「第2 事業の状況」、「第3 設備の状況」における各事項の記載については、消費税等抜きの金額で表示しております。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
VUCA(Volatility:変動性、Uncertainty:不確実性、Complexity:複雑性、Ambiguity:曖昧性)の時代と言われるように、当社グループを取り巻く経営環境は変化が激しく、先行きにも不透明感が急速に増しております。特に、現下の新型コロナウイルス感染拡大の影響は、業績面はもとより、中長期的観点からはビジネスモデルにおけるパラダイムシフトとなることが予測されています。また、気候変動や資源不足、人口構造の変化等に伴う社会的課題の解決に向けて積極的に取り組むなど、社会価値(ESG・SDGs)と経済価値を重視した経営が求められております。
加えて、本5ヵ年は(仮称)新TODAビル(本社ビル)の施工など、新たな収益基盤構築のための「変革フェーズ」となります。
このような認識のもと当社グループは「中期経営計画2024」を策定し、常なる改革を行い、自ら変わり続けていくこと(Transform)によって持続的成長を実現してまいります。
・「高付加価値競争」を通じた事業活動の継続進化と企業価値の向上 -Resilient-
ア.グローバリゼーション
:世界に通用するマネジメントと人財・業務・組織体制の確立
イ.ブランディング
:ステークホルダーへの情報発信と評価による自己変革
:無形資産等の形成・活用による差別化価値の創造
※ 無形資産等:情報や技術・ノウハウ、人財育成、ESG・SDGs経営における取組成果等、社会的に有用かつ当社グループのブランド力強化に不可欠となる資産
ア.連結売上高・営業利益等
※労働生産性=付加価値額(営業利益+総額人件費)÷社員数(期中平均、派遣社員等を含む)
イ.事業別売上高・利益
※ 新領域は、エネルギー関連事業及びその他新規事業
※ [ ]は利益率
ウ.株主還元
・自己資本配当率(DOE)及び配当性向を総合的に勘案の上、継続的・安定的な株主還元を実施する。
※ 自己資本配当率(DOE) = 配当総額÷自己資本
エ.投資計画
ア.安全性・生産性No.1
・設計段階・計画段階においてフロントローディングによる事前検証を徹底する。
・機械化施工、新技術・ICT利活用、行動分析・可視化等に基づく施策を実行する。
・潜在意識まで届く安全教育(危険予知(KY)、脳科学、行動心理学等)を実施する。
イ.高付加価値の提供
a.建設事業(建築事業・土木事業)
・注力分野における差別化価値を獲得する。
・デジタルトランスフォーメーション(BIM/CIM、i-Construction等)による、新たなビジネスモデルを創出
する。
・海外工事拡大に向けた体制の整備を通じて、全社的な施工能力・収益力の向上を図る。
b.戦略事業
・「投資開発」「新領域」「グループ会社」への重点投資を実行し、収益基盤のグローバル化・多角化・多
様化を推進する。
・(仮称)新TODAビル(施工中、2024年竣工予定)においてスマートオフィス化を志向し、これを通じて新
たな価値提供(BaaS:Building as a Service)を実現する。
ウ.企業価値の向上に向けたESG・SDGs経営の実践
・脱炭素化・資源循環・環境保全・地域活性化に向けた課題解決型企業活動を実践する。
・TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)最終報告書における推奨開示項目に従い、複数シナリオにより気候変動に伴うリスクと機会を分析する。
・多様・多彩な人財を育成・確保するとともに、労働環境整備及び働き方改革を推進し、組織能力の強化を図る。
・リスクマネジメント(環境、自然災害、投資、コンプライアンス等)を強化し、これらの知見を活かした技術開発、製品・サービス化を推進する。
※ CO2排出削減目標は、パリ協定の2℃目標に整合する科学の根拠に基づく削減目標(SBT)を設定し、2017年に「SBT(Science-based Targets)イニシアチブ」の認定を受けている。
※ 全度数率=全労働災害÷延労働時間(100万時間)
※ リスク評価実施率:投資委員会による投資案件(経営会議決裁案件)の定量・定性評価と出口戦略の
実施・遂行状況
(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
今後の経済情勢については、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により、極めて厳しい状況が続くと見込まれます。建設業界においては、インフラ整備を中心とした公共事業投資が期待されるものの、民間設備投資については先行きの不透明感による縮小が想定されます。また、雇用環境の変化による労務逼迫に加え、サプライチェーンの機能低下に伴う資材供給停滞、感染防止対策の実施等により、進捗度及び収益性への影響が懸念されます。
当社をとりまく環境として、今後、建設投資の大きな増加は見込めない中、気候変動、資源不足、人口構造の変化など経営環境の変化は激しさを増しています。そのような状況において技術力をもって建設業を極めること、また、新たな領域に挑戦し中長期的な事業基盤を構築することが持続的成長には不可欠であるという認識のもと、上記の「中期経営計画2024」を推進し、企業戦力と価値の向上、事業活動の活性化を図ってまいります。
当社グループの事業に関するリスクについて、経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のある主な事項には、以下のようなものがあり、これらのリスクの発生の頻度や影響度合を認識した上で、リスクの発生回避とリスクが発生した場合の対策を以下のように考えております。また、当社におけるリスク管理の体制と枠組みについては、「第4 提出会社の状況、4 コーポレート・ガバナンスの状況等、(1)コーポレート・ガバナンスの概要、③企業統治に関するその他の事項」に記載しております。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2020年7月10日)現在において当社グループが判断したものであります。
(注)※印はリスクとなる事象が既に発生しつつあり、徐々に影響度合が高まっていくことを認識しております。
当社グループは、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、初期段階では災害対策本部において、策定済の「感染症対策基本マニュアル」に基づき、全社的な対応体制を整えました。さらに、対応の長期化に備え、新しい生活様式の実践・定着も視野に常設組織として新型コロナウイルス対策委員会を設置し、政府や自治体をはじめ関係機関の方針に基づき、当社グループ社員・協力会社社員への感染防止及び感染拡大の阻止に向けた対応を推進しております。
(これまでの経過)
当社グループでは、2020年2月19日より全社的な感染防止の対応を開始し、日常的な感染防止の他、在宅勤務、時差出勤の実施、作業所での感染防止対応を行ってまいりました。
さらに、4月7日の新型インフルエンザ等対策特別措置法第32条に基づく緊急事態宣言発令(以下「緊急事態宣言」という。)を受け、それまで首都圏の本支店を対象にしていた原則在宅勤務の方針を全店に拡大するなど全社的な対応を強化しました。
その後、首都圏を中心に感染状況が一段と厳しさを増す状況を鑑み、4月15日から5月6日までの期間、緊急事態宣言の対象地域である7都府県で施工中の作業所につきまして、原則として閉所といたしました(4月17日に対象地域を全国に拡大)。
5月7日以降につきましては、対応の長期化が見込まれる中、閉所による発注者・協力会社等関係者への影響を鑑み、独自の指針に基づいた感染防止対策をさらに徹底した上で、可能な限りすみやかに工事の再開を図る方針とし、発注者・協力会社等との協議を適宜行い、対策を完了した作業所から工事を再開しております。
5月25日までに緊急事態宣言は全国で解除されましたが、感染の第2波の到来も懸念され、対応の長期化が想定される中、当社グループ事業におきましても、世界的な景気の減退による受注環境の悪化、対策実施コストの増加や工期の遅延などによる工事利益の減少等、厳しい状況が続くことも想定されます。当社グループは、今後も引き続き社内外での感染防止対策を徹底することにより、事業継続ならびに業績への影響の最小化に取り組んでまいります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
ア. 財政状態の状況
当連結会計年度末の資産合計は、有価証券が200億円増加しましたが、受取手形・完成工事未収入金等が622億円、投資有価証券が209億円減少したことなどにより、前連結会計年度末と比較して331億円減少の6,345億円(5.0%減)となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、短期借入金が150億円増加しましたが、コマーシャル・ペーパーが500億円、支払手形・工事未払金等が139億円減少したことなどにより、前連結会計年度末と比較して374億円減少の3,610億円(9.4%減)となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上258億円などにより、前連結会計年度末と比較して43億円増加の2,734億円(1.6%増)となり、自己資本比率は42.7%となりました。
イ. 経営成績の状況
当連結会計年度の連結売上高につきましては、前連結会計年度比1.6%増の5,186億円となりました。
営業損益につきましては、売上総利益が703億円と前連結会計年度比4.8%増加となったことにより、販売費及び一般管理費が351億円と前連結会計年度比7.7%増加したものの、営業利益は352億円と前連結会計年度比2.1%増加となりました。
経常損益につきましては、382億円の経常利益(前連結会計年度比2.1%増)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、258億円(前連結会計年度比1.0%増)となりました。
各セグメントにおける業績は以下のとおりであります。
なお、各セグメントの業績につきましては、セグメント間の内部売上高又は振替高を含めて記載しておりま
す。
売上高は3,486億円(前連結会計年度比3.2%減)となり、セグメント利益(営業利益)は208億円(前連結会計年度比18.3%減)となりました。
当社個別の受注高につきましては、民間工事が前連結会計年度比19.0%減少したことにより、全体では3,148億円と、前連結会計年度比17.5%減となりました。
売上高は1,138億円(前連結会計年度比13.5%増)となり、セグメント利益(営業利益)は106億円(前連結会計年度比5.1%減)となりました。
当社個別の受注高につきましては、民間工事が前連結会計年度比170.9%増加したものの、官公庁工事が前連結会計年度比42.9%減少したことにより、全体では1,502億円と、前連結会計年度比3.6%減となりました。
売上高は144億円(前連結会計年度比34.1%増)となり、セグメント利益(営業利益)は39億円(前連結会計年度比111.8%増)となりました。
売上高は522億円(前連結会計年度比15.9%増)となり、セグメント利益(営業利益)は20億円(前連結会計年度比27.6%増)となりました。
(新領域事業)
売上高は3億円(前連結会計年度比63.5%増)となり、セグメント損失(営業損失)は11億円(前連結会計年度8億円のセグメント損失)なりました。
(海外事業)
売上高は183億円(前連結会計年度比3.1%増)となり、セグメント損失(営業損失)は2千万円(前連結会計年度は40億円のセグメント損失)となりました。
当社の個別の受注高につきましては、25億円となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ288億円増加し、1,254億円となりました。
営業活動によるキャッシュフローは、772億円の資金増加(前連結会計年度は283億円の資金減少)となりました。税金等調整前当期純利益が389億円となり、仕入債務の減少により104億円、法人税等の支払により157億円の資金が減少しましたが、売上債権の減少により623億円の資金が増加したことが主な要因です。
投資活動によるキャッシュフローは、217億円の資金減少(前連結会計年度は244億円の資金減少)となりました。有形固定資産の売却により3億円、投資有価証券の売却及び償還により49億円の資金が増加しましたが、有形固定資産の取得により190億円、無形固定資産の取得により13億円、投資有価証券の取得により52億円の資金が減少したことが主な要因です。
財務活動によるキャッシュフローは266億円の資金減少(前連結会計年度は490億円の資金増加)となりました。短期借入金の増加により151億円、社債の発行により101億円の資金が増加しましたが、コマーシャルペーパーの償還により500億円、配当金の支払により61億円の資金が減少したことが主な要因です。
当社グループが営んでいる事業の大部分を占める建築事業、土木事業(以下「建設事業」という。)及び投資開発事業では生産実績を定義することが困難であり、かつ建設事業においては請負形態をとっているため販売実績という定義は実態にそぐいません。
また、当社グループにおいては建設事業以外では受注生産形態をとっておりません。
よって、「生産、受注及び販売の状況」に記載すべき項目は可能な限り、「① 財政状態及び経営成績の状況」において、セグメントごとに記載しております。
なお、当社グループの営む事業の大部分を占める、提出会社の建設事業の状況は次のとおりであります。
(注) 1 前期以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含みます。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれます。
2 次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高―当期完成工事高)に一致します。
(注) 百分比は請負金額比であります。
ウ. 完成工事高
(注) 完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。
前事業年度の完成工事のうち請負金額20億円以上の主なもの
当事業年度の完成工事のうち請負金額20億円以上の主なもの
3 完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりであります。
前事業年度
完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先はありません。
当事業年度
完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先はありません。
④ 次期繰越工事高(2020年3月31日現在)
(注) 次期繰越工事のうち請負金額20億円以上の主なものは、次のとおりであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度の連結売上高につきましては、主に投資開発事業等の売上高が増加したことにより前連結会計年度比1.6%増の5,186億円となりました。
営業損益につきましては、主に投資開発事業等の売上総利益が増加したことなどにより、売上総利益は703億円と前連結会計年度比4.8%増加となりました。また、販売費及び一般管理費につきましては、351億円と前連結会計年度比7.7%増加したものの、営業利益は352億円と前連結会計年度比2.1%増加となりました。
経常損益につきましては、受取利息及び保有する投資有価証券の受取配当金等により、382億円の経常利益(前連結会計年度比2.1%増)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、固定資産廃棄損等が発生しましたが、投資有価証券売却益等により、258億円(前連結会計年度比1.0%増)となりました。
各セグメントの状況及び分析は、以下の通りとなります。
なお、売上高にはセグメント間の内部売上高等を含めて記載しております。また、セグメント利益欄の( )はセグメント利益率を示します。
(国内建築事業)
当連結会計年度は、売上高が3,486億円と、前連結会計年度より3.2%減少しました。また、セグメント利益率が6.0%と、前連結会計年度より1.1ポイント減少しました。利益率の高い大型工事の進捗が一巡したこと等が影響し、売上高、セグメント利益ともに減少しております。
当連結会計年度の主な取り組みとしては、作業所におけるICTの活用や設計から施工、維持管理迄の一貫したBIM取り組みを加速させるために、フロントローディング推進体制の強化や、現場におけるBIM利用環境整備等を行いました。今後、更に取り組みを推進し、高付加価値の実現へと繋げて、競争力を強化し、病院、学校、高付加価値オフィス、物流施設、再開発等の分野に注力してまいります。
(国内土木事業)
当連結会計年度は、売上高が1,138億円と、前連結会計年度より13.5%増加しました。豊富な手持工事の堅調な進捗により売上高が増加しております。一方、セグメント利益率は9.3%と前連結会計年度より1.9ポイント減少しました。利益率の高い追加工事等の獲得が前連結会計年度より少なかったことが影響し、利益率としては下がっているものの、各工事の全体的な利益向上により、前連結会計年度並みの利益額となりました。
当連結会計年度の主な取り組みとしては、組織的な施工支援の拡充を行うとともに、トンネル工事でのICT施工の活用により、省力化、無人化への検証を進める等、生産性向上に向けた施策を実施しました。翌連結会計年度においては、豊富な手持ち工事を計画的に進捗させる中で、作業所における新技術の積極的な採用や技術開発を行ってまいります。
(投資開発事業)
当連結会計年度は、売上高144億円と、前連結会計年度より34.1%増加しました。また、セグメント利益が39億円と、前連結会計年度より111.8%増加しました。販売用不動産の売却により売上高、セグメント利益ともに向上しております。
当連結会計年度の主な取り組みとしては、国内賃貸事業では前連結会計年度に取得した大阪府大阪市の賃貸ビルのバリューアップ工事が竣工し、テナントの誘致に繋げており、当社保有不動産の有効活用では旧工作所跡地(東京都江東区)における開発計画の具体化を進めております。また、施工中の(仮称)新TODAビル開業に向けた計画を進めると共に、新ビル運営に向けた体制整備を推進しております。
(国内グループ会社事業)
当連結会計年度は、売上高が522億円と前連結会計年度より15.9%増加し、セグメント利益も20億円と、27.6%増加しました。土木工事における追加工事の獲得や、リニューアル工事において大型案件の取り組み強化を行ったことにより、売上高、セグメント利益ともに増加しております。
今後も、グループ各社とのシナジーや相互補完、M&Aによる業容拡大により、グループ力を高めてまいります。
(新領域事業)
当連結会計年度は、浮体式洋上風力発電事業において、売電収益に比して研究開発に要する支出が先行していること等から、セグメント損失は11億円となりました。
当連結会計年度においてTODA農房(同)を設立する等、茨城県常総市における農業6次産業化の取り組みも進展しております。新たな収益基盤の構築に向けて積極的に取り組んでまいります。
(海外事業)
当連結会計年度は、売上高は183億円と横ばいでしたが、一部工事の採算悪化等による影響が無くなったこと等によりセグメント損失は2千万円となりました。
業績回復に向けて、既存事業の組織体制の再構築、明確なビジョンに基づく人材育成、収益源の確保に向けた取り組みを行い、安定的な利益を生み出せる事業構造を構築してまいります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については以下のとおりであります。
(キャッシュ・フローの状況)
「第2 事業の状況」「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」「(1) 経営成績等の状況の概要」の「② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
(資金需要)
当社グループにおける主な資金需要は、運転資金として工事施工に要する外注費等の工事費用および販売費及び一般管理費並びに設備投資資金です。
設備投資の概況については「第3 設備の状況」の「1 設備投資等の概要」をご参照ください。
(資金の流動性)
当社グループは、主要な連結子会社にキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を導入し、日本国内のグループ内資金を一元管理しています。各グループ会社のキャッシュ・フローを集中することで資金の流動性を確保し、また、機動的かつ効率的にグループ内で配分することにより、リスク管理の強化および金融負債の極小化を図っています。
(資金調達の状況)
主に営業活動によるキャッシュ・フロー、金融機関等からの借り入れおよび社債の発行により資金を調達しております。重要な設備投資に係る資金調達方法については「第3 設備の状況」の「3 設備の新設、除却等の計画」をご参照ください。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす仮定及び見積りを用いておりますが、これらの仮定及び見積りに基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」及び「同 注記事項(追加情報)」に記載しております。
特記事項はありません。
当社グループは、社会、顧客及び社内各部門のニーズやCSRに的確に応えるため、技術開発センターを中心に技術部門の総力を結集して、基礎的研究から新製品開発までの幅広い研究開発活動を行っております。特に重要なテーマについては「技術研究開発プロジェクト」を起こし、全社的な取り組みで短期間に開発を行い着実に成果をあげております。また、西松建設㈱との共同研究をはじめ、公的機関、大学、異業種企業、同業他社との技術交流、共同開発を積極的に推進して、多様な分野での研究開発の効率化を図っております。
当連結会計年度における研究開発費の総額は
(国内建築及び国内土木)
(1)建築環境関連技術
当社は「エコ・ファースト企業」として環境大臣と当社が施工中に排出するCO2総量を2030年に1990年比70%削減、2050年には80%削減することなどを約束しております。2019年度の作業所におけるCO2排出量は75,041t-CO2(基準年比61%減)、CO2排出量原単位は14.78t-CO2/億円(基準年比48.2%減)となりました。
建設工事施工中に発生するCO2排出量を削減する活動を「低炭素施工システム(TO-MINICA)」と称し、全国の作業所で活用しております。
こうした活動は外部からも評価されており、全世界の企業の環境活動を評価するCDPイニシアチブからは、最高評価である「気候変動A List」に2018年、2019年と連続して選ばれました。また、2019年1月には、事業運営における電力を100%再生可能電力で調達する取り組みである、RE100にも加盟し、気候変動対策への取り組みをさらに強化しました。同年5月には、TCFD(気候変動関連財務情報開示タスクフォース)に賛同し、気候変動関連のリスクと機会について積極的に開示しています。
ZEB(ネット・ゼロエネルギー・ビル)の実現に向けて、環境配慮建築に対する各種要素技術を総合的に実験・検証するために、技術研究所に建設した「環境技術実証棟」において、建物外装の断熱手法、自然換気や昼光などの自然エネルギー利用、潜顕分離空調など省エネに寄与できる設備システム、また快適性など環境の品質を向上に資する技術要素について技術開発に取り組んでおります。
さらに、技術研究所においては、構造・施工実験棟屋上に4種類の太陽光パネルを設置し、所内の省エネルギーを図るとともに、発電効率、天候や気温による性能、パネルの経年劣化、ライフサイクルコストの違いなどの比較検討を進めております。
(2)生物多様性関連技術
植生や生物の地域特性を考慮し、緑化設計の妥当性を評価できる「生物多様性評価システム」、食品工場などの防 虫対策に関するノウハウまとめた「防虫学校」を開発し、社内展開を図っております。
また、関東・水と緑のネットワーク拠点百選にも選出されている研究所敷地には、新たに地域性在来植物のみで構 成されたビオトープ「つくば再生の里」を整備し、希少種・自生種などの保護・保全手法の研究に取り組んでおります。
(3)放射性廃棄物処分の関連技術
放射性廃棄物処分関連技術としては、ベントナイトに関する技術の開発、地下深部での地震動測定と耐震性評価、海外情報調査、新規制基準制定に伴う学会標準改定の業務、原子力発電所の廃炉に関する調査などを実施しました。
(4)超高層建物構工法関連技術
超高層RC造では、SuperHRCシステムを積極的に採用し、建設中を含めて延べ57棟に適用しております。2016年2月に竣工した55階建て超高層集合住宅では設計基準強度200N/mm2の超高強度コンクリートを採用しました。また、現在施工中の35階建て超高層集合住宅では、西松建設㈱と共同開発したコンクリート強度打ち分けプレキャスト梁工法(フュージョンビーム工法)を採用し、施工の効率化を図っております。
コンクリート充填鋼管(CFT)造では、鉄筋を内蔵した鋼管に高強度の超コンクリートを充填した高強度Super CFT造を開発し、構造評定を取得しました。設計施工で高さ178mの複合ビルや設計中の案件を含めて11棟の実績があります。
(5)免震・制振技術
地震の揺れに応じて減衰性能を電気的に切り換え、小中地震から大地震まで幅広い範囲で揺れを抑えることが可能な「セミアクティブ免振技術」、電源を用いないで減衰のON/OFFを切り換える「自己復元型トリガー機構」を開発しております。また、想定外の大地震に対して免震建物が周囲の擁壁などと衝突した場合の安全性や、津波や洪水などに対する免震構造の水害対策についても研究開発を進めております。
精密生産施設の微振動対策技術では、「オイルダンパー付き弾性すべり支承」を開発し、2016年2月に生産施設に適用しております。
(6)BCP関連技術
東日本大震災の教訓を受け、地震後の建物の損傷を迅速かつ的確に評価可能な地震モニタリングシステム「ユレかんち」を、BCPのためのソリューション技術として展開しております。「ユレかんち」はIoT技術を応用したローコストなシステムであり、遠隔地から事務所、工場等の複数建物の一括監視を可能にしております。社内物件23棟、社外物件57棟に適用しております。
(7)天井脱落対策技術
在来工法天井の落下・脱落防止対策として「天井耐震クリップ工法」を開発し、技術審査証明を取得しました。また、特定天井にも適用可能な高い耐震性能を有する「ペアロッククリップ」を開発し、2016年9月より当社の施工現場で標準的に採用されております。
また、天井内に多数設置される斜め材の代わりに、門型の抵抗部材を集約して設置し、天井内に多くのスペースを確保しながら、高い耐震性能を実現する「門天工法」を開発しました。「門天工法」は、2017年12月に日本建築センターの技術審査証明を取得し、現在2物件での採用が決まっております。
(8)基礎・地盤関連技術
場所打ちコンクリート杭について、常時及び地震時における支持力及び引抜き抵抗を向上させ基礎構造の減量化・合理化をはかるための「Me-A工法」を開発し、高層建物への適用など水平展開を進めております。2020年3月時点で共研他社も含めて370件を超える実績があります。
山留め壁の本設利用技術である「RCS合成壁/杭工法の剛性構造としての性能(TO-SCW工法)」及び「PSPⅡ工法-芯材を有するソイルセメント改良体工法-」を改良し,ベターリビングの評定及び日本建築総合試験所の性能証明を取得しました。現在改良後3物件での採用が決まっております。
(9)建築仕上げ材料関連技術
高耐久性床、抗菌・防かび床、帯電防止床を開発し、実用化しております。また、臭気対策として「ゼオライト消臭塗料(オドキャッチャー)」、抗菌対策として光触媒技術を利用した抗菌コーティング材を開発し、病院等に展開しております。
また、木質材料の利用拡大を目指し、積極的に技術研究所内に採用するとともに、耐久性評価などの研究開発を進めております。
(10)建築生産システム関連技術
地上の施工技術では、施工BIMデータを活用した鉄骨自動計測システムの開発、すでに開発した自動計測、建入 制御システム、仮ボルト不要接合工法の改良を行い、全支店に展開・活用を予定しております。ロボット技術で は、SLAM技術を用いた自律搬送ロボを開発し、現場に導入します。今後、エレベータと連動した水平垂直自動搬送システムの完成を目指します。BIMや衛星測位を利用した3次元タワークレーン自動誘導システムの開発、吊荷旋回制御装置の大型化を今後予定しております。
地下の施工技術では、水の凍結膨張圧を利用した現場造成杭の余盛りコンクリートを低騒音、低振動、無粉塵で杭頭処理を行うことができる「凍結杭頭処理工法」を全支店展開し、公共工事における総合評価落札方式の技術提案に評価され、技術点の高得点を得て、落札(受注)に寄与しております。2020年3月時点で408本の実績があります。また、解体が困難なマスコンクリート構造物を効率よく解体する工法の開発に着手しました。
(11)ICT生産管理関連技術
ICT及びIoT技術を活用し、現場の安全・品質の向上、施工効率を高めることを目的に、人工知能を活用した様々なシステム開発に着手しました。また、AR・MR等の画像処理技術を活用したコンテンツやシステムの開発を行っております。場内通信については、無線メッシュネットワークのシステム検証と、建設中の建築・土木工事で新しいネットワーク環境の研究を進めております。
また、建築現場の作業者に対する熱中症の防止などを目的として、生体情報や周囲環境(作業環境)をヘルメット取り付け型センサデバイスでリアルタイムに監視する「作業者安全モニタリングシステム」を㈱村田製作所と共同で開発し、展開を図っています。
(12)音響・遮音関連技術
ホールなどの大空間における音楽・講演等をより快適に聴くことのできる空間を提供する室内音響関連技術、交通騒音や隣室騒音等の聞きたくない音を低減する遮音関連技術の双方の研究開発を実施し、多くの実物件に適用しております。
防音壁などの先端部に取り付けることで大きな騒音低減効果が得られるエッジ効果抑制パネル「エッジサイレンサー」を開発し、工事中の騒音対策だけでなく本設にも適用し、日本音響学会技術開発賞を受賞しました。
集合住宅で問題となる重量床衝撃音に対して、天井内に敷設するだけで低減できる、床衝撃音低減材「サイレント・ドロップ」をフクビ化学工業㈱と共同開発し、建材設備大賞を受賞しました。
また、敷地境界における騒音予測システムを開発し社内展開を図るとともに、音に関する様々な事象を高精度に体験できるよう、技術研究所内の音場シミュレーターを拡張・更新しております。
(13)シールド関連技術
シールド工法の分野では、狭隘な都市域において発進立坑用地の確保を容易にするために開発した「省面積立坑システム」は、当社施工28件、他社施工分を含めると47件の現場適用実績を持ちます。地盤変状の抑制を目的に開発した「掘進停止時裏込め注入システム」、気泡シールドで使用する安全性・経済性に優れる新たなる気泡剤「LT2」及びシールドの発進到達の効率化を図った「バサルト繊維を用いた仮壁直接切削技術」に関しては実用化を図るとともに、効率化・品質向上を図る目的でAIを活用した「AI Transformシールド」の開発も進めております。また、推進工法の分野では、呼び径3500を超える超大口径推進工事の実績を積み上げるとともに、推進工法を応用した「交差点アンダーパス工法」、「非開削トンネル構築工法」等の技術を開発し、営業展開、現場適用に取り組んでおります。
(14)山岳トンネル技術
増加基調の山岳トンネル工事に対応する技術として、覆工品質の向上、支保・補助工法技術の改良、調査計測技術の高度化、環境負荷低減、自動化・高速施工などに係る技術開発及び現場適用に積極的に取り組んでおります。
覆工品質の向上については、覆工コンクリートの充填センサである「ジュウテンミエルカ」の開発が完了し、打設状況の可視化ツールとして一般販売を開始しました。支保・補助工法技術については、吹付けリバウンドが低減できる「Me吹付けコンクリート」、ロックボルト軸力が可視化できる「Eye Washer」、防水シートの損傷防止に寄与する「突起レスロックボルト」、脚部補強工の「NT-Support」の現場適用に取り組んでいます。調査計測における切羽前方地山の可視化ツールとして開発した「DRiスコープ」は、2017岩の力学連合会フロンティア賞を受賞し、さらなる現場適用を推進しています。環境負荷低減技術についても、帯電ミストを用いた粉じん抑制技術や発破低周波音抑制技術の開発を行い現場適用に取り組んでいます。また、生産性向上を目指した自動化・高速施工技術としては、自動吹付けシステム、覆工打設管理システム、防水シート台車及び覆工セントルの自動レール設置システム、コンピュータジャンボの穿孔データを活用した地山評価技術や発破設計技術などの開発に取り組んでいます。
(15)コンクリート技術
設計基準強度200N/mm2 の超高強度コンクリートや、収縮を低減させることでひび割れを防止し高耐久化を図るコンクリート(低収縮コンクリート)の開発・現場適用を行っております。さらに、収縮をほとんどゼロにした極低収縮コンクリートを共同開発し、複数の現場適用を行いました。また、コンクリート工事の生産性及び品質を向上する高機能性流動化剤を開発し、全国に適用を開始しています。
品質管理に関して、コンクリートの現場受入時の品質管理システムやコンクリート施工時の打重ね時間管理システムを構築しました。また、(独)土木研究所との共同研究である「ボス供試体によるコンクリート構造物の品質検査法」については、JIS規格として制定され、国土交通省地方整備局の橋梁直轄工事に採用されております。
既設コンクリート構造物の健全度評価技術として、透気・透水試験器を用いた評価方法や小径のコア内で強度を推定する「孔内局部載荷試験」を開発し、実際の調査・点検業務に展開しております。
(16)インフラ再生技術
既設トンネル等の補修補強工法として、新しい無機系繊維材料を用いた「BFP修繕工法」を開発しました。本工法は連続繊維をプレート状に加工し、トンネル覆工内面に設置することで耐荷性や変形性能を向上させる工法であり、鉄道トンネルを主体として現場展開しております。また、高速道路等の「既設床版架替えに係る新型継手工法」を開発中であり、今後、老朽化したインフラ再生技術の開発について積極的に取り組んでいきます。
(17)基盤整備関連技術
わが国の持続的発展を図る上で、社会基盤整備は急務の課題であり、それらを支援するために各種の技術提案及び開発を実施しております。オーバーパスに対応した立体交差急速施工技術「すいすいMOP工法」(2現場竣工済)、アンダーパスに対応した非開削トンネル構築技術「さくさくJAWS工法」(鉄道工事に採用)、鉄道連続立体高架の工期短縮を実現するプレキャストアーチ式高架橋「すいすいSWAN工法」、開削地下構造物の急速構築技術「さくさくSLIT工法」を積極的に提案展開しております。液状化対策技術「ハイグリップグラウト工法」、排泥量削減を目指した地盤掘削技術「気泡掘削工法」及び「特殊ポリマー安定液工法」など、持続可能で災害に強い基盤整備に資する施工技術の向上を目指しております。また、大規模加速器計画などの地下岩盤利用分野についても積極的に取り組んでおります。
(18)医療施設関連技術
病院内の臭気対策として「ゼオライト消臭塗料(オドキャッチャー)」を開発し、さらに、光触媒技術の利用をはじめとした「院内感染対策トイレシステム」を開発しております。その他、手術室、病室のレイアウト検討のためにバーチャルリアリティ(VR)技術を使った「病院VRシステム」を開発しております。
また、無線通信技術を利用した次世代病院向け照明システム「スマートホスピタルライティングシステム」や、病室向けにコンパクト設計で施工の省力化も図れる「システム洗面ユニット」を開発し、複数の病院に採用頂いております。
(新領域)
(1)再生可能エネルギー関連技術
鋼とコンクリートを複合利用した浮体式洋上プラットフォームの技術を共同開発し、風力発電に応用、環境省による「浮体式洋上風力発電実証事業委託業務」を受託し、2013年度には実証機(2MW)の実海域設置を成功させ、2015年度に予定通り実証事業を終了しました。2016年度には日本初の実用化を実現し、発電事業として運転データを収集し、制御、設計技術に反映しております。また、コスト削減のための量産化や施工合理化、係留、調査、O&Mなど、普及拡大に向けた技術開発を継続しております。
(2)農業関連技術
茨城県常総市内に農業実証ハウス「TODA農房」を建設し、土地整備関連事業等における提案技術の一つとして、主に施設園芸農業の事業化や園芸ハウスの建設等に関する技術開発を開始しました。
(3)連結子会社における研究開発の主なもの
オフショアウィンドファームコンストラクション㈱において、環境省の「低炭素型浮体式洋上風力発電低コスト化・普及促進事業」の補助を受けて浜出船を建造し、2018年3月に完成しました。2020年度は補助事業を継続し、浜出船等を活用した実証施工を行い、浮体式洋上風力発電施設における建設費の低コスト化及び施工の低炭素化を検証します。
(投資開発、国内グループ会社及び海外)
研究開発活動は特段行われておりません。