第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 基本理念

 当社グループは、創業理念であります「和の精神」、「誠意・熱意・創意」の下、「仕事が仕事を生む」の企業精神に則り、事業活動を通じ誠実なモノづくりに専心し、社会の安全・安心・快適の増進に寄与することを基本理念としております。

 この基本理念の実現に向け、事業活動を通じお客様をはじめとする、あらゆるステークホルダーから信頼され、選ばれ、そして感謝される企業となることを基本方針としており、そのために、刻々と変化する社会やお客様のニーズに柔軟に対応するための技術力、知力、感性を磨き、組織力を以って事業を継続、発展させ、机上の議論より実践を重んじ、現場・現物・現人主義を以って、的確かつ迅速にことにあたり、社会のルールを遵守し、社会と共に持続的発展を目指し、公正で堅実な経営に徹してまいります。

 

(2) 見通し

 5月に新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが5類に移行され、個人消費やインバウンドの回復に一層の弾みがつき景気は拡大していくものと予想されます。しかしながらロシアのウクライナ侵攻における戦闘の拡大や長期化による世界的なサプライチェーンの停滞、物価高騰など世界経済への悪影響が懸念され、引き続き注視が必要です。

 建設業界におきましては、民間建設投資は、物流施設や工場だけでなく個人消費の回復からホテルや店舗といった先送りされた設備投資も回復してくるものと思われ、公共建設投資は、国土強靭化政策の継続による防災・減災対策や自然災害の復旧・復興事業等により堅調な推移が予想されます。しかしながら、世界的な原油や資材等の高騰、高齢化に伴う人材不足による人件費の高騰につきましては、回復基調の景気や設備投資マインドへの悪影響が懸念されます。

 

(3) 中期3ヵ年計画及びエコフレンドリーASANUMA21

 当社グループは中期3ヵ年計画の各施策を確実に実行に移しているところであり、リニューアル事業の利益を3年目に連結営業利益の35%以上にすべく、ASEANにてリニューアル関連事業を行う子会社との連携強化に努め、また、国内においては、「よい循環を生み出すリニューアル」をテーマとした『GOOD CYCLE PROJECT』のもと、リニューアルブランド『ReQuality』を推進力とし、環境技術をはじめとする独自技術の開発、高度化を進め、提案営業の更なる推進に取り組んでいきます。

 また、2010年度より全社的な地球温暖化防止対策としてスタートさせた「エコフレンドリーASANUMA21」では、持続可能な社会の実現に向け、長期ビジョンを見据えたCO2削減目標の設定をしており、サステナビリティ推進委員会では、TCFD提言への取り組み等のサステナビリティ活動を推進しています。そして、英国で設立された国際的な環境非営利団体であるCDP「カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト(Carbon Disclosure Project)」の気候変動質問書に対し、今期初めて回答し「B-」スコア評価を得ました。更なる高評価を得られるよう、様々な取り組みを強化していきます。

 サステナビリティ推進委員会を通じ、スコープ1・2におけるCO2排出量の削減に取り組んでいるところですが、この度、2021年のサプライチェーンにおけるCO2排出量の算定が出来たことを機に、2023年4月からは、スコープ1・2を除く全てのサプライチェーンのCO2排出量であるスコープ3の内、その大宗を占めるカテゴリ11であるお客様に引渡した建築物等の運用時に排出されるCO2の排出量の目標値を総量単位で設定しました。長期目標としては、「2021年度を基準年とし、2030年度までに15%、2050年度までに35%削減」を掲げ、お客様には建物の用途や特性に応じた環境配慮型材料の使用等の提案を進めてまいります。

 また、採用から人材育成、研修方針の検討や人権・ステークホルダーにも配慮した施策の検討、非財務KPIの検討、マルチステークホルダー方針の策定、サプライチェーン維持への取り組み検討等持続可能な社会の実現と企業の持続的な成長を目指しサステナブルな課題の解決に向け取り組んでまいります。また、DX推進委員会では、ICTを活用した生産性向上を目指し、様々な課題への取り組みを引き続き推進してまいります。

 

 

① 中期3ヵ年計画(2021年度~2023年度)

A 長期ビジョン

「目指すは、外部環境の激しい変化に対し、独自性を発揮し果敢に挑戦し続ける企業」

 

B 位置付け

 企業理念である「誠実なモノづくりに専心し、社会の安全・安心・快適の増進に寄与します」の下、長期ビジョンを作成し、新中期3ヵ年計画を、長期ビジョン実現に向けた独自性の発揮ステージへとつなげるための「淺沼組らしさ(独自性)の深耕」と位置付けました。それを基本方針として掲げ、3つの外部環境変化に対し果敢に挑戦することで、独自性を深め、次の成長につなげてまいります。

 

C 基本方針

淺沼組らしさ(独自性)を深耕させ「変化に挑戦」

 

 基本方針に則った具体的な取り組みについては以下のとおりであります。

 

(a) 長期的に縮小する国内建設投資とインフラ・建築構造物の老朽化により堅調に推移する国内維持・修繕需要事業投資

ⅰ.競争力(コスト・品質・提案)の強化

ⅱ.新領域(海外・新分野)への取り組み強化

ⅲ.国内維持管理・修繕事業の取り組み強化

 

(b) 建設分野における生産労働人口の減少

ⅰ.生産性向上に資する取り組みの強化

ⅱ.人材確保・人材育成の強化

ⅲ.協力会社との連携強化

 

(c) 非財務経営活動(ESG・SDGs等)による企業評価向上の機運

ⅰ.「E」:環境問題解決

ⅱ.「S」:社会課題解決

ⅲ.「G」:コーポレートガバナンスの強化

 

D 主な経営指標

 中期3ヵ年計画の最終年度である2023年度の目標を、受注高1,447億円、売上高1,418億円、営業利益41.0億円、親会社株主に帰属する当期純利益45.4億円とし、2023年度における営業利益率を2.9%、自己資本利益率(ROE)は10.2%とします。

 

② エコフレンドリーASANUMA21

A 長期ビジョン

    スコープ1+2(建設工事のみ対象)

    「施工高1億円当たりのCO2排出量を2030年までに1990年比50%、2050年までに70%削減」(原単位目標)

    「CO2排出量を1990年度比で2030年度までに73%、2050年度までに84%削減」(総量目標)

 

    スコープ3 カテゴリ11

    「2021年度を基準年とし、2030年度までに15%、2050年度までに35%削減」(総量目標)

 

B 基本方針

「脱炭素化の推進」

「資源の循環」

「自然・社会との共生」

 

直近の経営環境について

 中期3ヵ年計画(2021年度~2023年度)の2年目である2022年度は、新型コロナウイルス感染拡大の影響が残る中、海外子会社の業績寄与もあり計画を達成することができました。足元の建設投資マインドは、全体としては回復傾向にあるものと見ております。

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループは、「誠実なモノづくりに専心し、社会の安全・安心・快適の増進に寄与します」との基本理念に沿って、「事業活動を通じて、お客さまをはじめとする、あらゆるステークホルダーから信頼され、選ばれ、そして感謝される企業を目指します」という経営の基本方針のもと、環境と社会のさまざまな課題の解決に向けて取り組むことにより、持続可能な社会の実現と持続的な企業の成長を目指すべく、サステナビリティ基本方針を定めております。

(1)サステナビリティ基本方針

  お客さまに対する責任

  顧客に対して、商品・サービスに関する適切な情報提供、誠実なコミュニケーションを行い、満足と信頼を獲得することに努めます。品質・環境・安全衛生方針に則り、お客様の要望に応え、満足して頂ける製品・サービスを提供します。

  人権の尊重

  企業活動を通じて性別、信条などをはじめ、各国・地域の文化・慣習も含めた人権の尊重を推し進めます。企業の社会的責任として多様な人材が活躍できるよう、また健康と安全にも配慮した環境を整えることは最重要課題であり、国際的な人権規範に則って人権尊重への取り組みを進めてまいります。

  人材育成

  国籍、性別、信条などを理由とした雇用や処遇について、いかなる差別や不当な取り扱いを行いません。また、多様な人材が個々の能力を十分に発揮できる人事処遇を行い、個性を尊重した人材育成に努めてまいります。

  地域社会への貢献

  社会貢献基本方針に則り、社会の一員として社会のあるべきかたちの実現のため、社員一人一人が社会的責任を自覚し、積極的に社会貢献活動を推進していきます。

  地球環境

  企業活動における環境への負荷の軽減はもとより、地球温暖化対策、循環型社会の構築、生物多様性の保全などに積極的に取り組むとともに省エネルギーに努めてまいります。

  公正な事業活動(コンプライアンス)

  コンプライアンス宣言に則り、法令・企業倫理・淺沼組企業行動規範・その他の社内ルールを遵守し、「誠意ある行動と適正な事業活動」に努めてまいります。

  社会からの信頼

  「誠実なモノづくりに専心し、社会の安全・安心・快適の増進に寄与する」という企業理念の実践が社会的使命であり、それを淺沼組企業行動規範に則り、果たしてまいります。

 

(2)ガバナンス

  当社グループでは、従来より持続可能な社会の実現と企業の持続的な成長を目指して取り組んでまいりましたが、企業を取り巻く環境の変化を踏まえ、サステナブルな課題に対する活動計画を中長期的な視点で協議・検討し、経営会議に答申することを目的として、サステナビリティ推進委員会を設置しております。

 

 ① 取締役会による監督体制

  取締役会は、毎年1回、サステナビリティ推進委員会より取組状況や目標の進捗状況の報告を受けモニタリングします。また、新たに設定した施策や目標を監督します。

 

 ② サステナビリティに関する経営者の役割

  サステナビリティに関する事項は、代表取締役社長が統括し、また、サステナビリティ推進委員会の委員長として、サステナビリティに関する課題への対応を統括します。

 

 ③ サステナビリティ推進委員会の役割

  本委員会は、次の事項を決議または審議し、事案によって経営会議に答申します。

  ・当社グループのサステナビリティ推進に関する方針・戦略・計画・施策の審議および答申

  ・機関決定されたサステナビリティ推進に関する施策等の社内通知

  ・当社グループにおけるサステナビリティ推進の実績評価および報告

  ・その他サステナビリティ推進に関する重要事項の検討

 

 

 

 

(3)リスク管理

  サステナビリティ推進委員会では、事業におけるサステナビリティに関連するリスクおよび機会の識別、評価、管理を行っています。

 

 ① サステナビリティに関連するリスクを識別、評価するプロセス

  サステナビリティ項目によって、サステナビリティ推進委員会の委員から担当委員を選定し、その担当委員がリスクの特定を行い、サステナビリティ推進委員会に報告します。サステナビリティ推進委員会は、識別されたリスクについてその重要度を評価し、対応策や目標を検討・策定します。

 

 ② サステナビリティに関連するリスクを管理するプロセス

  決定された施策や目標について、サステナビリティ推進委員会は担当委員から定期的に進捗の報告を受け、管理します。

 

(4)TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への対応

 ① ガバナンス

  (2)のサステナビリティに関するガバナンスをご参照ください。

 

 ② 戦略

  TCFD提言への賛同を機に気候変動による事業活動への影響をTCFDの提言に基づき、リスクおよび機会を特定し、評価の上、気候関連の問題が事業に与える影響を中長期的な視点でシナリオ分析を実施しました。

 

リスク/機会 項目

シナリオ

淺沼組の対応

4℃

1.5℃

炭素税導入・炭素価格の上昇による建設コストの増大

 

「エコフレンドリーASANUMA21」の推進

① 脱炭素化の推進

② 資源の循環

③ 自然と社会との共生

GHG排出目標の厳格化による追加コストの増加

 

ESG・SDGs活動に対するステークホルダーの評価の厳格化

ESG・SDGs活動の取り組みと広報の強化

施主の要求内容・評価項目の変化への対応競争の激化

「ReQuality」リニューアルブランド戦略の推進

「Good Cycle Service」(新たなライフサイクルサポートサービス)の拡充

省エネ・脱炭素化技術の普及、促進速度の増幅による技術開発競争の激化

「ReQuality」の一環でのZEB・WELL認証の取得

気候変動に対応する環境配慮型・長寿命化型関連の建物や平均気温の上昇による室内環境の快適性に関する需要の増加

++

環境配慮型提案力の強化

「ReQuality」の一環での「室内環境シミュレーション技術」「地震モニタリングシステム」等の活用促進

平均気温の上昇による労働環境の悪化影響の増大

独自技術である「Ai-MAP SYSTEM」の高度化と特許取得や事業化に向けた取り組みの強化

異常気象の激甚化に起因する対策コストの増加

防災・減災、国土強靭化関連事業への取り組みの強化

自然災害からの復興のための防災・減災、国土強靭化関連の建設需要の増加

++

耐震技術の拡充と免震・制振技術の高度化による万全なBCP(事業継続計画)の確立

 

 

  リスク管理

  サステナビリティ推進委員会にて事業における気候変動関連リスクおよび機会の特定および評価を行っています。また、各事案については経営会議にて審議し、重要課題を特定の上、社内へリスクおよび機会の浸透を図っています。

 

リスク/機会 項目

事業への影響

評価

政策

規制

炭素税の導入・

炭素価格の上昇

・炭素税導入や炭素価格の上昇により、建設コストが増加する

政策

規制

GHG排出目標の厳格化

・目標値達成のためのさまざまな追加コストの増加により、管理費が上昇する

市場

施主の要求内容・

評価項目の変化

・脱炭素化に関する施工実績、提案内容の高度化への対応の後れにより、競争力が低下する

技術

省エネ・脱炭素化技術の

普及、促進速度の増幅

・技術開発の後れや開発コストの増加により、競争力が低下する

評判

ESG・SDGs活動に対するステークホルダーの評価の厳格化

・ESG、SDGs活動の低評価により、企業評価が低下する

慢性

平均気温の上昇

・労働環境の悪化により、業務効率・生産性が低下する

・労働環境改善のさまざまな追加対策により、管理費および建設コストが増加する

急性

異常気象の激甚化

・降雨・強風等に起因する工期遅延等対策(サプライチェーンの分断による調達資材の確保対策コスト含む)の増加により、建設コストが増加する

 

 

 

 

 

政策

規制

脱炭素建物への

社会制度、規制の強化

・脱炭素関連認証(ZEB・WELL等)の取得による他社との差別化により、競争力が向上する

市場

技術

省エネビル、既存建物

長寿命化の需要の拡大

・市場のニーズへの的確な対応(新築におけるZEB対応、リニューアル事業における長寿命化技術の提案力向上等)による付加価値向上により、競争力が向上する

・脱炭素建物の提供によるエネルギー費用の削減効果により、競争力(顧客からの信頼度)が向上する

評判

環境課題への取り組みに対するステークホルダーの評価の向上

・CO2排出削減企業に対する高評価により、企業価値が向上する

・環境配慮技術の開発による他社との差別化が進み、企業価値が向上する

慢性

平均気温の上昇

・気候変動に貢献する環境配慮型関連の建物需要が増加する

・室内環境の快適性に関する需要増加により、保有技術の活用が進み、競争力が向上する

急性

異常気象の激甚化

・自然災害からの復興のための防災・減災、国土強靭化関連の建設需要が増加する

 

  指標及び目標

  「エコフレンドリーASANUMA21」のもと、気候変動関連の中長期的目標を策定し、事業活動における脱炭素化の取り組みを推進しています。

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(5)人的資本

  サステナビリティ基本方針で掲げています人権の尊重、人材育成を踏まえ、人権方針も定めており、人的資本に関する「戦略」と「指標及び目標」については次のとおりであります。

 

  戦略

  当社グループは中長期的な企業価値の向上に向けた人材戦略の重要性に鑑み、多様性の確保に向けた人材育成方針として、雇用や処遇について、国籍・性別・信条などによるいかなる差別や不当な取扱いを行わず、多様な人材が個々の能力を十分に発揮できる人事処遇を行い、個性を尊重した人材育成に努めております。また、社内環境整備方針として、多様な人材が個々の能力を十分に発揮することができるよう、柔軟な働き方やワークライフバランスのとれた働き方が実現できる制度を整備するとともに、その制度を十分に生かせるよう、社員意識や社内風土の醸成に資する研修制度の充実を図っております。

 

  指標及び目標

  当社グループは、女性・外国人・中途採用者の管理職への登用など中核人材の登用における多様性の確保のため、次々期中期3ヵ年計画が完了する2029年度末において、女性総合職に占める女性の管理職の割合については6%、中途採用者に占める中途採用者の管理職の割合については現状と同水準以上を維持、外国人総合職に占める外国人の管理職の割合については3%とする指標を用いています。当社グループでは、一定の職能等級到達者を管理職としておりますが、2023年3月末現在、女性総合職に占める女性の管理職の割合は3.70%、中途採用者に占める中途採用者の管理職の割合は45.35%であります。(外国人の管理職の該当はありません。)

 

3 【事業等のリスク】

 投資者の投資判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、次のようなものがあります。ただし、これらは当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外の予見し難いリスクも存在します。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 当社グループにおいては建設事業を中心とする事業の内容に鑑み、次のようなリスクが存在しております。

 

(1) 国内外情勢や経済動向等の外部経営環境に関わるリスク

① 外部経営環境に関わるリスク

 当社グループは、日本、グアム及び東南アジアで建設事業を展開しており、工事需要は、各国の政治動向、経済動向、天災または悪天候、テロや地域紛争、戦争、疫病の発生・蔓延等により大幅に減少する可能性があります。

 また、当社グループの取引は、取引ごとの請負代金が大きく、工事の着工から完成引渡しまでの期間が長期に亘るため、工事代金の受領前に取引先の競争環境や事業環境が大幅に変化し、信用不安が生じた場合、当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。

② 競争環境に関わるリスク

 当社グループは、国内及び海外において、施工品質及び請負金額に関して激しい競争に直面しております。国内では、既存の建設会社との競争に加え、設備会社やプラント会社との競争、海外では、各国及び日本の海外子会社との競争が激化しております。上述のように、現在の当社グループの競争環境や事業環境が大幅に変化した場合、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。

③ PFI事業に関わるリスク

 当社グループは、その他の事業としてPFI事業を行っていますが、運営期間が最長2036年までと長期に亘っております。事業運営の間に上述のように、競争環境や事業環境が大幅に変化した場合、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 市況変動に関わるリスク

① 資材調達価格等に関わるリスク

 当社グループの建設事業は、各工事業者、資材業者等の協力会社の提供するサービスに一定程度依存しており、協力会社と共に、主要資材価格や労務価格が高騰した場合、当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。

② 為替変動に関わるリスク

 当社グループは、日本国外においても事業を展開しており、外貨建により、収益の一部を受領し、費用の一部を支払っております。これら為替変動による収支変動を軽減する目的で、収入で得た外貨は外貨建の支出に充当することを基本としておりますが、当社連結財務諸表において海外工事の外貨建ての財務諸表金額は日本円に換算されるため、当社連結財務諸表は日本円と各通貨間の為替相場変動の影響を受けます。為替相場の変動により、当社グループの事業、財務状況及び業績に影響が及ぶ可能性があります。

③ 資金・金融市場に関わるリスク

 当社グループは、建設工事の施工時に多額の立替を必要としており、その資金需要に応じる為に金融機関や市場からの資金調達を行う可能性があります。当社グループの資金調達能力や資金調達コストについては、資金・金融市場の動向や当社グループの信用力の変動等により、資金調達の制約や資金調達コストの上昇を招く可能性があります。

 

(3) 災害に関わるリスク

 当社グループの事業地は日本全国及び海外に亘り、かつ屋外が主であり、各地域によりそれぞれの特性があります。そのため、各地域において大規模な震災や台風、火山の噴火等が発生した場合もしくは当該施工現場において火災や水害、テロ攻撃等の災害が発生し、工事の遅延や追加費用が発生した場合、当社グループの経営に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 安全品質環境に関わるリスク

① 安全に関わるリスク

 当社グループでは、施工中の安全性の確保のため、日々様々な取組みを実施しておりますが、事故を発生させてしまった場合、当社グループの施工の安全性に対する顧客の信頼及び社会的評価が失墜するだけでなく、死傷した作業員や第三者への補償等に対応しなければならないことから、当社グループの業績に極めて深刻な影響を与える可能性があります。なお、施工事故に伴う各種損害の軽減、並びに被災者への確実な賠償を行う目的で、現在業界水準と同程度の補償額・補償範囲の損害賠償保険に加入しております。

② 品質に関わるリスク

 当社グループでは、施工物件の品質性の確保のため、日々様々な取組みを実施しておりますが、施工後の物件に契約不適合が発生した場合、当社グループの施工の品質性に対する顧客の信頼及び社会的評価が失墜するだけでなく、契約不適合責任による顧客や第三者への補償等に対応しなければならないことから、当社グループの業績に極めて深刻な影響を与える可能性があります。

 

(5) 法的規制・訴訟に関わるリスク

 当社グループの事業は、様々な側面において、国際的な規制並びに政府及び地方自治体レベルの法令及び規則に基づく規制に服しております。これらの規制の変化等により、当社グループの事業がさらに規制され、また、大幅な費用の増加が必要となる可能性があります。

① 法的規制に関わるリスク

 当社グループの事業は、建設業法、建築基準法、国土利用計画法、都市計画法、宅地建物取引業法、品質確保法、建設リサイクル法、産業廃棄物法、独占禁止法その他諸外国の類似の法令等の定めに基づき事業を行っておりますが、これらに変更が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、コンプライアンス体制の充実を図っておりますが、これらの法令に違反した場合、行政処分などにより、業績、事業運営に影響を及ぼす可能性があります。

② 訴訟に関わるリスク

 当社グループは事業活動に関して各種の訴訟に巻き込まれるおそれがあり、係争中の事案においては、当社グループの主張や予測と相違する結果となった場合には、追加的な支出や引当金の計上により業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) IT(情報システム)、顧客情報の取り扱いに関わるリスク

 当社グループは、業務の多くを情報システムに依存しております。コンピュータ・プログラムの不具合やコンピュータ・ウイルス等のサイバー攻撃によって情報システムに様々な障害が生じた場合には、重要なデータの喪失に加えて、建設施工に支障が生じる等、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。また、情報システムを支える電力、通信回線等のインフラに大規模な障害が発生した場合、当社グループの業務に重大な支障をきたす可能性があります。

 また、当社グループが保有する個人情報が取り扱い不備または不正アクセス等により漏洩した場合には、当社グループの事業、またはシステムに対する社会的評価が傷つけられ、顧客及び市場の信頼が低下して、当社グループの事業、財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 人材・労務に関わるリスク

 当社グループの事業運営には、各取引の施工、運営に関連して法律上要求される国家資格を始めとする各種の資格や技能を有する人材の確保が必要ですが、当社グループの従業員がその業務に必要なこれらの資格や技能を取得するまでには相応の期間を要することから、当社グループが想定する人員体制を必要な時期に確保できない場合には、当社グループの事業運営が影響を受ける可能性があります。

 また、当社グループの従業員は労働組合に所属しておりますが、当社グループの従業員による集団的なストライキ等の労働争議が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 新型感染症拡大に関するリスクについて

 新型感染症が拡大した場合の当社グループへの影響につきましては、国内外における経済活動の制約等から以下のリスクが想定されます

① 新型感染症の収束が長引くことに伴う経済活動の減速・停滞により、建設投資の先送りや中止・抑制など建設需要が落ち込むことにより、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

② 感染拡大が収まらない場合、経済活動の制約措置が講じられ、建設中の工事物件の施工停止等に伴う完成工事高の減少や工事原価の増加により完成工事粗利益が減少し、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

③ 経済活動の停滞により、協力会社において業績悪化や事業継続に支障が発生した場合、施工労務者不足等、当社グループにおける施工能力が低下することにより当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

④ 世界的な経済活動の停滞によるサプライチェーンの混乱により建設資材の調達に支障が出ることで、調達価格の上昇や工事進捗の遅延等が発生し、工事原価が膨らむことにより当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の収束に伴う経済活動の拡大やロシアのウクライナ侵攻による世界的なエネルギー、食糧、資源等のサプライチェーンの混乱等により、インフレの高進が長期化する中、米国における銀行破綻に端を発した金融不安は各国当局による迅速な対応がなされたものの、今後の経済情勢を更に不安定化させることとなりました。わが国の経済は、ウィズコロナへの移行に伴い、経済の活性化対策として、様々な経済刺激策の導入や水際対策の緩和により、個人消費の回復やインバウンドの戻りも見られ、宿泊や飲食業、サービス業といった業種の回復が見られました。他方、コロナウイルス禍で縮小した経済活動からの急激な回復に伴い、サプライチェーンの混乱や原油価格・資源価格等の高騰は、回復基調の経済に影を落とす一因となっています。

 当社グループの主たる事業である建設業界におきましては、公共建設投資は、国土強靭化政策推進の下、自然災害への防災・減災対策や復旧・復興対策、老朽化したインフラ対策等により堅調に推移しました。一方、民間建設投資につきましては、好調な輸出関連企業や生産の国内回帰による工場や物流施設等の需要が堅調に推移し、また景気回復に伴う企業業績の回復もあり、先送りされていた設備投資の持ち直しも見られました。

 このような状況の中、当社グループは「中期3ヵ年計画(2021年度~2023年度)」の基本方針として[淺沼組らしさ(独自性)を深耕させ「変化に挑戦」]を掲げ、様々な施策に取り組んでおります。「人間にも地球にも良い循環をつくる」ことを目指したリニューアル事業ブランド『ReQuality』もその1つで、そのコンセプトに沿った淺沼組独自の環境配慮型リニューアル技術を活かした「GOOD CYCLE BUILDING」の第1弾として改修を行った名古屋支店は、グッドデザイン・ベスト100への選出をはじめとして国内外において数多くの賞を頂き、多数メディアにも取り上げられました。さらに、“新領域(海外・新分野)への取り組み強化”として、JICA(国際協力機構)SDGsビジネス支援事業に採択されたタイにおけるインフラ改修事業については、本年1月にJICAとの契約締結も完了し、タイ国運輸省道路局所管の橋・高架橋の補強工事の施工を準備しているところです。また、シンガポールにて2018年と2022年に子会社化したリニューアル事業会社2社は、順調に受注を伸ばしており、ASEAN地域における事業拡大に今後大きく貢献していくものと考えています。

 サステナビリティ活動としては、2010年度より地球温暖化防止対策としてスタートさせた「エコフレンドリーASANUMA21」では、「脱炭素化の推進、資源の循環、自然・社会との共生」を基本方針とし、2022年度より、従来の施工高1億円当たりのCO2排出量という原単位での削減目標に加えて、総排出量の削減目標も追加して活動を行っています。その取り組みの1つとして、新規着工する全ての作業所への「再生可能エネルギー100%電力」を導入しました。また、生物多様性の保全活動として、生物多様性簡易評価ツール「いきものプラス」を活用して作業所周辺地域に適した植樹計画を作成する等、さまざまな環境保全対策に対応しています。

 サステナビリティ推進委員会では、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の開示の拡充、調達方針や人権方針の策定、パートナーシップ構築宣言を行いました。また、英国で設立された国際的な環境非営利団体であるCDP「カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト(Carbon Disclosure Project)」の気候変動質問書に初めて回答し「B-」スコア評価を獲得いたしました。更なる高評価を得られるよう、様々な取り組みを強化していきます。加えて、サステナビリティ経営における「KPI」設定、人材の多様性の確保、人材育成方針や人権に配慮した施策の検討も進めてまいりました。

 その他の施策においても着実に取り組んでいくことで様々な社会変化に対応し、新技術開発による人材不足対策をはじめとした生産性の向上、既存技術の洗練や新領域へも挑戦し、多様に変化する経営環境の下、経営課題をしっかりと捉え、全役職員一丸となってさらなる企業価値向上を目指してまいります。

 当社グループにおきましては、新型コロナウイルス感染拡大に伴う影響により一部工事案件の発注先送りなどが見られ、受注競争は厳しさを増してきている中、当連結会計年度の受注高は1,447億4千3百万円となり、前連結会計年度比6.0%の増加となりました。

 売上高につきましては、1,444億3千6百万円となり、前連結会計年度比6.6%の増加となりました。

 損益に関しましては、売上総利益につきましては、151億3千9百万円(前年同期比12.6%増)となりました。また、営業利益及び経常利益につきましては、それぞれ、営業利益56億9千1百万円(前年同期比17.7%増)、経常利益59億1千8百万円(前年同期比20.7%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、42億円(前年同期比12.0%増)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

(建 築)

 受注高は1,220億6千5百万円(前年同期比8.3%増)、売上高は1,164億5千6百万円(前年同期比6.0%増)となり、セグメント利益は104億円(前年同期比2.7%増)となりました。

(土 木)

 受注高は226億7千8百万円(前年同期比4.7%減)、売上高は253億1百万円(前年同期比3.0%増)となり、セグメント利益は39億5千4百万円(前年同期比31.4%増)となりました。

 

 また、「その他」の事業につきましては、売上高26億7千8百万円(前年同期比150.1%増)、セグメント利益5億5千3百万円(前年同期比456.1%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動による資金の増加は13億5千4百万円(前連結会計年度は15億6千3百万円の資金の増加)となりました。これは主に未成工事支出金及び未収入金の減少によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動による資金の増加は9億3千4百万円(前連結会計年度は22億6千4百万円の資金の減少)となりました。これは主に有形固定資産の売却による収入によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動による資金の減少は36億6千1百万円(前連結会計年度は22億6千7百万円の資金の減少)となりました。これは主に配当金の支払によるものであります。

 

 以上の結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物は、11億1百万円減少し、当連結会計年度末には117億9千6百万円(前連結会計年度比8.5%の減少)となりました。

 

③ 生産、受注及び売上の状況

a.受注実績

セグメントの名称

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

(百万円)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

(百万円)

建 築

112,762

122,065

土 木

23,806

22,678

合計

136,568

144,743

(注) 当社グループでは建設事業以外では受注生産を行っておりません。

 

b.売上実績

セグメントの名称

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

(百万円)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

(百万円)

建 築

109,849

116,456

土 木

24,557

25,301

その他

1,070

2,678

合計

135,478

144,436

(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載しておりません。

3 売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先はありません。

 

 なお、参考のため提出会社個別の事業の状況は次のとおりであります。

 

建設事業における受注工事高及び完成工事高の状況

a.受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高

期別

区分

前期繰越

工事高

(百万円)

当期受注

工事高

(百万円)

(百万円)

当期完成

工事高

(百万円)

次期繰越

工事高

(百万円)

前事業年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

建築工事

110,795

110,110

220,906

107,725

113,180

土木工事

33,388

23,876

57,264

24,346

32,918

144,184

133,986

278,170

132,071

146,099

当事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

建築工事

113,180

113,277

226,458

106,972

119,486

土木工事

32,918

22,666

55,584

25,275

30,309

146,099

135,943

282,043

132,247

149,795

(注)1 前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含んでおります。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれております。

2 次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)であります。

 

b.受注工事高の受注方法別比率

 工事受注方法は、特命と競争に大別されます。

期別

区分

特命

(%)

競争

(%)

(%)

前事業年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

建築工事

39.6

60.4

100.0

土木工事

39.9

60.1

100.0

当事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

建築工事

40.8

59.2

100.0

土木工事

29.9

70.1

100.0

(注) 百分比は請負金額比であります。

 

c.完成工事高

期別

区分

官公庁

(百万円)

民間

(百万円)

(百万円)

前事業年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

建築工事

23,338

84,386

107,725

土木工事

19,279

5,066

24,346

42,618

89,453

132,071

当事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

建築工事

18,442

88,529

106,972

土木工事

16,752

8,522

25,275

35,195

97,052

132,247

(注)1 完成工事高のうち請負金額10億円以上の主なものは、次のとおりであります。

 

前事業年度

大和ハウス港北特定目的会社

(仮称)DPL横浜港北Ⅰ 新築工事

奈良県大和郡山市

大和郡山市新庁舎建設工事

北鈴蘭台駅前再開発株式会社

北鈴蘭台駅前地区第一種市街地再開発事業施設建築物

新築工事

エヌ・ティ・ティ都市開発株式会社

積水ハウス株式会社

(仮称)大阪市中央区内本町2丁目計画 新築工事

株式会社フレンドステージ

(仮称)赤羽ホテル計画新築工事

東京建物リゾート株式会社

(仮称)おふろの王様和光店 新築工事

東大阪市上下水道局

令和元年度公共下水道第9工区管きょ築造工事

 

当事業年度

センコー株式会社

(仮称)センコー(株)湾岸弥富PDセンター新築工事

セキスイハイム東海株式会社

(仮称)タワー・ザ・ファースト名古屋伏見新築工事

エヌ・ティ・ティ都市開発株式会社

積水ハウス株式会社

(仮称)大阪市中央区内本町2丁目計画 新築工事

備後漬物株式会社

(仮称)備後漬物関東工場新築工事

東急住宅リース株式会社

(仮称)四谷プロジェクト新築工事

 

2 前事業年度及び当事業年度ともに完成工事高総額に対する割合が、100分の10以上の相手先はありません。

 

d.次期繰越工事高(2023年3月31日現在)

区分

官公庁

(百万円)

民間

(百万円)

(百万円)

建築工事

16,943

102,542

119,486

土木工事

17,405

12,903

30,309

34,349

115,446

149,795

(注) 次期繰越工事のうち請負金額10億円以上の主なものは、次のとおりであります。

 

西部ガス都市開発株式会社

(仮称)香椎照葉4丁目賃貸マンション新築工事

2025年5月完成予定

独立行政法人都市再生機構

03-浜甲子園団地第Ⅳ期北工区建築その他工事

2025年2月完成予定

メタウォーター株式会社

小金井市清掃関連施設整備工場(資源物処理施設)

2025年5月完成予定

丸徳産業株式会社

(仮称)丸徳産業(株)稲沢第一物流センター新築工事

2024年1月完成予定

大阪市高速電気軌道株式会社

(仮称)Osaka Metro なんばビルプロジェクト新築工事

2024年2月完成予定

西日本高速道路株式会社

京滋バイパス 吹前高架橋他3橋耐震補強工事

2026年8月完成予定

関西高速鉄道株式会社

なにわ筋線西本町駅部土木工事

2028年3月完成予定

東京都下水道局

江東区平野四丁目、東陽六丁目付近枝線工事

2025年7月完成予定

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(経営成績)

 当連結会計年度における経済環境につきましては、新型コロナウイルスによる経済活動の制約も落ち着きを取り戻し景気の回復が見られました。加えて、ウクライナ情勢の長期化による資源・エネルギー価格の上昇も相まって全般的な物価上昇に拍車をかけました。欧米諸国の金融引き締めによる金利上昇や金融不安など、未だ世界経済の先行きは不透明の状況であります。国内建設市場においては民間では新型コロナウイルスの影響を大きく受けていた業界を中心に回復基調にあり、官庁でも国土強靭化に向け公共投資も実施されたことからおおむね堅調に進みました。

 そのような環境の中、当社グループにおける受注活動につきましては、指名停止処分の影響もあり、官庁工事は苦戦したものの、民間工事で受注を伸ばし、前期比増の1,447億4千3百万円となり、計画値である1,416億円を31億円強上回ることができました。

 売上高につきましては、提出会社においては比較的着工までの期間が長い工事の受注が多かったものの、海外子会社が堅調に推移し、計画値を1億3千6百万円上回る1,444億3千6百万円となりました。

 損益に関しましては、同様に提出会社の売上高の減少に伴う利益の減少を海外子会社がカバーしたことによって、売上総利益が151億3千9百万円となり、計画値を5億9百万円上回り、営業利益および経常利益はそれぞれ56億9千1百万円、59億1千8百万円となり、計画値をそれぞれ8千1百万円、4億3千8百万円上回り、親会社株主に帰属する当期純利益は計画値を8千万円上回る42億円となりました。業績数値につきましては、ほぼ計画通りという結果となりました。

 なお、自己資本利益率(ROE)は前連結会計年度比0.7ポイント増の9.7%となり、計画値を上回ることができました。

 

(セグメントごとの経営成績)

 建築部門の経営成績は、受注高が前連結会計年度比8.3%増の1,220億6千5百万円となり、計画値を78億1千5百万円上回りました。これは民間工事の受注と海外子会社の受注が増加したことが主たる要因です。

 売上高につきましては、前連結会計年度比6.0%増の1,164億5千6百万円となり、計画値からは6億6百万円上回りました。これは、国内において着工までの期間が長めの工事が多かった一方、海外子会社にて大型工事が順調に進捗したことによります。セグメント利益は前連結会計年度比2.7%増の104億円となり、これは海外子会社が好調だったことなどによります。

 土木部門の経営成績は、受注高が前連結会計年度比4.7%減の226億7千8百万円となり、計画値を46億7千1百万円下回りました。これは指名停止処分により、官庁工事の受注が前連結会計年度と比べ大きく減少したことによります。

 売上高につきましては、前連結会計年度比3.0%増の253億1百万円となり、計画値からは21億4千8百万円下回りました。これは指名停止処分により、官庁工事の新規受注が減少したことによるものです。セグメント利益は前連結会計年度比31.4%増の39億5千4百万円となり、これは追加工事の受注によって手持工事の利益率が改善したことによるものです。

 

(財政状態)

 当連結会計年度末における財政状態は、資産合計が930億3千4百万円となり、前連結会計年度比24億9千7百万円の増加となりました。これは売上の増加により受取手形・完成工事未収入金等が63億2千9百万円増加したこと等によるものです。

 負債合計は、483億6千7百万円となり、前連結会計年度比7億3百万円の増加となりました。これは主にその他に含まれる未払消費税が39億5千3百万円増加したこと等によります。

 純資産合計は、446億6千7百万円となり、前連結会計年度比17億9千4百万円の増加となりました。これは親会社株主に帰属する当期純利益の計上や配当金の支払などの結果、利益剰余金が12億7千万円増加したこと等によるものです。

 この結果、連結自己資本比率は47.3%となり、前連結会計年度末から0.7ポイント改善しました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当連結会計年度における現金及び現金同等物は、11億1百万円減少し、当連結会計年度末では117億9千6百万円となりました。これは主に未成工事支出金および未収入金が減少したこと等により営業活動によるキャッシュ・フローが13億5千4百万円の増加となり、主に九州支店の売却等により投資活動によるキャッシュ・フローは9億3千4百万円増加しましたが、配当金の支払29億1千5百万円や借入金の返済により財務活動によるキャッシュ・フローが36億6千1百万円減少したことによるものです。

 当社グループにおける主な資金需要は、建設事業における工事施工に要する工事費、販売費及び一般管理費ならびに技術開発・ICT関連の設備投資や新領域関連の投資資金です。

 運転資金については、金融機関からの借入金及び社債の発行により調達しており、設備投資資金等については、内部留保等の自己資金でまかなっております。

 当社は中期3ヵ年計画において、資金投入計画と共に株主還元計画を打ち出しており、競争力の維持・強化のための成長投資と株主還元のバランスを取る方針としております。株主配当につきましては、中期3ヵ年計画において連結配当性向を70%以上としており、2023年3月期の配当は1株当たり191円、連結配当性向73.3%としました。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に準拠して作成しておりますが、この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われており、資産・負債や収益・費用の金額にその結果が反映されております。

 これらの見積りにつきましては、過去の実績等を踏まえながら継続して評価し、必要に応じ見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらの見積りと異なることがあります。

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。

 

5 【経営上の重要な契約等】

 特記事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

 当社グループは、創業理念である「和の精神」「誠意・熱意・創意」の下、「仕事が仕事を生む」の企業精神に則り、誠実なモノづくりに専心し、社会の安全・安心・快適の増進に寄与することを基本理念として、変化する社会やお客様のニーズに対応できる技術開発を、技術研究所を拠点に推進しております。

 研究開発活動としては、免震及び制震技術などの高品質・高性能な構造物を実現する技術、ストック活用のためのリニューアル技術、ICTやIoTを活用した施工改善・生産性向上に資する技術の研究開発と商品化に注力しております。

 当連結会計年度における研究開発費の総額は383百万円であります。

 当連結会計年度の主要な研究開発活動は以下のとおりであります。なお、子会社においては、研究開発活動は特段行われておりません。

(建築及び土木)

[高品質・高性能な構造物を実現する技術]

(1) 柱RC梁Sハイブリッド構法の改良

 柱RC梁Sハイブリッド構法は大型物流施設や商業施設に適した構法で、柱をRC(鉄筋コンクリート造)にすることで、柱・梁ともS(鉄骨造)にした一般的な構法に比べ価格が高騰している鉄骨の使用量を低減でき、建築費を抑制できる利点があります。当連結会計年度では、1物件採用されております。さらに当構法を改良すべく、適用する梁の鋼材強度の拡大および溶接仕様の合理化等について第三者機関による構造性能評価を取得いたしました。今後、本構法を広く展開し、物流施設を中心とした受注に繋げたいと考えております。

 

(2) 大型物流施設等を対象としたエネルギー法を用いた制振構造の設計手法

 制振構造の設計に関する合理化手法として、エネルギー法への取り組みを進めております。エネルギー法は制振構造の設計期間を短縮可能な構造設計手法であり、設計期間の短縮によって、大型物流施設等への制振構造の採用が容易となり、制振構造により鉄骨量を削減できる効果が期待できます。当連結会計年度では、エネルギー法の実施に関する社内体制の整備を進め、設計ツールの開発および試設計による検証を行いました。翌連結会計年度では、試設計について任意評価を取得し、実物件への適用に向けての円滑化を図ります。

 

(3) 鉄骨造の合理化工法開発

 物流施設をはじめとした建築物への鉄骨造の採用が拡大しており、その競争力の強化には鋼材量、加工量、特殊材料等の省力化が課題となっております。当連結会計年度では、「横座屈補剛工法」および「異幅柱接合部工法」の合理化工法の開発を行い、第三者機関による構造性能評価を取得いたしました。「横座屈補剛工法」は大梁の横補剛に床スラブの補剛効果を利用する工法で、「異幅柱接合部工法」は上下階で柱幅が異なる箇所の接合部に使用するダイアフラムに関する工法であります。当連結会計年度において、これらの工法が計3件採用されました。

 

(4) 鉄筋コンクリート造壁・床のひび割れ誘発目地工法「CCB工法」の展開

 当社では、鉄筋コンクリート造の壁や床に不可避な乾燥収縮によるひび割れを壁や床に設けた目地内で確実に誘発させ、高品質な壁や床を築造する「CCB工法」を開発してまいりました。当連結会計年度では16物件に採用されております。また、当連結会計年度において、本工法を発展させた「PRS目地充填工法」については、一般財団法人日本建築総合試験所の建設材料技術性能証明を取得いたしました。翌連結会計年度では、実物件への適用をさらに拡大させるとともに、新たな合理化技術の開発に着手いたします。

 

(5) 環境配慮型コンクリートの開発と適用

 環境配慮型コンクリートには、低炭素性と資源循環性の2種類があります。当社では、CO2排出量を最大70%程度まで削減した低炭素性のものと、高炉スラグ微粉末やフライアッシュを使用した資源循環性の両方の環境配慮型コンクリートを開発しており、当連結会計年度では3作業所にて、二酸化炭素排出量を約50%削減したJISマーク品質の環境配慮型コンクリート(BB+FA)を適用いたしました。今後も環境経営に資する取組みとして積極的に展開を図ってまいります。

 さらに当連結会計年度から、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)グリーンイノベーション基金事業に当社も再委託先として参画し、二酸化炭素を吸収・固定するカーボンプールコンクリートの開発を進めております。

 

[ストック活用のためのリニューアル技術]

(6) 環境配慮型リニューアルReQualityの推進

 「人間にも地球にも良い循環をつくる」を掲げ取組むリニューアル事業『ReQuality』のフラッグシップのプロジェクトである淺沼組名古屋支店改修プロジェクト(2021年9月完成)は、2022年度グッドデザイン・ベスト100(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)に選出されました。さらに一般財団法人住宅・建築SDGs推進センターが主催する2022年度の第1回SDGs建築賞(旧サステナブル建築賞)の大規模建築部門において準グランプリとなる「一般財団法人住宅・建築SDGs推進センター理事長賞」を受賞いたしました。翌連結会計年度では環境配慮型リニューアルReQualityに資する技術開発をさらに進化させ、リニューアル事業の受注拡大に繋げたいと考えております。

 

(7) 既存不適格鉄骨造建物の耐震診断・改修手法の開発

 既存不適格の鉄骨造建物は耐震性能が極めて乏しいために、改修工事まで議論が進まず、放置された建物が数多く残されていることが社会的な課題となっております。当社では、本課題に対しリニューアル事業の一環として取組み、既存不適格の鉄骨造建物を対象とした耐震改修工法の開発を進めております。当連結会計年度では、低コストかつ省スペースの耐震改修工法として、制振技術を利用した新たな耐震改修工法を考案し、要素実験による検証を行いました。翌連結会計年度では、構造実験およびFEM解析による検討を進め、今後、第三者機関による構造性能評価の取得を目指してまいります。

 

(8) 鉄筋コンクリート構造物の劣化診断システムと寿命予測技術

 仕上げをした鉄筋コンクリート構造物について、ダブルチャンバー法とドリル削孔法を併用した透気試験により、仕上げの劣化を加味した建物の余寿命・耐用年数を予測する独自の劣化診断システムを開発し、当連結会計年度から本格的に実装いたしました。コンクリート構造体に大きな傷をつけず、供用中でも建物の調査ができ、調査結果から建物の耐用年数を推定し、所有者の意向に応じて建物の寿命を伸ばすための最適な補修方法を提案することが可能です。当連結会計年度において4物件で調査診断を行いました。翌連結会計年度では、本技術について一般財団法人日本建築総合試験所の建設材料技術性能証明の取得を目指してまいります。

 

[施工改善・生産性向上に資する技術]

(9) ICTを用いた品質・生産性向上のための開発

 開発をすすめているAI(人工知能)を利用した配筋自主検査システムについては、当連結会計年度において配筋自主検査システムの実用機が完成し、現場での実験検証を行いました。その結果、壁・床に関しては概ね検知精度の向上が確認できましたので、翌連結会計年度では本開発をさらに深化させ、柱・梁の検知精度を向上させることで、現場適用を目指してまいります。

 また、建設現場での生産性・安全性の向上、コスト削減等を実現するため、ロボティクストランフォーメーション(ロボット変革)の推進を図るべく設立された建設RXコンソーシアムに当社も参画し、活動を進めております。当連結会計年度では自動搬送ロボットの現場試行を行い、生産性向上に向けた検討を開始いたしました。

 一方、BIMモデルを活用した若手社員向けの体験型施工管理教育システム「現場トレーナー」を当連結会計年度において開発いたしました。翌連結会計年度では、サブスクリプションによる他社へのサービスを開始するとともに、当社内での活用をさらに深化させ、アップデートや新しいコンテンツの追加を目指す予定です。

 

 また、「その他」の事業においては、研究開発活動は特段行われておりません。