第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

当社グループは、近年「エネルギー」と「エコロジー」の豊かな共存こそが企業に課せられた重要なテーマといわれるなかで、「顧客の創造と信頼の確保」、「社会への貢献」、「未来への挑戦」の3つの経営理念に基づき、コア事業である断熱工事・技術を通じてエネルギーの有効利用に貢献するとともに、事業領域の拡大を図り、燃焼技術を基礎としたボイラの製造・据付、クリーンルーム内装工事、冷凍冷蔵低温設備工事及び環境関連等に取組んでおります。

こうしたなかで、当社グループの技術力は多業種にわたるユーザーから高い信頼を得るとともに、地球規模の課題である省エネルギーや環境保全を推進することで、企業としての社会的責任を果たすために尽力しております。

 

(2)経営戦略等

 当社グループは、近年において企業のグローバル化及びボーダレス化が進むなか、将来の当社としてのあるべき姿を見据えて、2021年4月に中期経営計画(2021年度~2023年度)を新たにスタートさせました。本計画は、「新たなステージへの挑戦」をスローガンとして、事業環境の構造変化に合わせて機動的に対応するため、次のとおり5つの基本方針を掲げております。

 

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①環境変化に対する適応力の強化

 主要顧客である素材産業向け市場を堅持しながらインフラ関連事業向けの断熱事業ならびに周辺事業の市場拡販への取り組みを強化するとともに、脱炭素社会に向けた社会の動向・要請に適応するべく新たな技術力・工事施工能力を開発してまいります。

②未来への持続的成長戦略の展開

 既存事業との親和性のある新たな領域へ積極的に事業を展開し、断熱事業に続く次の柱となる事業領域の育成をM&Aも視野に入れながら進めてまいります。既存領域に関しましても組織間やグループ各社にて水平展開を図る等、組織力を強化してまいります。また、中長期的に拡大が見込まれる海外市場につきましてもプロジェクト工事体制の整備を行うとともに、リスク管理を徹底し、持続的な受注活動を展開してまいります。

③成長を支える収益基盤の確立

 既存事業に関して新規顧客開拓やシェアアップに注力するとともに、営業メニューの多角化に取り組んでまいります。また、若手社員への教育を通じて技術力・工事施工能力の向上・強化や、調達先の拡充等により価格競争力を高め、収益基盤の強化を推進してまいります。

 

④デジタル化に向けた業務体制の改革

 現場におけるデジタル技術を活用した業務の効率化や新事業の創出に取り組むことで営業力の差別化を図ってまいります。また、間接部門におきましても効率化だけでなく、業務のプロセス自体を見直し、より一層の生産性向上を推進してまいります。

⑤企業力の強化と意識改革

 人材の確保・育成、働き方改革はもとより、環境変化に対応するため従来の発想を転換して意識改革を行い、継続的なコーポレート・ガバナンス体制の強化に取り組むことでESG経営を推進し、企業力を強化いたします。

 

 当社グループは、新たな事業環境下においても常に一歩先をリードするべく挑戦し、経営環境の変化が厳しい中でも持続的に成長できる収益基盤を確立できるように取り組んでまいります。

 

(3)経営環境

 当社グループ事業を取り巻く経営環境は、建設工事事業におきましては、老朽化設備の維持・更新を中心とした設備投資をはじめ、再生可能エネルギー、CCS(二酸化炭素改修・貯留)、既存設備の温室効果ガス削減に向けての投資が期待されます。また、海外領域では、エネルギー需要の増大によって中長期的にプラント市場が拡大していくことが見込まれることから、今後も顧客の受注動向を注視していく必要があります。

 ボイラ事業におきましては、設備増強投資や既存ボイラの更新投資は継続しており、バイオマス発電も小規模発電設備の需要は増加してくるものと思われます。

 足元の状況といたしましては、世界的な経済減速による海外景気の後退局面が国内経済に影響を及ぼすおそれと、ウクライナ情勢の長期化による物価上昇がコスト増加の要因となり需要の減少が懸念されます。また、新型コロナウイルス感染症のピークアウトにより景気は持ち直しの動きに転じておりましたが、インフレの加速がグローバル経済の成長を抑制する警戒感に加え、円安と資源価格の高止まりも景気の下振れリスクとなり、先行き不透明感は増すものと思われます。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 上記の経営環境を踏まえ、当社グループは、2021年度を始期とする中期経営計画(2021年度~2023年度)の目標達成に向けて、「新たなステージへの挑戦」のスローガンのもと、「改革、スピード&チャレンジ」の行動指針をグループ全体に浸透させ、脱炭素案件の獲得に向けた情報の収集及び情報の共有を図り、将来的なエネルギー源となる水素・アンモニアに係る防熱技術・工法の開発等、未来に向けた持続的成長戦略を展開してまいります。また、ESG課題に取り組みながらサステナビリティ経営を実践するとともに、より強固なコーポレート・ガバナンス体制の構築ならびにコンプライアンスを徹底し、ステークホルダーの皆様のご期待にお応えできるよう企業価値の向上に邁進する所存です。

 セグメント別の対処すべき課題は、以下のとおりであります。

①建設工事事業

 主要な事業対象である石油・石油化学分野における設備投資の伸び悩みや国内マーケットの縮小、価格競争の熾烈化などにより、引き続き厳しい事業環境となるものと予想されます。また、新型コロナウイルス感染症の影響で中断されていた海外のエネルギー関連プロジェクトについても不透明な状況が継続しております。

 当社グループでは、海外工事の受注獲得に注力し、国内においても顧客企業の設備投資動向が不透明な中、メンテナンス工事等を基礎にして周辺事業と合わせて着実な積み上げを図ってまいります。

②ボイラ事業

 近年増加している自然災害による事故等により、社会が求めるエネルギーのニーズが安定供給と安全確保にシフトしており、特に自然エネルギーを活用した再生可能エネルギー発電事業に注目が高まっております。その中でも、バイオマス発電については、原燃料の需給バランス不均衡が懸念されるものの、低炭素化や未利用資源の有効活用、地域産業の振興等への寄与が期待され、その需要は当面根強くあると考えられます。

 当社グループでは、バイオマス発電や産業用ボイラの新設工事受注に注力するとともに、業績の基盤を補完するメンテナンス工事を安定的継続的に確保するとともに、調達チャネルを多様化し、コスト競争力の強化を図ってまいります。

 なお、現在、三重県亀山市において、主力製造拠点である京都工場に代わる新工場を建設中であります。

 

(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、売上高、営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益を、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等として用いており、各指標等の状況は次のとおりであります。

当連結会計年度

 

(単位:百万円)

指標

2022年5月公表

年度計画

実績

増減

対予想比増減

売上高

52,000

55,890

3,890

7.5%

営業利益

5,400

6,830

1,430

26.5%

経常利益

5,500

7,258

1,758

32.0%

親会社株主に帰属する当期純利益

3,650

4,680

1,030

28.2%

 なお、経営指標については各種のものがあり、それぞれが企業の健全性、収益性、効率性等の一面を示すものとして有効であることは承知しておりますが、経営に当たっては特定の指標に限定せず、総合的な判断が必要であると考えております。

 

(6)経営者の問題認識と今後の方針について

 当社グループを取り巻く主要関連市場におきましては、熾烈な受注競争に加えて労働力不足の問題や調達価格の上昇など、今後も厳しい事業環境は続くものと思われますが、世界的な脱炭素への取り組みのほか国際連合が2015年に採択した2030年までの国際的な目標であるSDGs(持続可能な開発目標)関連投資の需要により、企業に一定程度の収益確保が見込まれております。

 このような情勢に対処するため、中期経営計画に基づき脱炭素社会に向けた技術力・施工能力の向上、企業として持続的に成長していくための事業戦略の構築及び業界におけるシェアアップや新規顧客の創出に努めてまいります。

 また、継続的にコーポレート・ガバナンス体制を強化し、ESG課題に対して企業として取り組みながらコンプライアンスの浸透ならびにリスク・マネジメントを徹底し、経営諸施策を着実に遂行し企業価値をより高めるために取り組んでまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ経営の考え方・推進体制

 当社グループは、事業を通じて社会に貢献することを経営理念としており、持続可能な社会の実現と中長期的 な企業価値の向上に向けて、サステナビリティが重要な経営課題であると認識しております。

 

 [ガバナンス]

 当社グループ全体の人的資本、気候変動リスクをはじめとするサステナビリティ課題について、サステナビリティ委員会で基本方針や基本計画の決定、取組の検討や審議を行っています。サステナビリティ委員会は代表取締役社長を委員長として、取締役や執行役員、専門知見を有する委員から構成され、必要に応じて開催し定期的に取締役会へ報告及び提言を行っています。

 

取締役会

 報告・提言↑↓指示

サステナビリティ委員会

   委員長:代表取締役社長

   構成メンバー:取締役

       執行役員ほか、専門知見を有する委員

 

 [リスク管理]

 当社グループでは、気候変動をはじめとするサステナビリティに関するリスク管理については、業務を執行する取締役が各業務執行部門で発生する損失の危険に関する「リスク管理規程」に基づき、グループ全体のリスクを網羅的かつ統括的に管理し、管理体制を明確化し、必要に応じて各リスク委員会を設置し、問題点の把握と改善措置を実施しております。さらに、各部門から取締役会へ報告された重大課題については代表取締役若しくは代表取締役が指名する取締役を本部長とする対策本部を設置し、情報の収集・リスクの評価・優先順位・対応策など総括的に管理を行います。また、必要に応じて顧問弁護士等第三者の助言を受け、損害の拡大を防止し、これを最小限に止める体制を整えております。

 

(2)人的資本

 当社グループは、経営環境が目まぐるしく変化するなか、成長を持続し競争力を強化していくためには、従業員一人ひとりが自身の力量を高めて常に挑戦を続けることが必要であると考えています。当社グループの3つの経営理念である「顧客の創造と信頼の確保」「社会への貢献」「未来への挑戦」を体現する人材の育成を目指してまいります。

 

 ①人材育成

 当社グループは、顧客と社会から継続的な信頼を確保することができる工事・技術部門の専門人材とマネジメント人材の育成に取り組んでまいりたいと考えております。中期経営計画のスローガンである「新たなステージへの挑戦」を実現するために、従業員の一人ひとりが工事・技術に関する高い専門性はもとより、ビジネスやマネジメントの知識・スキルを偏りなく習得し、人としての持続的な成長を支援する研修体制の構築を進めてまいります。

 人材育成の取組としては、OJTを軸としながら従業員の経験に応じた工事・技術に関する専門的な知識を学ぶ機会を定期的に提供するだけでなく、資格取得等にかかる研修・セミナーへの参加を奨励しています。今後はビジネススキルに加えて、人権、コンプライアンスなどの知識習得の機会を提供するためにeラーニングなどの手法を検討してまいります。

 

 ②ダイバーシティ&インクルージョン

 国籍や性別、障がいの有無など多様な人材の個性や能力に応じて活躍できる環境をつくることは、事業を創造するうえで重要です。当社グループでは、人生の様々な節目節目でも従業員が安心して働き続けられるよう、育児・介護休業等に関する規程において育児短時間勤務制度など仕事と育児の両立支援に向けた制度を導入しています。当社グループでは新卒採用における女性比率が低い状況が継続している結果、管理職に占める女性労働者の割合も低い状況となっています。また、男性労働者の育児休業取得者率についても低い状況です。当社の具体的な指標及び目標については、男性労働者の育児休業取得率を2024年3月までに10%(2023年3月期実績5.0%)、採用した労働者に占める女性労働者の割合を2024年3月までに20%(2023年3月期は採用実績なし。)として設定しております。また、多様性の確保に向けた人材育成方針・社内環境整備方針の公表にいたっていませんが、今後も継続して検討してまいります。

 

 ③働き方改革・社員の健康増進

 2024年度の時間外労働の上限規制適用に向け、事業拠点における取組状況を共有するなどし、業務の質を落とすことなく効率的な新しい働き方へと変革を目指してまいります。職場環境の改善を目標として、老朽化した営業拠点の更新投資を今後も継続してまいります。

 当社グループは従業員の健康を重要な経営資源と考えています。定期健康診断の実施とそれに伴う二次検査・治療の勧奨を行っていますが、今後も従業員の健康増進に向けた活動を行ってまいります。また、産業医の指導のもと安全衛生委員会を定期的に開催し、調査・審議を行い、情報共有を行っています。その結果をそれぞれの営業拠点に展開する体制を更に整えてまいります。

 

(3)環境

 当社グループは、気候変動を含む環境問題への対応を重要な経営課題の一つとして認識しています。2022年12月には「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明し、気候変動をリスクとして管理するガバナンス体制を構築しています。

 

 [戦略}

 当社グループでは、気候変動によるリスクと機会を特定し定性、定量の両面で評価するために国際エネルギー機関(IEA)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)から公表されているシナリオを用いTCFDのフレームワークに沿ってシナリオ分析を行いました。具体的には、Rcp8.5やIEA Stated Policies Scenarioなどの産業革命時期から2100年頃までに約4℃平均気温が上昇する4℃シナリオとRcp2.6やIEA Net Zero Emission by 2050 などといった産業革命時期から2100年頃までに1.5~2℃平均気温が上昇する2℃未満シナリオを用い、2つの世界観を想定し分析を行いました。また、分析では2030年時点の当社グループへの影響を想定しています。

 4℃シナリオでは、脱炭素社会へ移行せず、政策や規制の強化なども行われないとされていますが、豪雨や台風の頻発といった異常気象の激甚化や平均気温の上昇などの物理的リスクの高まりが想定されています。このシナリオにおいて、当社グループへ最も大きな影響を及ぼすリスク項目としては、洪水や高潮などによる拠点の被災を想定しています。対する2℃未満シナリオでは、脱炭素社会へ向けて政策や規制の強化が行われるとされており、それに伴い炭素税の導入や再生可能エネルギーの普及など移行リスクの高まりが想定されます。このシナリオにおいて、当社グループへ最も大きな影響を及ぼすリスク項目としては、炭素税導入による操業コストの増加を想定しています。

 一方、2℃未満シナリオにおいてはリスクだけでなく複数の機会を特定し、定性的または定量的に評価しました。当社グループが保有する高い保温・保冷技術を背景に再生可能エネルギー関連の施工受注機会の増大が見込まれます。このような機会の獲得に向け、日々技術開発や施工能力の向上に努めております。

 

 [指標及び目標]

 当社グループでは、気候変動課題が経営に及ぼす影響を評価し管理するため、温室効果ガスの一種である二酸化炭素(CO2)の排出量を指標とし2019年を基準年としています。

 国際的な目標である2050年カーボンニュートラルに貢献すべく、太陽光発電やハイブリッドカーの導入等による CO2排出量の削減に向けた取組や再生可能エネルギー関連事業の推進に努めてまいります。

 なお具体的な指標及び目標の公表にいたっていませんが、今後も継続して検討してまいります。

 

2019年度

Scope1

12,317(tCO2)

Scope2

3,635(tCO2)

 対象範囲は国内拠点としています。

 

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社は、「リスク管理規程」に基づきリスク管理体制を明確化し、グループ全体のリスクを網羅的・統括的に管理しております。また、必要に応じて各リスク委員会を設置し、緊急時には対策本部の設置を行う等、リスクを最小限に止める体制を整備しております。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)当社グループに関連する需要市場の急激な変動

 当社グループが形成する各セグメント及び各事業領域は、幅広い需要分野に支えられていますが、収益基盤である国内需要分野の経済状況、統廃合、製造拠点の海外移転等により、需要が長期に停滞、減少傾向が続くと、業績に悪影響を与える可能性があります。

 

(2)完成工事補償のリスク

 海外工事、大型工事等について、引渡しを完了した工事に係る瑕疵担保の費用が大きく発生した場合には、業績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。

 

(3)海外事業に伴うリスク

 当社グループの海外事業はアジア地域を中心に展開しており、テロや政情悪化、予期しない法律・規制の変更、市況の悪化、JV等のパートナー企業の経営状況等によって業績に悪影響を与える可能性があります。

 

(4)為替及び金利の変動リスク

 急激な為替相場の変動または金利の上昇により、業績に悪影響を与える可能性があります。

 

(5)顧客に対する信用リスク

 当社グループが多額の債権を有する顧客が財務上の問題に直面した場合には、業績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。

 

(6)会計基準に係る見積りリスク等

 収益認識については、請負工事契約に基づく工事収益総額に対応する工事原価総額及び工事進捗度を合理的に見積り認識しております。工事原価総額の見積りの算定は、工程の遅れや当初想定していなかった事象の発生等、工事施工に係る状況変化に伴い、見直しの必要性が生じることがあります。将来の状況の変化により見積りと実績が乖離した場合は、収益の金額に影響を与える可能性があります。

 有形固定資産については、主に事業用の土地、建物、機械及び装置等を保有しておりますが、事業環境が著しく変動した場合、時価の下落や設備等の遊休化、稼働率の低下等により、減損損失を計上する可能性があります。

 繰延税金資産については、税効果会計における回収可能性を見積って計上しておりますが、想定している業績計画を下回った場合、繰延税金資産の取り崩しを行う可能性があります。

 投資不動産及び有価証券については、時価の下落により、減損損失を計上する可能性があります。

 退職給付債務については、年金資産の運用状況等により、費用処理額が増加する可能性があります。

 上記いずれの場合におきましても、業績に悪影響を与える可能性があります。

 

(7)不採算工事の発生に対するリスク

 工事施工段階での想定外の追加原価等により不採算工事が発生した場合には、業績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。

 

(8)災害等の発生等によるリスク

 想定外の災害や感染症の流行などにより、当社グループや主要取引先の事業活動に支障をきたす事態が発生した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当社グループの当連結会計年度の受注高は、建設工事事業、ボイラ事業ともに大型案件が増加したことにより60,209百万円(前年同期比11.7%増)の計上となりました。

 売上高は、建設工事事業、ボイラ事業ともに大型工事等の進捗が堅調に推移し、55,890百万円(同15.5%増)の計上となりました。

 利益面につきましては、売上高の増加に伴い、営業利益は6,830百万円(前年同期比27.9%増)、経常利益は7,258百万円(同28.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は減損損失の計上等により4,680百万円(同23.4%増)の計上となりました。

 

 セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

(建設工事事業)

 国内大型工事、メンテナンス工事ともに堅調に推移し、売上高は49,331百万円(前年同期比13.0%増)の計上となりました。また売上高の増加に伴い、セグメント利益は6,214百万円(同25.3%増)の計上となりました。

(ボイラ事業)

 大型案件、メンテナンス工事案件ともに堅調に推移したことにより、売上高は6,559百万円(前年同期比38.0%増)の計上となりました。セグメント利益は609百万円(同65.8%増)の計上になりました。

 

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末と比べ6,359百万円増加し、77,508百万円となりました。

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末と比べ2,835百万円増加し、18,060百万円となりました。

 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末と比べ3,523百万円増加し、59,448百万円となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末と比べ、1,820百万円増加して29,004百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。

1. 営業活動によるキャッシュ・フロー

 営業活動による資金は、4,068百万円の増加(前年同期は7,171百万円の増加)となりました。

 主な増加要因は、税金等調整前当期純利益6,901百万円、仕入債務の増加額2,076百万円であり、主な減少要因は、売上債権の増加額3,869百万円、法人税等の支払額1,764百万円であります。

2. 投資活動によるキャッシュ・フロー

 投資活動による資金は、827百万円の減少(前年同期は9百万円の減少)となりました。

 主な増加要因は、定期預金の払戻による収入307百万円、投資有価証券の売却及び償還による収入154百万円であり、主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出935百万円、定期預金の預入による支出307百万円であります。

3. 財務活動によるキャッシュ・フロー

 財務活動による資金は、1,739百万円の減少(前年同期は2,661百万円の減少)となりました。

 主な増加要因は、長期借入れによる収入800百万円であり、主な減少要因は、配当金の支払額1,600百万円、長期借入金の返済による支出960百万円であります。

 

③生産、受注及び販売の状況

1. 受注実績

セグメントの名称

前連結会計年度

当連結会計年度

前年同期比

自 2021年4月1日

至 2022年3月31日

自 2022年4月1日

至 2023年3月31日

建設工事事業(百万円)

47,901

52,722

10.1%

ボイラ事業(百万円)

6,019

7,486

24.4%

合計(百万円)

53,921

60,209

11.7%

 

2. 売上実績

セグメントの名称

前連結会計年度

当連結会計年度

前年同期比

自 2021年4月1日

至 2022年3月31日

自 2022年4月1日

至 2023年3月31日

建設工事事業(百万円)

43,637

49,331

13.0%

ボイラ事業(百万円)

4,751

6,559

38.0%

合計(百万円)

48,389

55,890

15.5%

 (注)当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載しておりません。

 

なお、参考のため提出会社個別の事業の状況は次のとおりであります。

建設事業における受注工事高及び完成工事高の状況

a.受注工事高、完成工事高及び繰越工事高

期別

区分

前期繰越工事高

(百万円)

当期受注工事高

(百万円)

(百万円)

当期完成工事高

(百万円)

次期繰越工事高

(百万円)

前事業年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

施工

8,356

36,507

44,863

33,528

11,335

販売

100

746

846

525

320

8,456

37,254

45,710

34,054

11,656

当事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

施工

11,335

36,841

48,177

36,984

11,192

販売

320

1,701

2,022

1,229

792

11,656

38,543

50,200

38,214

11,985

 (注)1.前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額が含まれております。したがって当期完成工事高にもかかる増減額が含まれております。

2.次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)であります。

3.当期受注工事高のうち海外工事の割合は、前事業年度0.7%、当事業年度1.9%であります。

 

b.受注工事高の受注方法別比率

工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。

期別

区分

特命(%)

競争(%)

合計(%)

前事業年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

施工

43.2

56.8

100.0

販売

100.0

100.0

当事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

施工

41.6

58.4

100.0

販売

100.0

100.0

 (注)百分比は請負金額比であります。

 

c.完成工事高

期別

区分

国内

海外

合計

(B)

(百万円)

官公庁

(百万円)

民間

(百万円)

(A)

(百万円)

(A/B)

(%)

前事業年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

施工

4

33,522

1

0.0

33,528

販売

1

288

235

44.8

525

6

33,811

236

0.7

34,054

当事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

施工

37

36,932

14

0.0

36,984

販売

3

701

524

42.6

1,229

41

37,633

538

1.4

38,214

 (注)1.海外工事の地域別割合は、次のとおりであります。

地域

前事業年度(%)

当事業年度(%)

アジア

99.0

100.0

その他

1.0

100.0

100.0

2.完成工事高の内で主なものは、次のとおりであります。

前事業年度

 

 東洋エンジニアリング(株)

北海道石狩新港バイオマス発電所 建設断熱工事

 住友重機械工業(株)

王子グリーンエナジー徳島バイオマス発電所 建設保温工事

当事業年度

 

 三菱パワー(株)

JERA姉崎火力発電所 一般保温・耐火被覆工事

 東洋エンジニアリング(株)

愛知蒲郡バイオマス発電所 建設保温工事

3.前事業年度及び当事業年度ともに完成工事高総額に対する割合が10%以上の相手先はありません。

 

d.次期繰越工事高(2023年3月31日現在)

区分

官公庁(百万円)

民間(百万円)

合計(百万円)

施工

11,192

11,192

販売

0

792

792

0

11,985

11,985

 (注)次期繰越工事高の内で主なものは、次のとおりであります。

東洋エンジニアリング(株)

唐津バイオマス発電所 建設保温・耐火工事

(2024年7月完成予定)

日揮(株)

中外製薬工業(株)藤枝工場 FJ3プロジェクト建設工事

(2024年7月完成予定)

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は次のとおりであります。

(財政状態)

 当連結会計年度末における総資産は、77,508百万円となり、前連結会計年度末と比べ6,359百万円増加いたしました。

 資産の部は、流動資産は55,674百万円となり、前連結会計年度末と比べ5,827百万円増加いたしました。主な要因は契約資産の増加2,531百万円、現金預金の増加1,825百万円、電子記録債権の増加950百万円であります。固定資産は21,833百万円となり、前連結会計年度末と比べ531百万円増加いたしました。主な要因は有形固定資産の増加278百万円であります。

 負債の部は、流動負債は14,056百万円となり、前連結会計年度末と比べ2,180百万円増加いたしました。主な要因は工事未払金の増加820百万円、支払手形の増加705百万円、未払法人税等の増加588百万円、短期借入金の減少960百万円であります。固定負債は4,003百万円となり、前連結会計年度末と比べ655百万円増加いたしました。主な要因は、長期借入金の増加800百万円、退職給付に係る負債の減少59百万円であります。

 この結果、負債合計は18,060百万円となり、前連結会計年度末と比べ2,835百万円増加いたしました。

 純資産の部は59,448百万円となり、前連結会計年度末と比較して3,523百万円増加いたしました。主な要因は親会社株主に帰属する当期純利益の計上による増加4,680百万円、剰余金の配当による減少1,600百万円であります。

 この結果、自己資本比率は76.2%(前連結会計年度末は78.1%)となりました。

 

(経営成績)

 当連結会計年度は、中期経営計画(2021年5月7日発表)の2年目にあたり、“新たなステージへの挑戦”のスローガンのもと、5つの基本方針に基づいて、グループ企業一丸となって収益力・競争力の強化及び事業領域拡大に向け経営資源を投入し、企業価値をより高めるために取り組んでまいりました。

1. 売上高

 当連結会計年度の売上高は、55,890百万円(対前年同期比15.5%増)の計上となりました。

 セグメント別では、建設工事事業においては国内大型工事、メンテナンス工事ともに堅調に推移したことにより、49,331百万円(対前年同期比13.0%増)の計上となり、ボイラ事業においても大型案件、メンテナンス工事案件ともに堅調に推移したことにより、6,559百万円(同38.0%増)の計上となりました。

2. 営業利益

 当連結会計年度の営業利益は、6,830百万円(対前年同期比27.9%増)の計上となりました。

 セグメント別では、建設工事事業においては売上高の増加に伴い、6,214百万円(対前年同期比25.3%増)の計上となり、ボイラ事業においても売上高の増加に伴い、609百万円(同65.8%増)の計上となりました。

3. 経常利益

 当連結会計年度の経常利益は、営業利益の増加に伴い7,258百万円(対前年同期比28.7%増)の計上となりました。

4. 親会社株主に帰属する当期純利益

 当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、減損損失の計上等により4,680百万円(対前年同期比23.4%増)の計上となりました。

 

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

2019年3月期

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

2023年3月期

自己資本比率(%)

72.7

76.0

78.3

78.1

76.2

時価ベースの自己資本比率(%)

58.6

56.7

57.7

48.3

49.7

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

0.3

1.0

0.2

0.1

0.2

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

173.8

164.1

1,070.1

1,647.7

919.4

(注)自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

※各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

※有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。

※営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。

※利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

※営業キャッシュ・フローがマイナスとなった期につきましては、「キャッシュ・フロー対有利子負債比率」及び「インタレスト・カバレッジ・レシオ」を記載しておりません。

 

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは材料費・外注費等の工事原価、並びに販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、投資を目的とした資金需要の主なものは、設備投資等によるものであります。

 資金需要には基本的に自己資金及び銀行借入等にて対応しております。なお、当社においては、機動的な資金調達手段の確保を目的として、総額3,000百万円のコミットメントライン契約を締結しております。

 当連結会計年度末における有利子負債残高は920百万円であり、現金及び現金同等物の残高は29,004百万円であります。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 なお、その他の事項については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

特記事項はありません。

 

 

6【研究開発活動】

 当社グループ(当社及び連結子会社)は、顧客のニーズに迅速に対応するため、材料・製品等の開発・改良から施工技術の開発まで、幅広く積極的に活動を行っております。

 現在、研究開発は、当社の中央研究所及び各技術部門を中心に、工事部門及び関連会社、協力会社と密接に連携し、地球環境に配慮して推進しております。

 当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は209百万円であります。

 

(1)建設工事事業

 断熱・耐火・防音・防食等、幅広い事業分野に於いて、在来工法との差別化につながる工法開発を行っております。特に超低温保冷分野においては他社に先駆けていち早く工法の開発に着手し、業界での優位性を維持しております。

 保冷工事関連では、主材料である硬質ウレタンフォームのノンフロン処方を確立し、自社工場で生産・製品化しております。

 当事業における研究開発費は207百万円であります。

 

・超低温液化ガス工事関連

 海外出荷基地、超低温液化ガス運搬船、国内受入基地における断熱等の幅広い分野の工事に関し、新材料の調査・新工法の開発及び開拓に取り組んでおります。

 液化ガス貯槽タンクにおいては、顧客のニーズに対応すべく、保冷構造の工法改良や断熱部材などの開拓・実証試験等の研究開発を行っております。

 

・その他

 高機能断熱材を応用した断熱材の改良や、防錆機能付き断熱材の開発並びに施工システムの開発分野におきましても研究開発を行っております。

 

(2)ボイラ事業

 ボイラ燃焼効率向上及び新たな施工方式(モジュール化)の開発に取り組みコストダウン並びに工期の短縮化を目指しております。

 また、2025年3月期の稼働開始を目処に、三重県亀山市において、主力製造拠点である京都工場に代わる新工場を建設中であり、生産能力の向上及び更なる研究開発活動を進展させる予定です。

 当事業における研究開発費は2百万円であります。