文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、インバウンド需要の増加および雇用情勢・所得環境の改善を背景に、緩やかな回復基調で推移しました。しかしながら、物価上昇の継続による個人消費への影響、米国の通商政策や中国の不動産市場の停滞、ロシア・ウクライナや中東地域の地政学リスクの高まりにより、未だ世界経済の先行きは不透明なままであり、不安定な状態が続いております。
当社グループの主力事業をおく電力業界では、エネルギーの安定供給と脱炭素化の両立に向けた制度整備が進展し、原子力発電では女川および島根発電所の再稼働や老朽炉の運転期間の延長、敷地内リプレースの方針明確化など、原子力を最大限活用することに向けた動きが加速しました。再生可能エネルギーは引き続き主力電源として位置づけられており、その普及拡大が進められています。一方で、その導入を着実に進めるためには、火力発電が基盤を支える役割を担う必要があり、特に、液化天然ガスを中心とした柔軟性の高い電源への移行や、高効率な石炭火力発電を含む既存火力発電設備の適切な維持・活用が、安定的な電力供給の確保において重要な取り組みとして示されております。
今後の見通しにつきましては、政府の総合経済対策によって、国内経済は緩やかな回復が期待されるものの、物価上昇の長期化、米国の通商政策による日本の輸出・製造業への影響等により国内景気に下押しリスクがあります。
一方、当社グループの主力事業をおく電力業界では、閣議決定された第7次エネルギー基本計画に基づき、「S+3E(安全性、エネルギーの安定供給、経済性、環境性)」の原則を大前提に、「DX(注1)とGX(注2)の進展による電力需要増加への対応」と「脱炭素化に向けた構造転換」の両立によるエネルギーの安定供給と脱炭素電源の確保に向けた取り組みを加速する方針が示されました。2040年を見据えた電源構成のあり方として、原子力発電、再生可能エネルギー、火力発電を、それぞれの特性と役割に応じてバランス良く活用する方向での検討が進められており、今後はこれらを具体的な施策として実行に移していくことが求められています。
次期連結会計年度においては、当社グループは、原子力発電所における安全対策工事の継続、大型火力発電所の建設に向けた人材の確保、海外拠点の組織体制の強化、さらに自社のバイオマス発電所を中心に林業・農業を1つにパッケージ化した「グリーンプロジェクト」の一層の推進等を通じて、企業価値を高め、持続可能な成長の実現に向け努力してまいります。
(注1)DX:デジタルトランスフォーメーション
(注2)GX:グリーントランスフォーメーション
当社グループのサステナビリティに関する考え方および取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、「社会課題の解決」と「中長期的な企業価値の向上」を目的として、代表取締役社長を委員長とした「サステナビリティ推進委員会」を設置しております。当社グループは「安全」、「人」および「コンプライアンス」をサステナビリティの最重要課題と位置づけ、これら個別の課題を解決するため「サステナビリティ推進委員会」を年2回開催し、サステナビリティに関するリスクおよび機会への対応方針や取組計画について委員長が取締役会へ報告を行うことで、取締役会がサステナビリティに関する施策について決議し監督する体制を整えております。

当社グループはサステナビリティを巡る課題として「安全」、「人」および「コンプライアンス」を最重要課題に掲げ、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のため、取り組みを強化します。
また、当社グループは企業行動憲章のなかで、個人の人権と個性を尊重し、働きやすい職場環境をつくることを明文化しております。また、事業の拡大に伴い人員増加を図る必要があるため、積極的な採用活動を行い、多岐にわたるスキルを持った人材を採用・育成することに力を入れて取り組んでおります。
1 人材育成
「責任者になれる人材の育成」を目標に掲げ、人材育成のための教育・研修に力を入れております。新卒入社後、職種ごとの業務に合わせた研修を行い、一人前の太平社員を育成することを目的としたOJT教育や、等級に応じた指導職研修や管理職研修などを実施しております。また、業務に必要な資格取得に対する報奨金制度を設け、社員のスキルアップを図っております。

2 多様な人材の活躍
女性活躍推進法における一般事業主行動計画では、「採用者に占める女性割合」や「管理職に占める女性の割合」、「女性社員の平均勤続年数」に対する目標を掲げており、女性総合職座談会などを通して、すべての女性社員が職場で活躍できる社内環境整備を実現してまいります。また、女性だけでなく、障がい者や外国人、様々な経歴を持つ中途採用者など多様な人材の採用と育成を推進し、働きがいのある職場を目指すことが重要であると考えております。
3 働き方改革
「従業員の心身の健康と仕事と生活の調和が第一」を基本方針とした全社統一運動「JITAN45」を推進しております。時間外労働時間削減、実労働時間の適正管理ならびに計画的な有給休暇取得の推進に努め、社員の多様なワークライフバランスの実現に取り組みます。
4 育児支援
「育児と仕事の両立支援」を実現するため、育児支援プロジェクトを設置し、出産・育児といったライフイベントによる退職を防止しております。育児休業、育児休業給付、産前産後休業などの諸制度について社内公開サイトを活用し、制度に対する社員の理解を促しております。
また、代替人員を確保することなどで男女ともに復職率はほぼ100%を維持しています。
当社グループでは、定期的に開催する「安全衛生委員会」、「品質保証委員会」、「法令遵守委員会」、「教育育成委員会」などの各種委員会で最重要課題のリスクと機会について状況を確認し、戦略の立案・見直しを行っております。
なお、気候関連のリスクおよび機会については、当社は売上高当たりCO2排出量が低く(0.07t/百万円)、企業活動においてその影響は軽微であると考えていることから、開示を省略しております。
当社グループでは、上記「(2) 戦略」において記載した内容に関する指標および目標について、当社においては指標のデータ管理とともに具体的な取り組みが行われているものの、連結子会社では行われていないため、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。
当有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 特定の業種項目への依存
当社グループの売上高は発電設備事業への依存度が高くなっており、電力業界の動向および重大な事故・災害の発生や、電力需要の伸び悩みおよび電力自由化による電気事業者のコスト削減要因などにより、多数の発電所の建設中止や停止という事態となった場合、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、特定の電力会社に依存することのないよう、全国に9つの支店を置き、各地方で受注活動を行っております。また、製鉄関係、清掃工場などの環境保全、化学プラント等の業界へ積極的な受注活動を行うことで、リスクの回避・最小化に努めております。
(2) 原子力事業の工事延伸による影響
原子力事業を取り巻く状況の変化、自然災害の発生、原子力規制委員会の審査状況、新規制基準への追加対応等により、予定していた工事が延伸する可能性があります。
当社グループでは、全国展開を行っている強みを活かし事業所間にて人員の調整を行うことにより、対応可能な人員配置を行っております。
(3) 重大な労働災害発生のリスク
施工中に当社グループの責任により、重大な労働災害(死亡災害・重篤な災害)が発生する可能性があります。
当社グループでは、重大な労働災害を未然に防止するため、「本質安全化」を主眼に置いた物的対策を全施工箇所で徹底しております。具体的施策として当社グループ全員に安全衛生教育を定期的に実施、当社ならびにビジネスパートナー(協力会社)経営層あるいは管理者による現地支援安全衛生パトロールの実施、災害が起きた際はたとえ軽微な事象であっても、発生経緯や原因・対策を当社グループ全体に共有し、類似災害の発生を防止するとともに、「法令・安全・品質強化プロジェクト」による滞在型パトロールを実施しております。
(4) 重大な不適合発生のリスク
当社グループの施工不良による製品損傷、または納入製品が性能基準に達していないことによる、重大な品質不適合が発生する可能性があります。
当社グループでは、詳細な施工要領書を作成し、箇所関係者全員で作業前検討会を行うことにより、品質の維持・向上を図っております。また、過去の不適合事例を当社グループ全体に共有し、作業前検討会等で不適合検討を行うことや、顧客の製品仕様を事前に十分確認し、性能基準を満たした製品の購入・手配ができるシステムの構築、「自主検査推進プロジェクト」により、当社グループ全員に一仕事一確認の意識を浸透させ、確認不足による不適合発生を未然に防止しております。
(5) 工事原価変動のリスク
工事施工中に材料費や労務費の高騰による大幅なコスト上昇により、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、工法改善、将来の工事需要の予測に基づき、必要な供給量を把握し、また工事業者、機器資材供給業者と情報共有し連携を図ることにより、リスクの回避・最小化に努めております。
(6) 資材価格高騰による労務単価低下のリスク
昨今の資材価格の高騰により、建設業においては労務費が圧迫され、適正な労務単価の確保が困難となる可能性があります。
当社グループでは、労務単価が著しく低く見積もられることのないよう、積算時の労務単価を適正な根拠をもとに設定し、当社グループ全体に周知徹底してまいります。
(7) 海外事業に関するリスク
当社グループは香港、フィリピンなどの国・地域において事業展開を行っております。これらの地域での事業活動には、予期しえない法律・規則・不利な影響を及ぼす租税制度の変更や、社会的共通資本(インフラ)が未整備であることによる当社グループの活動への悪影響、不利な政治的要因の発生、テロ・戦争・自然災害などによる社会的混乱、予期しえない労働環境の急激な変化、政情および経済状況不安定による悪影響や急激な為替変動により収益が減少する可能性があります。
当社グループでは、有事の際には、現地、工事部門、営業部門による情報収集を行い、また監査法人や顧問弁護士等専門家への相談を行い、情報収集、分析を行っております。契約については現地通貨と円貨の二本立てで締結することにより為替リスクの回避を検討しております。
(8) 自然災害等による影響
当社グループの拠点は、顧客のプラント設備の敷地内に存在し各地に点在しております。自然災害等によりプラント設備が被害を受けたり、従業員が被災したりする可能性があります。また、当社の情報資産、機器・ネットワーク等も損壊する可能性があります。
当社グループでは、人命第一と安全確保を最優先に考え、有事の際には顧客等関係先との協議を含め迅速な初動対応を実施できるよう危機管理マニュアルを策定し、これらの危機事象発生に伴う影響の最小化に努めております。さらに大規模地震等の災害が発生した場合に備え、BCP(事業継続計画)を推進し、災害発生時にもスムーズに初動対応・優先業務が行えるよう、平時から対応訓練実施等による事業継続力の向上に取り組んでおります。また、情報基盤の安定運用のため、オンプレミスサーバー(データセンタ)とクラウドを最適な配置とし、有事の際に備えたバックアップと回復訓練を実施しております。
(9) サイバー攻撃による情報漏洩のリスク
マルウエアなどのサイバー攻撃により、各種情報が外部に漏洩する可能性があります。
当社グループでは、ソフトウエアの最新化や多層防御による技術的対策、利用者への情報教育・訓練を実施しております。
(10) 内部不正による情報漏洩のリスク
当社グループの従業員による情報資産の不正利用リスクや、不適切な管理により情報資産が外部に漏洩する可能性があります。
当社グループでは、内部不正に備えて従業員への情報教育と適切なアクセス権限の設定、また情報漏洩に対しては情報資産管理の徹底(装置・アクセス権棚卸し等)と従業員への情報教育を実施しております。
(11) 法令に違反するリスク
当社グループの事業活動に関連する法令(建設業法、労働安全衛生法、労働基準法等)に違反した場合、行政処分により営業停止や各種許可の取消し、社会的信用を失墜する可能性があります。
当社グループでは、法令遵守委員会を毎月開催し、同業他社の行政処分事例を題材にし、類似事例が発生しないよう関係者への教育・啓発活動を実施しております。
(12) 訴訟のリスク
当社グループは国内外に拠点を持ち、質の高いサービスの提供に努めておりますが、業務遂行の過程で、損害賠償請求訴訟等を提起され、損害に対する補償が必要となる可能性があります。
当社グループでは、訴訟が提起された場合においては、弁護士の助言等に基づき、事態の調査を行い、適切な対応方針を策定の上、法定代理人を選任し、適切に訴訟対応手続を遂行する体制を整えております。また、経営に重大な影響を与えると認められる訴訟等については、監査役会および取締役会に報告しております。
(13) コンプライアンスに関するリスク
当社グループを構成する役員や従業員の各種規制への抵触や不正行為は、完全には回避できない可能性があり、このような事象が発生した場合、当社の社会的な信用が低下し、顧客から取引を停止され、または多額の課徴金や損害賠償が請求されるなど、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、教本を用いた教育啓蒙を実施することにより、世界共通の規範に基づきコンプライアンスに則した行動をするための体制や仕組みの構築を推進するとともに、倫理行動規準を定め、誠実で公正、透明な企業風土を醸成するよう努めております。また、社内にて内部通報制度を整備し、迅速な情報収集にも努めております。
(14) 企業の社会的責任に関するリスク
当社グループは労働災害の発生等の労働安全衛生に係る問題、または当社のサプライチェーン内における児童労働、強制労働や外国人労働者への差別等の人権に係る問題等が生じた場合、当社の社会的な信用が低下し、顧客からの取引停止、または一部事業からの撤退等により、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、サプライチェーン上の各種調査や監査、ステークホルダーとコミュニケーションを取る過程で、倫理行動規準からの逸脱行為があると判断した場合には、是正に必要な措置を講じます。
(15) 人材不足に関するリスク
当社グループは少子化等の要因による採用活動の難航や、社員の離職が続くことで、人材不足に陥る可能性があります。
当社グループでは、多様な人材を採用するために採用活動の強化に努め、働き方改革や育児支援を実施することで、リスクの回避・影響の最小化を図っております。
(16) 人材育成に関するリスク
当社グループは社員へ成長の機会が与えられないことによるモチベーションの低下や、業務遂行に必要な能力・スキルが獲得出来ないことが離職に繋がり、生産性が低下する可能性があります。
当社グループでは、研修や資格取得の機会を提供し、社員のモチベーションや生産性の向上に繋げ、リスクの回避・影響の最小化を図っております。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは2023年度よりスタートした中期経営計画を推進するなかで、予算統制のさらなる強化、原子力発電所の再稼働工事対応および施工エリア拡大、当社も一部出資する「横手湯沢フォレストサイクル株式会社」における木質バイオマス発電所のEPC(注)受注、天然ガス火力発電所の建設工事の施工、海外事業の一貫した管理体制構築に向けた海外事業本部の新設に取り組んでまいりました。また、「グリーンプロジェクト」を通じ、地域循環型社会の実現に貢献する新たな事業を展開してまいりました。さらに、サステナビリティ経営をより一層推進するため、「サステナビリティ推進委員会」を立ち上げ、中長期的な企業価値向上と社会課題の解決を目指した体制を整備しました。
(注)EPC:Engineering(設計)、Procurement(調達)、Construction(建設)
当連結会計年度の業績につきましては、受注高153,773百万円(前年同期比13.1%増)、売上高125,670百万円(前年同期比2.9%減)、うち海外工事は5,974百万円(前年同期比31.2%減)となりました。
利益面につきましては、営業利益13,037百万円(前年同期比29.7%増)、経常利益13,808百万円(前年同期比19.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益9,753百万円(前年同期比16.2%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
受注高は、原子力発電設備工事が減少したものの、事業用火力発電設備工事および環境保全設備工事が増加したことにより、部門全体として増加し、54,231百万円(前年同期比28.2%増、構成比35.3%)となりました。
売上高は、事業用火力発電設備工事および環境保全設備工事が減少したことにより、部門全体として減少し、39,152百万円(前年同期比16.6%減、構成比31.2%)となり、セグメント利益は1,523百万円(前年同期比5.3%減)となりました。
(補修工事部門)
受注高は、原子力発電設備工事および製鉄関連設備工事が増加したことにより、部門全体として増加し、99,542百万円(前年同期比6.3%増、構成比64.7%)となりました。
売上高は、自家用火力発電設備工事が減少したものの、事業用火力発電設備工事および環境保全設備工事が増加したことにより、部門全体として増加し、86,518百万円(前年同期比5.0%増、構成比68.8%)となり、セグメント利益は15,523百万円(前年同期比26.8%増)となりました。
(2) 財政状態
流動資産は、受取手形・完成工事未収入金及び契約資産が1,149百万円および流動資産その他が538百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べて1,776百万円増加し108,609百万円となりました。
固定資産は、建物・構築物が538百万円減少したものの、投資有価証券が959百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べて276百万円増加し46,466百万円となりました。
流動負債は、電子記録債務が11,837百万円および1年内償還予定の社債が5,000百万円減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べて15,624百万円減少し23,491百万円となりました。
固定負債は、長期借入金が1,904百万円減少したものの、社債が5,000百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べて3,211百万円増加し16,526百万円となりました。
純資産は、資本剰余金が3,309百万円および利益剰余金が7,124百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べて14,465百万円増加し115,057百万円となりました。
なお、セグメント資産については、事業セグメントに配分された資産がないため、記載を省略しております。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は42,104百万円となり、前連結会計年度末より185百万円増加しました。なお、各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(イ) 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは2,525百万円の支出(前連結会計年度は4,639百万円の支出)となりました。これは、税金等調整前当期純利益14,699百万円があったものの、仕入債務の減少13,125百万円および法人税等の支払額3,815百万円があったことによるものであります。
(ロ) 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは51百万円の収入(前連結会計年度は895百万円の支出)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出769百万円があったものの、有形固定資産の売却による収入900百万円があったことによるものであります。
(ハ) 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは2,622百万円の収入(前連結会計年度は1,676百万円の支出)となりました。これは、配当金の支払額2,637百万円があったものの、新株予約権の行使による株式の発行による収入5,302百万円があったことによるものであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。
当社グループの資金の配分方針については、安定的な経営に必要となる適正な手許現金および現金同等物を確保し、それを超える部分については、成長投資、株主還元等への原資としており、企業価値向上に資する資金の配分に努めております。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、工事施工のための外注費用および人件費をはじめとする販売費及び一般管理費であります。運転資金に対しては原則、自己資金により賄っており、不足が生じた際はコミットメントライン契約に基づく借入、社債、および長期借入金により調達することとしております。
また、西風新都バイオマス発電所の建設費用等、設備投資資金需要に対しては自己資金、長期借入金および新株予約権により調達することとしております。なお、西風新都バイオマス発電所建設費用の資金調達においては、取引銀行2行とコミット型シンジケートローン契約を締結し、融資限度額である50億円の借入を実行し、現在返済中であります。
また、当社グループでは、資金の短期流動性を確保するため、シンジケート銀行団と150億円のコミットメントライン契約を締結し流動性リスクに備えております。
成長投資については、2024年度の設備投資額は865百万円となりました。設備投資の詳細につきましては、第3「設備の状況」をご参照ください。2025年度につきましては、中期経営計画で示した方針に則り情勢を鑑みながら適切な投資を実行してまいります。
株主還元につきましては、第4「提出会社の状況」3「配当政策」をご参照ください。
(4)生産、受注及び販売の実績
当社グループが営んでいる事業の大部分を占める建設事業では生産実績を定義することが困難であり、建設事業においては請負形態をとっているため販売実績という定義は実態にそぐわないので、受注高および売上高で表示しております。
受注実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
売上実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
(注) 売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高およびその割合は次のとおりであります。
なお、提出会社にかかる施工高、受注高および売上高の状況が当社グループの施工高、受注高および売上高の大半を占めていますので、参考のために提出会社個別の事業の状況を示せば次のとおりであります。
(注) 1 前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額に増減のあったものについては当期受注工事高にその増減が含まれております。したがって当期売上高にもかかる増減が含まれます。
2 次期繰越工事高の施工高は支出金により手持工事高の施工高を推定したものであります。
3 当期施工高は(当期売上高+次期繰越施工高-前期繰越施工高)に一致します。
4 当期受注工事高のうち海外工事の割合は、前事業年度2.1%、当事業年度2.4%であります。
工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。
(注) 百分比は請負金額比であります。
(注) 1 海外工事の地域別売上高割合は、次のとおりであります。
2 完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。
前事業年度 請負金額10億円以上の主なもの
当事業年度 請負金額10億円以上の主なもの
3 売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高およびその割合は次のとおりであります。
④ 手持工事高
2025年3月31日現在
(注) 手持工事のうち請負金額10億円以上の主なものは、次のとおりであります。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。なお、連結財務諸表作成に際しては経営者の判断に基づく会計方針の選択・適用、資産・負債および収益・費用の報告に影響を与える見積りが必要でありますが、この判断および見積りは、過去の実績を勘案するなど、可能な限り合理的な根拠を有した仮定や基準を設定した上で実施しております。しかしながら、事前に予測不能な事象の発生等により実際の結果が現時点の見積りと異なる場合も考えられます。
当社グループの連結財務諸表で採用した重要な会計方針は、第5「経理の状況」1「連結財務諸表等」(1)「連 結財務諸表」の「注記事項」(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載しておりますが、以下に掲げる項目は、連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に影響を及ぼすと考えておりますので、特に記述いたします。
(一定の期間にわたり充足される履行義務による完成工事高及び工事損失引当金の計上方法)
当社グループは、一定の期間にわたり充足される履行義務については、履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗度に基づき一定の期間にわたり収益を認識しております。なお、履行義務の充足に係る進捗度の見積りの方法は、見積工事原価総額に対する発生原価の割合(インプット法)によっております。工事進捗度を算出するにあたり採用した見積工事原価総額は、工事の進捗等により変更が必要となることがあるため、見積りの適時見直しを行っております。また将来の発生が見込まれる、一定の要件を満たす特定の費用または損失については工事損失引当金を計上しております。
なお、当該見積りは当連結会計年度末時点において合理的に認識できる施工仕様等を加味した最善の見積りであるものの、将来の施工環境の変化や契約リスクの顕在化などにより、当社の主要な原価要素を構成する外注工数および発注単価等に大幅な変更が必要となった場合、翌年度の業績および財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがあります。
該当事項はありません。
当社グループの研究開発は、工事施工の能率および安全性の向上を目的とした機械・工具等の開発・改良と、受注領域拡大のための新分野技術の研究・習得を主体として行っております。開発品および開発工法を通じ、社員指導教育も併せて実施することで社員の専門知識の向上、技術レベルの向上を目指し活動を行っております。
当連結会計年度における各種プラント設備の建設、補修、維持関連の研究開発費はグループ全体で
当社は、国際連合が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)の一つである「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」の達成に貢献するため、バイオマス発電所を中心に地域循環型社会の実現に向けた取り組みを進めております。
バイオマス発電とは、木材などの植物資源を燃料とし、燃焼時の熱を利用する発電のことを指します。植物を燃焼した際、CO2が排出されますが、植物は成長過程でCO2を吸収するため、CO2の排出量と吸収量は相殺され、大気中のCO2を増加させない、「カーボンニュートラル」な発電方法であります。当社は、これをさらに発展させ、バイオマス発電所から排出されたCO2を回収し、農業ハウス内の農作物へ施肥することで、排出量を実質的にマイナスにする「カーボンネガティブ」の実現を目指しております。
この活動の基礎となるデータ収集のため、2022年度から広島大学と共同で研究を進めております。2024年度は、当社所有の「西風新都バイオマス発電所」の排ガスから回収した純度の高いクリーンなCO2を敷地内にある農業ハウスに供給し、実際の栽培環境で多品種の農作物のCO2吸収量を測定する比較試験を行いました。CO2を供給した農作物は、収量増加や風味向上といった効果が期待できます。
本研究の成果を全国展開し、持続可能な社会の実現に貢献できるよう、今後も研究を進めてまいります。
原子力発電設備の廃止措置分野は、今後、廃炉ユニットの増加が予想されます。当社は、原子力発電所における豊富なメンテナンス・補修実績を生かし、廃止措置工事における技術的課題をいち早く掴み、当該分野における技術的優位性の確立と受注拡大を目指しております。そこで、原子力発電設備の廃止措置工事に適応可能な技術について、2017年度から産学連携で福井工業大学と共同研究を継続して行っております。
2024年度は、「超音波とゲルを組み合わせた除染技術の開発」について共同研究を行いました。当初、物理的除染法に関して、超音波によって発生するキャビテーション(液体中の圧力差による微細な泡の発生と消滅)の衝撃波を利用し、構造物表面に付着した放射性物質を除去する技術を検討しました。しかし、超音波は伝播距離や媒質によって減衰するため、大型構造物の除染には装置の大型化が必要となること、また、付着物を脱離させることは可能でも、化学的に強固に結合している酸化物を除去することは困難であることが判明しました。そこで、超音波の使用を改め、2023年度に開発した除染剤の性能向上を図る研究に取り組みました。具体的には開発した除染剤に研磨剤を添加し、ウェットブラスト装置を使用して除染することの検討※1を行い、また、噴霧作業の環境改善を目的とした、除染剤に増粘剤を加えペースト状にする手法※2を考案しました。本件に関して下記2件の特許を出願しております。
※1 「スラリー及び除染方法」 (特願2024-211711)
※2 「ペースト状組成物及びペースト状組成物の生成方法」 (特願2024-155383)
次年度は、2024年度に開発したこれらの手法の現場適用性を検証するための研究を進めてまいります。