文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、2020年5月に発表した「中期経営計画2024」を見直し、2024年度までの3ヵ年を対象とする「中期経営計画2024ローリングプラン」を策定しました。
当社グループでは、2020年度から2024年の5ヵ年を「新たな収益基盤構築のための『変革フェーズ』」と位置付け、建設事業の競争力強化、成長投資を通じた事業ポートフォリオ改革に取り組んでまいりました。
一方で、コロナ禍の長期化、物価の高騰、建設投資の停滞等を背景に、計画の前提条件の変化が急速に進んでおります。加えて、2021年7月に発表した「未来ビジョンCX150」の実現に向けた戦略を明らかにし、グループを挙げて取り組んでいくことが重要となっております。
このような認識のもと、業績目標について一部見直すとともに、その達成に向けた戦略を強化し、更なる変革を進めることによって持続的成長を実現してまいります。
1 ローリングプランの基本方針
・未来ビジョンCX150の実現を通じて、全てのステークホルダーに対して真に認められる価値を提供する。
・新TODAビル(2024年竣工予定)、浮体式洋上風力発電事業(2024年運転開始予定)等の成長投資を推進し、事業ポートフォリオを強化する。
未来ビジョンCX150
2021年の創業140周年を機に、更にその先、2031年の150周年に目指す姿として「未来ビジョンCX150(Corporate Transformation toward TODA Group 150th)」を策定。
事業展開領域:4つの領域において顧客価値を提供し、協創社会の実現に貢献
2 2024年度 グループ業績目標
ローリングプランのポイント
(1) 連結売上高・営業利益等
※ 労働生産性=付加価値額(営業利益+総額人件費)÷社員数(期中平均、派遣社員等を含む)
(2) 事業別売上高・利益
・建築事業について減額修正となるものの、土木・戦略事業における収益成長を通じて業績目標の達成を計画する。
※ 連結売上高・営業利益には連結消去を含む
※ [ ]は利益率
(3) 株主還元
・直接的な利益還元と中長期的な株価上昇による株主還元を目指し、DOE2.5%以上、ただし総還元性向40%以上を方針とする。
※ DOE(自己資本配当率)=配当総額÷自己資本
※ 総還元性向=総株主還元額(配当総額+自社株式取得総額)÷親会社株主に帰属する当期純利益
3 基本戦略
ローリングプランのポイント
(1) 付加価値の向上
① Smart Innovationの推進
・機械化施工、新技術・ICT利活用を通じて、安全性・生産性の向上を図る。
・デジタルトランスフォーメーション(BIM/CIM、i-Construction等)による、
新たなビジネスモデルを創造する。
② 体験価値(顧客エクスペリエンス)の向上
・顧客が建設物を利用するまでの「体験」をデザインし、新たな顧客価値を創出する。
・バリューユニットを基軸とした技術・ソリューション開発(社内・外連携、オープンイノベーション等)を推進する。
※ バリューユニット:各事業展開領域において提供するべき顧客価値(体験価値)の区分
③ 重点管理事業
・重点管理事業として「新TODAビル」「海外事業」「再エネ事業」を特定し、トップマネジメントの積極的関与のもと中長期的成長を目指す。
(2) 投資計画と資本アロケーション(適正配分)
・ROE8%を中長期的に確保するため、成長・無形資産投資を通じた事業ポートフォリオの強化とともに、事業別ROIC(投下資本利益率)を採用し資本効率の向上を図る。
・投資原資として、営業利益の確保(3ヵ年累計800億円以上)をベースに、保有資産の売却(670億円)、政策保有株式の売却(100億円以上/年、時価ベース)、有利子負債の活用(D/Eレシオ0.8倍以下)を推進する。
※ 無形資産投資は一般管理費計上分と資産計上分の合計
(3) ESG経営の強化
・環境・エネルギー事業、脱炭素化への取り組み等を通じ、環境先進企業としてのブランドを確立する。
・社員一人ひとりが成長を実感できる“働き甲斐改革”を推進する。
・リスクマネジメント(環境、労働安全衛生、投資、コンプライアンス等)を強化する。
・取締役会構成の見直し等を通じて監督と執行を分離し、各機能の強化を図る。
※ スコープ1:軽油等の使用により直接排出されるCO2排出量
スコープ2:購入した電気・熱の使用により発電所で間接的に排出されるCO2排出量
スコープ3:スコープ1・2以外の間接排出量
カテゴリ1:建設資材製造時の排出量、カテゴリ11:施工した建物運用期間中の排出量
※ 原単位 スコープ1+2:売上高1億円当たりの排出量
カテゴリ1:取引金額1億円当たり排出量、カテゴリ11:竣工延床面積1㎡当たり排出量
※ 全度数率=全労働災害件数÷延労働時間(100万時間)
度数率=休業4日以上の労働災害件数÷延労働時間(100万時間)
※ 時間当たり労働生産性=付加価値額(営業利益+総額人件費)÷社員数÷平均総実労働時間
(ブランド価値資産向上への取り組み)
当社では、社会的に有用かつ当社グループのブランド力強化に不可欠となる資産をブランド価値資産と定義し、更に無形資産とESG価値に分類した上で、それらの向上に向けた投資を行いました。当事業年度のブランド価値資産に対する投資額は、ソフトウェアやデータベース等の情報化資産、特許・新技術の開発等の革新的資産、気候変動対策等の環境分野を中心に、合わせて9,939百万円(前事業年度13,238百万円)となりました。今後も積極的な投資を通じて、ブランド価値資産の向上に努めてまいります。
※ 投資額は各項目における一般管理費と投資(資産計上額)の合計値
(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
今後の経済情勢については持ち直していくことが予想されますが、新型コロナウイルス感染症の動向に加え、ウクライナ情勢に起因する地政学的リスクにより、依然として不透明な状況が続くことが見込まれます。建設業界においては、官公庁工事が底堅く推移し、民間工事は持ち直しの傾向となっているものの、建設資材価格の高騰等の影響について注視していく必要があります。
当社グループをとりまく環境として、今後、建設投資の大きな増加は見込めない中、気候変動、資源不足、人口構造の変化など経営環境の変化は激しさを増してまいります。そのような状況において技術力をもって建設業を極めること、また、新たな領域に挑戦し中長期的な事業基盤を構築することが持続的成長には不可欠であるという認識のもと、上記の「中期経営計画2024ローリングプラン」を推進し、企業戦力と価値の向上、事業活動の活性化を図ってまいります。
(基本方針)
当社グループでは、経営方針において「社会の発展への貢献」「社業の持続的成長」「ステークホルダー価値の向上」を掲げております。従前より、事業活動がお客様、社員、協力会社、地域社会、株主・投資家や地球環境に与える影響に十分に配慮して行動するとともに、対話を通じた信頼関係構築に努めるなど、常にステークホルダーを意識して、サステナビリティの考え方に沿った経営を行ってまいりました。また、気候変動から地球環境を守る取り組みの一環として、TCFDへの賛同を表明し、その提言に則した分析・開示を行っております。
当社グループは、2015年に策定したグローバルビジョンのもと、全てのステークホルダーにとって「”喜び”を実現する」存在であり続けたいと考えて事業を営んでおります。持続可能な社会の実現のため、マテリアリティ(重要課題)を改めて特定し、2050年に向けて目指す経営の姿を「サステナビリティビジョン2050」として定めました。
(サステナビリティ推進体制の構築と運用)
サステナビリティ推進の監督・指導を行う「サステナビリティ委員会」を取締役会の諮問機関として設置しております。また、執行側に「サステナビリティ戦略委員会」を設置し、「ESG+B」の4つの観点から取り組むテーマを定め、経営資源の適切な配分のもと事業戦略に反映させるべく議論を深めてまいります(E:環境エネルギー、S:社会活動、G:ガバナンス、B:ベネフィット)。サステナビリティ戦略委員会が特定した課題の解決へ向けた取り組みは、本部・事業部など執行部門が優先順位を決めて実行しております。
(1) 気候変動への取り組み
当社グループでは、マテリアリティ(重要課題)のひとつとして「脱炭素社会の実現」を特定しております。
気候変動に関連するリスクを適切に把握、対処して企業としてのレジリエンスを高めていくとともに、事業機会を特定し、それに戦略的に取り組み、脱炭素社会の実現に向けた社会変化が、当社の事業運営に統合されるよう努めております。
当社は気候変動に関連するリスクと機会を「戦略的影響度(影響度と発生可能性)」及び「財務的影響度」から評価しております。当社グループの重要リスクは、これらのリスクと機会の中から、環境エネルギー委員会での議論を経て特定され、サステナビリティ戦略委員会に報告されます。
取締役会はサステナビリティ戦略委員会から気候変動関連の事項について報告を受け、必要に応じてサステナビリティ委員会にて議論を行い、気候変動関連の課題への取り組み状況の監督を行っております。
気候変動に関連する課題への取り組み体制

当社では、気候変動関連のリスクと機会を短期(3年以下)、中期(3~10年)、長期(10年以上)の時間軸で評価し、特定された重要リスクへの対応策の実施を推進しております。
気候変動関連の重要リスクと対応策
また、当社では「カーボンニュートラル実現に向けた行動計画」を策定し、事業活動における脱炭素への取り組みを推進しております。

※ 動力源を抜本的に見直した建設機械(電動・水素・バイオ等)
(指標と目標)
当社は温室効果ガスの削減目標を設定し、SBT(Science Based Targets:科学的根拠に基づく目標)認定を取得しております。また、「中期経営計画2024ローリングプラン」、環境大臣との「エコ・ファーストの約束」においてもSBTに整合した目標を設定しております。
2024年度を目標年とした「中期経営計画2024ローリングプラン」におけるスコープ1+2(総量)の削減目標は、2022年度実績において前倒しで達成する結果となりました。建設工事は工期が複数年に亘るプロジェクトも多く、工期の中で該当年度に施工している工種が温室効果ガス排出量に影響を及ぼします。2022年度に目標を達成した背景には、当年度に大量のエネルギーを使用する掘削等の土工事が少なかったことも影響しました。そのため、目標年である2024年度に向けては、今後も更なる温室効果ガス削減に取り組んでいく必要があると考えております。また、2019年1月にRE100イニシアチブに加盟し、事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギーとする取り組みも推進しております。
温室効果ガスの削減目標と実績
再生可能エネルギー利用率の目標と実績
(注) 温室効果ガス排出量及び再生可能エネルギー利用率の算定は、全連結子会社(39社(2023年3月期時点))を対象としたグループ連結で行っております。
M&A等による連結対象範囲の変更については、基準年(2020年度)以降の数値を毎年見直しております。
※1 完工高1億円当たりの排出量
※2 建材資材の取引金額当たりの排出量
※3 竣工延床面積1㎡当たりの排出量
(2) 人材の育成及び社内環境整備に関する方針
経営戦略を実現させる主体は「人財(従業員)」に他なりません。ゆえに人財戦略=投資と位置付け、対象領域として人財開発・人事制度刷新・働き甲斐改革・ダイバーシティ・グローバリゼーションの5つの領域を定めました。今後、各領域が連動して施策を展開することにより、経営ビジョンを実現できる価値の高い人財(次世代経営人財)を継続的により多く輩出することを目指しております。また、健康と安全に配慮した働きやすい環境を確保するとともに、多様性と人格・個性を尊重し、資質・能力を最大限発揮できる職場環境の実現に向け以下の5つの重点領域に取り組んでおります。
※ 関連する指標のデータ管理が、連結グループに属する全ての会社では行われていないため、「人材の育成及び社内環境整備に関する方針」に記載の指標は提出会社単体の数値を記載しております。今後、連結グループ会社全体のデータを分析し、目標を設定した上で連結会社ベースでの開示を行ってまいります。

(人財開発)
① 研修体系(Off-JT)の刷新
人財開発・育成の基本方針を、「多様多彩な人財を育成・確保し、事業基盤を強化する」と定めており、一人ひとりの能力向上促進に向け、OJT(On The Job Training)による育成を主体としております。
Off-JTでの人財育成では、現行職務のスキルアップを主目的とする研修プログラムと、自身のキャリアアップに合わせて選択できる開発プログラムを整備し、中長期的な個人の成長を促しております。
② 次世代経営人財
次世代経営人財候補者が常時50名程度選抜されている状態を3~5年で実現するために、全社横断的な取り組みを実施しております。具体的には毎年度、各事業本部においてポテンシャル人財50名を抜擢し、伴走型コーチングを中心に効果的な育成施策を展開することにより、経営人財への育成を目指しております。育成に当たり社内のキャリアコーチによる1on1の定期的・継続的なコーチングを実施しております。
(働き甲斐改革)
① 働きやすさ・やりがい
従業員一人ひとりが日々の仕事に働き甲斐を感じ、チャレンジ精神を持って臨むことで新しい価値が生み出されます。また、従業員一人ひとりが思い描く理想の「ライフ(人生)」を実現する手段のひとつとして「ワーク(仕事)」を考え、家族や趣味、学びなども手段として捉え、これらが連鎖しながら充実した働き方を選択するWork in Lifeの推進に注力しております。従業員が当社で働きやすさを追求でき、それにより、仕事のモチベーションが高まり、生産性が向上します。Work in Lifeと生産性向上を両立させることを「働き甲斐改革」として追求してまいります。
② 健康経営の推進
当社の最大の財産は「人」であります。社員が心身ともに健康でなければ、新しい価値の創出や会社の持続的成長はありません。当社グループは、「健康経営の推進」を重要施策として掲げ、経営トップにより「健康経営宣言」を発信しております。また各種施策を通して抽出された健康課題達成に向けた重要指標(KPI)を設定し、健康経営推進ワーキングによる活動を中心に各種取り組みを実施しております。
(ダイバーシティ&インクルージョン(D&I))
持続可能な社会と企業の長期的な成長の実現のため、多様な価値観を持つ従業員の集合体こそ当社が目指すべき姿と考えております。経営戦略上の位置付けとして、2031年の創業150周年に向けて「未来ビジョンCX150」を策定し、当社グループは「多様性を力に」価値のゲートキーパーとして、協創社会を実現することを目指して歩みを進めております。
① ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の浸透
D&Iの浸透に向け、全ての従業員が能力を発揮できるしくみと企業風土の醸成を目指すとともに、心理的安全性の確保のために、次長職以上にアンコンシャス・バイアス研修を実施して、ダイバーシティ尊重意識の醸成をしております(2022年度までに約500名受講)。
② 女性活躍
女性の「キャリア形成」のため、女性経営者育成研修、大学講座等への派遣を行っております。当社の女性管理職比率は2022年度には3.7%を超える水準まで上昇しました。また、次代の課長代理級を担う主任級の比率も年々上昇して2022年度に17.9%となり、女性活躍推進の基盤に厚みが増しつつあります。
③ LGBTQに関する取り組み
LGBTQ(性的マイノリティ)が働きやすい制度・環境の整備として、「同性パートナーシップ制度」の導入やLGBTQガイドブック発行、研修の実施など取り組みを推進しております。またALLY(理解者)の輪を広げ、誰もが安心して働くことができる職場風土づくりのため、オリジナルALLYシールを希望者(2022年度は1,134名)に配布しております。
④ 両立支援制度の充実
育児休業を取得する女性の復職を支援するため、企業主導型保育園の契約や「ならし保育休暇制度」などを導入し、復職後も柔軟な働き方を推進し、長期的なキャリア形成をサポートする環境を整備しております。また、当社は2020年度より男性育児休業取得率100%を達成しており、男性の積極的な育児への参加を可能とする社内風土を醸成してまいりました。更に2022年の法改正に伴い10月には男性社員の「産後パパ育休制度」を導入し、28日間を特別休暇(有給)とするなど、より利用しやすい育児休業制度の改定を行っております。
介護休業制度においては、定年延長によりシニア職の活躍もますます見込まれることから、制度の充実や介護のハンドブックの活用により利用しやすい環境を整備しております。
(等級・報酬制度の刷新)
若手からシニア層に至る従業員一人ひとりが、働き甲斐を実感でき、前向きに自己実現を図り、エンゲージメントが向上することにより経営戦略の実現や企業価値の向上に資するよう、等級・報酬制度の刷新を進めています。
① コンセプト
a.役割・貢献度による評価・処遇 b.社内外環境・就労観変化への対応 c.優秀人財への適切な処遇
d.処遇の市場競争力 e.賃金体系のオープン化
② その他の取り組み
納得性、公平性の高い評価制度への見直しや定年延長(選択定年)制度、役職定年制度の導入など、将来に向けて持続的な企業価値向上の基盤となる制度の整備を進めております。
① グローバル人材の育成
海外事業のさらなる拡大の担い手となる外国人従業員について、当社は2024年度末までに従業員比率1.5%以上に高めることを「中期経営計画2024ローリングプラン」での目標としております。そのために、当社グループとしては、外国人留学生のほか、海外事業の知見の高い優秀な人財を日本以外からも積極的に採用しております。また、国内人財に対する英語教育や海外法人へのローテーション異動と戦略的配置により、グローバル人財の育成・確保に取り組むほか、多様な人財・文化を通じた知と経験の組み合わせによる個と組織の活性化を目指しております。
当社グループの事業に関する経営成績及び、財務状況等に影響を及ぼす可能性のある主なリスク事項には以下のようなものがあり、これらの顕在化する可能性の時期や影響度合を認識した上で、発生回避と発生した場合の対策を以下のように考えております。また、当社におけるリスク管理の体制と枠組みについては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ③ 企業統治に関するその他の事項」に記載しております。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月30日)現在において当社グループが判断したものであります。
(注) ※印はリスクとなる事象が既に発生しつつあり、徐々に影響度合が高まっていくことを認識しております。
事業等のリスク(リスクマップ) ※( )内は(発生頻度,影響度)

当社グループ事業においては、世界的な景気の減退による受注環境の悪化や、資材高騰などによる影響が強まっていることから、各種施策の実施により業績への影響の最小化に取り組んでおります。
また、2024年4月から「働き方改革関連法に基づく時間外労働時間の上限規制」の建設業に適用に向けた働き方改革の対応推進に引き続き取り組んでまいります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
ア.財政状態の状況
当連結会計年度末の資産合計は、現金預金が236億円、有価証券が95億円、投資有価証券が75億円減少しましたが、受取手形・完成工事未収入金等が739億円、販売用不動産が73億円、建物・構築物が63億円、建設仮勘定104億円が増加したことなどにより、前連結会計年度末と比較して543億円増加の8,155億円(7.1%増)となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、コマーシャル・ペーパーが200億円、社債が51億円減少しましたが、支払手形・工事未払金等が135億円、短期借入金が215億円、工事損失引当金が67億円、長期借入金が357億円増加したことなどにより、前連結会計年度末と比較して501億円増加の4,922億円(11.3%増)となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、配当金の支払により利益剰余金が91億円減少しましたが、PT Tatamulia Nusantara Indahを連結子会社としたことなどにより非支配株主持分が35億円増加し、親会社株主に帰属する当期純利益を109億円計上したことにより、前連結会計年度末と比較して42億円増加の3,232億円(1.3%増)となり、自己資本比率は38.9%となりました。
イ.経営成績の状況
当連結会計年度の連結売上高については、前連結会計年度比9.1%増の5,471億円となりました。
営業損益については、売上総利益が573億円と前連結会計年度比8.5%の減少となり、販売費及び一般管理費が431億円と前連結会計年度比12.8%増加したことにより、営業利益は141億円と前連結会計年度比42.0%の減少となりました。
経常利益については、190億円と前連結会計年度比32.3%の減少となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益については、109億円と前連結会計年度比40.8%の減少となりました。
各セグメントにおける業績は以下のとおりであり、各セグメントの業績については、セグメント間の内部売上高又は振替高を含めて記載しております。
なお、当社グループは当連結会計年度より報告セグメントの変更を行っており、前連結会計年度との比較及び分析は、変更後のセグメント区分に基づいております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等) 1 報告セグメントの概要」をご参照ください。
売上高は3,438億円(前連結会計年度比12.9%増)となり、セグメント損失(営業損失)は20億円(前連結会計年度は78億円のセグメント利益)となりました。
当社個別の受注高については、国内官公庁工事が前事業年度比10.8%、国内民間工事が前事業年度比10.8%減少したことにより、全体としては2,863億円と前事業年度比11.3%の減少となりました。
売上高は1,416億円(前連結会計年度比4.3%減)となり、セグメント利益(営業利益)は117億円(前連結会計年度比1.0%減)となりました。
当社個別の受注高については、国内民間工事が前事業年度比19.6%減少しましたが、国内官公庁工事が前事業年度比23.1%増加したことにより、全体としては1,403億円と前事業年度比8.4%の増加となりました。
売上高は195億円(前連結会計年度比9.3%減)となり、セグメント利益(営業利益)は32億円(前連結会計年度比19.7%減)となりました。
売上高は523億円(前連結会計年度比15.9%増)となり、セグメント利益(営業利益)は19億円(前連結会計年度比3.0%増)となりました。
(海外投資開発)
売上高は264億円(前連結会計年度の売上高は22億円)となり、セグメント利益(営業利益)は17億円(前連結会計年度比146.8%増)となりました。
(環境・エネルギー)
売上高は15億円(前連結会計年度比124.2%増)となり、セグメント利益(営業利益)は1億円(前連結会計年度は8億円のセグメント損失)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末と比較して334億円減少し、958億円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、308億円の資金減少(前連結会計年度は272億円の資金増加)となりました。税金等調整前当期純利益が178億円、減価償却費が62億円、仕入債務の増加により71億円の資金が増加しましたが、売上債権の増加により573億円の資金が減少したことが主な要因です。
投資活動によるキャッシュ・フローは、261億円の資金減少(前連結会計年度は204億円の資金減少)となりました。投資有価証券の売却及び償還により120億円の資金が増加しましたが、有形固定資産の取得により358億円、投資有価証券の取得により26億円、無形固定資産の取得により13億円の資金が減少したことが主な要因です。
財務活動によるキャッシュ・フローは225億円の資金増加(前連結会計年度は183億円の資金増加)となりました。コマーシャル・ペーパーの償還により200億円、社債の償還により51億円、配当金の支払により91億円の資金が減少しましたが、短期借入金により231億円、長期借入金により336億円の資金が増加したことが主な要因です。
当社グループが営んでいる事業の大部分を占める建築事業、土木事業(以下「建設事業」という。)、国内投資開発事業、海外投資開発事業及び環境・エネルギー事業では生産実績を定義することが困難であり、かつ建設事業においては請負形態をとっているため販売実績という定義は実態にそぐいません。
また、当社グループにおいては建設事業以外では受注生産形態をとっておりません。
よって、「生産、受注及び販売の状況」に記載すべき項目は可能な限り、「① 財政状態及び経営成績の状況」において、セグメント毎に記載しております。
なお、当社グループの営む事業の大部分を占める、提出会社の建設事業の状況は次のとおりであります。
(注) 1 前期以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含みます。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれます。
2 次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高―当期完成工事高)に一致します。
(注) 1 百分比は請負金額比であります。
2 当事業年度における海外の受注工事高はマイナスであるため、比率は記載しておりません。
ウ.完成工事高
(注) 完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。
前事業年度の完成工事のうち請負金額20億円以上の主なもの
当事業年度の完成工事のうち請負金額20億円以上の主なもの
3 完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりであります。
前事業年度
完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先はありません。
当事業年度
完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先はありません。
④ 次期繰越工事高(2023年3月31日現在)
(注) 次期繰越工事のうち請負金額20億円以上の主なものは、次のとおりであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度の連結売上高については、前連結会計年度と比較して土木事業及び国内投資開発事業の売上高は減少しましたが、建築事業、国内グループ会社事業及び海外投資開発事業の売上高が増加したことなどにより、5,471億円と前連結会計年度比9.1%の増加となりました。
営業損益については、前連結会計年度と比較して海外投資開発事業の売上総利益は増加しましたが、建築事業において市場環境の変化による鉄骨などの資材価格上昇に伴い複数件の工事にて工事損失引当金を計上したことなどにより、売上総利益は573億円と前連結会計年度比8.5%の減少となりました。販売費及び一般管理費は、人件費及び減価償却費などが増加したこと、並びに新型コロナウイルス感染症に伴う行動制限が緩和されたことにより各経費が増加したため、431億円と前連結会計年度比12.8%の増加となりました。その結果、営業利益は141億円と前連結会計年度比42.0%の減少となりました。
経常利益については、保有する投資有価証券の受取配当金及び為替差益などにより営業外収益が前連結会計年度と比較して増加しましたが、全体としては190億円と前連結会計年度比32.3%の減少となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益については、段階取得に係る差益及び投資有価証券売却益などにより特別利益が前連結会計年度と比較して増加しましたが、環境・エネルギー事業において固定資産の減損損失が発生したため、全体としては109億円と前連結会計年度比40.8%の減少となりました。
各セグメントの状況及び分析は、以下のとおりとなります。
なお、売上高にはセグメント間の内部売上高等を含めて記載しております。また、セグメント利益欄の( )はセグメント利益率を示します。
(建築)
当連結会計年度は、売上高が3,438億円と前連結会計年度より12.9%増加しましたが、セグメント損失は20億円となりました。市場環境の変化による鉄骨などの資材価格上昇に伴い複数件の工事にて工事損失引当金を計上したことなどによりセグメント利益が減少しております。
当連結会計年度の主な取り組みとしては、DX戦略の一環として生産プロセスの変革に向けたBIMの全社的な本格運用を充実させました。また、コスト統合センターを設置し全店の見積情報と調達情報を一元管理する体制を構築することでコスト管理体制の強化を行っております。さらに、PPA事業者としてイニシャルコストゼロでの太陽光発電設備の導入を積極的に支援するなど、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを実施しました。2024年度からの時間外労働の上限規制を見据え、ICTを活用した作業所の業務分析などを行い時間外管理の意識向上と業務プロセスの見直しを進めております。今後、こうした取り組みを更に推進し、生産性と収益性を高めながら、建築ライフサイクル全体を通した高付加価値の提供に努めてまいります。
(土木)
当連結会計年度は、売上高が1,416億円と前連結会計年度より4.3%減少しました。また、セグメント利益が117億円と前連結会計年度より1.0%減少しました。いずれも大型工事の進捗の影響により前連結会計年度を下回っております。
当連結会計年度の主な取り組みとしては、保有技術の活用、コスト競争力の強化、並びに新技術の開発等により受注力の強化を図りました。また、機械化による生産性向上、遠隔化及び自動化の実現に向けた新技術導入等の取り組みを推進しました。さらに、内勤部門による作業所支援体制の強化を行っております。今後、こうした取り組みを推進し、土木事業における収益拡大を図っていくとともに、国土強靭化や脱炭素社会の実現等、社会的な課題の解決に取り組んでまいります。
(国内投資開発)
当連結会計年度は、売上高195億円と前連結会計年度より9.3%減少し、セグメント利益は32億円と前連結会計年度より19.7%減少しました。販売用不動産の売却の減少により売上高及びセグメント利益が減少しております。
当連結会計年度の主な取り組みとしては、保有不動産の有効活用や新規不動産の取得を行いました。さらに、資本効率の改善と不動産事業の成長を目指し、私募ファンドを設立しました。今後は、開発型案件への取組強化や資産の入れ替え等による収益拡大を図るべく私募リート設立やアセットマネジメント事業にも取り組んでまいります。また、現在建設中の(仮称)新TODAビル計画において新ビル運営に向けた体制整備を推進し、開業に向けて準備を進めております。
(国内グループ会社)
当連結会計年度は、主にビル管理業及び建設事業における収益増加により売上高が523億円と前連結会計年度より15.9%増加しました。また、セグメント利益は19億円と前連結会計年度より3.0%増加しました。
当連結会計年度の主な取り組みとしては、ビル管理業等を営む戸田ビルパートナーズ株式会社(東京都江東区)、及び道路舗装工事業等を営む戸田道路株式会社(東京都中央区)について、簡易株式交換により完全子会社としました。今後も、中期経営計画に掲げる事業ポートフォリオの強化に向けて、グループ各社とのシナジー及び相互補完、並びにM&Aによる業容拡大により、グループ力を高めてまいります。
(海外投資開発)
当連結会計年度は、売上高が264億円と前連結会計年度より1,056.1%増加しました。また、セグメント利益は17億円と前連結会計年度より146.8%増加しました。当連結会計年度において持分法適用関連会社であったPT Tatamulia Nusantara Indah(インドネシア共和国)の株式を追加取得し子会社化したことにより、売上高及びセグメント利益が向上しております。今後は、「中期経営計画2024ローリングプラン」にて掲げる重点管理事業のひとつである海外事業において、中長期的な成長を目指して積極的に取り組んでまいります。
(環境・エネルギー)
当連結会計年度は、売上高が15億円と前連結会計年度より124.2%増加しました。また、セグメント利益は1億円となりました。浮体式洋上風力発電事業においては発電設備建設費用が先行しているものの、ブラジル陸上風力発電事業1期の収益計上等により売上高及びセグメント利益が向上しました。今後はブラジル陸上風力発電事業2期への取り組み等、収益基盤の構築に向けて取り組んでまいります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については以下のとおりであります。
(キャッシュ・フローの状況)
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
(資金需要)
当社グループにおける主な資金需要は、運転資金として工事施工に要する外注費等の工事費用、販売費及び一般管理費、並びに設備投資資金です。
設備投資の概況については「第3 設備の状況 1 設備投資等の概要」をご参照ください。
(資金の流動性)
当社グループは、主要な連結子会社にキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を導入し、日本国内のグループ内資金を一元管理しております。各グループ会社のキャッシュ・フローを集中することにより資金の流動性を確保し、また、機動的かつ効率的にグループ内で配分することにより、リスク管理の強化及び金融負債の極小化を図っております。
(資金調達の状況)
主に自己資金の活用又は金融機関等からの借入金、コマーシャル・ペーパー及び社債の発行により資金を調達しております。重要な設備投資に係る資金調達方法については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」をご参照ください。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
特記事項はありません。
当社グループは、社会、顧客及び社内各部門のニーズやCSRに的確に応えるため、技術開発統轄部を中心に技術部門の総力を結集して、基礎的研究から新製品開発までの幅広い研究開発活動を行っております。特に重要なテーマについては「技術研究開発プロジェクト」を起こし、全社的な取り組みで短期間に開発を行い着実に成果を上げております。また、西松建設㈱との共同研究をはじめ、公的機関、大学、異業種企業、同業他社との技術交流、共同開発を積極的に推進して、多様な分野での研究開発の効率化を図っております。
当連結会計年度における研究開発費の総額は
また、セグメント毎の研究開発活動は以下のとおりであります。
(建築及び土木)
(1) 建築環境関連技術
環境配慮建築に対する各種要素技術を総合的に実験・検証するために、技術研究所に建設した「環境技術実証棟」における成果を活かしつつ、省エネルギーに加えてCO2排出量の削減に向けた「グリーンオフィス棟」へのリニューアルが完了し運用を開始しました。同棟では、断熱・遮熱の工夫や自然エネルギー利用、高効率設備などの導入によりZEB(ネット・ゼロエネルギー・ビル)を達成した上で、緑化や木材の利用などによるCO2の吸収・固定化などによりライフサイクルにおけるCO2収支をマイナスとすることを目指すとともに、ICT技術を活用した環境制御手法などの新しい技術開発にチャレンジしております。
さらに、技術研究所においては、構造・施工実験棟屋上に4種類の太陽光パネルを設置し、所内の省エネルギーを図るとともに、発電効率、天候や気温による性能、パネルの経年劣化、ライフサイクルコストの違いなどの比較検討を進めております。
当社ではZEBの普及を目指すことで、当社が引き渡した建物の運用中のエネルギー使用量及びCO2排出量の削減に取り組んでおります。
(2) 生物多様性関連技術
生産性向上の観点から、バイオフィリックデザインを取り入れた緑が豊かな環境をオフィス内に配置する設計手法に関して、印象評価の実証実験を実施し、研究に取り組んでおります。
技術研究所の緑地では、2015年に関東・水と緑のネットワーク百選に選出され、その後、2018年からは、全ての植物に地域性在来植物を採用するととともにトレーサビリティ認証を取得したビオトープ「つくば再生の里」を造成しました。これら敷地全体の緑化を対象に、SEGESそだてる緑(シージェス:社会・環境貢献緑地評価システム)の認定を2022年8月に取得しました。
今後も多様な緑地の整備や維持管理に取り組み、得られた知見を緑の価値向上、及び地域の生物多様性の向上に繋げてまいります。
(3) 放射性廃棄物処分の関連技術
放射性廃棄物処分関連技術としては、地下深部での地震動測定と耐震性評価、ベントナイトに関する技術の開発に取り組んでおります。また、海外情報調査、新規制基準制定に伴う学会標準改定の業務、原子力発電所の廃炉に関する調査実績があります。
(4) 超高層建物構工法関連技術
超高層RC造では、SuperHRCシステムを積極的に採用し、建設中を含めて延べ60棟に適用しております。2016年2月に竣工した55階建て超高層集合住宅では設計基準強度200N/mm2の超高強度コンクリートを採用しました。また、現在施工中の35階建て超高層集合住宅では、西松建設㈱と共同開発したコンクリート強度打ち分けプレキャスト梁工法(フュージョンビーム工法)を採用し、施工の効率化を図っております。また、一部をプレキャスト化した高強度コンクリート連層耐震壁(コアウォール)を開発し、弊社保有の端部RC中央S梁工法と組み合わせて、広い執務空間を有する超高層事務所ビル構築技術を確立し、施工中の(仮称)新TODAビルに採用しております。
コンクリート充填鋼管(CFT)造では、鉄筋を内蔵した鋼管に高強度のコンクリートを充填した高強度Super CFT造を開発し、構造評定を取得しました。設計施工で高さ178mの複合ビルや設計中の案件を含めて100棟以上の実績があります。また、充填コンクリート強度150N/mm2のCFT柱を(仮称)新TODAビルに採用しております。
(5) 木造架構関連技術
共同開発により中高層木造建築架構技術を開発し、10階建ての木造共同住宅をモデルプランとして日本建築センターの個別プラン構造評定を取得(2022年10月14日)しました。本技術は、建物の柱・梁・耐震壁に木材を使用した環境配慮型木質架構を構築する技術で、10階程度の高層建物に適用できます。共同開発は更に進み、今後は中高層事務所ビルに適した架構の開発を継続して実施してまいります。
(6) 免震・制振技術
地震の揺れに応じて減衰性能を電気的に切り換え、小中地震から大地震まで幅広い範囲で揺れを抑えることが可能な「セミアクティブダンパー」(2021年4月1日大臣認定取得)、電源を用いず減衰のON/OFFを切り換える「自己復元型トリガー機構」(2022年9月9日日本建築センター評定取得)を開発しました。また、想定外の大地震に対して免震建物が周囲の擁壁などと衝突した場合の安全対策、津波や洪水などに対する免震構造の水害対策についても研究開発を進めております。
精密生産施設の微振動対策技術では、「オイルダンパー付き弾性すべり支承」を開発し、2016年2月に生産施設に採用しております。また、環境振動対策として、OAフロア下に収納可能な小型AMDを開発し、製品化しました。
(7) BCP関連技術
東日本大震災の教訓を受け、地震後の建物の損傷を迅速かつ的確に評価可能な地震モニタリングシステム「ユレかんち」を、BCPのためのソリューション技術として展開しております。「ユレかんち」はIoT技術を応用したローコストなシステムであり、遠隔地から事務所、工場等の複数建物の一括監視を可能にしております。社内物件27棟、自社施工物件23棟、外販として60棟に採用しております。
(8) 天井脱落対策技術
在来工法天井の落下・脱落防止対策として、特定天井にも適用可能な高い耐震性能を有する「ペアロッククリップ」を開発し、2016年9月より当社の施工現場で標準的に採用されております。
また、天井内に多数設置される斜め材の代わりに、門型の抵抗部材を集約して設置し、天井内に多くのスペースを確保しながら、高い耐震性能を実現する「門天工法」を開発しました。「門天工法」は、日本建築センターの評定を取得(2017年12月11日)し、現在2物件での採用実績があります。
(9) 基礎・地盤関連技術
場所打ちコンクリート杭について、常時及び地震時における支持力及び引抜き抵抗を向上させ基礎構造の減量化・合理化をはかるための「Me-A工法」を開発し、高層建物への適用など水平展開を進めております。2022年3月時点で共研他社も含めて598件を超える実績があります。
山留め壁の本設利用技術である「RCS合成壁/杭工法の剛性構造としての性能(TO-SCW工法)」及び「PSPⅡ工法-芯材を有するソイルセメント改良体工法-」を改良し、ベターリビングの評定及び日本建築総合試験所の性能証明を取得しました。現在改良後3物件で採用しております。
(10) 建築仕上げ材料関連技術
脱炭素化に向けた取り組みとして、古紙を原料としたパルプモールド製の内装材を開発し、不燃認定を取得しました。また、木質材料の利用拡大を目指し、積極的に技術研究所内に採用するとともに、耐久性評価などの研究開発を進めております。
臭気対策として「オドキャッチャー(ゼオライト配合消臭塗料)」を開発し、医療施設等に展開しております。
美術館・博物館における工期短縮に寄与する技術として、「アルカリ汚染対策工法」を開発し、実績を増やすととともに、有機酸類も含めた空気質管理のデータを蓄積し文化施設の品質向上に取り組んでおります。
(11) 建築生産システム関連技術
次世代の施工技術では、BIMデータを活用した鉄骨柱自動計測・調整システムの新規開発、仮ボルト不要接合工法の改良を行い、社内展開を進めております。ロボット技術では、SLAM技術を用いた自律搬送ロボと工事用エレベータが連動する垂直・水平自動搬送システムを開発し、超高層オフィスビル作業所、病院、物流施設の仕上げ材搬送作業に適用しました。今後は搬送効率を向上させるべく、改良を進めてまいります。また、BIMや衛星測位を利用したタワークレーン3次元自動誘導システムの開発・現場検証を進めており、吊荷旋回制御装置については、小型化・大型化・バランサー・パネル搬送装置の追加開発など、適用範囲の拡大を進めております。以上の技術については、(仮称)新TODAビル建設作業所内で実証施工してまいります。
その他の施工技術では、水の凍結膨張圧を利用した、現場造成杭の杭頭余盛り部の静的破砕処理工法「しずかちゃん」の社内実績が、2023年3月時点で634本となりました。この技術の特長である、低騒音、低振動、無粉塵に寄与する点が評価されNETIS(国土交通省:新技術情報提供システム)へ登録されたことにより、国土交通省が提示する「新技術の活用を図る新技術活用工事」で「場所打杭工の杭頭処理における環境対策向上に資する技術」として特記仕様書に採用され、初めて社外使用実績が誕生しました。現在、社外実績2件目となる他社様にも採用いただき、社外使用実績は14本となっております(社内実績との合計は、648本)。さらに、東京都建設局が実施している「新技術情報データベース NeTIDa」にも、2023年3月に登録されました。都心部はもとより、周辺環境への配慮が必要な工事や、生産性向上が期待される工事へ展開すべく「しずかちゃん ホームページ」を通して情報発信してまいります。
解体技術としては、コンクリート構造物等を水素ガスで切断する「マスカットH(エイチ)工法」を用いて、持ち味の極厚鋼板(80㎜×5枚重ね)なども一度に切断できる技術を生かし、放射線遮蔽施設の解体へ適用拡大し、振動と騒音が比較的大きいジャイアントブレーカー重機を用いなくても、マスカットH工法切断を併用することで圧砕重機にて解体することが可能となる工法を確立しました。また、鉄筋を直流電源で通電加熱し、熱膨張と発熱を利用して鉄筋コンクリート構造物を脆弱にする「マスホット工法」において、重機の作業時間を半減以下と大幅に低減できることが確認されました。これらの解体技術は、これまでに6物件に採用しております。
今後も、建築現場における生産性の向上とともに、現場周辺環境への配慮やCO2排出量低減に寄与する技術開発を進めてまいります。
(12) ICT生産管理関連技術
ICT及びIoT技術を活用し、現場の安全・品質の向上、施工効率を高めることを目的に、様々なシステム開発に着手しました。
2022年度、掘削時の埋設管損傷事故防止の為の開発技術については、システムが完成し運用を協力会社に委託して社内で運用しております。建設現場の安全性向上として、「建設機械と作業員の接触災害」を防止する人物検知システム「アイナイトTM」を開発し、社内のトンネル工事3現場に採用しました。「アイナイト」は2022年9月にNETIS登録し、四国地整建設DX技術活用モデル工事での導入技術候補となりました。
建設現場の作業者に対する熱中症の防止などを目的として、生体情報や周囲環境(作業環境)をヘルメット取り付け型センサデバイスでリアルタイムに監視する「作業者安全モニタリングシステム」を㈱村田製作所と共同で開発し、展開を図っております。
品質向上、施工向上については、品質向上に向けて「立体配置を認識する配筋検査システム開発」を、20社の建設会社と共同で進めており、(仮称)新TODAビル建設作業所内で検証しております。また、AR・MR等の画像処理技術を活用したコンテンツやシステムの開発を行っております。
場内通信については、「ウエーブガイドLANシステム」を仮設での活用の他、建物への応用としてELVシャフト内に設置して、サービスロボットが階をまたいで動作できるWI-FI通信技術として開発を進めております。
建設工事中のCO2排出量削減を目的とした、カーボンニュートラルに向けた技術開発にも取り組んでおります。
(13) 音響・遮音関連技術
ホールなどの大空間における音楽・講演等をより快適に聴くことのできる空間を提供する室内音響関連技術、交通騒音や隣室騒音等の聞きたくない音を低減する遮音関連技術の双方の研究開発を実施し、多くの実物件で採用しております。
防音壁などの先端部に取り付けることで大きな騒音低減効果が得られるエッジ効果抑制パネル「エッジサイレンサー」を開発し、工事中の騒音対策だけでなく本設にも採用し、日本音響学会技術開発賞を受賞しました。
集合住宅で問題となる重量床衝撃音に対して、天井内に敷設するだけで低減できる、床衝撃音低減材「サイレント・ドロップ」をフクビ化学工業㈱と共同開発し、建材設備大賞を受賞しました。
技術研究所内では音に関する様々な事象を高精度に体験できる音場シミュレーターを拡張・更新しております。また、敷地境界における騒音予測システムの開発や、雨水流水音の低減対策仕様の標準化など関連技術の社内展開を図っております。
(14) シールド関連技術
シールド工法の分野では、狭隘な都市域において発進立坑用地の確保を容易にするために開発した「省面積立坑システム」は、当社施工28件、他社施工分を含めると47件の現場採用実績を持ちます。地盤変状の抑制を目的に開発した「掘進停止時裏込め注入システム」、気泡シールドで使用する安全性・経済性に優れる新たなる気泡剤「LT2」及びシールドの発進到達の効率化を図った「バサルト繊維を用いた仮壁直接切削技術」に関しては実用化を図るとともに、効率化・品質向上を図る目的でAIを活用した「AI Transformシールド」の開発も進めております。また、推進工法の分野では、呼び径3500を超える超大口径推進工事の実績を積み上げるとともに、推進工法を応用した「交差点アンダーパス工法」、「非開削トンネル構築工法(さくさくJAWS工法)」等の技術を開発し、営業展開、現場適用に取り組んでおります。
(15) 山岳トンネル技術
増加基調の山岳トンネル工事に対応する技術として、覆工品質の向上、支保・補助工法技術の改良、調査計測技術の高度化、環境負荷低減、自動化・高速施工などに係る技術開発及び現場採用に積極的に取り組んでおります。
覆工品質の向上については、覆工コンクリートの充填センサである「ジュウテンミエルカ」の開発が完了し、打設状況の可視化ツールとして一般販売を開始しました。支保・補助工法技術については、吹付けリバウンドが低減できる「Me吹付けコンクリート」、ロックボルト軸力が可視化できる「Eye Washer」、防水シートの損傷防止に寄与する「突起レスロックボルト」、脚部補強工の「NT-Support」の現場適用に取り組んでおります。調査計測における切羽前方地山の可視化ツールとして開発した「DRiスコープ」は、2017岩の力学連合会フロンティア賞を受賞し、更なる現場採用を推進しております。環境負荷低減技術についても、帯電ミストを用いた粉じん抑制技術や発破低周波音抑制技術の開発を行い現場採用に取り組んでおります。また、生産性向上を目指した自動化・高速施工技術としては、各工種の自動化システム(発破装薬、ずり出し、吹付け、鋼製支保工建て込み、ロックボルト打設、覆工打設及び覆工プレキャスト化など)やコンピュータジャンボの穿孔データとAI技術を活用した地山評価及び発破設計のシステム開発に取り組んでおります。
(16) コンクリート技術
設計基準強度200N/mm2 の超高強度コンクリートや、収縮を低減させることでひび割れを防止し高耐久化を図るコンクリート(低収縮コンクリート)の開発・現場適用を行っております。さらに、収縮をほとんどゼロにした極低収縮コンクリートを共同開発し、複数の現場適用を行っているなか、2020年度にはBSL-4(バイオセーフティレベル4)を要求する高気密性実験施設の実験室躯体への適用も行いました。また、コンクリート工事の生産性及び品質を向上する高機能性流動化剤を開発し、全国並びにグループ会社に適用を開始しております。
品質管理に関して、コンクリートの現場受入時の品質管理システムやコンクリート施工時の打重ね時間管理システムを構築しました。また、(独)土木研究所との共同研究である「ボス供試体によるコンクリート構造物の品質検査法」については、JIS規格として制定され、国土交通省地方整備局の橋梁直轄工事に採用されております。
既設コンクリート構造物の健全度評価技術として、透気・透水試験器を用いた評価方法を開発し、実際の調査・点検業務に展開しております。
(17) インフラ再生技術
既設トンネル等の補修補強工法として、新しい無機系繊維材料を用いた「BFP修繕工法」を開発しました。本工法は連続繊維をプレート状に加工し、トンネル覆工内面に設置することで耐荷性や変形性能を向上させる工法であり、鉄道トンネルを主体として現場展開しております。また、高速道路等の「既設床版架替えに係る新型継手工法」を開発中であり、今後、老朽化したインフラ再生技術の開発について積極的に取り組んでまいります。
(18) 社会基盤整備関連技術
わが国の持続的発展を図る上で、社会基盤整備は急務の課題であり、それらを支援するために各種の技術提案及び開発を実施しております。オーバーパスに対応した立体交差急速施工技術「すいすいMOP工法」(実績2件)、鉄道連続立体高架の工期短縮を実現するプレキャストアーチ式高架橋「すいすいSWAN工法」、開削地下構造物の急速構築技術「さくさくSLIT工法」を積極的に提案展開しております。非開削トンネル構築技術「さくさくJAWS工法」、液状化対策技術「ハイグリップグラウト工法」、排泥量削減を目指した地盤改良技術「ハイブラストジェット工法」を現場展開している他、環境負荷の低減を可能とした地盤掘削技術「気泡掘削工法」及び「特殊ポリマー安定液工法」など、持続可能で災害に強い基盤整備に資する施工技術が採用されております。また、大規模加速器計画などの地下岩盤利用分野についても積極的に取り組んでおります。
(19) 医療施設関連技術
病院内の臭気対策として「オドキャッチャー(ゼオライト配合消臭塗料)」を開発しております。
また、無線通信技術を利用した次世代病院向け照明システム「スマートホスピタルライティングシステム」や、病室向けにコンパクト設計で施工の省力化も図れる「システム洗面ユニット」を開発し、複数の病院に採用いただいております。
さらに、新型コロナウイルス感染症による感染拡大対策として、医療施設において、簡易にゾーニング(区画)変更を実現する「感染対策ユニット」を開発・実用化するとともに、ウイルス対策としての空気清浄機の性能評価にも取り組んでおります。
(環境・エネルギー等)
(1) 再生可能エネルギー関連技術
鋼とコンクリートを複合利用した浮体式洋上プラットフォームの技術を共同開発し、風力発電に応用、環境省による「浮体式洋上風力発電実証事業委託業務」を受託し、2013年度には実証機(2MW)の実海域設置を成功させ、2015年度に予定どおり実証事業を終了しました。2016年度には日本初の実用化を実現し、発電事業として運転データを収集し、制御、設計技術に反映しております。また、コスト削減のための量産化や施工合理化、係留、調査、O&Mなど、普及拡大に向けた技術開発を継続しております。
(2) 農業関連技術
茨城県常総市内に農業実証ハウス「TODA農房」を建設し、土地整備関連事業等における提案技術の一つとして、主に施設園芸農業の事業化や園芸ハウスの建設等に関する技術開発を開始しました。また、筑波技術研究所内に人工光栽培実験室を増設し、各種環境条件が植物の生育に与える影響等に関する技術開発を開始しました。
(国内投資開発、国内グループ会社及び海外投資開発)
研究開発活動は特段行われておりません。