当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、「最高の品質と最良のサービスで、お客様の感動を」を経営理念としております。これは、「どのような時代・環境下においても、お客様の要望に的確にお応えし、そして喜んでいただける事を最大の喜び・明日への糧として、地域社会に貢献できる企業を目指す」という当社の思いを体現したものであります。
また、この経営理念を実現するため、以下の6つの経営方針の下、日々事業に取組んでおります。
・将来を見据えた人財育成
・たゆまぬ努力による品質の保持・管理
・全社を挙げての事故・災害の撲滅
・適切なコスト、適正な価格の追求
・遵守事項の厳格運用
・地球環境との共存共生
(2)経営戦略等
当社は、将来の森組のあるべき姿として3つの将来像「信頼できるパートナーと共に、サステナブルな社会を建設する」、「受け継がれてきた伝統と共に、新たな現場管理を実現する」、「ステークホルダーと共に成長し、ステータス性あふれる企業になる」を設定しております。これら3つを高いレベルで実現すべく、中長期的な経営戦略をもって事業活動を邁進していきたいと考えております。
「信頼できるパートナーと共に、サステナブルな社会を建設する」
これは、当社の財産である長年にわたるお客様との信頼関係をより強化・発展させていくとともに、環境や地域社会に配慮しながら事業活動を行うことを通じて社会に貢献していきたいというものであります。お客様との信頼関係は一朝一夕に築けるものではありませんが、真摯に日々の事業活動を行うことによって信頼関係を構築し、必要とされる企業となっていきたいと考えております。
「受け継がれてきた伝統と共に、新たな現場管理を実現する」
これは、皆さまから高く評価頂いている伝統ある施工管理力をさらに深化・発展させていくとともに、発展著しいICT技術の積極的な活用を始めとする生産性向上の取組みを通じて、課題である世代間の技術承継や建設技術労働者の不足を克服し、これからも施工管理力を当社の強みとしていきたいというものであります。この施工管理力は、当社の原点であると同時に皆さまから信頼いただく基礎となるものでありますので、引き続き全力で取り組んでいきたいと考えております。
「ステークホルダーと共に成長し、ステータス性あふれる企業になる」
これは、株主や取引先、協力会社の皆さまをはじめ、地域社会、従業員とともに成長し、内外から信頼される企業として社会に貢献していきたいというものであります。特に従業員との関係の在り方については、従業員エンゲージメントや地域社会への帰属意識を高めることによって、従業員が自主性を持って課題に取り組んでいけるよう積極的に支援していきたいと考えております。
上記のあるべき姿の実現に向け、次の5つを基本戦略として事業活動に取組んでまいります。
・事業基盤とする地域社会との連携を重視し、より地域に密着し、地域に貢献できる事業活動を推進する。
・伝統ある施工管理力を高め、高品質・高性能にこだわり、環境に配慮したスマート施工管理を実現する。
・従業員が会社へのエンゲージメントを高められる、従業員に魅力ある企業になるための取組みを推進する。
・働き方改革を実行し、4週8閉所の完全実施を実現する。
・業務提携効果を最大限に活用し、シナジー効果のさらなる発現を目指す。
各事業セグメントにおける戦略は次のとおりであります。
①建設事業
a.建築事業
・信頼関係にあるお客様との取組みを強化し、関係のさらなる深化を図る。
・事業ポートフォリオの見直しにより収益力の向上を図る。
・コスト競争力と採算性の確保を図る。
・現場支援体制の拡充や技術承継を積極的に支援し、個々人の能力の全体的な引き上げを図る。
b.土木事業
・事業エリアを定着させることで、地域社会との共存共栄を図り、安定した事業基盤の構築を目指す。
・ICTの活用により業務効率化と生産性向上を図る。
・現場支援体制のさらなる拡充を図り、世代間の技術ノウハウの承継を積極的に推進する。
②砕石事業
・建設業と砕石業の事業シナジーの強化を図り、安定した収益の確保を目指す。
・砕石生産における採算性の向上を図り、効率的な事業活動を推進する。
※不動産事業につきましては、影響が僅少のため記載を省略しております。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、中長期的な企業価値の向上を図るため、特定の経営指標を目標とするのではなく、中期経営戦略の遂行に注力しております。
中期経営戦略については、最終年度のモデル数値を設定しております。また、最終年度のモデル数値について、「(3)経営戦略等」に掲げております施策の進捗状況や各事業年度の業績、今後の建設業界の動向等も考慮し、毎期見直しを行っております。
当期までの中期経営戦略における最終年度である2024年3月期は、売上高を除くいずれの項目も計画値を上回る結果となりました。また、適切な債権管理、与信管理体制の拡充に継続して取り組んだ結果、自己資本比率は50%以上を維持するなど、安定した財務基盤の構築は着実に進んでおります。
中期経営戦略(2021年度~2023年度)のモデル数値と当事業年度との比較は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
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|
2024年3月期 計画値 |
2024年3月期 実績値 |
達成率 |
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受注高 |
28,500 |
31,007 |
108.8% |
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売上高 |
29,500 |
27,582 |
93.5% |
|
営業利益 |
1,000 |
1,072 |
107.2% |
|
経常利益 |
1,000 |
1,033 |
103.3% |
なお、2027年3月期を最終年度とする新中期経営戦略(2024年度~2026年度)のモデル数値につきましては、
以下のとおりであります。
(単位:百万円)
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2027年3月期 計画値 |
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受注高 |
30,500 |
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売上高 |
30,600 |
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営業利益 |
1,200 |
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経常利益 |
1,200 |
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社の目指すあるべき姿を実現するため、以下の5つのテーマを中心に取組んでまいります。
①人財の確保・育成
人財の確保・育成は、当社の今後の事業活動の根幹をなす最重要課題の一つであると認識しております。その中でも、少子高齢化の進行や高齢労働者の退職による世代間の技術承継機会の減少、ICT技術への対応が特に課題となっております。これについては、従業員一人ひとりが自らの能力を着実に高めていくことが肝要となります。当社は、従業員自らが新たな技術や知識の習得に積極的に取組みやすい環境づくりを行うことにより、持続的な企業価値の向上が可能となると考えております。それに向け、従業員が会社へのエンゲージメントを高められる、従業員に魅力ある企業になるための取組みを積極的に推進することで、従業員のやる気が自らの成長に繋がる好循環を創り出し、中長期的な企業価値の向上につなげてまいります。
②安全管理・品質管理の徹底
安全管理・品質管理の徹底は、当社の全ての事業活動の前提となる最重要課題の一つであると認識しております。当社は、事業活動における最大のリスクを労働災害、品質及び環境事故であると考えており、『「安全」は全ての作業の前提』のスローガンの下、全役職員、協力会社、そして全ての工事現場の入所者に対する安全衛生、品質及び環境保全に関する教育、啓蒙活動を最優先事項として取組んでおります。
今後も、労働災害、品質及び環境事故の発生防止に最善を尽くしてまいります。
③働き方改革の推進
働き方改革の推進は、建設業全体が直面している重要課題であります。当社では作業所での4週8閉所完全実施に向け、お客様及び協力会社の皆さまのご理解とご協力を得ながら取組みを進めております。
④生産性の向上
生産性の向上は、働き方改革の推進と並び当社喫緊の重要課題であると認識しております。これまで培ってきた伝統ある施工管理力のさらなる強化を図るためにも、建設業界において進化を続けるICT技術の活用を通じた生産性の向上に積極的に取組み、高性能・高品質にこだわり、環境に配慮したスマート施工管理を実現し、持続的な競争力の強化に取組んでまいります。
⑤コーポレート・ガバナンスの強化
コーポレート・ガバナンスの強化は、当社の事業活動の礎をなす重要課題であると認識しております。当社を取り巻く事業環境・社会環境は急速に変化しており、その変化に速やかに対応し、また株主や取引先を始めとするステークホルダーの皆さまと力を合わせ、健全な事業活動を通じて地域・社会に貢献することができるよう、コーポレート・ガバナンスの強化を継続的に行い、持続的な企業価値の向上を図ってまいります。
なお、各事業セグメントにおける対処すべき課題は次のとおりであります。
a.建設事業
イ.建築事業
建築事業におきましては、建設資材の価格高騰や人件費の上昇を吸収した上で収益性を向上させることが課題であり、信頼できるお客様との取組みを強化し、関係のさらなる深化を図るとともに、事業ポートフォリオの見直しを行い商業施設や工場施設といった非住宅分野へのシフト等により、課題をクリアしてまいります。
ロ.土木事業
土木事業におきましては、事業エリアをコンパクトにすることで、協力会社と強固な信頼関係を構築して、事業基盤を安定化させてまいります。また、ICT技術の活用による業務効率化と生産性の向上を図り、世代間の技術ノウハウの承継を積極的に推進することで更に施工管理能力を高めるとともに、現場支援体制の充実により技術者の働きやすい環境づくりに努めてまいります。
b.砕石事業
砕石事業におきましては、生瀬砕石所を拠点として他社ゼネコンに対する積極的な営業を行う等、今までに築いてきたネットワークを活かして、建設事業と一体となった、効率的で堅実な事業活動を進めてまいります。
※不動産事業につきましては、影響が僅少のため記載を省略しております。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は当事業年度末において当社が判断したものであります。
(1)ガバナンス
サステナビリティに関して、当社では経営企画部が中心となり、各部門を横断してSDGs推進委員を選任し、持続可能なよりよい社会を目指すべく、当社で出来ること、当社がすべきことを探して実行していく活動(環境活動等)に取り組んでおり、主な活動内容はウエブサイト等を通じて公開しております。
また、当社はサステナビリティに関する喫緊の課題を「人財確保・人財育成」と位置づけ、HRMを担う人財部と各事業本部とが連携し、「人財確保・人財育成」に関する活動を行っております。さらに、執行役員会議や取締役会等の各種役員会議で「人財確保・人財育成」に関する様々なことを議題として取り上げて、議論しております。
(2)戦略
当社は、社会的責任を果たすべく、以下の環境方針を定めております。
①環境負荷を低減するために環境マネジメントシステムを運用し、継続的な改善を図る。
②環境に関する法令・協定を遵守し、必要に応じて自主基準を策定し実行する。
③「環境事故」のリスクを排除・低減する。
④環境負荷を低減するために以下の環境目的に取り組む。
・建設廃棄物の削減とリサイクルに配慮した設計・施工
・持続可能な社会の実現,省エネルギーを配慮した生産活動
・周辺環境及び自然環境に配慮した丁寧な施工
・気象変動の抑制に向けた温室効果ガスの排出量削減
(2030年度に2021年度比42%の削減)
この方針の下、環境マネジメントシステムの国際規格であるISO14001:2015を 認証取得し、部門単位で環境目標を達成し、全社をあげて環境保全活動を推進しております。
また当社においてサステナビリティに関しての喫緊の課題である「人財確保・人財育成」に係る方針及び社内環境整備に関する方針は次のとおりであります。
a.人財確保
「採用方針」
応募者の資質や長所を重視し、基本的人権を尊重した公正な採用活動を行うことで、応募者の精神的負担を出来るだけ軽減できるように取り組んでおります。また応募の機会を広く提供するため、学校等を3年以内に卒業した既卒者の新卒者枠での採用や、キャリア採用にも積極的に取り組んでおります。
「障がい者雇用」
障がい者が個々の個性を活かし、健常者と共に働くことを促進していくことが、継続的な雇用に繋がると考え、障がい者を積極的に雇用しております。
「再雇用制度」
60歳定年を迎える社員の雇用確保措置として、2006年4月より継続再雇用制度を導入しております。少子高齢化が進行する中で、高度な知識やスキル、経験を持つベテラン社員は当社にとって必要不可欠な人財です。本人が希望する場合は、最長65歳に達する事業年度まで再雇用を更新することが可能です。
「働き方改革」
当社は社員の労働時間の適正な把握及び過重労働による健康被害の徹底防止を推進しております。また法改正により2024年4月以降は時間外労働の上限規制の猶予期間が終了し、建設業も上限規制が適用されました。当社では労働時間の適正管理を目的として、勤怠管理システムを導入し、同システムで承認された労働時間以外のパソコンの使用を制限するパソコン画面ロックシステムも導入いたしました。これらにより社員自らが過重な労働の削減を意識し、計画的かつ効率的な働き方の実現に努めております。また、社員が仕事と育児を両立して活躍できる環境づくりを推進しており、2020年には次世代育成支援対策推進法に基づいて策定した一般事業主行動計画の目標達成が認められ、厚生労働省による「くるみん」認定を受けました。今後も、当社は社員が職場と家庭生活を両立できる企業として歩み続けます。
「働きがい改革」
当社は社員にとって「大きなやり甲斐」と「誇り」をもって、安心して働ける企業を目指しております。2022年より働きがいWG(ワーキンググループ)が発足し、エンゲージメントの調査や社員面談を実施し、課題抽出を行い、社員の働きがいを向上させるべく、活動を行っております。
「健康管理」
社員教育基本方針にもあるように社員の心身の健康は人的資源に頼る当社にとって大きなテーマであると捉えております。年に一度、人間ドックを採用した定期健康診断、及びストレスチェックを実施し、産業医と情報共有し、連携することで、社員の健全な日々を守っております。
b.人財育成
「社員教育基本方針」
社員の自主性を重視し、意欲を持って、自らのキャリア形成に取り組めるような教育制度を目指しております。
また、社員が安定的にパフォーマンスを発揮するためには心身の健康を自ら保つ力を獲得する必要があると考えております。
1.各職位に求められる知識・ビジネススキルを適切なタイミングで習得・強化する
2.学習メニューの多様化を図り、「自己キャリア形成」及び「自己研鑽」の機会を提供する
3.心と体の健康を維持し、安定したパフォーマンスが発揮できるようセルフマネジメント力を養成する
4.コンプライアンスに対する意識を向上させるとともに浸透・定着させる
「人事制度」
学歴・年齢・勤続年数による序列ではなく、部門と個人の成果、業務プロセス、職能を総合的に評価し、その結果に伴って昇格・昇給が決定されます。
「社員教育体系図」
社員教育基本方針に基づいて、教育体系図を作成し、2023年度より運用を開始しました。新たな教育体系図は従来の階層別研修等に、共通研修を追加しました。共通研修は当社の社員として確実に身につけて欲しいスキルを学ぶことができる『必修制』の研修(Standard)と社員が自己のキャリア形成やライフプランの実現のためのスキルを学ぶことができる『選択制』の研修(Self-improvement)で構成されます。これらの研修カリキュラムを時代や環境、社員のニーズの変化に合わせて、常に更新し続けることで、当社は企業と社員が相互成長できる、サステナビリティを重視した教育制度を実現します。
「目標管理制度」
個々の社員が組織の目標や戦略に応じて、個人目標を設定し、その達成度及び実行力・努力を評価します。達成状況を自己管理する過程において上司とのコミュニケーションを図り、業務遂行レベルを引き上げていく制度です。
「キャリアプラン制度」
社員が自ら希望する職種や部署を申告できる制度です。可能な限り社員の意欲と能力に配慮した適正配置を行うことで社員の自己キャリア形成に繋がると考えております。
「技能資格一時金制度」
社員の技能資格取得を推奨するために各種技能資格ごとに一時金を支給しております。現在、90種類の資格に対して、一時金が支給されます。社員一人ひとりが専門知識を獲得し、技術力を向上させることが、会社にとっても有益であると考えております。
(3)リスク管理
大規模災害時等に事業継続を可能とするために、各事業本部・各部門の早期復旧を可能にし、被災作業所への支援を実行するために、事業継続計画(BCP)として、平時に行うべき活動や、緊急時における業務継続のための方法、手段などを取り決めており、随時見直しております。当社の事業継続計画(BCP)については、国土交通省関東地方整備局及び国土交通省近畿地方整備局において、認定を受けております。
(4)指標及び目標
当社では上記「(2)戦略」において記載した、人財の多様性の確保を含む人財の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する当事業年度の目標及び実績は次のとおりであります。
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指 標 |
目 標 |
実 績 |
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平均 |
平均時間 |
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(注)当事業年度に受験資格を満たした対象者のうち、資格を取得した者の比率であります。
また、当社は気象変動への取り組みとして、2021年度のScope1とScope2における温室効果ガス(GHG)排出量に対し、2030年度には42%削減を目標設定し、2024年1月に中小企業版SBTの認定を取得しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
当社では、こうした事業を取り巻くリスクや不確定要素等に対して、その予防や分散、リスクヘッジを実施することにより企業活動への影響について最小限にとどめるべく対応する所存であります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)建設市場の動向によるリスク
予想を上回る公共工事の削減及び民間建設需要の減少や価格の大幅な変動等著しい環境変化が生じた場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、これらのリスクの低減を図るため、信頼関係で結ばれた顧客を中心に営業活動を行うとともに、将来にわたって安定的に事業量を確保するために様々な分野の工事を受注できるよう注力しており、常に地域社会の発展に必要とされる企業、選択される企業となることを目指しております。
(2)取引先の信用リスク
建設業においては、工事毎及び取引先毎の請負金額が大きく、また多くの場合には、工事の引き渡し時期に多額の工事代金が支払われております。このため、工事代金を受領する前に取引先が信用不安に陥った場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、これらのリスクの低減を図るため、信用不安のない優良顧客を中心として事業を行うことを基本方針としており、民間工事の受注活動においては、事前与信調査を業務フローに組み入れ、貸倒れによる純資産の毀損を抑制することに努めております。
(3)人財の確保及び育成
少子化・テレワークを含む勤務形態や在宅勤務への変化、建設業という業種に対するイメージによる新卒採用の慢性的な不足や同業他社との採用競争激化により、人財の確保や育成が困難となり、国家資格や技能を有する人財が必要な時期に確保できない場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、これらのリスクの低減を図るため、新卒及びキャリア人財の積極的な採用活動や、作業所の完全週休二日制の実施及び時間外労働の削減などの「働き方改革」を推進させ、労働環境の改善による人財確保、職員の国家資格取得・技術伝承などの人財育成に積極的に取り組んでおります。
(4)資材価格等の変動
労務費や原材料の価格が高騰した際、請負金額に反映する事が困難な場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、これらのリスクの低減を図るため、徹底的な価格動向調査により、資材価格の高騰が予測される場合には早期買い付けを行うなどして、リスクヘッジしております。
(5)地価等の変動
地価等に変動があった場合における不動産の売買・評価について、業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、これらのリスクの低減を図るため、不要な不動産の保有は行わないことを基本方針としており、時価等の下落をリスクヘッジしております。
(6)製品の欠陥
品質管理には万全を期しておりますが、契約不適合責任による損害賠償が発生した場合は、業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、これらのリスクの低減を図るため、品質パトロールを強化する他、品質マネジメントシステムの国際規格「ISO9001」の認証を取得し、さらなる品質の向上を目指しております。
(7)法的規制のリスク
建設業法、建築基準法、独占禁止法、建設リサイクル法、労働安全衛生法、個人情報保護法等により法的な規制を受けておりますが、これらの法律の改廃や規制強化等があった場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、これらのリスクの低減を図るため、日本建設業連合会、業界団体やその他関係各所から法改正情報を取得できる体制を整えており、早期に法改正への対応を検討し、対策することで業績への影響をリスクヘッジしております。
(8)労働災害・事故等におけるリスク
安全教育の実施、定期的な点検パトロールなど安全管理を徹底し、施工中の労働災害・事故等の防止には万全を期しておりますが、人身や施工物などに関わる重大な労働災害・事故等が発生した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、これらのリスクの低減を図るため、安全パトロールを施工部門、安全部門、経営層等様々な階層や角度で実施するなど、多方面から危険有害要因の抽出及び提言措置を実施する他、労働安全衛生マネジメントシステムの国際規格「ISO45001」の認証を取得し、さらなる労働者の安全の向上を目指しております。また、人身や施工物などに関わる重大な労働災害・事故等の発生に備え、土木工事保険、建設工事保険、生産物賠償責任保険、請負業者賠償責任保険等の付保を行っております。
(9)自然災害リスク
当社では、戦略的に事業エリアを関西圏及び首都圏に集中させております。このため、関西圏及び首都圏並びにその周辺において、地震、津波、風水害等の大規模な自然災害が発生し、工事の中断や大幅な遅延、施工中物件の被災、従業員の被災、保有資産の毀損等の事態が生じた場合や、その後の受注動向の変化や資材価格等の高騰、電力供給能力の低下等があった場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、これらのリスクの低減を図るため、事業継続計画を定め、大規模災害発生時に安否確認システムを利用した役職員の安否の早期確認や、適正な初動活動が可能な体制を構築しており、いち早く通常業務に戻れるよう、大規模災害発生時に備えた訓練を定期的に実施するなどしております。
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。」の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、雇用や所得環境が改善する下で緩やかに回復しているものの、円安が続いていることや、中東地域をめぐる情勢や中国経済の先行き等の世界情勢が不安定なこともあり、先行き不透明な状況が続きました。
そのような状況下、建設業界におきましては、政府が推進している「防災・減災、国土強靱化」のための投資は維持され、企業による設備投資意欲も堅調でありますが、民間投資における住宅市場は、アフターコロナの消費行動の変化や建設コスト増の影響もあり弱含みの状況が続いております。
当社におきましては、「信頼できるパートナーと共に、豊かな社会を建設する」、「ステークホルダーと共に成長し、ステータス性あふれる企業になる」、「受け継がれてきた伝統と共に、新たな現場管理を実現する」のビジョンのもと、事業活動に邁進してまいりました。
その結果、当事業年度における工事受注高は31,007百万円(前年同期比9.5%増)となりました。この工種別内訳は、土木工事52.4%、建築工事47.6%の割合であり、また、発注者別内訳は、官公庁工事52.6%、民間工事47.4%の割合であります。
また、完成工事高は26,905百万円(前年同期比12.1%増)となり、これに兼業事業売上高677百万円を加えた売上高は27,582百万円(前年同期比12.0%増)となりました。
利益面につきましては、営業利益は1,072百万円(前年同期比28.7%増)に、経常利益は1,033百万円(前年同期比29.9%増)となり、税金費用控除後の当期純利益は685百万円(前年同期比31.1%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
a.建設事業
建設事業においては、受注高31,007百万円(前年同期比9.5%増)、売上高26,905百万円(前年同期比12.1%増)、セグメント利益2,024百万円(前年同期比10.8%増)となりました。
b.不動産事業
不動産事業においては、売上高32百万円(前年同期比6.1%増)、セグメント利益11百万円(前年同期比13.1%増)となりました。
c.砕石事業
砕石事業においては、売上高644百万円(前年同期比10.8%増)、セグメント利益70百万円(前年同期比185.8%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末比140百万円増加の9,574百万円(前年同期比1.5%増)となりました。
当事業年度末における各キャッシュ・フローの概況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の増加は680百万円(前年同期は資金の増加799百万円)となりました。これは主に売上債権の増加による資金の減少に対し、税引前当期純利益の計上、仕入債務の増加、未払又は未収消費税等の増加による資金の増加が上回ったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は70百万円(前年同期は資金の減少80百万円)となりました。これは主に長期貸付金の回収による収入に対し、有形固定資産の取得による支出が上回ったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の減少は468百万円(前年同期は資金の減少468百万円)となりました。これは主に配当金の支払額によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.受注実績
当事業年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当事業年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
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建設事業(百万円) |
31,007 |
9.5 |
|
不動産事業(百万円) |
- |
- |
|
砕石事業(百万円) |
- |
- |
|
合計(百万円) |
31,007 |
9.5 |
b.売上実績
当事業年度の売上実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当事業年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
建設事業(百万円) |
26,905 |
12.1 |
|
不動産事業(百万円) |
32 |
6.1 |
|
砕石事業(百万円) |
644 |
10.8 |
|
合計(百万円) |
27,582 |
12.0 |
(注)1.建設事業以外は受注生産を行っておりません。
2.生産実績を定義することが困難であるため、記載しておりません。
3.売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は、次のとおりであります。
前事業年度
国土交通省 3,729百万円 15.1%
西日本高速道路㈱ 3,700百万円 15.0%
当事業年度
西日本高速道路㈱ 5,794百万円 21.0%
なお、建設事業における受注工事高及び完成工事高の実績は次のとおりであります。
イ.受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高
|
期別 |
区分 |
前期繰越 工事高 (百万円) |
当期受注 工事高 (百万円) |
計 (百万円) |
当期完成 工事高 (百万円) |
次期繰越 工事高 (百万円) |
|
前事業年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
土木工事 |
18,989 |
13,598 |
32,587 |
12,862 |
19,725 |
|
建築工事 |
18,160 |
14,729 |
32,889 |
11,144 |
21,745 |
|
|
計 |
37,149 |
28,327 |
65,477 |
24,007 |
41,470 |
|
|
当事業年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
土木工事 |
19,725 |
16,239 |
35,964 |
14,812 |
21,152 |
|
建築工事 |
21,745 |
14,767 |
36,513 |
12,092 |
24,420 |
|
|
計 |
41,470 |
31,007 |
72,477 |
26,905 |
45,572 |
(注)1.前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含めております。したがって、当期完成工事高にも係る増減額が含まれております。
2.次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)であります。
ロ.受注工事高の受注方法別比率
工事受注方法は、特命と競争に大別されます。
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期別 |
区分 |
特命(%) |
競争(%) |
計(%) |
|
前事業年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
土木工事 |
27.7 |
72.3 |
100.0 |
|
建築工事 |
36.3 |
63.7 |
100.0 |
|
|
当事業年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
土木工事 |
32.9 |
67.1 |
100.0 |
|
建築工事 |
71.8 |
28.2 |
100.0 |
(注)百分比は請負金額比であります。
ハ.完成工事高
|
期別 |
区分 |
官公庁(百万円) |
民間(百万円) |
計(百万円) |
|
前事業年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
土木工事 |
12,294 |
567 |
12,862 |
|
建築工事 |
1,224 |
9,920 |
11,144 |
|
|
計 |
13,519 |
10,487 |
24,007 |
|
|
当事業年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
土木工事 |
14,402 |
409 |
14,812 |
|
建築工事 |
302 |
11,790 |
12,092 |
|
|
計 |
14,705 |
12,200 |
26,905 |
(注)1.完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。
前事業年度 請負金額14億円以上の主なもの
|
国土交通省 |
大野油坂道路新子馬巣谷橋下部他工事 |
|
大和地所レジデンス㈱ |
(仮称)北区赤羽北2丁目East計画 新築工事 |
|
羽曳野市 |
羽曳野市営向野住宅集約建替工事 |
|
北九州市 |
天籟寺初音町幹線管渠築造工事 |
|
㈱コスモスイニシア |
(仮称)東葛西9丁目共同住宅新築工事 |
当事業年度 請負金額17億円以上の主なもの
|
西日本高速道路㈱ |
山陰自動車道 出雲インターチェンジ工事 |
|
西日本高速道路㈱ |
新名神高速道路 城陽西高架橋西(下部工)工事 |
|
阪神高速道路㈱ |
湊川付近鋼製橋脚等大規模更新工事 |
|
東レ建設㈱ |
(仮称)シャリエ大津中央Ⅱ計画 新築工事 |
|
阪急阪神不動産㈱ |
(仮称)長岡京市開田4丁目計画 |
2.完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりであります。
前事業年度
国土交通省 3,729百万円 15.5%
西日本高速道路㈱ 3,700百万円 15.4%
当事業年度
西日本高速道路㈱ 5,794百万円 21.5%
ニ.次期繰越工事高(2024年3月31日現在)
|
区分 |
官公庁(百万円) |
民間(百万円) |
計(百万円) |
|
土木工事 |
19,568 |
1,584 |
21,152 |
|
建築工事 |
156 |
24,263 |
24,420 |
|
計 |
19,724 |
25,848 |
45,572 |
(注)次期繰越工事のうち請負金額18億円以上の主なものは、次のとおりであります。
|
コーナン商事㈱ |
(仮称)HCコーナン船橋海神店新築工事 |
2024年8月完成予定 |
|
大阪府 |
大阪モノレール 支柱建設工事(荒本西工区その2) |
2026年2月完成予定 |
|
東急不動産㈱ |
(仮称)大阪市中央区博労町一丁目計画Ⅱ新築工事 |
2026年2月完成予定 |
|
阪急阪神不動産㈱ |
(仮称)池田阪急ビル建替え計画 共同住宅・店舗新築工事 |
2026年5月完成予定 |
|
東京都 |
世田谷区喜多見五丁目7番地先から同区喜多見六丁目17番地先間外3か所送水管(1100mm)及び配水本管(900mm)移設工事 |
2026年6月完成予定 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
当事業年度末における資産合計は、前事業年度末比3,615百万円増加の27,393百万円となりました。この主な要因は、完成工事未収入金3,501百万円の増加等によるものであります。
当事業年度末における負債合計は、前事業年度末比3,314百万円増加の13,032百万円となりました。この主な要因は、共同企業体の構成員に対する未分配金1,092百万円、未払消費税等452百万円、工事・砕石未払金370百万円の増加等によるものであります。
当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末比301百万円増加の14,361百万円となりました。この主な要因は、当期純利益685百万円の計上による増加と、配当金の支払いによる458百万円の減少等によるものであります。
これにより、自己資本比率は52.4%(前事業年度末は59.1%)となりました。
b.経営成績の分析
当社の経営成績は、「第2 事業の状況」における「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載の内容をご覧ください。
以下、損益計算書に重要な影響を与えた要因について分析しております。なお、各セグメントの経営成績は、セグメント間取引については、相殺・消去しております。
イ.受注工事高
当事業年度における工事受注高は、前年同期より9.5%増加の31,007百万円となりました。この工種別内訳は、土木事業におきましては前年同期より19.4%増加の16,239百万円、建築事業におきましては前年同期より0.3%増加の14,767百万円となりました。また発注者別内訳は、官公庁工事におきましては前年同期より18.9%増加の16,300百万円、民間工事におきましては前年同期より0.6%増加の14,706百万円となりました。
ロ.売上高
当事業年度における売上高は前年同期より12.0%増加の27,582百万円となりました。
以下、セグメント別の売上は次のとおりであります。
建設事業
当事業年度における完成工事高は、前年同期より12.1%増加の26,905百万円となりました。この工種別内訳は、土木事業におきましては前年同期より15.2%増加の14,812百万円、建築事業におきましては前年同期より8.5%増加の12,092百万円となりました。また発注者別内訳は、官公庁工事におきましては前年同期より8.8%増加の14,705百万円、民間工事におきましては前年同期より16.3%増加の12,200百万円となりました。
不動産事業
賃貸収入は堅調に推移し、当事業年度における不動産事業売上高は前年同期より6.1%増加の32百万円と
なりました。
砕石事業
生瀬砕石所での生産・販売、砕石等の取引仲介ともに増加し、当事業年度における砕石事業売上高は前年同期より10.8%増加の644百万円となりました。
ハ.営業損益
販売費及び一般管理費は、人件費等の経費削減はできたものの、税金費用やDX化推進に伴う費用等の増加により、ほぼ横ばいの1,401百万円となりました。また、建設事業において、建設資材等の価格高騰により工事採算性は依然として低いものの、完成工事高の増加等により、当事業年度における営業利益は前年同期より28.7%増加の1,072百万円となりました。
ニ.経常損益
損害賠償金や産業廃棄物処分費用が減少したことから営業外費用が減少しましたが、固定資産売却益も減少したため、営業外収益も減少しました。しかしながら、営業利益が増加したため、当事業年度における経常利益は前年同期より29.9%増加の1,033百万円となりました。
ホ.当期純損益
税引前当期純利益が増加したため、当事業年度における当期純利益は前年同期より31.1%増加の685百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況」における「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載の内容をご覧ください。なお、キャッシュ・フロー関連指標の推移は次のとおりであります。
|
決算年月 |
2020年3月 |
2021年3月 |
2022年3月 |
2023年3月 |
2024年3月 |
|
自己資本比率(%) |
51.6 |
55.7 |
55.0 |
59.1 |
52.4 |
|
時価ベースの自己資本比率(%) |
32.9 |
45.8 |
39.2 |
40.1 |
41.6 |
|
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) |
- |
- |
0.4 |
1.0 |
1.2 |
|
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
- |
- |
99.4 |
54.0 |
46.3 |
(注)1.各指標の算出方法は以下のとおりであります。
自己資本比率 :自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率 :株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ :キャッシュ・フロー/利払い
2.いずれの指標も財務数値により算出しております。
3.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
4.有利子負債は、貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
5.キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。また利払いにつきましては、キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
6.2020年3月期及び2021年3月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオにつきましては、キャッシュ・フローがマイナスのため表示しておりません。
b.資本の財源及び資金の流動性
資本の財源及び資金の流動性、財務戦略については、次のとおりであります。
イ.財務戦略について
当社は、中長期的な企業価値の向上を図り、安定した株主還元を行えるよう、強固な財務基盤の確立と資本効率の向上を念頭に、戦略的に経営資源を配分することを財務戦略の基本方針としております。
強固な財務基盤の確立につきましては、十分な手許流動性を確保した上で自己資本比率を適正な水準に保つことを目標とし、資金需要については自己資金の充当を原則として、リスク対応力を強化してまいります。
資本効率の向上につきましては、資本コストを上回る投下資本収益を実現するため、「第2 事業の状況」における「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「(3)経営戦略等」に記載しております諸施策に経営資源を優先的に配分し、これらの取組みを強化してまいります。
これらにより、今後の市場環境の変化を始めとする種々のリスクに対応できる健全な事業基盤を確立し、安定した株主還元を行えるよう、中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。
ロ.資金の流動性について
当社は、協力会社への安定的な支払いを担保し、健全な事業活動を行うため、十分な手許流動性を確保した財務運営を原則としております。また、今後の市場環境の変化にも、健全な事業活動が安定して行えるよう、適正な水準の手許流動性の維持及び確保に努めております。その上で、上記の経営戦略を遂行するための諸施策に経営資源を優先的に配分し、当社のあるべき姿を実現するための取組みを強化してまいります。
ハ.資金需要の主な内容
当社の資金需要は、主に運転資金需要と設備資金需要であります。
運転資金需要のうち主なものは、工事施工に必要な材料、外注費等の施工原価、共通するものとして販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、設備資金需要としましては、工事施工に必要な建設設備、砕石・砕砂等の製造に必要な砕石設備などによる機械装置等固定資産購入、上記の経営戦略を遂行する上で必要となるICT投資等によるものであります。
ニ.資本の財源について
当社は、健全な事業活動を行うため、十分な手許流動性を確保した財務運営を原則としております。運転資金及び設備資金につきましては、自己資金より充当することを原則とし、不足等が生じた場合には、取引金融機関からの短期借入金にて調達することとしております。今後も、営業活動により得られるキャッシュ・フローを基本に、将来必要な運転資金及び設備資金を調達していく考えであります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、会計上の見積りが必要となる事項については、一定の合理的な基準に基づいた見積りを行っており、資産、負債並びに収益、費用の数値に反映しております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらと異なることがあります。
また、この財務諸表の作成にあたり採用している重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しておりますが、特に以下の会計方針は、経営者による会計上の見積りが財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
(収益の認識基準)
建設事業
主に長期の工事契約を締結しております。当該契約については、通常、当社が履行義務を充足することにより目的物の価値が増加し、それにつれて顧客が目的物の支配を獲得することから、一定の期間にわたり履行義務が充足されると判断し、履行義務の充足に係る進捗度に基づき収益を認識しております。履行義務の充足に係る進捗度の測定は、各報告期間の期末日までに発生した工事原価が予想される工事原価の総額に占める割合に基づいて(原価比例法)行っております。また、履行義務の充足に係る進捗度の合理的な見積りができないものの、発生費用の回収が見込まれる工事については原価回収基準を適用し、対価の額が少額又は契約期間がごく短い工事については、完全に履行義務を充足した時点で収益を認識しております。
これを適用するにあたっては、工事収益総額、工事原価総額及び決算日における工事進捗度について、合理的な見積りを行うため、工事契約ごとに実行予算を策定しております。工事契約は個別性が強く、工事の進行途上において当初は想定していなかった状況等の変化や、工事契約の変更が行われる場合があります。そのため、履行義務を充足するにつれて一定の期間にわたり収益を認識する方法による収益認識の基礎となる工事原価総額を見直すにあたっては、工事完成に必要となる作業内容及び工数に関する情報を速やかに収集し、適宜適切に実行予算に反映させておりますが、これらの見積りには不確実性を伴うため、翌事業年度の経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
特記すべき事項はありません。
特記すべき事項はありません。