当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営理念、経営方針等
当社グループは、社是を「私たちは、見えないところにこそ、誠実に技術を提供して、社会から必要とされる企業であり続ける」、ブランドメッセージを「見えないところにこそ、私たちのプライドがある」、社訓を「安全第一」、「信用確立」、「技術発展」とし、「使命(Mission):安全・安心な国土造りに貢献する会社」、「価値観(Value):基礎工事における総合技術力と効率的な経営」、「あるべき姿(Vision):信頼される技術力に培われた、環境・防災工事を主力とした基礎工事のエキスパート」を経営理念に掲げ、これらに基づき、企業価値向上を目指すとともに、株主、顧客、取引先、地域社会、従業員等のステークホルダーの信頼と期待に応えてまいります。
(2)経営環境及び対処すべき課題
今後のわが国経済は、緩やかに持ち直していくと思われますが、円安長期化による物価上昇やアメリカの関税措置、不安定な国際情勢により、依然として不透明な状況が続くものと予想されます。建設市場においては、引き続き公共建設投資は高水準で推移しており、2023年7月に閣議決定された「国土強靭化基本計画」のもと当社が得意とする防災・減災関連の公共事業は引き続き発注されていくものと考えています。また、民間設備投資については、持ち直しの動きがみられ、堅調な企業収益等を背景に、持ち直し傾向が続くことが期待されています。
このような事業環境の中で、当社グループは2023年5月10日に公表した中期経営計画2023(2023年度~2025年度)において、「Next Challenge StageⅢ」をテーマに掲げ、現在、2年目を終え、最終年度である2026年3月期に入り、改めて事業戦略を進めるとともに、さらなる成長に向けた取り組みを加速してまいります。
本計画では、「『日特らしさ』を失わずに働く人が『プライド』をもって事業に取り組める環境を整え、顧客信頼を獲得して『ブランド』を確立する。事業を通じて、企業の存立意義を常に考え、長期的な視点であるべき姿を想いながら、人と企業が共に成長していく。」というビジョンを掲げ、以下の重点課題に取り組んでおります。
すなわち、「人的資本の確保と育成」、「生産性の向上」、「安全衛生・品質管理の強化」、「サステナビリティ経営の促進」、「新分野への挑戦」といった重要施策を通じて、企業価値の持続的な成長を引き続き目指してまいります。
2025年3月期に売上高と利益減少を招いた主な要因は、期首時点で当期に寄与する手持ち工事が少なかったため、上期の売上高不足を招いたことでした。この状況を受けて、2025年3月期後半には繰越受注高の確保に注力し、前年同期を上回る成果を達成しました。今後、この受注を基盤に施工の促進を図り、計画目標の達成に向けて引き続き努力してまいります。
さらに、円滑な施工を進めるための準備力向上と、現場状況の変化への対応力を強化する施策を徹底し、変化への柔軟な対応が可能な体制を構築してまいります。これにより、経営理念に掲げる「効率的な経営」の実現を目指して取り組んでまいります。
また、2025年3月に当社グループに新たに加わった麻生フオームクリート株式会社に関しては、同社が強みとする気泡コンクリート工事をはじめとした事業において、当社の営業ネットワークを最大限活用することで市場認知度の向上を図ってまいります。さらに、当社がこれまでに培った施工ノウハウも活かし、営業力と施工力の両面からさらなる強化を進め、売上増及び利益増の実現に向けて取り組んでまいります。
(3)「中期経営計画2023(2023年度~2025年度)」の「事業戦略」「事業戦略を実現するための課題」「経営目標・指標」は下記のとおりであります。
当社グループは「中期経営計画2023」において事業戦略を実現するために下記の重要課題に取り組みます。
①事業戦略
「日特らしさ」を失わずに働く人が「プライド」をもって事業に取り組める環境を整え、顧客信頼を獲得して「ブランド」を確立する。事業を通じて、企業の存立意義を常に考え、長期的な視点であるべき姿を想いながら、人と企業が共に成長していく。
②事業戦略を実現するための課題
a.人的資本の確保と育成
DXによる業務効率化を進め、労働基準法改正による2024年度からの労働時間規制の遵守、多様な働き方の推進、職場環境・社員待遇の向上を実現し、日特らしい技術者を育成します。
b.生産性の向上
生産性の高い工種比率向上、テクノロジーを駆使した施工の機械化実現により、1人当たりの生産性を上げ、安定的な利益創出ができる基盤を確立するとともに、計画期間内の更なる売上高、営業利益の向上を実現します。
その他、c「安全衛生・品質管理の強化」、d「サステナビリティ経営の促進」、e「新分野への挑戦」を加えた5つの課題に取り組み、前中期経営計画期間実績の5%成長に当たる連結営業利益(3年間計)161億円を実現します。また、得られた利益により継続的な投資を行い、企業価値の持続的な成長を目指します。
③主な目標値
a.営業面の目標(2025年度)
ア. 地盤改良工事の拡大 ➡ 受注高・完工高:230億円(構成比30%以上)
イ. 民間受注の拡大 ➡ 受注高:230億円(構成比30%以上)
ウ. 構造物補修工事の拡大 ➡ 受注高:100億円
エ. 施工の平準化 ➡ 上期施工高:構成比50%(370億円)
b.業績面の目標
ア. 営業利益 ➡ 3ヵ年平均:54億円以上
イ. 営業利益率 ➡ 3ヵ年平均:7.4%以上
c.財務面の指標(2025年度)
ア. PBR(株価/1株当り純資産)➡ 1.3倍以上
イ. ROIC(税引後営業利益(営業利益×(1-実効税率))/投下資本(有利子負債+純資産))
➡ 10%以上
ウ. EBITDA(営業利益+償却費) ➡ 3ヵ年平均:61億円
d.株主還元の目標
前年度実績を下回らない配当を目指す。
当社グループのサステナビリティに関する考え方および取組は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものです。
(1)サステナビリティ全般について
①コミットメント
日特建設は、1947年(昭和22年)に創立し、ダムの基礎処理を創業工種として始まり七十有余年、環境防災、維持補修、都市再生分野の専門工事に特化した地質に強い施工会社として評価をいただいております。
創業時からダムの基礎処理工事を通じ水力発電における電力供給、自然災害時の水害対策など生活の根幹となる事業に携わってまいりました。2008年に経営理念「基礎工事における総合的な技術力と効率的な経営で、安全安心な国土造りに貢献する会社」を掲げ、ダムの基礎処理工事等で培った技術を地震・台風・豪雨などによる災害復旧や予防災へと応用し、いち早く単なる災害対応だけでなく環境への配慮を加味した技術開発を行い、法面の緑化、産業廃棄物の縮減、外来種への対応などに取り組んでまいりました。現在、世界規模で「持続可能な開発目標」(SDGs)など、中長期的な企業価値の向上に向け、サステナビリティ(ESG要素を含む中長期的な持続可能性)が重要な経営課題になっています。その中で当社は、当社グループが今まで取り組んできた経験を体系的に整理し進化させることが、これらの解決策になり、経営理念を実現していくうえでも重要な事項と認識しています。この認識に基づき、2024年度は気候変動への対応を中心として、新たに以下のようなサステナビリティ推進活動に取り組んでまいりました。
・ 2024年4月 「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明
・ 2024年9月 2024年CDP質問書への回答を提出(回答結果については、スコアB(気候変動)を取得)
・ 2025年2月 SBT認定の取得に向けてコミットメントレターを提出
当社は現在、SBT認定の取得、人権方針の策定、人権デューデリジェンスの実施等に取り組んでおり、引き続きサステナビリティ経営の更なる推進に努めてまいります。
また、その他の取組みについては当社統合報告書においても記載しております。
日特建設株式会社 統合報告書2024
https://www.nittoc.co.jp/ir/report/
②サステナビリティ基本方針
当社グループは、信頼される技術力に培われた環境・防災工事を主力とした基礎工事のエキスパートとして、「安全・安心な国土造りに貢献する会社 」を目指してきました。
一方で気候変動や人権問題に代表されるように、企業を取り巻く環境が大きく変化しており、「見えないところにこそ誠実に技術を提供して、社会から必要とされる企業であり続ける」ためには、サステナビリティに関するリスクと機会に適切に対処することが重要だと考えています。
そのため当社グループは自然災害時の復旧・復興へ積極的に取り組むとともに、脱炭素社会に向けて持続可能な環境配慮技術を開発・推進します。また人権尊重はもとより、多様な人材が互いに認め合い活躍できる環境を整えます。
以上の考え方に基づき、当社グループは事業活動を通じて持続的な社会の実現に貢献するとともに、中長期的な企業価値の向上を目指します。
③ガバナンス
当社グループは、外部環境の変化によるリスク及び機会を把握し、経営に影響を及ぼすマテリアリティ(重要課題)を、議論する場としてサステナビリティ委員会を設けています。
サステナビリティ委員会では、代表取締役社長が委員長になり、副委員長に代表取締役副社長、そのほか各本部長が参加して、マテリアリティの特定、その施策について議論しています。
委員会で特定したマテリアリティについては、取締役会に上程し、その特定と解決の施策について、決定していきます。
サステナビリティ委員会2024年度開催実績
開催回数:4回(2024年5月、2024年8月、2024年11月、2025年2月)
主な議題:ガバナンス体制、気候変動対応、人権尊重
また、当社のマテリアリティ特定のプロセスは以下のとおりです。
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1.課題の洗い出し |
課題の洗い出しは、以下を確認及び把握する |
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(1)パーパス(存在意義) |
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(2)経営課題 |
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(3)価値創造に影響を及ぼす社会課題 |
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2.分析 |
分析は以下の流れで行う |
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(1)マテリアリティの設定 |
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(2)設定したマテリアリティに基づく検討 |
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①リスクと機会 |
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②ステークホルダーの特定と影響 |
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3.マテリアリティの特定 |
マテリアリティは以下のように特定し、決定する |
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(1)1、2を踏まえて、策定 |
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(2)取締役会に上程 |
④リスク管理
a.気候関連リスクを識別・評価・管理するプロセス
当社グループでは、各本部、各支店より選定された気候変動リスクをサステナビリティ委員会にて識別、評価を行っています。リスクの重要度評価に関しては、影響度と発生頻度の観点より優先順位をつけており、特に重要と判断されたリスクに関しては取締役会に直接報告される体制を構築しています。
識別・評価された気候変動リスクは、サステナビリティ委員会にてリスク軽減のために予防策、対応方針を審議され、取締役会の監督のもと各本部や各支店にて実行させ、定期的に実施状況のモニタリングを実施しています。
b.全社のリスク管理への統合プロセス
気候変動リスクを含む全社的なリスク管理に係る課題・対応策を協議・承認する組織として、取締役会の下にリスク管理委員会を設置しており、同委員会では全社の統制すべきリスクの管理、リスク管理に関する年次計画等の審議・承認を実施しています。サステナビリティ委員会にて識別・評価された気候変動リスクのうち、時間軸が「短期」である気候変動リスクに関しては「中期」「長期」のリスクに比べて顕在化する可能性が高いため、リスク管理委員会にも共有され、全社リスクに統合された後に取締役会に報告される体制となっています。
⑤戦略
当社は、気候変動に関するリスクと機会を短期(1年以内)、中期(~2030年)、長期(2030~2050年)の時間軸で以下の様に評価し、特定した重要リスクに対し、対応策を実施してまいります。
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リスク/機会 項目 |
リスク内容 |
時間軸 |
影響度 |
対応策 |
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移行 リスク |
法規制 ・ 政策 |
CO2排出目標の厳格化 |
CO2目標値達成のための削減コストの発生により費用負担が増加する |
短期 ~ 中期 |
中 |
・事業所での省エネ活動の実施 |
|
評判 |
投資家からの気候対応要請 |
CO2削減の取り組み遅れや情報開示不足により、投資家からの評価が低下する |
短期 ~ 中期 |
小 |
・継続的なステークホルダーへの情報開示 |
|
|
顧客からの気候対応要請 |
CO2削減の取り組み遅れや情報開示不足により、顧客からの評価が低下する |
短期 ~ 中期 |
小 |
・継続的なステークホルダーへの情報開示 |
||
|
物理 リスク |
慢性 |
平均気温の上昇 |
建設現場において熱中症をはじめとする健康被害が増加し、対応費用が増加する |
短期 ~ 長期 |
大 |
・安全衛生方針の改善継続と管理徹底 |
|
夏季の工事効率低下により工期が長期化し利益率が低下する |
中期 ~ 長期 |
中 |
・安全衛生方針の改善継続と管理徹底 |
|||
|
建設現場の労働環境悪化により、技能労働者不足が深刻化する |
中期 ~ 長期 |
大 |
・安全衛生方針の改善継続と管理徹底 |
|||
|
急性 |
自然災害の頻発・激甚化 |
災害の増加が施工中の建設物への被害や作業中断を引き起こし、操業が困難になる |
短期 ~ 長期 |
中 |
・BCPの策定と見直し |
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|
|
リスク/機会 項目 |
機会内容 |
時間軸 |
影響度 |
対応策 |
|
|
移行 機会 |
製品 及び サービス |
環境負荷の低い施工管理への移行 |
施工時の省エネ技術または再生可能エネルギー使用の要求拡大に対応することにより受注機会が拡大する |
中期 |
大 |
・リサイクル資材を使用した工法の設計・施工促進 |
|
資源 効率 |
省エネ製品の導入促進 |
自社事業所や現場での省エネ機器導入により運用コストが削減される |
短期 ~ 中期 |
小 |
・オフィス、現場事務所の省エネの促進 |
|
|
市場 |
ステークホルダー評価の向上 |
CO2排出削減の取り組みが進んだ場合、ステークホルダーからの評価が向上する。 |
短期 ~ 中期 |
小 |
・継続的なステークホルダーへの情報開示 |
|
|
物理 機会 |
レジリ エンス |
国土強靭化政策の強化 |
防災・減災、国土強靭化のための補修補強工事、地盤改良工事の需要が高まる |
中期 |
大 |
・採用強化と働き方改革による請負体制の強化 |
⑥指標及び目標
環境負荷軽減のために、SBT基準に則り温室効果ガス(CO2)排出量の削減を進め、2030年度にスコープ1、2排出量については2023年度比42%、スコープ3排出量については2023年度比25%の削減を目指します。また、スコープ1、2排出量を2050年度までに実質ゼロにする事を目指します。
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2023年度 (基準年) |
2030年度 (目標年1) |
削減率 |
2050年度 (目標年2) |
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スコープ1 |
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5,543 |
42% |
0 |
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スコープ2 |
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454 |
42% |
0 |
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スコープ3 |
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314,793 |
25% |
- |
単位:t-CO2
(2)人的資本について
当社の人材の育成に関する方針、社内環境整備に関する方針などは以下のとおりです。
①人材育成に関する方針
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・人材の確保と育成 |
:リクルーターを強化し、戦略的な採用、離職者の低減による技術者の確保。研修 体系の整備と通年研修の導入による技術者の育成。 |
a.採用に関する施策
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・技術者確保 |
:採用活動の継続、強化、管理職登用の統制 |
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・地元での雇用形態 |
:地域毎の採用人員格差を是正するため採用人員の少ない地域の採用を拡大 |
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・会社認知度アップ |
:学生への訴求力を高めるホームページ情報の充実、新聞媒体への広告出稿や技術説 明会の開催、建設技術フェアへの出展等 |
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・ダイバーシティ |
:女性社員・外国人社員の採用、障害者雇用、多様性のあるキャリアパス構築 |
b.社員の育成に関する施策
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・若手の育成 |
:技術の伝承のために、工事情報の蓄積と簡易に情報活用できる仕組みの構築、業務 ロスをなくし効率的な管理が出来る様にチーム内でのコミュニケーションを活発 化するための情報ツールの活用 |
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・研修 |
:新入社員、若手社員の研修の充実、技術者としての倫理観、コンプライアンスに ついての研修 |
②社内環境整備に関する方針
a.働き方改革に関する施策
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・現場へのフォロー |
:現場管理における多様な支援(ビジネスチャット活用、WEBカメラの利用、計画的 な現場配置) |
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・多様な働き方 |
:ライフイベント時の現場フォロー(2024年度実績:育児休業取得率100%(男性 100%、女性100%)/目標:育児休暇取得率100%)、介護、育児等で継続勤務 が難しい社員へのチーム対応、地元志向の社員への対応 |
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・長時間労働の是正 |
:新工事管理システムおよびDXの導入により現業社員の業務省力化・効率化、管理 精度を向上させロスを低減、バックオフィスの定着 |
b.魅力ある職場環境の整備
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・若手社員への支援 |
:年齢や性別、役職にとらわれないコミュニケーションが取れる社風へ、先を見通 せるライフイベント毎のモデルケースを示し、将来への安心感につなげる |
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・処遇改善 |
:ベースアップ(定期昇給含む)、基礎賞与の見直しによる平均年収アップ (2024年度実績:平均年間給与800万円(単体)) |
c.安全衛生管理の強化・健康経営に関する施策
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・計画と設備 |
:施工検討会で計画の確認と乗り込み1週間パトロールで実施状況の確認、週間工 程による現場の進捗状況の把握 |
|
・教育 |
:新規入場者教育で現場ルール、日特ルールの教育、朝礼、KYで過去事例教育の実 施(災害事例検索システム)、各種パトロールでの教育の実施 |
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・点検と是正 |
:多角的なパトロールの実施と定着(電気、機材パトロール等)、改善事項のその 場是正 |
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・健康経営 |
:定期健康診断の着実な実施と再検査受診の推奨、保健師による特定保健指導、ワ ークライフバランスの推奨、ストレスチェックの実施、定期的な健康管理に関す る周知と指導 |
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)公共事業への依存
当社は受注高の約8割を公共事業に依存しているため、予想を超える公共事業の削減が行われた場合には、売上高・利益の減少等、業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、現在のところ、業績に影響を及ぼすような大きな市場・環境の変化は認識していません。また、公共工事への依存を軽減するため、民間工事及び海外工事の受注にも取り組んでおります。
(2)他社との競合
当社の事業は受注産業であるため、他社との競合が激化することで採算が悪化し、売上高・利益の減少等、業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、現在のところ、業績に影響を及ぼすような大きな市場・環境の変化は認識しておりません。
(3)取引先の与信
工事の受注から代金回収まで、相当な期間を要する場合がありますので、取引先の業況悪化等により工事代金の回収遅延、貸倒れ損失等が発生し、業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、与信管理の徹底により貸倒れ防止に努めております。また、リスクに備えるため、下請債権保全支援事業による債権保証ファクタリングを利用し、貸倒れが発生した場合でも損失を回避、または低減しております。
(4)品質管理
品質管理には万全を期しておりますが契約不適合及び製造物責任による損害賠償が発生した場合は、賠償金の発
生、売上高・利益の減少等、業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは、工事部門による現場の品質パトロールを行い、品質不良の発生を防ぐと共に、過去の品質トラブル事例を水平展開して再発防止に努めております。また、2020年度より安全環境品質本部内に品質管理を専門に行う品質部を新設し、品質管理の強化徹底に努めております。
(5)建設資材価格および労務単価の高騰、技能労働者の不足
建設資材や労務単価の急激な上昇および技能労働者の不足が生じた場合は、工事の採算悪化や工事進捗に遅延を招く恐れがあり、売上高・利益の減少、採算性の悪化等、業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、工期が一年を超える大型工事の割合は少なく、仮に建設資材費、労務費単価が上昇した場合でも交渉を行い、業績への影響は最小限とするように努めております。また協力業者の技能労働者配置計画については、本店にて支店間の調整の他、多能工の養成にも積極的に取り組んでおります。
(6)労働災害および事故の発生
工事施工にあたっては、労働災害および事故の発生を防ぐべく対策を講じておりますが、万が一、重大災害や大きな事故、トラブルが発生した場合は、売上高・利益の減少、採算性の悪化等、業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、労働安全衛生法遵守はもちろん、社内で定めたより厳しい基準で安全管理を行っております。
また、過去の労働災害事例を水平展開して再発防止に努めております。さらに、安全指導の基本方針、安全強化項目
を定め、各現場の管理とともに安全パトロールで重点的に点検し、災害発生防止に努めております。
(7)海外事業におけるリスク
海外で事業を展開しており、海外での政治・経済情勢、法的規制、為替相場等に著しい変化が生じた場合や、資材価格や労務単価の急激な上昇などがあった場合には、工事利益の確保や工事進捗に支障をきたし、業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは、さまざまなリスク回避のため、日系企業からの受注及び情報収集を行っております。また海外事業は、現在のところ売上高、利益ともグループ全体におけるシェアが小さく、当社グループ全体の業績への影響は、軽微であります。
(8)法的規制
当社グループは建設業を主たる事業としており、建設業法をはじめとする法的規制を受けているため、法改正等により業績に影響を与える可能性があります。
当社グループについて、市場や業績に影響を及ぼすような法改正等は認識しておりません。
(9)不正によるリスク
役職員の不正が発生し、著しい損害が発生した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、行動倫理規範により、高い倫理観を持ち業務を行うように指導するとともに、コンプライアンス研修、および内部管理体制、監査等で不正の防止に努めております。
(10)気候変動に関するリスク
脱炭素社会への移行に向けて、事業活動で発生する温室効果ガス排出量の規制や炭素税が導入された場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また温暖化により気温の上昇を招き、それにより災害が甚大化する場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
環境負荷軽減のため、CO2排出量削減に資する研究開発の推進や、CO2排出量削減に資する工法の設計・施工の推進に取り組むほか、オフィス、現場事務所の省エネの推進にも取り組んでまいります。
(11)感染症拡大によるリスク
感染症拡大により、市場の変化や工事の採算悪化や工事進捗に遅延を招く恐れがあり、業績に影響を与える可能性があります。当社グループでは、従業員に対する感染予防対策を徹底し、WEB会議等を活用することにより、事業継続が可能な体制強化を進めてまいります。
(12)情報漏洩によるリスク
個人情報や機密情報などが漏洩した場合、社会的な信用の失墜、損害賠償の請求などにより、当社の業績に影響を与える可能性があります。当社グループでは、このリスクに対応するために、情報管理についての規則を定め、社員に順守させるとともに、情報セキュリティについての教育を定期的に行い、情報管理の徹底と社員の意識向上に努めております。
その他、当社グループ会社につきましては、当社の内部統制システムに組み入れて、その業務が適正に遂行されるように監視・監督しておりますが、業況の変化により当社の業績に影響を与える可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善、各種政策の効果もあり、緩やかな回復傾向が見られました。しかし、アメリカにおける関税政策の動向、ウクライナや中東の紛争の長期化、円安による資源・エネルギー価格の高騰と物価上昇の継続など、先行きは不透明な状況が続いております。
建設市場におきましては、公共建設投資は高水準で推移しており、民間設備投資については、持ち直しの動きがみられますが、資材価格等の上昇による影響が懸念されております。
このような事業環境の中で当社グループは、2023年5月10日に公表しました中期経営計画2023(2023年度~2025年度)において、この期間を「Next Challenge StageⅢ」と位置づけ、事業戦略を“「日特らしさ」を失わずに働く人が「プライド」をもって事業に取り組める環境を整え、顧客信頼を獲得して「ブランド」を確立する。事業を通じて、企業の存立意義を常に考え、長期的な視点であるべき姿を想いながら、人と企業が共に成長していく。”とし、「人的資本の確保と育成」、「生産性の向上」、「安全衛生・品質管理の強化」、「サステナビリティ経営の推進」、「新分野への挑戦」の5つの課題に取り組み、前中期経営計画期間実績の5%成長に当たる連結営業利益(3年間計)161億円の実現と、得られた利益による継続的な投資を行い、企業価値の持続的な成長を目指しておりま
す。
その結果、当連結会計年度の業績は以下のとおりとなりました。
a.受注高、売上高
受注高は、77,861百万円(前年同期比5.4%増)となりました。主な内訳は、基礎・地盤改良工事は27,175百万円(同1.1%増)と微増となりましたが、法面工事は大型工事や能登半島地震の災害復旧・復興工事の受注があり37,668百万円(同18.4%増)となりました。
売上高は、当期に寄与する手持ち工事が少なかったことによる上期の売上高不足に加え、能登半島地震に伴う災害復旧・復興工事の着工遅れなどが影響し、67,216百万円(同6.5%減)に留まりました。
b.売上原価、販売費及び一般管理費
当連結会計年度の売上原価は54,653百万円(前連結会計年度比7.6%減)、原価率は81.3%(同1.0%良化)となり、販売費及び一般管理費は、8,883百万円(同6.4%増)となりました。
c.営業利益
上記の結果、営業利益は3,679百万円(前連結会計年度比15.5%減)となりました。
d.営業外損益、特別損益
当連結会計年度の営業外収益は175百万円(前連結会計年度比11.9%増)となり、営業外費用は90百万円(同22.0%減)となりました。
特別利益は固定資産売却益および麻生フオームクリート株式会社の子会社化に伴い負ののれん発生益の計上により121百万円(前連結会計年度比12.4%増)となり、特別損失は固定資産除却損・売却損、損害賠償金の計上により171百万円(前連結会計年度は2百万円)となりました。
e.親会社株主に帰属する当期純利益
上記の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、2,408百万円(前連結会計年度比21.4%減)となりました。
過去5年間の売上高と原価率、販売費及び一般管理費と売上高販売費及び一般管理費比率の推移は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
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第74期 |
第75期 |
第76期 |
第77期 |
第78期 |
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2021年3月期 |
2022年3月期 |
2023年3月期 |
2024年3月期 |
2025年3月期 |
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売上高 |
67,955 |
66,076 |
72,918 |
71,880 |
67,216 |
|
原価率 |
81.1% |
81.6% |
81.2% |
82.3% |
81.3% |
|
販売費及び一般管理費 |
7,495 |
7,611 |
8,233 |
8,351 |
8,883 |
|
売上高販売費及び一般管理費比率 |
11.0% |
11.5% |
11.3% |
11.6% |
13.2% |
②財政状態の状況
当連結会計年度末における流動資産の残高は40,342百万円で、前連結会計年度末に比べ1,880百万円減少しております。これは主に、未成工事支出金が113百万円、材料貯蔵品が108百万円増加した一方、現金預金が1,492百万円、受取手形・完成工事未収入金等が270百万円、電子記録債権が508百万円減少したことによるものです。固定資産の残高は16,603百万円で、前連結会計年度末に比べ4,401百万円増加しております。これは主に、機械、運搬具及び工具器具備品が589百万円、土地が2,641百万円、投資有価証券が1,169百万円増加した一方、繰延税金資産が237百万円減少したことによるものです。
当連結会計年度末における流動負債の残高は17,547百万円で、前連結会計年度末に比べ1,125百万円増加しております。これは主に、支払手形・工事未払金等が226百万円、未成工事受入金が278百万円、賞与引当金が226百万円増加した一方、工事損失引当金が227百万円減少したことによるものです。固定負債の残高は4,830百万円で前連結会計年度末に比べ865百万円増加しております。これは主に、長期借入金が519百万円、退職給付に係る負債が260百万円増加したことによるものです。
当連結会計年度末における純資産の残高は34,567百万円で、前連結会計年度末に比べ529百万円増加しております。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益を2,408百万円計上した一方、1,961百万円の配当を実施したことによるものです。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の連結キャッシュ・フローの状況は、営業活動により獲得した資金は4,513百万円(前連結会計年度は4,421百万円の獲得)、投資活動により使用した資金は4,005百万円(同2,287百万円の使用)、財務活動により使用した資金は1,961百万円(同1,965百万円の使用)となった結果、現金及び現金同等物は1,492百万円減少し、当連結会計年度末残高は18,151百万円となっております。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、4,513百万円となっております。
これは主に、税金等調整前当期純利益3,714百万円を計上し、減価償却費868百万円、売上債権の減少1,672百万円により資金が増加しましたが、法人税等の支払い1,420百万円により資金が減少したものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、4,005百万円となっております。
これは主に、有形固定資産の取得による支出1,339百万円、投資有価証券の取得による支出1,191百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出1,258百万円により資金が減少したものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、1,961百万円となっております。
これは主に、配当金の支払い1,960百万円により資金が減少したものです。
④生産、受注及び販売の実績
a.受注実績
|
セグメントの名称 |
前連結会計年度(百万円) (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
当連結会計年度(百万円) (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
|
建設事業 |
73,733 |
77,721 |
|
その他の事業 |
127 |
139 |
|
合計 |
73,861 |
77,861 |
b.販売実績
|
セグメントの名称 |
前連結会計年度(百万円) (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
当連結会計年度(百万円) (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
|
建設事業 |
71,752 |
67,076 |
|
その他の事業 |
127 |
139 |
|
合計 |
71,880 |
67,216 |
(注)1 当連結企業集団では生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載しておりません。
2 セグメント間の取引については相殺消去しております。なお、参考までに提出会社個別の事業の状況を記載すると次のとおりであります。
① 受注工事高、完成工事高、繰越工事高及び施工高
|
期別 |
工事別 |
前期繰越工事高 (百万円) |
当期受注工事高 (百万円) |
計 (百万円) |
当期完成工事高 (百万円) |
次期繰越工事高 (百万円) |
当期施工高 (百万円) |
||
|
手持工事高 |
うち施工高 |
||||||||
|
第77期 自 2023年4月1日 至 2024年3月31日
|
土木 |
44,323 |
68,737 |
113,060 |
69,878 |
43,182 |
1.4% |
617 |
69,662 |
|
計 |
44,323 |
68,737 |
113,060 |
69,878 |
43,182 |
1.4% |
617 |
69,662 |
|
|
第78期 自 2024年4月1日 至 2025年3月31日
|
土木 |
43,182 |
74,946 |
118,128 |
63,902 |
54,226 |
1.2% |
647 |
63,932 |
|
計 |
43,182 |
74,946 |
118,128 |
63,902 |
54,226 |
1.2% |
647 |
63,932 |
|
(注)1 前期以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含んでおります。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれております。
2 次期繰越工事高の施工高は支出金により手持工事高の施工高を推定したものであります。
3 当期施工高は(当期完成工事高+次期繰越工事高(うち施工高)-前期繰越工事高(うち施工高))に一致しております。
② 受注工事高の受注方法別比率
工事の受注方法は、特命と競争に大別されております。
|
期別 |
区分 |
特命(%) |
競争(%) |
計(%) |
|
第77期 自 2023年4月1日 至 2024年3月31日 |
土木工事 |
93.6 |
6.4 |
100.0 |
|
第78期 自 2024年4月1日 至 2025年3月31日 |
土木工事 |
90.3 |
9.7 |
100.0 |
(注) 百分比は請負金額比であります。
③ 完成工事高
|
期別 |
区分 |
官公庁(百万円) |
民間(百万円) |
計(百万円) |
|
第77期 自 2023年4月1日 至 2024年3月31日
|
土木工事 |
53,551 |
16,327 |
69,878 |
|
計 |
53,551 |
16,327 |
69,878 |
|
|
第78期 自 2024年4月1日 至 2025年3月31日
|
土木工事 |
50,731 |
13,171 |
63,902 |
|
計 |
50,731 |
13,171 |
63,902 |
(注)1 当社が総合建設業者を通じて受注した官公庁発注工事は官公庁欄に計上しております。
2 完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。
第77期 請負金額5億円以上の主なもの
(注文者) (工事名)
㈱フジタ 島根原子力発電所3号機北側・東側防波壁基礎部耐震補強工事
㈱安藤・間 高原トンネル上部斜面対策工事
㈱フジタ 北海道新幹線、野田追トンネル(北)他
前田建設工業㈱ 鳥海ダム仮締切(地中壁)工事
㈲辻田建機 郡山砂欠山MS盛土改良工事
東日本高速道路㈱ 道央自動車道 旭川管内橋梁補修工事
東日本高速道路㈱ 北陸自動車道 R2新潟管内橋梁補修工事
㈱フジタ 首都圏中央連絡自動車道弓田工事
西松建設㈱ 北海道新幹線、磐石トンネル(北)他
㈱大林組 東海第二発電所 ES制御水源建屋他工事
西松建設㈱ 浜松市 新清掃工場新設工事
飛島建設㈱ 福山市蔵王ポンプ場建設工事その2
前田建設工業㈱ 神戸西バイパス櫨谷地区改良工事
東日本高速道路㈱ 上信越自動車道 佐久管内土砂流出防止柵設置工事
宇都宮土建工業㈱ 準用河川大久保谷地川バイパス築造工事(下流部推進)
第78期 請負金額5億円以上の主なもの
(注文者) (工事名)
大成建設㈱ 南摩ダム本体建設工事
西松建設㈱ R2国道357号多摩川トンネル羽田立坑工事
㈱河野建設 福知山高速道路事務所管内(特定更新等)盛土補強工事
前田建設工業㈱ 石巻市石巻中央幹線管渠復興建設工事その5
㈱安藤・間 東海第二防潮堤(海水ポンプ室エリア区間)設置
奥村組土木興業㈱ 福知山高速道路事務所管内(特定更新等)のり面補強工事
㈱大林組 島根原子力発電所2号機 FS南西ヤード掘削箇所背面地盤改良工事
㈱熊谷組 (仮称)川又発電所導水路修繕工事
㈱安藤・間 黒川第一発電所復旧工事のうち土木本工事他〔第3工区〕
㈱安藤・間 稲城大丸法面工事
大豊建設㈱ 大滝江筋取水口斜面落石対策工事
西松建設㈱ 鳥海ダム右岸上部掘削整備工事
3 前事業年度及び当事業年度ともに完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先はありません。
④ 手持工事高(2025年3月31日現在)
|
区分 |
官公庁(百万円) |
民間(百万円) |
計(百万円) |
|
土木工事 |
46,433 |
7,792 |
54,226 |
(注)1 当社が総合建設業者を通じて受注した官公庁発注工事は官公庁欄に計上しております。
2 手持工事のうち、請負金額5億円以上の主なもの
|
(注文者) |
(工事名) |
(完成予定) |
|
ケミカルグラウト㈱ |
成瀬ダム堤体打設工事 |
2026年12月 |
|
㈱大林組 |
新丸山ダム本体建設第1期工事 |
2025年6月 |
|
清水建設㈱ |
利賀ダム本体建設(第1期)工事(政府調達協定対象) |
2026年12月 |
|
奥村組土木興業㈱ |
徳島自動車道 脇工事 |
2026年3月 |
|
㈱熊谷組 |
東大島幹線工事 |
2025年7月 |
|
㈱宮地組 |
6災 主要地方道 七尾輪島線 道路災害復旧工事(法面工) |
2025年12月 |
|
飛島建設㈱ |
北海道新幹線、新八雲(仮称)駅高架橋 |
2025年5月 |
|
西日本高速道路㈱ |
令和6年度 沖縄自動車道(特定更新等)那覇IC~沖縄南IC間のり面補強工事 |
2027年6月 |
|
㈱大林組 |
市道高速1号他新洲崎工区改築事業(工事) |
2026年7月 |
|
㈱鴻池組 |
瑞穂環境保全センター第三期保全計画埋立地工事 |
2025年12月 |
|
富崎建設㈱ |
和歌山高速道路事務所管内(特定更新等)盛土補強工事(令和4年度) |
2026年10月 |
|
大成建設㈱ |
堰堤改良の内 豊平峡ダム耐震補強工事 |
2025年10月 |
|
㈱安藤・間 |
冷水地区北西部斜面対策工事 |
2025年6月 |
|
奥村組土木興業㈱ |
中国自動車道(特定更新等)高尾トンネル他7トンネル覆工補強工事 |
2026年8月 |
|
㈱奥村組 |
中央新幹線神奈川県駅(仮称)新設 |
2025年9月 |
|
㈱熊谷組 |
北海道新幹線、岩尾別高架橋 |
2026年1月 |
|
奥村組土木興業㈱ |
高知自動車道 井床橋他4橋耐震補強工事 |
2027年3月 |
|
西松建設㈱ |
令和5年度電建工第2-2号RN水圧鉄管路他更新工事 |
2028年3月 |
|
鹿島建設㈱ |
常磐道 日立地区災害復旧工事 |
2025年8月 |
|
清水建設㈱ |
足羽川ダム本体建設工事 |
2026年12月 |
|
㈱大林組 |
横浜環状南線公田インターチェンジ工事 |
2026年12月 |
|
㈱安藤・間 |
新佐久間FC新設工事 敷地造成工事 |
2026年12月 |
|
大成建設㈱ |
北海道新幹線、札樽トンネル(桑園)他 |
2026年3月 |
|
清水建設㈱ |
中央新幹線第一木曽川橋橋りょう他新設 |
2026年10月 |
|
前田建設工業㈱ |
内ケ谷ダム本体建設工事 |
2026年3月 |
|
㈱熊谷組 |
九州新幹線(西九州)、17k5・44k2間線路諸設 |
2025年11月 |
|
㈱奥村組 |
関越自動車道六日町地区函渠工工事 |
2026年7月 |
|
東日本高速道路㈱ |
北陸自動車道 R5新潟管内橋梁補修工事 |
2026年11月 |
|
前田建設工業㈱ |
旧泉佐野コスモポリス用地 |
2028年12月 |
|
大成建設㈱ |
本明川ダム建設工事 |
2030年12月 |
|
奥村組土木興業㈱ |
和歌山高速道路事務所管内(特定更新等)盛土補強工事(令和4年度) |
2026年9月 |
|
西日本高速道路㈱ |
令和5年度 京都高速道路事務所管内 はく落防止対策工事 |
2026年12月 |
|
㈱関電工 |
(仮)日本橋N1中C街区計画 |
2025年12月 |
|
大成建設㈱ |
北海道新幹線、琴平高架橋 |
2026年7月 |
|
前田建設工業㈱ |
R6 249号珠洲地区道路復旧その2工事(政府調達協定対象) |
2026年8月 |
|
三井住友建設㈱ |
北海道新幹線、祭礼トンネル他 |
2025年4月 |
|
前田建設工業㈱ |
足羽発電所 導水路他改良及び関連除去・修繕工事 |
2026年3月 |
|
臼杵市 |
令和6年度公共下水道丸尾川排水区雨水渠整備工事 |
2026年6月 |
|
大成建設㈱ |
重要文化財 大谷派本願寺函館別院本堂ほか4棟保存修理工事 |
2025年11月 |
|
奥村組土木興業㈱ |
京都縦貫自動車道(特定更新等)のり面補強工事 |
2026年12月 |
|
㈱安藤・間 |
冷水地区北西部斜面対策他工事 |
2026年10月 |
|
㈱熊谷組 |
北海道新幹線、羊蹄トンネル(有島)他 |
2025年4月 |
|
㈱熊谷組 |
国庫補助事業 創成川処理区Ⅳ-01000(北45条東1丁目ほか)下水道新設工事 |
2027年2月 |
|
大成建設㈱ |
なにわ筋線梅田地区T新設工事 |
2026年3月 |
|
㈱不動テトラ |
新東名高速道路滝沢川橋他1橋(下部工) |
2025年12月 |
|
㈱安藤・間 |
駒込ダム本体建設工事 |
2026年3月 |
|
㈱熊谷組 |
矢作川総合第二期農地防災事業 北部併設水路(下流)一期建設工事 |
2025年12月 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績の分析
当連結会計年度の経営成績の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりであります。
③経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
④資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資金需要の主なものは、工事施工に伴う材料費、外注費等の支払であり、その資金は営業活動からのキャッシュ・フローにより調達しております。施工が集中することにより、一時的に営業キャッシュ・フローを上回る資金需要があった場合に備え、金融機関と借入枠5,000百万円のコミットメントライン契約を結んでおります。なお、2025年3月31日現在における貸出コミットメント契約に係る借入未実行残高は5,000百万円、現金預金勘定残高は18,151百万円であり、通常の事業活動を継続するための資金調達は十分であると考えております。
⑤経営者の問題認識と今後の方針について
経営者の問題認識と今後の方針については、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
当社は、急速に変化し、多様化する社会的課題や顧客のニーズに対応するため、基礎的研究から革新的な新工法の開発、既存技術の改良改善に至るまで、幅広い分野・段階の研究開発に取り組んでいます。また、政府系研究機関、大学、民間研究機関との技術交流や共同開発を積極的に進め、オープンイノベーションを推進しています。さらに、環境問題の対策やデジタル技術の活用にも力を入れており、持続可能な社会の実現を目指します。
当連結会計年度における研究開発費は
(1)生産性向上に向けた取り組み
①のり面吹付工の省力化技術「スロープセイバー」
バックホウと吹付アタッチメントを使用してモルタルを吹付けるロボット施工技術です。人手が省ける上に、作業能率が向上し、工期が大幅に短縮できます。
②吹付プラントの自動化・省力化技術「ショットセイバー」
吹付材料の製造工程を自動化しました。作業者の労力が軽減するとともに、熟練した技術が不要になりました。
③削孔機マシンガイダンスシステム「SGZAs(スグザス)」「ドリルコンパス」
測量を不要とする高い精度で、削孔機を決められた方向・位置へ誘導するシステムです。GNSSと傾斜センサを利用するスキッドタイプ用の「SGZAs」と、高精度ジャイロセンサを利用するクローラタイプ用の「ドリルコンパス」の二種類があり、後者はトンネルや立坑など、電波が届かない場所でも使用できます。
④AIを用いたのり面ひび割れ調査
ドローン等で撮影したモルタル吹付のり面の画像をもとに、AIが表面のひび割れを自動で検出します。点検作業が効率化できるとともに、計測精度が向上します。
(2)脱炭素社会の実現に向けた取り組み
①狭隘な場所で使用可能な小口径杭掘削機「SC-TEPドリル」
狭く険しい山岳部での作業向けに開発した小口径杭掘削機です。主に送電線の鉄塔基礎に使用されます。再生可能エネルギーの送電網を再整備する事業での需要増が期待されています。
②セメントを使用しないのり面保護工「ジオファイバー工法」
セメントを使用せずに砂と連続繊維を用いたのり面保護工です。環境への配慮が求められる斜面の防災工事や文化財・史跡斜面の復旧に採用されています。
③老朽化したのり面の補修・補強工法「ニューレスプ工法」
既設吹付モルタルをはつり取らずに補修する工法です。産業廃棄物となるがれき類が減ることで、それらの落下を防ぐ安全設備の規模が小さくなり、工期も短縮します。また、環境負荷の低減に配慮して、再生原料を30%利用した有機繊維を使用しています。
(3)社会インフラ整備・長寿命化に向けた取り組み
①高圧噴射併用機械撹拌工法「N.ロールコラム工法」
改良体の中心部を機械撹拌で造成し、攪拌翼が近寄れない既設構造物・土留め壁付近の外縁部を高圧噴射で固める工法です。効率的な地盤改良が実現できます。
②グラウト管理システム「I・S・Dグラウチング」
ダム現場に設置した注入機器を、街中のオペレーションセンターから遠隔操作し、グラウチング作業を行うシステムです。全国に展開する複数のダムの注入機器を一箇所で制御することができます。