第2 【事業の状況】

 

「第2  事業の状況」における各事項の記載については、消費税等抜きの金額で表示している。

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループは、創業理念である「和の精神」「誠意・熱意・創意」の下、「仕事が仕事を生む」の企業精神に則り、事業活動を通じ誠実なモノづくりに専心し、社会の安全・安心・快適の増進に寄与することを基本理念としている。
 この基本理念の実現に向けて、刻々と変化する社会やお客様の声に真摯に耳を傾け、変化を敏感に捉える感性や要望を具現化するための技術・ノウハウを磨き、変わることを恐れず、日々挑戦・成長し続けていく。また、様々な課題解決や日々の改善活動において、現場・現物・現人主義を以って的確かつ迅速に対応し、さらに、法令遵守はもちろんのこと、CSR活動についても積極的に取り組み、社会と共に持続的発展を目指し、公正で堅実な経営に徹する。
  そしてあらゆるステークホルダーから信頼され、選ばれ、感謝される企業となることを基本方針としている。
 当社グループの主たる事業である建設業界についての見通しは、短・中期的には、2020年東京オリンピック・パラリンピック関連の需要喚起や経済政策等の各種効果により、一定の建設需要が見込まれるものの、長期的には震災復興需要の一巡、オリンピック需要の終了、公共投資の抑制など再び厳しい競争環境になることが予想される。また、今後の人口減少局面における建設投資の質的変化への対応や、建設技能労働者の高齢化や大量離職等に対する生産性の向上への取組み、高い頻度でおこる自然災害への対応など業界を挙げて取り組むべき課題は山積している。
 このような状況の中、当社グループとしては、来るべき長期的課題へ対応すべく、当社事業の基礎固めとして、2018年度を初年度として策定した新中期3ヵ年計画を基に、建設事業における収益力・競争力のさらなる強化や、新技術・新事業へ挑戦し、持続的成長に資する経営基盤の確立を目指した取組みを展開していく。
 具体的には、最終利益を見据えた選別受注、建設生産フローのそれぞれの段階の再構築による強化、新規事業への投資や財務基盤の更なる強化を推進し、安定した業績の確保・継続を目指す。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものである。

 

 

2 【事業等のリスク】

当社グループの事業に関する経営上のリスクについては、建設業の特性である工事の着工から完成引渡しまでの期間が長いという事情も合わせて、下記のものが考えられる。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものである。

 

(1) 事業環境の変化に伴うリスク

予想を上回る公共工事の削減が行われた場合や民間建設需要の大幅な減少が生じた場合、業績等に影響を及ぼす可能性がある。

(2) 資材調達価格等の変動に伴うリスク

主要資材価格や労務コストの価格が高騰した場合、請負金額への転嫁ができず業績等に影響を及ぼす可能性がある。

(3) 災害発生に伴うリスク

施工中に天候等の原因により予期せぬ災害が発生した場合、工期の遅延や追加費用の発生等により、業績等に影響を及ぼす可能性がある。

(4) 取引先の信用リスク

一取引毎の請負代金が大きい建設業において、工事代金の受領前に取引先が信用不安に陥った場合、未受領の工事代金の回収が不能になり、業績等に影響を及ぼす可能性がある。

(5) PFI事業に係る事業環境の変化に伴うリスク

長期にわたる運営期間の間に事業環境に著しい変化があった場合、業績等に影響を及ぼす可能性がある。

(6) 瑕疵担保責任の負担リスク

当社グループの施工物件に重大な瑕疵が発生した場合、その瑕疵担保責任による損害賠償等が発生し、業績等に影響を及ぼす可能性がある。

(7) 金利水準等の変動リスク

金融市場において、予期せぬ経済情勢の変化により金利が急激に上昇した場合、又は株価が大幅に下落した場合、業績等に影響を及ぼす可能性がある。

(8) 法的規制等に伴うリスク

当社グループの事業は、建設業法、建築基準法、国土利用計画法、都市計画法、宅地建物取引業法、独占禁止法、品質確保法、建設リサイクル法、産業廃棄物法等により法的な規制を受けている。これらの法律の改廃や新設、適用基準の変更等により、業績等に影響を及ぼす可能性がある。
 また、コンプライアンス体制の充実を図っているが、これらの法令に違反した場合、行政処分を受けることなどにより、業績、事業運営等に影響を及ぼす可能性がある。

(9) 訴訟等に伴うリスク

係争中の事案や将来の訴訟等において、当社グループの主張や予測と相違する結果となった場合は、業績等に影響を及ぼす可能性がある。

(10) 海外事業に伴うリスク

海外工事案件について、日本とは施工環境及び経済環境が異なることから、テロ・紛争等による政情の不安定化、経済情勢の変動、為替レートの変動により業績に影響を及ぼす可能性がある。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりである。

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国の経済は、企業収益の拡大や雇用・所得環境の改善が続くなか、設備の老朽化に伴う設備投資や個人消費の拡大もあり、緩やかな回復基調で推移した。海外に目を向けると米国の保護主義政策などの影響で、円高が進むなど世界経済情勢に動揺が広がった年でもあった。
 当社グループの主たる事業である建設業界においては、公共建設投資については、復興予算の実施など堅調に推移し、民間建設投資については、回復基調の海外輸出関連をはじめとする企業収益の改善を背景として、持ち直しの動きが見られ、設備投資等により、建設投資全体としては堅調に推移した。
 このような環境の下、当社グループの財政状態は、資産合計は1,034億1千5百万円となり前連結会計年度末に比べ0.9%の減少、負債合計は681億9千1百万円となり前連結会計年度末に比べ8.3%の減少、純資産合計は352億2千3百万円となり前連結会計年度末に比べ17.1%の増加となった。
 当社グループの経営成績は、当連結会計年度の受注高は、期初計画を上回り1,387億6千5百万円となり、前連結会計年度比9.4%減少となった。
 売上高については、1,434億3千4百万円となり、前連結会計年度比8.1%の増加となった。
 損益に関しては、完成工事高の増加と工事採算の改善等により完成工事総利益が期初の計画を大きく上回り、売上総利益については、151億5千8百万円(前年同期比13.6%増)となった。また、営業利益及び経常利益については、それぞれ、営業利益79億5千3百万円(前年同期比19.3%増)、経常利益76億9百万円(前年同期比19.2%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益については、52億2千1百万円(前年同期比28.4%減)となった。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりである。

(建  築)

受注高は1,151億7千1百万円(前年同期比3.8%減)、売上高は1,191億3千4百万円(前年同期比14.3%増)となり、セグメント利益は112億7千5百万円(前年同期比14.1%増)となった。

(土  木)

受注高は235億9千4百万円(前年同期比29.2%減)、売上高は230億4千7百万円(前年同期比15.8%減)となり、セグメント利益は35億7千1百万円(前年同期比10.4%増)となった。

 

また、「その他」の事業については、売上高12億5千3百万円(前年同期比15.9%増)、セグメント利益1億3千万円(前年同期比194.5%増)となった。

 

② キャッシュ・フローの状況

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動による資金の増加は31億4千万円(前連結会計年度142億3千1百万円の資金の増加)となった。これは主に未払金が減少したものの、税金等調整前当期純利益を計上したことによるものである。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による資金の減少は6億9千8百万円(前連結会計年度5億4千7百万円の資金の増加)となった。これは主に有形固定資産の取得による支出によるものである。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による資金の減少は21億9千1百万円(前連結会計年度70億1千9百万円の資金の減少)となった。これは主に短期借入金の返済によるものである。

 

以上の結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物は、1億9千3百万円増加し、当連結会計年度末には399億1千3百万円(前連結会計年度比0.5%の増加)となった。

 

③生産、受注及び売上の状況

a.受注実績

セグメントの名称

前連結会計年度

(自  平成28年4月1日

至  平成29年3月31日)

(百万円)

当連結会計年度

(自  平成29年4月1日

至  平成30年3月31日)

(百万円)

建  築

119,754

115,171

土  木

33,341

23,594

合計

153,096

138,765

 

 (注)  当社グループでは建設事業以外では受注生産を行っていない。

 

b.売上実績

セグメントの名称

前連結会計年度

(自  平成28年4月1日

至  平成29年3月31日)

(百万円)

当連結会計年度

(自  平成29年4月1日

至  平成30年3月31日)

(百万円)

建  築

104,231

119,134

土  木

27,387

23,047

その他

1,080

1,253

合計

132,699

143,434

 

 (注) 1  セグメント間の取引については相殺消去している。

 2  当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載していない。

 3  売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先はない。

 

なお、参考のため提出会社個別の事業の状況は次のとおりである。

 

建設事業における受注工事高及び完成工事高の状況

a.受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高

期別

区分

前期繰越
工事高
(百万円)

当期受注
工事高
(百万円)


(百万円)

当期完成
工事高
(百万円)

次期繰越
工事高
(百万円)

前事業年度

(自  平成28年4月1日

至  平成29年3月31日)

建築工事

90,263

119,754

210,017

104,231

105,785

土木工事

26,536

33,341

59,877

27,387

32,490

116,799

153,096

269,895

131,618

138,276

当事業年度

(自  平成29年4月1日

至  平成30年3月31日)

建築工事

105,785

115,171

220,957

119,134

101,823

土木工事

32,490

23,594

56,084

23,047

33,037

138,276

138,765

277,042

142,181

134,860

 

 (注) 1  前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にそ 
 の増減額を含む。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれる。

 2  次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)である。

 

 

b.受注工事高の受注方法別比率

工事受注方法は、特命と競争に大別される。

期別

区分

特命
(%)

競争
(%)


(%)

前事業年度

(自  平成28年4月1日

至  平成29年3月31日)

建築工事

34.2

65.8

100

土木工事

39.5

60.5

100

当事業年度

(自  平成29年4月1日

至  平成30年3月31日)

建築工事

31.5

68.5

100

土木工事

31.4

68.6

100

 

 (注)  百分比は請負金額比である。

 

c.完成工事高

期別

区分

官公庁
(百万円)

民間
(百万円)


(百万円)

前事業年度

(自  平成28年4月1日

至  平成29年3月31日)

建築工事

23,272

80,959

104,231

土木工事

21,757

5,629

27,387

45,029

86,589

131,618

当事業年度

(自  平成29年4月1日

至  平成30年3月31日)

建築工事

26,636

92,498

119,134

土木工事

16,640

6,406

23,047

43,277

98,904

142,181

 

 (注) 1  完成工事高のうち請負金額10億円以上(建築)、5億円以上(土木)の主なものは、次のとおりである。

 

前事業年度

関東地方整備局

世田谷地方合同庁舎(仮称)(13)建築その他工事

ホクト株式会社

ホクト株式会社(仮称)富山きのこセンター新築工事

社会福祉法人武蔵野会

社会福祉法人武蔵野会 さくら学園第Ⅱ期耐震化建替工事

関電不動産開発株式会社

(仮称)豊中市上新田マンション(北計画・南計画)新築工事

日野セールスサポート株式会社

(仮称)東京日野自動車株式会社八王子支店新築工事

フジ住宅株式会社

枚方市香里ヶ丘(C-3)(C-4b)(C-7)宅地造成工事

豊中市上下水道局

平成26年度寺内配水池耐震補強工事

宮城県多賀城市

平成27年度公共下水道雨水工事(明月-1-4工区)

 

 

当事業年度

大和ハウス工業株式会社

(仮称)DPL川口領家新築工事

阪急不動産株式会社

ジオ四谷荒木町新築工事

地方独立行政法人芦屋中央病院

芦屋中央病院建設工事

社会医療法人蒼生会

社会医療法人蒼生会 蒼生病院建替新築工事

シモハナ物流株式会社

シモハナ物流(株)浦和第2センター計画

大阪府守口市

寺方小・南小学校統合校新築工事

独立行政法人都市再生機構
東日本賃貸住宅本部

豊四季台団地(建替)第3期第1住宅建設工事

環境省福島地方環境事務所

平成27年度浪江町除染等工事(その4)

 

 

      2  前事業年度及び当事業年度ともに完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先はない。

 

 

d.次期繰越工事高(平成30年3月31日現在)

区分

官公庁
(百万円)

民間
(百万円)


(百万円)

建築工事

38,081

63,741

101,823

土木工事

26,783

6,253

33,037

64,865

69,994

134,860

 

 (注)  次期繰越工事のうち請負金額10億円以上(建築)、5億円以上(土木)の主なものは、次のとおりである。

 

積水ハウス株式会社

(仮称)中野区江古田三丁目計画C街区C2・C3・
C4棟新築工事

平成30年8月完成予定

大和ハウス工業株式会社
南海不動産株式会社
南海電気鉄道株式会社
オリックス不動産株式会社

(仮称)滋賀県大津市春日町計画新築工事

平成31年9月完成予定

TNN GUAM

グアム日航ホテル新棟建設工事

平成31年1月完成予定

一般財団法人成研会

(仮)汐の宮温泉病院建替工事

平成31年1月完成予定

合同会社甲子園開発

(仮称)甲子園ホテル増築計画

平成30年7月完成予定

関東地方整備局

東京外環中央JCT北側ランプ函渠工事

平成31年3月完成予定

西日本高速道路株式会社
関西支社

阪和自動車道 和歌山南スマートインターチェンジ
工事

平成31年2月完成予定

枚方市上下水道局

公共下水道第68工区サダ雨水貯留管整備工事

平成31年3月完成予定

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に準拠し作成しているが、この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われており、資産・負債や収益・費用の金額に反映されている。
 これらの見積りについては、過去の実績等を踏まえながら継続して評価し、必要に応じ見直しを行っているが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらとは異なることがある。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(財政状態及び経営成績)

当連結会計年度末における財政状態は、未収入金が増加したものの、未成工事支出金の減少及び、繰延税金資産の減少などにより、総資産が前連結会計年度末より9億7千9百万円減少し、1,034億1千5百万円となった。負債については、短期借入金の減少及び、未払金の減少などにより、前連結会計年度末より61億3千2百万円減少し、681億9千1百万円となった。また、純資産については、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により利益剰余金が43億8千3百万円増加したことなどにより352億2千3百万円となった。
  その結果、当連結会計年度末の自己資本比率は前連結会計年度末より5.2%増加し33.9%となり、1株当たり純資産については前連結会計年度末より61円45銭増加し、419円10銭となった。

 

当連結会計年度における経営成績は、受注高については、官庁工事が前連結会計年度比17.4%増加の585億2千6百万円、民間工事では前連結会計年度比22.3%減少の802億3千9百万円となった。全体では前連結会計年度比9.4%減少の1,387億6千5百万円となった。
  完成工事高については、前連結会計年度比8.0%増加の1,421億8千1百万円となった。
  損益については、工事採算の改善等による完成工事総利益の増加により、売上総利益が前連結会計年度比13.6%増加の151億5千8百万円となった。
  また、販売費及び一般管理費は従業員給料手当等の増加により前連結会計年度比7.8%増加の72億5百万円となったが、売上総利益の増加により、営業損益は79億5千3百万円の利益(前連結会計年度比19.3%増加)、経常損益は76億9百万円の利益(前連結会計年度比19.2%増加)となった。親会社株主に帰属する当期純損益は52億2千1百万円の利益(前連結会計年度比28.4%減少)となった。

 

(セグメントごとの経営成績)

建築部門の経営成績は、受注高は計画値を上回ったが、前連結会計年度比45億8千2百万円の減少となった。売上高は大型案件を含む工事の進捗が進んだことにより、前連結会計年度比149億2百万円の増加となった。セグメント利益は売上高の増加に伴い、前連結会計年度比13億9千5百万円の増加となった。
 土木部門の経営成績は、受注高は計画値を上回ったが、前連結会計年度比97億4千7百万円の減少となった。売上高は前年度に大型工事の完成が集中したことにより、前連結会計年度比43億4千万円の減少となった。セグメント利益は売上高の減少があったものの、工事採算の改善等により、前連結会計年度比3億3千5百万円の増加となった。
 その他の部門の経営成績は、売上高は前連結会計年度比1億7千2百万円の増加、セグメント利益は前連結会計年度比8千6百万円の増加となった。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

(キャッシュ・フローの状況)

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況  3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析  (1) 経営成績等の状況の概要  ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりである。
  当社グループは、2018年度を初年度とした中期3カ年計画を策定し、目指す企業像の実現に向けた積極投資及び資金使途として、3年間で200億円の資金投入を実施する予定である。
 主な内訳は以下のとおりである。

 

 (投資計画)

 技術研究所関連およびICT・基幹システム関連等への投資    50億円

 コンセッション及び海外事業強化(M&A等)に向けた投資     50億円

 (使途計画)

 協力会社との連携強化を目的とした支払の現金化          100億円

 

(財務政策)

当社グループは現在、運転資金及び設備投資資金については、自己資金又は借入により資金調達することとしている。また、より一層の財務基盤の強化を図ることを目的としてコミットメントライン契約を締結している。

 

4 【経営上の重要な契約等】

特記事項なし。

 

 

5 【研究開発活動】

当社グループは、創業理念である「和の精神」「誠意・熱意・創意」の下、「仕事が仕事を生む」の企業精神に則り、事業活動を通じ誠実なモノづくりに専心し、社会の安全・安心・快適の増進に寄与することを基本理念として、変化する社会やお客様のニーズに対応できる技術開発を、技術研究所を拠点に推進している。

当社では、高度化する建設技術へのニーズに対応し、新たな価値創出を加速するため、前連結会計年度から3ヵ年をかけて、技術研究所の施設および設備を一新し、研究開発機能を強化している。当連結会計年度では、全社員の教育研修を担う施設として、改修した既存研究棟の活用も開始した。さらに、既設の水平垂直2軸振動台試験機に代えて3軸同時永久磁石振動台システムを導入するとともに、200kN油圧式疲労試験機、卓上電子顕微鏡などを新たに購入し、試験や調査能力の強化をはかった。本年3月から実地型技術研修にも利用できる多目的実験スペースおよび倉庫をもつ増築棟の建設を開始し、次期連結会計年度中の完成を目指している。

研究開発活動としては、免震および制震技術などの高品質・高性能な構造物を実現する技術、ストック活用・再生技術、環境技術および施工改善・生産性向上に資する技術の研究開発と商品化に注力している。さらに、研究開発活動の幅を広げ、効率を高めるため、大学、同業他社および異業種企業との共同研究を積極的に行っている。

当連結会計年度における研究開発費の総額は2億2千9百万円である。

当連結会計年度の主要な研究開発活動は以下のとおりである。なお、子会社においては研究開発活動は特段行われていない。

(建築及び土木)
[高品質・高性能な構造物の実現技術]
(1) 免震および制震技術の高度化

建築物の免震および制震技術について、設計技術の高度化と当該技術による合理化を目指して大学と共同研究を進めている。当連結会計年度では、物流施設、集合住宅などを対象とした免震構造における設計・施工の合理化方法の研究開発を進めた。その結果、物流施設などの杭頭免震構造を対象とした淺沼式杭頭接合部定着工法を開発し、実物件に適用して合理化をはかることができた。さらに、免震建物において地盤条件に適した杭基礎の選定が可能となる淺沼式免震杭基礎最適化手法を開発した。

 

(2) 鉄筋コンクリート造壁のひび割れ誘発目地工法「CCB―NAC工法」の展開

当社では、鉄筋コンクリート造壁に不可避な乾燥収縮によるひび割れを、壁に設けた目地内で確実に誘発させ、高品質な壁を築造する「CCB工法」、この技術を発展させた「CCB―NAC工法」を開発してきた。前連結会計年度に一般財団法人日本建築総合試験所の建築技術性能証明を取得したことで、当連結会計年度では実物件への適用を本格化させ、16物件に採用された。

 

(3) 低炭素型環境配慮コンクリートの開発

コンクリートの主原料であるセメントはその製造時にCO2を大量に排出し、鉄筋コンクリート造建物を施工する際に排出するCO2総量の半分近くを占め、温暖化対策の面で課題となっていた。当社では、セメントの一部に代えて製鉄所の副産物である高炉スラグ微粉末を混和材料として使用して、CO2の排出量を削減した環境配慮型コンクリートの開発をすすめている。今後、技術性能証明を取得し、利用拡大をはかることを目指している。

 

[ストック活用・再生に関する技術]
(4) 収縮低減型の中・高流動コンクリート「スムースフィルクリート」の展開

耐震補強工事などに用いる低コストで製造方法も簡便な収縮低減型の中・高流動コンクリート「スムースフィルクリート」を開発し、前連結会計年度に一般財団法人日本建築総合試験所の建築技術性能証明を取得したことで、当連結会計年度では実物件への適用を本格化させ、耐震改修工事など2物件に採用された。

 

[施工改善・生産性向上に資する技術]
(5) 鉄骨造建物を対象とした合理化技術の開発

近年、建築現場の人手不足にともない、建築着工の比率が増加している鉄骨造を対象とした合理化技術の開発を強化している。当連結会計年度においては、間柱の埋め込み柱脚の省力化工法の実物件への本格的な適用をすすめ、3物件(350箇所)に採用された。

 

 (6)タイル剥落防止工法の開発

外壁タイルの落下は、第三者災害を引き起こす可能性があり、特に、大地震時に建物からのタイルの剥落を防止する工法が求められている。当社では、独自の「繊維植え込みシートを用いたタイル剥落防止工法」を既に開発しているが、本工法の適用を拡大するため、前連結会計年度から一般財団法人日本建築総合試験所の建築技術性能証明の取得に向けて実験などの作業をすすめてきた。次期連結会計年度での性能証明取得を目指している。

 

 (7)ICTを用いた品質・生産性向上のための開発

当社での設計・施工におけるBIM(ビルディングインフォメーションモデリング)活用はBIM推進室を中心に、全社的にすすめている。技術研究所ではVR(バーチャルリアリティー)を駆使し、コンピュータ上の仮想空間を利用した技術教育システムの構築およびMR(複合現実)を利用した品質管理システムの可能性の調査研究などをすすめている。

 

 (8)熟練技能維持システムの開発

土木現場で技能労働者に受信機を付けたセンサーを装着させ、個々の作業員の動線をデータ化し、統計解析や映像分析になどにより、熟練技能労働者と未熟練技能労働者の動き方の違いを「見える化」することで、未熟練技能労働者の作業改善につなげるシステムの開発を行っている。
 将来的には次世代建設生産の活性化への対応として、IOTを活用した生産管理システムの構築を目指していく。
 

また、「その他」の事業においては研究開発活動は特段行われていない。