「第2 事業の状況」、「第3 設備の状況」における各事項の記載については、消費税等抜きの金額で表示しております。

 

第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)中期経営計画について

 当社グループでは、中長期的な観点から不確実性を増す社会・経済情勢、加速度的に進む技術革新、さらに2020年以降に予想される建設投資の減少、少子高齢化による担い手不足などの経営課題に迅速に対応し、持続的成長を実現していかなくてはならないと認識しております。

 これらの認識を踏まえ、平成29年5月に『「Assembly(組み立て)& Collaboration(共創)」による新価値の創造』を目指す姿とした「中期経営計画2019」を策定しました。

 本計画では、「生産性 No.1・安全性 No.1 の進化」と「差別化価値の獲得」を柱とし、持続的成長に向けた収益基盤の構築を進めていきます。

①中期経営計画2019で目指す姿

・「Assembly(組み立て)&Collaboration(共創)」による新価値の創造

ア.生産性No.1・安全性No.1の進化

  :1人当たり完成工事高30%向上・残業ゼロ・事故ゼロへの挑戦

イ.差別化価値の獲得

  :強みの開拓と更なる強化、収益の多様化

 
②2019年度 グループ業績目標

ア.連結売上高・営業利益率等

 

 2017年度実績

 2019年度目標

連結売上高

4,290億円

 5,000億円 程度

営業利益

304億円

 250億円 以上

営業利益率

7.1%

   5.0% 以上

労働生産性(個別)

1,656万円

 1,500万円 以上

 

※労働生産性=付加価値額(営業利益+総額人件費)÷社員数(期中平均、派遣社員等を含む)

 

イ.事業別売上高・利益

 

 

2017年度実績

2019年度目標

長期目標

連結売上高

4,290億円

 

5,000億円

 

 

 

国内建築

2,813億円

 

3,400億円

 

 

 

国内土木

1,093億円

 

1,150億円

 

 

 

投資開発+新領域

68億円

 

85億円

 

 

 

国内グループ会社

338億円

 

360億円

 

 

 

海外

138億円

 

220億円

 

 

 

連結消去

△162億円

 

△215億円

 

 

営業利益

304億円

[100.0]

250億円

[100.0]

[100.0]

 

国内建築

178億円

[58.7]

165億円

[66.0]

[50.0]

 

国内土木

117億円

[38.7]

65億円

[26.0]

[15.0]

 

投資開発+新領域

12億円

[4.1]

4億円

[1.6]

[15.0]

 

国内グループ会社

8億円

[2.9]

16億円

[6.4]

[10.0]

 

海外

△11億円

[△3.9]

0億円

[0.0]

[10.0]

 

連結消去

△1億円

[△0.5]

[―]

[―]

 

※ 新領域は、エネルギー関連事業及びその他新規事業

※ [ ]は構成比率

※ 長期目標は、2020年以降を視野に入れた経営の方向性

 

ウ.資本効率・株主還元

 

2017年度実績

2019年度目標

ROE(自己資本利益率)

10.8%

8.0% 程度

総還元性向

34.1%

30.0% 程度

 

※ 総還元性向=総株主還元額(配当総額+自社株式取得総額)÷親会社株主に帰属する当期純利益

 

エ.投資計画

    

計画期間累計

年度平均

投資開発(不動産等)

 420億円

140億円

新領域 (エネルギー等)

240億円

80億円

技術研究所整備・ICT再構築

60億円

20億円

合計

720億円

240億円

 

 

③事業方針

ア.生産性No.1・安全性No.1の進化

・設計・施工段階における業務(基本・実施設計、施工計画、労働環境整備等)のフロントローディングを推進する。

・自動化・機械化施工等、新技術・ICT(情報コミュニケーション技術)を開発し、適用する。

 

イ.差別化価値の獲得

a.国内建設事業

・安定成長分野:得意分野(病院・学校、再開発、山岳トンネル、区画開発等)において、当社グループ独自

        の価値を提供する。

・重点強化分野:高付加価値オフィスビル、大規模インフラ、経年優化に向けた更新等の継続的な受注を目指

        す。

b.戦略事業

・将来収益の柱とするべく「投資開発」「新領域」「国内グループ会社」「海外」へのリソースシフトを推進する。

 

事業

主な取り組み

投資開発

・  収益物件、区画開発事業等への投資及び運用

・  京橋一丁目東地区開発計画(本社ビル建替え)の推進

・  工作所等、社有資産の有効活用

新領域

・  浮体式洋上風力発電の事業化

・  新エネルギー、農業6次産業化、新規事業への取り組み

国内グループ会社

・  全方位的顧客価値の提供、建設ライフサイクル事業(ビル管理、リニューアル、設備等)の強化

・  M&A等による特殊技術の獲得

海外

・  ブラジル及び東南アジアにおける営業力の強化

・  海外土木工事の継続的な受注

・  保有技術の展開

 

 

ウ.経営基盤の強化とステークホルダー価値の向上

・人材流動化(ローテーション)、働き方改革を通じて、社員の多様化・多彩化・ポテンシャルアップを図る。

・キャッシュフローの改善及び適正な内部留保の確保(自己資本比率40%程度)により健全な財務体質を維持する。

・環境保全をはじめ、持続可能な社会の構築に向けた取り組みを推進する。

 

 

(2)会社の支配に関する基本方針について

①基本方針の内容

当社は、金融商品取引所に株式を上場している者として、市場における当社株式の自由な取引を尊重し、特定の者による当社株式の大規模買付行為であっても、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に資するものである限り、これを一概に否定するものではありません。また、最終的には株式の大規模買付提案に応じるかどうかは株主の決定に委ねられるべきだと考えております。

ただし、株式の大規模買付提案の中には、たとえば利害関係者との良好な関係を保ち続けることができない可能性があるなど、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益を損なうおそれのあるものや、当社グループの価値を十分に反映しているとは言えないもの、あるいは株主が最終的な決定を行うために必要な情報が十分に提供されないものもありえます。

そのような提案に対して、当社取締役会は、株主から負託された者の責務として、株主のために、必要な時間や情報の確保、株式の大規模買付提案者との交渉などを行う必要があると考えております。

 
② 基本方針の実現に資する取組み
ア 当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の会社支配に関する基本方針の実現に資する特別な取組み

 当社では、昭和42年に経営方針を制定し、これに基づいた企業活動を行うことでお客様をはじめとするステークホルダーとの信頼関係の構築に努めてまいりました。

 一方で、社会情勢や社会的要請、当社グループの事業構成等につきましては、約50年前の制定当時と大きく状況が変化しています。こうした背景から、当社の歴史の中で培われてきた価値観や精神を再確認するとともに、未来に向けた指針を改めて明文化していくことが必要となり、平成29年1月、持続的成長の実現及び企業理念に基づく経営体制の強化を目的に経営方針を含む「企業理念」全体を見直し、改定を行っております。

 その改定においては、従来の経営方針の内容をベースにCSR(企業の社会的責任)やCSV(共通価値の創造)等の観点を踏まえ、その適用範囲につきましては当社単体から当社グループ全体へと拡大したものとなっております。併せて行動理念である「企業行動憲章」の改定とともに、平成27年制定の「グローバルビジョン」を含めた理念体系の整備を行いました。

 経営環境の変化が予想される中、当社グループ全体で目的意識を共有し諸課題に取り組んでいくことを持続的成長の実現に向けた強い原動力としていきます。今後ともこの企業理念に基づく活動を推進し、当社グループの存在価値を高め、社会の発展に貢献してまいります。

 

イ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み

当社は、平成29年6月29日開催の当社第94回定時株主総会において、当社株式等の大規模買付行為に関する対応策(以下、「本対応策」という。)を継続することに関して決議を行い、株主の皆様のご承認をいただいております。

本対応策の概要は次のとおりであります。

(ア) 本対応策に係る手続き

a 対象となる大規模買付等

本対応策は以下の(a)又は(b)に該当する当社株式等の買付け又はこれに類似する行為(以下「大規模買付等」という。)がなされる場合を適用対象とします。大規模買付等を行い、又は行おうとする者(以下「買付者等」という。)は、予め本対応策に定められる手続きに従わなければならないものとします。

(a) 当社が発行者である株式等について、保有者の株式等保有割合が20%以上となる買付け

(b) 当社が発行者である株式等について、公開買付けに係る株式等の株式等所有割合及びその特別関係者の株式等所有割合の合計が20%以上となる公開買付け

b 「意向表明書」の当社への事前提出

買付者等は、大規模買付等の実行に先立ち、当社取締役会に対して、当該買付者等が大規模買付等に際して本対応策に定める手続きを遵守する旨の誓約文言等を記載した書面(以下「意向表明書」という。)を当社の定める書式により日本語で提出していただきます。

 

c 情報の提供

意向表明書をご提出いただいた場合には、買付者等におきましては、当社に対して、大規模買付等に対する株主の皆様のご判断のために必要かつ十分な情報を日本語で提供していただきます。

d 取締役会評価期間の設定等

当社取締役会は、情報提供完了通知を行った後、大規模買付等の評価の難易度等に応じて、以下の(a)又は(b)の期間(いずれも初日不算入)を、当社取締役会による評価、検討、交渉、意見形成及び代替案立案のための期間(以下「取締役会評価期間」という。)として設定します。

(a) 対価を現金(円価)のみとする公開買付けによる当社全株式等を対象とする公開買付けの場合には60日間

(b) その他の大規模買付等の場合には90日間

ただし、上記(a)(b)いずれにおいても、取締役会評価期間は評価・検討のために不十分であると取締役会及び独立委員会が合理的に認める場合にのみ延長できるものとし、その場合は、具体的延長期間及び当該延長期間が必要とされる理由を買付者等に通知するとともに株主へ開示する。また、延長の期間は最大30日間とします。

e 対抗措置の発動に関する独立委員会の勧告

独立委員会は、取締役会評価期間内に、上記dの当社取締役会による評価、検討、交渉、意見形成及び代替案立案と並行して、当社取締役会に対して対抗措置の発動の是非に関する勧告を行うものとします。その際、独立委員会の判断が当社の企業価値・株主共同の利益の確保・向上に資するようになされることを確保するために、独立委員会は、当社の費用で、当社の業務執行を行う経営陣から独立した第三者の助言を得ることができるものとします。

(a) 買付者等が大規模買付ルールを遵守しない場合

 独立委員会は、買付者等が本対応策に規定する手続きを遵守しなかった場合、原則として、当社取締役会に対し対抗措置の発動を勧告します。

(b) 買付者等が大規模買付ルールを遵守した場合

買付者等が本対応策に規定する手続きを遵守した場合には、独立委員会は、原則として当社取締役会に対して対抗措置の不発動を勧告します。ただし手続きが遵守されている場合でも、当該買付等が当社の企業価値・株主共同の利益を著しく損なうものであると判断される場合には、例外的措置として対抗措置の発動を勧告する場合があります。

f 取締役会の決議

 当社取締役会は、eに定める独立委員会の勧告を最大限尊重するものとし、係る勧告を踏まえて当社の企業価値・株主共同の利益の確保・向上という観点から速やかに対抗措置の発動又は不発動の決議を行うものとします。

g 対抗措置の中止又は発動の停止

 当社取締役会が上記fの手続きに従い対抗措置の発動を決議した後又は発動後においても、買付者等が大規模買付等を中止した場合又は対抗措置を発動するか否かの判断の前提となった事実関係等に変動が生じ、かつ、当社の企業価値・株主共同の利益の確保・向上という観点から発動した対抗措置を維持することが相当でないと考えられる状況に至った場合には、当社取締役会は、対抗措置の中止又は発動の停止を行うものとします。

h 大規模買付等の開始

 買付者等は、本対応策に規定する手続きを遵守するものとし、取締役会において対抗措置の発動又は不発動の決議がなされるまでは大規模買付等を開始することはできないものとします。

 

(イ) 本対応策における対抗措置の具体的内容

当社取締役会が上記(ア)fに記載の決議に基づき発動する対抗措置としては、新株予約権の無償割当てを行うこととします。

 

 

(ウ) 本対応策の有効期間、廃止及び変更

 本対応策の有効期間は、平成29年6月29日開催の第94回定時株主総会終結の時から3年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとします。ただし、係る有効期間の満了前であっても、当社の株主総会において本対応策の変更又は廃止の決議がなされた場合には、本対応策は当該決議に従い、その時点で変更又は廃止されるものとします。また、当社の取締役会により本対応策の廃止の決議がなされた場合には、本対応策はその時点で廃止されるものとします。

 なお、当社取締役会は、法令等の変更により形式的な変更が必要と判断した場合には、独立委員会の承認を得た上で、本対応策を修正し、又は変更する場合があります。

 

③ 上記②の取組みが、上記①の基本方針に沿い、株主共同の利益を損なうものでなく、当社の役員の地位の維持を目的とするものではないこと及びその理由

 当社取締役会は、「中期経営計画」及びそれに基づく施策は当社及び当社グループの企業価値、ひいては株主共同の利益の向上に資する具体的方策として策定されたものであり、①の基本方針に沿うものと判断しております。また、次の理由から上記②イの取組みについても上記①の基本方針に沿い、株主の共同の利益を損なうものでなく、また、当社の役員の地位の維持を目的とするものではないと判断しております。

 

ア 買収防衛策に関する指針の要件を全て充足していること

 本対応策は、経済産業省及び法務省が平成17年5月27日に発表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則(企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、事前開示・株主意思の原則、必要性・相当性確保の原則)を全て充足しており、かつ、企業価値研究会が平成20年6月30日に発表した「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」を踏まえております。

 

イ 当社の企業価値・株主共同の利益の確保・向上の目的をもって導入されていること

 本対応策は、当社株式等に対する大規模買付等に応じるべきか否かを株主が判断し、あるいは当社取締役会が代替案を提示するために必要な情報や期間を確保し、株主のために買付者等と交渉を行うこと等を可能とするものであります。

 

ウ 株主意思を重視するものであること

 当社は、本対応策の継続に関する株主の意思を確認するため、平成29年6月29日に開催された第94回定時株主総会において本対応策の継続に関する議案を付議し、その承認可決を受けております。また、本対応策の有効期間は平成32年6月開催予定の当社第97回定時株主総会終結時までであり、また、その有効期間の満了前に開催される当社株主総会において本対応策の変更又は廃止の決議がなされた場合には、本対応策も当該決議に従い変更又は廃止されることになります。

 

エ 独立性の高い社外者の判断の重視と情報開示

 当社は、当社取締役会の恣意的判断を排除するため、対抗措置の発動等を含む本対応策の運用に関する決議及び勧告を客観的に行う取締役会の諮問機関として独立委員会を設置しております。

独立委員会は、当社の業務執行を行う経営陣から独立している、当社の社外取締役、社外監査役又は社外の有識者(実績のある会社経営者、官庁出身者、弁護士、公認会計士若しくは学識経験者等)から選任される委員3名以上により構成されます。

 また、当社は、必要に応じ独立委員会の判断の概要について株主に情報開示を行うこととし、本対応策の透明な運営が行われる仕組みを確保しております。

 

オ 合理的な客観的発動要件の設定

 本対応策は、上記②イ(ア)に記載のとおり、合理的かつ客観的な発動要件が充足されなければ発動されないように設定されており、当社取締役会による恣意的な発動を防止するための仕組みを確保しております。

 

 

カ デッドハンド型若しくはスローハンド型買収防衛策ではないこと

 上記②イ(ウ)に記載のとおり、本対応策は、当社の株主総会で選任された取締役で構成される取締役会により、いつでも廃止することができるものとされております。

 また、当社は期差任期制を採用しておりません。

 

2 【事業等のリスク】

当社グループの事業に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主な事項には、以下のようなものがあります。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、リスクの発生を回避し、リスクが発生した場合の対策を考えております。また、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成30年6月29日)現在において当社グループが判断したものであります。

(1)建設投資、物価等の動向

経済情勢の悪化や不測の事態の発生により、建設投資が著しく減少した場合には、業績等に影響を及ぼす可能性があります。また、主要建設資材の仕入価格が高騰し、それを請負金額に反映させることが困難な場合には、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

(2)工事施工等リスク

当社グループが設計、施工した物件に不具合が生じ、重大な瑕疵があった場合には、業績等に影響を及ぼす可能性があります。また、施工中に予期せぬ重大事故が発生した場合には、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

(3)取引先信用リスク

建設業においては、一般的に施工物件の引渡時に未回収の工事代金が残るケースがあります。このため、発注者が信用不安に陥った場合、工事代金の回収ができず、業績等に影響を及ぼす可能性があります。また、仕入先、外注先が信用不安に陥った場合にも、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

(4)法務・コンプライアンスリスク

当社グループの事業は、建設業法、建築基準法、都市計画法、会社法、金融商品取引法、独占禁止法等により法的な規制を受けております。これらの法的規制に違反するような事態が生じた場合、また、法律の改廃、法的規則の新設、適用基準の変更等があった場合には、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

(5)災害リスク

地震等の天災、人災により、当社グループの事業継続に深刻な支障をきたした場合には、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

(6)カントリーリスク

当社グループは海外諸国で事業を展開しており、政治・経済情勢の急激な変化、為替レートの大きな変動、法的規制の予期せぬ変更等が発生した場合には、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

(7)保有資産の価格・収益性の変動リスク

保有資産の時価が著しく下落した場合又は収益性が著しく低下した場合には、業績等に影響を及ぼす可能性があります。 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

ア. 財政状態の状況

(資産の部)

当連結会計年度末の資産合計は、未成工事支出金が74億円減少しましたが、現金預金が142億円、投資有価証券が60億円増加したことなどにより、前連結会計年度末と比較して274億円増加5,639億円5.1%増)となりました。

(負債の部)

当連結会計年度末の負債合計は、支払手形・工事未払金等が118億円減少しましたが、社債が100億円、繰延税金負債が97億円増加したことなどにより、前連結会計年度末と比較して49億円増加3,146億円1.6%増)となりました。

 

(純資産の部)

当連結会計年度末の純資産合計は、保有株式の時価の上昇によりその他有価証券評価差額金が34億円増加したこと及び親会社株主に帰属する当期純利益の計上254億円などにより、前連結会計年度末と比較して224億円増加2,493億円9.9%増)となり、自己資本比率は43.7%となりました。

 

イ. 経営成績の状況

当連結会計年度の連結売上高につきましては、前連結会計年度比1.5%増4,290億円となりました。

営業損益につきましては、売上総利益が603億円前連結会計年度比14.0%増加となったことにより、販売費及び一般管理費が298億円前連結会計年度比6.9%増加したものの、営業利益は304億円前連結会計年度比21.9%増加となりました。

経常損益につきましては、330億円の経常利益(前連結会計年度比21.5%増)となりました。

親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、254億円(前連結会計年度比39.5%減)となりました。

 

各セグメントにおける業績は以下のとおりであります。

当社グループは当連結会計年度より報告セグメントの変更を行っており、前連結会計年度との比較・分析は、変更後のセグメント区分に基づいております。詳細は、「第5 経理の状況」「1 連結財務諸表等」(セグメント情報等)の「1.報告セグメントの概要」をご参照ください。

なお、各セグメントの業績につきましては、セグメント間の内部売上高又は振替高を含めて記載しております。

 

(国内建築)

売上高は2,813億円(前連結会計年度比4.2%減)となり、セグメント利益(営業利益)は178億円(前連結会計年度比7.2%減)となりました。

当社個別の受注高につきましては、主に民間工事が前連結会計年度比5.3%減少したことにより、全体では3,259億円と、前連結会計年度比8.3%減となりました。

(国内土木)

売上高は1,093億円(前連結会計年度比10.8%増)となり、セグメント利益(営業利益)は117億円(前連結会計年度比176.9%増)となりました。

当社個別の受注高につきましては、民間工事が大型案件の受注に伴い前連結会計年度比34.0%増加しましたが、官公庁工事が前連結会計年度比9.1%減少したことにより、全体では1,089億円と、前連結会計年度比3.2%減となりました。

(投資開発)

売上高は66億円(前連結会計年度比7.2%増)となり、セグメント利益(営業利益)は15億円(前連結会計年度比3.7%増)となりました。

(国内グループ会社)

 売上高は338億円(前連結会計年度比3.5%減)となり、セグメント利益(営業利益)は8億円(前連結会計年度比38.7%減)となりました。

 (その他)

 売上高は140億円(前連結会計年度比43.4%増)となり、セグメント損失(営業損失)は15億円(前連結会計年度は12億円のセグメント損失)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ95億円増加し、1,005億円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

税金等調整前当期純利益が358億円となり、仕入債務の減少により118億円、売上債権の増加により22億円の資金が減少しましたが、未成工事支出金の減少により74億円の資金が増加したこと等から、営業活動としては193億円の資金増加(前連結会計年度は588億円の資金増加)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資有価証券の売却及び償還により69億円の資金が増加しましたが、有形固定資産の取得により67億円、投資有価証券の取得により50億円の資金が減少したため、投資活動としては78億円の資金減少(前連結会計年度は97億円の資金減少)となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

社債の発行による収入により100億円資金が増加しましたが、自己株式の取得による支出により25億円、長期借入金の返済による支出により101億円資金が減少したため、財務活動としては20億円の資金減少(前連結会計年度は126億円の資金減少)となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

当社グループが営んでいる事業の大部分を占める建築事業、土木事業(以下、「建設事業」という。)及び投資開発事業では生産実績を定義することが困難であり、かつ建設事業においては請負形態をとっているため販売実績という定義は実態にそぐいません。

また、当社グループにおいては建設事業以外では受注生産形態をとっておりません。

よって、「生産、受注及び販売の状況」に記載すべき項目は可能な限り、「① 財政状態及び経営成績の状況」において、セグメントごとに記載しております。

なお、当社グループの営む事業の大部分を占める、提出会社の建設事業の状況は次のとおりであります。

 

 建設事業における受注工事高及び完成工事高の状況

ア. 受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高

期別

区分

前期繰越
工事高
(百万円)

当期受注
工事高
(百万円)


(百万円)

当期完成
工事高
(百万円)

次期繰越
工事高
(百万円)

前事業年度
 
自平成28年4月1日
至平成29年3月31日

国内建築

359,860

355,320

715,180

291,744

423,436

国内土木

168,887

112,590

281,478

98,664

182,813

海外

4,079

3,540

7,620

2,033

5,586

532,827

471,451

1,004,279

392,442

611,836

当事業年度
 
自平成29年4月1日
至平成30年3月31日

国内建築

423,436

325,900

749,336

279,982

469,353

国内土木

182,813

108,933

291,747

109,328

182,418

海外

5,586

6,613

12,200

2,938

9,261

611,836

441,447

1,053,283

392,249

661,034

 

(注) 1 前期以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含みます。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれます。

2 次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高―当期完成工事高)に一致します。

3 報告セグメントの変更に伴い、前事業年度の実績について修正を行っております。

 

イ. 受注工事高の受注方法別比率
工事の受注方法は、特命と競争に大別しています。

期別

区分

特命(%)

競争(%)

計(%)

前事業年度
自 平成28年4月1日
至 平成29年3月31日

国内建築

57.9

42.1

100

国内土木

7.7

92.3

100

海外

2.7

97.3

100

当事業年度
自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日

国内建築

40.7

59.3

100

国内土木

9.3

90.7

100

海外

3.0

97.0

100

 

(注) 1 百分比は請負金額比であります。

2 報告セグメントの変更に伴い、前事業年度の実績について修正を行っております。

 

 ウ. 完成工事高

期別

区分

官公庁(百万円)

民間(百万円)

計(百万円)

前事業年度
自 平成28年4月1日
至 平成29年3月31日

国内建築

49,284

242,459

291,744

国内土木

84,590

14,073

98,664

海外

1,336

697

2,033

135,211

257,230

392,442

当事業年度
自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日

国内建築

37,576

242,406

279,982

国内土木

93,852

15,476

109,328

海外

1,286

1,652

2,938

132,714

259,535

392,249

 

(注) 1 報告セグメントの変更に伴い、前事業年度の実績について修正を行っております。

2 完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。

前事業年度の完成工事のうち請負金額20億円以上の主なもの

広島駅南口Cブロック市街地再開発組合

 

広島駅南口Cブロック第一種市街地再開発事業施設建築物新築工事他

糀谷駅前地区市街地再開発組合

 

糀谷駅前地区第一種市街地再開発事業 施設建築物新築工事

群馬県 高崎市

 

高崎市新体育館建設工事

社会医療法人社団 健生会

 

立川相互病院新病院計画他

(学)東海大学

 

東海大学湘南校舎理工系施設整備事業(仮称)19号館新築工事

(株)勝浦ホテル三日月

 

龍宮城スパホテル三日月新館新築工事

(学)東洋大学

 

(仮称)東洋大学赤羽台キャンパス新校舎建設工事   

西日本高速道路(株)

 

新名神高速道路箕面インターチェンジ工事

国土交通省東北地方整備局

 

国道45号山田第1トンネル工事

広島県 広島市

 

宇品地区下水道築造25-20号工事

 

 

当事業年度の完成工事のうち請負金額20億円以上の主なもの

・三菱地所(株)他

 

(仮称)大手町一丁目第3地区第一種市街地再開発事業新築工事

・(独)桑名市総合医療センター

 

桑名市総合医療センター建築工事

・日本郵便(株)

 

中国東部郵便処理施設(仮称)新築工事

・(独)国立病院機構九州がんセンター

 

独立行政法人国立病院機構九州がんセンター新築工事(建築)

・(独)大阪府立病院機構 他

 

大阪府市共同住吉母子医療センター(仮称)建設工事

・(学)河合塾

 

(仮称)河合塾横浜校新築計画

・藤枝駅前一丁目8街区市街地再開発組合

 

藤枝駅前一丁目8街区市街地再開発事業

・西日本高速道路(株)

 

新名神高速道路箕面インターチェンジ中工事

・環境省

 

平成27年度浪江町除染等工事(その4)

・国土交通省東北地方整備局

 

国道45号 下安家道路工事

 

 

3 完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりであります。

前事業年度

完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先はありません。

 

当事業年度

完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先はありません。

 

 

④ 次期繰越工事高(平成30年3月31日現在)

 

区分

官公庁(百万円)

民間(百万円)

計(百万円)

国内建築

41,531

427,822

469,353

国内土木

157,056

25,362

182,418

海外

9,064

197

9,261

207,652

453,382

661,034

 

(注) 1 報告セグメントの変更に伴い、前事業年度の実績について修正を行っております。

2 次期繰越工事のうち請負金額20億円以上の主なものは、次のとおりであります。

・三菱地所(株)他

 

大手町二丁目常盤橋地区第一種市街地再開発事業A棟新築工事

・国家公務員共済組合連合会

 

虎の門病院整備事業

・(株)永坂産業

 

(仮称)京橋一丁目東地区永坂産業京橋ビル新築工事

・RW原木3特定目的会社

 

(仮称)ESR市川ディストリビューションセンター新築工事

・(一社)成田国際医療都市機構

 

(仮称)国際医療福祉大学成田病院新築工事

・(学)北里研究所

 

(仮称)北里研究所白金キャンパス薬学部校舎・北里本館新築工事

・新日鉄興和不動産(株)

 

(仮称)日鐵日本橋ビル建替計画新築工事

・東日本高速道路(株)

 

東京外環自動車道田尻工事

・中日本高速道路(株)

 

東京外かく環状道路 本線トンネル(北行)東名北工事

・国土交通省関東地方整備局

 

東京外環中央JCT北側ランプ函渠工事

・(独)鉄道建設・運輸施設整備支援機構

 

中央新幹線、中央アルプストンネル(松川)外

 

 

 

 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されておりますが、連結財務諸表を作成するにあたり、経営者により、会計基準の範囲内で見積り計算が行われており、資産及び負債、収益並びに費用にその結果が反映されております。これらの見積りについては継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果と異なることがあります。

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度の連結売上高につきましては、主に国内グループ会社における外部顧客への売上高の増加及び在外子会社の手持工事の進捗により前連結会計年度比1.5%増4,290億円となりました。

営業損益につきましては、生産性向上の継続的取組みによる建設事業の利益率向上により、売上総利益は603億円前連結会計年度比14.0%増加となりました。一方、販売費及び一般管理費につきましては、298億円前連結会計年度比6.9%増加したものの、営業利益は304億円前連結会計年度比21.9%増加となりました。

経常損益につきましては、受取利息及び保有する投資有価証券の受取配当金等により、330億円の経常利益(前連結会計年度比21.5%増)となりました。

親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、法人税等の負担の増加等により、254億円(前連結会計年度比39.5%減)となりましたが、前連結会計年度は当社における繰延税金資産の計上により、税金費用が大幅に減少していたことが主な要因となっております。

 

各セグメントの状況及び分析は、以下の通りとなります。

なお、売上高にはセグメント間の内部売上高等を含めて記載しております。また、セグメント利益欄の( )はセグメント利益率を示します。

 

 

(国内建築)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

売上高

2,936億円

 

2,813億円

 

セグメント利益(率)

192億円

(6.6%)

178億円

(6.4%)

 

当連結会計年度は、大型の手持工事の一部について準備段階または着工早期段階にあり、全体として工事進捗率がやや低く推移いたしました。このことにより売上高及びセグメント利益が減少しました。一方で、生産性の強化に取り組んだ結果、完成工事利益率は12.8%と、前連結会計年度より0.3ポイント増加しました。

現在、中期経営計画に基づき、最新技術・ICTを活用した施工革新(トダ・イノベーション・サイト)を推進しています。また、近年は設計施工一括工事の受注高全体に占める割合が上昇しています。これに伴いプロジェクトの初期段階から業務のフロントローディング及び組織間のコラボレーションを推進し、施工上の課題の早期解決を通じた生産性のさらなる向上に取り組んでいきます。

 

(国内土木)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

売上高

986億円

 

1,093億円

 

セグメント利益(率)

42億円

(4.3%)

117億円

(10.8%)

 

当連結会計年度は、手持工事の進捗が順調であったことにより、売上高が1,093億円と、前連結会計年度より10.8%増加しました。また、セグメント利益においては、生産性の向上とともに、追加・設計変更工事を受注したことに伴い利益率が10.8%と、前連結会計年度より6.5ポイント増加しました。なお、前連結会計年度においては工事損失引当金の計上により利益率が低下していたことも要因となっています。

 当連結会計年度末の繰越工事高は1,824億円と高水準を確保し、その内83.7%が重点分野(道路・鉄道・上下水道・土地造成)となっています。前述の国内建築と同様、生産性の向上に取り組むとともに、技術開発等を通じて重点分野における独自の提供価値を確立し事業競争力の強化を図っていきます。

 

(投資開発)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

売上高

61億円

 

66億円

 

セグメント利益(率)

15億円

(24.7%)

15億円

(23.8%)

 

当連結会計年度は、不動産販売事業における収益の向上により、売上高、セグメント利益ともに前連結会計年度より増加しました。

新規投資においては、八丁堀センタービル(東京都中央区)について、共同所有者であった㈱日新ライフの全株式取得により単独所有とし、不動産賃貸収益基盤の拡充を図りました。今後も、新規収益物件の獲得とともに、自社保有資産の有効活用により、さらなる収益向上を推進していきます。

 

(国内グループ会社)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

売上高

351億円

 

338億円

 

セグメント利益(率)

14億円

(4.1%)

8億円

(2.6%)

 

当連結会計年度は、建設事業を営む子会社のグループ内取引に係る収益減少の影響から、セグメント全体で売上高が338億円と前連結会計年度から3.5%減少し、利益が8億円と38.7%減少しました。

現在、当社グループ内の連携を通じて、建設ライフサイクルを通じた顧客への価値提供力を強化しています。また、M&A等についても積極的に検討し、事業基盤・領域の強化、拡大に取り組んでいきます。

 

 (その他)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

売上高

98億円

 

140億円

 

セグメント利益(率)

△12億円

(-)

△15億円

(-)

 

当連結会計年度は、主に海外事業における売上高が増加し、全体で140億円と前連結会計年度より43.4%増加しました。一方で、海外事業の工事損失引当金の計上により、営業損失となりました。

海外事業においては、ブラジル戸田建設㈱にパラグアイ支店を新設するほか、ベトナム戸田建設㈲の営業担当者を増員するなど営業体制の強化を進めています。また、非建設事業に対して取り組むことにより、収益の改善、向上を図っていきます。

新領域分野として、浮体式洋上風力発電の事業化等に取り組んでおり、平成29年12月に「戸田建設グリーンボンド」を発行し、今後の事業展開に向けた資金として100億円を調達しています。また、事業の本格化に伴い、平成30年3月にはエネルギー事業部を新設し、同事業部を核に事業のさらなる強化に取り組んでいきます。

 

  当社グループの資本の財源及び資金の流動性については以下のとおりであります。

(キャッシュ・フローの状況)

「第2 事業の状況」「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」「(1) 経営成績等の状況の概要」の「② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

(資金需要)

当社グループにおける主な資金需要は、運転資金として工事施工に要する外注費等の工事費用および販売費及び一般管理費並びに設備投資資金です。

設備投資の概況については「第3 設備の状況」の「1 設備投資等の概要」をご参照ください。

(資金の流動性)

当社グループは、主要な連結子会社にキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を導入し、日本国内のグループ内資金を一元管理しています。各グループ会社のキャッシュ・フローを集中することで資金の流動性を確保し、また、機動的かつ効率的にグループ内で配分することにより、リスク管理の強化および金融負債の極小化を図っています。

(資金調達の状況)

主に営業活動によるキャッシュ・フロー、金融機関等からの借り入れおよび社債の発行により資金を調達しております。重要な設備投資に係る資金調達方法については「第3 設備の状況」の「3 設備の新設、除却等の計画」をご参照ください。

なお、当社は平成29年12月14日に「戸田建設グリーンボンド」(第3回無担保普通社債)を発行しており、国内の事業会社が本業プロジェクトを対象にグリーンボンド(注)を発行する初の事例となりました。

(注) 地球温暖化をはじめとした環境問題の解決に役立つ事業に用いる資金を調達するために発行される債券。

 

4 【経営上の重要な契約等】

特記事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

当社グループは、社会、顧客及び社内各部門のニーズやCSRに的確に応えるため、技術開発センターを中心に技術部門の総力を結集して、基礎的研究から新製品開発までの幅広い研究開発活動を行っております。特に重要なテーマについては「技術研究開発プロジェクト」を起こし、全社的な取り組みで短期間に開発を行い着実に成果をあげております。また、西松建設㈱との共同研究をはじめ、公的機関、大学、異業種企業、同業他社との技術交流、共同開発を積極的に推進して、多様な分野での研究開発の効率化を図っております。

当連結会計年度における研究開発費の総額は1,421百万円であり、セグメントごとの研究開発活動は以下のとおりであります。

 

(国内建築及び国内土木)

(1)建築環境関連技術

建設工事施工中に発生するCO2排出量を削減する活動を「低炭素施工システム(TO-MINICA)」と称し、全国の作業所で活用しております。

この活動の展開により平成29年度の作業所におけるCO2排出量は71,402t-CO2(基準年比62.9%減)、CO2排出量原単位は16.7t-CO2/億円(基準年比41.4%減)となりました。

平成29年10月には環境省が進める「エコ・ファースト制度」において、新たなエコ・ファーストの約束を環境大臣に提出し再認定を受けました。再認定では、当社が施工中に排出するCO2総量を2030年に1990年比70%削減、2050年には80%削減することなどを約束しております。2050年という長期に亘る地球環境保全の取り組みを推進しております。

さらに、この削減目標設定の取り組みが国際的イニシアチブであるSBTi(Science Based Targets Initiative)から、科学的根拠に基づくものであることが認められました。この認定は、日本の建設業界では初めてのことであります。

ZEB(ネット・ゼロエネルギー・ビル)の実現に向けて、環境配慮建築に対する各種要素技術を総合的に実験・検証するために、技術研究所に建設した「環境技術実証棟」において、建物外装の断熱手法、自然換気や昼光などの自然エネルギー利用、潜顕分離空調など省エネに寄与できる設備システム、また快適性など環境の品質を向上に資する技術要素について技術開発に取り組んでおります。

さらに、技術研究所においては、太陽光パネルや燃料電池からの供給電力を直流のまま供給し、省エネルギー等を図る「直流給電システム」や、省エネを図りながら満足感の向上させることを目的に、居住者の暑い・寒いなどの温冷感に応じて制御を行う「申告型空調システム」を開発・試験導入し、さらなる研究開発に取り組んでおります。

 

(2)生物多様性関連技術

植生や生物の地域特性を考慮し、緑化設計の妥当性を評価できる「生物多様性評価システム」、食品工場などの防虫対策に関するノウハウまとめた「防虫学校」を開発し、社内展開を図っております。

また、研究所敷地は、関東・水と緑のネットワーク拠点百選にも選出されており、研究所内における施設整備に合わせて、希少種を中心とした移植等による保護・保全手法の研究に取り組んでおります。

 

(3)放射性廃棄物処分の関連技術

放射性廃棄物処分関連技術としては、ベントナイトに関する技術の開発、地下深部での地震動測定と耐震性評価、海外情報調査、新規制基準制定に伴う学会標準改定の業務、原子力発電所の廃炉に関する調査などを実施しました。

 

(4)超高層建物構工法関連技術

超高層RC造では、SuperHRCシステムを積極的に採用し、建設中を含めて延べ57棟に適用しております。平成28年2月に竣工した55階建て超高層集合住宅では設計基準強度200N/mm2の超高強度コンクリートを採用しました。

コンクリート充填鋼管(CFT)造では、高強度のコンクリートを充填した鋼管に鉄筋を内蔵したSuper CFT造を開発し、構造評定を取得しました。設計施工で高さ178mの複合ビルや設計中の案件を含めて11棟の実績があります。

国土交通省の住宅・建築物技術高度化事業に参画し、構造設計・施工技術の向上を図っております。

 

(5)免震・制振技術

精密生産施設の微振動対策技術では、弾性すべり支承と剛すべり支承を用いた微振動対応型の免震工法に加え、新たに高層住宅の風対策や生産施設の微振動対策用にオイルダンパー付き弾性すべり支承を開発し、平成28年2月に生産施設に適用しております。

また、地震の揺れに応じて減衰係数を切り換え、小中地震から大地震まで幅広い範囲で揺れを抑えることが可能な「セミアクティブ免振技術」、電源を用いないで減衰のON/OFFを切り換える「自己復元型トリガー機構」を開発しております。

 

 

(6)BCP関連技術

東日本大震災の教訓を受け、BCM対策の核となるソリューション技術として建物の損傷を迅速かつ適格に評価可能な「ユレかんち」を展開しております。「ユレかんち」はIoT技術を実装したローコストなシステムであり、事務所、工場等の複数建物の一括監視を可能にしております。社内物件17棟、社外物件21棟に適用しております。

 

(7)天井脱落対策技術

在来工法天井の落下・脱落防止対策として「天井耐震クリップ工法」を開発し、技術審査証明を取得しました。また、特に重要な施設のBCM対策として「制震天井システム」や特定天井にも適用可能な高い耐震性能を有する「ペアロッククリップ」を開発しました。ペアロッククリップは平成28年9月より当社の施工現場で標準的に採用されております。

また、天井内に多数設置される斜め材の代わりに、門型の抵抗部材を集約して設置し、天井内に多くのスペースを確保しながら、高い耐震性能を実現する「門天工法」を開発しました。「門天工法」は、平成29年12月に日本建築センターの技術審査証明を取得しました。

 

(8)基礎・地盤関連技術

場所打ちコンクリート杭について、常時および地震時の支持力及び引抜き抵抗を向上させ基礎構造の減量化・合理化をはかるための「Me-A工法」を開発し、高層建物への適用など水平展開を進めております。平成30年1月時点で共研他社も含めて250件を超える実績があります。

杭基礎の安全性向上および施工性向上のため,鋼管コンクリート杭の杭頭接合部に角型の鋼板プレートを設置して構造性能および配筋の納まりを向上させた「鋼板補強型杭頭接合工法(TO-SPCap工法)」を開発し,日本建築総合試験所の技術性能証明を取得しました。現在3物件での採用が決まっております。

 

(9)建築仕上げ材料関連技術

高耐久性床、抗菌・防かび床、帯電防止床を開発し、実用化しております。また、臭気対策として「ゼオライト消臭塗料(オドキャッチャー)」、抗菌対策として光触媒技術を利用した抗菌コーティング材を開発し、病院等に展開しております。

また、木質材料の利用拡大を目指し、耐久性評価などの研究開発を進めております。

 

(10)建築生産システム関連技術

地上の施工技術では、施工BIMデータを活用した鉄骨自動計測システムの開発、すでに開発した自動計測、建入制御システム、仮ボルト不要接合工法を全支店に展開・活用を予定しております。ロボット技術では、SLAM技術を用いた自律搬送ロボを開発し、現場に導入します。今後垂直エレベータと連動した水平垂直自動搬送システムの完成を目指します。衛星測位を利用したタワークレーン自動誘導システムの機能向上と吊荷旋回制御装置の重量軽減を今期予定しております。また、鉄骨工事の完全自動化を目指し、鉄骨接合工法を既往の接合方法に囚われない新接合工法の研究に着手しました。

地下の施工技術では、水の凍結膨張圧を利用し、現場造成杭の余盛りコンクリートを低騒音、低振動、無粉塵で杭頭処理を行うことができる「凍結杭頭処理工法」の全支店展開、公共工事における総合評価落札方式の技術提案に評価され、技術点の高得点を得て、落札(受注)に寄与しております。また、解体工事ではコンクリート構造物の切断に適用する新切断技術に着手しました。

 

(11)ICT生産管理関連技術

ICT技術では、ICTおよびIoTを使い、現場の安全・品質の向上、施工効率を高めることを目的に、人工知能を活用した様々なシステム開発に着手しました。また、VR・AR・MRや画像処理技術を活用をした、コンテンツやシステムの開発を行っております。場内通信については、メッシュネットワークのシステム検証と、建設中の建築・土木工事で新しいネットワーク環境の研究を進めております。

 

 

(12)音響・遮音関連技術

ホールなどの大空間における音楽・講演等をより快適に聴くことのできる空間を提供する室内音響関連技術、交通騒音や隣室騒音等の聞きたくない音を低減する遮音関連技術の双方の研究開発を実施し、多くの実物件に適用しております。

防音壁などの先端部に取り付けることで大きな騒音低減効果が得られるエッジ効果抑制パネル「エッジサイレンサー」を開発し、工事中の騒音対策だけでなく本設にも適用し、日本音響学会技術開発賞を受賞しました。また、トンネル工事中の発破音の低減対策にも取り組んでおります。

集合住宅で問題となる重量床衝撃音に対して、天井内に敷設するだけで低減できる、床衝撃音低減材「サイレント・ドロップ」をフクビ化学工業㈱と共同開発しました。

さらに、近隣への設備騒音などの対策として、敷地境界における騒音予測システムを開発し社内展開を図っております。

 

(13)シールド関連技術

狭隘な都市域においてシールド発進立坑用地の確保を容易にした「省面積立坑システム」は、当社施工28件、他社施工分を含めると47件の現場適用実績を持ちます。下水道管きょの劣化防止を目的とした「シールドトンネル内面被覆工法」は、民間6社で共同研究を実施し、(公財)日本下水道新技術機構の技術審査証明を取得済みであります。さらに、シールド工法の分野では工事で発生する自然由来の重金属汚染土を浄化するシステムや高性能裏込め材注入システムの開発をするとともに、推進工法の分野では推進工法を応用した「交差点アンダーパス工法」、「非開削トンネル構築工法」等の技術を開発し、営業展開、現場適用に取り組んでおります。国内で9件しかないφ3500mm以上の超大口径管推進工事においては、そのうち2件を当社が施工しております。

 

(14)山岳トンネル技術

増加基調の山岳トンネル工事に対応する技術として、覆工品質の向上、支保・補助工法技術の改良、調査計測技術の高度化、環境負荷低減技術、自動化・高速施工技術の開発に部門横断組織で積極的に取り組んでおります。覆工品質の向上については、補強材や養生等によるひび割れ低減技術の開発、覆工コンクリート充填・締固めセンサの開発、支保技術の改良については、増粘剤を添加してリバウンドを抑制した吹付けコンクリートの開発、補助工法技術の改良については、土砂地山に適用可能なフォアプレート工法(鉄矢木打設装置)の開発、防水シート損傷の要因となるロックボルト頭部をなくした突起レスロックボルトの開発を行っております。調査計測については、切羽前方の地山を可視化するDRiスコープの開発、地山の3次元の変形に時間を考慮して変形予測を行う4DスーパーNATMの開発、環境負荷低減技術については、坑内環境自動制御システムの開発、発破低周波音低減技術の開発、および粉じん低減のためのミスト工法の開発に取り組んでおります。また、開発済みの拡底ロックボルトやNT-Support(脚部補強工)、TDEM探査法は現場適用に展開しております。さらに、生産性向上を目指した自動化・高速施工技術として、自動吹付けシステムの開発や、マシン本体の拘束リスクを低減できる縮径TBMの開発に取り組んでおります。

 

(15)コンクリート技術

設計基準強度200N/mm2 の超高強度コンクリートや、収縮を低減させることでひび割れを防止し高耐久化を図るコンクリート(低収縮コンクリート)の開発・現場適用を行っております。さらに、収縮をほとんどゼロにした極低収縮コンクリートを共同開発し、現場適用を行いました。

品質管理に関して、コンクリートの現場受入時の品質管理システムやコンクリート施工時の打重ね時間管理システムを構築しました。また、(独)土木研究所との共同研究である「ボス供試体によるコンクリート構造物の品質検査法」については、(一社)日本非破壊検査協会の微破壊試験の規格として制定され、国土交通省地方整備局の橋梁直轄工事に採用されております。

既設コンクリート構造物の健全度評価技術として、透気・透水試験器を用いた評価方法や小径のコア内で強度を推定する「孔内局部載荷試験」を開発し、実際の調査・点検業務に展開しております。

 

 

(16)リニューアル技術

既設トンネル等の補修補強工法として、新しい無機系繊維材料を用いた「BFP修繕工法」を開発しました。本工法は連続繊維をプレート状に加工し、トンネル覆工内面に設置することで耐荷性や変形性能を向上させる工法であり、鉄道トンネルを主体として現場展開しております。

 

(17)基盤整備関連技術

わが国の持続的発展を図る上で、社会基盤整備は急務の課題であり、それらを支援するために各種の技術提案及び開発を実施しております。オーバーパスに対応した立体交差急速施工技術「すいすいMOP工法」(2現場竣工済)、アンダーパスに対応した非開削トンネル構築技術「さくさくJAWS工法」(鉄道工事に採用)、鉄道連続立体高架の工期短縮を実現するプレキャストアーチ式高架橋「すいすいSWAN工法」、開削地下構造物の急速構築技術「さくさくSLIT工法」を積極的に提案展開しております。老朽インフラ更新技術、排泥量削減を目指した地盤掘削技術「気泡掘削工法」及び「特殊ポリマー安定液工法」など、持続可能で災害に強い基盤整備に資する施工技術の向上を目指しております。また、大規模加速器計画などの地下岩盤利用分野についても積極的に取り組んでおります。

 

(18)医療施設関連技術

病院内の臭気対策として「ゼオライト消臭塗料(オドキャッチャー)」を開発し、さらに、光触媒技術の利用をはじめとした「院内感染対策トイレシステム」を開発しております。その他、手術室、病室のレイアウト検討のためにバーチャルリアリティ(VR)技術を使った「病院VRシステム」を開発しております。

また、無線通信技術を利用した次世代病院向け照明システム「スマートホスピタルライティングシステム」を開発し、埼玉県立がんセンターをはじめ、複数の病院等に導入しております。

 

(その他)

(1)再生可能エネルギー関連技術

鋼とコンクリートを複合利用した浮体式洋上プラットフォームの技術を共同開発し、風力発電に応用、環境省による「浮体式洋上風力発電実証事業委託業務」を受託し、平成25年度には実証機(2MW)の実海域設置を成功させ、平成27年度に予定通り実証事業を終了しました。平成28年度には日本初の実用化を実現し、発電事業として運転データを収集し、制御、設計技術に反映しております。また、コスト削減のための量産化や施工合理化、係留、調査、O&Mなど、普及拡大に向けた技術開発を継続しております。

 

(2)農業関連技術

茨城県常総市内に農業実証ハウス「TODA農房」を建設し、土地整備関連事業等における提案技術の一つとして、主に施設園芸農業の事業化や園芸ハウスの建設等に関する技術開発を開始しました。

 

(3)連結子会社における研究開発の主なもの

オフショアウィンドファームコンストラクション(同)において、環境省の「低炭素型浮体式洋上風力発電低コスト化・普及促進事業」の補助を受けて浜出船を建造し、平成30年3月に完成しました。平成30年度は浜出船等を活用して実証施工を行い、浮体式洋上風力発電施設の建設費の低コスト化及び施工の低炭素化を検証します。

 

(投資開発及び国内グループ会社)

研究開発活動は特段行われておりません。