本項においては、将来に関する事項が含まれているが、当該事項は2024年3月末現在において判断したものである。
当社グループは、「快適な環境づくりを通して社会に貢献します。」「技術力で未来に挑戦し、新しい価値を創造します。」「人をいかし、人を育てる人間尊重の企業をめざします。」を企業理念の柱に掲げ、電気、空気調和、冷暖房、給排水、情報通信などの設計・施工を営む総合設備業として、社会的使命を果たすと同時に、お客さまや地域社会とともに発展し続ける企業であることを経営の基本としている。
また、これらの事業に関連する環境、エネルギー効率化、リニューアルなどの分野についても、一層の技術開発の促進と品質の向上に努め、お客さまの信頼と期待に応えると同時に、新規分野・新規市場への積極的な事業展開を図ることで、社会構造の変化に適宜適切に対応しながら、企業価値の向上をめざしている。
当社グループでは、企業理念を柱として、将来のメガトレンドを視野に、創立100周年(2044年)にかけて想定される社会環境の中で、当社のビジネス機会や展開にも注視しながら長期ビジョンを策定し、持続可能な社会づくりに向けて私たちが果たす役割〈3つの貢献〉やビジョン実現に向けた基本姿勢を具体的に定めている。
この「長期ビジョン」を九電工“イズム”として浸透させ、継承しつつ、時代の進化や当社グループを取り巻く環境の変化に応じて、その内容をブラッシュアップさせていく予定である。


〔中期経営計画2020-2024〕
当社グループは、前中期経営計画の成果を検証、分析し、継続して取り組むべき課題を整理したうえで、企業理念に基づいた長期的な戦略の過程で2024年度までに達成すべき目標として本中期経営計画を策定している。
本中期経営計画では、「持続的な成長を実現するための経営基盤の確立~3つの改革の実現~」をメインテーマに掲げ、前中期経営計画で得られた成果と反省を踏まえ、当社グループが新たな成長を遂げるためには、これを支える基盤づくりが最重要であるとの認識に立ち、現状の施工力に見合った電気・空調衛生工事の受注量を確保・維持しながら、たとえ景気後退局面に陥ったとしても熾烈な競争を勝ち抜くことができる「強靭で筋肉質な企業体質」づくりに全力を傾注する。
具体的には、コア事業を支える技術者の確保に加え、施工管理方法の見直しや技術者の適正配置による「施工戦力改革」、競争力の源泉となる品質・コスト力向上をはじめ、働き方改革も見据えた「生産性改革」、クリーンで透明性の高い企業風土をつくり上げるための「ガバナンス改革」の「3つの改革」を実現し、本中期経営計画最終年度、その後の創立100周年(2044年度)での飛躍的な成長・発展を目指す。

さらに、当社グループは、本中期経営計画に掲げた「3つの改革」と前中期経営計画の総括に伴い定めた「継続取り組み課題」に加え、事業環境の変化に対応すべく「新たな取り組み課題」を定めている。2021年度には「環境経営の推進」を定め、環境経営に関する中長期目標を、2022年度にはサステナビリティに関する基本方針などを設定・策定し、2023年度からは、サステナビリティ経営のさらなる加速や増加する大型手持ち案件への対応を実現するため、「人的資本経営の推進」と「大型プロジェクトにおける進捗管理の徹底」を新たに課題として加えた。また、2024年度からは、「人的資本経営の推進」を「環境経営の推進」と統合したうえで、「サステナビリティ経営の推進」と呼称を変更し持続的な成長に向け取り組んでいる。

(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
今後の建設業界においては、都市再開発や企業の設備投資を背景とした堅調な需要の継続が想定される一方で、時間外労働上限規制の遵守に伴う施工力不足や物価の上昇、とりわけ人件費の高騰が続くものと懸念されている。
当社グループにおいても、過去最大規模の仕掛工事量を抱える中、施工要員の確保と長時間労働を生じさせない最適な要員体制の確立が重要であり、これらを直面する最大の課題と認識している。
中期経営計画も最終年度となり、3つの改革や継続取り組み課題を完遂すべく、取り組みを進捗させるとともに、人的資本経営を含むサステナビリティ経営についても経営戦略として浸透させ、かつてないスピードで変化する環境に適応していく必要がある。
このような環境認識を踏まえ、最終年度である2024年度の経営基本方針のテーマについては、2023年度の「新しい時代に向けた生産性の向上」を引き継ぎ、その最重要取り組みを「働き方改革の加速」から「働きがいのある働き方改革へ」と改称したうえで、中期経営計画の重点課題の解決に向け、着実に取り組みを実現し、当社グループの成長へと繋げていく。

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループの経営上の目標を判断するための客観的な指標(KPI)は、売上高、経常利益、経常利益率、投下資本利益率(ROIC)であり、中期経営計画策定当初、最終年度である2024年度の目標値を、売上高5,000億円、経常利益500億円、経常利益率10.0%以上、ROIC10.0%以上としていた。中期経営計画期間中、新型コロナウイルス感染症の蔓延や人手不足の深刻化、急速な円安の進展や資材価格の上昇など、経営環境の大きな変化を受けつつもこれらに対処すべく都度新たな取り組み項目を設定し、KPIの達成に向け総力を挙げて取り組んできた。しかしながら、許認可等の取得遅延に伴う大型風力発電プロジェクトの先送り、宇久島太陽光工事の本格着工の順延や、人件費をはじめとした想定以上のコスト上昇を受け、2024年4月26日に発表した中期経営計画最終年度である次期の業績の見通しについては、売上高5,000億円、経常利益430億円としている。数値目標に対し、業容の拡大については十分に成果が現れたが、収益及び収益率については、増加傾向にはあるものの、足元の物価高等を踏まえ、引き続きグループを挙げてその改善に注力していく。
なお、当該数値は、有価証券報告書提出日現在において予測できる事情等を基礎とした次期業績の見通しであり、その達成を保証するものではない。


文中の将来に関する事項は、当社グループが有価証券報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性がある。
当社グループは、企業理念と長期ビジョンに基づき、地球環境や社会、経済などに配慮しながら長期的な視点で企業価値の向上により一層注力していくため、サステナビリティ基本方針及び重要課題(マテリアリティ)を制定した。
今後、当社グループは、サステナビリティ基本方針のもと、重要課題(マテリアリティ)について計画的かつ積極的な取り組みを推進し、持続可能な社会づくりに貢献していく。




気候変動を含むサステナビリティに関するリスクの識別と評価、並びにリスクへの対応策の検討は、サステナビリティ経営推進室が中心となり、組織横断的な議論を経て、サステナビリティ推進委員会で審議している。
サステナビリティ推進委員会で審議した内容は、必要に応じて経営会議、取締役会への付議・報告を行っている。
(3)人的資本・多様性に関する戦略
当社は、「人をいかし、人を育てる人間尊重の企業をめざします。」という企業理念に基づき、もっとも重要な経営資源である「人財」の育成に関する方針を明確にし、全従業員への浸透を図るため、「人財育成憲章」を制定している。人は「財(たから)」であるとの信念に基づき、会社の発展と従業員一人ひとりの働きがいや自己実現のための能力向上を図り、教育の成果を発揮する場を提供することで、従業員のさらなる成長と会社の発展を目指す。
中期経営計画における経営戦略の過程において、施工戦力改革や生産性改革の実現のためには、人財戦略を経営計画と連動させ、スピード感をもって取り組む必要があると考えており、そのための具体的な施策を実施している。
また、当社は「社員の健康」を重要な経営資源の一つと捉え、社員の「健康第一」という意識の向上と自発的な健康増進活動を支援するため、「九電工 健康経営宣言」を策定し、組織一丸となって「安心して働ける環境」「明るく快適な職場づくり」の実現と、家族を含めた健康の維持向上に取り組んでいる。
加えて、職務に対して熱意ある従業員を増やし、そのような従業員が思う存分に挑戦し“力”を発揮できる職場を作ることによって、収益性や生産性の向上と離職の抑制に繋げるために、エンゲージメントの向上に取り組んでおり、エンゲージメントサーベイを実施している。
また、経営環境が大きく変化する中で、当社グループが新たな価値を生み出し、競争力を高め、持続的な成長を続けるためには、異なる考え方や多様な視点を加えることが必要であり、ダイバーシティの推進が不可欠であるとの考えにより、2021年7月に「ダイバーシティ推進準備室(現ダイバーシティ推進室)」を設置し、取り組みを行っている。企業理念・行動憲章を基本とした「目指す姿」を定めたうえで、ダイバーシティを推進し、SDGsの達成に貢献していく。


(4)人的資本・多様性に関する指標と目標

(注) 連結会社ベースでの統一した開示が困難である場合、当社グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載している。
(5)環境経営の推進(TCFD提言に基づく取り組み)
当社は、企業理念や長期ビジョンのもと、省エネルギーやクリーンエネルギーに関連する施設や災害に強いインフラ設備の施工など、総合設備工事会社としての技術力を生かして、サステナビリティをめぐる様々な社会課題の解決に取り組んでいる。
また、当社は、気候変動を含む環境問題への対応を、重要課題(マテリアリティ)の一つとして認識し、2021年12月に環境経営に関する中長期目標を設定するとともに、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に賛同している。
気候変動を含む環境問題への対応に関する「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」については、
当社グループは、経営環境の激しい変化に伴うリスクの多様化・複雑化に対応するため、想定できるリスクを事前に把握・管理し、対策を講じ、リスク発生の未然防止と顕在化した場合の損失の最小化を図る目的から、全社的リスク管理の整備を行っている。そのリスクマネジメントプロセスに則り、経営成績、財政状況に影響を及ぼす可能性のあるリスクとして会議体で議論された主なリスクとして以下のようなものがある。
なお、文中における将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものである。
当社グループにおいては、これらのリスクの発生確率とその業績に与える影響度を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の適切かつ迅速な対応に努める所存である。
以下の事項は当社グループが事業を継続するうえで、予想される主なリスクを具体的に例示したものであり、これらに限定されるものではない。









(1) 経営成績
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりである。
当連結会計年度の建設業界は、民間の都市再開発や半導体工場建設など、旺盛な大型設備投資に支えられた堅調な需要が継続する一方で、物価の上昇、とりわけ人件費の高騰に加え、2024年度からの時間外労働上限規制に向けた労働環境整備など、施工戦力の不足が懸念される中で推移した。
当社グループにおいても、過去最大の仕掛工事量を抱えるなかで、施工面では、最適な要員体制の確立や、時間外労働の削減を進めつつ、受注面では、必要な施工戦力の確保に加え、顕在化するコスト上昇の工事価格への適正な転嫁など、難しい対応が求められた。
このような環境認識を踏まえ当社グループは、これまでの手法や考え方、仕組みなどを抜本的に見直し、グループを挙げて働き方改革を実現し、生産性を向上させることが必須であると判断し、中期経営計画4年目となる2023年度の経営基本方針のテーマを「新しい時代に向けた生産性の向上」としたうえで、働き方改革を加速させてきた。
このような事業運営の結果、当連結会計年度の業績は、以下のとおりとなった。
〔連結業績〕
営業利益は、前年同期から5,933百万円増加し、38,016百万円、経常利益は、6,899百万円増加し、42,362百万円となった。
親会社株主に帰属する当期純利益についても、持分法非適用関連会社の財務支援に関する引当金の計上や投資有価証券売却益の減少があったものの、前年同期から1,667百万円増加し、28,017百万円となった。
事業の種類別セグメントの業績は、次のとおりである。
工事受注高は、都市再開発や半導体工場、物流施設、データセンターなどの旺盛な設備投資に裏打ちされた堅調な需要に対処すべく、営業・技術の連携による要員調整を徹底し、最適要員配置を踏まえた計画的な受注活動を進めた結果、前連結会計年度と比べ357百万円増加(0.1%増)し、440,864百万円となった。
売上高は、過去最大の仕掛工事量と堅調な受注実績を背景に72,268百万円増加(19.0%増)し、452,623百万円となった。宇久島太陽光事業に関しては、事業主体である宇久島みらいエネルギー合同会社を中心に、自治体等のご意見・ご指導を仰ぎながら、漁業協同組合様を含む利害関係者の皆さまのご理解を得られるよう真摯に取り組みつつ、適切に工事の進捗管理を行ってきた。
また、セグメント利益(営業利益)については、売上高の増加に伴い、前連結会計年度と比べ5,798百万円増加(20.1%増)し、34,707百万円となった。
売上高は、不動産販売事業が増加したことなどから、前連結会計年度と比べ1,005百万円増加(6.5%増)し、16,433百万円となった。
また、セグメント利益(営業利益)については、売上高の増加に伴い、前連結会計年度と比べ224百万円増加(7.4%増)し、3,240百万円となった。
流動資産は、現金・預金の増加などにより、前連結会計年度末と比べ46,197百万円増加し、324,418百万円となった。
固定資産は、投資有価証券の時価評価による増加などにより、前連結会計年度末と比べ10,675百万円増加し、178,865百万円となった。
これらの結果、資産合計は前連結会計年度末と比べ56,873百万円増加し、503,284百万円となった。
流動負債は、一年内返済予定長期借入金の固定負債からの振替えや電子記録債務の増加などにより、前連結会計年度末と比べ53,836百万円増加し、195,527百万円となった。
固定負債は、持分法非適用関連会社の財務支援を前提とした引当金を計上したものの、長期借入金の振替えに伴う減少により、前連結会計年度末と比べ25,071百万円減少し、16,630百万円となった。
これらの結果、負債合計は、前連結会計年度末と比べ28,764百万円増加し、212,158百万円となった。
純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより、前連結会計年度末と比べ28,108百万円増加し、291,125百万円となった。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ、30,736百万円増加し、94,588百万円となった。
営業活動の結果増加した資金は、43,969百万円(前連結会計年度比26,583百万円の収入額の増加)となった。
これは、主に売上債権の増加や棚卸資産の増加、消費税の支払いを、税金等調整前当期純利益の計上や仕入債務の増加が上回ったことによるものである。
投資活動の結果支出した資金は、2,314百万円(前連結会計年度比798百万円の支出額の減少)となった。
これは、主に投資有価証券の売却による収入を、投資有価証券の取得及び有形固定資産の取得による支出が上回ったことによるものである。
財務活動の結果支出した資金は、11,032百万円(前連結会計年度比22,647百万円の支出額の増加)となった。
これは、主に配当金の支払や長期借入金の返済によるものである。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
過去最大の仕掛工事量、最適要員体制の確立、時間外労働上限規制といった直面する重要課題を解決すべく、経営基本方針のテーマと最重要取り組みを「新しい時代に向けた生産性の向上(働き方改革の加速)」と定め、グループを挙げて取り組んできた。
また、かつてないスピードで変化する環境に対応していくためには、中期経営計画のロードマップで定めた再生可能エネルギー事業やDXを始めとした取り組みを進捗させつつ、環境経営やCSV経営を経営戦略として浸透させる必要があると認識し、中期経営計画に掲げる改革・課題に、「人的資本経営の推進」を追加し、これらの課題のうち、2023年度に特に注力すべき内容を、「生産性改革の実践」「人的資本経営の推進」「新たな事業領域の開拓」「サステナビリティ経営の推進」「ガバナンス体制の強化・コンプライアンスの徹底」「重要災害の撲滅」と定め、それぞれ具体的な施策を定め実行した。


具体的には、働き方改革推進室を設置し、現場従業員を中心に、長時間労働に対する意識改革を図るとともに、事務職を大型現場や事業所の技術部門に配置することで、施工管理者の業務負担を低減するための体制構築を進めた。加えて、DX推進プロジェクトの加速や施工関連業務の間接部門への業務移管を実施した。
この他にも、サステナビリティ経営を推進するため、サステナビリティ経営の重要性について全従業員に啓発活動を展開し、浸透を図るとともに、人的資本経営の実現に向けた検討に着手し、将来の経営戦略と人財戦略の在り方について議論を深めた。また、経営環境の激しい変化に伴うリスクの多様化・複雑化に対応するため、想定できるリスクを事前に把握・管理し、対策を講じ、リスク発生の未然防止と顕在化した場合の損失の最小化を図るため、全社的リスク管理の整備を行った。
一方で、技術職従業員の採用数の確保や、若年技術職従業員の離職率については、奨学金返還支援制度の導入や、個別面談を通じた悩みや課題の共有スキームの構築など様々な取り組みを講じているものの、大幅な改善までには至っていない。時間外労働についても、働き方改革推進室を中心に、上記のような具体的な対策を進めている。過去最大の仕掛工事量の影響もあり、2024年度に控える時間外労働の上限規制に対し、更なる業務改革を押し進めていく。
当連結会計年度の営業利益は、売上高の増加に伴い、増益となった。
設備工事業の売上高の増加は、堅調な受注環境を反映した高水準の受注実績と過去最大の仕掛工事量が主な要因である。
一方で、設備工事業の利益率低下については、過年度に受注した一部の低採算大型再エネ案件の影響や完成工事原価に含まれる間接人件費や物件費の増加などが主な要因であると分析している。材料費の価格上昇に対しては、㈱Q-mastと連携し早期に資材発注を行うなどその影響の抑制に努めている。また、営業・技術が一体となったフロントローディングの実施やタイムリーな追加工事の交渉に加え、コストダウン専門部隊である技術管理部による図面や原価見積りの検討など利益率改善のための施策を実施している。なお、足元の大型案件の受注時点での想定利益率については、材料費・人件費の高騰を反映した価格交渉の推進により、一定程度の水準を維持している。
販売管理費の増加は、主に、DX投資や脱コロナに伴うものである。

総売上実績に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上実績及びその割合は、次のとおりである。
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去している。
2 当社グループでは設備工事業以外は受注生産を行っていない。
3 当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載していない。
なお、参考のため提出会社個別の事業の状況は次のとおりである。
設備工事業における受注工事高及び完成工事高の状況
〇 受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高
(注) 1 前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含む。
2 次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)である。
工事の受注方法は、特命と競争並びに九州電力送配電㈱との委託契約によるものに大別される。
(注) 百分比は請負金額比である。
(注) 1 九州電力グループとは、九州電力㈱、九州電力送配電㈱及び㈱九電送配サービスのことである。
2 完成工事のうち主なものは、次のとおりである。
前事業年度 請負金額 10億円以上の主なもの
当事業年度 請負金額 10億円以上の主なもの
3 完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりである。
〇 次期繰越工事高(2024年3月31日現在)
次期繰越工事のうち請負金額 10億円以上の主なものは、次のとおりである。
営業活動によるキャッシュ・フローについて
当連結会計年度における営業キャッシュ・フローは、43,969百万円となり、前連結会計年度に比べ、26,583百万円の収入額の増加となった。事業規模の拡大及び施工案件の大型化に伴い、運転資本は増加する傾向にあるが、日頃よりこまめな出来高請求を行うことに加え、毎月末に長期未収金の確認を行うなど貸倒れリスクの低減に努めている。また、全社で集金に取り組む集金強調期間を年2回設けるなど、キャッシュ・フロー経営の浸透を図っている。
投資活動によるキャッシュ・フローについて
当社グループは、中期経営計画の経営指標としてROICを採用し、加重平均資本コストを意識した投資を行っている。当連結会計年度における設備投資等の概要については「第3 設備の状況 1 設備投資等の概要」に、設備の新設、除却等の計画については「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載している。なお、設備工事業に係る通常の維持更新投資については、年間50億円程度を想定している。
また、再生可能エネルギー発電事業を行うSPCへの出資を行っている。
財務活動によるキャッシュ・フローについて
設備工事業に関する運転資金は、300億円程度を想定していたが、宇久島太陽光事業の動向や仕掛工事量の大幅な増加に伴い、増加傾向にある。一方で、ウクライナや中東情勢など不確実性の増大に備えるため、手元流動性の確保に努めている。
加えて、再生可能エネルギーや脱炭素などESGへの取り組みをはじめとした投融資を主な使途とした社債発行登録を行っている。今後も、調達コストを勘案しながら、機動的に資金使途に応じた資金調達を遂行していく。
業容拡大やリスク対応に伴う棚卸資産や運転資金の回転率の低下に対しては、営業債権の回収率改善や事業外資産の見直しを行うことで対処し、営業活動及び投資活動のキャッシュ・フローを通じたROICの改善を図っていく。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に準拠して作成されている。この連結財務諸表作成に際し、当社グループ経営陣は、決算日における資産・負債の数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える様々な要因・仮定に対し、継続して可能な限り正確な見積りと適正な評価を行っている。
なお、見積り、判断及び評価は、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っているが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる可能性がある。
当社グループの会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 4 会計方針に関する事項」に記載している。個別の取引や経済事象に会計方針を適用するに当たり、現在及び将来の財政状態及び経営成績に大きな影響を与えると想定される事項は以下のとおりである。
宇久島メガソーラーについては、顧客と工事請負契約を締結しているが、当社グループは、当該契約を、財又はサービスの支配を一定期間にわたって顧客に移転するものと判断し、当連結会計年度末における見積総原価(工事原価総額)に対する発生原価の割合を、履行義務の充足に係る進捗度とし、その収益を認識している。ただし、履行義務の充足に係る進捗度を合理的に見積もることができなくなった場合において、発生する費用を回収することが見込まれるとき、あるいは、「3 事業等のリスク」に記載のとおり、コストの上昇や予期しない工事進捗の遅れにより工事原価総額が増加した場合において、不可抗力条項や保険の付保にもかかわらずその影響を工事請負契約に十分に反映できないときは、採算性が低下するリスクがある。
該当事項なし。
(設備工事業)
当社グループにおける研究開発活動は、主に「技術開発部」を拠点とし、先進的な技術や業務ツール等を全社に先駆けて検証・導入していく役割と、現場での技術的問題を解決し社内に展開する役割を担っている。
また、持続可能な社会への貢献と目標達成に向けた未来社会におけるイノベーション創出、企業価値向上、業務効率化のため、産学共同による技術創出を目指している。
なお、当連結会計年度における研究開発費は
配電技術分野では、九州電力送配電㈱の配電線設備における建設・保守作業を、より「安全」、「高品質」かつ「効率的」に行うための車両・機械・工具の開発、改良及び様々な工法の開発、改善を行っている。
なお、配電技術分野における研究開発費は65百万円である。
電気技術分野では、クラウドモバイルカメラ・非破壊検査機・レーザー墨出器・3Dレーザースキャナ等のICT・IT技術を積極的に導入し、工事や現場調査業務の大幅な効率化・省力化を進めている。
さらに、多様化・複雑化する社会課題の解決に向けたイノベーションの創出を目的とし、2021年12月に九州大学と締結した『組織対応型連携』の取り組みとして「スワームロボット(小型群ロボット)システムを用いた室内照度測定器」をシステム情報科学研究院の倉爪教授と共同開発しており、6台で構成するプロトタイプが完成した。このロボットの計測作業代替により作業員の業務軽減が期待でき、今後は現場での実用化に向けた開発を進めていく。また、脱炭素社会実現の観点から、計画・設計・研究開発分野での連携協力の幅を広め、更なる技術の発展と進化へ繋げていく。
なお、電気技術分野における研究開発費は162百万円である。
空調管技術分野では、気流・温度シミュレーションを用いた最適設備の検討や、配管・設備用鉄骨架台向けの構造解析シミュレーション、3D-CAD、BIMを活用した工事進捗の円滑化と施工品質の向上に取り組んでいる。
また、2023年10月に東京大学と当社を含めた民間企業9社が協力して『スマートビルシステム社会連携講座』を開設した。スマートビルシステムの共同研究を通じて、新たなサービス提供や価値創出が可能となり、ビルのスマート化が促進される。本講座は、カーボンニュートラル実現に向けたスマートビルシステムの価値向上と市場開拓及び高度な人材育成を目指している。
2024年1月には、当社の『熱負荷予測とデジタルツインで最適化する空調熱源制御AI』が令和5年度の『省エネ大賞』省エネルギーセンター会長賞を受賞した。本システムは、中央熱源方式の空調システムでAIによる省エネ運転を実現し、実証実験により熱源システムの性能を最大13%改善した。今後は本サービスの営業展開に加え、個別空調方式を対象としたサービスの開発を検討しており、AIを活用した新規事業による事業領域の拡大と環境負荷の低減を目指すサステナブルな社会の実現に貢献していく。
さらに、当社グループが運営する木質バイオマス発電所から排出される燃焼灰の有効活用や、燃料源の「日本早生桐」や「ソルガム」の育成に関して、大学等(宮崎大学・鹿児島工業高等専門学校)とも連携している。
なお、空調管技術分野における研究開発費は116百万円である。
子会社における研究開発活動は特段行われていない。
(その他)
研究開発活動は特段行われていない。