文中の将来に関する記載は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは価値とあり方を言語化したパーパス「人と知と技術で、可能性に満ちた“余白”を、ともに。」と大切にすべき価値観・行動指針を定めたバリューズで構成する経営理念を制定しております。
当社グループはこの経営理念のもと、お客さまやその先の社会に向け当社グループらしい「事業的価値」「社会的価値」を提供することで、更なる成長と豊かな世界の実現を目指してまいります。
2023年に発表した長期ビジョンでは、2033年3月期の創業100周年に向け、当社グループのありたい姿を「Growth Navigator(成長をナビゲートし、ともに創りあげる集団)」と定めました。そして、「Value Creation」~新たな価値を創造する~、「Expand Customer Reach」~多様なお客さまとの繋がりを生み出す~、「Lead the Growth」~成長を先導し続ける」の3つの活動軸で取り組みを進め、お客様の「そばにいる存在」から、「成長を先導するパートナー」へのポジションシフトと提供価値の向上に努めております。

① 経営環境
当社グループはこれまで、国内の幅広い業種のお客さまに対し、SI・NIの両領域において、真の顧客理解に基づいた最適なソリューションを提供することで成長してまいりました。
我が国においては、労働人口の減少に伴う人手不足の進行や、サイバーセキュリティリスクの高まり、生成AIをはじめとするデジタル技術の急速な進展を背景に、企業のIT投資需要は中長期的に拡大傾向にあります。特に大企業においては、業務効率化・競争力強化に向けたIT投資の高度化が進展する一方、中堅・中小企業においては人材・資金制約等を背景にIT投資の進展に差が見られる状況にあります。
また、生成AIの普及や内製化志向の高まりを背景に、単純な開発・構築の価値は相対的に低下する一方、全体設計、実装・運用まで含めた総合的なサービスへのニーズが高まるなど、情報通信産業の構造変化も進行しております。
このような環境下において、当社グループにおいては、ソフトウエア開発からネットワーク構築・運用までを一貫して提供できる体制及び顧客理解・業界知見に基づくエンジニアリングサービス提供力を強みとして、高付加価値領域における提供機会の拡大が見込まれます。
この機会を的確に捉え、成長を加速させるべく、人的資本への積極的な投資とパートナー戦略の進化によりエンジニアリングリソースの拡大に取り組み、エンジニアリングサービスを中心とした売上高の拡大とそれに伴う利益成長を図ってまいります。
中期経営計画「Trust & Challenge 2029」(対象期間:2027年3月期~2029年3月期)は長期ビジョン達成に向けた2ndステージとなります。
1stステージとして位置づけた「Transformation 2026」(対象期間:2024年3月期-2026年3月期)では、成長領域へのリソースシフトやプライシングマネジメントへの取り組みが奏功し収益性を大きく改善させることができました。一方で、成長投資に対しては十分な取り組みができませんでした。
「Trust & Challenge 2029」では、お客様・パートナー様に選ばれてきた信頼の輪をさらに広げながら、「プロフェッショナルサービスカンパニーへの変革」、「成長と還元の好循環による企業価値向上」、「価値創出を加速する人材ポートフォリオへの転換」の3つを軸に、企業価値向上への挑戦を加速させることで売上高の拡大に伴う利益成長フェーズへと歩みを進めてまいります。

ⅰ)プロフェッショナルサービスカンパニーへの変革
AI技術の高度化と社会への浸透により、業界や当社を取り巻く事業環境は大きく変化しております。こうした環境は、SI・NI両領域における高い技術力と顧客理解並びに業界知見を有し総合的なサービスを提供してきた当社グループにとって成長の機会であり、プロフェッショナルサービスを提供する企業へと変革していく好機であると捉えております。
当社グループは、AIを前提とした価値創出モデルへの転換(AI Nativeへの移行)を推し進め、業務プロセス・ビジネスモデル・組織文化など全ての領域において変革を図るとともに、新たなニーズの獲得及びソリューションの付加価値向上を通じて、お客さまへの提供価値の創出及びその高度化につなげてまいります。
また、プロダクト偏重からエンジニアリングサービスを軸としたサービス中心の収益モデルへの進化を推し進め、プロダクトとテクノロジーを最適に組み上げることでエンジニアリングによる価値創出力を高めてまいります。この取り組みを促進するために、当社が優位性を持ち、エンジニアリングサービスを起点に価値提供の高度化・拡張と収益拡大が可能な成長中核領域を「エンジニアリング・コア4領域」と位置づけ、当該領域を中心にリソースを拡大することで、売上拡大と収益性の向上を図ってまいります。
エンジニアリングの強化においてはパートナー様との連携が不可欠であるため、当社グループは価値創造を拡張すべくエコシステムをさらに強化し、オファリングサービスの進化や新たな領域の開拓に取り組んでまいります。
強化したエンジニアリングサービスを軸に、主力顧客におけるホワイトスペースの深耕と、中堅・中小企業向け市場におけるオファリング型ビジネスの展開を通じて売上高の拡大を図ってまいります。
ⅱ)成長と還元の好循環による企業価値向上
既存事業への成長投資による収益力向上、戦略投資によるインオーガニック成長、株主還元の強化を通じて企業価値の向上とTSR(株主総利回り)の拡大を実現してまいります。
成長投資では、70億円規模の投資を計画しております。エンジニアリングサービスの強化に向けた戦略的な投資配分のもと、キャリアを軸とした採用強化をはじめとする人的資本への投資に注力するとともに、テクノロジー、社内IT/AIへの取り組みを通じて、業務変化に合わせた社内システムの高度化などを図ってまいります。
戦略投資では、400億円規模の投資の実行を目指します。成長フェーズや目的に応じて、M&Aや資本業務提携、ベンチャーキャピタルの活用など多層的な投資手法を活用し、成長機会を積極的に取り込んでまいります。M&Aの実行に際しては、資本効率の向上を意識し、キャッシュの活用と借入による調達を組み合わせることで資本構成の最適化を図ってまいります。
株主還元の強化については、2027年3月期より配当方針を変更し、連結配当性向60%を目安としております。詳細については「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおりであります。
ROEについては、14.5%以上を目標に掲げております。前中期経営計画「Transformation 2026」(対象期間:2024年3月期~2026年3月期)では、事業売却や子会社再編、持ち合い株式の解消、非営業資産の売却などバランスシートの最適化に取り組んだこともROEを押し上げる要因となりました。そのため、特別利益・特別損失等を除いた「実質ROE」を比較の対象の一つとして用いることで、実質的な収益性のさらなる改善を推し進めてまいります。なお、2026年3月期の実質ROEは12.3%となりました。
ⅲ)価値創出を加速する人材ポートフォリオへの転換
エンジニアリングサービスを軸としたサービス中心の収益モデルへの進化に向けて、専門性と創造性を備えた人材を中心とした人材ポートフォリオへと転換を図ってまいります。その実現のため、採用、配置や異動、育成、制度、風土の各方面で取り組みを進化させ、人材力・組織力の両面を大きく引き上げてまいります。採用については、新卒・キャリア双方で拡大し、エンジニアリングサービスの拡大に必要な専門性を有する人材の確保を図ってまいります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2026年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループでは、自らの価値とあり方を定めた「パーパス」を体現することが社会及び自らのサステナビリティへの寄与に繋がるとの認識から「サステナビリティ基本方針」を掲げ、活動を推進しております。
(サステナビリティ基本方針)
①ガバナンス
(推進体制)
当社グループは経営主導によって、気候変動や人的資本等のサステナビリティ活動を推進するため、「サステナビリティ経営委員会」及び「サステナビリティ推進委員会」を設置しています。また、社会へ持続的に価値提供を行うための重要テーマであるマテリアリティに沿って、各種施策の検討、推進を担うプロジェクトを組成しています。
当社グループのサステナビリティに関するガバナンス体制、会議体の開催状況は以下の通りです。
(ガバナンス体制)

(会議体の開催状況)
②リスク管理
当社グループではサステナビリティに関連するリスク及び機会を以下のプロセスで識別、評価しマテリアリティを特定しております。時代の変化に合わせ取り組みの実効性を高めるため、当社グループでは2024年4月にマテリアリティの再特定を行いました。また、マテリアリティに対してKPIを設定し進捗を管理しております。
各マテリアリティについては、KPIを設定し活動の進捗を管理しております。2027年3月期は新たな中期経営計画及び開示に関する基準や社会要請の変化を注視しながら、KPIを見直す予定としております。
(マテリアリティの特定方法)

(マテリアリティ)
1.事業を通した社会への価値創出
2.「人」の成長と活性化
3.「知」「技術」の発展と発揮
4.地球環境と社会への寄与
5.健全な経営基盤の強化
③戦略
当社グループではマテリアリティに沿って、プロジェクトを組成し、それぞれが以下の目的・意義のもと取り組んでおります。
マテリアリティ1 事業を通した社会への価値創出
マテリアリティ2 「人」の成長と活性化
マテリアリティ3 「知」「技術」の発展と発揮
マテリアリティ4 地球環境と社会への寄与
マテリアリティ5 健全な経営基盤の強化
④指標及び目標
マテリアリティ1 事業を通した社会への価値創出
①戦略
当社グループは、「Growth Navigator」の実現に向けて、中期経営計画「Trust & Challenge 2029」において、成長市場へのリソースシフト及びエンジニアリングサービスを中核とした事業構造への転換を掲げております。
これらの戦略の実現には、専門性の高いエンジニア人材を含め、顧客価値創出を担う「Value Creator」の確保・育成が最も重要な経営課題であると認識しております。
このため当社は、人的資本を成長戦略の根幹と位置づけ、人材ポートフォリオの転換を軸とした人材戦略を推進しております。
なお、当社の人材ポートフォリオは以下の構成を基本としております。
ⅰ.人材獲得
人材ポートフォリオの源泉となる多様な人材を採用するため、合同説明会の活用、大学/研究室訪問、キャリア採用、リファラル採用など様々なアプローチで採用活動を展開することで、人材ポートフォリオの母集団形成を行います。
さらなる採用力の強化に向けて、それぞれ以下の方針に基づき、取り組みを推進してまいります。
a)新卒採用
・従来型の「マス型採用」のみならず、大学訪問等の「個別型採用」のアプローチを強化していくことによって、当社の求める人材の効果的な獲得に取り組んでおります。
b)キャリア採用
・リファラル採用を含む採用チャネルの拡大を行いながら、採用におけるブランディングをはじめとした各種採用プロセスの改善を実施することにより、候補者体験(CX:Candidate Experience)向上を図り、採用力の強化に取り組んでおります。
ⅱ.人材開発
従業員一人ひとりの個性や専門性を尊重し、成長を支援するための研修プログラムやキャリア開発支援を提供します。自律的なキャリア設計を促進し、従業員が主体的にスキルを磨き、成長できる環境を整備します。
当社の人材育成方針は「キャリア自律」を中心に据え、従業員一人ひとりが自らのキャリアを主体的に設計し、成長していくことを支援するため、以下の三点を重点テーマとしております。
a)経営・マネジメント人材育成
・次世代経営人材を育成する研修(TLF: Tsuzuki Leaders Forum)や若手従業員に対するリーダーシップ研修の提供等を行うことで、リーダーシップを発揮できる人材の育成に取り組んでおります。
b)プロフェッショナル人材・イノベーション人材育成
・各部門と連携し、各事業を推進していくうえで必要な人材定義を明確化しながら、最先端の専門的スキルを学べる研修や社内認定制度を整備することで、専門性の高いプロフェッショナル人材の育成に取り組んでおります。
また、技術力を生かして、ビジネス領域やモデルの開拓を行い、事業へ貢献することができるイノベーション人材の育成環境についても整備を進めております。
c)自律的なキャリア形成
・自らキャリアを考え会社に希望を伝えるマイキャリア申告制度や自己啓発型のeラーニングの提供に加え、研修への参加を自薦式にするなど、自律的な行動を促し、従業員の自律的なキャリア形成を支援しております。
ⅲ.組織開発
当社は、多様な人材が能力を最大限発揮し、挑戦と成長を継続できる組織風土の醸成を重要な経営課題と認識しております。
従業員調査等による定量分析に加え、従業員の声を踏まえた定性的なアプローチも実施しながら、各職場主体による組織改善活動を推進しております。また、「Value Creator」が継続的に価値創出できる環境を整備するため、「健康経営」「ワークスタイル変革」「ディーセントワークの推進」「風土改革及びダイバーシティー&インクルージョンの推進」を重点テーマとしております。
a)健康経営
・従業員全員が定期的に健康診断を受診し、病気等の早期発見・予防を促進します。また、ストレスチェックを定期的に実施し、高ストレス者に対して専門家によるカウンセリングを提供することで、メンタルヘルス対策を行っております。
・従業員の健康に対する意識向上のための各種啓発施策を積極的に実施しております。
b)ワークスタイル変革
・従業員が自分のライフスタイルに合わせて勤務時間を柔軟に設定できるフレックス勤務を導入しています。リモートワークを奨励し、必要なICT環境を整備しております。
・フリーアドレスの導入やリフレッシュスペースの設置により、オフィス環境を改善することで、従業員が働きやすい環境を提供しております。
c)ディーセントワークの推進
・公正な労働条件の確保と働きやすい職場環境の整備を進めております。
・従業員のワークライフバランスを重視し、長時間労働の削減を図っております。
d)風土改革及びダイバーシティー&インクルージョンの推進
・多様な価値観やバックグラウンドを有する人材が活躍できる環境整備を進めるとともに、従業員一人ひとりが自ら意見を発信し、挑戦できる風土づくりを推進しております。
これらの取り組みを通じて、多様な知見や専門性の融合によるイノベーション創出を促進し、持続的な企業価値向上につなげてまいります。
②指標及び目標
「人的資本」について、以下の指標を設定し、目標達成に向けた取り組みを推進しております。
なお、上記「①戦略」に記載した、「人材開発」「組織開発」にかかる指標については、提出会社においては関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取り組みが行われているものの、グループに属するすべての会社では行われていないため、連結での記載が一部困難であります。このため、一部指標に関する目標及び実績はグループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。
(注) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異についての実績は、「
当社では、クラウド、仮想化、AI、IoTといった技術を活用して、社会・環境・天然資源への悪影響を最小限に抑え、地球環境へ配慮したICTサービスを提供し、自社における環境負荷軽減についても積極的に取り組んでいます。
当社は2022年5月より、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に則った情報開示を行っております。マテリアリティの一つに「地球環境と社会への寄与」を定め、特に「気候変動」を中心に環境負荷を軽減するための活動を実施しています。
TCFDが推奨するフレームワークに基づいた情報は以下の通りです。
①ガバナンス
気候変動に関するガバナンスは「(1)①ガバナンス」に記載したサステナビリティに関する推進体制に記載の通りです。
②リスク管理
気候変動のリスクと機会を特定・評価・管理する仕組みは以下の通りです。
・気候変動に関する事項を所管する環境推進委員会は、気候変動に関連したリスクと機会の特定・評価を行います。とりわけ重要な内容については適切な対応を検討し、環境管理責任者よりサステナビリティ推進委員会に報告・提言をします。
・サステナビリティ推進委員会は、報告・提言された気候変動の影響と対応について、必要に応じサステナビリティ経営委員会での議論を経て、経営会議へ報告します。
・経営会議は、報告内容について具体的な取り組みを含む全社的施策について協議し、決議事項は取締役会へ報告します。
・取締役会は、経営会議において決議された施策の指導・監督を行います。
・サステナビリティ推進委員会は、施策についてのKPIを設定し、進捗管理を行います。
③戦略
気候変動に関するシナリオを参照し、当社における気候変動に関するリスクと機会を特定しました。
・参照シナリオ下における当社事業環境
4℃シナリオ
社会的に気候変動に関する施策、規制等が進まず、平均気温が大きく上昇している。規制対応へのコストが少ない。平均気温の大幅な上昇に伴い、気象災害が頻発、激甚化している。災害対策へのコスト増加が大きい。
1.5℃シナリオ
社会的に気候変動に関する対策、規制等が進み、平均気温の上昇が小さい。規制対応へのコスト増加が大きい。平均気温の上昇に伴い、気象災害が増加している。災害対策へのコスト増加が小さい。
・リスクと機会
当社における気候変動に関するリスクと機会は以下の通り
参照した主な気候変動に関するシナリオ
(注)1 財務影響の尺度は以下の通り
2 2031年3月期及び2051年3月期時点想定の炭素税導入による財務影響を記載。なお、仕入れ商品へ炭素税が転嫁されることによる費用の増加は含まない
算出方法:想定される炭素税×2025年3月期における都築電気単体Scope1+2排出実績
炭素税は、NZE(1.4℃)シナリオパラメータ値を参照
2031年3月期時点:140USD/t-CO2
2051年3月期時点:250USD/t-CO2
3 短期:0~3年、中期:3~10年、長期:10年以上
④環境マネジメントに関する指標及び目標
当社グループにおけるScope1+2の温室効果ガス排出量を指標及び目標に定めております。
当社グループが財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは、以下に記載のとおりであります。各リスクについて、影響度及び発生可能性をそれぞれ「大・中・小」に区分し、リスク・コンプライアンス推進委員会において定期的にモニタリングを行っております。当社グループはこれらのリスクの低減に努めておりますが、必ずしも全てのリスクを網羅したものではなく、全てのリスクを完全に回避するものではありません。
なお、本文の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2026年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2026年3月31日)現在において判断したものであります。
当期における我が国経済は、雇用・所得環境の改善を背景に緩やかな回復が続いております。一方で、物価上昇や米国の通商政策、中東情勢、金融資本市場の変動等が国内景気に及ぼす影響が懸念されるなど、不透明な状況で推移いたしました。
当社グループの属する情報・通信サービス産業については、企業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の加速や生成AI技術の発展、人手不足を補うための生産性向上やセキュリティリスクの増大など社会課題への対応を背景に、高水準の設備投資意欲が継続しており、マーケットは引き続き拡大いたしました。
このような環境のもと、当社グループは2032年に向けた長期ビジョン(10年後のありたい姿)を「Growth Navigator(成長をナビゲートし、ともに創りあげる集団)」と定め、お客さまの成長を先導する存在として選ばれ続ける企業であるべく、その達成に向けた3か年の中期経営計画「Transformation 2026」に取り組んでまいりました。中期経営計画では「成長領域へのリソースシフト」により稼ぐ力を高めることを主軸に、「資本コストを意識した経営」や「人的資本の強化」なども一体的に進めることで、さらなる企業価値向上の実現を図ってまいりました。当期においては本計画にもとづき、日本IBM株式会社とのAIパートナーシップの締結や、クラウド型動態管理・配送管理サービス「TCloud for SCM」の機能強化等を実行いたしました。
中期経営計画最終年度となる当期の業績は売上高103,728百万円(前期比5.6%増)、営業利益8,178百万円(同26.2%増)、経常利益8,320百万円(同26.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益6,472百万円(同35.9%増)と増収、大幅増益となり、営業利益、経常利益は4期連続、親会社株主に帰属する当期純利益は2期振りに過去最高を更新いたしました。
なお、当社グループは事業区分が単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
また、当期におけるビジネスモデル別の業績は次のとおりであります。
〔ビジネスモデル別実績〕
機器 :売上高は、製造業や官公庁向けにサーバやストレージの導入案件を中心に拡大し、43,378百万円(前期比7.6%増)と伸長いたしました。受注高は、官公庁及び金融業向けの大型機器の導入案件を獲得したことで、49,891百万円(同24.3%増)と前期より大幅に増加いたしました。
開発・構築:売上高は、オフィス移転に伴うネットワーク構築やサービス業や運輸業向けを中心に幅広いお客さまのシステム開発案件が伸長したこと等により、17,391百万円(前期比13.6%増)と大幅に伸長いたしました。受注高は、大型のネットワーク構築案件を複数受注したこともあり、17,055百万円(同4.8%増)と増加いたしました。
サービス :売上高は、クラウドソリューション等のストック型ビジネスの拡大により、42,957百万円(前期比0.8%増)と順調に推移いたしました。受注高は、注力領域である「物流向けDXサービス」や「マネージドサービス」は伸長したものの、前期大型商談獲得の反動により43,437百万円(同1.7%減)と減少いたしました。
② 仕入、受注及び販売の状況
当連結会計年度における仕入実績を示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、仕入価格によっております。
当連結会計年度における受注実績をビジネスモデルごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度における販売実績をビジネスモデルごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 主要な販売先につきましては、全ての相手先について、販売実績が合計の100分の10未満のため記載を省略しております。
当連結会計年度末の資産につきましては、前連結会計年度末と比較して7,567百万円増加し、87,630百万円となりました。この主な増加要因は、現金及び預金の増加4,753百万円、売掛金の増加2,963百万円、棚卸資産の増加1,657百万円によるものであります。主な減少要因は、当社政策保有株式の保有方針に照らした一部の投資有価証券の売却による減少2,155百万円によるものであります。
負債につきましては、前連結会計年度末と比較して3,358百万円増加し、38,792百万円となりました。この主な増加要因は、支払手形及び買掛金の増加2,280百万円、未払法人税等の増加1,976百万円、主な減少要因は、金融機関への短期借入金の返済による減少856百万円によるものであります。
純資産につきましては、前連結会計年度末と比較して4,208百万円増加し、48,837百万円となり、自己資本比率は55.1%(前連結会計年度末は55.2%)となりました。この主な増加要因は、親会社株主に帰属する当期純利益6,472百万円の計上によるものであり、主な減少要因は、剰余金の配当1,952百万円に伴う利益剰余金の減少によるものであります。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローが6,322百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローが1,711百万円の収入、財務活動によるキャッシュ・フローが3,269百万円の支出となりました。
この結果、現金及び現金同等物は前連結会計年度末に比較し4,763百万円増加し、43,467百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは6,322百万円の収入(前期は3,407百万円の収入、前期比85.5%増)となりました。この主な収入の要因は、税金等調整前当期純利益の計上9,391百万円であり、主な支出の要因は、売上債権の増加額2,992百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは1,711百万円の収入(前期は792百万円の支出)となりました。この主な収入の要因は、投資有価証券の売却による収入2,975百万円であり、主な支出の要因は、無形固定資産の取得による支出1,048百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは3,269百万円の支出(前期は2,595百万円の支出、前期比26.0%増)となりました。この主な支出の要因は、配当金の支払額1,952百万円、短期借入金の純減額856百万円であります。
キャッシュ・フロー関連指標の推移
(注) 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
※ いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
※ 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式、役員報酬BIP信託口及び株式付与ESOP信託口が保有する当社株式を控除後)により算出しております。
※ キャッシュ・フローは営業キャッシュ・フローを使用しております。
※ 有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としています。
(資金需要の動向及び資本の財源)
(キャピタルアロケーション)
当社グループは、プライシングマネジメントの徹底や生産性向上による売上総利益率の改善に加え、成長領域へのリソースシフト及び事業ポートフォリオの見直しを進めてまいりました。その結果、運転資本の効率化が進展し、営業活動によるキャッシュ・フローの安定性が向上するとともに、財務基盤の強靭化が実現しております。
こうした事業活動を通じて創出したキャッシュに加え、事業ポートフォリオの見直しや非営業資産の売却等により確保した資金については、成長分野への戦略投資に優先的に配分する方針としております。一方、今後の事業活動から創出されるキャッシュについては、株主還元を中心とする資本配分方針のもと、資本効率の向上と持続的成長の両立を図ってまいります。
なお、当社グループの配当政策につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおりであります。
(成長戦略を見据えた財務基盤の考え方)
当社グループでは、中長期的な成長投資や将来想定されるM&A等の戦略投資機会に対し、機動的かつ柔軟に対応できる財務基盤を維持する観点から一定水準の現預金及び自己資本を維持しております。
現時点では、自己資本比率は当社グループが目安とする40%~50%の水準を上回る状態にあると認識しておりますが、これは将来の成長戦略を見据えた財務運営によるものです。事業ポートフォリオの見直しや非営業資産の圧縮を進める中で、資産構成のスリム化とあわせて、自己資本及び手元流動性が相対的に厚みを持つ構造となっております。
中期経営計画「Trust & Challenge 2029」では、戦略投資によるインオーガニック成長を重要テーマとして掲げており、M&Aや資本業務提携を含む戦略投資を重要な成長手段と位置づけております。こうした戦略投資を実行するにあたっては、外部環境や資本市場の状況に左右されることなく、必要なタイミングで迅速な意思決定を行うことが重要であると考えております。
一方で、投資機会が限定的となる局面においては、資本効率も踏まえ資金水準のあり方について、継続的に検討していく必要があるものと認識しております。
今後も、成長戦略と財務健全性のバランスを図りつつ、資本効率を意識したバランスシート運営を通じて、中長期的な企業価値向上に取り組んでまいります。
(金融環境を踏まえた資金調達の考え方)
当社グループは、期中に期限を迎えた借入金の一部については返済を行わず、更新する判断をいたしました。当該借入金は、主として期間3年の固定金利によるものであり、金利上昇局面における金利変動リスクを抑制するとともに、安定的な資金調達手段を確保することを目的としております。また、短期借入金と長期借入金をバランスよく組み合わせることで、資金流動性の確保と金利負担軽減の両立を図っております。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
当社経営陣は、連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の報告数値及び偶発債務の開示、並びに報告期間における収入・費用に影響を与える見積り及び仮定設定を行わなければなりません。経営陣は見積り及び判断に対して、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき継続して評価を行っております。しかし、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果とは異なる場合があります。
また、当社グループでは、特に以下の重要な会計方針が、当社の連結財務諸表の作成において使用される判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
なお、期末時点で入手可能な情報を基に検証を行っております。
当社グループは、お客さまの支払不能時及び貸付金等の回収懸念時に発生する損失の見積額について、貸倒引当金を計上しております。一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。
当社グループは、仕掛品については個別法による原価法(貸借対照表価額については収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定)を、商品及び製品・原材料及び貯蔵品については先入先出法による原価法(貸借対照表価額については収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定)を採用しております。
システム開発やネットワーク構築等に係る受注案件については、仕様確定に関する不備、プロジェクト体制の問題、技術的な検証不足等の様々な想定外の事象が発生し、プロジェクトが予定された範囲、予算、納期及び品質で実施できなかった場合は、損失等のリスク発生の可能性があります。将来に損失が発生する可能性が高いと見込まれ、かつ当該損失額を合理的に見積ることが可能なものについては、受注損失に備えるため、将来の損失見積額を受注損失引当金として計上することとなります。なお、実際の損失額が見積りと異なった場合、翌連結会計年度の連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性に関する判断においては、「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」(企業会計基準適用指針第26号 2018年2月16日改正)に基づき、当社及び連結子会社各社を過去3年及び当期の課税所得や税務上の繰越欠損金発生状況、経営環境の著しい変化の有無等により企業を5つの分類に区分しております。会社分類については、連結会計年度末における各社の状況に基づき、毎期見直しております。繰延税金資産については、実現(回収)可能性が高いと考えられる金額へ減額するために評価性引当額を計上しております。評価性引当額の必要性を評価するに当たっては、将来の課税所得及び、慎重かつ実現可能性の高い継続的な税務計画を検討しますが、繰延税金資産の全部又は一部を将来実現(回収)できないと判断した場合、その判断を行った会計年度に繰延税金資産の調整額を費用として計上いたします。
2026年3月31日現在、繰延税金資産に対して総額で108百万円の評価性引当金を計上しています。
当社の退職給付制度は退職一時金、確定給付企業年金及び確定拠出型年金を採用しており、一部の連結子会社においては、簡便法による処理を行っております。確定給付型退職給付制度の退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には割引率、将来の報酬水準、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率及び年金資産の長期期待運用収益率などが含まれます。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。なお、長期期待運用収益率は年金資産の配分と、年金資産を構成する多様な資産からの現在及び将来期待される長期の収益率を考慮しております。年金資産の長期運用利回りは前連結会計年度において2.1%、当連結会計年度において2.3%であります。また、長期期待運用収益率は債券36%、株式25%、生保一般勘定0%及びその他資産39%の資産構成を前提として算定しております。退職給付債務の残高、使用している割引率等については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(退職給付関係)」をご参照ください。
当社グループは開発・構築案件(ただし、工期がごく短い案件を除く)について、財又はサービスに対する支配が顧客に一定の期間にわたり移転する場合には、財又はサービスを顧客に移転する履行義務を充足するにつれて、一定の期間にわたり収益を認識しております。履行義務の充足に係る進捗度の測定は、当連結会計年度末までに発生した原価が、予想される原価総額に占める割合に基づいて行っております。
原価総額の見積りについて、契約の履行に必要となるすべての作業内容に関して想定される原価を含めて算定しております。また、当事者間の新たな合意による契約の変更、作業方法の見直し等、作業開始後の状況の変化による作業内容の変更について、適時・適切に見積りを行い、原価総額に反映しております。なお、仕様確定に関する不備、プロジェクト体制の問題、技術的な検証不足等の様々な想定外の事象により、作業工数や範囲が変更となる可能性を有しております。このため、当該見積りについては、不確実性を伴うものであり、想定していなかった原価の発生等により、実際に生じた金額が見積りと異なった場合には、翌連結会計年度以降の連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
2026年3月31日現在、以下の重要な契約を締結しております。
(業務提携契約)
当社は株式会社麻生との間で企業・株主間のガバナンスに関する合意及び企業・株主間の株主保有株式の処分・買い増しに関する合意を含む業務提携契約を締結しております。合意に関する内容等は以下の通りです。
①契約の概要
②当該合意の目的
株式会社麻生と当社は、2017年1月5日に麻生グループが有する医療・介護関連等の事業ノウハウ及び顧客基盤、並びに当社が有するICT技術、医療事業者向けの商品ラインナップ及び全国規模の営業拠点網を掛け合わせ、両社の企業価値の向上を実現することを目的として資本業務提携契約を締結いたしました。以降、人材の相互交流や共同での技術開発を進め、医療機関向け「AI退院日予測サービス」を開発するなどの成果を生み出してまいりました。さらに多くの成果を創出するためには、麻生グループとの連携範囲を拡大させるなど業務提携を強化する必要があると考え、2024年3月12日に新たに業務提携契約を締結しております。
上記の「合意の内容」に記載した各合意は業務提携契約の実現性の確保及び両社の関係の強化・発展を目的に取り決めております。
③取締役会における検討状況、意思決定に至る過程
取締役会において本業務提携契約の締結について検討を行い、当該合意が少数株主を含む株主共同の利益の実現に資するものと判断し、取締役全員(特別の利害関係を有する社外取締役1名を除く)が承認しております。
④当社の企業統治に及ぼす影響
当該合意を含む本業務提携契約は当社の経営の独立性を尊重しつつ、両社の有する経営資源を相互に有効活用することにより、当社の企業価値向上を目的とするものであり、当社の企業統治に及ぼす影響は軽微であると考えております。
当社グループでは、中期経営計画「Trust & Challenge 2029」におけるAI Nativeへの移行及びプロフェッショナルサービスカンパニーへの変革を見据え、持続的な成長及び中長期的な企業価値向上に資する研究開発活動を推進しております。研究開発は技術部門を中心に関係部門が連携し、技術的不確実性の解消や将来の事業化を見据えたテーマ設定のもとで推進しております。
①エンジニアリング拡大に向けた新たな開発プロセス・技法
エンジニアリングサービス(システム開発、コンタクトセンター構築、ITインフラ構築等)において、生成AI技術、クラウド技術等を活用した、新たな開発・構築プロセスについて、検討及び研究を行いました。
②新たなプラットフォーム技術
IoT starter Kit、CPaaS、Proxmox、OTネットワーク等に関する研究開発及び検証環境の整備を通じ、市場・顧客ニーズを踏まえた技術検証と提案可能な構成の明確化を進めました。
これにより、デモ環境を活用した具体的な提案力の向上と、プラットフォーム技術に関する知見の社内蓄積を図りました。
③社内生産性向上にむけた、生成AIを活用したビジネス/業務改革
AIエージェントやAIアシスタント等の先進的な人工知能技術に関する研究及び実証検証(PoC)を実施し、社内業務における業務効率化、高度なナレッジ活用及び意思決定支援への適用可能性を検証しました。
あわせて、顧客向けアドバイザリーサービスやエージェント活用を含む次世代サービスの展開を見据えた基盤整備を進めるとともに、生成AIを軸とした新たなビジネスモデルの構想及び検討を推進しました。
④社会課題解決・社会貢献型テーマ
フレイル予防や医療分野向けAI(看護師配置最適化)に関する研究を通じ、実証フィールドでの検証やデータ収集、関係機関との連携を進めました。
これにより、社会課題解決に資する技術活用の可能性を検討するとともに、公共・医療分野における中長期的な事業展開を見据えた知見の蓄積を行いました。
⑤既存事業基盤の高度化・品質向上
包括保守サービス、次世代コンタクトセンターサービス、クラウド音声、PBX関連技術等の検証環境の整備による構築・保守品質の安定化及び技術対応力の向上を図りました。
これにより、既存事業におけるサービス品質・信頼性・競争力を維持・強化するための基盤整備を進めました。
これらの取り組みによる当連結会計年度における研究開発費の総額は