掲げている「安全はすべてに優先する」という経営理念のもと、工事施工にあたっては、事前に安全施工審査や事故予防措置等を講じ、また、施工時には安全パトロール等による実態の把握、点検・指導等を行い事故防止に努めております。しかしながら、当社グループの施工する工事において事故が発生した場合、その原因によっては、指名停止等による行政処分、損害賠償等、当社グループの信頼と信用を著しく失墜させる恐れがあり、業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。特に鉄道関連工事において、列車の脱線をはじめ重大事故を発生させた場合、当社グループの事業活動全般に影響を及ぼす可能性があります。

(5) 施工物等の不具合

当社グループは、施工品質の向上に努め、品質管理には万全を期しておりますが、万一、重大な契約不適合が発生し、その修復に多大な費用負担が生じた場合には、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(6) 得意先との取引

当社グループは、中期経営計画『東鉄 3D Power Up 2021』の基本戦略である『3D戦略』に基づいて、鉄道部門関連業務に経営資源を重点投下した上で新たな顧客層のウイング拡大を図っております。

売上高に占める鉄道部門のウェイトが高い状況となっており、この分野における売上高は、公共交通機関等、当社グループが管理できない要因等に大きく影響を受ける可能性があります
 また、建築部門においては、住宅需要の変化等による顧客企業の業績不振、予期しない契約の打ち切り、顧客の要求に応じるための請負代金の見直し等が発生する恐れがあります。

当該リスクに対しては、適宜、情報収集・与信管理に努め、債権管理・保全を図っておりますが、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 人材の確保

当社グループは、多くの協力会社と連携して事業を遂行しております。新卒及び社会人採用活動を積極的に行うとともに、中期経営計画『東鉄 3D Power Up 2021』の『Power Up Project』に基づき、働きやすい快適な職場づくりや教育・訓練の強化を目的とした人材・技術開発本部及び働き方改革推進部の設置、協力会社の労働環境改善や人材育成への支援を行うこと等により、当社グループ及び協力会社の人材確保に努めております。しかしながら、当社グループ及び協力会社の人材を十分に確保できなかった場合、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(8)法的規制等

建設業においては、建設業法、建築基準法、労働安全衛生法及び独占禁止法等により法的な規制を受けております。当社グループでは、コンプライアンスマニュアルを策定するとともに、定期的にコンプライアンス委員会を開催し、法令違反の未然防止とコンプライアンスの周知、意識の高揚を図っておりますが、これらの法律の改廃、法的規制の新設、運用基準の変更等が行われた場合、また、法的処分等を受けた場合は当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(9) 退職給付債務

当社グループの退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待運用収益率等に基づいて算出されております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、将来期間において認識される費用及び債務に影響を及ぼし、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(10) 新型コロナウイルス感染症

当社グループでは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に対し、社長を対策本部長とした新型コロナウイルス感染症対策会議を定期的に開催して、お客様はもとより、「社員を守る」「その家族を守る」「周りの人や会社を守る」「協力会社を守る」の基本方針のもと対策を進めております。在宅勤務やサテライトオフィス等の実施による三密の回避、マスクの着用、状況に応じた工事の抑制により、ウイルス感染者が発生し、その影響が当社グループの事業活動に及ぶことのないように努めております。しかしながら、当該感染症の感染拡大により景気は急速に悪化しており、この状況が長期化し、建設投資額が大幅に減少する等した場合、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績の状況

当期におけるわが国の経済は、年度初めにおいては海外経済の減速等を背景に外需が弱含むものの、雇用・所得環境の改善等に加え、消費税率の引き上げに当たって各種の対応策が実施されることにより、内需を中心に緩やかに回復する見通しでありましたが、1月以降に発生した新型コロナウイルス感染症の影響により、個人消費が急速に弱まり、企業収益も製造業を中心に弱含むなど足元では大幅に下押しされており、厳しい状況となりました。

建設業界におきましては、政府建設投資は前年度を上回る水準、民間建設投資は、民間住宅・非住宅建設投資ともに微増と予測され、建設投資全体として通年では前年度比微増の見通しとなりました。

このような状況のなかで、当社グループにおきましては、中期経営計画(2018~2021)『東鉄 3D Power Up 2021』の2年目にあたり、その基本戦略である「3D戦略」(スリーディ戦略)に基づき、「成長戦略[X軸×Y軸]」における諸施策の推進、「クォリティ戦略[Z軸]」における諸施策、即ち4つの重要テーマ「Z−1 安全・品質向上」、「Z−2 生産性向上/技術開発」、「Z−3 働き方改革/人材育成」、「Z−4 ESG(環境・社会・ガバナンス)」の推進を図る「Power Up Project」に積極的に取り組んでまいりました。

「顧客層」のウイング拡大を図る《Ⅹ軸戦略》につきましては、最大最重要顧客である東日本旅客鉄道(株)からの受注工事の安全遂行を当社の社会的使命と捉え、経営資源を継続的に重点投下してまいりました。なかでも、橋りょう、高架橋、盛土・切土、駅舎など数々の「耐震補強工事」、社会的な要請が益々高まっている「ホームドア」設置に伴うホーム改良工事の推進、「中央快速線グリーン車サービス」導入に伴う車両基地整備や駅・ホームの改良工事など、各種大型プロジェクトの安全施工に取り組んでまいりました。また、「東京オリンピック・パラリンピック」関連では競技場周辺駅や主要乗換駅の改良工事、さらに「インバウンド」関連では駅に隣接するホテルや商業施設の建設にも取り組んでまいりました。

多方面にわたる民間一般部門のお客様に対するウイングの拡大では、「東武鉄道(株)、東武野田線六実~逆井間複線化工事」、「真岡鐵道(株)、第二多田羅街道踏切拡幅工事」、「相模鉄道(株)、西横浜駅分岐器改良工事」、「三陸鉄道(株)、第二赤崎橋梁改築工事」、「(株)ジェイアール東日本都市開発、日比谷OKUROJI新築工事」、「大成有楽不動産(株)、カレッジコート宮崎台(学生寮)新築工事」、「(株)フォース、H:Ⅱマンション新築工事」、「(株)ヤマデン、ヤマデン本社新築工事」など、幅広いお客様からの受注・施工を進めてまいりました。また、官公庁部門におきましても、「鉄道・運輸機構、北陸新幹線小松軌道敷設他工事」、「東京都交通局、大江戸線レール交換工事」「同、都電荒川線軌道移設工事」、「宮城県気仙沼市、南気仙沼雨水幹線函渠築造工事」、「青森県、三沢十和田線橋梁架替(古間木橋)工事」、「宮城県塩釜市、西塩釜駅自由通路エレベーター整備工事」など様々な受注実績をあげることができました。

「業域」の深掘りを図る《Y軸戦略》につきましては、当社の強みである鉄道関連工事、防災・耐震・メンテナンス関連工事などの業務分野を徹底的に継続強化したうえで、お客様や社会環境の変化、時代の要請に応じた業域の深掘りによる拡大強化を図り、新しい成長機会に挑戦してまいりました。

当社が得意とする鉄道関連工事においては、「高輪ゲートウェイ駅周辺再開発プロジェクトに伴う軌道移設工事」、「飯田橋駅改良に伴う軌道工事」、「新大久保駅バリアフリー化工事」など、施工難易度の高い様々な工事に取り組んでまいりました。また、今後予定されている新幹線鉄道大規模改修に向けては、JR東日本総合研修センター構内に実物大試験設備を構築する工事の施工を進めております。さらには、上越新幹線の速度向上に伴う「騒音対策工事」、「機械設備技術研修センター新築工事」など幅広い工事の受注に取り組んでまいりました。

当社が強みとする耐震やメンテナンス、リニューアルの技術を活かした施工では、「神奈川県横浜市、開削トンネル中柱補強工事」、「国土交通省、国道6号水戸大橋補修工事」、「東京都葛飾区、小松橋補修工事」、「(株)アトレ、信濃町店改装工事」などを受注し、災害復旧・復興関連では、東日本大震災から9年を経て全線運転再開となった常磐線の「竜田~浪江間災害復旧工事」を施工してまいりました。さらに、台風15号、19号による鉄道関連の災害復旧にも取り組み、様々な業域での受注・施工実績をあげることができました。

 

環境事業につきましては、当社施工部門との相互連携・シナジー強化を目的に「東鉄ECO2プロジェクト」を積極的に推進中でありますが、緑化事業においては、「上野駅公園口駅舎改良に伴う緑化工事」や「前橋駅エコステーション化工事」の受注・施工など多くの案件に取り組みました。また、当社が開発した自立型の緑化施設である「木陰のトンネル」が国土交通省の暑熱対策実証試験に選定され、日産スタジアム前の新横浜駅前公園の暑熱対策として採用されております。さらには、Nearly ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の認証を取得した「日本電設工業(株)、NDK千葉ビル新築工事」に参画するなど、当社の環境技術が様々な広がりをみせています。

「質」を向上させ企業価値を高める「クォリティ戦略」《Z軸戦略》につきましては、4つの重要なテーマの「Power Up Project」を推進するため、様々な施策を実施してまいりました。

「Z−1 安全・品質向上」においては、経営の最重要事項に掲げている「安全はすべてに優先する」という経営理念のもと、お客様・地域社会・協力会社・従業員の「究極の安全と安心」を追求し、安全・安心で、高品質・高効率・低コストの技術・サービス・商品の提供によりお客様の満足度と信頼を確保することを目指し、様々な施策を実施してまいりました。

「Z–2 生産性向上/技術開発」においては、技術開発力の強化により、安全性、生産性の向上を図り、工事量の増大に対応するための施工力を強化するとともに、協力会社とのパートナーシップ強化により強固な施工体制の維持向上を図ることを目指し、様々な施策を実施してまいりました。

「Z–3 働き方改革/人材育成」においては、当社がこれまで取り組んできた「人を大切にする風土づくり」をさらに推進し、「働き方改革」や「人材育成」の取り組みを進めております。

「Z–4 ESG」においては、「ステークホルダーから信頼」される「誠実な経営」を推進し、「SDGs(持続可能な開発目標)」と「ESG」を事業活動に関連付け、「事業機会」と「リスク・コスト要因」の両面を認識したうえで事業活動に取り組み、当社の「社会的使命」を果たすことを方針としております。このプロセスを通じ、当社の「企業価値向上」・「持続的成長」と、ステークホルダーとの「共通価値の創造」に取り組んでまいりました。

以上のとおり、中期経営計画(2018~2021)『東鉄 3D Power Up 2021』の2年目において、「3D戦略」及び「Power Up Project」の諸施策を着実に推進した結果、当期の業績につきましては、官庁及び民間の鉄道関連工事が増加したことにより、受注高は134,317百万円(前期比153百万円増加となり、2期連続して1,300億円台を超え過去最高となりました。

売上高は、前期からの繰越工事高が高水準でスタートしたことや、手持ち工事が順調に進捗したことなどにより146,034百万円前期比11,294百万円増加と大幅に増加し、7期連続して過去最高を更新しました。

利益につきましては、上記売上高が大幅に増加したことなどにより、売上総利益は22,629百万円前期比2,942百万円増加)、営業利益は14,858百万円前期比2,641百万円増加)、経常利益は15,347百万円前期比2,642百万円増加)、親会社株主に帰属する当期純利益は10,657百万円前期比1,794百万円増加)となり、いずれも過去最高を更新いたしました。

なお、中期経営計画(2018~2021)『東鉄 3D Power Up 2021』の最終年度(2021年3月期)数値目標である「売上高1,400億円」「営業利益140億円」を、1年前倒しにて達成することができました。

新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、当連結会計年度における当社グループの経営成績等への影響は軽微でありますが、経済への影響は翌連結会計年度の一定期間にわたり継続することが考えられ、鉄道関連分野の設備投資の抑制や先送り、民間建設投資の大幅な下振れ等による受注高の減少、感染予防対策・工期延伸等による費用の増加等が懸念されます。

 

セグメントの業績は、次のとおりです。なお、セグメントの売上高につきましては、外部顧客への売上高を記載しております。

(土木事業)

受注高は93,580百万円(前期比1.8%減)、売上高は89,619百万円前期比2.9%増)となりました。
 売上高のうち工事進行基準による計上額は51,326百万円であり、次期繰越高は57,165百万円となりました。
 セグメント利益は8,483百万円前期比14.7%増)となりました。

(建築事業)

受注高は40,737百万円前期比4.8%増)、売上高は48,005百万円前期比20.8%増)となりました。
 売上高のうち工事進行基準による計上額は38,005百万円であり、次期繰越高は22,520百万円となりました。
 セグメント利益は5,539百万円前期比34.2%増)となりました。

(その他)

売上高は8,410百万円前期比6.5%増)で、その主なものは鉄道関連製品の製造及び販売収入であります。
 セグメント利益は817百万円前期比21.0%増)となりました。

 

(2) 財政状態の状況

当期末の資産合計は前期比10,057百万円増加145,349百万円となりました。これは、売上高増加に伴う受取手形・完成工事未収入金等の増加、新研修センター用地の取得による土地の増加、保線用大型機械のファイナンス・リース契約に伴うリース資産の増加、保有株式の時価下落に伴う投資有価証券の減少等によるものであります。

負債合計は、前期比4,387百万円増加55,959百万円となりました。これは、工事量増加に伴う支払手形・工事未払金等の増加、保線用大型機械のファイナンス・リース契約に伴うリース債務の増加等によるものであります。

その結果、純資産合計は前期比5,670百万円増加89,389百万円となりました。また、自己資本比率は、前期末の61.0%から60.7%となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当期末における現金及び現金同等物は、前期比597百万円増加17,475百万円となりました。当期における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

税金等調整前当期純利益の増加等により、営業活動におけるキャッシュ・フローは前期比1,972百万円収入増加8,060百万円の収入となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

有形固定資産の取得による支出等により、投資活動におけるキャッシュ・フローは前期比2,697百万円支出増加4,417百万円の支出となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

配当金の支払い等により、財務活動におけるキャッシュ・フローは前期比232百万円支出減少3,046百万円の支出となりました。

 

当社グループの資金の源泉は、主として国内事業に係る営業活動からのキャッシュ・フローによる収入からなります。資金の主要な使途は、材料費・外注費、設備投資等であります。

流動性については、事業活動を行う上で十分な運転資金を確保していきますが、新型コロナウイルス感染症の影響による収入の減少等、万一の緊急時における資金調達に備えるため、金融機関より随時利用可能な借入枠を確保しております。

 

 

(4) 生産、受注及び販売の状況

① 受注実績

 

セグメントの名称

前連結会計年度
(自 2018年4月1日
 至 2019年3月31日)
(百万円)

当連結会計年度
(自 2019年4月1日
 至 2020年3月31日)
(百万円)

土木事業

95,298

93,580

(△1.8

% )

建築事業

38,866

40,737

( 4.8

% )

合計

134,164

134,317

( 0.1

% )

 

 

② 売上実績

 

セグメントの名称

前連結会計年度
(自 2018年4月1日
 至 2019年3月31日)
(百万円)

当連結会計年度
(自 2019年4月1日
 至 2020年3月31日)
(百万円)

土木事業

87,114

89,619

( 2.9

% )

建築事業

39,726

48,005

( 20.8

% )

報告セグメント 計

126,841

137,624

( 8.5

% )

その他

7,898

8,410

( 6.5

% )

合計

134,739

146,034

( 8.4

% )

 

(注) 1 セグメント間の受注・取引については相殺消去しております。

2 当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載しておりません。

3 売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は次のとおりであります。

 

 

相 手 先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

土木事業

東日本旅客鉄道㈱

77,242

57.3

79,472

54.4

建築事業

東日本旅客鉄道㈱

24,917

18.5

28,428

19.5

 

 

 

なお、参考のため提出会社個別の事業の状況は次のとおりであります。

建設事業における受注工事高及び完成工事高の状況

① 受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高

 

期別

区分

前期繰越
工事高
(百万円)

当期受注
工事高
(百万円)


(百万円)

当期完成
工事高
(百万円)

次期繰越
工事高
(百万円)

前事業年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

土木工事

45,017

94,807

139,824

86,713

53,110

建築工事

30,161

36,593

66,754

37,275

29,478

75,178

131,400

206,578

123,988

82,589

当事業年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

土木工事

53,110

93,184

146,295

89,222

57,072

建築工事

29,478

38,400

67,879

45,608

22,271

82,589

131,584

214,174

134,830

79,343

 

(注) 1 前期以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額が含まれております。したがいまして、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれております。

2 次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)であります。

 

② 受注工事高の受注方法別比率

工事受注方法は、特命と競争に大別しております。

 

期別

区分

特命(%)

競争(%)

計(%)

前事業年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

土木工事

73.5

26.5

100

建築工事

47.7

52.3

100

当事業年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

土木工事

79.7

20.3

100

建築工事

40.3

59.7

100

 

(注) 百分比は請負金額比であります。

 

 

③ 完成工事高

 

期別

区分

官公庁
(百万円)

民間
(百万円)


(百万円)

前事業年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

土木工事

7,577

79,135

86,713

建築工事

3,097

34,178

37,275

10,674

113,313

123,988

当事業年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

土木工事

8,175

81,047

89,222

建築工事

1,608

43,999

45,608

9,784

125,046

134,830

 

(注) 1 完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。

前事業年度

東日本旅客鉄道㈱

広町社宅跡地暫定開発新築工事

東日本旅客鉄道㈱

東神奈川現業事務所(仮称)新築工事

東日本旅客鉄道㈱

常磐線神立駅橋上化及び自由通路外新設他工事

東日本旅客鉄道㈱

榎戸駅橋上駅舎新設他(その2駅舎本体)工事

宮城県 気仙沼市

(仮称)南町海岸公共・公益施設新築建築本体工事

 

当事業年度

東日本旅客鉄道㈱

常磐線竜田・浪江間土木構造物災害復旧工事(Ⅱ工区)

群馬県 高崎市

高崎芸術劇場建設工事

大京・リゾン共同企業体

ライオンズ朝霞ベルポートレジデンス新築工事

日本ホテル㈱

五反田駅東口ビル(仮称)新築工事(A2-1)

日本ホテル㈱

秋葉原ホテル新築A2工事

 

 

2 完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりであります。

 

前事業年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

当事業年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

相手先

金額
(百万円)

割合(%)

相手先

金額
(百万円)

割合(%)

東日本旅客鉄道㈱

102,057

82.3

東日本旅客鉄道㈱

107,421

79.7

 

 

 

④ 次期繰越工事高(2020年3月31日現在)

 

区分

官公庁(百万円)

民間(百万円)

計(百万円)

土木工事

17,591

39,480

57,072

建築工事

147

22,123

22,271

17,739

61,604

79,343

 

(注) 次期繰越工事のうち主なものは、次のとおりであります。

東京都 財務局

谷沢川分水路工事

2023年9月完成予定

東京都 財務局

境川金森調節池工事その2

2024年5月完成予定

東日本旅客鉄道㈱

東北線東京・秋葉原間外利用高架橋その他耐震補強工事

2023年3月完成予定

鉄道・運輸機構 大阪支社

北陸新幹線、小松軌道敷設他

2023年1月完成予定

東日本旅客鉄道㈱

稲田堤駅橋上本屋及び自由通路新設その他(その2)工事

2023年9月完成予定

 

 

 

 

(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。

この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 

a.工事原価総額

完成工事高及び完成工事原価の計上基準は、当連結会計年度末までの進捗部分について成果の確実性が認められる工事については工事進行基準(工事の進捗率の見積りは原価比例法)を、その他の工事については工事完成基準を適用しております。工事進行基準による完成工事高の計上においては工事原価総額の見積りにより収益に影響を与えます。工事原価総額の見積りは当初は実行予算によって行います。実行予算作成時には、将来の気象条件や作成時点で入手可能な情報に基づいた施工条件や資機材価格について仮定を設定し、作業効率等を勘案して工種毎に詳細に積み上げることによって工事原価総額を見積ります。工事着工後は作業所において実際の発生原価と対比して適時・適切に工事原価総額の見直しを行っており、支店・関係本部においては作業所からの管理月報等による報告書に基づく見直し後の工事原価総額について検討・分析を実施しており、計上額が妥当であることを検証しております。このように気象条件、施工条件、資機材価格、作業効率等さまざまな仮定要素があり、それらについて適時・適切に見積りを行っておりますが、将来の工事原価総額は見積金額と異なる可能性があります。なお、新型コロナウイルス感染症は2021年3月期の一定期間にわたり継続すると見込まれるものの、2020年4月の緊急事態宣言の発出後の当社グループの工事の状況から判断し、当連結会計年度末時点で受注・着工済の工事については、工事の中断や工期の大幅な延長といった新型コロナウイルス感染症に起因する工事原価総額の重要な増加要因はないとの仮定に基づき、工事原価総額を見積もっております。

 

b.工事損失引当金

受注工事に係る将来の損失に備えるため、当連結会計年度末における手持工事のうち損失の発生が見込まれ、かつ、その金額を合理的に見積ることができる工事について、損失見込額を計上しております。損失見込額の算定に際しては現在入手可能な情報(発注者との条件、気象条件、施工条件、資機材価格、作業効率等)から過去の実績を基礎として、作業所、支店、関係本部において精査することにより算定しております。また引当金額の変更については発注者との変更契約の締結、専門工事業者との外注契約の締結等による確実な原価低減が見込まれる場合に行っております。このようにさまざまな仮定要素があり、それらについて適時・適切に見積りを行っておりますが、将来の損益は見積金額と異なる可能性があります。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

特記事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

当期において、当社グループが支出した研究開発費の総額は157百万円であります。

なお、セグメントごとの主な研究開発活動は次のとおりであります。

(土木事業)

当期における研究開発費の金額は141百万円であります。

① 線路の巡回検査は、従来、徒歩により実施していましたが、検査精度を落とさず、かつ労務を軽減する装置の開発に取り組みました。既存の軌道上移動装置に改良を加え、夜間での検査に対応した照度を確保し、走行速度を従来の歩行速度に合わせた「線路総合巡視用移動装置」を開発しました。2020年度中に6台導入予定です。

② 線路のつき固め作業に使用している既存の4頭タイタンパは、分岐器の狭隘箇所や導入が進められているグリッド型マクラギのつき固めができませんでした。そこでタイタンパが左右にそれぞれ90度回転し、つき固めツールが可変することで、分岐器の狭隘箇所やグリッド型マクラギのつき固めを可能にした「オールマイティタイタンパアタッチメント」を開発しました。

③ 路盤の空洞やゆるみの対応として、強制振動機を用いて空洞等を除去し、路盤陥没の未然防止に取り組んでいます。従来の強制振動機は、一般的な機械の組み合わせであり、路盤に貫入する長さが短かったり、騒音が大きかったりと施工性に問題があったため、強制振動専用の機械を開発し運用していました。今回、さらなる改良を加え,安全性・作業性を向上させた強制振動機「振之助Ⅱ」を製作し、現場で活躍しております。

 

(建築事業)

当期における研究開発費の金額は7百万円であります。

① 駅ホーム上家等の修繕工事では、夜間の限られた作業時間帯で多くの作業員により時間をかけて足場組立解体作業をしていました。時間、労力の軽減を目的として、線路上で容易に足場の組み立てが可能な鉄道用移動架台の開発に取り組みました。

 

(その他)

当期における研究開発費の金額は7百万円であります。

① 新規暑熱装置としましては、木製緑化プランターにファンミストを内蔵したプランターを開発し、公共施設で採用されました。また、緑化による暑熱対策設備である「木陰のトンネル」につきましても、新横浜で開催されたラグビーワールドカップにあわせて採用され、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会まで活用されます。

② 室内緑化システムを当社エントランスに設置し、デザインや演出性に加え、適正な植栽の種類、光環境や温湿度環境、土壌水分などの各種データを取得し、商品価値のさらなる向上を図っています。

③ 鉄道関連製品の製造・販売をしていますが、鉄道会社に向けた鉄道関連製品の試験及び開発を行っています。