当社グループは価値とあり方を言語化したパーパス「人と知と技術で、可能性に満ちた“余白”を、ともに。」と大切にすべき価値観・行動指針を定めたバリューズで構成する経営理念を制定しております。
当社グループはこの経営理念のもと、お客さまやその先の社会に向け当社グループらしい「事業的価値」「社会的価値」を提供することで、更なる成長と豊かな世界の実現を目指してまいります。
① 経営環境
当社グループを取り巻く環境はサステナビリティ意識の高まりや、ICTによる事業変革・社会課題解決の期待の高まりなど目まぐるしく変化しております。そのような中、当社グループは「最新技術への挑戦」と「成長領域の見極め」をしながら、社会のサステナビリティを担う企業活動にこれまで以上に取り組んでいくことが必要不可欠になっております。
このような考えのもと、当社グループがこの先もステークホルダーの皆さまから選ばれ続ける企業であるために、どのような姿になっている必要があるのかを考え、長期ビジョンを策定いたしました。
2032年5月の創業100周年に向け、ありたい姿を「Growth Navigator」と定め、「成長をナビゲートし、ともに創りあげる集団」への変革を目指して3つの活動軸で取り組みを進めてまいります。今後の営みにより提供価値とポジションを高め、営業利益100億円、売上高1,500億円に挑戦いたします。

事業の成長に向け、成長領域と新領域に比重を置いたポートフォリオへの変革をポイントに、経営資源へのアプローチを大きく変えてまいります。特に、M&Aや資本業務提携を視野に入れた新技術の取り込みや、人への投資を攻めに転じ、新領域の拡大に注力いたします。
また、これまで以上にESG視点を強く持った「社会課題」起点のビジネスに挑戦し、社会的インパクトを生み出す企業へと成長を遂げてまいります。

長期ビジョン達成に向け、2026年3月期までを「リソースをシフトし成長事業を軌道に乗せる」1stステージと位置づけ、中期経営計画「Transformation 2026」を策定いたしました。事業戦略とそれを支える財務戦略・経営基盤強化の施策を実行してまいります。

中期経営計画の2年目にあたる当期の進捗は以下の通りです。
ⅰ)事業戦略
利益率が高く市場成長も見込める成長領域を6つ特定し、その領域拡大に向けマーケティング強化やOTセキュリティ領域を対象にした新サービスリリース等を実行いたしました。その結果、当期において成長領域の売上高が123億円(前期比3%増)となりました。
既存領域につきましては、良質な商談の獲得やお客さまへの提供価格の見直し等のプライシングマネジメントに加え、開発プロセスの標準化と生成AI活用、営業部門の生産性向上に注力いたしました。その結果として、機器ビジネス、開発・構築ビジネス、保守サービスの利益率改善といった効果があり、原価率の低減を実現いたしました。また、Windows10のサポート終了に伴うパソコンの更新特需を確実に取り込むことにも成功しております。
更なる成長を目指し検討を進めているM&Aや業務提携につきましては、AI等の先端領域と既存領域の両面で対象を絞り込み、具体的な案件を検討いたしました。当期はM&Aの実行には至らなかったものの、業務提携はダイワボウ情報システム株式会社を始めとした多くの企業と実施いたしました。
ⅱ)財務戦略
ROE10%以上の確保を目指し、資本コストを意識した財務運営、バランスシートの最適化を通じた資金の創出、キャピタルアロケーションの最適化に努めてまいりました。
財務運営につきましては、投資のハードルレートを7%に設定するとともに、企業価値向上に向けた資本コスト経営の実践を目的に立ち上げた予算委員会において、予算の管理や投資の検証を実施いたしました。
当期末のROEは11.3%と目標の10%を上回った一方、資本負債構成は改善の余地があるため、M&Aを含む投資や株主還元の強化を検討してまいります。
なお、当社グループは、株主のみなさまに対する利益還元を重要政策の一つとして認識し、2024年3月期より配当方針を変更し、連結配当性向40%を目安としております。当期についてはこの配当方針に基づき1株当たり年間配当金を99円といたしました。詳細については「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおりであります。
ⅲ)経営基盤強化
当社グループの成長の源である人材のパフォーマンスやエンゲージメントを高めることを目的に、事業戦略に沿った人材の育成、多様な人材が自ら挑戦・活躍できる文化の醸成、初任給引き上げやベースアップ等の待遇改善を実施いたしました。また、ガバナンスの更なる高度化を目指し、グループガバナンスの強化や取締役会の実効性向上に向けた取り組みを実施いたしました。この他、投資家のみなさまとの建設的な対話頻度の増加を目指しIR活動を強化いたしました。
加えて、実効性のあるサステナビリティ推進のため、マテリアリティに対するKPI・活動指標を定めました。 なお、人材育成及びサステナビリティ向上の取り組みについての詳細については「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2025年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループはこれまでも事業を通じた社会貢献に取り組んでまいりましたが、社会や環境が大きく変化する中、当社の価値とあり方を定めた「パーパス」を体現することが社会及び自らのサステナビリティへの寄与に繋がるとの認識から「サステナビリティ基本方針」を掲げ、活動を推進しております。
(サステナビリティ基本方針)
①ガバナンス
(推進体制)
当社グループは経営主導によって、気候変動や人的資本等のサステナビリティ活動を推進するため、「サステナビリティ経営委員会」及び「サステナビリティ推進委員会」を設置しています。また、社会へ持続的に価値提供を行うための重要テーマであるマテリアリティに沿って、各種施策の検討、推進を担うプロジェクトを組成しています。
当社グループのサステナビリティに関するガバナンス体制、会議体の開催状況は以下の通りです。
(ガバナンス体制)

(会議体の開催状況)
②リスク管理
当社グループではサステナビリティに関連するリスク及び機会を以下のプロセスで識別、評価しマテリアリティを特定しております。時代の変化に合わせ取り組みの実効性を高めるため、当社グループでは2024年4月にマテリアリティの再特定を行いました。また、マテリアリティに対してKPIを設定し進捗を管理しております。
(マテリアリティの特定方法)

(マテリアリティ)
1.事業を通した社会への価値創出
2.「人」の成長と活性化
3.「知」「技術」の発展と発揮
4.地球環境と社会への寄与
5.健全な経営基盤の強化
③戦略
当社グループではマテリアリティに沿って、プロジェクトを組成し、それぞれが以下の目的・意義のもと取り組んでおります。
マテリアリティ1 事業を通した社会への価値創出
マテリアリティ2 「人」の成長と活性化
マテリアリティ3 「知」「技術」の発展と発揮
マテリアリティ4 地球環境と社会への寄与
マテリアリティ5 健全な経営基盤の強化
④指標及び目標
マテリアリティ1 事業を通した社会への価値創出
①戦略
当社はお客さまに寄り添い、多様なご要望に応えるだけでなく、市場のニーズを再確認し、様々な角度から新たな価値創造を行い、社会課題を解決し続けることを目指しています。そのためには個性にあふれ、高い専門性も持った従業員が混ざり合うことで、新たなアイデアやイノベーションを生み出すことが重要であると考えています。こういった人材を育てるため、人事戦略の柱を「組織と個人の活性化にこだわる」と定め、以下の側面から活動を強化してまいります。
ⅰ) 人事施策
個性あふれる多様な人材を採用するため、合同説明会の活用、大学/研修室訪問、リファラル採用など様々なアプローチで採用活動を展開します。
ⅱ) 組織開発
サステナビリティ推進調査などの実施による定量的な組織状態の分析とともに、従業員の声を拾い、定性的なアプローチも行い、各職場のアクションテイキングによる組織のエンゲージメント向上活動に取り組んでいます。
ⅲ) 人材開発
従業員一人ひとりの個性や専門性を尊重し、成長を支援するための研修プログラムやキャリア開発支援を提供します。自律的なキャリア設計を促進し、従業員が主体的にスキルを磨き、成長できる環境を整備します。
(人材育成方針)
当社の人材育成方針は「キャリア自律」を中心に据え、従業員一人ひとりが自らのキャリアを主体的に設計し、成長していくことを支援するため、以下の3本柱を基本方針としています。
a)リーダー人材育成
・リーダーシップを発揮できる人材を育成するため、自己申告制度や各研修への参加を手上げ方式にするなど自律的な行動を促し、キャリア自律を支援します。
b)プロ人材育成
・高度専門人材の採用を進めるとともに、専門性の高いプロフェッショナル人材を育成するため、各部門と連携し、最先端の専門的スキルを学べる研修を整備しています。
c)自律的なコミュニティ活動の支援
・従業員が自律的にコミュニティに参加できるようコミュニティ活動の支援を行っています。
(社内環境整備方針)
リーダー人材と多様なプロ人材が自ら挑戦できる土台作りと、多様な人材の活躍を支援する環境を整備します。これまでに健康経営やワークスタイル変革、ディーセントワークの推進、手挙げ式で集まったメンバーを中心に活動する風土改革及びダイバーシティー&インクルージョンの推進を行ってきました。今後は、以下の方針に基づき、さらに整備・改善を進めていきます。
a)健康経営
・定期健康診断の受診率向上
従業員全員が定期的に健康診断を受けることを奨励し、病気等の早期発見・予防を促進します。
・メンタルヘルス対策
ストレスチェックを定期的に実施し、高ストレス者に対して専門家によるカウンセリングを提供します。
b)ワークスタイル変革
・従業員が自分のライフスタイルに合わせて勤務時間を柔軟に設定できるフレックス勤務を導入しています。リモートワークを奨励し、必要なICT環境を整備します。
・オフィス環境の改善:フリーアドレスの導入やリフレッシュスペースの設置により、従業員が働きやすい環境を提供します。
c)ディーセントワークの推進
・公正な労働条件の確保と働きやすい職場環境の整備を進めます。
・従業員のワークライフバランスを重視し、長時間労働の削減を図ります。
d)風土改革及びダイバーシティー&インクルージョンの推進
・多様なバックグラウンドを持つ従業員が活躍できる環境を整備し、ダイバーシティーを推進します。
・従業員一人ひとりが自らの意見を発信しやすい風土を醸成し、イノベーションを促進します。
②指標及び目標
「人的資本」について、以下の指標を設定し、目標達成に向けた取り組みを推進しております。
なお、上記「①戦略」に記載した、人材の多様性の確保を含む「人材育成方針」及び「社内環境整備方針」にかかる指標については、提出会社においては関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取り組みが行われているものの、グループに属するすべての会社では行われていないため、連結での記載が一部困難であります。このため、一部指標に関する目標及び実績はグループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。
(注) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異についての実績は、「
当社では、クラウド、仮想化、AI、IoTといった技術を活用して、社会・環境・天然資源への悪影響を最小限に抑え、地球環境へ配慮したICTサービスを提供し、自社における環境負荷軽減についても積極的に取り組んでいます。
当社は、気候関連の情報開示の重要性を認識し、中長期的な温室効果ガス排出量削減目標を設定するとともに、金融安定理事会が設置した「気候関連財務情報開示タスクフォース(以下「TCFD」という。)」による提言への賛同を表明しています。
TCFDが推奨するフレームワークに基づいた情報は以下の通りです。
①ガバナンス
気候変動に関するガバナンスは(1)①ガバナンスに記載したサステナビリティに関する推進体制に記載の通りです。
②リスク管理
気候変動のリスクと機会を特定・評価・管理する仕組みは以下の通りです。
・気候変動に関する事項を所管する環境推進委員会は、気候変動に関連したリスクと機会の特定・評価を行います。とりわけ重要な内容については適切な対応を検討し、環境管理責任者よりサステナビリティ推進委員会に報告・提言をします。
・サステナビリティ推進委員会は、報告・提言された気候変動の影響と対応について、必要に応じサステナビリティ経営委員会での議論を経て、経営会議へ報告します。
・経営会議は、報告内容について具体的な取り組みを含む全社的施策について協議し、決議事項は取締役会へ報告します。
・取締役会は、経営会議において決議された施策の指導・監督を行います。
・サステナビリティ推進委員会は、施策についてのKPIを設定し、進捗管理を行います。
③戦略
気候変動に関するシナリオを参照し、当社における気候変動に関するリスクと機会を特定しました。
・参照シナリオ下における当社事業環境
4℃シナリオ
社会的に気候変動に関する施策、規制等が進まず、平均気温が大きく上昇している。規制対応へのコストが少ない。平均気温の大幅な上昇に伴い、気象災害が頻発、激甚化している。災害対策へのコスト増加が大きい。
1.5℃シナリオ
社会的に気候変動に関する対策、規制等が進み、平均気温の上昇が小さい。規制対応へのコスト増加が大きい。平均気温の上昇に伴い、気象災害が増加している。災害対策へのコスト増加が小さい。
・リスクと機会
当社における気候変動に関するリスクと機会は以下の通り
参照した主な気候変動に関するシナリオ
(注)1 財務影響の尺度は以下の通り
2 2030年度及び2050年度時点想定の炭素税導入による財務影響を記載。なお、仕入れ商品へ炭素税が転嫁されることによる費用の増加は含まない
算出方法:想定される炭素税×2024年度における都築電気単体Scope1+2排出実績
炭素税は、NZE(1.4℃)シナリオパラメータ値を参照
2030年時点:140USD/t-CO2
2050年時点:250USD/t-CO2
3 短期:0~3年、中期:3~10年、長期:10年以上
④環境マネジメントに関する指標及び目標
Scope1+2の温室効果ガス排出量を指標及び目標に定めております。
当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす様々なリスクの中で、重要なリスクとして認識しているものは以下に記載の通りであります。これらのリスクに対して、モニタリングとリスクの低減に努めておりますが、全てのリスクを完全に回避するものではありません。
なお、本文の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2025年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2025年3月31日)現在において判断したものであります。
当期における我が国経済は、雇用・所得環境の改善等のもとで緩やかな回復が続きましたが、物価上昇の継続が個人消費に及ぼす影響やアメリカの政策動向による影響等が、我が国の景気を下押しするリスクとなる状況が継続しました。
当社グループの属する情報・通信サービス産業については、企業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の加速や生成AI技術の進展等によりマーケットの拡大傾向が継続しております。
このような環境のもと、当社グループは2032年に向けた長期ビジョン(10年後のありたい姿)を「Growth Navigator(成長をナビゲートし、ともに創りあげる集団)」と定め、お客さまの成長を先導する存在として選ばれ続ける企業であるべく、その達成に向けた3か年の中期経営計画「Transformation 2026」を実行中です。中期経営計画では「成長領域へのリソースシフト」により稼ぐ力を高めることを主軸に、「資本コストを意識した経営」や「人的資本の強化」なども一体的に進めることで、さらなる企業価値向上の実現を目指しています。当期においては本計画にもとづき、ダイワボウ情報システム株式会社との業務提携契約の締結や、クラウドPBXサービス「TCloud for Voice」やクラウド型動態管理・配送管理サービス「TCloud for SCM」の機能強化等を実行しました。
中期経営計画の2年目となる当期の業績は売上高98,263百万円(前期比21.3%減)、営業利益6,481百万円(同0.6%増)、経常利益6,596百万円(同1.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益4,764百万円(同13.0%減)となりました。
当社グループは、前期に実施した電子デバイス事業の売却により情報ネットワークソリューションサービス事業の単一セグメントに移行しています。このため、受注高及び売上高につきましては、セキュリティやコンタクトセンターシステムをはじめとした「成長6領域」のサービス及びネットワーク構築等が伸長したものの、電子デバイス事業売却の影響に加え、大型特需案件剥落にともなう機器ビジネスの減少により前期を下回る結果となりました。利益面につきましては、プライシングマネジメント等による売上増と原価低減及び電子デバイス事業分の販売費及び一般管理費減少により、営業利益、経常利益については3期連続で過去最高益を更新しました。親会社株主に帰属する当期純利益は前期に経営資源の有効活用及び資産効率の向上を目的に、当社及び連結子会社が保有する固定資産を譲渡し特別利益1,854百万円を計上したため前期を下回りました。
なお、情報ネットワークソリューションサービス事業における各財務指標の前期比は、受注高6.4%増、売上高4.2%減、営業利益9.4%増であります。
当連結会計年度におけるビジネスモデル別の業績は次のとおりです。
〔ビジネスモデル別実績〕
機器 :Windows10のサポート終了にともなうPC更新需要を確実にとらえ、金融業、建設業等のお客さまへのモバイルワークシステム導入が伸長しましたが、売上においては大型特需案件が剥落した影響を受けたため、受注高40,143百万円(前期比5.5%増)・売上高40,320百万円(同10.3%減)となりました。
開発・構築:第3四半期に続き製造業や不動産業のお客さまへのネットワーク構築案件が好調に推移したことに加え、多くのシステム開発案件を獲得したため、受注高16,277百万円(前期比19.7%増)・売上高15,310百万円(同3.5%増)となりました。
サービス :機器ビジネスの売上減少により機器の保守料が前期を下回ったものの、中期経営計画で注力する「成長6領域」の業績がセキュリティ及びコンタクトセンターシステムを中心に堅調に推移しました。また、クラウド利用料等の月額サービスが伸長したため、受注高44,194百万円(前期比3.0%増)・売上高42,632百万円(同0.4%減)となりました。
② 仕入、受注及び販売の状況
当連結会計年度における仕入実績を示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、仕入価格によっております。
当連結会計年度における受注実績をビジネスモデルごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度における販売実績をビジネスモデルごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 主要な販売先につきましては、全ての相手先について、販売実績が合計の100分の10未満のため記載を省略しております。
当連結会計年度末の資産につきましては、前連結会計年度末と比較して1,003百万円減少し、80,063百万円となりました。この主な減少要因は、棚卸資産の減少1,047百万円、繰延税金資産の減少783百万円、主な増加要因は、その他の無形固定資産の増加484百万円によるものであります。
負債につきましては、前連結会計年度末と比較して4,768百万円減少し、35,433百万円となりました。この主な減少要因は、その他の流動負債の減少1,738百万円、未払法人税等の減少1,077百万円、退職給付に係る負債の減少1,064百万円によるものであります。
純資産につきましては、前連結会計年度末と比較して3,764百万円増加し、44,629百万円となり、自己資本比率は55.2%(前連結会計年度末は49.8%)となりました。この主な増加要因は、親会社株主に帰属する当期純利益4,764百万円の計上によるものであり、主な減少要因は、剰余金の配当1,821百万円に伴う利益剰余金の減少によるものであります。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローが3,407百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローが792百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローが2,595百万円の支出となりました。
この結果、現金及び現金同等物は前連結会計年度末に比較し19百万円増加し、38,703百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは3,407百万円の収入(前期は4,954百万円の収入、前期比31.2%減)となりました。この主な収入の要因は、税金等調整前当期純利益の計上6,848百万円であり、主な支出の要因は、法人税等の支払額2,358百万円、退職給付に係る負債及び資産の減少額1,230百万円であります。
前期との比較では、1,546百万円収入が減少しております。この主な減少要因は、未払消費税等の変動による減少額1,933百万円(当期は998百万円の減少に対して、前期は935百万円の増加)、その他の負債の変動による減少額1,642百万円(当期は616百万円の減少に対して、前期は1,025百万円の増加)であり、主な増加要因は、退職給付に係る負債及び資産の変動による増加額2,904百万円(当期は1,230百万円の減少に対して、前期は4,134百万円の減少)であります。
投資活動によるキャッシュ・フローは792百万円の支出(前期は15,466百万円の収入)となりました。この主な支出の要因は、無形固定資産の取得による支出1,026百万円であり、主な収入の要因は、投資有価証券の売却による収入314百万円であります。
前期との比較では、16,258百万円収入が減少しております。この主な減少要因は、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入の減少額8,542百万円(当期は計上なしに対して、前期は8,542百万円の収入)、有形固定資産の売却による収入の減少額3,900百万円(当期は33百万円の収入に対して、前期は3,934百万円の収入)、貸付金の回収による収入の減少額3,001百万円(当期は5百万円の収入に対して、前期は3,006百万円の収入)であります。
財務活動によるキャッシュ・フローは2,595百万円の支出(前期は2,613百万円の支出、前期比0.7%減)となりました。この主な支出の要因は、配当金の支払額1,821百万円、リース債務の返済による支出642百万円であります。
前期との比較では、17百万円支出が減少しております。この主な減少要因は、リース債務の返済による支出の減少額297百万円(当期は642百万円の支出に対して、前期は939百万円の支出)、自己株式の取得による支出の減少額274百万円(当期は0百万円の支出に対して、前期は275百万円の支出)であり、主な増加要因は、配当金の支払の増加額441百万円(当期は1,821百万円の支払に対して、前期は1,379百万円の支払)であります。
キャッシュ・フロー関連指標の推移
(注) 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
※ いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
※ 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
※ キャッシュ・フローは営業キャッシュ・フローを使用しております。
※ 有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としています。
(資金需要の動向及び資本の財源)
当社の主な資金需要は、運転資金、成長のための投資資金となっております。資金の源泉は主に営業活動によるキャッシュ・フローとしておりますが、必要に応じて短期借入及び長期借入にて調達しております。なお、借入れに関しては、当社の資金需要や借入残高、金利情勢などを総合的に勘案し、財務の安定性を確保すべく最適な手段を選択しております。
資金配分については、財務の健全性を維持しつつ投資の強化と株主還元の充実を図る方針であります。当社の配当政策につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおりであります。
子会社については、当社からの資金調達、一部の子会社では金融機関からの借入れを資金の財源としております。
<配当金の推移>

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
当社経営陣は、連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の報告数値及び偶発債務の開示、並びに報告期間における収入・費用に影響を与える見積り及び仮定設定を行わなければなりません。経営陣は見積り及び判断に対して、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき継続して評価を行っております。しかし、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果とは異なる場合があります。
また、当社グループでは、特に以下の重要な会計方針が、当社の連結財務諸表の作成において使用される判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
なお、期末時点で入手可能な情報を基に検証を行っております。
当社グループは、お客さまの支払不能時及び貸付金等の回収懸念時に発生する損失の見積額について、貸倒引当金を計上しております。一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。
当社グループは、仕掛品については個別法による原価法(貸借対照表価額については収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定)を、商品及び製品・原材料及び貯蔵品については先入先出法による原価法(貸借対照表価額については収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定)を採用しております。
システム開発やネットワーク構築等に係る受注案件については、仕様確定に関する不備、プロジェクト体制の問題、技術的な検証不足等の様々な想定外の事象が発生し、プロジェクトが予定された範囲、予算、納期及び品質で実施できなかった場合は、損失等のリスク発生の可能性があります。将来に損失が発生する可能性が高いと見込まれ、かつ当該損失額を合理的に見積ることが可能なものについては、受注損失に備えるため、将来の損失見積額を受注損失引当金として計上することとなります。なお、実際の損失額が見積りと異なった場合、翌連結会計年度の連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性に関する判断においては、「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」(企業会計基準適用指針第26号 2018年2月16日改正)に基づき、当社及び連結子会社各社を過去3年及び当期の課税所得や税務上の繰越欠損金発生状況、経営環境の著しい変化の有無等により企業を5つの分類に区分しております。会社分類については、連結会計年度末における各社の状況に基づき、毎期見直しております。繰延税金資産については、実現(回収)可能性が高いと考えられる金額へ減額するために評価性引当額を計上しております。評価性引当額の必要性を評価するに当たっては、将来の課税所得及び、慎重かつ実現可能性の高い継続的な税務計画を検討しますが、繰延税金資産の全部又は一部を将来実現(回収)できないと判断した場合、その判断を行った会計年度に繰延税金資産の調整額を費用として計上いたします。
2025年3月31日現在、繰延税金資産に対して総額で136百万円の評価性引当金を計上しています。
当社の退職給付制度は退職一時金、確定給付企業年金及び確定拠出型年金を採用しており、一部の連結子会社においては、簡便法による処理を行っております。確定給付型退職給付制度の退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には割引率、将来の報酬水準、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率及び年金資産の長期期待運用収益率などが含まれます。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。なお、長期期待運用収益率は年金資産の配分と、年金資産を構成する多様な資産からの現在及び将来期待される長期の収益率を考慮しております。年金資産の長期運用利回りは前連結会計年度において2.3%、当連結会計年度において2.1%であります。また、長期期待運用収益率は債券32%、株式25%、生保一般勘定0%及びその他資産43%の資産構成を前提として算定しております。退職給付債務の残高、使用している割引率等については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(退職給付関係)」をご参照ください。
当社グループは開発・構築案件(ただし、工期がごく短い案件を除く)について、財又はサービスに対する支配が顧客に一定の期間にわたり移転する場合には、財又はサービスを顧客に移転する履行義務を充足するにつれて、一定の期間にわたり収益を認識しております。履行義務の充足に係る進捗度の測定は、当連結会計年度末までに発生した原価が、予想される原価総額に占める割合に基づいて行っております。
原価総額の見積りについて、契約の履行に必要となるすべての作業内容に関して想定される原価を含めて算定しております。また、当事者間の新たな合意による契約の変更、作業方法の見直し等、作業開始後の状況の変化による作業内容の変更について、適時・適切に見積りを行い、原価総額に反映しております。なお、仕様確定に関する不備、プロジェクト体制の問題、技術的な検証不足等の様々な想定外の事象により、作業工数や範囲が変更となる可能性を有しております。このため、当該見積りについては、不確実性を伴うものであり、想定していなかった原価の発生等により、実際に生じた金額が見積りと異なった場合には、翌連結会計年度以降の連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
2025年3月31日現在、以下の経営上の重要な契約を締結しております。
2024年4月1日前に締結された㈱麻生との業務提携契約については、「企業内容等の開示に関する内閣府令及び特定有価証券の内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」附則第3条第4項により記載を省略しております。
これらの取り組みによる当連結会計年度における研究開発費の総額は