(注) 「第2 事業の状況」における各事項の記載については、消費税抜きの金額で表示している。
本項においては、将来に関する事項が含まれているが、当該事項は2021年3月末現在において判断したものである。
当社グループは、「快適な環境づくりを通して社会に貢献します。」「技術力で未来に挑戦し、新しい価値を創造します。」「人をいかし、人を育てる人間尊重の企業をめざします。」を企業理念の柱に掲げ、電気、空気調和、冷暖房、給排水、情報通信などの設計・施工を営む総合設備業として、社会的使命を果たすと同時に、お客さまや地域社会とともに発展し続ける企業であることを経営の基本としている。
また、これらの事業に関連する環境、エネルギー効率化、リニューアルなどの分野についても、一層の技術開発の促進と品質の向上に努め、お客さまの信頼と期待に応えると同時に、新規分野・新規市場への積極的な事業展開を図ることで、社会構造の変化に適宜適切に対応しながら、企業価値の向上を目指している。
当社グループでは、企業理念を柱として、2044年に迎える創立100周年までの環境変化・メガトレンドを視野に入れた目指す将来像をイメージし、この実現に向けた中期的なマイルストーンとして2024年度までの中期経営計画を策定している。これにより、ステークホルダーの皆さまに対し、中・長期かつ継続的な成長をコミットしたいと考える。2044年にかけて想定される様々な社会の構造改革・メガトレンドの中で、特に当社グループが重要と考え注視しているものは「分散型エネルギー社会の到来」「環境意識の高まり」「人口構造の変化と働き方改革の多様化」及び「デジタル技術の進歩」である。

これらを踏まえ、当社グループは、事業拡大を進める上での目指す方向性を、「地域公共インフラの維持」「脱炭素社会の実現」「社会課題の解決」と定め、人々の生活に欠かすことのできないライフライン設備を守る総合設備業として、これまで培ってきた技術力を一層深化させ、社会から信頼され選ばれ続ける企業グループを目指していく。また、ビジネス活動を通じたSDGsの目標達成に貢献する。
目指す将来像の実現に向け、「多様な人材に溢れる魅力ある企業の創出」「お客様の期待に応える幅広い技術領域の拡充」「デジタル技術による業務の高度化」「アライアンスによるイノベーションの創出」を基本姿勢に、ヒト・モノ・カネを積極的に投資していく。
人々の生活に欠かすことのできないライフライン設備を守る「総合設備業」として、これまで培ってきた技術力を一層深化させ、地域公共インフラの発展と脱炭素社会の実現に貢献すると共に、将来に向けた農業再生や人口減少・高齢化などの社会課題を解決することで、社会から信頼され選ばれ続ける企業グループを目指す。

新型コロナウイルス感染症については、2021年度の下半期以降、徐々に収束に向かうものと期待しているが、中期経営計画においては、最終年度の目標数値を含めその影響を反映していない。目標達成に向けて注力していくが、今後必要に応じ計画の見直しを行う可能性がある。
本中期経営計画では、「持続的な成長を実現するための経営基盤の確立~3つの改革の実現~」をメインテーマに掲げ、前中期経営計画で得られた成果と反省を踏まえ、当社グループが新たな成長を遂げるためには、これを支える基盤づくりが最重要であるとの認識に立ち、現状の施工力に見合った電気・空調衛生工事の受注量を確保・維持しながら、たとえ景気後退局面に陥ったとしても熾烈な競争を勝ち抜くことができる「強靭で筋肉質な企業体質」づくりに全力を傾注する。
具体的には、コア事業を支える技術者の確保に加え、施工管理方法の見直しや技術者の適正配置による「施工戦力改革」、競争力の源泉となる品質・コスト力向上をはじめ、働き方改革も見据えた「生産性改革」、クリーンで透明性の高い企業風土をつくり上げるための「ガバナンス改革」の「3つの改革」を実現し、本中期経営計画最終年度、その後の創立100周年(2044年度)での飛躍的な成長・発展を目指す。
今後予定される大規模風力及びバイオマス発電事業、更には需要拡大が期待されるES事業をはじめとする太陽光関連工事に代わる新たな事業領域の開拓、有効な投資や要員拡充により業容のさらなる拡大へ挑戦し、本中期経営計画の最終年度となる2024年度に「売上高5,000億円」を達成する。
また、本中期経営計画に掲げる取り組みを着実に進め、事業活動を通じて、当社グループが行っている事業と親和性の高いSDGs(持続可能な開発目標)の実現に貢献していく。
当社の具体的取り組みとSDGsの関連性

今回の中期経営計画における重点課題(3つの改革と継続取り組み項目)
〔3つの改革〕
1)施工戦力「改革」
・長期要員計画に基づく技術者採用の強化
・技術教育の見直しによる若年技術者の離職率抑制
・全技術者のタイムリーな最適配置の実現に向けた体制確立
・技術管理部の体制強化及び活用による施工管理のあり方見直し
・多能工化の推進
2)生産性「改革」
・全社及び部門単位での教育体系の見直し
・全社最適な人事ローテーションの実現
・先端技術及びITを活用した合理化・省力化の推進
・業務改革の実践
3)ガバナンス「改革」
・不正行為撲滅に向けた再発防止策の確実な実行
・九電工 コーポレートガバナンス ガイドラインに基づくガバナンス体制の強化・徹底
〔前中期経営計画からの継続取り組み課題〕
1)利益率向上施策の深化 4)新たな事業領域の開拓
2)国内設備工事業の受注基盤強化・拡充 5)魅力ある職場環境の構築
3)配電工事部門の収益力強化 6)企業価値の向上

当社グループの新型コロナウイルス感染症の影響に関する今後の見通しについては、2021年度においても、まん延防止をはじめとしたさまざまな防疫措置が実施され、経済活動の抑制が続くと考えている。今後、国民の集団免疫の獲得を目指したワクチン接種が徐々に普及し、下半期以降、収束の方向に向かうものと期待しているが、2021年度においても受注活動や価格競争あるいは施工遅延など一定の影響が想定され、このような仮定をもとに事業運営を行っている。
先行きに対する不透明感が依然強いなか、建設業界においては、お客様の設備投資計画の更なる先送りも想定され、需要の減少を受けた価格競争の激化が懸念される。一方で、脱炭素社会に向けた環境への投資意欲は高まりつつあり、再生可能エネルギーに関連する投資は増加するものと予想される。
このような環境認識と大きく落ち込んだ2020年度の受注実績を踏まえ、当社グループでは、中期経営計画2年目となる2021年度のテーマを「環境変化への適応とリカバリーの実現」と定め、次の重点課題に取り組んでいく。
「国内設備工事業の受注基盤強化・拡充」については、福岡における天神ビッグバンや首都圏などの再開発に伴う大型案件、あるいは2020年度から発注が延期された案件の受注に向け、営業・技術部門が一体となった営業活動を展開する。また、減少傾向にある中小型案件の受注については、地域密着営業に取り組む意識・手法の再構築を行い、その拡大を図る。
「利益率向上施策の深化」については、これまで実施してきた利益率改善対策を再徹底するとともに、本社の技術管理部が、デジタル技術を活用し各現場を全社最適の観点から集中管理し、施工情報やコスト情報を共有することで、本社と現場が一体となった施工管理と利益アップを目指す。
「施工戦力改革」における「人財育成の強化」については、OJTに関する規定を整備し、エルダーと若年者双方への支援やOJTの進捗を管理するOJT推進者を設置するなど、エルダー制度の充実を図る。また、デジタル教育支援ツールを活用することで、各技術者が保有するスキルの一元管理に取り組み、属人化を防ぎつつ技術レベルの底上げ・標準化を進める。
「生産性改革」に向けた「DXの推進」については、業務の合理化・省力化を実現する具体的なプロジェクトを複数立ち上げ、タスクフォースチームを組成し取り組んでおり、この完遂を目指す。
「ガバナンス改革」については、予防法務・コンプライアンスを所管する法務部門と業務の適正・リスク管理を所管する内部統制部門を統合した「経営管理部」を設置し、各々の業務を一体的に遂行することでチェック機能の強化やガバナンスの高度化を図る。

当社グループの経営上の目標を判断するための客観的な指標(KPI)は、売上高、経常利益、経常利益率、投下資本利益率(ROIC)であり、2024年度の目標値は、売上高5,000億円、経常利益500億円、経常利益率10.0%以上、ROIC10.0%以上である。当該KPIの各数値については有価証券報告書提出日現在において予測できる事情等を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではない。


当社グループの経営成績、財政状況に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、主として以下のようなものがある。
文中における将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものである。
当社グループにおいては、これらのリスクの発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の適切かつ迅速な対応に努める。
以下の事項は当社グループが事業を継続するうえで、予想される主なリスクを具体的に例示したものであり、これらに限定されるものではない。
(1)経済状況等
当社グループの設備工事業は、九州電力送配電株式会社を始めとする国内民間企業及び官公庁などの設備投資の動向に左右されることから、これらの設備投資抑制などは、業績等に影響を及ぼす可能性がある。
配電工事については、九州電力送配電株式会社との連絡を密にし、より効率的かつ安定的に配電網を維持する仕組みと契約の在り方に向け改善を続けている。一般工事については、地域密着営業による小型元請工事の拡大や元施工案件の保守メンテナンス・リニューアルの獲得など、比較的景気の影響を受けにくい案件の増加に取り組んでいる。加えて、得意先の拡大、工事種別の多様化も進めている。
(2)工事材料費及び労務費の変動
工事材料費及び労務費が著しく上昇し、これらを請負金額に反映できない場合には、業績等に影響を及ぼす可能性がある。
長期にわたる大型工事については、フロントローディングを徹底し、早期に資材発注や施工業者を選定し取り決めを行い、リスクを回避する。工事材料費については、グループ内の資材購買専門会社㈱Q-mastにより、資材調達における規模のメリットを追求するとともに、代替資材の提案など資材調達に係る専門知識をグループ内に蓄積していく。労務費については、グループ内の技能工数を増加させるとともに多能工化を進め、外部要因によるリスクを低減する。
(3)貸倒れリスク
当社グループは、取引先別の財務状態に応じた与信設定を行い、信用状態を継続的に把握するなど、不良債権の発生防止に努めているが、取引先の経営・財務状況が悪化した場合、業績等に影響を及ぼす可能性がある。
当社では、毎月の支店長会議において、長期未収入金の確認を行い営業債権の不良化を監視している。日頃よりこまめな出来高請求を行うことでリスクの低減に努めるとともに、全社で集金に取り組む集金強調期間を年2回設けるなど、集金管理意識の向上を図っている。
(4)保有資産に関するリスク
当社グループは、営業活動に関連して不動産や有価証券等の資産を保有しているが、これら保有資産の時価が著しく低下した場合や、事業用不動産の収益性が著しく低下した場合には、業績等に影響を及ぼす可能性がある。
配電工事を除く設備工事業に関しては、本来多額の設備投資を必要としない。新規事業エリアへ進出する際は、基本的に賃貸を選択している。配電工事については、九州一円に不動産を保有し緊急工事などへ対応しているが、新規の設備投資については過年度に概ね終了しており、現在は維持更新や事業所の移転に伴う投資にとどめている。
(5)設備工事業以外の事業にかかるリスク
当社グループは、中核である設備工事業以外に、不動産販売事業、再生可能エネルギー発電事業、人材派遣事業、ソフト開発事業、環境分析・測定事業、医療関連事業、ゴルフ場経営、ビジネスホテル経営、商業施設の企画・運営事業など、グループの経営資源やネットワークを有効に活用しながら事業領域の拡充を図っている。これらの事業は、他事業者との競合の進展など事業環境の変化により、業績等に影響を及ぼす可能性がある。
(6)再生可能エネルギー発電事業等にかかるリスク
再生可能エネルギー発電事業は、通常その事業期間が長期にわたることから、事業環境に著しい変化が生じた場合や、事業遂行上重大な災害・事故等が発生した場合には、収益性が低下する可能性がある。また、未だ運転を開始していない宇久島メガソーラーを含む複数のプロジェクトについては、予期しない障害の発生による事業計画の遅れに伴い、業績等に影響を及ぼす可能性がある。
なお、当該事業は、十分な事前調査及び検討を行ったうえでプロジェクトを採択しており、主な発電所については保険契約を締結するなど、想定されるリスクについても回避又は極小化のための対応を行っている。
(7)海外事業に伴うリスク
海外での事業活動では、当該国の政治・経済情勢の変化や法令・規則等に変更があった場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性がある。
情報収集と危機管理の早期化のため、シンガポールに統括会社を設立し、日本人スタッフによるリスク管理に努めている。
(8)退職給付債務
当社グループ退職年金資産の運用結果が前提条件と異なる場合、その数理計算上の差異は、発生の翌事業年度以降一定の期間で費用処理することとしているため、年金資産の運用利回りの悪化や割引率の低下は、業績等に影響を及ぼす可能性がある。
年金管理委員会では、毎年運用商品の評価を行うとともに、期待リターンとリスクを加味した投資効率の極大化を図っている。外部コンサルタントを活用し、掛金と給付までのデュレーションを反映した中期的なポートフォリオ構築に努めている。
(9)自然災害の発生・疫病のまん延
大規模な自然災害の発生あるいは疫病のまん延などに伴い、サプライチェーンの寸断や行政機関からの事業停止要請などによる工事の中断や大幅な遅延又は当社グループの設備の損傷や就業者の減少といった事態が生じた場合には、業績等に影響を及ぼす可能性がある。
(10)規制当局による措置や法的手続に係るリスク
当社グループは、建設業法をはじめとした各種法令の規制を受けており、これらの法令に抵触する行為があった場合において、行政処分等がなされたときは、業績等に影響を及ぼす可能性がある。
当社グループは、中期経営計画の重点課題の一つとして、クリーンで透明性の高い企業風土をつくり上げるための「ガバナンス改革」を掲げ、リスクの完全な払拭に努めている。
(1) 経営成績
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりである。
当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症のまん延という未曽有の事態に直面し、経営環境に大きな変化が生じた一年であった。
当社グループにおいても、受注・施工の両面において影響を受けた。受注面では、春先の緊急事態宣言の発出を受けお客様への訪問が憚られる状況となり、第1四半期において中小型案件が減少した。また、旅客・宿泊などのサービス業や製造業のお客様を中心に、設備投資の先送りや見直しが発生し、大型案件の発注も減少した。これら需要の減少を受け、価格競争が激しさを増している。施工面においては、感染症の拡大防止を念頭に置いた、新たな働き方・施工管理が求められた。特に一部の大型再生可能エネルギー工事では、着工や進捗が遅れ、売上高が伸び悩んだ。設備工事業以外の事業では、グループ子会社が運営するホテルや商業施設において、大きな需要の減退を受けた。
このような経営環境のもと当社グループは、中期経営計画(2020年度~2024年度:5カ年計画)の初年度である2020年度のテーマを「検証と反省、そして再構築」と定め、計画に掲げる「施工戦力改革」、「生産性改革」、「ガバナンス改革」の3つの改革すべてに共通する「人財育成強化」、また前中期経営計画からの課題として残る「利益率改善」と「受注拡大」、更には過去に発生した「重大不祥事への対策の徹底」などについて、まずは過去の取り組みを徹底的に検証・反省し、新たな計画の完遂に向けた取り組みの土台づくり(戦略・具体策の再構築)に全力を傾注した。
このような事業運営の結果、当連結会計年度の業績は、以下のとおりとなった。
〔連結業績〕
工事受注高は、前連結会計年度に計上した超大型再生可能エネルギー工事案件の反動減に加え、複数の案件の発注先送りに伴い、前連結会計年度と比べ181,866百万円減少(35.9%減)し、325,158百万円となった。
売上高は、前連結会計年度は、竣工を控えた大型案件の進捗が高水準であったため、その反動減が生じたことや、当連結会計年度において、一部の大型再生可能エネルギー工事案件の着工や進捗が遅れたことなどにより、前連結会計年度と比べ30,175百万円減少(7.4%減)し、377,331百万円となった。
また、セグメント利益(営業利益)については、売上高の減少に伴い、前連結会計年度と比べ3,284百万円減少(9.7%減)し、30,485百万円となった。
売上高は、工事に関連する材料及び機器の販売事業や施設運営事業が減少したことなどから、前連結会計年度と比べ6,861百万円減少(32.0%減)し、14,570百万円となった。
また、セグメント利益(営業利益)については、発電事業の減価償却費の減少に伴い、前連結会計年度と比べ293百万円増加(14.1%増)し、2,371百万円となった。
流動資産は、売掛債権の減少などにより、前連結会計年度末と比べ3,695百万円減少し、212,574百万円となった。
固定資産は、投資有価証券の増加などにより、前連結会計年度末と比べ1,745百万円増加し、153,957百万円となった。
これらの結果、資産合計は前連結会計年度末と比べ1,950百万円減少し、366,532百万円となった。
流動負債は、支払債務の減少などにより、前連結会計年度末と比べ17,361百万円減少し、125,361百万円となった。
固定負債は、退職給付に係る負債の減少などにより、前連結会計年度末と比べ8,887百万円減少し、19,429百万円となった。
これらの結果、負債合計は、前連結会計年度末と比べ26,249百万円減少し、144,790百万円となった。
純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより、前連結会計年度末と比べ24,298百万円増加し、221,741百万円となった。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ、5,164百万円減少し、49,800百万円となった。
営業活動の結果増加した資金は、9,184百万円(前連結会計年度比29,038百万円の収入額の減少)となった。これは、主にたな卸資産の増加や仕入債務の決済に比べ、税金等調整前当期純利益の計上及び売上債権の回収が上回ったことによるものである。
投資活動の結果支出した資金は、4,232百万円(前連結会計年度比7,903百万円の支出額の減少)となった。これは、主に投資有価証券の取得及び有形固定資産の取得によるものである。
財務活動の結果支出した資金は、10,064百万円(前連結会計年度比1,185百万円の支出額の減少)となった。これは、主に配当金の支払によるものである。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
当連結会計年度における「3つの改革」と「前中期経営計画からの継続取り組み課題」に対する具体的実施事項と評価は次のとおりである。
まず、「施工戦力改革」だが、要である人財の確保については概ね順調に推移している。若年者を中心とした人財の育成については、指導者であるエルダーに対する教育を含めた職場全体でのOJTを強化してきたが、今後、デジタル教育支援ツールを導入するなど、さらなる教育体制の構築を進める必要がある。
「生産性改革」では、10月に新設したDX推進部を中心に、業務の合理化・省力化を進める上での課題を複数抽出し、その解決に向けタスクフォースチームを組成したうえで、それぞれ具体的なプロジェクトを立ち上げ、課題解決の完遂に向け着実に取り組んでいる。
「ガバナンス改革」については、不正行為撲滅に向けた再発防止策を継続的に実施している。組織・体制強化を目指し、2021年4月に「経営管理部」を新設した。
「継続取り組み課題」である「利益率向上施策の深化」として、フロントローディングをはじめとした利益率改善対策の徹底に取り組んだ。これにより、利益率は改善途上にある。一方で、「国内設備工事業の受注基盤強化・拡充」に関しては、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、大きな課題を残した。特に、地域密着営業を中心とした中小型案件の受注が減少傾向であることは、当社グループの経営基盤を揺るがしかねない憂慮すべき事態であると認識しており、受注に取り組む意識や手法の再構築など徹底的な対策を実施している。

当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べ約30億円減少した。
この要因は、設備工事業の売上高の減少に伴う減益と売上高総利益率の改善にともなう増益に集約される。
設備工事業の売上高が減少した理由は、前連結会計年度の売上高が、竣工を控えた大型案件の進捗に伴い高水準であったためその反動減が生じたこと、次に、当連結会計年度において、新型コロナウイルス感染症の拡大予防を念頭に、一部の大型再生可能エネルギー工事の現場で入場を差し控えたため着工や進捗が遅延したこと、また、緊急事態宣言の発出に伴い中小型案件の営業活動が停滞したことなどが挙げられる。
売上高総利益率の改善については、前連結会計年度の工程逼迫により採算性が悪化した一部の大型案件の引渡しに伴う利益率の低下があったものの、それら案件の引き渡しを上半期に終えたため、継続的に取り組みを続けている利益改善対策も相まって、下半期以降、利益率が改善傾向にあることが主な理由である。

総売上実績に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上実績及びその割合は、次のとおりである。
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去している。
2 当社グループでは設備工事業以外は受注生産を行っていない。
3 当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載していない。
4 本表の金額には、消費税等は含まれていない。
なお、参考のため提出会社個別の事業の状況は次のとおりである。
設備工事業における受注工事高及び完成工事高の状況
〇 受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高
(注) 1 前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含む。
2 次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)である。
工事の受注方法は、特命と競争並びに九州電力送配電㈱との委託契約によるものに大別される。
(注) 百分比は請負金額比である。
(注) 1 九州電力グループとは、九州電力㈱及び九州電力送配電㈱のことである。
2 完成工事のうち主なものは、次のとおりである。
前事業年度 請負金額 10億円以上の主なもの
当事業年度 請負金額 10億円以上の主なもの
3 完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりである。
〇 次期繰越工事高(2021年3月31日現在)
次期繰越工事のうち請負金額 10億円以上の主なものは、次のとおりである。
営業活動によるキャッシュ・フローについて
当連結会計年度における営業キャッシュ・フローは、9,184百万円となり、前連結会計年度に比べ、29,038百万円の収入額の減少となった。売上高の増加および施工案件の大型化に伴い、運転資本は増加する傾向にあるが、日頃よりこまめな出来高請求を行うことでその削減に努め、毎月末長期未収金の確認を行うなど貸倒れリスクの低減に努めている。また、全社で集金に取り組む集金強調期間を年2回設けるなど、キャッシュ・フロー経営の浸透を図っている。
投資活動によるキャッシュ・フローについて
当社グループは、中期経営計画の経営指標としてROICを採用し、加重平均資本コストを意識した投資を行っている。当連結会計年度における設備投資等の概要については「第3 設備の状況 1 設備投資等の概要」に、設備の新設、除却等の計画については「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載している。なお、設備工事業に係る通常の維持更新投資については、年間50億円程度を想定している。
また、再生可能エネルギー発電事業を行うSPCへの出資を行っている。
財務活動によるキャッシュ・フローについて
設備工事業に関する運転資金は従来300億円程度を想定していたが、新型コロナウイルス感染症のまん延など不確実性の増大に備えるため、足元では厚めの手元流動性を確保している。加えて、再生可能エネルギーや脱炭素などESGへの取り組みをはじめとした投融資を主な使途とした社債発行登録を行っている。今後も、調達コストを勘案しながら、機動的に資金使途に応じた資金調達を遂行していく。
業容拡大やリスク対応に伴う棚卸資産や運転資金の回転率の低下に対しては、営業債権の回収率改善や事業外資産の見直しを行うことで対処し、営業活動および投資活動のキャッシュ・フローを通じたROICの改善を図っていく。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に準拠して作成している。この連結財務諸表作成に際し、当社グループ経営陣は、決算日における資産・負債の数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える様々な要因・仮定に対し、継続して可能な限り正確な見積りと適正な評価を行っている。
なお、見積り、判断及び評価は、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っているが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる可能性がある。
当社グループの会計方針については、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項 4 会計方針に関する事項」に記載している。個別の取引や経済事象に会計方針を適用するに当たり、現在及び将来の財政状態及び経営成績に大きな影響を与えると想定される事項は以下のとおりである。
宇久島メガソーラーの工事売上高及び利益については、最新かつ適切な工事原価総額の見積りと契約書に基づいた工事収益総額を根拠に工事進行基準を適用している。ただし、「2 事業等のリスク」に記載のとおり、コストの上昇や予期しない工事進捗の遅れにより工事原価総額の見積りが増加した場合において、不可抗力条項や保険の付保にもかかわらずその影響を工事収益総額に十分に反映できないときは、採算性が低下するリスクがある。
該当事項なし。
(設備工事業)
当社グループにおける研究開発活動は、主に「技術開発部技術開発課」を拠点とし、先進的な技術や工具等を全社に先駆けて導入・展開していく役割、現場での技術的問題を解決し社内に発信する役割を担っている。
なお、当連結会計年度における研究開発費は
配電技術分野では、九州電力送配電㈱の配電線設備における建設・保守作業を、より「安全」、「高品質」且つ「効率的」に行うための車両・機械・工具の開発、改良、並びに様々な工法の開発、改善を行っている。
なお、配電技術分野における研究開発費は32百万円である。
電気技術分野では、クラウドモバイルカメラやレーザ墨出器を試験導入し、ICT・IT術を用いた建築設備の施工効率化・省力化の取り組みを進めている。
また、現場調査業務の大幅な省力化を目的として、3Dレーザ計測データからの3D-CAD作成を試行し効率的なデータ処理手法の検証を行っている。
なお、電気技術分野における研究開発費は127百万円である。
空調管技術分野では、省エネ効果を見える化できる気流・温度シミュレーションや配管・設備用鉄骨架台などの強度を評価する構造解析シミュレーションを実施し、高度な空調品質の事前検討や最適な架台構造の検討に活用している。
また、3D-CADやBIM(ビルディング インフォメーション モデリング)により、視覚的に分かりやすい資料を活用することで、関係者間の合意形成をはかり、円滑な工事進捗と施工品質の向上を図る取り組みを進めている。
なお、空調管技術分野における研究開発費は95百万円である。
子会社における研究開発活動は特段行われていない。
(その他)
研究開発活動は特段行われていない。