第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 基本理念

当社グループは、創業理念であります「和の精神」「誠意・熱意・創意」の下、「仕事が仕事を生む」の企業精神に則り、事業活動を通じ誠実なモノづくりに専心し、社会の安全・安心・快適の増進に寄与することを基本理念としております。
 この基本理念の実現に向け、事業活動を通じお客様をはじめとする、あらゆるステークホルダーから信頼され、選ばれ、そして感謝される企業となることを基本方針としており、そのために、刻々と変化する社会やお客様のニーズに柔軟に対応するための技術力、知力、感性を磨き、組織力を以って事業を継続、発展させ、机上の議論より実践を重んじ、現場・現物・現人主義を以って、的確かつ迅速にことにあたり、社会のルールを遵守し、社会と共に持続的発展を目指し、公正で堅実な経営に徹してまいります。

 

(2) 見通し

 次期の見通しにつきましては、今後の新型コロナウイルスの感染動向が景気を左右する最大の要因と考えられ、新たな変異株による感染拡大が懸念されておりますが、ワクチンの接種拡大や経口薬の一般化などからウィズコロナへの政策転換が進み、収束に向かっていくものと想定しております。しかしながらロシアのウクライナ侵攻に対する西側諸国の経済制裁は段階的に強化されている一方、対抗措置も見られ、世界的なサプライチェーンの停滞が世界経済へ大きな悪影響を及ぼすことが懸念されます。

建設業界におきましては、民間建設投資につきましては、徐々にウィズコロナの体制へと向かうにつれ、物流施設や工場だけでなく個人消費の回復からホテルや店舗といった先送りされた設備投資も回復してくるものと思われ、公共建設投資は国土強靭化政策の継続による防災・減災対策や自然災害の復旧・復興事業等により堅調な推移が予想されます。しかしながら、世界的な原油や資材等の高騰につきましては回復基調の景気や設備投資マインドへの悪影響が懸念され、今後の動向には注視が必要です。

 

(3) 中期3ヵ年計画及びエコフレンドリーASANUMA21

 当社は、2021年度を初年度とする新中期3ヵ年計画を策定しました。当社を取り巻く外部環境は近年さらに激しく変化しています。その変化はより早く、大きく、そして今後も続いていくと思われます。この変化の激しい経営環境下で、将来に亘って持続的に成長していくためには、変化を少しでも早く把握し、迅速かつ的確に対応していくことが必要と考えます。長期ビジョンとして「外部環境の激しい変化に対し、独自性を発揮し果敢に挑戦し続ける企業」を掲げ、その実現に向け、中期3ヵ年計画の各施策を確実に実践してまいります。

また、当社は2010年度から全社的な地球温暖化防止対策活動である「エコフレンドリーASANUMA21」をスタートさせており、目標とした「施工高1億円当たりのCO2排出量を2020年度までに1990年度比40%削減」を達成したことを踏まえ、昨年政府が脱炭素社会実現に向け打ち出した「2050年度までに、温室効果ガスの排出を実質ゼロにする」との方針に賛同し、この度「エコフレンドリーASANUMA21」を改定し、中期3ヵ年計画の施策の一環として新たな取り組みをスタートさせました。脱炭素社会に向けた長期ビジョンとして「施工高1億円当たりのCO2排出量を2030年までに1990年度比50%、2050年までに70%削減」を目指し、基本方針を「脱炭素化の推進」、「資源の循環」、「自然・社会との共生」とし、様々な取り組みを行っていきます。その1つとして、サステナビリティ推進委員会を設置し、我々を取り巻くサステナブルな課題に対する活動計画を中長期的な視点で協議していくとともに、TCFD提言にも賛同し、提言に沿った気候変動関連情報の開示を拡充していきます。

 

 

① 中期3ヵ年計画(2021年度~2023年度)

A 長期ビジョン

「目指すは、外部環境の激しい変化に対し、独自性を発揮し果敢に挑戦し続ける企業」

 

B 位置付け

企業理念である「誠実なモノづくりに専心し、社会の安全・安心・快適の増進に寄与します」の下、長期ビジョンを作成し、新中期3ヵ年計画を、長期ビジョン実現に向けた独自性の発揮ステージへとつなげるための「淺沼組らしさ(独自性)の深耕」と位置付けました。それを基本方針として掲げ、3つの外部環境変化に対し果敢に挑戦することで、独自性を深め、次の成長につなげてまいります。

 

C 基本方針

 淺沼組らしさ(独自性)を深耕させ「変化に挑戦」

 

 基本方針に則った具体的な取り組みについては以下のとおりであります。

 

(a)長期的に縮小する国内建設投資とインフラ・建築構造物の老朽化により堅調に推移する国内維持・修繕需要

     事業投資

  ⅰ.競争力(コスト・品質・提案)の強化

ⅱ.新領域(海外・新分野)への取り組み強化

ⅲ.国内維持管理・修繕事業の取り組み強化

 

(b)建設分野における生産労働人口の減少

ⅰ.生産性向上に資する取り組みの強化

ⅱ.人材確保・人材育成の強化

ⅲ.協力会社との連携強化

 

(c)非財務経営活動(ESG・SDGs等)による企業評価向上の機運

ⅰ.「E」:環境問題解決

ⅱ.「S」:社会課題解決

ⅲ.「G」:コーポレートガバナンスの強化

 

D 主な経営指標

中期3ヵ年計画の最終年度である2023年度の目標を、受注高1,466億円、売上高1,373億円、営業利益67.3億円、親会社株主に帰属する当期純利益45.4億円とし、2023年度における営業利益率を5.0%以上、自己資本利益率(ROE)は3ヵ年とも10.0%以上としています。

 

② エコフレンドリーASANUMA21

A 長期ビジョン

「施工高1億円当たりのCO2排出量を2030年までに1990年比50%、2050年までに70%削減」

 

B 基本方針

「脱炭素化の推進」

「資源の循環」

「自然・社会との共生」

 

 

③ TCFD提言への対応

A ガバナンス

サステナビリティ推進委員会設置

(a)設置の目的

当社グループでは経営の基本方針のもと、環境と社会の様々な課題の解決に向け、持続可能な社会の実現と企業の持続的な成長を目指して取り組んでまいりましたが、企業を取り巻く環境の変化を踏まえ、サステナブルな課題に対する活動計画を中長期的な視点で協議・検討し、経営会議に答申することを目的として、本委員会を設置することとしました。

 

(b)委員会の構成

本委員会は、代表取締役社長を委員長とし、社長室長、社長室次長、企画部長、コーポレート・コミュニケーション部長、人事部長、総務部長、安全品質環境本部品質環境部長、建築事業本部建築企画部長、土木事業本部土木企画部長および委員長の指名する委員で構成します。

 

(c)委員会の役割

本委員会は、次の事項を決議または審議し、事案によって経営会議に答申することとします。

・当社のサステナビリティ推進に関する方針・戦略・計画・施策の審議および答申

・機関決定されたサステナビリティ推進に関する施策等の社内通知

・当社におけるサステナビリティ推進の実績評価および報告

・その他サステナビリティ推進に関する重要事項の検討

 

B リスク管理

サステナビリティ推進委員会にて事業における気候変動関連リスクおよび機会の特定および評価を行っています。また、各事案については経営会議にて審議し、重要課題を特定の上、社内へリスクおよび機会の浸透を図っています。

 

リスク/機会 項目

事業への影響

評価

政策

規制

炭素税の導入・
炭素価格の上昇

・炭素税導入や炭素価格の上昇により、建設コストが増加する

政策

規制

GHG排出目標の厳格化

・目標値達成のためのさまざまな追加コストの増加により、管理費が上昇する

市場

施主の要求内容・
評価項目の変化 

・脱炭素化に関する施工実績、提案内容の高度化への対応の後れにより、競争

  力が低下する

技術

省エネ・脱炭素化技術の
普及、促進速度の増幅 

・技術開発の後れや開発コストの増加により、競争力が低下する

評判

ESG・SDGs活動に対するステークホルダーの評価の厳格化

・ESG、SDGs活動の低評価により、企業評価が低下する

慢性

平均気温の上昇

・労働環境の悪化により、業務効率・生産性が低下する

・労働環境改善のさまざまな追加対策により、管理費および建設コストが増加

  する

急性

異常気象の激甚化

・降雨・強風等に起因する工期遅延等対策(サプライチェーンの分断による調

  達資材の確保対策コスト含む)の増加により、建設コストが増加する

 

 

政策

規制

脱炭素建物への

社会制度、規制の強化

・脱炭素関連認証(ZEB・WELL等)の取得による他社との差別化により、競争力

  が向上する

市場

技術

省エネビル、既存建物
長寿命化の需要の拡大

・市場のニーズへの的確な対応(新築におけるZEB対応、リニューアル事業

 における長寿命化技術の提案力向上等)による付加価値向上により、競争力

 が向上する

・脱炭素建物の提供によるエネルギー費用の削減効果により、競争力(顧客か

  らの信頼度)が向上する

評判

環境課題への取り組みに対するステークホルダーの評価の向上

・CO2排出削減企業に対する高評価により、企業価値が向上する

・環境配慮技術の開発による他社との差別化が進み、企業価値が向上する

慢性

平均気温の上昇

・気候変動に貢献する環境配慮型関連の建物需要が増加する

・室内環境の快適性に関する需要増加により、保有技術の活用が進み、競争力

  が向上する

急性

異常気象の激甚化

・自然災害からの復興のための防災・減災、国土強靭化関連の建設需要が増加

  する

 

 

C 戦略

TCFD提言への賛同を機に気候変動による事業活動への影響をTCFDの提言に基づき、リスクおよび機会を特定し、評価の上、気候関連の問題が事業に与える影響を中長期的な視点でシナリオ分析を実施しました。

リスク/機会  項目

シナリオ

淺沼組の対応

4℃

2℃

炭素税導入・炭素価格の上昇による建設コストの増大

 

−−−

「エコフレンドリーASANUMA21」の推進
 ①脱炭素化の推進
 ②資源の循環
 ③自然と社会との共生  

GHG排出目標の厳格化による追加コストの増加

 

−−

ESG・SDGs活動に対するステークホルダーの評価の厳格化

−−

ESG・SDGs活動の取り組みと広報の強化

施主の要求内容・評価項目の変化への対応競争の激化

−−

「ReQuality」リニューアルブランド戦略の推進
「Good Cycle Service」(新たなライフサイクルサポートサービス)の拡充

省エネ・脱炭素化技術の普及、促進速度の増幅による技術開発競争の激化

−−

「ReQuality」 の一環でのZEB・WELL認証の取得

気候変動に対応する環境配慮型・長寿命化型関連の建物や平均気温の上昇による室内環境の快適性に関する需要の増加

++

環境配慮型提案力の強化

「ReQuality」 の一環での「室内環境シミュレーション技術」「地震モニタリングシステム」等の活用促進

平均気温の上昇による労働環境の悪化影響の増大

−−

独自技術である 「Ai-MAP SYSTEM」の高度化と特許取得や事業化に向けた取り組みの強化

異常気象の激甚化に起因する対策コストの増加

−−

防災・減災、国土強靭化関連事業への取り組みの強化

自然災害からの復興のための防災・減災、国土強靭化関連の建設需要の増加

++

耐震技術の拡充と免震・制振技術の高度化による万全なBCP(事業継続計画)の確立

 

 

D 指標と目標

2021年度の「エコフレンドリーASANUMA21」の改定において、気候変動関連の中長期的目標として、「施工高1億円当たりのCO2排出量を1990年度比で2030年度までに50%、2050年度までに70%削減」を掲げ、事業活動における脱炭素化の取り組みを推進しています。

 


 

④ 直近の経営環境について

中期3ヵ年計画(2021年度~2023年度)の初年度でありました2021年度は、受注高が計画を上回ったものの、完成工事高は一部工事の着工の遅れなどにより計画を下回り、それに伴って売上総利益以下、各利益額も計画を下回りました。足元の経営環境はコロナ禍からの一定の回復に伴い、個人消費を中心に改善が見られ、建設投資の増加が期待される一方、建設資材等の高騰による投資マインドへの悪影響が懸念されます。

 

 

(4) 当社における新型コロナウイルス感染症への対応

 当社は、お取引先や従業員、その他関係者の皆様の安全を確保する観点から、管理部門の統括責任者である社長室長をトップに、 建築・土木部門の統括責任者も含めた新型コロナウイルス対策室を設置し、全社的な対策を策定して引き続き新型コロナウイルス感染防止に取り組んでおります。

警戒レベルにより変動しますが、主な対策は以下のとおりであります。

 

① 従業員や作業所における協力会社の社員も含めた発熱、倦怠感、嗅覚・味覚の異常などの体調異変の定期的確

   認

② 体調異変がある者の早期の医療機関への相談や出社の見合わせ及び経過観察

③ 体調異変や感染が確認された場合の支援体制の整備

④ 感染リスクを抑え、3密を避けるための対応

a.状況に応じた柔軟なテレワークの実施

b.時差出勤の実施

c.就業中のマスク着用とオフィス内の仕切り板の設置

d.会議室を利用したワークスペースの拡大

e.不急の出張の禁止

f.会議の縮小、テレビ会議の積極活用

⑤ 臨時休校や臨時休園になった学校や幼稚園等に通う子供を持つ従業員や妊娠中または配偶者が妊娠中の従業員

   に対する特別有給休暇制度の整備

 

 

2 【事業等のリスク】

投資者の投資判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、次のようなものがあります。ただし、これらは当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外の予見し難いリスクも存在します。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

当社グループにおいては建設事業を中心とする事業の内容に鑑み、次のようなリスクが存在しております。

 

(1) 国内外情勢や経済動向等の外部経営環境に関わるリスク

① 外部経営環境に関わるリスク

当社グループは、日本、グアム及び東南アジアで建設事業を展開しており、工事需要は、各国の政治動向、経済動向、天災または悪天候、テロや地域紛争、戦争、疫病の発生・蔓延等により大幅に減少する可能性があります。

また、当社グループの取引は、取引ごとの請負代金が大きく、工事の着工から完成引渡しまでの期間が長期に亘るため、工事代金の受領前に取引先の競争環境や事業環境が大幅に変化し、信用不安が生じた場合、当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。

② 競争環境に関わるリスク

当社グループは、国内及び海外において、施工品質及び請負金額に関して激しい競争に直面しております。国内では、既存の建設会社との競争に加え、設備会社やプラント会社との競争、海外では、各国及び日本の海外子会社との競争が激化しております。上述のように、現在の当社グループの競争環境や事業環境が大幅に変化した場合、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。

③ PFI事業に関わるリスク

当社グループは、その他の事業としてPFI事業を行っていますが、運営期間が最長2036年までと長期に亘っております。事業運営の間に上述のように、競争環境や事業環境が大幅に変化した場合、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 市況変動に関わるリスク

① 資材調達価格等に関わるリスク

当社グループの建設事業は、各工事業者、資材業者等の協力会社の提供するサービスに一定程度依存しており、協力会社と共に、主要資材価格や労務価格が高騰した場合、当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。

② 為替変動に関わるリスク

当社グループは、日本国外においても事業を展開しており、外貨建により、収益の一部を受領し、費用の一部を支払っております。これら為替変動による収支変動を軽減する目的で、収入で得た外貨は外貨建の支出に充当することを基本としておりますが、当社連結財務諸表において海外工事の外貨建ての財務諸表金額は日本円に換算されるため、当社連結財務諸表は日本円と各通貨間の為替相場変動の影響を受けます。為替相場の変動により、当社グループの事業、財務状況及び業績に影響が及ぶ可能性があります。

③ 資金・金融市場に関わるリスク

当社グループは、建設工事の施工時に多額の立替を必要としており、その資金需要に応じる為に金融機関や市場からの資金調達を行う可能性があります。当社グループの資金調達能力や資金調達コストについては、資金・金融市場の動向や当社グループの信用力の変動等により、資金調達の制約や資金調達コストの上昇を招く可能性があります。

 

(3) 災害に関わるリスク

当社グループの事業地は日本全国及び海外に亘り、かつ屋外が主であり、各地域によりそれぞれの特性があります。そのため、各地域において大規模な震災や台風、火山の噴火等が発生した場合もしくは当該施工現場において火災や水害、テロ攻撃等の災害が発生し、工事の遅延や追加費用が発生した場合、当社グループの経営に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(4) 安全品質環境に関わるリスク

① 安全に関わるリスク

当社グループでは、施工中の安全性の確保のため、日々様々な取組みを実施しておりますが、事故を発生させてしまった場合、当社グループの施工の安全性に対する顧客の信頼及び社会的評価が失墜するだけでなく、死傷した作業員や第三者への補償等に対応しなければならないことから、当社グループの業績に極めて深刻な影響を与える可能性があります。なお、施工事故に伴う各種損害の軽減、並びに被災者への確実な賠償を行う目的で、現在業界水準と同程度の補償額・補償範囲の損害賠償保険に加入しております。

② 品質に関わるリスク

当社グループでは、施工物件の品質性の確保のため、日々様々な取組みを実施しておりますが、施工後の物件に契約不適合が発生した場合、当社グループの施工の品質性に対する顧客の信頼及び社会的評価が失墜するだけでなく、契約不適合責任による顧客や第三者への補償等に対応しなければならないことから、当社グループの業績に極めて深刻な影響を与える可能性があります。

 

(5) 法的規制・訴訟に関わるリスク

当社グループの事業は、様々な側面において、国際的な規制並びに政府及び地方自治体レベルの法令及び規則に基づく規制に服しております。これらの規制の変化等により、当社グループの事業がさらに規制され、また、大幅な費用の増加が必要となる可能性があります。

① 法的規制に関わるリスク

当社グループの事業は、建設業法、建築基準法、国土利用計画法、都市計画法、宅地建物取引業法、品質確保法、建設リサイクル法、産業廃棄物法、独占禁止法その他諸外国の類似の法令等の定めに基づき事業を行っておりますが、これらに変更が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、コンプライアンス体制の充実を図っておりますが、これらの法令に違反した場合、行政処分などにより、業績、事業運営に影響を及ぼす可能性があります。

② 訴訟に関わるリスク

当社グループは事業活動に関して各種の訴訟に巻き込まれるおそれがあり、係争中の事案においては、当社グループの主張や予測と相違する結果となった場合には、追加的な支出や引当金の計上により業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) IT(情報システム)、顧客情報の取り扱いに関わるリスク

当社グループは、業務の多くを情報システムに依存しております。コンピュータ・プログラムの不具合やコンピュータ・ウイルス等のサイバー攻撃によって情報システムに様々な障害が生じた場合には、重要なデータの喪失に加えて、建設施工に支障が生じる等、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。また、情報システムを支える電力、通信回線等のインフラに大規模な障害が発生した場合、当社グループの業務に重大な支障をきたす可能性があります。

また、当社グループが保有する個人情報が取り扱い不備または不正アクセス等により漏洩した場合には、当社グループの事業、またはシステムに対する社会的評価が傷つけられ、顧客及び市場の信頼が低下して、当社グループの事業、財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 人材・労務に関わるリスク

当社グループの事業運営には、各取引の施工、運営に関連して法律上要求される国家資格を始めとする各種の資格や技能を有する人材の確保が必要ですが、当社グループの従業員がその業務に必要なこれらの資格や技能を取得するまでには相応の期間を要することから、当社グループが想定する人員体制を必要な時期に確保できない場合には、当社グループの事業運営が影響を受ける可能性があります。

また、当社グループの従業員は労働組合に所属しておりますが、当社グループの従業員による集団的なストライキ等の労働争議が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(8) 新型コロナウイルス感染拡大に関するリスクについて

新型コロナウイルス感染拡大による当社グループへの影響につきましては、国内外における経済活動の制約等から以下のリスクが想定されますが、コロナワクチン接種の進展に伴い、そのリスクは減少傾向にあると思われます。しかしながら、今後ワクチン効果の無い新たな変異株の拡大があった場合には、そのリスクは増大することが考えられます。

① 新型コロナウイルス感染症の収束が長引くことに伴う経済活動の減速・停滞により建設投資の先送りや中止・抑制など、建設需要が落ち込むことにより、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

② 感染拡大が収まらない場合、経済活動の制約措置が講じられ、建設中の工事物件の施工停止等に伴う完成工事高の減少や工事原価の増加により完成工事粗利益が減少し、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
経済活動の停滞により、協力会社において業績悪化や事業継続に支障が発生した場合、施工労務者不足等、当社における施工能力が低下することにより当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 世界的な経済活動の停滞によるサプライチェーンの混乱により建設資材の調達に支障が出ることで、調達価格の上昇や工事進捗の遅延等が発生し、工事原価が膨らむことにより当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 新型コロナウイルスの感染拡大が収束に向かい、経済活動が回復してきたとしても引き続き一定の感染予防対策を講じていく必要があるものと想定され、またウィズコロナ下における新たなニーズへの対応等、工事原価や販管費が今後固定的に増えることにより、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国の経済は、昨年度に引き続き新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動の制約が続きましたが、海外ではウィズコロナを目指して制約を解除し、経済活動の回復が見られる地域もあり、国内製造業をはじめとする輸出関連企業の業績は順調に回復し、また国内における制約の解除に伴い、個人消費も徐々に回復を見せ始めました。ただコロナ禍で縮小した経済活動からの急激な回復に伴い、サプライチェーンの混乱や原油価格・資源価格等の高騰は、回復基調の経済活動に影を落とす一因になりつつあります。そんな中、延期されていた東京オリンピック・パラリンピックや様々なイベントの開催、冬のオリンピック・パラリンピックが開催され、平常に近づいてくるものと期待していた矢先のロシアによるウクライナ侵攻は、世界的にエネルギー、食糧、資源等のサプライチェーンの混乱を生じさせ、回復局面の世界経済に大きな打撃を与える結果となっており、全く先行きが見通せない状況となっています。

当社グループの主たる事業である建設業界におきましては、公共建設投資は、国土強靭化政策推進の下、自然災害への防災・減災対策や復旧・復興対策、老朽化したインフラ対策等により堅調に推移しました。一方、民間建設投資につきましては、コロナ禍の中、過去最多規模の新型コロナウイルスの感染拡大の第6波もあり、経済活動の制約や雇用・所得環境の悪化、インバウンドの消失の継続等に伴う設備投資計画の中止や延期が見られたものの、生活様式の変化に伴い、物流施設等の需要は堅調に推移しました。

このような状況の中、当社グループは「中期3ヵ年計画(2021年度~2023年度)」の基本方針として[淺沼組らしさ(独自性)を深耕させ「変化に挑戦」]を掲げ、様々な施策に取り組んでおります。「人間にも地球にも良い循環をつくる」ことを目指したリニューアル事業ブランド『ReQuality』もその1つで、このコンセプトに沿った淺沼組独自の環境配慮型リニューアル技術を活かした「GOOD CYCLE BUILDING」の第1弾と位置付けた名古屋支店の改修を9月に終え、『ReQuality』を見える化したショールームとしても活用を始めています。さらに、“新領域(海外・新分野)への取り組み強化”として7月にタイでインフラ改修事業の展開を目指し現地法人を設立、11月にはシンガポールにてリニューアル事業等を営む会社を子会社化することを決定し、本年1月に実現しました。

このM&Aにおける投資額の確定に伴い、中期3ヵ年計画における「新領域関連投資」や「技術開発・ICT関連投資」も含めた全体の資金投入計画を改めて検討・見直しを行い、当初の資金投入計画を減額し、株主還元を増額することを決定し、中期3ヵ年計画期間の配当性向を50%以上から70%以上としました。株主還元につきましては、株主への利益還元を最重要施策としております基本方針に則り、引き続き取り組んでまいります。

その他の施策においても着実に取り組んでいくことで様々な社会変化に対応し、新技術開発による人材不足対策をはじめとした生産性の向上、既存技術の洗練や新領域へも挑戦し、多様に変化する経営環境の中、経営課題をしっかりと捉え、全役職員一丸となってさらなる企業価値向上を目指してまいります。

当社グループにおきましては、新型コロナウイルス感染拡大に伴う影響により一部工事案件の発注先送りなどが見られ、受注競争は厳しさを増してきている中、当連結会計年度の受注高は1,365億6千8百万円となり、前連結会計年度比13.2%の増加となり計画を上回ることができました。

売上高につきましては、1,354億7千8百万円となり、前連結会計年度比2.5%の減少となりました。

損益に関しましては、期初計画と比べ完成工事高の減少により完成工事総利益が下回り、売上総利益につきましては、134億4千4百万円(前年同期比3.6%減)となりました。また、営業利益及び経常利益につきましては、それぞれ、営業利益48億3千5百万円(前年同期比8.6%減)、経常利益49億4百万円(前年同期比8.6%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、37億4千8百万円(前年同期比9.4%減)となりました。

 

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

(建  築)

受注高は1,127億6千2百万円(前年同期比20.5%増)、売上高は1,098億4千9百万円(前年同期比0.3%減)となり、セグメント利益は101億2千6百万円(前年同期比7.7%減)となりました。

(土  木)

受注高は238億6百万円(前年同期比12.0%減)、売上高は245億5千7百万円(前年同期比11.3%減)となり、セグメント利益は30億9百万円(前年同期比15.2%増)となりました。

 

また、「その他」の事業につきましては、売上高10億7千万円(前年同期比1.6%減)、セグメント利益9千9百万円(前年同期比30.8%減)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動による資金の増加は15億6千3百万円(前連結会計年度は129億2百万円の資金の減少)となりました。これは主に未収入金の減少によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による資金の減少は22億6千4百万円(前連結会計年度は8億1千5百万円の資金の増加)となりました。これは主に連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による資金の減少は22億6千7百万円(前連結会計年度は19億4千8百万円の資金の減少)となりました。これは主に配当金の支払によるものであります。

 

以上の結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物は、28億6千2百万円減少し、当連結会計年度末には128億9千8百万円(前連結会計年度比18.2%の減少)となりました。

 

③ 生産、受注及び売上の状況

a.受注実績

セグメントの名称

前連結会計年度

(自  2020年4月1日

至  2021年3月31日)

(百万円)

当連結会計年度

(自  2021年4月1日

至  2022年3月31日)

(百万円)

建  築

93,585

112,762

土  木

27,051

23,806

合計

120,636

136,568

 

 (注)  当社グループでは建設事業以外では受注生産を行っておりません。

 

 

b.売上実績

セグメントの名称

前連結会計年度

(自  2020年4月1日

至  2021年3月31日)

(百万円)

当連結会計年度

(自  2021年4月1日

至  2022年3月31日)

(百万円)

建  築

110,145

109,849

土  木

27,701

24,557

その他

1,087

1,070

合計

138,934

135,478

 

 (注) 1  セグメント間の取引については相殺消去しております。

 2  当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載しておりません。

 3  売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先はありません。

 

なお、参考のため提出会社個別の事業の状況は次のとおりであります。

 

建設事業における受注工事高及び完成工事高の状況

a.受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高

期別

区分

前期繰越
工事高
(百万円)

当期受注
工事高
(百万円)


(百万円)

当期完成
工事高
(百万円)

次期繰越
工事高
(百万円)

前事業年度

(自  2020年4月1日

至  2021年3月31日)

建築工事

127,804

92,235

220,039

109,180

110,858

土木工事

33,972

26,939

60,912

27,529

33,382

161,776

119,174

280,951

136,709

144,241

当事業年度

(自  2021年4月1日

至  2022年3月31日)

建築工事

110,795

110,110

220,906

107,725

113,180

土木工事

33,388

23,876

57,264

24,346

32,918

144,184

133,986

278,170

132,071

146,099

 

 (注) 1  前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高に

      その増減額を含んでおります。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれております。

 2  次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)であります。

 3 当事業年度の期首から「収益認識に関する会計基準」等を適用したため、当事業年度の前期繰越工事高を

    修正しております。

 

b.受注工事高の受注方法別比率

工事受注方法は、特命と競争に大別されます。

期別

区分

特命
(%)

競争
(%)


(%)

前事業年度

(自  2020年4月1日

至  2021年3月31日)

建築工事

49.9

50.1

100.0

土木工事

32.8

67.2

100.0

当事業年度

(自  2021年4月1日

至  2022年3月31日)

建築工事

39.6

60.4

100.0

土木工事

39.9

60.1

100.0

 

 (注)  百分比は請負金額比であります。

 

 

c.完成工事高

期別

区分

官公庁
(百万円)

民間
(百万円)


(百万円)

前事業年度

(自  2020年4月1日

至  2021年3月31日)

建築工事

26,009

83,171

109,180

土木工事

18,831

8,697

27,529

44,840

91,869

136,709

当事業年度

(自  2021年4月1日

至  2022年3月31日)

建築工事

23,338

84,386

107,725

土木工事

19,279

5,066

24,346

42,618

89,453

132,071

 

 (注) 1  完成工事高のうち請負金額10億円以上の主なものは、次のとおりであります。

 

前事業年度

大和ハウス港北特定目的会社

(仮称)DPL横浜港北Ⅰ 新築工事

大阪府和泉市

和泉市新庁舎整備事業

ミサワホーム株式会社
トヨタホーム株式会社 

(仮称)千代田区飯田橋四丁目計画新築工事

須河車体株式会社

須河車体株式会社 新工場新築工事(建築工事)

日野セールスサポート株式会社

九州日野自動車株式会社 新本社・支店移転建設工事

独立行政法人都市再生機構

(仮称)南青山アパート災害公営住宅建設工事

関東地方整備局

東京外環中央JCT北側ランプ函渠工事

東大阪市上下水道局

令和元年度公共下水道第9工区管きょ築造工事

 

 

当事業年度

大和ハウス港北特定目的会社

(仮称)DPL横浜港北Ⅰ 新築工事

奈良県大和郡山市

大和郡山市新庁舎建設工事

北鈴蘭台駅前再開発株式会社

北鈴蘭台駅前地区第一種市街地再開発事業施設建築物

新築工事

エヌ・ティ・ティ都市開発株式会社

積水ハウス株式会社

(仮称)大阪市中央区内本町2丁目計画 新築工事

株式会社フレンドステージ

(仮称)赤羽ホテル計画新築工事

東京建物リゾート株式会社

(仮称)おふろの王様和光店 新築工事

東大阪市上下水道局

令和元年度公共下水道第9工区管きょ築造工事

 

 

      2  前事業年度及び当事業年度ともに完成工事高総額に対する割合が、100分の10以上の相手先はありません。

 

 

d.次期繰越工事高(2022年3月31日現在)

区分

官公庁
(百万円)

民間
(百万円)


(百万円)

建築工事

24,254

88,926

113,180

土木工事

21,491

11,426

32,918

45,746

100,353

146,099

 

 (注)  次期繰越工事のうち請負金額10億円以上の主なものは、次のとおりであります。

 

セキスイハイム東海株式会社

(仮称)タワー・ザ・ファースト名古屋伏見新築工事

2023年3月完成予定

株式会社丸仁ホールディングス

(仮称)新宿区市谷薬王寺町計画 A棟 新築工事

2022年10月完成予定

独立行政法人都市再生機構

02-泉北竹城台一丁団地先行区A・B棟建築その他工事

2023年2月完成予定

東京都港区

港区特定公共賃貸住宅シティハイツ高浜等新築工事

2023年12月完成予定

三菱地所レジデンス株式会社

品川区北品川4丁目有料老人ホーム計画新築工事

2022年11月完成予定

株式会社三井住友銀行

(仮称)SMBC青葉台ビル新築工事

2022年12月完成予定

独立行政法人鉄道建設・

運輸施設整備支援機構

北海道新幹線、磐石トンネル(北)他

2023年8月完成予定

東京都水道局

東村山市萩山町三丁目地内から小平市天神町三丁目地内間導水管(2000mm)用トンネル築造工事

2023年7月完成予定

本州四国連絡高速道路株式会社

粒江高架橋耐震補強工事

2023年7月完成予定

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(経営成績)

当連結会計年度における経済環境につきましては、昨年度から引き続き新型コロナウイルスによる影響が継続し、感染の拡大と落ち着きの波を何度か繰り返す状況で推移しましたが、ワクチン接種の進展もあって経済活動の制約も徐々に緩和されるにつれ、回復の兆しが見え始めました。一方、世界的な経済の回復基調を受け、石油や原材料等の価格上昇が見られ、加えてロシアのウクライナ侵攻が物価の上昇に拍車をかけ、また中国では新型コロナウイルスの感染対策から都市のロックダウンが実施されるなどサプライチェーンの混乱を生じさせております。提出会社におきましては、国内の建設作業所における施工活動には特段大きな影響はありませんでした。

そのような環境の中、当社グループにおける受注活動につきましては、大きく制約を受けた昨年度の状況からは改善したものの、発注の遅れや競争の激化は継続しており、第3四半期累計期間においては前年同期より減少となり厳しい状況でありました。しかしながら第4四半期において、いくつかの大型案件の受注が決まり、結果的に前連結会計年度比13.2%増の1,365億6千8百万円となり、中期3ヵ年計画の初年度の計画値である1,321億円を44億円強上回ることができました。

売上高につきましては、一部工事の着工の遅れなどにより計画値を45億2千1百万円下回る1,354億7千8百万円となりました。

損益に関しましては、売上高の計画値未達により売上総利益が134億4千4百万円となり、計画値を4億5千5百万円下回り、営業利益および経常利益はそれぞれ48億3千5百万円、49億4百万円となり、計画値をそれぞれ5億4百万円、3億7千5百万円下回り、親会社株主に帰属する当期純利益は計画値を4億2千1百万円下回る37億4千8百万円となりました。業績数値につきましては、受注工事高以外は計画値未達という結果となりました。

また、自己資本利益率(ROE)は前連結会計年度比1.3ポイント減少の9.0%となり、中期3ヵ年計画の「10%以上確保」は達成できませんでした。

 

 

(セグメントごとの経営成績)

建築部門の経営成績は、受注高が前連結会計年度比20.5%増の1,127億6千2百万円となり、計画値を67億6千2百万円上回りました。これは大型の物流施設の受注があったことが主たる要因です。

売上高は前連結会計年度並みの1,098億4千9百万円となりましたが、計画値からは45億5千万円下回りました。これは、一部工事の着工遅れが響いたことによります。セグメント利益は前連結会計年度比7.7%減の101億2千6百万円となり、これは前連結会計年度と比べ利益率の低下があったことなどによります。

土木部門の経営成績は、受注高が前連結会計年度比12.0%減の238億6百万円となり、計画値を22億9千3百万円下回りました。これは民間工事で造成工事等が増えたものの、官庁工事における特に上下水道関連工事が前連結会計年度と比べ大きく減少したことによります。

売上高につきましては、前連結会計年度比11.3%減の245億5千7百万円となりましたが、計画値からは4千2百万円上回り、ほぼ計画通りとなりました。これに関しましては、期初の繰越工事高には大きな差は無かったものの、手持工事の個々の状況から想定される全体としての進捗予定額の違いによるものです。セグメント利益は前連結会計年度比15.2%増の30億9百万円となり、これは売上高の減少があったものの、利益率が2.9ポイント改善したことによるものです。

 

(財政状態)

当連結会計年度における財政状態は、資産合計が901億3千2百万円となり、前連結会計年度比20億4千4百万円の減少となりましたが、新たな企業結合により発生したのれんや名古屋支店の改修に伴う建物及び構築物の増加等により固定資産が10億1千6百万円増加した一方、未収入金が44億5千2百万円減少したこと等によるものです。

負債合計は、前連結会計年度比30億7百万円減少し、474億5千8百万円となりましたが、これは主に未成工事受入金が33億7千8百万円減少したこと等によります。

純資産合計は、前連結会計年度比9億6千2百万円増加し、426億7千3百万円となりました。これは主に当期純利益37億7千万円の計上や配当金の支払20億7千万円および投資有価証券の売却と株式時価の下落によるその他有価証券評価差額金9億6千3百万円の減少によるものです。

この結果、連結自己資本比率は46.8%となり、前連結会計年度末から1.8ポイント改善しました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、28億6千2百万円減少し、当連結会計年度末では128億9千8百万円となりました。これは主に未収入金が41億5千1百万円減少したことや未成工事受入金が37億7千3百万円減少したこと等により営業活動によるキャッシュ・フローが15億6千3百万円の増加となった一方、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出21億6千8百万円や主に名古屋支店の改修に伴う固定資産の取得による支出、投資有価証券の売却による収入等により投資活動によるキャッシュ・フローは22億6千4百万円減少し、配当金の支払19億8百万円や借入金の返済により財務活動によるキャッシュ・フローが22億6千7百万円減少したことによるものです。

当社グループにおける主な資金需要は、建設事業における工事施工に要する工事費、販売費及び一般管理費ならびに技術開発・ICT関連の設備投資や新領域関連の投資資金です。

運転資金については、金融機関からの借入金及び社債の発行により調達しており、設備投資資金等については、内部留保等の自己資金でまかなっております。

当社は中期3ヵ年計画において、資金投入計画と共に株主還元計画を打ち出しており、競争力の維持・強化のための成長投資と株主還元のバランスを取る方針としております。株主配当につきましては、中期3ヵ年計画において連結配当性向を70%以上としており、2022年3月期の配当は1株当たり363円、連結配当性向78.1%としました。

 

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に準拠して作成しておりますが、この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われており、資産・負債や収益・費用の金額にその結果が反映されております。

これらの見積りにつきましては、過去の実績等を踏まえながら継続して評価し、必要に応じ見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらの見積りと異なることがあります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

特記事項はありません。

 

 

5 【研究開発活動】

当社グループは、創業理念である「和の精神」「誠意・熱意・創意」の下、「仕事が仕事を生む」の企業精神に則り、誠実なモノづくりに専心し、社会の安全・安心・快適の増進に寄与することを基本理念として、変化する社会やお客様のニーズに対応できる技術開発を、技術研究所を拠点に推進しております。

研究開発活動としては、免震及び制震技術などの高品質・高性能な構造物を実現する技術、ストック活用のためのリニューアル技術、ICTやIoTを活用した施工改善・生産性向上に資する技術の研究開発と商品化に注力しております。

当連結会計年度における研究開発費の総額は574百万円であります。

当連結会計年度の主要な研究開発活動は以下のとおりであります。なお、子会社においては、研究開発活動は特段行われておりません。

(建築及び土木)
[高品質・高性能な構造物を実現する技術]
(1) 柱RC梁Sハイブリッド構法の改良

柱RC梁Sハイブリッド構法は大型物流施設や商業施設に適した構法で、柱をRC(鉄筋コンクリート造)にすることで、特に価格が高騰している鉄骨の使用量を低減でき、柱・梁ともS(鉄骨造)にした場合に比べ建築費を抑制できる利点があります。当社では本構法の競争力を高めるため、さらなる改良を進めております。当連結会計年度では柱梁接合部分の検証実験を実施しており、翌連結会計年度では、第三者機関による技術認証を取得し、適用物件の拡大を目指してまいります。

 

(2) 免震及び制震技術の高度化

建築物の免震及び制震技術について、設計手法の高度化と当該技術による合理化を目指した研究開発を行っております。その一環として地震時における建物の揺れの大きさをリアルタイムに提供するモニタリングサービスのさらなる高度化を進めております。当連結会計年度では、建物挙動を把握するためのセンサーを設置していない階の、地震時における建物応答の推定手法の調査検討を行いました。翌連結会計年度では、振動模型を用いた検証実験を通じて建物応答推定手法を確立し、地震時のより正確な建物挙動の情報提供を目指しております。

 

(3) 鉄筋コンクリート造壁・床のひび割れ誘発目地工法「CCB工法」の展開

当社では、鉄筋コンクリート造の壁や床に不可避な乾燥収縮によるひび割れを壁や床に設けた目地内で確実に誘発させ、高品質な壁や床を築造する「CCB工法」を開発してきました。当連結会計年度では19物件に採用されております。翌連結会計年度には本工法を発展させた「PRS目地充填工法」について、一般財団法人日本建築総合試験所の建設材料技術性能証明の取得を目指しております。

 

(4) 環境配慮型コンクリートの開発と適用 

環境配慮型コンクリートには低炭素性と資源循環性のものとがあり、当社ではCO2排出量を最大70%程度まで削減した低炭素性のものと、高炉スラグ微粉末やフライアッシュを使用した資源循環性の2種類の環境配慮型コンクリートを開発しており、これらを当社の名古屋支店改修プロジェクトに適用いたしました。翌連結会計年度には、土木工事において低炭素性の環境配慮型コンクリートを適用予定であります。今後、環境経営に資する取組として、積極的に適用を推進してまいります。

 

 

[ストック活用のためのリニューアル技術]
(5) 環境配慮型リニューアルReQualityの推進

当連結会計年度の2021年4月に、当社の取組むリニューアル事業の目標として「人間にも地球にも良い循環をつくる」をかかげ、当社のリニューアル事業を『ReQuality』と命名いたしました。『ReQuality』の取組では、自然の力と人の創造力を掛け合わせた独自技術で、自然物と人工物のよりよい循環を生み出すことを目指した環境配慮型リニューアルを推進いたします。そのコンセプトを実現するフラッグシップのプロジェクトとして淺沼組名古屋支店改修プロジェクトを2021年9月に竣工させ社内外に公表いたしました。

翌連結会計年度では環境配慮型リニューアルReQualityに資する技術開発をさらに進化させ、リニューアル事業の受注拡大に繋げたいと考えております。

 

(6) 名古屋支店改修プロジェクトにおけるZEBready認証およびWELL認証

名古屋支店改修プロジェクトでは運用時のエネルギー消費量を旧支店の50%以下に削減する「ZEB ready」を省エネの目標としましたが、建物居住者の健康・快適性を評価する「WELL認証」も併せて取得を目指したため、省エネと快適性の両立の実現をはかりつつZEBready認証を取得いたしました。

WELL認証は、空間のデザインや運用に人間の健康の視点から、より良い居住環境の創造を目指し、アメリカの公益法人IWBI(International WELL Building Institute)が制定し、2014年から運用を開始した評価システムであり、当連結会計年度では、本認証の申請および現地審査の準備を行いました。翌連結会計年度では現地審査を受け、認証取得を目指しております。ZEBready認証およびWELL認証を併せて取得することでリニューアル事業の営業展開に繋げることを目指しております。

 

(7) 補強組積ブロック増設耐震壁による耐震補強工法の適用範囲拡大の開発

補強組積ブロック(RMユニット)を用いた増設耐震壁による耐震補強工法は、在来工法に比べ工期が短く、狭小な場所での施工が容易で、作業騒音が少ないなどの長所があり、これまで着実に施工実績を重ねております。当連結会計年度では、柱に接する開口を設けた増設壁について本工法の適用範囲を拡張し、一般財団法人日本建築総合試験所による建築技術性能証明の改定を行いました。本工法が適用可能な条件を拡大することにより、適用物件のさらなる増大を目指しております。

 

[施工改善・生産性向上に資する技術]

 (8) ICTを用いた品質・生産性向上のための開発

当社での設計・施工におけるBIM(ビルディング インフォメーション モデリング)活用はBIM推進室を中心に、全店的に進めております。技術研究所ではAI(人工知能)を利用した配筋自主検査システムの開発を進めており、当連結会計年度では配筋自主検査システムの試作機を作製し、現場での試験適用を行いました。翌連結会計年度では、本開発を深化させ、現場適用を目指す予定となります。

さらに、当連結会計年度において、建設現場での生産性・安全性の向上、コスト削減等を実現するため、施工ロボットやIoTアプリ等の開発と利用に係るロボティクストランフォーメーション(ロボット変革)の推進を図るべく設立された建設RXコンソーシアムに当社も参画し、活動を開始いたしました。

 

また、「その他」の事業においては、研究開発活動は特段行われておりません。