文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その実現を約束する趣旨のものではありません。
<経営環境および対処すべき課題等>
■政治・地政学
イラン情勢による原油・天然ガス価格の高騰、世界的なインフレ再加速と景気後退や米国経済による関税引き上げ政策による輸入減少・物価上昇が懸念されます。また、足許インバウンド需要の頭打ちによる景気転換の兆しがあります。
■産業・経済
物価上昇とコスト増(原油・原材料価格の高騰)により企業の生産コストを圧迫、実質賃金の伸び悩みにより消費者の購買力が低下、為替レート(円安・円高)の急速な変動により輸出入企業の収益に大きな影響が予測されます。
■社会・環境
気候変動リスクに対する対応が急務の中、脱炭素コストの低減の遅れによるカーボンニュートラルに係る事業化の遅延リスクを抱えています。また労働力人口の減少により深刻な人手不足が顕著化しています。
■技術・イノベーション
生成AI技術の急速な発展・普及、データセンター・半導体需要の増加に伴う電力需要の拡大が予測されます。
以上の通り、当社を取り巻く事業環境は劇的に変化しています。
<経営方針>
このような事業環境の変化に迅速かつ柔軟に対応し、多様な価値観を活かして、当社グループが、持続的な成長と付加価値を創出するためには、当社の社是「人の和と創意で社会に貢献」を原点に、当社グループに集う全ての人たちの心の拠り所が必要であると考え、自らのパーパスを『環境革新で、地球の未来をきりひらく。』と定めました。
「高砂熱学グループ長期ビジョン2040 Create our PLANET, Create our FUTURE」の策定にあたり、2040年にどのような姿であるべきか、株主・投資家の皆様、お客様、取引先、協力会社や社員といったすべてのステークホルダーのエンゲージメント向上の観点で議論してまいりました。その結果、当社グループは、これまでの空気調和の技術を核としながら、環境創造の事業領域を拡げ、役職員一人ひとりが、環境クリエイターⓇとして、社内外の多様な人財と高め合いながら常に挑戦を続けていき、ビジネスパートナーと環境価値を共創する企業像を導き出しました。
そして、これからの社会変化を踏まえ、空調設備事業を核として、①建設事業、②設備保守・管理事業、③カーボンニュートラル事業、④環境機器製造・販売事業の4つの事業ドメインをDXで連携し、目指す姿を実現する企業グループへ変革してまいります。高砂熱学グループ長期ビジョン2040を、市場環境の成長や投資回収時期等の観点から、3つのフェーズで着実に進めていき、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図ってまいります。第1フェーズ(2023-2026)の「中期経営計画2026 Step for the FUTURE −未来への船出の4年間−」では、コア事業(建設事業)による収益基盤を盤石なものとし、得られる資金を事業領域拡大に向けた成長投資に振り向けてまいります。第2フェーズ(2027-2030)は、成長実現の4年間と位置づけ、海外事業の伸長、DXによる新たな付加価値の創造やカーボンニュートラル事業の収益化の実現を目指してまいります。そして、第3フェーズ(2031-2040)は、飛躍の10年と位置づけ、カーボンニュートラルに資する新たな事業セグメントの確立を目指します。
※“環境クリエイターⓇ”とは、偏に環境関連事業に携わる狭義の人財ではなく、高砂熱学グループにおいて技術・営業・管理・経理の業務を通じて、社会課題解決に資する価値創造を成す人財である。
<高砂熱学グループの長期ビジョン2040>
高砂熱学グループ長期ビジョン2040で目指す姿と4つの事業ドメイン
長期ビジョン2040実現に向けた3つのフェーズ(2025年5月修正版)
<高砂熱学グループの中期経営計画2026>
中期経営計画2026 Step for the FUTURE -未来への船出の4年間-の基本方針
中期経営計画(2023年~2026年)の数値目標(2025年5月修正版)
当社グループのサステナビリティに関する考え方および取組に関しては、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
<サステナビリティ基本原則>
当社グループは、2021年に制定したサステナビリティ基本原則(※)の下、中期経営計画で定めた目標達成に向け持続可能な成長と中長期的な企業価値の向上を目指すサステナビリティ経営を推進しております。
当社グループは、パーパス「環境革新で、地球の未来をきりひらく。」の下、環境クリエイターⓇとして、TakasagoWayの実践を通じ持続的な成長と企業価値の向上を目指します。
|
※サステナビリティ基本原則(2024年4月改定) 1.サステナビリティ課題の解決に向けた取組を事業活動に組み込み、事業の一環として取り組みます。 2.サステナビリティ課題に関するリスクへの的確な対応と収益機会の獲得を目指します。3.サプライチェーンを含めたあらゆるステークホルダーと協働し取り組みます。 4.建物内の空間環境にとどまらず、地球環境にやさしい技術・サービスの提供に努めます。 5.お客様ニーズを把握し、常にお客様から期待される以上の品質提供に努めます。 6.公平・公正な処遇、多様性、健康経営の推進など、働きやすく意欲向上に資する労働環境を整備し、社員エンゲージメント向上に努めます。 7.企業倫理の徹底をはじめ公正で透明性の高い経営を推進します。 8.経営トップが率先垂範し、全役職員が高い使命感と情熱をもって取り組みます。 |
1.マテリアリティの特定
当社グループでは、社会情勢や事業環境の変化を踏まえ、優先的に取り組むべき重要課題(マテリアリティ)を以下のプロセスで特定し、適時アップデートを図っております。「気候・自然関連」及び「ウェルビーイング(人的資本の強化)」をマテリアリティ(サステナビリティ課題)として認識した上で、ガバナンス、戦略、リスク管理及び、指標と目標を設定し取り組んでおります。
2.気候関連課題への対応環境
① ガバナンス
当社グループでは、取締役会が気候関連のリスク及び機会の監督責任を担っています。取締役会の構成員の選任にあたっては、気候変動をはじめとする環境課題に関する経験や知見を、取締役に期待する専門性・経験の一つとして位置づけており、ガバナンス・指名・報酬委員会において、スキルマトリックスの評価結果の妥当性を確認しています。加えて、気候関連分野の有識者を講師として招いた勉強会を適宜開催し、取締役会における気候関連課題へのリテラシー向上を図っています。
また、本社本部長・部長クラス及び各本支店副支店長で構成するサステナビリティ推進委員会において、中長期の目標や足許の施策について協議し、その内容を経営会議で審議した上で、取締役会に上程・報告する体制としております。取締役会では、付議された重要な気候関連のリスク及び機会と、そのトレードオフについて考慮したうえで、必要に応じてサステナビリティ推進委員会へ対応の指示を行っております。
2025年度は、サステナビリティ推進委員会を計8回開催しました。委員会では主にウェルビーイングの向上と気候関連対応に関するテーマについて議論を行い、実施策を起案し、取りまとめた上で、経営会議、取締役会に上程・報告を行いました。実施策に関しては、経営会議・取締役会からの助言に基づき、適宜修正し、更に効果の高いものとすべく取り組みました。
<2026年度予定>
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会議体 |
構成員 |
役割 |
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取締役会 |
取締役 |
経営・執行の監督を行う 気候関連課題に関する重要事項を監督し、必要に応じて指示を行う |
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経営会議 |
取締役 ・本支店長 |
経営執行に関する最高決定会議 気候関連課題の解決に関する決議 |
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サステナビリティ推進委員会 |
本社部長 本支店長他 |
気候関連課題に関する重要事項の審議、気候関連課題の解決に係る決議 経営会議への上程・報告 |
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全社リスク管理委員会 |
本社部長 本支店長他 |
事業全体のリスクを「重点管理リスク」「重要管理リスク」「その他管理リスク」に識別・評価し、コントロール サステナビリティ推進委員会から連携された気候関連リスクを事業全体のリスクのひとつとして認識し、リスク全般を統合管理 |
<2025年度 サステナビリティ推進委員会 開催実績>
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回次 |
開催日 |
テーマ |
主な実施事項 |
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第1回 |
2025年4月21日 |
ウェルビーイング |
ウェルビーイングの定義およびゴールの明確化、人財ポートフォリオ将来図の変化に関する課題整理 |
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第2回 |
2025年5月21日 |
気候・自然関連 |
CO₂排出削減目標および2024年度排出量の確認、2025年度実施施策の確認 |
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第3回 |
2025年7月17日 |
ウェルビーイング |
働き方の変化を踏まえたエンゲージメントスコア分析、施策の検討 |
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第4回 |
2025年8月20日 |
気候・自然関連 |
CO₂排出削減実績(第1四半期)と実施策の進捗確認、2028年度を見据えた建物LCA対応の検討 |
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第5回 |
2025年10月16日 |
ウェルビーイング |
自己実現および承認欲求に関する優先課題の決定、取組方針の決定 |
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第6回 |
2025年11月13日 |
気候・自然関連 |
CO₂排出削減実績(第2四半期)の確認、Scope3算定の精度向上に向けた議論、SSBJ対応準備 |
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第7回 |
2026年1月19日 |
ウェルビーイング |
当面の実施策の確認、LGBTQ+関連法人賛同に関する議論 |
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第8回 |
2026年2月25日 |
気候・自然関連 |
CO₂排出削減実績(第3四半期)の確認、次期サステナビリティ推進委員会の体制および在り方の検討 |
また、取締役会では経営会議からの報告を経て、気候関連の目標の達成に向けた進捗をモニタリングしており、当社では取締役の報酬の中に、複数のマテリアリティのひとつとして温室効果ガス排出削減目標に対する達成状況に応じた評価を組み込んでおります。
② 戦略
気候変動課題への対応については、TCFD提言に基づき、当社にとっての気候関連リスク及び機会を抽出のうえ、影響度算定の前提として1.5℃と4℃シナリオを設定し、中期経営計画で公開している情報等の合理的で裏付け可能な情報を活用し、分析しております。なお、当社は、気候関連のリスク及び機会の識別にあたり、ISSB「産業別ガイダンス」の適用可能性を精査中です。
(a)気候関連のリスク及び機会
以下に、当社グループにとっての主要な気候関連リスク及び機会を示します。
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区分 |
種類 |
時間軸 |
内容 |
事業影響 |
対策概要 |
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移行リスク |
政策・規制 |
中期 |
炭素税導入に伴う運用コストの増加 |
中 |
1.再エネ電力の活用 |
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炭素税導入に伴うサプライヤーのコスト転嫁による調達コストの増加 |
中 |
1.グリーン調達(低炭素資機材の調達)やトップランナー製品(高効率製品)の継続的な採用 |
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技術 |
中期 |
省エネ関連の技術開発の遅れによる受注減少 |
大 |
1.省エネ提案等を通じたステークホルダーニーズの的確な把握 |
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|
脱炭素関連技術・サービスの開発遅延・投資コスト増加および脱炭素関連の市場ニーズへの対応が不十分であることに伴う収益機会の損失 |
大 |
1.顧客の動向、競合状態等を踏まえたビジネス・モデル構築 |
|||
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評判 |
短期/中期 |
気候関連課題への対応および開示情報が不十分であることに伴う企業価値の低下 |
大 |
1.気候変動対応イニシアティブへの参画 |
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区分 |
種類 |
時間軸 |
内容 |
事業影響 |
対策概要 |
|
物理的リスク |
急性 |
中期/長期 |
異常気象の影響で顧客側の設備投資計画の凍結・見直しや施工物件の工程遅延等による受注・収益機会の損失 |
大 |
1.幅広い受注活動と案件アプローチによる受注分散 |
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浸水による事業活動の停止に伴う収益機会損失及び被災時のコスト発生 |
小 |
1.浸水リスクが比較的大きいT-Base®での対策強化 |
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慢性 |
中期/長期 |
作業環境の苛烈化に伴う労働力、施工能力の不足による受注・収益機会の減少 |
大 |
1.健康経営、長時間労働抑制の推進 |
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労働環境悪化による作業効率低下に伴う収益機会の減少 |
中 |
1.T-Base®の活用拡大による現場作業スリム化と生産性向上 |
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気温上昇による事業所空調設備使用料の増加 |
小 |
節電運用(クールビズ・ウォームビズ等) |
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機会 |
資源の効率性 |
短期/中期 |
施工プロセスの変革による操業コストの減少と生産性向上 |
大 |
1.T-Base®の普及・促進 |
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製品およびサービス |
短期/中期 |
省エネ推進政策・規制の進展による、企業の設備更新ニーズの増加に伴う収益機会増加 |
大 |
1.顧客への情報提供を通じたニーズ把握と計画的な設備更新 |
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環境負荷低減に貢献する製品施工の収益増加(旋回流誘引型成層空調システム(SWIT®)、ピーマック製品等) |
大 |
1.顧客への情報提供を通じたニーズ把握と計画的な設備更新 |
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市場 |
中期/長期 |
水電解水素製造装置(Hydro Creator®)をはじめグリーンエネルギー供給設備等の新技術開発・新サービス投入による新市場開拓 |
大 |
1.2026年までに5,000kW分のグリーンエネルギー供給設備の実装に向けた研究開発の推進 |
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グリーンボンドなどの有利な資金調達機会の創出 |
大 |
上記投資に必要となる場合に活用を検討 |
事業影響は、財務影響額試算(コスト「小:〜1億円、中:1億円超〜30億円、大:30億円超」 収益「 小:〜20億円、中:20億円超〜300億円、大:300億円超」)に定性的な評価を加え、「小」「中」「大」に区分 (コスト、収益の閾値「大」は東証の適時開示基準をベースに設定)
短期は1年(年度経営計画と同期間)、中期は3〜10年(中期経営計画と同期間)、長期は10年超(長期ビジョンと同期間)
(b)ビジネス・モデル及びバリュー・チェーンに与える影響
当社グループのビジネス・モデル及びバリュー・チェーンにおいて、気候関連のリスク及び機会は、主に調達側(上流)、施工現場(直接操業)、顧客側(下流)に集中しています。調達側(上流)では、主要資機材である鉄・鋼材に対する炭素税等の価格転嫁により調達コストが増加する移行リスクが存在する一方、グリーン鋼材等の低炭素素材の導入を通じて脱炭素ニーズを取り込む移行機会も存在します。施工現場(直接操業)では、気温上昇による作業環境の悪化や労働力不足といった慢性的な影響に加え、自然災害の激甚化による工程遅延等の急性的な影響といった物理的リスクが存在します。顧客側(下流)では、顧客設備の運用における省エネ推進に伴い設備更新ニーズが増加しており、当社の環境配慮型製品(SWIT®等)や省エネ提案による収益機会が存在します。
(c)財務的影響
当連結会計年度において、特定された気候関連のリスク及び機会が当社の財政状態、財務業績及びキャッシュ・フローに与えた重大な影響はありません。また、識別された気候関連のリスク及び機会のうち、翌年度において関連する財務諸表に計上する資産及び負債の帳簿価額に重要な影響を与えるものは認識しておりません。
財務基盤については、中期経営計画(2023–2026年度)において900億円以上の成長投資枠を設定し、健全な財務体質を維持しつつ資金確保を図り、短期・中期においてはT-Base®の拠点拡大や再エネ発電設備の導入等による労働環境改善と生産性向上を推進し、中期・長期においては水電解水素製造装置等のグリーンエネルギー供給設備の実装に向けた研究開発へ重点的に投資します。これらの戦略投資は、計画的な実行と既存の金融資源の活用により、財務健全性を維持しながら推進いたします。
また、気候関連リスク及び機会への対応を通じ、長期ビジョン2040で掲げる経常利益400億円超の達成に向け、持続的なキャッシュ・フローの創出を図ってまいります。短期・中期においては、省エネ政策の進展に伴う設備更新ニーズの拡大を機会として捉え、SWIT®等の環境負荷低減製品の受注拡大を推進するとともに、T-Base®やBIMの活用による施工プロセスの効率化を通じて収益性の向上を図ります。中期・長期においては、水電解水素製造装置(Hydro Creator®)をはじめとするグリーンエネルギー関連設備の開発及びカーボンニュートラル関連事業の拡大により新たな市場ニーズを取り込み、中長期的な売上成長とキャッシュ・フローの創出を見込んでいます。
なお、気候関連のリスク及び機会の財務的影響評価やシナリオ分析においては、当社が利用可能なスキル、能力及び資源に見合ったアプローチを採用し、合理的で裏付け可能な情報を用いています。シナリオ分析の具体的な手法及び前提条件については、後述の「(e)気候レジリエンス」をご参照ください。
(d)戦略及び意思決定に与える影響
当社グループは、「2050年ネットゼロ移行計画」に基づき、SBT(科学的根拠に基づく目標)における1.5℃水準の達成を目指しています。その実現に向けては、再エネ電力の導入や水素関連・脱炭素技術の開発・社会実装、カーボンニュートラル事業等の新事業ドメインの確立を不可欠な取り組みと位置づけています。
事業戦略の面では、空気調和を核とする省エネ技術の普及にとどまらず、グリーンエネルギー提供を中心とするカーボンニュートラル事業や環境機器製造・販売事業へと事業ドメインを拡大しています。
気候関連のリスク対応としては、炭素税導入等の移行リスクに対しては、再エネ電力の調達拡大や低炭素資機材のグリーン調達、サプライヤーエンゲージメントを強化いたします。また、物理的リスクによる労働力不足や工程遅延に対しては、T-Base®による施工プロセスの変革やDX活用による生産性向上などの職場環境の整備を進めてまいります。
対応策の決定に際しては、財務負担や業務への影響等のトレードオフをサステナビリティ推進委員会及び取締役会で検証し、全社最適の観点から判断しております。
これらの戦略を実行するための経営資源として、成長投資を計画しており、カーボンニュートラル事業の確立やDX戦略の推進、新技術開発に充当することで、現在及び将来にわたるリソースを確保しています。
移行計画の進捗については、中期経営計画KGIへのCO₂削減率の組み込みや役員報酬との連動により全社横断の実行力を強化するとともに、SBT1.5℃目標に基づく排出削減を実行フェーズへ移行しています。具体的には、社用車両のHV化・EV化、照明のLED化、再生可能エネルギー電力の活用拡大、夏場における空調の効率的利用などにより、2024年度のスコープ1・2排出量は2019年度対比で24.4%削減しました。また、高効率空調技術(SWIT®、TCR-SWIT®)の提供を通じ、顧客・社会の使用段階を含むスコープ3の排出削減にも貢献しており、自社排出削減と社会全体の脱炭素の両立を目指しています。
(e)気候レジリエンス
当社グループは、長期ビジョンや中期経営計画の策定・見直しの過程において、気候関連シナリオ分析の結果を活用し、事業戦略の気候レジリエンスの検証を行っております。また、連結会計年度ごとに最新の気候関連シナリオや外部知見を踏まえ、気候関連の重要なリスク及び機会が事業に与える影響を再評価することで、継続的な気候レジリエンスの評価に取り組んでおります。
(シナリオ分析)
当連結会計年度において、公的機関が公表する将来シナリオの最新パラメータに基づき、気候関連のシナリオ分析及び事業への影響評価を実施いたしました。
推進体制としては、サステナビリティ推進委員会の下に横断的な検討チームを組成するとともに、定期的な外部有識者との対話を通じて専門知見を補完しており、社内の事業経験と社外の専門知識を融合させることで、当社の保有するスキルと能力の範囲内で実行可能な分析を行っております。
分析の対象として特に重視したのが、当社の主力事業である空調設備事業です。同事業は建物のエネルギー消費の約半分を占めることから、気候変動の影響を直接的に受ける重要課題と認識しており、こうした高いエクスポージャーを考慮し、1.5℃及び4℃の複数シナリオを用いた詳細分析アプローチを採用しております。
分析にあたっては、IEA等が公表する一般に利用可能なシナリオデータや既存の事業計画等の社内情報を活用することで、過度なコストや労力を要することなく、当社の事業特性に見合った手法でシナリオ分析を実施しております。採用シナリオとしては、最新の国際協定と整合し移行リスクが高まる1.5℃シナリオと、物理的リスクが顕在化する4℃シナリオの2つを設定しており、これらを通じて気候変動の進展や不確実性に対する当社戦略のレジリエンスを包括的に評価しております。
主要な分析の前提として、炭素税導入等の気候関連政策や各種資源価格の変動といったマクロ経済トレンドに加え、労働人口の減少や猛暑日の増加といった国・地域レベルの人口動態及び気象パターンの変化を考慮しております。さらに、将来のエネルギー構成や価格推移、水素製造や省エネ関連の技術進展をも前提条件に組み込み、総合的な事業影響を評価しております。
加えて、当社の「長期ビジョン2040」や「中期経営計画2026」等の内部情報もインプットとして活用し、短期(1年)・中期(3~10年)・長期(10年超)の時間軸ごとに財務的影響の試算及び定性的評価を行っております。
(気候レジリエンスの評価)
シナリオ分析の結果、いずれのシナリオ下においても空調や脱炭素技術のニーズ拡大が見込まれることから、当社戦略は十分なレジリエンスを有していると評価しており、この結果を踏まえて「2050年ネットゼロに向けた移行計画」等の戦略を策定しております。
具体的な対応として、低炭素素材の研究により調達コスト増等の移行リスクを低減するとともに、T-Base®等を活用した作業のオフサイト化やDX推進により労働力不足等の物理的リスクに備え、積極的な省エネ設計提案を通じた新たな事業機会の獲得を推進してまいります。
気候レジリエンスの評価において考慮すべき重大な不確実性の領域としては、カーボンプライシング制度の導入等の政策動向に左右される移行リスクの進展度合いと、異常気象や環境苛烈化に伴う施工能力不足・健康被害等の物理的リスクの深刻度合いを特定しております。
こうした不確実性に対応し、気候変動に対応するため、中期経営計画における900億円超の成長投資の相当部分を気候関連の緩和・適応及び機会獲得に充当し、気候変動に対する戦略及びビジネス・モデルの柔軟な調整を図っております。計画的な投資と既存の金融資源の活用により、事業ポートフォリオの多様化やイノベーションセンター等への再エネ発電設備の導入といった既存資産の性能向上を推進し、将来の影響へ対応できる十分な能力を備えております。
③ リスク管理
当社グループは、前連結会計年度から評価・管理プロセスに変更はなく、引き続きサステナビリティ推進委員会にて気候関連リスク及び機会の管理を行っております。管理にあたっては、全事業を対象としたシナリオ分析等を通じて気候関連リスクを識別し、発生可能性や財務影響度からその規模を評価しております。特定された気候関連リスクは、全社事業リスクの中で重点管理リスクに次ぐ「重要管理リスク」として高い優先順位が付けられており、全社リスク管理委員会による統合的な管理及び内部統制委員会を経て、取締役会によって継続的にモニタリングされる体制としております。さらに、グループ会社各社における気候関連リスクの反映等も適宜行っております。
詳細につきましては、「
④ 指標及び目標
(a)気候関連の指標
(産業横断的指標等の開示)
当社グループは、気候関連リスク・機会を管理するための指標として、スコープ1・2及びスコープ3の温室効果ガス排出の絶対総量をCO₂換算により測定・開示しております。当連結会計年度の排出量は下表のとおりです。
なお、当連結会計年度の排出量は、任意の第三者保証手続((株)サステナビリティ会計事務所(所在:東京都千代田区)によるISAE3000、ISAE3410に基づく限定的保証)実施中であり、有価証券報告書提出日時点の速報値を記載しております。第三者の保証取得後の数値は後日、統合報告書で開示いたします。
(単位:千t-CO₂e)
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当連結会計年度 |
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スコープ1温室効果ガス排出 |
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スコープ2温室効果ガス排出(マーケット基準) |
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スコープ3温室効果ガス排出 |
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(温室効果ガス排出の測定アプローチ及び測定方法)
当社グループは、GHGプロトコル(2004年)に従い、温室効果ガス排出の測定にあたり財務支配力アプローチを採用しております。財務支配力アプローチを採用した理由は、連結財務諸表の報告範囲と温室効果ガス排出量の算定範囲を整合させることにより、気候関連のリスク及び機会が財務に与える影響を連結財務情報と一体的に評価可能とするためであり、当社グループのガバナンス体制において連結子会社への意思決定権限が同支配力に基づき行使されている実態にも即しております。
温室効果ガス排出の測定方法は、見積りの方法によっております。スコープ1・2排出量の算定にあたっては、各事業所における燃料使用量及び電力使用量等の活動量データに、環境省等が公表する排出係数を乗じて算定しております。スコープ3排出量の算定にあたっては、各カテゴリーの特性に応じて、環境省等の公表する二次データを使用しております。
また、温室効果ガス排出の測定におけるバリュー・チェーンの範囲を決定するにあたり、連結会計上の取引先情報及び主要なサプライヤー・顧客に関する取引データを基に、スコープ3の各カテゴリーの重要性を評価し、当社グループの事業活動に関連する排出源を網羅的に把握しております。重大な事象の発生または状況の重大な変化がある場合には、バリュー・チェーンの範囲を再評価する方針としております。
(気候関連のリスク及び機会に投下された資本的支出)
気候関連のリスク及び機会に投下された資本的支出として、中期経営計画2026における成長投資枠(3年間で900億円超)のうち、研究開発拠点における再エネ発電・蓄電池設備への投資、社用車のHV化・EV化への計画的な投資、及び水電解水素製造装置等のカーボンニュートラル関連技術の研究開発投資を実施しております。
(内部炭素価格)
当社グループは、シナリオ分析における財務影響評価においてIEA WEO2024 NZEシナリオに基づく炭素価格(2030年時点$140/t-CO₂)を参照しておりますが、投資判断や移転価格等の社内意思決定プロセスに内部炭素価格を正式に導入するには至っておりません。今後、カーボンプライシング制度の動向を踏まえ、内部炭素価格の意思決定への活用について段階的に導入を進めてまいります。
(役員報酬における気候関連指標の活用)
当社は、業績連動の株式報酬を決定する非財務指標として、スコープ1及びスコープ2のCO₂排出量削減率を設定し、2026年度に▲16.8%(2022年度対比)を目標として気候関連に関する社会課題解決への業務執行取締役の責任を明確化しております。具体的には、報酬全体の30%部分に相当する株式報酬部分(株式報酬の60%)の10%部分を当該指標の目標達成度合いにより配分する体系としております。
(第三者認証)
温室効果ガス排出量については、第三者保証機関による保証を受けております。温室効果ガス排出量以外の気候関連指標については、第三者による保証を受けておりません。
(b) 気候関連の目標
(温室効果ガス排出目標の対象範囲)
当社グループの温室効果ガス排出削減目標は、GHGプロトコル(2004年)が定めるCO₂、CH₄、N₂O、HFCs、PFCs、SF₆、NF₃の7種類すべてを対象としています。
2030年目標(SBTiによる認定目標)及び2050年ネットゼロ目標は、いずれも絶対量削減アプローチに基づく目標です。2030年目標は総排出量の絶対量削減を求める総量目標であり、2050年ネットゼロ目標はバリュー・チェーン全体での実質排出ゼロを目指す純量目標です。なお、両目標の設定にあたっては、セクター別脱炭素化アプローチは用いていません。
(気候関連の目標及び実績)
当社グループは、以下の温室効果ガス排出削減目標を設定しており、当社グループ全体(連結ベース)に適用されます。
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目標 |
スコープ |
基準年度 |
目標年度 |
目標水準 |
2024年度実績 |
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中期経営計画2026 KGI |
1・2 |
2022年度 |
2026年度 |
▲16.8% |
▲15.8% |
|
3 |
▲10.0% |
▲3.6% |
|||
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SBTi (短期目標) |
1・2 |
2019年度 |
2030年度 |
▲46.2% (1.5℃水準) |
▲24.4% |
|
3 |
▲27.5% (WB2℃水準) |
▲15.0% |
|||
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SBTi (長期目標) |
1・2・3 |
- |
2050年度 |
実質ゼロ (ネットゼロ) |
▲15.0% |
スコープ1・2排出量については、社用車のHV化、再エネ電力調達(コーポレートPPA等)及び施工プロセス改革等の取組みにより、着実に削減が進んでおります。
スコープ3排出量については、事業活動における削減施策の具体化・展開及びサプライヤーエンゲージメントの推進等を通じて、2030年目標の達成に向けて取組みを強化してまいります。
気候関連目標の進捗状況は、サステナビリティ推進委員会及び取締役会を通じて定期的にモニタリング・監督しております。今後もこの体制のもと、定期的に進捗状況の確認とレビューを実施し、事業環境等の変化に応じて削減目標を適宜見直してまいります。
3.ウェルビーイング(人的資本の強化)
① ガバナンス
当社グループでは、ウェルビーイング(人的資本の強化)の取り組みが中長期的な企業価値を向上させ、前述の長期ビジョン・中期経営計画の実現に結び付くとの考え方の下、取締役会が適切に監督する体制を整備しています。
気候関連課題と同様に本部長・部長クラスで構成するサステナビリティ推進委員会で中長期のゴールや足許の実施策などを協議の上、経営会議で審議し取締役会に上程・報告する体制としております。
② 戦略
当社グループは、人が最大の財産であると考え、創立以来、社是「人の和と創意で社会に貢献」の下、社員一人ひとりの力を結集し新たな価値を生み出し社会の発展に貢献してまいりました。
その底流には、会社は社員一人ひとりにより支えられ、社員の自律的成長により会社も更に成長するという考えがあります。このように、当社グループでは、多様な人財が互いを高め合い、役職員一人ひとりが環境クリエイター®として常に挑戦し多様な人財が力を発揮できる就労環境を整備し、環境革新につながる戦略実現可能とする人的資本の強化に取り組んでおります。
そのような観点から、当社は、人財育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針として、「人財マネジメント基本方針」(※)を定めております。
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※人財マネジメント基本方針 当社は、「人が最大の資産である」という理念に基づき、人財育成と人間尊重を礎とした人財マネジメントを行います。 企業活動を通じて、常に新たな価値を生み出して社会に貢献していく為には、日々成長を続ける企業でなければならず、それを支えるのは常に成長し続ける人財であるとの考えを基本とし、品性と高い倫理観を持ち、自律的に、常に挑戦し続ける人財を育成します。 また、性別、性的指向、性自認、国籍や障がいの有無などの属性にかかわりなく、お互いの多様性を認めて尊重し合う企業文化を醸成するとともに、個々の人財が健康でイキイキと、能力を最大限に発揮できる労働環境を整備します。 |
当社の人財マネジメント基本方針およびそれに基づく取組については、以下のURLをご覧ください。
https://www.tte-net.com/sustainability/social/human_capital/index.html
③ リスクと機会
当社グループは、これまでの空気調和の技術を核としながら、環境創造の事業領域を拡げ、社会課題の解決と顧客価値の最大化を図ることを目指しており、高度な専門性と実行力を有する人財の確保が課題となります。また、長時間労働課題が生産性の制約につながり、当社グループの受注機会や売上の減少等の影響を及ぼす可能性があります。加えて、ダイバーシティ、人権課題への対応が不十分であると、社員のモチベーション低下、これに伴う生産性やイノベーションの停滞等の影響が懸念されます。
必要な人財を確保・育成し、その能力を最大限に引き出す取り組みが一層重要となっています。
こうした認識のもと、当社は人的資本の強化を経営戦略の重要な柱と位置づけ、企業価値向上につなげることを目的として、以下の3つの観点から取り組みを推進しております。
(1) 必要人財の確保に向けて
本社部門のみならず全支店が一体となり、ブランディングの強化を図って当社を知ってもらう機会を大幅に増やしており、新卒者の採用に注力しています。少子化に伴う人口減少の影響により、さまざまな業界において人手不足が深刻化していますが、こうした取り組みの結果、必要な人員を確保できております。また、定期的な1on1の実施により、上司と部下のコミュニケーションを活性化させ、社員の成長支援、日常の悩みの共有、中長期的なキャリア形成の確認等を行いながら信頼関係を構築しており、無用な離職の低減につながっています。さらに育児・介護等と仕事の両立を支援するため、研修や制度改定を通じて誰もが働きやすい職場環境の整備を図っています。
(2) 働く社員を支える諸制度の構築と適切な運営
従業員一人ひとりが健康でイキイキと能力を最大限発揮できるよう、人財投資への取り組みを一層強化し、社員と会社の相乗成長サイクルを実現するため、2025年度より新たな人事制度をスタートさせ、当制度の運営を円滑に行い社員の活躍促進につながる評価者研修に継続的に取り組んでおります。また、新たな人事制度が従業員にとって多様な働き方の実現や意義あるキャリア形成に寄与しているかアンケートを実施し、その結果を踏まえてより良い制度運営を実現すべく取り組んでいます。
社員の成長支援に関しては、タカサゴ・シン・アカデミーを中心に業務に必要なスキルと能力の見える化を図り、各スキルのレベル向上に必要な学習機会をリンクさせ環境クリエイター®として自律的に成長できる環境を整備しつつ、プロフェッショナル人財を育成する教育体系を構築する等、運営強化を図っています。
また、働きやすさと働きがいを両立する就業環境の整備を進め、多様な働き方やライフステージに応じた諸手当や休暇制度の充実を図ることで従業員が長期的に能力を発揮できる基盤の強化に取り組んでおります。
なお、従業員の健康経営を継続して行っており、健康経営優良法人2026(大規模法人部門)(※)に認定されております。
※健康経営優良法人 日本健康会議が特に優良な健康経営を実践している法人として、健康・医療新産業協議会 健康投資ワーキング・グループにおいて定められた評価基準に基づき認定するもの
(3) ダイバーシティ推進とエンゲージメント向上
2021年4月に、ダイバーシティワーキングチーム(現ダイバーシティ推進ワーキングチーム)の下に女性、キャリア採用(※)、障がい者、外国籍社員の各ワークショップを設置し、2022年にLGBTQ+、2023年にシニア人財も加え、課題抽出と対策を検討し、様々な取り組みを行っております。
とくに、2026年3月期におきましては、女性を対象とした現場や新規事業の見学会を実施し、自立的なキャリア形成の理解、女性社員同士の社内ネットワーキングを構築する場といたしました。
※新卒採用を除くいわゆる中途採用
<2026年3月期に実施したダイバーシティ推進に係る研修・イベント・制度改正>
〇研修
・管理職向け研修(女性部下育成強化、ヒューマンスキル等)
・パラアスリートによる障がい者の理解促進研修
・LGBTQ+ 理解研修
〇イベント
・女性を対象とした現場や新規事業の見学会の実施
・各属性社員による意見交換会の実施(女性・キャリア採用者・外国籍・障がい者・シニア人財)
・東京レインボーパレード2023~2026の協賛およびパレード沿道応援
〇その他
・キャリア採用者へ向けた入社時ガイダンスの実施
・PRIDE指標 ブロンズ認定取得(一般社団法人work with Pride)
・介護支援動画の展開(介護フェーズ毎の対応、管理職向け等)
・男性育児休職に関する説明会の実施
・障がい者視点での防災訓練の実施
以上の通り、当社ではダイバーシティの理解促進に資する研修やイベントなどを通じて、課題の洗い出し、および制度対応に取り組んでおります。今後も、多様な人財が互いを尊重して融合し、その一人ひとりが輝き、活躍できる環境づくりを加速させてまいります。
当社は、社員のエンゲージメントの向上を狙いとして、四半期に一度エンゲージメント調査を実施しております。このエンゲージメント調査の結果を分析の上、課題を把握し改善活動を行うとともに、会社が実施するさまざまな施策の効果測定のためのツールとしても活用しています。
社員エンゲージメント向上については、当社役員報酬における業績連動指標の一部に組み込むこととしております。役員報酬の詳細は
こうした取り組みの結果、エンゲージメントスコアは直近4年間で改善傾向が継続しています。
また、ビジネスと人権課題への対応については、あらゆる事業活動において影響を受けるステークホルダーの人権を尊重し、バリューチェーン全体を通じて持続可能な社会の実現に努めております。人権尊重に関する考え方を明確にするため、2021年12月に人権基本方針を定め、2022年より人権デューデリジェンスに関する取り組みを開始いたしました。
具体的には、サステナビリティ推進委員会によりバリューチェーン等のリスク抽出と評価から顕著なリスクを重要課題として設定し、未然防止策・改善措置の検討・実施に向けた取り組みを進めております。2025年度は、当社の全社員へ人権に関するeラーニングを実施しました。
④ 指標と目標
上記戦略の達成に向け、以下の項目を「指標と目標」として掲げております。
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指標 |
目標 |
実績 |
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2026年度までに350名以上増加 (中期経営計画2026でKPIに設定) |
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2035年頃までに15% |
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男性育児休職取得率 (1週間以上) |
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注1 2026年3月31日時点の従業員数
2 2026年4月1日時点の実績
3 2025年度の実績
上記のほか、働く社員を支える制度である人事制度の改正、プロフェッショナル人財育成の実施を中期経営計画2026のKPIとして掲げております。
なお、上記の実績および目標は当社のみのものとなります。当社においては上記の目標を実現すべく、関連するデータ管理とともに具体的な取り組みが行われているものの、連結グループに属するすべての会社では行われていないため、現時点では連結グループにおける記載は困難であります。
今後、当社グループに属する会社も含め、着実にダイバーシティが浸透すべく、その推進に努めてまいります。
当社グループは、あらゆるリスクの顕在化を未然に防止するとともに、リスクが顕在化した場合にはその損失を最小化すべくリスクマネジメントを行っております。リスク顕在化の未然防止にあたっては「リスク管理規程」に基づき、最高責任者を代表取締役社長とし、リスク管理担当役員を委員長とする「全社リスク管理委員会」を設置し、リスクマネジメント体制の運用方針・計画を定めるほか、当社グループに重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクを定期的に見直し特定したうえで、その対策および対応状況の妥当性を評価しております。なお、全社リスク管理委員会は、事業統轄部門の役員、個別リスク主管部等の長で構成されており、当連結会計年度は6回開催いたしました。
リスクについては、各リスクの主管部門である経営企画部、人事部等の本社機構部門と技術本部、営業本部等のマネジメントセンター部門が、当社グループが既に直面している、或いは、近い将来顕在化が予想されるリスクを抽出しております。
そして、抽出したリスクについては、影響度と発生可能性から重要度を評価し、それらのリスクをリスクマップ上に表示することにより、当社のリスクを俯瞰的に把握・管理しております。全社リスク管理委員会では、このように抽出されたリスクのうち、重要度・緊急度の高いリスク対策の実施状況と対策の充分性を確認し、必要に応じて追加対策を指示しております。
なお、当社はリスクが現実のものとして顕在化したこと、もしくは顕在化する蓋然性が高まったことで、当社グループの事業活動に深刻な状況および重大な被害・損失を生じさせるか、または、社会一般に悪影響を及ぼすおそれがある状態を「危機」と定義し、リスクが顕在化し「危機」が発生した場合に備え、経営陣が迅速に事態を把握するための報告ルールを定め、運用しております。さらに、当該「危機」に対して、代表取締役社長を委員長とする危機管理会議を立ち上げ、対応しております。
当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況等に重要な影響を及ぼす可能性のある主要なリスクには、以下のようなものがあります。各リスクについて、影響度を「大」「中」「小」、発生可能性を「高」「中」「低」に分類し、双方の観点で評価することで、優先して対応すべき重要リスクを選定し、リスク縮減策の策定、モニタリング等を実施しております。但し、以下に記載された項目以外のリスクが生じた場合においても、当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに重大な影響を及ぼす可能性があります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
1.事業環境に関するリスク [影響度:中 発生可能性:中 発生時期:短~中期]
(1)民間設備投資の変動に関するリスク
世界的な経済情勢の変化の影響を受け、顧客の投資計画の中止・延期、内容の変更等により、想定を上回る建設需要および空調設備需要が減退する等、事業環境に著しい変動が生じる場合があります。かかる場合、当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
経済情勢の変化は先行きの見通しの予測が困難であるものの、当社グループは固定費縮減等を含め、全社で総合的取り組みを行っていくことで対処いたします。
(2)資機材の調達コスト・納期に関するリスク
当社グループが工事を施工するにあたり、経済環境から、ダクト、配管、断熱、冷媒、冷凍機・空調機等、工事に係る資機材価格が高騰する場合や納期が長期化する場合があります。これらを請負金額に反映することが困難な場合には、工事原価が想定以上に増加し、当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
資機材の多くは、素材の相場の影響を受けることから、当該リスクが顕在化する可能性は常にありますが、これに対しては、購買の体制を強化し、全店集中購買を加速させることでスケールメリットを生かした調達機能を強化し、価格の上昇を抑制すること等で対処いたします。
また、納期の長期化に対しては、発注者と協議のうえ、先行発注や機種・システムの変更を提案する等、工期への影響を最小限に留めるよう努めております。
(3)技術員・技能者の人手不足による工程遅延リスク
当社グループが工事を施工するにあたり、資機材の調達遅延に加え、協力会社を含めて施工に携わる技術員が不足し、定められた納期までに工事を完了させることができない場合、売上高が計上されず、当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。さらに、想定を上回る水準での工数の増加によって、当該リスクが顕在化する可能性があります。
当社グループは、アウトソーシング体制の構築と活用、ITツールの活用、業務の標準化による生産性向上を図ることで対処してまいります。また、サプライチェーン全体との連携・共存共栄を進めるため、協力会社が有する経営課題解決への貢献や技術教育の支援等を通じサプライチェーンの基盤の維持・強化に努めております。特に技術員・技能者の不足については、委託工事会社の新規採用への注力、国交省の進める建設キャリアアップシステムの活用等による技能職の確保によって対処してまいります。
2.時間外労働に係るリスク [影響度:大 発生可能性:中 発生時期:短期]
建設業界においては、人手不足が慢性的に継続しており、特に繁忙期においては、特定の技術員等に作業負荷が集中することで、時間外労働が発生する可能性があります。こうした状況が継続する場合には、従業員の安全や健康に悪影響を及ぼすだけではなく、生産性の低下や人財の流出等により、施工能力の縮小につながり、その結果売上高が減少し、当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、労務管理データを労務管理現場に加え本社でもモニタリングし対策を講じております。さらに、これまでの現場ごとの「施工管理」からプラットフォームによる「生産管理」へと、施工の在り方の変革を進める(T-Base®プロジェクト)等、生産性の向上に取り組むことにより、時間外労働の削減等に継続的に取り組むことで、過重労働を回避するとともに、施工能力の維持・増強に努めております。
3.海外事業展開に伴うリスク [影響度:大 発生可能性:中 発生時期:不明]
当社グループは、収益機会の拡大のため、これまで中国、東南アジア、インドを中心に海外への事業展開を図ってまいりました。
他方、当社グループの事業を海外展開していくにあたっては、不安定な政情、戦争やテロといった国際政治に関わるリスク、言語、地理的要因、法制・税制度を含む各種規制、自主規制機関を含む当局による監督、各国の通商政策の影響等の動きやその影響を受けた海外の経済的・政治的不安定性、商慣習の違い等の様々なリスクおよび特定の国や地域またはグローバルマーケットにおいて競争力を有する競合他社との競争が激化するリスクが存在します。更には、外国政府により関係する諸規制が予告なく変更されるリスクも存在します。当社グループがこれらのリスクに対処できない場合、当社グループの海外への事業展開、財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、これらのリスクの低減を図るため、国際グループ事業部が海外グループ会社を管理・統括することにより、国際事業全体の戦略拠点の見直しを進めるとともに海外グループ会社と常時情報連携を図り、適切なモニタリングを行うことで迅速にリスク対応できる体制を整備しております。
4.事業の拡大に関するリスク [影響度:中 発生可能性:低 発生時期:短~中期]
(1)事業領域の拡大について
新規の事業領域へ参入するにあたっては、相応の先行投資に加え、その領域固有のリスク要因により、コントロールが困難なほど投資が膨らむ可能性があるほか、新規に参入した市場で求められる技術と当社グループが保有する技術がマッチングしない場合や、市場の拡大スピードや成長規模、市場へ参入する難易度によっては、当初想定していた成果を挙げることができないこともあり、かかる場合、当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
これに対しては、参入する市場調査、事業計画の精査等により、極力リスクを低減するよう努めております。また、参入後は、予め定めた撤退基準に基づき、撤退の要否を判断しております。
(2)M&A等について
M&A等については、買収後に偶発債務の発生や未認識債務が判明する可能性もあり、その結果、当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。また、M&A実施後、収益計画と実績に大きな乖離が生じた場合には、のれんや株式の評価損計上を余儀なくされる可能性があります。
これに対しては、対象企業の財務内容、契約関係、事業計画の精査等を行うことによって、極力リスクを低減するように努めております。
5.資金調達に関するリスク [影響度:中 発生可能性:低 発生時期:短~中期]
金融市場が不安定な場合や、当社グループの信用力の悪化により格付機関から当社に付与されている信用格付が引き下げられた場合等においては、当社グループにとって好ましい条件で適時に資金調達をできることは保証されておりません。そのような事態に至った場合、安定した資金繰りに支障が発生する等、当社グループの事業遂行の制約要因となる可能性があるほか、当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
ロシア・ウクライナや中東情勢の影響をはじめとする地政学リスクの高まりや、各国の通商政策等の影響、国際金融システム不安等が拡大・深刻化した場合、当該リスクが顕在化する可能性は高くなります。当社グループは、これらのリスクを回避するため、金融機関との対話および情報連携を常時行うよう努めるとともに、従来の短期融資枠に加え、当連結会計年度にはCP(コマーシャルペーパー)発行枠を新規に設定しております。さらに、コミットメントラインの導入の検討や追加の社債発行の検討等により、資金調達の安定化・多様化に努めております。
6.施工中の事故、災害リスク [影響度:中 発生可能性:中 発生時期:短期]
当社グループが工事を施工するにあたって、施工中の災害または事故等の発生により、損害賠償責任、契約不適合責任等を負担する可能性があります。当社グループは不測の事態に備えて包括賠償責任保険に加入しておりますが、多額の損害賠償金が発生した場合には、当社グループの事業、財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
多数の施工現場を有する当社グループにおいては、安全に向けて最大限の配慮を払うとともに、安全衛生の現場指導、適正な労務環境の構築等による安全衛生管理の徹底等、未然防止策によりリスクの低減に努めております。
7.人財確保に関するリスク [影響度:大 発生可能性:中 発生時期:中~長期]
(1)国内の従業員数の減少リスク
日本国内においては、定年退職者の増加により従業員数の減少が見込まれており、将来の事業活動に支障をきたす可能性があります。このような場合、当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、定年延長・再雇用制度を充実させる等、長く従業員が勤め続けることができる人事制度を導入・浸透させるとともに、IoTの活用やデジタル化の推進等による省人化・効率化により生産性を高めることによって、従業員数減少に備えております。また、海外の人財を含めた多様な人財の活用等、人財への人的投資を拡充して対応してまいります。
(2)若手・専門性を有する人財の採用リスク
当社グループが若手や専門性を有する人財を継続的に確保することができず、円滑な事業活動に支障が出る場合は、当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、国内の大学等において就職セミナーを開催し、またインターンシップを実施する等によって優秀な人財の確保に努めております。通年採用やリージョナル採用等による採用機会の拡充を行うとともに、キャリア採用も積極的に行っており、多様な人財・多様なスキルの充足に向けて取り組んでおります。
8.無形資産(知的財産権等)に関するリスク[影響度:小 発生可能性:中 発生時期:不明]
当社グループは、環境に貢献しうる技術を持ち、多くの特許等を保有しております。特許権その他の知的財産権等が取得できずに当社グループが使用する技術等を保護できない場合には、事業の競争優位性が確保できず、当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。一方で、当社グループが、故意なく他者が持つ特許権その他の知的財産権等を侵害してしまい、被侵害者から損害賠償請求されることもあり得ます。
当社グループは、知的財産権等に関する専門部署を設け、全部門間で常に情報共有を図る体制を確立することで、他者の知的財産権等を侵害することおよび他者による当社グループの知的財産権侵害の未然防止に努めております。
9.市場に関するリスク [影響度:小 発生可能性:中 発生時期:不明]
(1)資産保有リスク
当社グループは、不動産や有価証券等の資産を保有していますが、取引先を中心とした市場性ある株式等は価格変動リスクを負っております。当連結会計年度末時点での市場価格との評価差額(税効果会計の適用前)は31,144百万円の含み益ですが、今後の時価の動向次第でこれらの数値は変動いたします。また、大幅な時価の下落が生じた場合、評価損が発生し、特別損失として計上する可能性があります。
政策保有株式については、当社グループは持続的な企業価値向上に向けて、戦略上重要な協業および取引関係の維持発展が認められる場合を除き、原則として保有いたしません。経済動向を注視しつつ、定期的に取締役会で資産の保有意義の検証を行い、企業価値向上に資するものとはいえないと判断した資産については売却する等、保有資産が価値減少するリスクの低減に努めております。
当社グループは、個別投資においては決裁基準を設けて投資案件検討委員会等による事前の協議・審査を厳格に行うこととしております。また、取得後についても、投資先の運営・経営状況や時価を定期的にモニタリングすることとしております。
(2)為替変動リスク
当社グループの海外連結対象会社の財務諸表について、現地通貨で作成したものを、円換算した上で連結財務諸表を作成する際、為替変動による影響を完全に排除することは困難であり、その結果、外国為替相場の変動が当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
これに対しては、必要に応じ、国際政治・経済動向を注視し、モニタリングいたしますが、当社グループでは、国を跨いでの資機材の調達は少ないため、取引上における為替変動リスクは限定されたものであります。
10.情報セキュリティに関するリスク [影響度:中 発生可能性:中 発生時期:不明]
当社グループは、個人情報の保護、取引先の秘密情報の管理に最大限の注意を払い、また、建築設備等に関わるクラウド基盤およびその基盤上で提供するアプリケーションの開発、運用、保守業務における情報セキュリティマネジメントに取り組む等、グループ全体としてリスク管理を徹底し、適切な情報管理を行っております。しかしながら、サイバー空間では様々な技術を用いた攻撃が増加し、不正アクセス等による情報の外部への漏洩や悪用等の可能性を完全に排除することは困難であり、これらが発生した場合に法的紛争に巻き込まれる可能性があるほか、内外監督官庁からの処分を受ける可能性があります。
当社グループは、個人情報および取引先からの秘密情報を保持して事業活動を継続していくため、情報セキュリティ方針に基づき業務上保有する情報資産を適切に保護することとしております。
これを実現するため、情報管理規則を施行し、全従業員の秘密保持体制を強化するとともに、情報リテラシーを高めるための社内教育及び訓練を行っております。
また、昨今高まるサイバー攻撃への対応として、攻撃の検出・分析を行うため、SOC(Security Operation Center)の整備、SIEM(Security Information and Event Management)のツールを導入しセキュリティ監視の強化を行うとともに、インシデント発生時に迅速かつ円滑な対応が可能なCSIRT(Computer Security Incident Response Team)体制の構築にも取り組む等、ITガバナンス強化に努めております。さらに、外部専門機関との連携強化、クラウド・AI環境への対応等、多面的な情報収集と改善を継続するとともに、サイバー被害発生・復旧を前提としたシステムセキュリティポリシーの策定や有事対応の実効性向上に向けた活動を推進しております。
11.コンプライアンスに関するリスク [影響度:中 発生可能性:中 発生時期:不明]
(1)法的規制等の適用の可能性について
当社グループは、建設業法、独占禁止法、労働基準法、労働安全衛生法、個人情報保護法等、国内外の各種法令・制度等の事業活動に関連する法的規制を受けております。
こうした法的規制の新設や改正、監督官庁による許認可の取消または処分、新たなガイドラインや自主的ルールの策定または改定等により、当社グループの事業が新たな制約を受ける場合、または既存の規制が強化された場合には、当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは法令遵守を重要な企業の責務と位置付け、グループ横断的なコンプライアンスに対する取り組みを進め、全社リスク管理委員会、内部統制委員会および取締役会へその取り組み状況を報告し、適正な職務執行を徹底するとともに、代表取締役社長直轄の独立組織である内部監査室による内部監査を実施し、コンプライアンス体制を強化して法令遵守の徹底を図っております。
(2)訴訟等の可能性について
当社グループが事業活動を展開する中で、環境、労務、知的財産権等、当社グループに対し様々な訴訟を提起される可能性、またはその他の請求を受ける可能性があります。
かかる事態に直面した場合、顧問弁護士と連携し、事実関係の調査を行った上で、必要に応じ、応訴等を検討しております。
(3)人権リスクについて
当社グループが事業を進める上では、雇用形態にかかわらず事業に関わる全ての従業員(正社員のほか、契約社員、派遣社員、アルバイト・パート社員等を含む。)や取引先従業員、更には、顧客や事業活動が行われる地域住民等、事業活動に関わる全ての人の人権を尊重しなければなりません。しかしながら、人権に関する取り組みが不十分である場合、取引の停止や株価の下落、罰金等が発生し当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、「人権の尊重」を企業が果たすべき概念と認識し、人権基本方針を作成のうえ開示するとともに、サプライチェーンおよびその他のビジネス上の関係を踏まえ、人権への負の影響を予測・特定し、人権への悪影響の防止、軽減に努めております。
12.災害等のリスク [影響度:大 発生可能性:中 発生時期:不明]
当社グループが事業を展開する地域において、地震、台風、津波等の大規模自然災害等の発生や感染症の拡大等に伴い、工事の中断や大幅な遅延等の事態が生じた場合には、事業所において事業の継続に支障をきたす重大な損害が生じる可能性があります。また、これらの災害等が発生した場合には、短期的な復興需要の可能性がある一方、中長期的に社会全体の経済活動が停滞し、建設需要そのものが低下する結果、これらが当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
大規模災害等は予測困難であるものの、当社グループにおいては、これらの災害等が発生した場合に備え、事業継続計画(BCP)において基本的な方針や体制等を定め、定期的に実地訓練を実施する等、中長期的な対応・対策を講じるとともに、定期的に計画の見直しを行い、精度向上を図っております。
13.気候変動に関するリスク [影響度:中 発生可能性:中 発生時期:中~長期]
気候変動は国・地域を超えて世界規模で影響を与える問題であり、当社グループにとって重要な課題であると認識しておりますが、対応の遅れや不足によって以下のリスクが顕在化する可能性があります。
(1)移行リスク
当社グループが脱炭素社会への移行や、顧客・社会の気候変動へのニーズに対応できない場合、投資家・顧客等からの評価が低下し、受注等の事業機会の喪失を招く等、企業価値の低下につながる可能性があります。また、カーボンプライシング制度等の導入に伴うコスト増加により当社グループの事業、財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
脱炭素社会への移行に対処するため、サステナビリティ推進委員会を設置し、変化する情勢を常に確認し、環境目標の見直しやリスク顕在化の未然防止・迅速な対処に努める体制を整備しております。
(2)物理リスク
異常気象による資機材の高騰に伴うコストの増加の負担や大規模災害の発生に伴うサプライチェーンへの影響および施工のうち当社受注分の工期延長・利益減少によって、当社グループの事業、財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループとしては、サプライヤーと協力し、より安定的な資機材の供給体制を構築するとともに、発生予測が困難な自然災害等に対する事業継続能力向上に取り組んでまいります。また、気候変動に伴い発生する事象等の影響について、一定の想定に基づくシミュレーション(シナリオ分析)の実施およびBCP訓練等、不測の事態に備えた対応策を継続してまいります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、諸外国の政策動向や外交情勢の影響により金融・資本市場の変動が懸念されたものの、雇用情勢や所得環境の改善を背景に、緩やかな回復基調で推移しました。
建設業および当社が関連する空調業界では、製造業ならびに非製造業ともに設備投資の堅調な動きが続くなかでも、一部では投資時期を慎重に見極める動きも見られました。また、資機材価格の高止まりや労務費高騰の影響には、引き続き注視を要するなど、事業運営には慎重な取り組み姿勢が求められる状況となりました。
このような事業環境のもと、当社グループは中期経営計画に基づき、建設事業による収益基盤を盤石なものとし、将来の成長に向けた投資を推進するための「ビジネスモデルのトランスフォーメーション」と、環境クリエイター®企業を目指した人的資本投資と体制構築による「企業と人財のトランスフォーメーション」を進めております。
当社グループの当期の売上高は423,923百万円(前期比+11.1%)となりました。
利益につきましては、効率的な施工体制の取り組みを通じた順調な工事進捗に加え、受注および施工段階における採算改善の取り組み等により、営業利益は47,745百万円(前期比+47.3%)、経常利益は50,642百万円(前期比+44.8%)、親会社株主に帰属する当期純利益は37,470百万円(前期比+35.6%)となりました。
また、受注高につきましては、460,057百万円(前期比+10.6%)となりました。
セグメントごとの業績は次のとおりであります。(セグメントごとの業績については、セグメント間の内部売上高等を含めて記載しております。)
(設備工事事業)
売上高は415,429百万円(前期比+11.2%)、セグメント利益(営業利益)は46,766百万円(前期比+47.4%)となりました。
(設備機器の製造・販売事業)
売上高は9,350百万円(前期比+9.6%)、セグメント利益(営業利益)は907百万円(前期比+56.5%)となりました。
(その他)
売上高は125百万円(前期比+5.1%)、セグメント利益(営業利益)は80百万円(前期比△3.0%)となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
①受注高
|
セグメントの名称 |
前連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) (百万円) |
当連結会計年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) (百万円) |
前連結会計年度比 (%) |
|
設備工事事業 |
408,328 |
450,823 |
10.4 |
|
設備機器の製造・販売事業 |
7,699 |
9,108 |
18.3 |
|
その他 |
119 |
125 |
5.1 |
|
合計 |
416,147 |
460,057 |
10.6 |
|
(うち海外) |
(72,336) |
(74,166) |
(2.5) |
|
(うち保守・メンテナンス) |
(30,753) |
(33,975) |
(10.5) |
②売上高
|
セグメントの名称 |
前連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) (百万円) |
当連結会計年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) (百万円) |
前連結会計年度比 (%) |
|
設備工事事業 |
373,683 |
415,383 |
11.2 |
|
設備機器の製造・販売事業 |
7,859 |
8,414 |
7.1 |
|
その他 |
119 |
125 |
5.1 |
|
合計 |
381,661 |
423,923 |
11.1 |
|
(うち海外) |
(71,579) |
(90,756) |
(26.8) |
|
(うち保守・メンテナンス) |
(30,818) |
(33,299) |
(8.1) |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 当社グループでは生産実績を定義することは困難であるため、「生産の状況」は記載しておりません。
なお、参考のため、提出会社の事業の状況は、次のとおりであります。
設備工事事業における受注工事高および完成工事高の状況
①受注工事高、完成工事高および繰越工事高
|
期別 |
区分 |
前期繰越 工事高 (百万円) |
当期受注 工事高 (百万円) |
計 (百万円) |
当期完成 工事高 (百万円) |
次期繰越 工事高 (百万円) |
|
前事業年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
一般設備 |
153,735 |
157,627 |
311,362 |
134,805 |
176,557 |
|
産業設備 |
121,238 |
150,347 |
271,586 |
139,469 |
132,116 |
|
|
計 |
274,974 |
307,974 |
582,949 |
274,274 |
308,674 |
|
|
当事業年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) |
一般設備 |
176,557 |
211,819 |
388,377 |
136,367 |
252,009 |
|
産業設備 |
132,116 |
130,815 |
262,932 |
158,129 |
104,802 |
|
|
計 |
308,674 |
342,635 |
651,309 |
294,497 |
356,812 |
(注)1 前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額に変更あるものについては、当期受注工事高にその増減額を含んでいるため、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれております。
2 次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)であります。
②受注工事高
|
期別 |
区分 |
官公庁(百万円) |
民間(百万円) |
計(百万円) |
|
前事業年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
一般設備 |
6,427 |
151,199 |
157,627 |
|
産業設備 |
805 |
149,541 |
150,347 |
|
|
計 |
7,233 |
300,741 |
307,974 |
|
|
当事業年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) |
一般設備 |
19,689 |
192,130 |
211,819 |
|
産業設備 |
4,527 |
126,287 |
130,815 |
|
|
計 |
24,217 |
318,417 |
342,635 |
(注)受注工事高のうち、主なものは次のとおりであります。
前事業年度
|
鹿島建設(株) |
赤坂二・六丁目地区開発計画 |
|
(株)大林組 |
東京駅南部東西自由通路新設他 |
|
愛知県警察本部 |
愛知県警察本部北館空調改修工事 |
|
鹿島建設(株) |
Rapidus解析センター新築工事 |
|
(株)竹中工務店 |
基町相生通地区第一種市街地再開発事業 |
当事業年度
|
東京海上日動火災保険(株) |
(仮称)東京海上ビルディング計画 空調設備工事 |
|
(株)大林組 |
(仮称)Shibuya Upper West Project |
|
宮城県庁 |
県民会館・NPOプラザ複合施設新築空調工事 |
|
東京都目黒区役所 |
目黒区総合庁舎空調設備改修工事 |
|
東急建設(株) |
渋谷駅地区駅街区開発計画 中央棟・西棟新築工事 |
受注工事方法は、特命と競争に大別されます。これを受注金額比で示すと次のとおりであります。
|
期別 |
区分 |
特命(%) |
競争(%) |
計(%) |
|
前事業年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
一般設備 |
31.3 |
19.9 |
51.2 |
|
産業設備 |
25.6 |
23.3 |
48.8 |
|
|
計 |
56.8 |
43.2 |
100.0 |
|
|
当事業年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) |
一般設備 |
41.9 |
19.9 |
61.8 |
|
産業設備 |
23.1 |
15.1 |
38.2 |
|
|
計 |
65.0 |
35.0 |
100.0 |
③完成工事高
|
期別 |
区分 |
官公庁(百万円) |
民間(百万円) |
計(百万円) |
|
前事業年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
一般設備 |
5,480 |
129,324 |
134,805 |
|
産業設備 |
3,333 |
136,135 |
139,469 |
|
|
計 |
8,814 |
265,460 |
274,274 |
|
|
当事業年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) |
一般設備 |
6,428 |
129,939 |
136,367 |
|
産業設備 |
908 |
157,220 |
158,129 |
|
|
計 |
7,337 |
287,159 |
294,497 |
(注)1 完成工事高のうち、主なものは次のとおりであります。
前事業年度
|
大成建設(株) |
東京ワールドゲート赤坂新築工事 |
|
(株)竹中工務店 |
大阪三菱ビル建替計画 低層事務所 |
|
東急建設(株) |
東京都市大学B棟新築工事 |
|
(株)竹中工務店 |
NHK渋谷放送センター情報棟建替え |
|
(株)大林組 |
グラングリーン大阪南街区 |
当事業年度
|
Rapidus(株) |
Rapidus株式会社IIM-1 建設計画 |
|
(株)大林組 |
品川駅北開発4街区 品川開発プロジェクト(第1期) |
|
三菱電機冷熱プラント(株) |
三菱電機株式会社パワーデバイス製作所 泗水工場SA棟新築工事 |
|
鹿島建設(株) |
SMC柏の葉キャンパス新技術センター C棟 |
|
北海道エアポート(株) |
新千歳空港コージェネレーションシステム更新工事 |
2 完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高およびその割合は、次のとおりであります。
前事業年度 Rapidus㈱ 37,447百万円 13.7%
当事業年度 ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング㈱ 40,918百万円 13.9%
④手持工事高(2026年3月31日現在)
|
区分 |
官公庁(百万円) |
民間(百万円) |
計(百万円) |
|
一般設備 |
20,504 |
231,505 |
252,009 |
|
産業設備 |
4,088 |
100,714 |
104,802 |
|
計 |
24,592 |
332,219 |
356,812 |
(注) 手持工事高のうち、主なものは次のとおりであります。 完成予定
|
清水建設(株) |
大手町二丁目常盤橋地区第一種市街地再開発 |
2028年5月 |
|
丸の内熱供給(株) |
大手町地域(仮称)Torch Towerプラント新設工事 |
2028年3月 |
|
鹿島建設(株) |
大和地所・住友不動産 北仲通北地区A1・2地区プロジェクト |
2028年3月 |
|
(株)竹中工務店 |
基町相生通地区第一種市街地再開発事業 |
2027年12月 |
|
大成建設(株) |
広島空港ターミナルビル拡張計画アトリウム増築他工事 |
2027年3月 |
(2)財政状態の分析
当連結会計年度末における総資産は、受取手形・完成工事未収入金及び契約資産が増加したこと等により、前連結会計年度末に比べて46,874百万円増加し、381,823百万円となりました。
負債合計は、短期借入金が増加したこと等により、前連結会計年度末に比べて16,101百万円増加し、166,766百万円となりました。
また、純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べて30,773百万円増加し、215,056百万円となりました。
(3)キャッシュ・フロー
①キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ1,172百万円増加し、42,537百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、29,725百万円の収入(前連結会計年度比+23,839百万円)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益の増加等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、11,840百万円の支出(前連結会計年度比△10,435百万円)となりました。これは主に投資有価証券の取得による支出の増加等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、16,956百万円の支出(前連結会計年度比△4,242百万円)となりました。これは主に配当金の支払いによるものであります。
②資本の財源および資金の流動性に関する情報
当社グループの資金需要は、事業運営に必要な運転資金、設備投資・研究開発・新規事業開発等の成長投資のための資金および株主還元のための資金等であります。当連結会計年度の実績は設備投資額5,030百万円、研究開発費3,931百万円、株主還元額20,636百万円(配当12,634百万円、自己株式の取得8,002百万円)でありました。設備投資の詳細については「第3 設備の状況」を、研究開発費の詳細については「第2 事業の状況 6 研究開発活動」を、株主還元の詳細については「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をそれぞれご参照ください。
当該資金需要に備えるための資金調達は、主に営業キャッシュ・フローの積み上がりによる自己資金のほか、必要に応じて金融機関からの借入、社債の発行により行っております。
当社グループは、将来の資金需要に備え、金融機関との対話および情報連携を常時行うよう努めるとともに、従来の短期融資枠に加え、コミットメントラインの導入の検討や追加の社債発行の検討により、資金調達の安定化・多様化に努めております。
(4)重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす見積りおよび仮定を用いております。会計上の見積りにあたっては、入手し得る将来に関する情報や過去の実績等に基づき合理的と判断する方法によっておりますが、将来に関する事象については不確実性を伴うため、見積りおよび仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものについては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
該当事項はありません。
当連結会計年度の研究開発活動は、その活動テーマを「建物の環境を創る」、「地球の環境を守る」、「新たな環境に挑む」、「地域環境に貢献する」の3+αの柱を掲げ、建物環境のカーボントランジションおよび地球環境のカーボンニュートラルの実現に資する技術と商品の創出に注力してまいりました。
具体的には産業空調向け高性能・省エネ技術の開発、再生可能エネルギー・未利用エネルギー利活用技術の開発、資源循環利用技術の開発、高砂熱学イノベーションセンター導入技術の性能向上・検証等に取り組んでおります。特に脱炭素の推進への寄与が期待される水素エネルギー利用技術を重要開発課題と位置付け、関連する技術開発、事業開発を継続して推進しております。
資源循環利用技術においては、秋田県由利本荘市の公共施設における蓄熱活用システムを完成しました。民間工場で未利用の低温排熱を7km離れたスポーツ・レクリエーション施設へ運び、利活用します。官民連携し地域全体での熱利用を開始しました。
「新たな環境に挑む取り組み」の中では、JAXA 宇宙探査イノベーションハブの研究課題「月面用ヒートポンプシステムに関する研究」に採択され、宇宙の新たな熱制御技術の開発に着手しました。
当連結会計年度における当社グループの研究開発費の総額は、
セグメントごとの主な成果は、次のとおりであります。
(設備工事事業)
(1)水素エネルギー利用技術
これまで20年以上にわたり建築設備向け水素利用システム開発で培ってきた技術を基に上市しました小型の水素製造用水電解装置は、順次市場展開しております。当社製水電解装置と太陽光発電、二次電池、燃料電池を融合して構築した北海道石狩市の厚田地区マイクログリッドは、運用事業の開始から4年間順調に需要家に電源供給を行いました。引き続きグリッドのさらなる運用改善に取り組んでまいります。また、都市部や離島での水素利活用実証事業等への導入が検討されています。
水素社会実現の加速化に資する大型水電解装置(メガワット級)は、2025年度から市場投入を開始し、初号機をキリンビール北海道千歳工場に導入しました。現在、2026年6月の運用開始に向けて最終の試運転調整を進めております。加えて、商品競争力の向上を目的とした標準機の開発、商品の安定供給に向けたマルチベンダー化、導入後の装置保守体制の強化等を進めることで、将来の受注増に対応可能な装置製造・保守の体制整備等を進めております。
(2)高砂熱学イノベーションセンター
茨城県つくばみらい市に研究開発拠点として開設した「高砂熱学イノベーションセンター」は、運用開始から6年が経過しました。「地球環境負荷低減と知的生産性向上を両立したサステナブル建築」をコンセプトとし、再生可能エネルギーの積極的活用による「ZEB」の達成やワークスタイルの変革に対応した多様な執務空間や地域貢献の場の提供を継続して実現しております。
再生可能エネルギー利用として、太陽光発電200kWに加え、北関東圏産の木質チップを燃料としたバイオマスガス化発電80kWを継続して運用している他、大容量蓄電池やグリーン水素による小型燃料電池発電、自社開発のエネルギーマネジメントシステムにより、システムの最適運用を行っております。
研究開発の進捗により使用電力量は増加しておりますが、系統電力も水力発電由来のグリーン電力とすることによりカーボンフリーを継続して実現しております。また、地下水とバイオマスガス化発電の排熱を利用したデシカント外調機や天井放射空調パネル、個人端末で操作できるパーソナル空調機により、執務者の快適性向上を通じて知的生産性の向上を実現しております。
センターには、新たにドライルームや再生可能エネルギー利用に関する技術実証設備を増設し、技術開発やお客様への技術アピールの場としてさらに活用してまいります。
開設以来大変多くのお客様にご来場をいただき、当社の技術開発・独自技術にご理解とご興味を持っていただくとともに、貴重なご意見を研究開発・事業開発に活かさせて頂いております。導入技術は継続的な改善・検証を行い、その成果は関連学会での発表や市場投入に繋いでまいります。
(3)カーボンニュートラル事業開発部
当連結会計年度において、設置後4年目を迎えたカーボンニュートラル事業開発部の活動は、当社が保有する環境技術を活用して、カーボンニュートラル実現に向けた取り組みを進める自治体・企業や先端技術を持つ学会・スタートアップ企業などと連携し、グリーン水素を軸にクリーンエネルギーを「つくる・ためる・つかう」領域とそれらを「ツナグ」ビジネスモデルの構築を目指しております。
新たな事業への取り組みとして、パートナー企業とともにキリンビール北海道千歳工場にて、2026年6月より同社が利用する化石燃料由来の都市ガスをグリーン水素へエネルギー転換する実証事業を開始する予定です。期間は10年間を予定しており、グリーン水素へのエネルギー転換によるGHG排出量削減効果や技術的な課題を検証する予定です。
また、パートナー企業とともに東京都が令和6年度に採択した「MCH(メチルシクロヘキサン)を用いた都市部における汎用水素利用技術開発・実証事業」へ2026年4月より参画しています。MCHを用いた小型水素供給ユニットを開発し、同機器を用いた小規模サプライチェーンの実証等を通じて、安全かつ効率良くMCHを運搬する水素サプライチェーン構築とその運用を通じた課題や都心での小規模屋内飲食店での実稼働上での検証を行っていきます。
加えて、飛騨五木ホールディングス株式会社、株式会社井上工務店と戦略的事業提携に関する協定を締結し、小水力発電を活用した地産地消型のグリーン水素供給事業モデルの確立に向けて活動しております。この事業モデルは、各地域の水源を用いた小水力発電による電力を使用し水素製造装置を通じてグリーン水素を生成し、これを需要家へ供給するものです。現在事業化に向け協議を進めております。
新事業創造の推進力を更に強化するため、2026年度よりカーボンニュートラル事業開発部をカーボンニュートラル事業本部へ改組しました。カーボンニュートラル事業の実現に向けて活動していきます。
なお、当連結会計年度における研究開発費(設備工事事業関連)は、
(設備機器の製造・販売事業)
当社は、2022年度より、ビル空調システムを自社製品で総合的に提案できる体制の構築を目指し、新製品開発に注力しております。従来、他社製品に依存していた熱源機及び外気処理機の開発を推進するとともに、これらの機器及びポンプなどの周辺機器を統合的に監視・制御する監視盤システムを開発することで、当社の空調機と組み合わせたトータルソリューションを提供できる製品ラインナップの拡充を図っております。
2025年度に開発を進めてきた新製品は、熱源機1機種(空冷チラー型、冷却能力15kW)、外気処理機5機種(ファンコイルとヒートポンプを組み合わせたハイブリッド型、風量300CMH、600CMH、3000CMH、及び空気熱源型の床置き1000CMH、天吊り1000CMH)、空調機3機種(ハイブリッド型、冷房能力2.2kW、2.8kW、及び600mm角天井ボードに収まる小型ファンコイル型、冷房能力0.45kW、消費電力わずか10W)の合計9機種及び監視盤システムであります。このうち、外気処理機で主に体育館や工場向けである床置き型「フレッシュクール」(風量1000CMH)については、夏季の高温時でも十分な冷房性能を発揮できるよう性能を強化するとともに、外気のみを取り入れて冷暖房するオールフレッシュ方式を採用した新型機を2026年2月に発売いたしました。残る8機種及び監視盤システムについても、2026年度中の製品化を目標に開発を継続しております。
また、体育館やホールなどの大規模空間において、効率的な温度管理を可能とする空調制御機器「サーモパイルセンサー」を2025年7月に発売いたしました。同センサーは、当社及び他社の空調システムと組み合わせることも可能であり、当社のトータルソリューションによる空調システムを更に高度化する製品であります。
環境対応面では、既存製品について、地球温暖化への影響が少ない冷媒への転換を進めております。空冷式空調機(冷房能力3.2kW)及び水冷式空調機(冷房能力2.5kW、5kW)の3機種について、冷媒をR410A(GWP値2090)からR454B(GWP値465)へ変更する改良開発を実施し、2026年度上期に発売する予定であります。この冷媒転換により、地球温暖化係数を従来比で約78%削減いたします。今後も全機種において、低GWP冷媒への改良開発を推進してまいります。
なお、当連結会計年度における研究開発費(設備機器の製造・販売事業関連)は、