「第2 事業の状況」における各事項の記載については、消費税等抜きの金額で表示しております。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 基本理念
当社グループは、創業理念であります「和の精神」「誠意・熱意・創意」の下、「仕事が仕事を生む」の企業精神に則り、事業活動を通じ誠実なモノづくりに専心し、社会の安全・安心・快適の増進に寄与することを基本理念としております。
この基本理念の実現に向け、事業活動を通じお客様をはじめとする、あらゆるステークホルダーから信頼され、選ばれ、そして感謝される企業となることを基本方針としており、そのために、刻々と変化する社会やお客様のニーズに柔軟に対応するための技術力、知力、感性を磨き、組織力を以って事業を継続、発展させ、机上の議論より実践を重んじ、現場・現物・現人主義を以って、的確かつ迅速にことにあたり、社会のルールを遵守し、社会と共に持続的発展を目指し、公正で堅実な経営に徹しております。
(2) 見通し
次期の見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、世界の経済活動は縮小を余儀なくされており、中国においては正常化しつつあるものの、欧米諸国においては感染症の収束が見えつつあるとは言え、まだまだ正常化には至らず、一方新興国では感染拡大が続いており、収束が見えない状況となっております。わが国においてもほぼ全ての経済活動に影響が出ており、収束の兆しはあるものの、感染再拡大の可能性も否めず、先行きが見通せない状況にあります。
当社グループの主たる事業である建設業界につきましては、次期(2020年度)の建設投資は、公共・民間とも堅調さを維持するものと期待されておりましたが、新型コロナウイルス感染症の収束までの期間が長引くようであれば、建設投資の先送りや抑制などが予想され、また製造業をはじめとするサプライチェーンの寸断による資材不足や労務不足など、事業環境に多大な影響を及ぼすことが懸念されます。
中・長期的には、人口減少による建設需要の減少や公共投資の抑制など再び厳しい競争環境になることが予想され、また、建設投資の質的変化への対応や建設技能労働者の高齢化・大量離職をカバーする生産性向上への取組み、近年高い頻度で起こる大規模な自然災害への対応など業界を挙げて取り組むべき課題は山積しております。
(3) 中期3ヵ年計画
当社は、2018年度を初年度とする中期3ヵ年計画を策定しており、足下は堅調な事業環境が見込めるこの期間を、近い将来必ず来ると想定される厳しい経営環境下でも安定した成長を続けるための「基礎固め」の3年間と位置づけ、建設事業における収益力・競争力のさらなる強化を図り、持続的成長に資する経営基盤の確立を目指して中期計画における各施策に取り組んでおります。
中期3ヵ年計画の概要は以下のとおりであります。
① テーマ
当計画の策定に当たり、テーマを「淺沼組らしさ(独自性)の追求」としました。将来も自らの使命である「社会の安全・安心・快適の増進に寄与する」を果たし続けるためには、例え厳しい環境になったとしても、成長し続ける必要があり、そのために、淺沼組らしさを追求し独自性の確立が急務と考えております。
② 基本方針
a.建設事業における収益力・競争力のさらなる強化
b.新技術・新事業への挑戦
c.持続的成長に資する経営基盤の確立
③ 基本方針に則った具体的な取り組みについて
a.建設事業における収益力・競争力のさらなる強化
ⅰ.最終利益を見据えた受注活動の推進
ⅱ.建設生産フローの再構築による収益力の強化
ⅲ.リニューアル分野への取り組み深化
ⅳ.誠実なモノづくりに必要な品質・安全の確保
b.新技術・新事業への挑戦
ⅰ.保有技術の洗練化及び活用による優位性の確立
ⅱ.新技術・工法への積極的な取り組み推進
ⅲ.建設事業における新領域への挑戦
ⅳ.海外の既存拠点強化及び新たな展開への取り組み
c.持続的成長に資する経営基盤の確立
ⅰ.優秀な職人の確保・育成及び活躍できる環境の整備
ⅱ.環境変化に的確に対応できる一体感のある組織体制の構築
ⅲ.健全な財務基盤の維持・強化
ⅳ.コーポレート・ガバナンスのさらなる強化
④ 直近の経営環境について
中期3ヵ年計画の2年目(2020年3月期)までの業績計画はほぼ達成できましたが、最終年度となります2021年3月期につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により事業環境の先行きを見通すことが困難な状況となっております。
(当社における新型コロナウイルス感染症への対応)
当社は、お取引先や従業員、その他関係者の皆様の安全を確保する観点から、管理部門の統括責任者である社長室長をトップに、建築・土木部門の統括責任者も含めた新型コロナウイルス対策室を設置し、全社に亘る対策を策定して新型コロナウイルス感染防止に取り組んでおります。
主な対策は以下のとおりであります。
a.従業員や作業所における協力会社の社員も含め、発熱、倦怠感、嗅覚・味覚異常などの体調異変の定期的確認
b.体調異変がある者の出社の見合わせ及び経過観察
c.体調異変や感染が確認された場合の支援体制の整備
d.感染リスクを抑え、3密を避けるための対応
・可能な限りのテレワークの実施
・時差出勤の実施
・就業中のマスク着用
・会議室を利用したワークスペースの拡大
・不急の出張の禁止
・会議の延期・縮小、テレビ会議の活用
e.臨時休校や臨時休園になった学校や幼稚園等に通う子供を持つ従業員や妊娠中または配偶者が妊娠中の従業員に対する特別有給休暇制度の整備
投資者の投資判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、次のようなものがあります。ただし、これらは当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外の予見し難いリスクも存在します。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループにおいては建設事業を中心とする事業の内容に鑑み、次のようなリスクが存在しております。
当社グループは、日本、グアム及び東南アジアで建設事業を展開しており、工事需要は、各国の政治動向、経済動向、天災または悪天候、テロや地域紛争、戦争、疫病の発生・蔓延等により大幅に減少する可能性があります。
また、当社グループの取引は、取引ごとの請負代金が大きく、工事の着工から完成引渡しまでの期間が長期に亘るため、工事代金の受領前に取引先の競争環境や事業環境が大幅に変化し、信用不安が生じた場合、当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、国内及び海外において、施工品質及び請負金額に関して激しい競争に直面しております。国内では、既存の建設会社との競争に加え、設備会社やプラント会社との競争、海外では、各国及び日本の海外子会社との競争が激化しております。上述のように、現在の当社グループの競争環境や事業環境が大幅に変化した場合、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、その他の事業としてPFI事業を行っていますが、運営期間が最長2034年までと長期に亘っております。事業運営の間に上述のように、競争環境や事業環境が大幅に変化した場合、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの建設事業は、各工事業者、資材業者等の協力会社の提供するサービスに一定程度依存しており、協力会社と共に、主要資材価格や労務価格が高騰した場合、当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、日本国外においても事業を展開しており、外貨建により、収益の一部を受領し、費用の一部を支払っております。これら為替変動による収支変動を軽減する目的で、収入で得た外貨は外貨建の支出に充当することを基本としておりますが、当社連結財務諸表において海外工事の外貨建ての財務諸表金額は日本円に換算されるため、当社連結財務諸表は日本円と各通貨間の為替相場変動の影響を受けます。為替相場の変動により、当社グループの事業、財務状況及び業績に影響が及ぶ可能性があります。
当社グループは、建設工事の施工時に多額の立替を必要としており、その資金需要に応じる為に金融機関や市場からの資金調達を行う可能性があります。当社グループの資金調達能力や資金調達コストについては、資金・金融市場の動向や当社グループの信用力の変動等により、資金調達の制約や資金調達コストの上昇を招く可能性があります。
当社グループの事業地は日本全国及び海外に亘り、かつ屋外が主であり、各地域によりそれぞれの特性があります。そのため、各地域において大規模な震災や台風、火山の噴火等が発生した場合もしくは当該施工現場において火災や水害、テロ攻撃等の災害が発生し、工事の遅延や追加費用が発生した場合、当社グループの経営に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、施工中の安全性の確保のため、日々様々な取組みを実施しておりますが、事故を発生させてしまった場合、当社グループの施工の安全性に対する顧客の信頼及び社会的評価が失墜するだけでなく、死傷した作業員や第三者への補償等に対応しなければならないことから、当社グループの業績に極めて深刻な影響を与える可能性があります。なお、施工事故に伴う各種損害の軽減、並びに被災者への確実な賠償を行う目的で、現在業界水準と同程度の補償額・補償範囲の損害賠償保険に加入しております。
当社グループでは、施工物件の品質性の確保のため、日々様々な取組みを実施しておりますが、施工後の物件に瑕疵が発生した場合、当社グループの施工の品質性に対する顧客の信頼及び社会的評価が失墜するだけでなく、瑕疵担保責任による顧客や第三者への補償等に対応しなければならないことから、当社グループの業績に極めて深刻な影響を与える可能性があります。
当社グループの事業は、様々な側面において、国際的な規制並びに政府及び地方自治体レベルの法令及び規則に基づく規制に服しております。これらの規制の変化等により、当社グループの事業がさらに規制され、また、大幅な費用の増加が必要となる可能性があります。
当社グループの事業は、建設業法、建築基準法、国土利用計画法、都市計画法、宅地建物取引業法、品質確保法、建設リサイクル法、産業廃棄物法、独占禁止法その他諸外国の類似の法令等の定めに基づき事業を行っておりますが、これらに変更が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、コンプライアンス体勢の充実を図っておりますが、これらの法令に違反した場合、行政処分などにより、業績、事業運営に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは事業活動に関して各種の訴訟に巻き込まれるおそれがあり、係争中の事案においては、当社グループの主張や予測と相違する結果となった場合には、追加的な支出や引当金の計上により業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、業務の多くを情報システムに依存しております。コンピュータ・プログラムの不具合やコンピュータ・ウィルス等のサイバー攻撃によって情報システムに様々な障害が生じた場合には、重要なデータの喪失に加えて、建設施工に支障が生じる等、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。また、情報システムを支える電力、通信回線等のインフラに大規模な障害が発生した場合、当社グループの業務に重大な支障をきたす可能性があります。
また、当社グループが保有する個人情報が取り扱い不備または不正アクセス等により漏洩した場合には、当社グループの事業、またはシステムに対する社会的評価が傷つけられ、顧客及び市場の信頼が低下して、当社グループの事業、財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの事業運営には、各取引の施工、運営に関連して法律上要求される国家資格を始めとする各種の資格や技能を有する人材の確保が必要ですが、当社グループの従業員がその業務に必要なこれらの資格や技能を取得するまでには相応の期間を要することから、当社グループが想定する人員体制を必要な時期に確保できない場合には、当社グループの事業運営が影響を受ける可能性があります。
また、当社グループの従業員は労働組合に所属しておりますが、当社グループの従業員による集団的なストライキ等の労働争議が発生した場合には、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
新型コロナウイルスの全世界への感染拡大により日本をはじめ各国において渡航禁止や外出規制などの措置が講じられ、一部地域において感染拡大の収束が見られるものの、世界的にはまだ先行きが見通せない状況であり、以下のリスクが想定されます。
① 新型コロナウイルス感染症の収束が長引くことに伴う経済活動の減速・停滞により建設投資の先送りや中止・抑制など、建設需要が落ち込むことにより、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済は、米中貿易摩擦による中国経済の減速等により、輸出関連企業を中心に業績の下振れが顕在化し、世界経済への影響拡大が懸念され始め、主に製造業の下振れにより、国内景気の下押し圧力が高まってきた状況が年末まで続いておりましたが、年明け以降、新型コロナウイルスの全世界への拡散に伴い、世界経済は一気に停滞状態に陥り、全く先行きが見通せない状況の中、年度末を迎えました。
当社グループの主たる事業である建設業界におきましては、2018年度末における消費税増税に伴う駆け込み受注により潤沢な手持ち工事の状況下でスタートし、住宅建設投資は伸び悩んだものの、民間建設投資については、設備投資の緩やかな増加が見られ、公共建設投資については、引き続き高水準を維持し、事業年度末近くからの新型コロナウイルスの感染拡大による事業環境の変化が起こるまでは建設投資全体としては良好な事業環境の下、推移いたしました。
このような状況の下、当社グループの財政状態は、資産合計は1,030億4千4百万円となり、前連結会計年度末に比べ1.0%の増加、負債合計は637億3千1百万円となり、前連結会計年度末に比べ1.2%の減少、純資産合計は393億1千3百万円となり、前連結会計年度末に比べ4.9%の増加となりました。
当社グループの経営成績は、当連結会計年度の受注高は、期初計画を上回り1,482億8千万円となり、前連結会計年度比3.5%の減少となりました。
売上高につきましては、1,414億7千2百万円となり、前連結会計年度比4.2%の増加となりました。
損益に関しましては、期初計画と比べ完成工事高の増加により完成工事総利益が上回り、売上総利益につきましては、146億1千9百万円(前年同期比9.7%増)となりました。また、営業利益及び経常利益につきましては、それぞれ、営業利益66億1百万円(前年同期比15.8%増)、経常利益65億9百万円(前年同期比15.9%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、43億円(前年同期比2.9%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
受注高は1,228億7千4百万円(前年同期比5.0%減)、売上高は1,165億7千5百万円(前年同期比6.8%増)となり、セグメント利益は119億8千4百万円(前年同期比14.8%増)となりました。
受注高は254億6百万円(前年同期比4.1%増)、売上高は234億5千9百万円(前年同期比6.5%減)となり、セグメント利益は23億7百万円(前年同期比13.5%減)となりました。
また、「その他」の事業につきましては、売上高14億3千7百万円(前年同期比5.3%減)、セグメント利益1億5千8百万円(前年同期比428.8%増)となりました。
営業活動による資金の増加は82億2千8百万円(前連結会計年度114億1千9百万円の資金の減少)となりました。これは主に売上債権や未収入金の減少によるものであります。
投資活動による資金の減少は3億8千5百万円(前連結会計年度10億3千7百万円の資金の減少)となりました。これは主に無形固定資産の取得による支出によるものであります。
財務活動による資金の減少は15億6千8百万円(前連結会計年度39億4千万円の資金の減少)となりました。これは主に配当金の支払によるものであります。
以上の結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物は、62億3千2百万円増加し、当連結会計年度末には297億7千7百万円(前連結会計年度比26.5%の増加)となりました。
(注) 当社グループでは建設事業以外では受注生産を行っておりません。
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載しておりません。
3 売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先はありません。
なお、参考のため提出会社個別の事業の状況は次のとおりであります。
建設事業における受注工事高及び完成工事高の状況
a.受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高
(注) 1 前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にそ
の増減額を含んでおります。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれております。
2 次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)であります。
工事受注方法は、特命と競争に大別されます。
(注) 百分比は請負金額比であります。
(注) 1 完成工事高のうち請負金額10億円以上の主なものは、次のとおりであります。
前事業年度
当事業年度
2 前事業年度及び当事業年度ともに完成工事高総額に対する割合が、100分の10以上の相手先はありません。
(注) 次期繰越工事のうち請負金額10億円以上の主なものは、次のとおりであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであります。
当連結会計年度における建設事業につきましては、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が顕在化するまでは官庁・民間共に建設投資は概ね堅調に推移し、建設資材価格も安定しており、良好な事業環境で推移したと考えております。
そのような中、当社グループの受注高は、中期3ヵ年計画における1,330億円や期初の業績計画における1,343億円を上回り、1,482億8千万円の実績となり計画を達成することができました。また、前連結会計年度比では3.5%の減少となりましたが、これは前連結会計年度における受注高が消費税増税に伴う駆け込みにより増加した反動によるものです。
売上高につきましては、1,414億7千2百万円となり、前連結会計年度比4.2%の増加となりましたが、これは前連結会計年度の受注高が上記の理由により伸びたことで期初の手持工事高が195億円程度多かったことによります。また、工事の進捗も順調に推移したこともあり、中期3ヵ年計画及び期初の業績計画を達成することができました。
損益に関しましては、期初計画と比べ売上高が増加したことで売上総利益額が146億1千9百万円(前年同期比9.7%増)となり、計画を上回ることができましたが、売上総利益率は計画比0.2ポイント減となり計画達成には至りませんでした。営業利益及び親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、売上総利益額の増加により、それぞれ、66億1百万円(前年同期比15.8%増)、43億円(前年同期比2.9%増)となり、中期3ヵ年計画及び期初の業績計画を達成することができました。また、自己資本利益率(ROE)は11.3%となり、前連結会計年度と比べて0.2ポイントの減少となりましたが、中期3ヵ年計画の計画値である10.6%を上回ることができました。
建築部門の経営成績は、受注高が1,228億7千4百万円(前年同期比5.0%減)となり、これは前連結会計年度において消費税増税に伴う駆け込みがあった反動と考えておりますが、期初計画は達成することができました。売上高につきましては、1,165億7千5百万円(前年同期比6.8%増)となりましたが、これは期初の手持工事高が多かったことによるもので、また期初計画も上回ることができました。セグメント利益は前連結会計年度比14.8%の増加と大きく伸びましたが、これは売上高の増加に加え、利益率の高い大型工事があったためです。
土木部門の経営成績は、受注高が254億6百万円(前年同期比4.1%増)となり、これは大型官庁工事の受注があったためで、期初計画を達成することができました。売上高につきましては、234億5千9百万円(前年同期比6.5%減)となりましたが、これは期初の手持工事高が少なかったことに加え、上半期における受注高も減少したことによりますが、期初計画は上回ることができました。セグメント利益は前連結会計年度比13.5%の減少となりましたが、これは売上高の減少に加え、前連結会計年度は利益率の高い工事があったことによります。
(財政状態)
当連結会計年度末における財政状態は、資産合計が1,030億4千4百万円となり、前連結会計年度比10億4千4百万円の微増となりましたが、これは投資その他の資産の投資有価証券が株式の時価の下落等により、17億6百万円減少したものの、現金及び預金が62億3千2百万円増加し、受取手形・完成工事未収入金等や未収入金は合わせて39億4千5百万円減少したこと等によるものです。
負債合計は、前連結会計年度比8億2百万円減少の637億3千1百万円となりましたが、これは支払手形・工事未払金等や未払金がそれぞれ、31億3千7百万円、14億8千万円減少した一方、未成工事受入金が22億3千4百万円増加したことによります。
純資産合計は、前連結会計年度比18億4千6百万円増加し、393億1千3百万円となりました。これは当期純利益の計上や配当金の支払に加え、新型コロナウイルス感染拡大に伴う世界経済の停滞による株式時価の下落等に伴いその他有価証券評価差額金が11億3千7百万円減少したことによります。
この結果、連結自己資本比率は38.0%となり、中期3ヵ年計画においては41.0%の計画値でありましたが、株価の下落や売上高の増加による総資産の増加により未達となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、62億3千2百万円増加し、当連結会計年度末では297億7千7百万円となりました。これは投資活動によるキャッシュ・フローが3億8千5百万円の僅かな減少、財務活動によるキャッシュ・フローが配当金の支払や長期借入金の返済等で15億6千8百万円の減少となった一方、営業活動によるキャッシュ・フローにおきまして、仕入債務の減少があったものの売上債権や未収入金も減少し、加えて未成工事受入金が増加したこと等もあり82億2千8百万円増加したことが大きな理由です。
当社グループにおける主な資金需要は、建設事業における工事施工に要する工事費、販売費及び一般管理費並びに技術研究関連やICT関連等の設備投資資金です。
運転資金については、金融機関からの借入金及び社債の発行により調達しており、設備投資資金については、内部留保等の自己資金でまかなっております。
当社は中期3ヵ年計画において、資金投入計画と共に株主還元計画を打ち出し、成長投資と株主還元のバランスを取る方針としており、株主配当につきましては、当連結会計年度の期末配当を1株当たり216円、連結配当性向40.5%としました。また、次期の配当につきましては提出日現在、配当予想は未定としておりますが、連結配当性向は中期3ヵ年計画の目標値であります50%以上を計画しております。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に準拠して作成しておりますが、この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われており、資産・負債や収益・費用の金額にその結果が反映されております。
これらの見積りにつきましては、過去の実績等を踏まえながら継続して評価し、必要に応じ見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらの見積りと異なることがあります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積もり及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりです。
a.繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について、将来の回収可能性が低下した場合に評価性引当額を計上することとしています。評価性引当額の計上に関する必要性を評価するにあたっては、将来の課税所得及び慎重かつ実現性の高い継続的な税務計画を検討しますが、繰延税金資産の一部または全部を将来回収できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産の調整額を費用として計上します。同様に計上金額の純額を上回る繰延税金資産を今後回収できると判断した場合は、当該判断を行った期間に繰延税金資産の調整額を収益として計上します。
当連結会計年度末における繰延税金資産の回収可能性の判断にあたり、将来の課税所得を検討する上で、現下の新型コロナウイルス感染症の影響として、新規工事受注高が一定程度減少するとの仮定を用いて見積もっております。
b.投資の減損
当社グループは、収益の維持・向上のために取引先や金融機関の株式を保有しています。これらの株式には価格変動性の高い公開会社の株式と、株価の決定が困難な非公開会社の株式が含まれています。公開会社の株式への投資の場合、期末における時価が取得原価に比べて30%以上下落した場合に「著しく下落した」と判断して全て減損処理を行っています。また非公開会社の株式への投資の場合、それらの会社の純資産額が取得原価に比べ30%以上下落した場合には全て減損処理を行っています。
将来の市況悪化または投資先の業績不振により、現在の簿価に反映されていない損失または簿価の回収不能が生じた場合、評価損の計上が必要となる場合があります。
c. 固定資産の減損
当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、自社利用の事業用資産については、所属母店毎に、また賃貸事業用資産、遊休資産等については、個別物件毎、関係会社については会社単位でグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上することとしています。回収可能価額の評価の前提条件には、投資期間を通じた将来の収益性の評価や資本コストなどが含まれ、これらの前提条件は長期的な見積もりに基づくため、将来の当該資産グループを取り巻く経営環境の変化による収益性の変動や市況の変動により、回収可能性を著しく低下させる変化が見込まれた場合、減損損失の計上が必要となる場合があります。
特記事項はありません。
当社グループは、創業理念である「和の精神」「誠意・熱意・創意」の下、「仕事が仕事を生む」の企業精神に則り、事業活動を通じ誠実なモノづくりに専心し、社会の安全・安心・快適の増進に寄与することを基本理念として、変化する社会やお客様のニーズに対応できる技術開発を、技術研究所を拠点に推進しております。
研究開発活動としては、免震及び制震技術などの高品質・高性能な構造物を実現する技術、ストック活用のためのリニューアル技術、ICTやIoTを活用した施工改善・生産性向上に資する技術の研究開発と商品化に注力しております。
当連結会計年度における研究開発費の総額は
当連結会計年度の主要な研究開発活動は以下のとおりであります。なお、子会社においては、研究開発活動は特段行われておりません。
次世代建設生産の活性化対策として、技能伝承の見える化を生産活動に活用させる「Ai-MAP SYSTEM(アイマップシステム)」の開発に取り組んでおります。このシステムは、生産技術(匠の技)をAIとIoT活用により記録・見える化でき、熟練技能の伝承による高品質・高性能な構造物の実現技術であります。なお本技術は、国土交通省の進める「建設現場の生産性を向上する革新的技術の導入・活用に関するプロジェクト」の試行対象技術として本年度も採択され、当社土木作業所における試行で高評価を得ることができました。このシステムの開発により、当社の生産性向上と品質の高度化の持続的な継承を目指しております。
建築物の免震及び制震技術について、設計技術の高度化と当該技術による合理化を目指した研究開発を行っております。当連結会計年度では、建物の地震時における安全・安心を即座に分かりやすく提供できる建物モニタリングサービスについて、システム会社と業務提携を行い、営業展開を進めております。次期連結会計年度では技術研究所ANNEX棟にモニタリングシステムを設置し、独自サービス展開のための研究開発を予定しております。
当社では、鉄筋コンクリート造壁に不可避な乾燥収縮によるひび割れを、壁に設けた目地内で確実に誘発させ、高品質な壁を築造する「CCB工法」、この技術を発展させた「CCB-NAC工法」を開発してきました。当連結会計年度では13物件に採用されております。さらに、本工法を進化させ、目地部に誘導したひび割れを目立たないように目地内で分散させる「PRS目地充填工法」の実物件への適用も本格化させ、3物件に採用されております。次期連結会計年度には「PRS目地充填工法」について一般財団法人日本建築総合試験所の建築技術性能証明の取得を目指しております。
コンクリートの主原料であるセメントはその製造時にCO2を大量に排出し、鉄筋コンクリート造建物を施工する際に排出するCO2総量の半分近くを占め、温暖化対策の面で課題となっておりました。当社では、セメントの一部に代えて製鉄所の副産物である高炉スラグ微粉末を混和材料として使用したCO2の排出量を削減した環境配慮型コンクリートを開発しました。次期連結会計年度には一般財団法人日本建築総合試験所の建築技術性能証明を取得し、実施工における利用拡大を目指しております。
補強組積ブロック(RMユニット)を用いた増設耐震壁による耐震補強工法は、在来工法に比べ工期が短く、狭小な場所での施工が容易で、作業騒音が少ないなどの長所があり、これまで着実に施工実績を重ねております。当連結会計年度では、本工法の適用範囲をさらに拡大するため追加の構造実験を実施しました。次期連結会計年度には、一般財団法人日本建築総合試験所の建築技術性能証明の改定を進め、さらなる営業展開を図ります。
耐震補強工事などに用いる低コストで製造方法も簡便な収縮低減型の中・高流動コンクリート「スムースフィルクリート」を開発し、実物件への適用を本格化させております。次期連結会計年度では、施工省力化や生産性向上を目的として、大学や市役所などの耐震改修工事への適用を予定しております。
建築現場の人手不足にともない建築着工の比率が増加している鉄骨造を対象に、合理化技術の開発を強化しております。当連結会計年度では、物流倉庫などを対象とした鉄骨造小梁仕口部について大学との共同研究を進め、数値シミュレーションにより合理化手法の検討を行いました。次期連結会計年度には、実証実験を行い、実用化を目指します。
(8) PCa異種強度梁工法の開発
超高層マンションにおいてPCa(プレキャスト鉄筋コンクリート)造の梁とスラブのコンクリート強度が異なる場合、コンクリートを打ち分ける必要があるためコスト増の要因となっておりました。当連結会計年度では、梁の上部をスラブと同強度のコンクリートとする合理化工法を開発し、日本ERI株式会社の構造性能評価を取得しました。次期連結会計年度では、設計ツールの開発を行い、さらなる合理化を目指します。
(9) ICTを用いた品質・生産性向上のための開発
当社での設計・施工におけるBIM(ビルディング インフォメーション モデリング)活用はBIM推進室を中心に、全店的に進めております。技術研究所ではVR(バーチャルリアリティー)を駆使し、コンピュータ上の仮想空間を利用した技術教育システムの構築及びAI(人工知能)を利用した品質管理システム(配筋自主検査システム)の開発などを進めております。当連結会計年度では、3次元モデルを活用した鉄筋コンクリート造工事の技術教育コンテンツを開発し、若手技術者の研修等で利用を開始しました。次期連結会計年度では、技術教育システムの実効性検討及び品質管理システムの開発を行い、さらなる品質・生産性向上を目指します。
また、「その他」の事業においては、研究開発活動は特段行われておりません。