第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度におけるわが国経済は、新興国等において減速が見られたものの全体として緩やかに回復する海外経済や、国内の各種政策効果を背景に、企業収益や雇用・所得環境は改善し、設備投資に持ち直しの動きが見られるなど、国内景気は緩やかな回復基調を続けました。

建設業界におきましては、公共投資は高水準で推移するとともに、民間設備投資も改善が見られました。

当社関連の空調業界におきましては、公共投資は弱含んだものの、民間設備投資は増勢を継続し、全体としては比較的堅調に推移しました。一方、受注競争の激化等もあいまって、工事利益の確保に努力が必要な経営環境となりました。

当社は、平成26年4月から、平成35年の創立100周年に向けた長期経営構想「GReeN PR!DE 100」を開始いたしました。当社グループの目指す姿を、「顧客の期待に応え、信頼・信用され続ける企業グループ」、「グローバル市場で存在感を認められる環境企業」、「地球環境に貢献する環境ソリューションプロフェッショナル」としております。また、その実現に向けた変革の基礎づくりとして、3か年中期経営計画「iNnovate on 2016」に基づき、「現場力の強化」、「人財育成至上主義」、「安定的な収益確保」を重点取組課題としてグループの総力を挙げて取り組んでおります。

中期経営計画2年目の当連結会計年度におきましては、「現場力の強化」につきまして、今後の需要増加に対応すべく計画的な施工体制構築の推進を通じた技術員の現場力強化、現場業務従事者の環境改善、および原価管理の強化に取り組みました。「人財育成至上主義」につきましては、体系的人財育成のための組織「テクニカルアカデミー」を中心として教育制度の強化を図り、グループ社員を含めて総合力の高い技術員の育成に取り組みました。また、安定した施工体制の確保を目的とする、協力会社等の人財育成支援のための組織「高砂技塾」を創設し、当社が認定する優秀技能者「高砂マイスター」の意見を聴取し交流を図るとともに、職長や新規入職者を対象とした教育内容の検討に取り組みました。「安定的な収益確保」につきましては、戦略的な人員シフトと収益性を重視した受注活動を徹底するとともに、ITを活用し、現場に密着した商品・技術の高度化、施工技術・システム技術の開発、先進的技術の開発などコア技術の深化に取り組みました。

新規事業戦略として、低価格かつ高機能のセンサ(グリーンセンサ)と人工知能を活用したネットワークシステム「グリーンエアサービス」の開発やビジネスモデル構築等の検討を進めるとともに、実証実験を開始いたしました。また、当社の技術であるSIS(スーパーアイスシステム)に派生するシャーベットアイスを用いた水産物高鮮度化技術「SIS-HF(スーパーアイスシステム・ハイフレッシュネス)」の第1号機を長崎県平戸市において納入し、本格稼働いたしました。

平成27年7月から、リチウムイオン電池等の蓄電デバイスならびに有機ELデバイスの製造等に用いられるドライルーム向けに、工場内の余剰排熱やヒートポンプ排熱を有効活用して年間で最大60%の省エネルギー化を実現する新型除湿機「WINDS-Ⅲ(ウインズ・スリー)」を本格展開いたしました。平成27年7月から、研究室の安全な作業環境と省エネルギー運用を可能とするヒュームフード(ドラフトチャンバ)向け高速給排気統合管理システム「i-Fume(アイ・ヒューム)」を販売開始いたしました。また、平成27年7月、三菱地所株式会社、株式会社三菱地所設計、早稲田大学創造理工学部建築学科・田辺新一教授と共同で、冷温水を活用してデスク単位で温度調節できる、快適性と省エネ性の両立を果たす次世代パーソナルオフィス空調としての冷暖房付オフィスデスクを開発しました。平成27年8月に、NTTデータ先端技術株式会社、国立大学法人大阪大学、株式会社国際電気通信基礎技術研究所と共同で開発したデータセンタの抜本的低炭素化とオフィス等への廃熱利用に関する技術が世界初の連携制御技術で省エネ率70%を実現し、内閣府主催の産学官連携功労者表彰「環境大臣賞」を受賞いたしました。

 

国際事業に関しましては、平成27年5月に、現存するアジア以外の初の拠点となるタカサゴメキシコを本格稼働し、自動車関連や航空機、家電に加え、医療機器など多岐にわたる産業分野をターゲットとした営業を開始いたしました。平成27年12月に、インドを中心に、主に医薬セクターなどのクリーンルーム向け関連機器・内装材の製造・販売・取付事業を展開するIntegrated Cleanroom Technologies Private Limited(以下「ICLEAN」といいます。)の株式を取得し、持分法適用関連会社といたしました。また、公益事業の一環および当社が事業を展開するASEAN諸国における人的ネットワークの拡大等を目的として、平成27年6月に、マレーシア工科大学(UTM)に設置されているマレーシア日本国際工科院(MJIIT:Malaysia-Japan International Institute of Technology)に、本邦企業として初めて「高砂 熱・環境リサーチラボ(研究講座)」と「高砂教育研究支援制度(各種教育プロジェクトの支援)」をもって構成する「高砂教育研究ファンド」を設置し、同年9月から10月にかけて、研究活動を開始いたしました。

財務面におきましては、機動的な資本政策を遂行すること等を目的として、平成27年6月および平成28年3月に自己株式を1,340千株取得いたしました。

また、平成24年8月から3年間にわたり、東日本大震災の被災地や社会福祉施設等で実施してきた無料ピザづくり・配布の社会貢献活動について、記録展示会および識者による講演会を開催し、総括いたしました。

さらに、CRE(Corporate Real Estate、企業不動産)戦略および収益源の多様化の一環として、大阪府吹田市における賃貸マンションおよび東京都千代田区の学生向け賃貸施設を堅調に稼働させるとともに、新たに、東京都千代田区の賃貸用マンションを取得し、事業を強化いたしました。

これらの結果、当連結会計年度における業績は次のとおりであります。

なお、本有価証券報告書に記載の金額および株式数は、表示単位未満を切り捨てて表示しております。

工事の進捗が順調に推移したことに伴い、売上高は251,291百万円(前連結会計年度比+3.2%)となり、営業利益は9,289百万円(前連結会計年度比+20.2%)、経常利益は10,602百万円(前連結会計年度比+23.5%)、親会社株主に帰属する当期純利益は6,650百万円(前連結会計年度比+28.0%)となりました。

セグメントごとの業績は次のとおりであります。(セグメントごとの金額については、セグメント間の内部売上高等を含めて記載しております。)

(設備工事事業)

売上高は243,864百万円(前連結会計年度比+3.1%)となり、セグメント利益(営業利益)は8,833百万円(前連結会計年度比+20.3%)となりました。

(設備機器の製造・販売事業)

売上高は9,154百万円(前連結会計年度比+8.3%)となり、セグメント利益(営業利益)は482百万円(前連結会計年度比+21.5%)となりました。

(その他)

売上高は149百万円(前連結会計年度比+5.0%)となり、セグメント損失(営業損失)は11百万円(前連結会計年度はセグメント損失(営業損失)4百万円)となりました。

 

国際事業の売上高は28,553百万円(前連結会計年度比△30.3%)となりました。また、保守・メンテナンス事業の売上高は20,586百万円(前連結会計年度比+0.4%)となりました。

 

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、26,342百万円(前連結会計年度末比△9,453百万円)となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、1,272百万円の支出(前連結会計年度比+2,150百万円)となりました。これは主に売上債権の増加によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、5,398百万円の支出(前連結会計年度比△476百万円)となりました。これは主に関係会社株式の取得による支出および有形及び無形固定資産の取得による支出によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、2,215百万円の支出(前連結会計年度比△1,378百万円)となりました。これは主に自己株式の取得および配当金の支払によるものであります。

 

(注)「第2 事業の状況」における各事項の記載については、消費税等抜きの金額で表示しております。

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 受注高

 

セグメントの名称

前連結会計年度

(自 平成26年4月1日

至 平成27年3月31日)

当連結会計年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

前連結会計年度比(%)

(百万円)

(百万円)

設備工事事業

248,350

257,642

3.7

設備機器の製造・販売事業

7,166

7,520

4.9

その他

130

138

5.9

合  計

255,648

265,301

3.8

(うち海外)

(24,666)

(27,485)

(11.4)

(うち保守・メンテナンス)

(20,746)

(20,516)

(△1.1)

 

 

(2) 売上高

 

セグメントの名称

前連結会計年度

(自 平成26年4月1日

至 平成27年3月31日)

当連結会計年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

前連結会計年度比(%)

(百万円)

(百万円)

設備工事事業

236,475

243,861

3.1

設備機器の製造・販売事業

6,976

7,291

4.5

その他

130

138

5.9

合  計

243,582

251,291

3.2

(うち海外)

(40,959)

(28,553)

(△30.3)

(うち保守・メンテナンス)

(20,512)

(20,586)

(0.4)

 

(注) 1  セグメント間取引については、相殺消去しております。

2  当社グループでは生産実績を定義することは困難であるため、「生産の状況」は記載しておりません。

 

 

なお、参考のため、提出会社の事業の状況は、次のとおりであります。

設備工事事業における受注工事高および完成工事高の状況

① 受注工事高、完成工事高および繰越工事高

 

期別

区分

前期繰越
工事高
(百万円)

当期受注
工事高
(百万円)


(百万円)

当期完成
工事高
(百万円)

次期繰越
工事高
(百万円)

前事業年度

(自 平成26年4月1日

至 平成27年3月31日)

一般設備

133,574

163,263

296,837

135,466

161,371

産業設備

26,050

45,395

71,446

45,007

26,438

159,625

208,658

368,283

180,473

187,810

当事業年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

一般設備

161,371

155,907

317,278

141,346

175,932

産業設備

26,438

58,582

85,020

57,858

27,162

187,810

214,489

402,299

199,204

203,094

 

(注) 1 前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額に変更あるものについては、当期受注工事高にその増減額を含んでいるため、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれております。

2 次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)であります。

 

② 受注工事高

 

期別

区分

官公庁(百万円)

民間(百万円)

計(百万円)

前事業年度

(自 平成26年4月1日

至 平成27年3月31日)

一般設備

25,296

137,966

163,263

産業設備

334

45,060

45,395

25,631

183,027

208,658

当事業年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

一般設備

18,440

137,466

155,907

産業設備

90

58,491

58,582

18,531

195,958

214,489

 

(注) 受注工事高のうち、主なものは次のとおりであります。

前事業年度 受注金額10億円以上の主なもの

京都駅ビル開発㈱

京都駅ビル熱源・空調設備更新工事

㈱大林組

大手町二丁目地区再開発施設建築物B棟工区建設工事

㈱大林組

日本橋二丁目再開発A街区

㈱竹中工務店

グローバルゲート新築に伴う空調設備工事

日本銀行

日本銀行本店営業所南分館基幹設備改修等空調設備工事

 

当事業年度 受注金額20億円以上の主なもの

東急建設㈱

渋谷駅南街区プロジェクト空調設備工事

㈱大林組

ニッセイクレアタワー新築工事に伴う空調設備工事

大成建設㈱

日本テレビ麹町スタジオ棟建設プロジェクト

㈱大林組

新南海会館プロジェクト空調設備工事

東京都

有明アリーナ新築工事に伴う空調設備工事

 

 

受注工事方法は、特命と競争に大別されます。これを受注金額比で示すと次のとおりであります。

 

期別

区分

特命(%)

競争(%)

計(%)

前事業年度

(自 平成26年4月1日

至 平成27年3月31日)

一般設備

21.9

56.3

78.2

産業設備

6.5

15.3

21.8

28.4

71.6

100.0

当事業年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

一般設備

22.7

50.0

72.7

産業設備

8.9

18.4

27.3

31.6

68.4

100.0

 

 

③ 完成工事高

 

期別

区分

官公庁(百万円)

民間(百万円)

計(百万円)

前事業年度

(自 平成26年4月1日

至 平成27年3月31日)

一般設備

25,255

110,210

135,466

産業設備

314

44,693

45,007

25,569

154,904

180,473

当事業年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

一般設備

18,054

123,292

141,346

産業設備

394

57,463

57,858

18,449

180,755

199,204

 

(注) 1 完成工事高のうち、主なものは次のとおりであります。

前事業年度 請負金額13億円以上の主なもの

㈱竹中工務店

新飯野ビル計画

大成建設㈱

北品川五丁目計画第1地区第一種市街地再開発事業

鹿島建設㈱

西新橋一丁目計画空調設備工事

東京都下水道局

芝浦水再生センター熱供給設備工事

㈱竹中工務店

新宿コマ劇場建替計画空調

 

当事業年度 請負金額20億円以上の主なもの

鹿島建設㈱

大手町1-1A棟新築工事

大成建設㈱

新鉄鋼ビル建替計画の内空気調和設備工事

清水建設㈱

大名古屋ビル建替

㈱竹中工務店

ダイキン工業テクノロジー・イノベーションセンター(仮称)建設工事

㈱竹中工務店

博多駅中央街SW計画(仮称)新築工事に伴う空調設備工事

 

2 完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高およびその割合は、次のとおりであります。

前事業年度

鹿島建設㈱

18,523百万円

10.3%

当事業年度

㈱竹中工務店

23,501百万円

11.8%

 

 

 

④ 手持工事高(平成28年3月31日現在)

 

区分

官公庁(百万円)

民間(百万円)

計(百万円)

一般設備

31,580

144,352

175,932

産業設備

1

27,161

27,162

31,581

171,513

203,094

 

(注) 手持工事高のうち、請負金額20億円以上の主なものは、次のとおりであります。

㈱竹中工務店

大手町二丁目地区第一種市街地再開発事業A棟工区

建設工事

平成30年7月完成予定

戸田建設㈱

大手町一丁目第3地区第一種市街地再開発事業

平成28年4月完成予定

三菱地所㈱

丸の内3-2計画

平成30年12月完成予定

㈱大林組

大手町二丁目地区再開発施設建築物B棟工区建設工事

平成30年7月完成予定

京都駅ビル開発㈱

京都駅ビル熱源・空調設備更新工事

平成28年6月完成予定

 

 

 

3 【対処すべき課題】

(1) 当面の対処すべき課題の内容等

当社を取り巻く事業環境の今後の見通しにつきましては、アジア地域経済の先行き、原油価格の下落や金融資本市場の変動の影響など不透明な要因はあるものの、海外経済の回復、わが国の各種政策効果や企業収益の改善を背景に、国内景気は緩やかに回復基調を続けるものと思われます。

建設業界および当社関連の空調業界におきましては、公共投資は緩やかに減少するものの高めの水準を維持し、民間設備投資は改善傾向で推移することが見込まれる一方、労務需給のひっ迫等、工事利益の確保・改善に努力が必要な経営環境が続くものと思われます。

当社におきましては、東京オリンピックに向けた繁忙期および開催後を見据えるとともに、国際事業や環境ソリューション事業など中長期的な視点からの経営資源投入が重要課題となっております。

このような情勢のもと、当社は、引き続き、長期経営構想の実現に向かって、変革の基礎づくりと位置づけた3か年中期経営計画の最終年度として諸施策を完遂してまいります。また、平成29年4月からの3か年を成長に向けた変革の断行期間とする、新たな中期経営計画の策定を進めてまいります。

「CSR経営の推進」といたしまして、コーポレートガバナンス・コードに適切に対応するとともに、コンプライアンス・リスク管理の徹底や内部監査等の充実を図り、内部統制態勢およびガバナンス態勢についてグループを挙げて強化してまいります。また、環境ソリューションプロフェッショナル企業グループとして省エネルギー・省CO活動に取り組み、事業を通じて社会に貢献してまいります。「現場力の強化」では、計画性の高い現場運営や現場への優先的資源配分と商圏を見据えた適正な配員を行うとともに、CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)を強化し、顧客の潜在ニーズに働きかけ、顧客の利益を創造するセールスエンジニアリングを展開してまいります。また、セールスエンジニアリングを通じて、当社が過去に手掛けた豊富な実績等により優位性を持つリニューアル工事の顕在化を推進してまいります。また、現場の施工管理技術および業務の高度化・効率化、ならびに品質・生産性の向上を実現するために、BIM(ビル・インフォメーション・モデル)等、ITの活用を推進してまいります。「人財育成至上主義」により、競争力の源泉である専門性のある総合力の高い人財の計画的・体系的育成に取り組むとともに、テクニカルアカデミーを通じて、信頼される現場代理人を早期に育成してまいります。高砂技塾や高砂マイスター制度等を通じ、当社の品質を支える協力会社と連携を強化して、当社の施工技術を伝承してまいります。また、喫緊の課題として、女性の活躍推進や多様性の確保、人事制度の改革等、就労環境の整備・改善に取り組んでまいります。最大の課題である「稼ぐ力(収益力)」につきましては、組織を横断して現状を分析し、あらゆる運営方法を見直すとともに、収益性を一層重視した受注活動の徹底、効率的な施工計画の策定と実施を強化し、持続的成長を可能にする安定的な収益確保を実現してまいります。グループ経営につきましては、管理と支援といったマネジメントを強化し、重複事業の集約や、再編・統合、新規事業展開といった事業の見直しに加え、人事交流を推進するなど連携を強化して、グループバリューチェーン構築に取り組むとともにグループシナジーの極大化を目指し、グループ全体の最適化・効率化を推進してまいります。また、グローバル展開につきましては、中長期的な事業拡大の視野に立ち、国や地域に応じて事業展開と管理体制の整備・強化を行い、国内に設置した国際事業本部と現地との緊密な連携を通じて、収益管理およびコンプライアンス等のリスク管理を強化するとともに、事業基盤の安定化に取り組んでまいります。在インドの持分法適用関連会社であるICLEANを活用し、日系企業の海外進出工事案件を自ら設計・施工するという当社従来の海外事業モデルに加えて、医薬を中心とした非日系企業への新たな国際事業展開モデルの構築に取り組んでまいります。

 

現地における事業強化として、ナショナルスタッフの技術力強化、マネジメント人財の育成を進めるとともに、最適な現地パートナーとの協働を推進してまいります。新規事業につきましては、開発等に積極的に挑戦するとともに、各事業の特性を踏まえた事業モデルを構築し、展開してまいります。業務・資本提携先である、水環境をはじめとする環境・エネルギー関連の技術力・プラントエンジニアリング力を有する月島機械株式会社(コード番号:6332、東京証券取引所市場第一部)とともに、国内外におけるエネルギーの供給および有効利用に関する事業の拡大と新技術・新商品の共同開発の推進に注力してまいります。また、CRE(企業不動産)、BCP(事業継続計画)、森林づくりを通じた環境保全活動や公益事業等のCSR活動についても、積極的に取り組んでまいります。

当社は、CSRを経営の根幹に位置づけ、グループを挙げて法令遵守およびコーポレート・ガバナンス態勢の強化に取り組むとともにグループ戦略を実行し、事業の中長期的な成長および企業価値ひいては株主共同の利益の継続的かつ持続的な向上に努めてまいります。

 

(2) 株式会社の支配に関する基本方針

① 基本方針の内容の概要

当社は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者は、当社の企業価値の源泉を理解し、当社が企業価値ひいては株主共同の利益を継続的かつ持続的に確保、向上していくことを可能とする者である必要があると考えています。

当社は、創業以来、「最高の品質創り、特色ある技術開発、人材育成」という経営理念に基づき、一般空調、工場空調、地域冷暖房施設、原子力関連の空調設備、除湿設備など 「熱と空気に関するエンジニアリング」を中心とした建築設備工事業を営んでおり、これらについて、独自の技術によって安全かつ高品質なサービスを提供し続けることにより、企業価値・株主共同の利益の確保・向上に努めてまいりました。

そして、当社の企業価値の源泉は、①高い技術力・開発力を持つ個々の社員と個々の社員の能力に基づく最先端かつ独創的な技術力・開発力、②空調・熱源設備の施工業者として蓄積してきたノウハウや実績、③長年にわたり培ってきた事業会社などの顧客や高い施工能力を有する協力会社との信頼関係、および④顧客重視・現場重視の企業文化および健全な財務体質を継続的に維持することによる優良な顧客の開拓・維持などにあります。

当社は、株式の大量買付であっても、当社の企業価値・株主共同の利益に資するものであれば、これを一概に否定するものではありません。また、株式会社の支配権の移転を伴う買収提案についての判断は、最終的には株主全体の意思に基づき行われるべきものと考えております。しかしながら、株式の大量買付の中には、対象会社の企業価値・株主共同の利益に資さないものも少なくありません。そして、当社株式の大量買付を行う者が上記の当社の企業価値の源泉を理解し、中長期的に確保し、向上させられる者でない場合には、当社の企業価値ひいては株主共同の利益は毀損されることになります。

当社は、このような当社の企業価値・株主共同の利益に資さない大量買付を行う者は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者として不適切であると考えます。

 

 

② 基本方針実現のための取組みの具体的な内容の概要
 基本方針の実現に資する特別な取組みの概要

当社取締役会は、当社が企業価値ひいては株主共同の利益を継続的かつ持続的に確保、向上していくことを実現するために、平成23年4月に中期経営計画として、建築設備の企画から新築、アフターサービスを経てリニューアルまでのライフサイクルにわたり、ハードだけでなく各種サービスを提供するワンストップサービスと、空調だけでなく衛生、電気等の周辺設備工事も併せて提供するワンストップサービス、この「二つのワンストップサービス」を通じて差異化を図り、顧客設備の省エネルギー・CO削減に貢献する環境ソリューション事業を展開することを基本方針として定め、諸施策を実施してまいりました。また、平成26年2月には、平成35年の創立100周年に向けた長期経営構想「GReeN PR!DE 100」を策定し、「ビルライフサイクルをフルカバーするワンストップサービスシステムの構築」「既存グローバル市場の攻略深化と新市場への進出・展開」「熱・エネルギーに関わる新たな事業領域・ストックビジネスへの進出」「高砂ドメインの技術に派生する新規事業の開発、起業」を成長戦略としております。その第1ステップと位置づけた平成26年4月からの新たな中期経営計画「iNnovate on 2016」を開始し、引き続き、「顧客最優先」「現場第一主義」の考えに基づき、「現場力の強化」「人財育成至上主義」「安定的な収益確保」を重点取組課題として、グループの総力を挙げて採算性重視の受注活動を推進するとともに重点分野への経営資源集中により、収益の拡大と持続的な成長を実現すべく事業構造改革を進めております。

コーポレート・ガバナンスにつきましては、取締役の人数適正化・任期短縮を行うとともに、経営の意思決定・監督機能と業務執行機能を明確にし、迅速かつ機動的な経営を行うため、執行役員制度を導入しております。当社は、業務執行部門である取締役および執行役員が機動的な業務執行を行うこと、また、監査役、会計監査人および内部監査室が相互に連携をとり、実効性のある監査を行うことにより経営の透明性を高めております。具体的には、取締役会の監督機能を強化すべく、平成28年6月28日開催の第136回定時株主総会において、社外取締役を1名増員し、取締役12名のうち3名を社外取締役としております。また、監査機能を強化すべく、監査役5名のうち3名を社外監査役としております。

当連結会計年度におきましては、会社法および関連法務省令の改正ならびにコーポレートガバナンス・コードの適用等を踏まえ、経営体制の整備、強化に取り組みました。平成27年4月1日以降、更なる迅速かつ機動的な経営を行うとともに経営監督機能を強化するため、金額的に軽微な一定程度の事項については経営会議に委任いたしました。併せて、同年4月1日以降、企業集団を横断した内部統制システムの充実強化を目的に、内部統制委員会を設置いたしました。また、当社は、指名報酬委員会を設置しておりますところ、客観性・透明性を高めるために社外取締役2名を加え、当該委員会における審議を経て、取締役会の決議により取締役候補および監査役候補の指名、取締役の報酬等の決定、ならびに子会社の役員等の候補の指名を行うことといたしました。併せて、取締役の報酬について、株主との認識を合わせるべく、制度を変更いたしました。取締役および監査役は、弁護士等の社外専門家によるコーポレート・ガバナンス等に関する研修、ならびに新任取締役候補および新任監査役候補は就任前に法令等に関する研修をそれぞれ受講し、研鑽に努めました。また、各取締役は自己評価を行うとともに、取締役会全体として実効性について分析および評価を行い、代表取締役はアドバイザリー会議において、社外取締役および社外監査役から直接当該内容に関する指摘、意見をいただきました。さらに、代表取締役および取締役は、機関投資家および個人投資家を対象に、説明会等を通じて株主との建設的な対話に努めました。

当社は、引き続き、コーポレート・ガバナンスの強化を経営の重要課題の一つと捉え、実効的なコーポレート・ガバナンスの実践を通じて、持続的な成長および中長期的な企業価値の向上に取り組んでまいります。

 

 

③ 具体的取組みに対する当社取締役会の判断およびその理由

上記②に記載した企業価値向上のための取組みやコーポレート・ガバナンスの強化といった各施策は、当社の企業価値・株主共同の利益を継続的かつ持続的に向上させるための具体的方策として策定されたものであり、まさに当社の基本方針の実現に資するものです。従って、これらの施策は、基本方針に沿い、当社の株主共同の利益に合致するものであり、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではありません。

 

4 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項として次のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 業績の季節的変動

当社グループの売上高は、通常の営業形態として工事の完成時期が下半期に集中することにより、連結会計年度の下半期に売上高および利益が偏重するなど業績に季節的変動があります。

 

(2) 建設資材価格の変動リスク

当社グループは鋼材等建設資材を調達しておりますが、資材価格が高騰し、これを請負金額に反映することが困難な場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 海外事業に伴うリスク

当社グループが事業を展開する中国・東南アジア・中南米地域においては、予期しえない法的規制や変更、政治不安および市況・為替の変動等不測の事態が発生した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があるなどカントリーリスクが存在しています。

 

(4) 不採算工事の発生によるリスク

工事施工段階での想定外の追加原価等により不採算工事が発生した場合には、工事損失引当金を計上することなどにより業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 施工中の事故、災害リスク

工事の安全衛生や品質管理には万全を期しておりますが、施工中の災害または事故等により、損害賠償、瑕疵担保責任等が発生する可能性があります。当社グループは不測の事態に備えて包括賠償責任保険に加入しておりますが、多額の損害賠償金が発生した場合には業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 取引先の信用リスク

施工済みの工事代金を受領する前に受注先が倒産した場合には、未受領の工事代金の全額回収が不可能となり、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、施工中に協力会社が倒産した場合には工事の進捗に支障を来たすとともに、追加費用が発生し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 資産保有リスク

当社グループは不動産や有価証券等の資産を保有しておりますが、取引先を中心とした市場性ある株式は価格変動リスクを負っております。当連結会計年度末時点での市場価額との評価差額(税効果会計の適用前)は15,102百万円の含み益であり、今後の時価の動向次第でこれらの数値は変動します。また、大幅な時価の下落が生じた場合、減損が発生する可能性があります。

 

(8) 退職給付制度に関するリスク

年金資産および信託の下落や運用利回りの悪化、割引率等数理計算上で設定される前提に変更があった場合には、退職給付費用および退職給付債務が発生し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 自然災害によるリスク

当社が事業を展開する地域において、地震等の大規模自然災害の発生に伴い、工事の中断や大幅な遅延等の事態が生じた場合、事業所において営業の継続に支障をきたす重大な損害が生じた場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 法的規制等によるリスク

建設業法、独占禁止法、労働安全衛生法等による法的規制を受けており、法的規制の改廃や新設、適用基準等の変更があった場合、また、当社グループはコンプライアンス態勢の充実に努めておりますが、法的規制による行政処分等を受けた場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当連結会計年度の研究開発活動は、エネルギーミニマムでの最適環境の実現、生産効率向上のための環境制御技術の提供、高品質・省力化に貢献する施工技術の開発を基本方針に掲げ、省エネルギー、地球環境保全、事業継続、その他多様な顧客ニーズに応える技術と商品の創出に注力してまいりました。

具体的には、エネルギー最適利用のための要素技術とそれらの複合化、情報通信技術を駆使した高度な設備運用や監視技術、地球環境負荷の低減や製造環境の最適化技術の研究開発に取り組んでおります。

特に、更なる省エネルギーを推進する次世代型のエネルギーマネジメントシステム、オフィス空調システム、データセンタ空調システムの開発、研究施設等における作業者の安全確保に寄与する給排気制御・監視システム、低温廃熱を有効利用できる除湿機などの開発を推進いたしました。

当連結会計年度における当社グループの研究開発費の総額は、917百万円でありました。

セグメントごとの主な成果は、次のとおりであります。

 

(設備工事事業)

(1) 次世代エネルギーマネジメントシステム

顧客建物や施設の設備運用を、ライフサイクルにわたって「見える化」、「運転支援」、「運用最適化」するためのクラウド型エネルギーマネジメントシステムの開発を行い、顧客施設へ実証導入を行いました。引き続き、機能の高度化を行うとともに顧客施設への導入を拡大してまいります。

今後は、運用データの一括管理により、複数の建物のエネルギー消費量や熱源の運用評価、異常や劣化診断機能を強化するとともに、最適運用制御のためのシステム開発を重点化してまいります。

 

 

(2) 高速VAV装置および給排気制御・監視システム

昨年度開発したヒュームフード向けの高速VAV装置に耐食仕様モデルを追加するとともに、室内に多数配置された高速VAV群の給排気制御・監視システム「i-Fume(アイ・ヒューム)」を開発し、顧客施設への導入を本格開始いたしました。

 

(3) 次世代パーソナルオフィス空調システム

三菱地所株式会社、株式会社三菱地所設計、早稲田大学 田辺新一教授と共同で、冷温水を活用してデスク単位で温度調節できる、快適性と省エネ性の両立を果たす次世代パーソナルオフィス空調としての冷暖房付オフィスデスクを開発しました。

 

(4) 省エネ型データセンタ空調システム

NTTデータ先端技術株式会社、大阪大学、株式会社国際電気通信基礎技術研究所と共同で「データセンタの抜本的低炭素化とオフィス等への廃熱利用に関する技術」を開発いたしました。本技術は、世界初の連携制御技術で省エネ率70%を実現したもので、内閣府主催の産学官連携功労者表彰「環境大臣賞」を受賞いたしました。

 

なお、当連結会計年度における研究開発費は、767百万円でありました。

 

(設備機器の製造・販売事業)

高い省エネ性と調湿性を備えた水熱源外気処理空調機(デシマック)および水熱源セパレート型マルチ空調システム(ミズマルチシステム)の開発と展開を行いました。さらに、リチウムイオン電池等の蓄電デバイスならびに有機ELデバイスの製造等に用いられるドライルーム向けに、工場内の余剰排熱やヒートポンプ排熱を有効活用して年間で最大60%の省エネルギー化を実現する新型除湿機「WINDS-Ⅲ(ウインズ・スリー)」を開発し本格展開いたしました。

なお、当連結会計年度における研究開発費は、149百万円でありました。

 

(その他)

該当事項はありません。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

(1) 重要な会計方針および見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における資産・負債および収益・費用の数値に影響を与える見積りが行われている部分があります。貸倒引当金・退職給付引当金等の各種引当金、工事損失引当金の対象となる工事の完成引渡し時における損失および工事進行基準適用工事の予定利益率等に関する見積りならびに判断については、継続的に評価を行っております。

なお、見積りおよび判断・評価については、過去の実績や状況に応じて見直しを行っておりますが、不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。

 

(2) 財政状態の分析

① 資産の状況

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べて2,510百万円減少し、224,367百万円となりました。これは、主に現金預金が減少したことによるものであります。

 

② 負債の状況

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べて1,238百万円増加し、119,754百万円となりました。これは、主に未払金が増加したことによるものであります。

 

③ 純資産の状況

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べて3,749百万円減少し、104,613百万円となりました。これは、主にその他有価証券評価差額金が減少したことによるものであります。

 

(3) 経営成績の分析

「1 業績等の概要 (1) 業績」に記載のとおりであります。当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度を3.2%上回る251,291百万円となりました。用途別売上高の内訳は、設備工事事業のうち、一般設備は前連結会計年度を4.6%上回る157,511百万円、産業設備は前連結会計年度を0.5%上回る86,350百万円となりました。設備工事事業全体は前連結会計年度を3.1%上回る243,861百万円、構成比では売上高全体の97.0%を占めております。設備機器の製造・販売事業は前連結会計年度を4.5%上回る7,291百万円、構成比では2.9%となりました。また、その他は前連結会計年度を5.9%上回る138百万円、構成比では0.1%となりました。

利益面では、工事の進捗が順調に推移したことに伴い売上高が増加したこと等により、売上総利益率が前連結会計年度を0.4ポイント上回る11.8%、営業利益は前連結会計年度を20.2%上回る9,289百万円、経常利益は前連結会計年度を23.5%上回る10,602百万円、税金等調整前当期純利益は前連結会計年度を19.5%上回る10,438百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度を28.0%上回る6,650百万円となりました。

 

 

(4) 資本の財源および資金の流動性についての分析

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析については、「1 業績等の概要 (2)  キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。

なお、当社においては、運転資金の効率的な調達を行うため、総額30億円の貸出コミットメント契約を締結しております。

 

(5) 経営者の問題意識と今後の方針

当社グループを取り巻く事業環境は、資機材や労務費の上昇、競争激化など厳しい経営環境が続くものと予想されるなか、当社グループは「顧客最優先」「現場第一主義」の考えに基づき、採算性重視の受注活動を推進するとともに重点分野への経営資源集中により、収益の拡大と持続的な成長を実現するべく事業構造改革を進めてまいります。