第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

(1)経営方針

 当社は、「最高の品質と最良のサービスで、お客様の感動を」を経営理念として制定しております。これは、「どのような時代・環境下においても、お客様の要望に的確にお応えし、そして喜んでいただける事を最大の喜び・明日への糧として、地域社会に貢献できる企業を目指す」という当社の思いを体現したものであります。

 また、この経営理念を実現するため、以下の6つの経営方針の下、日々事業に取組んでおります。

 ・将来を見据えた人材育成

 ・たゆまぬ努力による品質の保持・管理

 ・全社を挙げての事故・災害の撲滅

 ・適切なコスト、適正な価格の追求

 ・遵守事項の厳格運用

 ・地球環境との共存共生

 

(2)経営環境についての経営者の認識

 2020年は、社会全体が新型コロナウイルス感染症に大きく振り回される1年となりました。

 複数回に及ぶ緊急事態宣言の発出による社会・経済活動の急速な萎縮とそれに伴う雇用・経済への影響、感染者の急激な増加による医療体制のひっ迫と混乱、国民的イベントであった東京オリンピックの1年延期など、経済面だけでなく社会全体にも深刻な影響を及ぼしました。しかし、コロナ禍の影響はこれだけでなく、社会全体が急速なデジタル化を強く意識せざるを得ない、一種の“パラダイムシフト”が起こるなど、変化への迅速な対応を強く意識させられる1年となりました。

 建設業界においても、建設技術労働者の不足、生産性の向上、社会需要の変化への対応など、課題は山積しております。しかし、残念ながらこれらの課題に対する即効性のある解決策はなく、課題解決に向けた努力を着実に積み重ねていく他ありません。また、コロナ禍を始めとする様々な事象により、変化はより激しく、より速度を増しつつあり、限られたリソースを有効に活用し、課題解決への努力を続けていく必要があります。さらには環境への意識の高まり、持続可能な社会の実現に向けた取組みなど、SDGsをはじめとする全世界的に取組むべき課題についても、企業として果たすべき役割は明らかになってきました。

 このような認識の下、今後に向けて当社はどうあるべきかを検討するにあたり、これまでの取組みを振り返りました。これまでの取組みでは、顧客リピート率の向上や過去最高益の更新、安定配当の実現など、一定の成果をあげることができましたが、目標である「森組ブランドの確立」は未だ道半ばであります。

 これらの状況を踏まえ、これからの森組としてあるべき姿を検討するにあたり、将来に向けての課題について、3つの観点から整理を行いました。

 1つ目は、「変化」への対応です。これは、労働者の不足、市場の縮小均衡化、社会需要の変化などの市場環境への対応にとどまらず、SDGsや持続可能な社会の実現に向けた取組みなどの世界的な潮流の変化にも、当社としてわずかでも貢献できるのであれば、積極的に対応していく必要があるのではないかと考えております。

 2つ目は、「強み」の強化です。当社の強みとして、長年にわたるお客様との信頼関係、皆さまから高く評価頂いている伝統ある施工管理力、健全な財務体質がありますが、中でもお客様との信頼関係、伝統ある施工管理力については、今後も当社の「強み」として発揮していきたい大切な長所であると考えております。

 3つ目は、「弱み」の克服です。当社の現状として、従業員エンゲージメントに対する意識、会社としての発信力、地域への帰属意識をより高める必要があり、中でも従業員エンゲージメントや地域への帰属意識については、今後に向けて「強み」とするべく積極的に取組んでいく必要があると考えております。

 以上のような認識から、これからの森組としてのあるべき姿を次の3つに再定義しました。

 「信頼できるパートナーと共に、豊かな社会を建設する」

 「受け継がれてきた伝統と共に、新たな現場管理を実現する」

 「ステークホルダーと共に成長し、ステータス性あふれる企業になる」

 今後、これらのあるべき姿を実現することにより、目標である「森組ブランドの確立」を達成し、積極的に地域社会に貢献し、また地域社会から信頼され、必要とされる森組に進化いたします。

 

(3)経営戦略等

 上記のあるべき姿の実現に向け、次の5つを基本戦略として事業活動に取組んでまいります。

 ・事業基盤とする地域社会との連携を重視し、より地域に密着し、地域に貢献できる事業活動を推進する。

 ・伝統ある施工管理力を高め、高品質・高性能にこだわり、環境に配慮したスマート施工管理を実現する。

 ・従業員が会社へのエンゲージメントを高められる、従業員に魅力ある企業になるための取組みを推進する。

 ・働き方改革を実行し、2021年度末に4週8閉所の完全実施を実現する。

 ・業務提携効果を最大限に活用し、シナジー効果のさらなる発現を目指す。

 

 なお、各事業セグメントにおける戦略は次のとおりであります。

① 建設事業

 a.建築事業

 ・信頼関係にあるお客様との取組みを強化し、関係のさらなる深化を図る。

 ・リニューアル工事、公共事業への取組みを継続し、積極的に地域に貢献できる事業活動を推進する。

 ・現場支援体制の拡充や技術承継を積極的に支援し、個々人の能力の全体的な引き上げを図る。

 

 b.土木事業

 ・事業エリアを定着させることで、地域社会との共存共栄を図り、安定した事業基盤の構築を目指す。

 ・信頼関係にあるお客様との関係のさらなる深化を図り、積極的に地域に貢献できる事業活動を推進する。

 ・現場支援体制のさらなる拡充を図り、世代間の技術ノウハウの承継を積極的に推進する。

 

② 砕石事業

 ・建設業と砕石業の事業シナジーの強化を図り、安定した収益の確保を目指す。

 ・砕石生産における採算性の向上を図り、効率的な事業活動を推進する。

 

 ※なお、不動産事業につきましては、影響が僅少のため記載を省略しております。

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、中長期的な企業価値の向上を図るため、特定の経営指標を目標とするのではなく、中期経営戦略の遂行に注力しております。

 中期経営戦略については、最終年度のモデル数値を設定しております。また、最終年度のモデル数値について、「(3)経営戦略等」に掲げております施策の進捗状況や各事業年度の業績、今後の建設業界の動向等も考慮し、毎期見直しを行っております。

 当期までの中期経営戦略における最終年度である2021年3月期は、新型コロナウイルス感染症の拡大とそれに伴う緊急事態宣言の発出により社会・経済活動の大幅な縮小が懸念されましたが、当社の事業活動への影響は想定を下回り、受注高を除くいずれの項目もモデル数値を上回る結果となりました。また、自己資本比率は2018年3月期の43.6%から2021年3月期は55.7%に上昇するなど、安定した財務基盤の確立に一定の目途が立ちつつあると考えております。

 中期経営戦略(2018年度~2020年度)のモデル数値と当事業年度との比較は、以下のとおりであります。

                                         (単位:百万円)

 

2021年3月期 計画値

2021年3月期 実績値

達成率

受注高

28,500

26,328

92.4%

売上高

28,000

28,579

102.1%

営業利益

1,790

1,961

109.6%

経常利益

1,770

1,943

109.8%

 

 なお、2024年3月期を最終年度とする新中期経営戦略(2021年度~2023年度)のモデル数値につきましては、以下のとおりであります。

                 (単位:百万円)

 

2024年3月期 計画値

受注高

29,000

売上高

31,000

営業利益

1,560

経常利益

1,560

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社としてあるべき姿を実現するため、以下の5つのテーマを中心に取組んでまいります。

① 人財の確保・育成

 人財の確保・育成は、当社の今後の事業活動の根幹をなす最重要課題であると認識しております。その中でも、少子高齢化の進行や高齢労働者の退職による世代間の技術承継機会の減少、ICT技術への対応が特に課題となっております。これについては、従業員一人ひとりが自らの能力を着実に高めていくことが肝要となります。当社は、従業員自らが新たな技術や知識の習得に積極的に取組みやすい環境づくりを行うことにより、持続的な企業価値の向上が可能となると考えております。それに向け、従業員が会社へのエンゲージメントを高められる、従業員に魅力ある企業になるための取組みを積極的に推進することで、従業員のやる気が自らの成長に繋がる好循環を創り出し、中長期的な企業価値の向上につなげてまいります。

 

② 安全管理・品質管理の徹底

 安全管理・品質管理の徹底は、当社の全ての事業活動の前提となる最重要課題であると認識しております。当社は、事業活動における最大のリスクを労働災害、品質及び環境事故であると考えており、『「安全」は全ての作業の前提』のスローガンの下、全従業員、協力会社、そして全ての工事現場の入所者に対する安全衛生、品質及び環境保全に関する教育、啓蒙活動を最優先事項として取組んでおります。現在のところ、幸い重大な労働災害等は発生しておりませんが、今後も、労働災害、品質及び環境事故の発生防止に最善を尽くしてまいります。

 

③ 働き方改革の推進

 働き方改革の推進は、当社喫緊の重要課題であると認識しております。現在、2021年度末の4週8閉所完全実施に向け、お客様及び協力会社の皆さまのご理解とご協力を得ながら取組みを進めており、現在のところ休日取得率は順調に向上しておりますが、2021年度末の4週8閉所完全実施に向け、取組みのさらなる強化を行ってまいります。

 

④ 生産性の向上

 生産性の向上は、働き方改革の推進と並び当社喫緊の重要課題であると認識しております。建設業界は現在大きな変革の時を迎えており、その中でも急速に進化するICT技術を事業活動に積極的に導入・活用し、生産性を向上させることが今後の重要な課題となっております。当社としましても、これまで培ってきた伝統ある施工管理力のさらなる強化を図るため、ICT技術の活用を通じた生産性の向上に積極的に取組み、高性能・高品質にこだわり、環境に配慮したスマート施工管理を実現し、持続的な競争力の強化に取組んでまいります。

 

⑤ コーポレート・ガバナンスの強化

 コーポレート・ガバナンスの強化は、当社の事業活動の礎をなす重要課題であると認識しております。当社を取り巻く事業環境・社会環境は急速に変化しており、その変化に速やかに対応し、また株主や取引先を始めとするステークホルダーの皆さまと力を合わせ、健全な事業活動を通じて地域・社会に貢献することができるよう、コーポレート・ガバナンスの強化を継続的に行い、持続的な企業価値の向上を図ってまいります。

 

 

 なお、各事業セグメントにおける対処すべき課題は次のとおりであります。

a.建設事業

 イ.建築事業

 建築事業におきましては、信頼関係にあるお客様との関係の深化とともに、信頼関係のあるお客様のさらなる拡大を目指します。そのため、信頼関係にあるお客様を中心とした営業活動を行うとともに、企画提案型の設計施工案件への取組みの強化、積算体制の拡充を行い、お客様への対応力・提案力の向上を図り、お客様のニーズに応え、お客様から頼りにされる体制を構築します。また、リニューアル工事、公共事業への取組みを継続することで事業ポートフォリオの多角化を図り、積極的に地域に貢献できる事業活動を推進し、当社としての強みを発揮できる事業モデルの確立に注力してまいります。

 

 ロ.土木事業

 土木事業におきましては、「地域との共存共栄を図り、安定した事業基盤を構築」をテーマに、事業エリアを関東、中部、関西地域に集約し、経営資源を集中させることで効率的な業務管理を行い、安定した事業基盤の構築を目指します。そのため、地域の協力会社との中長期的な関係の強化を図るとともに、信頼関係にあるお客様との関係のさらなる深化を目指し、積極的に地域に貢献できる事業活動を推進します。さらに、将来に向けた施工体制の強化のため、現場支援体制の一層の拡充を図り、世代間の技術ノウハウの承継を積極的に推進し、当社としての強みを発揮できる事業モデルの確立に注力してまいります。

 

b.砕石事業

 砕石事業におきましては、建設事業とのシナジー効果をより発揮しやすい体制を確立するため、2021年4月より砕石事業部を土木事業本部に組み込む組織改革を行いました。また、砕石生産の採算性の向上を図り、効率的かつ安定した収益を獲得できる事業活動を推進してまいります。

 

 ※なお、不動産事業につきましては、影響が僅少のため記載を省略しております。

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 当社では、こうした事業を取り巻くリスクや不確定要素等に対して、その予防や分散、リスクヘッジを実施することにより企業活動への影響について最小限にとどめるべく対応する所存であります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

(1)建設市場の動向によるリスク

 予想を上回る公共工事の削減及び民間建設需要の減少や価格の大幅な変動等著しい環境変化が生じた場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社では、これらのリスクの低減を図るため、信頼関係で結ばれた顧客を中心に営業活動を行うとともに、将来にわたって安定的に事業量を確保するために様々な分野の工事を受注できるよう注力しており、常に地域社会の発展に必要とされる企業、選択される企業となることを目指しております。

(2)取引先の信用リスク

 建設業においては、工事毎及び取引先毎の請負金額が大きく、また多くの場合には、工事の引き渡し時期に多額の工事代金が支払われております。このため、工事代金を受領する前に取引先が信用不安に陥った場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社では、これらのリスクの低減を図るため、信用不安のない優良顧客を中心として事業を行うことを基本方針としており、民間工事の受注活動においては、事前与信調査を業務フローに組み入れ、貸倒れによる純資産の毀損を抑制することに努めております。

(3)資材価格等の変動

 労務費や原材料の価格が高騰した際、請負金額に反映する事が困難な場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社では、これらのリスクの低減を図るため、徹底的な価格動向調査により、資材価格の高騰が予測される場合には早期買い付けを行うなどして、リスクヘッジしております。

(4)地価等の変動

 地価等に変動があった場合における不動産の売買・評価について、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社では、これらのリスクの低減を図るため、不要な不動産の保有は行わないことを基本方針としており、時価等の下落をリスクヘッジしております。

(5)製品の欠陥

 品質管理には万全を期しておりますが、契約不適合責任による損害賠償が発生した場合は、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社では、これらのリスクの低減を図るため、品質パトロールを強化する他、品質マネジメントシステムの国際規格「ISO9001」の認証を取得し、さらなる品質の向上を目指しております。

(6)法的規制のリスク

 建設業法、建築基準法、独占禁止法、建設リサイクル法、労働安全衛生法、個人情報保護法等により法的な規制を受けておりますが、これらの法律の改廃や規制強化等があった場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社では、これらのリスクの低減を図るため、日本建設業連合会、業界団体やその他関係各所から法改正情報を取得できる体制を整えており、早期に法改正への対応を検討し、対策することで業績への影響をリスクヘッジしております。

(7)労働災害・事故等におけるリスク

 安全教育の実施、定期的な点検パトロールなど安全管理を徹底し、施工中の労働災害・事故等の防止には万全を期しておりますが、人身や施工物などに関わる重大な労働災害・事故等が発生した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社では、これらのリスクの低減を図るため、安全パトロールを施工部門、安全部門、経営層等様々な階層や角度で実施するなど、多方面から危険有害要因の抽出及び提言措置を実施する他、労働安全衛生マネジメントシステムの国際規格「ISO45001」の認証を取得し、さらなる労働者の安全の向上を目指しております。また、人身や施工物などに関わる重大な労働災害・事故等の発生に備え、土木工事保険、建設工事保険、生産物賠償責任保険、請負業者賠償責任保険等の付保を行っております。

(8)自然災害リスク

 当社では、戦略的に事業エリアを関西圏及び首都圏に集中させております。このため、関西圏及び首都圏並びにその周辺において、地震、津波、風水害等の大規模な自然災害が発生し、工事の中断や大幅な遅延、施工中物件の被災、従業員の被災、保有資産の毀損等の事態が生じた場合や、その後の受注動向の変化や資材価格等の高騰、電力供給能力の低下等があった場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社では、これらのリスクの低減を図るため、事業継続計画を定め、大規模災害発生時に安否確認システムを利用した役職員の安否の早期確認や、適正な初動活動が可能な体制を構築しており、いち早く通常業務に戻れるよう、大規模災害発生時に備えた訓練を定期的に実施するなどしております。

(9)新型コロナウイルス感染症に関するリスク

 今後、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、感染拡大により従業員が感染した場合や経済情勢が悪化した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社では、これらのリスクの低減を図るため、当社役職員に感染症が発生しないように、感染予防を徹底し、適切な行動抑制策や安全対策を実施するなどしております。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。」の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当事業年度におけるわが国経済は、昨春からの世界的な新型コロナウイルス感染症の流行により急速に悪化しましたが、緊急事態宣言の解除後は感染拡大の勢いがやや落ち着きをみせたことから、感染拡大の防止と社会・経済活動の両立を試みる様々な取組みが行われ、景気は回復に向かうかに思われました。

 しかし、昨年11月頃より感染が急拡大し、再度の緊急事態宣言が発出されるなど依然として予断を許さない状況が続いており、国内でのワクチン接種が開始されるなど収束につながる動きも一部見受けられますが、先行きは不透明な状況が続いております。

 そのような状況の下、建設業界におきましては、公共建設投資は底堅く推移したものの、民間の住宅建設投資及び設備投資には減少が見られました。

 当社におきましては、「お客様にとって、地域社会の発展に必要とされる企業となること」、「役職員にとって、大きなやり甲斐と誇りをもって、安心して働ける企業となること」、「関係者の皆さまにとって、高収益体質、強固な財務基盤を実現、選択される企業となること」というビジョンの下、事業活動に邁進してまいりました。

 また、懸念されました新型コロナウイルス感染症による影響が大きく生じることはなく、前期からの繰越工事が豊富にあったこともあり、比較的順調に遂行することが出来ました。

 その結果、当事業年度における工事受注高は26,328百万円(前年同期比14.2%減)となりました。この工種別内訳は、土木工事39.5%、建築工事60.5%の割合であり、また、発注者別内訳は、官公庁工事48.9%、民間工事51.1%の割合であります。

 また、完成工事高は27,688百万円(前年同期比7.4%増)となり、これに兼業事業売上高890百万円を加えた売上高は28,579百万円(前年同期比7.1%増)となりました。

 利益面につきましては、営業利益は1,961百万円(前年同期比43.4%増)に、経常利益は1,943百万円(前年同期比41.2%増)となり、税金費用控除後の当期純利益は1,316百万円(前年同期比41.3%増)となりました。

 

 セグメントの経営成績は、次のとおりであります。

イ.建設事業   建設事業においては、受注高26,328百万円(前年同期比14.2%減)、売上高27,688百万円(前年同期比7.4%増)、セグメント利益2,755百万円(前年同期比25.9%増)となりました。

ロ.不動産事業  不動産事業においては、売上高32百万円(前年同期比2.9%減)、セグメント利益11百万円(前年同期比6.3%増)となりました。

ハ.砕石事業   砕石事業においては、売上高857百万円(前年同期比1.6%減)、セグメント利益53百万円(前年同期比21.1%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末比777百万円減少の7,727百万円(前年同期比9.1%減)となりました。

 当事業年度末における各キャッシュ・フローの概況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動による資金の減少は228百万円(前年同期は資金の減少550百万円)となりました。これは主に税引前当期純利益の計上、未収消費税等の減少による資金の増加に対し、売上債権の増加、仕入債務の減少による資金の減少が上回ったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動による資金の減少は74百万円(前年同期は資金の減少142百万円)となりました。これは主に有形固定資産の売却による収入に対し、有形固定資産の取得による支出が上回ったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動による資金の減少は474百万円(前年同期は資金の減少537百万円)となりました。これは主に配当金の支払額によるものであります。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.受注実績

   当事業年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

前年同期比(%)

建設事業(百万円)

26,328

△14.2

不動産事業(百万円)

砕石事業(百万円)

合計(百万円)

26,328

△14.2

 

b.売上実績

   当事業年度の売上実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

前年同期比(%)

建設事業(百万円)

27,688

7.4

不動産事業(百万円)

32

△2.9

砕石事業(百万円)

857

△1.6

合計(百万円)

28,579

7.1

 (注)1.建設事業以外は受注生産を行っておりません。

2.生産実績を定義することが困難であるため、記載しておりません。

3.セグメント間取引については、相殺・消去しております。

4.売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は、次のとおりであります。

前事業年度

国土交通省              3,551百万円  13.3%

大和地所レジデンス㈱         3,008百万円  11.3%

 

当事業年度

国土交通省              5,808百万円  20.3%

 

 

 なお、建設事業における受注工事高及び完成工事高の実績は次のとおりであります。

イ.受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高

期別

区分

前期繰越

工事高

(百万円)

当期受注

工事高

(百万円)

(百万円)

当期完成

工事高

(百万円)

次期繰越

工事高

(百万円)

前事業年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

土木工事

23,652

15,229

38,881

11,894

26,986

建築工事

16,413

15,460

31,873

13,895

17,978

40,065

30,689

70,755

25,789

44,965

当事業年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

土木工事

26,986

10,409

37,396

15,208

22,187

建築工事

17,978

15,919

33,897

12,480

21,417

44,965

26,328

71,294

27,688

43,605

 (注)1.前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含めております。したがって、当期完成工事高にも係る増減額が含まれております。

2.次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)であります。

 

ロ.受注工事高の受注方法別比率

  工事受注方法は、特命と競争に大別されます。

期別

区分

特命(%)

競争(%)

計(%)

前事業年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

土木工事

17.6

82.4

100.0

建築工事

59.6

40.4

100.0

当事業年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

土木工事

32.2

67.8

100.0

建築工事

40.0

60.0

100.0

 (注)百分比は請負金額比であります。

 

 

ハ.完成工事高

期別

区分

官公庁(百万円)

民間(百万円)

計(百万円)

前事業年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

土木工事

10,301

1,593

11,894

建築工事

597

13,298

13,895

10,898

14,891

25,789

当事業年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

土木工事

14,317

891

15,208

建築工事

884

11,596

12,480

15,201

12,487

27,688

 (注)1.完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。

前事業年度 請負金額13億円以上の主なもの

大和地所レジデンス㈱

ヴェレーナシティ上大岡計画新築工事

旭化成不動産レジデンス㈱

(仮称)杉並区荻窪三丁目計画新築工事

東京都

第二桃園川幹線立坑設置工事

近鉄不動産㈱

(仮称)東成区東中本二丁目PJ建設工事

東急不動産㈱

(仮称)兵庫県芦屋市親王塚町計画新築工事

当事業年度 請負金額12億円以上の主なもの

西日本高速道路㈱

新名神高速道路 城陽西高架橋東他2橋(下部工)工事

東京都

砂川中部浄水所から昭島市美堀町四丁目地内間送水管

(2000㎜)トンネル内配管及び立坑築造工事

関電不動産開発㈱

(仮称)高槻市松原町PJ分譲マンション新築工事

旭化成ホームズ㈱

(仮称)稲毛共同住宅 新築工事

奈良県

一般県道平原五條線 小島工区(仮称)栄山寺トンネル工

事(防災・安全交付金事業(南部・東部)(国補正))

 2.完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりであります。

前事業年度

国土交通省              3,551百万円  13.8%

大和地所レジデンス㈱         3,008百万円  11.7%

 

当事業年度

国土交通省              5,808百万円  21.0%

 

 

 

 

ニ.次期繰越工事高(2021年3月31日現在)

区分

官公庁(百万円)

民間(百万円)

計(百万円)

土木工事

19,563

2,623

22,187

建築工事

1,815

19,602

21,417

21,379

22,226

43,605

 (注)次期繰越工事のうち請負金額18億円以上の主なものは、次のとおりであります。

国土交通省

横浜湘南道路関谷換気所工事

2021年7月完成予定

阪急阪神不動産㈱

(仮称)茨木市中穂積1丁目計画 新築工事

2022年3月完成予定

㈱大和地所

(仮称)北区赤羽北2丁目East計画 新築工事

2023年3月完成予定

西日本高速道路㈱

新名神高速道路 大石小田原工事

2023年7月完成予定

大阪市

淀川左岸線(2期)トンネル整備工事-2

2025年3月完成予定

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態の分析

 当事業年度末における資産合計は、前事業年度末比111百万円減少の23,599百万円となりました。この主な要因は、完成工事未収入金1,513百万円の増加と、現金預金777百万円、未収消費税等596百万円の減少等によるものであります。

 当事業年度末における負債合計は、前事業年度末比1,031百万円減少の10,453百万円となりました。この主な要因は、未払法人税等502百万円の増加と、工事・砕石未払金1,063百万円、未成工事受入金277百万円の減少等によるものであります。

 当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末比920百万円増加の13,146百万円となりました。この主な要因は、当期純利益1,316百万円の計上による増加と、配当金の支払いによる458百万円の減少等によるものであります。

 これにより、自己資本比率は55.7%(前事業年度末は51.6%)となりました。

 

b.経営成績の分析

 当社の経営成績は、「第2 事業の状況」における「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載の内容をご覧ください。

 以下、損益計算書に重要な影響を与えた要因について分析しております。なお、各セグメントの経営成績は、セグメント間取引については、相殺・消去しております。

 

イ.受注工事高

 当事業年度における工事受注高は、前年同期より14.2%減少の26,328百万円となりました。この工種別内訳は、土木事業におきましては前年同期より31.6%減少の10,409百万円、建築事業におきましては前年同期より3.0%増加の15,919百万円となりました。また発注者別内訳は、官公庁工事におきましては前年同期より17.0%減少の12,875百万円、民間工事におきましては前年同期より11.4%減少の13,453百万円となりました。

ロ.売上高

 当事業年度における売上高は前年同期より7.1%増加の28,579百万円となりました。

 以下、セグメント別の売上は次のとおりであります。

(建設事業)

 当事業年度における完成工事高は、前年同期より7.4%増加の27,688百万円となりました。この工種別内訳は、土木事業におきましては前年同期より27.9%増加の15,208百万円、建築事業におきましては前年同期より10.2%減少の12,480百万円となりました。また発注者別内訳は、官公庁工事におきましては前年同期より39.5%増加の15,201百万円、民間工事におきましては前年同期より16.1%減少の12,487百万円となりました。

(不動産事業)

 賃貸収入は堅調に推移し、当事業年度における不動産事業売上高は前年同期より2.9%減少の32百万円となりました。

(砕石事業)

 生瀬砕石所での生産・販売の減少により、当事業年度における砕石事業売上高は前年同期より1.6%減少の857百万円となりました。

ハ.営業損益

 販売費及び一般管理費は、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、出張旅費及び交際費の経費が減少したため、前年同期より3.0%減少の1,401百万円となりました。また、建設事業の工事休止等も解消され完成工事高が増加した結果、当事業年度における営業利益は前年同期より43.4%増加の1,961百万円となりました。

 

ニ.経常損益

 訴訟和解金や災害による損失により営業外費用は増加となりましたが、固定資産売却益等により営業外収益も増加し、また、営業利益も増加したため、当事業年度における経常利益は前年同期より41.2%増加の1,943百万円となりました。

ホ.当期純損益

 税引前当期純利益が増加したため、当事業年度における当期純利益は前年同期より41.3%増加の1,316百万円となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの分析

 キャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況」における「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載の内容をご覧ください。なお、キャッシュ・フロー関連指標の推移は次のとおりであります。

決算年月

2017年3月

2018年3月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

自己資本比率(%)

34.9

43.6

45.0

51.6

55.7

時価ベースの自己資本比率(%)

24.9

78.7

49.6

32.9

45.8

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

4.2

0.2

1.0

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

9.4

163.0

35.4

(注)1.各指標の算出方法は以下のとおりであります。

自己資本比率           :自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率     :株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ :キャッシュ・フロー/利払い

2.いずれの指標も財務数値により算出しております。

3.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

4.有利子負債は、貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。

5.キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。また利払いにつきましては、キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

6.2020年3月期及び2021年3月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオにつきましては、キャッシュ・フローがマイナスのため表示しておりません。

7.「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を2019年3月期の期首から適用しており、キャッシュ・フローの分析については遡及処理後の2018年3月期の事業年度末の数値で比較・分析を行っております。

 

b.資本の財源及び資金の流動性

 資本の財源及び資金の流動性、財務戦略については、次のとおりであります。

イ.財務戦略について

 当社は、中長期的な企業価値の向上を図り、安定した株主還元を行えるよう、強固な財務基盤の確立と資本効率の向上を念頭に、戦略的に経営資源を配分することを財務戦略の基本方針としております。

 強固な財務基盤の確立につきましては、十分な手許流動性を確保した上で自己資本比率を適正な水準に保つことを目標とし、資金需要については自己資金の充当を原則として、リスク対応力を強化してまいります。

 資本効率の向上につきましては、資本コストを上回る投下資本収益を実現するため、「第2 事業の状況」における「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「(3)経営戦略等」に記載しております諸施策に経営資源を優先的に配分し、これらの取組みを強化してまいります。

 これらにより、今後の市場環境の変化を始めとする種々のリスクに対応できる健全な事業基盤を確立し、安定した株主還元を行えるよう、中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。

 

ロ.資金の流動性について

 当社は、協力会社への安定的な支払いを担保し、健全な事業活動を行うため、十分な手許流動性を確保した財務運営を原則としております。また、今後の市場環境の変化や、今回のコロナウイルス感染症による経済的な影響が長期化した場合でも、健全な事業活動が安定して行えるよう、適正な水準の手許流動性の維持及び確保に努めております。その上で、上記の経営戦略を遂行するための諸施策に経営資源を優先的に配分し、当社のあるべき姿を実現するための取組みを強化してまいります。

 

ハ.資金需要の主な内容

 当社の資金需要は、主に運転資金需要と設備資金需要であります。

 運転資金需要のうち主なものは、工事施工に必要な材料、外注費等の施工原価、共通するものとして販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、設備資金需要としましては、工事施工に必要な建設設備、砕石・砕砂等の製造に必要な砕石設備などによる機械装置等固定資産購入、上記の経営戦略を遂行する上で必要となるICT投資等によるものであります。

 

ニ.資本の財源について

 当社は、健全な事業活動を行うため、十分な手許流動性を確保した財務運営を原則としております。運転資金及び設備資金につきましては、自己資金より充当することを原則とし、不足等が生じた場合には、取引金融機関からの短期借入金にて調達することとしております。今後も、営業活動により得られるキャッシュ・フローを基本に、将来必要な運転資金及び設備資金を調達していく考えであります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、会計上の見積りが必要となる事項については、一定の合理的な基準に基づいた見積りを行っており、資産、負債並びに収益、費用の数値に反映しております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらと異なることがあります。

 また、この財務諸表の作成にあたり採用している重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しておりますが、特に以下の会計方針は、経営者による会計上の見積りが財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。

 なお、会計上の見積りに対する新型コロナウイルス感染症の影響については、当社は現在、重要な繰延税金資産がなく、固定資産についても収益が想定を下回る場合でも当面は減損損失等が発生することは考えにくく、翌事業年度においては限定的であると認識しております。また、新型コロナウイルス感染症による影響を現時点で合理的に算出することは困難でありますが、当社では、新型コロナウイルス感染症による影響は一定期間経過後に収束し、翌事業年度の業績について受注や工事進捗等に一定程度の影響を受けるものの、重要な影響はないと仮定した上で、これを元に見積りを行っております。

 

(収益の認識基準)

 当社は、当事業年度末までの進捗部分について成果の確実性が認められる工事については、工事進行基準(工事の進捗率の見積りは原価比例法)によって収益の認識を行い、その他の工事については工事完成基準によって収益の認識を行っております。工事進行基準を適用するにあたっては、工事収益総額、工事原価総額及び決算日における工事進捗度について、合理的な見積りを行うため、工事契約ごとに実行予算を策定しております。工事契約は個別性が強く、工事の進行途上において当初は想定していなかった状況等の変化や、工事契約の変更が行われる場合があります。そのため、工事進行基準による収益認識の基礎となる工事原価総額の見直しを行うにあたり、工事完成に必要となる作業内容及び工数に関する情報を速やかに収集し、適宜適切に実行予算に反映させておりますが、これらの見積りには不確実性を伴うため、当社の経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営上の重要な契約等】

 特記すべき事項はありません。

5【研究開発活動】

 特記すべき事項はありません。

「第2 事業の状況」における各事項の記載については消費税等抜きの金額で表示しております。