第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループは創業60周年という節目を迎え、新たな経営理念を制定いたしました。

経営理念の制定にあたっては、これまでの歩みを振り返るとともに、将来にわたる持続的成長を見据え、当社グループの存在意義を示す「パーパス」と、価値観および行動指針を示す「バリュー」で構成しております。

0102010_001.png

 

(2)経営戦略・経営目標等

当社グループは、新たな経営理念を制定するとともに、第62期(2027年3月期)を初年度とし、第64期(2029年3月期)までの3か年を対象とする「第9次中期経営計画」を策定いたしました。

 

①第8次中期経営計画の振り返り

 第8次中期経営計画の業績は、主要な指標(受注高・売上高・営業利益・当期純利益)におい

て計画を達成し、ROEは持続的に向上しました。

 また、各施策は「コア事業を深める」「事業領域を拡げる」「経営基盤を高める・ESG経営」

の3つを柱に掲げ、着実に成果を創出するとともに、「資本・配当政策」においても着実に推進

してまいりました。

 

②足許の事業環境を踏まえた重要テーマ

 今後の事業成長と企業価値向上に向け、急速に変化する環境変化(建設業界、社会トレンド)

を的確に捉え、第9次中期経営計画の戦略立案へ展開しております。

 

    ③経営ビジョン

 経営理念に基づき、中長期的に目指す姿と方向性を明確化し、第9次中期経営計画実現の指針

として「経営ビジョン:深化・拡大、“その先へ”」を策定いたしました。

 

    ④第9次中期経営計画の骨子

 現在の事業環境を踏まえ、経営理念に基づく「経営ビジョン」の実現に向け、今後3年間で達

成を目指す財務目標と、重点的に取り組む基本戦略を第9次中期経営計画として策定いたしまし

た。

 

0102010_002.png

 

⑤財務目標

第9次中期経営計画最終年度における連結財務目標は以下のとおりです。

 

受注高

1,200億円

売上高

1,130億円

営業利益

125億円

経常利益

132億円

親会社株主に帰属

する当期純利益

95億円

ROE

12%台

 

 

⑥基本戦略

第9次中期経営計画の基本戦略は、持続的成長を目指す「事業成長戦略」と成長の土台となる「経営基盤戦略」で構成しております。

a.事業成長戦略

・マーケティング戦略:競争優位を有する領域と、成長が見込まれる市場に経営資源を集中することで、持続的な成長と収益性の向上を実現

・アライアンス戦略:ケイパビリティを起点とした外部パートナーとの協業により、成長領域への展開を加速するため、事業領域を拡張

・オペレーションスマート戦略:事業規模の拡大と持続的な利益成長の両立を目指し、BIM・DX・AIを活用した施工生産性の高度化と、人的リソースおよび協力会社を含む施工オペレーションの最適化を推進

 

b.経営基盤戦略

・人材戦略:事業成長戦略の着実な実行と持続的成長の実現に向け、成長の源泉となる人材の確保・育成を図るとともに、能力を最大限引き出す組織力を強化

・データドリブンマネジメント戦略:事業成長戦略の実行力高度化に向け、データドリブンな意思決定を経営・事業運営に組み込む経営基盤を構築

・財務資本戦略:企業価値の最大化に向け、「将来利益確保に向けた成長に資する施策」と、「適切かつ機動的な株主還元」の両立により、資本効率改善およびROE向上

 

(3)経営環境・優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

今後の見通しといたしましては、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果により、わが国経済は緩やかな回復が続くことが期待されます。

一方で、中東情勢の展開や原油価格の動向、米国の通商政策を含む海外経済・物価動向、金融・為替市場の変動等が国内経済へ及ぼす影響には引き続き留意する必要があります。

建設業界におきましては、建設投資全体としては引き続き堅調に推移すると想定されますが、労務費上昇、人材確保難に加え、さらなる資機材の価格高騰や納期遅延等に注意する必要があります。

当社グループにおきましては、2026年7月に創業60周年の節目を迎えるにあたり、新たな経営理念を制定いたしました。

その経営理念に基づき、第62期(2027年3月期)から第64期(2029年3月期)までの3年間の事業運営に関する「第9次中期経営計画」を策定いたしました。

本中期経営計画は、ストックを核とした地域戦略の実行、およびデータセンター市場の成長を取り込んで新たな事業創出による事業拡大を目指す「事業成長戦略」と、持続的成長を支える人的資本の充実とデータマネジメントの推進、資本効率の向上およびガバナンス強化を通じて企業価値向上を図る「経営基盤戦略」を、基本戦略として位置づけております。

第62期(2027年3月期)は、「第9次中期経営計画」スタートの年度と位置づけ、リニューアル事業の深化およびデータセンター需要への対応、新たな成長領域の開拓に加え、組織力・生産性を高める経営基盤の強化、資本効率の向上ならびにガバナンス強化に取り組んでまいります。業績予想は、受注高1,300億円、売上高1,050億円、営業利益110億円、親会社株主に帰属する当期純利益87億円としております。

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ共通(ガバナンスとリスク管理)

ガバナンス

当社グループでは、サステナビリティに関するリスク・機会の監視・管理について、代表取締役社長を委員長とするESG推進委員会で議論を行い、経営会議・取締役会へ付議・報告する体制となっております。

 

リスク管理

当社グループでは、サステナビリティに関するリスク・機会の識別・評価について、ESG推進委員会の下部組織であるリスクマネジメント委員会で、他のリスクも含めて議論を行い、ESG推進委員会・経営会議・取締役会に報告しております。

識別・評価したリスク・機会の管理については、リスクマネジメント委員会で定期的に各主管部の取り組みをモニタリングするとともに、リスクの包括的洗い直し及びリスク項目ごとの発生可能性・影響度等の評価を実施しております。

 

(2)個別の記載

①人的資本関連

戦略

人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針

当社グループにとって「人」は最大の財産であり、持続的成長への原動力であるとともに、高度な技術力、サービス力、提案力もその源泉は全て「人」に行き着きます。

当社グループが持続的に成長していくために、従業員の多様性確保が重要と考え、性別や新卒・中途を問わず積極的に採用しており、採用チャネルの拡大と情報発信の強化も行っております。

採用後は、OJTや研修を通じて、お客様をはじめとしたステークホルダーの信頼を得られる誠実さと、新しい技術や分野に挑む姿勢を持つ人財を育成しております。スキルレベルに応じた技術研修を行うとともに、技術的難易度の高い工事や工程が複雑な工事等における技術・ノウハウの継承のため、ベテラン社員等による支援を行っております。

変化の激しい事業環境の中で持続的に成長していくために、年齢・性別を問わず、多様なライフスタイル・経験を持つ人財が活躍できる組織づくりを行っております。次世代の経営幹部を計画的に育成するため、異業種交流型を含めたマネジメント研修にも取り組んでおります。

 

社内環境整備に関する方針

一人ひとりの社員がモチベーションを高め、活き活きと働くことで、高度な技術力・サービス力・提案力が生まれ、チームワークが機能すると考えております。上司と部下との年2回の面談により個人ごとの目標・実績と今後の希望等を把握し、納得感のある育成・配置を行っております。エンゲージメントについては、全従業員向けサーベイにより毎年調査を行っております。

チャレンジする社員が報われる人事制度を整備するとともに、社員だけでなく一緒に仕事をする人たちが、気持ちよく、心身ともに健康で、安全に仕事ができる環境も整備しています。

データ・AI・ICTを活用した働き方改革により作業効率の改善、移動時間の節約・省力化等生産性の改善を図っております。

上司と部下、あるいは同僚、部門を越えた横のつながり、さらに社員の間だけでなく協力会社の従業員など、一緒に仕事をする人たち全員を“仲間”として認識し、仕事の中で発生する悩みや課題を対話によって解決します。

性別、年齢、身体的特徴、出身地等の理由による一切の差別を行いません。ハラスメントについては、オフィス・現場を問わず容認しません。

指標及び目標

当社グループでは、上記戦略において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。

 

指標

目標

実績(当連結会計年度)

新卒採用者数

30以上

36※1

新入社員入社後3年間の定着率

75.0

93.1

新卒採用者に占める女性割合

継続して20.0以上

38.9※1

管理的地位にある労働者※2に占める女性労働者の割合

7.0程度

7.7

男性労働者の育児休業取得率

100.0

100.0

 

2週間以上の取得者割合

50.0%

88.9%

管理的地位にある労働者※2に占める中途採用者の比率

30.0程度

29.5

障がい者雇用率

法定雇用率以上

2.3

従業員のエンゲージメントスコア※3

前回(69.9)以上

71.6

従業員一人あたり研修時間

前年度(50.9時間)以上

51.7時間

研修センタでの安全研修受講者数

(従業員・協力会社従業員共通)

2,420

2,979

内部通報件数

8

※1 2026年4月入社

※2 管理的地位にある労働者は課長以上

※3 従業員サーベイにおけるエンゲージメントの設問に対する肯定的回答率(職務・自己成長・健康・支援・人間関係・承認・理念戦略・組織風土・環境の9分類から測定)

 

②気候変動

戦略

4℃シナリオ

気候変動の緩和に向けた対策が世界で進まず、21世紀末には産業革命以前に比べて平均気温が4℃上昇するシナリオ。

物理的リスクが顕在化する2050年で想定。

 

気候変動関連の事象

当社グループへの影響

影響度

対応策

リスク

気温の上昇

現場作業員の健康確保に関するコスト増加

暑さ・熱中症対策の充実

(休憩取得時間の増加、適切な工期の設定、夜間工事へのシフト、工法の工夫による施工効率化(AI・ロボット活用、オフサイト施工の推進等)

自然災害の激甚化

風水害により、建設現場での損害発生及び工事遅延増加

現場のリスク状況に応じ、顧客と協議して設置場所変更、風水害対策の実施、適切な工期の設定

機会

気温の上昇

空調工事需要拡大

各種建物への高機能空調の提案推進

自然災害の激甚化

風水害対策設備導入に対する需要拡大

顧客の建物の立地に応じた水防対策提案の推進

利益に関する影響度:小:~1億円以下、中:~10億円、大:10億円超

売上高に関する影響度:小:~10億円以下、中:~100億円、大:100億円超

 

1.5℃シナリオ

温室効果ガス排出に対し、現在よりも厳しい政策・法規制がなされ、21世紀末の温度上昇は産業革命以前に比べて約1.5℃にとどまるシナリオ

参照可能なデータが豊富な2030年で想定。

 

気候変動関連の事象

当社グループへの影響

影響度

対応策

リスク

排出量規制強化

データセンターのエネルギー消費効率規制による画期的な
イノベーション加速に伴い、新技術への対応不能、空調の
工事量・利益率低下が発生

冷却に関する新技術検証

炭素税の導入

事業活動を通じて発生した温室効果ガス排出量への課税

節電等による温室効果ガス排出量の低減、再エネ導入、低炭素車両の活用

気温の上昇

現場作業員の健康確保に関するコスト増加

暑さ・熱中症対策の充実

(休憩取得時間の増加、夜間工事へのシフト、工法の工夫による施工効率化(オフサイト施工の推進等))

自然災害の激甚化

風水害により、建設現場での損害発生及び工事遅延増加

現場のリスク状況に応じ、顧客と協議して設置場所変更、風水害対策の実施、適切な工期の設定

機会

排出量規制強化・

排出権取引義務化の拡大

顧客の再生エネルギー導入のニーズ拡大

過去の実績を活用した自治体・民間ZEB案件への対応強化

気温の上昇

空調工事の需要拡大

各種建物への高機能空調の提案推進

利益に関する影響度:小:~1億円以下、中:~10億円、大:10億円超

売上高に関する影響度:小:~10億円以下、中:~100億円、大:100億円超

 

指標及び目標

次の指標を用いております。

温室効果ガス排出量

当社グループにおける温室効果ガス排出量は以下のとおりです。2025年度の排出量は第三者保証手続((株)サステナビリティ会計事務所(所在:東京都千代田区)によるISAE3000※1、ISAE3410※2に基づく限定的保証)を実施中であり、2026年6月24日時点の数値を記載しております。第三者の保証取得後の数値は、後日、統合報告書で開示いたします。

①スコープ1

(事業者自らによる温室効果ガスの直接排出)

2025年度 0.5kt-CO2

②スコープ2

(他社から供給された電気・熱・蒸気の使用に伴う間接排出)

2025年度 1.3kt-CO2

③スコープ3(事業者の活動に関連する他社の排出)

2025年度 824.3kt-CO2

※1 過去財務情報の監査及びレビュー業務以外の保証業務に適用される基準

※2 温室効果ガス報告に対する保証業務に適用される基準

 

目標及び実績は、次のとおりであります。

 

温室効果ガス排出量削減提案の実施

 

目標

実績(当連結会計年度)

提案件数

47件

46件

排出量削減

2.1kt-CO2

3.3kt-CO2

 

回収フロンガスの再生による温室効果ガス排出量削減

 

目標

実績(当連結会計年度)

排出量削減

0.4kt-CO2

0.2kt-CO2

 

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)特定の取引先への依存に関するリスク

当社グループの売上高は、NTTグループへの依存度が高く、今後NTTグループの建設投資が何らかの理由で予想以上に変動・減少した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

当社グループとしては、NTTグループの通信用建物に加えて、不動産再開発・データセンターや新規事業分野向けの受注活動を実施しております。また、NTTグループ向け工事で培ったリニューアル工事のスキル・ノウハウを活用し、他の顧客への受注拡大を図ります。

 

(2)自然災害等に関するリスク

自然災害や大規模な感染症等の発生及びそれに伴うライフラインの停止や燃料・資材・人員の不足による工事の中断・遅延、建物・資機材への損害等が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

当社グループとしては、自然災害等の発生に備え、人的被害の回避を最優先としつつ事業継続を図るため、災害用備蓄品の確保、想定シナリオに基づく訓練の実施、BCPマニュアルの整備、サプライチェーンの混乱への対策及びテレワーク等を可能とする社内情報インフラの運用等により、リスク回避と被害最小化に努めてまいります。

 

(3)事業環境の変化に関するリスク

地政学リスクの高まりに起因する国内の景気後退や国内外の産業構造の変化等により、新築工事を中心とした建設投資が縮小した場合、当社グループの受注が減少し、経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

当社グループとしては、景気後退や産業構造の変化に対応するため、長年のNTTグループ向け工事で培ったリニューアル工事のスキル・ノウハウを他の顧客にも展開し、建設市場の変化に対応した注力分野の見直しを行うとともに、脱炭素社会に向けたカーボンニュートラル事業の推進も図ってまいります。

 

(4)気候変動に関するリスク

脱炭素社会への移行リスクとして、排出量取引の義務化や炭素税等新たな制度の導入による当社グループ及び顧客に対するコスト増加、また、物理的リスクとして、気温上昇による生産性の低下、異常気象による機器の損壊等があり、当該リスクが中長期的に当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

当社グループとしては、脱炭素・省CO2案件の実績・ノウハウを積み重ね、当社グループの温室効果ガス排出量を削減するとともに、社会・顧客の脱炭素社会への移行に貢献してまいります。

 

(5)新しい技術への対応に関するリスク

当社グループの事業領域では、空調やエネルギーの分野を中心に技術革新が進んでおります。新しい技術への対応が遅れる場合、受注機会の喪失や市場競争力の低下等、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

当社グループとしては、技術トレンドと市場ニーズの情報収集、データセンター等での冷却技術の検証、また、他企業とのアライアンス等により、新しい技術への対応力を高めてまいります。

 

(6)事業の拡大に関するリスク

当社グループは、事業の拡大に向け、新規事業分野での事業開拓を行っておりますが、当該分野では経験や検討が不足することに伴うリスクが想定されます。また、大型化したデータセンターや再開発案件にも取り組んでおりますが、こうした工事において適切なリソースを確保できないリスクがあります。これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

当社グループとしては、参入する分野についてノウハウを有する会社との提携や全社的な施工リソースの調整・資材の計画的発注などによるリスクコントロールを行いつつ事業の拡大を図っております。

 

(7)人材確保に関するリスク

当社グループにとって「人」は最大の財産であり、持続的成長の原動力です。しかしながら、少子高齢化や働き方に関する考え方の変化等により人材不足が深刻化した場合、事業活動への支障を通じて当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

当社グループとしては、引き続き、性別や新卒・中途を問わない積極的な採用、計画的な育成、データ・AI活用等による業務効率化を行うとともに、働きやすい職場づくり・エンゲージメント向上により、事業に必要な人材の確保に努めてまいります。

 

(8)資材調達に関するリスク

当社グループが取り扱う設備用機器・資材について、中東情勢の影響やサプライチェーンの混乱等に伴う価格高騰や納入遅延が発生した場合、工事の採算性が悪化し、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

当社グループとしては、資機材の状況を見極めながら納期の把握及び適正な価格の算出・決定を行うとともに、調達組織による協力会社数の拡大、協力会社とのコミュニケーションの充実、計画的な調達や集中購買等により納期遵守、原価低減に努めております。

 

(9)業績の季節的変動に関するリスク

当社グループとしては工事の平準化に取り組んではおりますが、顧客との関係等もあり、上半期に比べ下半期に完成する工事の割合が高くなり、結果として連結会計年度の上半期と下半期の業績に著しい相違が発生する可能性があります。

 

(10)不採算工事の発生、品質に関するリスク

当社グループが行う工事受注時の費用見積もりが不足していた場合、施工段階において品質不良や追加工事原価等により不採算が発生した場合、または、過去の工事での契約不適合が発見され補修コストが発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

当社グループとしては、受注時からの見積もりの精度向上、工程遅延や追加工事原価発生等のリスク要因に応じたフォロー体制の充実、過去の事例を活用した従業員・協力会社への教育、および専任担当者による品質巡回等を実施しております。

 

(11)安全に関するリスク

当社グループは、顧客の建物工事を数多く施工しております。工事の施工において人身事故はもとより物損、設備事故を引き起こして顧客の信用を失う場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

当社グループとしては、従業員・協力会社への安全に関する当事者意識を持たせるように過去の事故事例の共有や安全教育・講習の実施(羽田安全研修センターの活用を含む)を行うとともに、安全パトロールや熱中症対策の徹底により安全の確保に努めております。

 

(12)情報セキュリティに関するリスク

当社グループは、事業運営上、顧客等が保有する技術データ・顧客データ等の重要な情報を取り扱っております。潜在的リスクが高まっている不正アクセス等により当社グループからこれら重要な情報が流出した場合、顧客からの信頼を低下させるほか、損害賠償義務の発生等により当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

当社グループとしては、セキュリティ監視・運用での技術的対応を強化するとともに、従業員向けの情報セキュリティ教育・訓練を継続して実施してまいります。2013年以来情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の認証を取得しており、引き続き情報管理の重要性を認識した体制づくりに取り組んでまいります。

 

(13)法令違反、会計不正、社内不正、信用失墜に関するリスク

当社グループの役員・従業員が法令・社内規程に違反した場合、又は当社グループの信用を失墜させる行為を行った場合、事業活動が制限され、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

当社グループとしては人権の尊重、従業員エンゲージメントの改善、法令・社内規程遵守教育の充実、内部監査機能の一層の強化、及び内部通報システムの浸透等を図っております。

 

(14)有価証券等に関するリスク

当社グループが保有する株式等の金融商品については、金融資本市場の変動や保有銘柄の業績等により大幅な時価の下落が生じた場合、減損が発生する可能性があります。また、期待した分配金や利息等が受け取れない場合があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・ フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績等の状況

①経営成績

当連結会計年度におけるわが国経済は、物価上昇の継続や、地政学的リスク、米国の通商政策の影響、金融資本市場の変動等を背景に先行き不透明感が高まっているものの、雇用・所得環境の改善および各種政策の効果により、総じて緩やかな回復基調で推移しました。一方で、中東情勢の影響やそれに伴う原油価格の動向、金融・為替市場の変動、海外経済・物価動向等については引き続き注視が必要な状況にあります。

建設業界におきましては、データセンター・半導体関連、サプライチェーン強靭化、インフラ更新、都市再開発等の投資を背景に、需要は総じて底堅く推移しました。他方、資機材価格の高止まりや納期遅延、労務費上昇、人材確保難等の課題もみられ、引き続き動向を注視する必要があります。

このような状況のもと、当社グループでは、「第8次中期経営計画」に基づき、データセンター・都市再開発を中心とした営業展開、リニューアルZEB・省エネ等のカーボンニュートラル事業推進、BIM活用・フロントローディング・オフサイト施工等の施工効率化への取り組み、重要なパートナーである協力会社とのコミュニケーションの活性化、採用活動強化・エンゲージメント向上・女性活躍推進等による人的資本の価値向上、生成AIの活用による全社的なDX推進等にも努めてまいりました。また、人権デュー・ディリジェンスによる人権尊重の取組みも推進しております。

以上のような取り組みの結果、受注高につきましては、堅調な需要動向に支えられ、業績予想(1,020億円)を上回る1,115億83百万円(前期比19.1%増)となりました。

売上高につきましては、前期からの豊富な繰越工事と当期受注の工事が順調に進捗し、概ね業績予想(943億円)の940億80百万円(前期比4.8%増)となりました。

利益につきましては、売上高の増加、生産性向上の取組みに加え、完成した一部工事の採算が改善したため利益率が上昇し、営業利益106億70百万円(前期比43.1%増)、経常利益114億66百万円(前期比40.9%増)となり、いずれも業績予想(営業利益94億円、経常利益102億円)を上回りました。

親会社株主に帰属する当期純利益は、政策保有株式の売却による特別利益および賃上げ促進税制の適用により、86億81百万円(前期比47.0%増)となり、業績予想(73億円)を上回りました。

なお、セグメント別の業績は次のとおりであります。

1.設備工事事業

売上高は862億88百万円(前期比7.4%増)、営業利益は101億10百万円(前期比50.7%増)と

なりました。

2.設備機器販売事業

売上高は52億81百万円(前期比25.4%減)、営業利益は4億15百万円(前期比32.4%減)とな

りました。

3.設備機器製造事業

売上高は25億10百万円(前期比5.2%増)、営業利益は1億28百万円(前期比10%増)となり

ました。

 

 

②生産、受注及び販売の状況

a.受注高

セグメントの名称

前連結会計年度

(自  2024年4月1日

至  2025年3月31日)

当連結会計年度

(自  2025年4月1日

至  2026年3月31日)

前連結会計年度比

(百万円)

(百万円)

(%)

設備工事事業

84,066

103,906

23.6

設備機器販売事業

7,082

5,281

△25.4

設備機器製造事業

2,506

2,395

△4.4

93,655

111,583

19.1

(注)  セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

 

b.売上高

セグメントの名称

前連結会計年度

(自  2024年4月1日

至  2025年3月31日)

当連結会計年度

(自  2025年4月1日

至  2026年3月31日)

前連結会計年度比

(百万円)

(百万円)

(%)

設備工事事業

80,316

86,288

7.4

設備機器販売事業

7,082

5,281

△25.4

設備機器製造事業

2,386

2,510

5.2

89,786

94,080

4.8

(注)1  セグメント間取引については、相殺消去しております。

2  当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載しておりません。

3  売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自  2024年4月1日

至  2025年3月31日)

当連結会計年度

(自  2025年4月1日

至  2026年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

㈱竹中工務店

16,292

18.1

12,681

13.5

㈱NTTファシリティーズ

11,581

12.9

5,625

6.0

 

 

なお、提出会社個別の事業の状況は次のとおりであります。

設備工事事業における受注工事高及び売上高の状況

① 受注工事高、売上高及び次期繰越工事高

 

期別

区分

前期繰越

工事高

(百万円)

当期受注

工事高

(百万円)

(百万円)

当期売上高

(百万円)

次期繰越

工事高

(百万円)

前事業年度

(自  2024年4月1日

至  2025年3月31日)

空調工事

45,231

49,149

94,380

45,249

49,131

衛生工事

22,605

19,364

41,970

19,743

22,226

電気工事

13,635

15,552

29,188

15,323

13,864

81,473

84,066

165,539

80,316

85,222

当事業年度

(自  2025年4月1日

至  2026年3月31日)

空調工事

49,131

49,884

99,016

48,782

50,233

衛生工事

22,226

29,345

51,572

18,505

33,066

電気工事

13,864

24,675

38,540

18,999

19,540

85,222

103,906

189,129

86,288

102,840

(注)1  前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含みます。したがって、当期売上高にもかかる増減額が含まれております。

2  次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期売上高)であります。

 

② 受注工事高の受注方法別比率

  工事受注方法は、特命と競争に大別されます。

 

期別

区分

特命(%)

競争(%)

計(%)

前事業年度

(自  2024年4月1日

至  2025年3月31日)

空調工事

16.6

42.4

59.0

衛生工事

8.5

13.2

21.7

電気工事

9.6

9.7

19.3

34.7

65.3

100.0

当事業年度

(自  2025年4月1日

至  2026年3月31日)

空調工事

11.1

36.0

47.1

衛生工事

3.7

25.3

29.0

電気工事

14.8

9.1

23.9

29.6

70.4

100.0

(注)  百分比は請負金額比で示しております。

 

 

③  売上高

 

期別

区分

官公庁

(百万円)

民間

(百万円)

(百万円)

前事業年度

(自  2024年4月1日

至  2025年3月31日)

空調工事

2,961

42,288

45,249

衛生工事

644

19,099

19,743

電気工事

452

14,871

15,323

4,058

76,258

80,316

当事業年度

(自  2025年4月1日

至  2026年3月31日)

空調工事

5,199

43,583

48,782

衛生工事

2,526

15,979

18,505

電気工事

1,858

17,141

18,999

9,584

76,703

86,288

(注)1  売上高のうち主なものは、次のとおりであります。

前事業年度

大阪・法円坂ホテル計画

 

空調・衛生設備工事

㈱竹中工務店

大井町駅周辺広町地区開発 A街区

 

空調・衛生設備工事

㈱竹中工務店

虎ノ門二丁目地区(再)特定業務代行施設建築物建設工事

 

電気設備工事

大成建設㈱

ネクストサイト千葉ビル新築工事

 

空調・衛生設備工事

清水建設㈱

品川開発プロジェクト(第Ⅰ期)1街区

 

空調設備工事

㈱フジタ

 

当事業年度

(仮称)札幌北1西5計画

 

空調・衛生・電気設備工事

大成建設㈱

大井町駅周辺広町地区開発 A街区

 

空調設備工事

㈱竹中工務店

(仮称)芝公園二丁目計画

 

空調・衛生・電気設備工事

㈱竹中工務店

(仮称)公立東濃中部医療センター建設工事

 

空調設備工事

五洋建設㈱

品川開発プロジェクト(第Ⅰ期)1街区

 

空調設備工事

㈱フジタ

 

2  売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は、次のとおりであります。

前事業年度

㈱竹中工務店

16,292百万円

20.3%

㈱NTTファシリティーズ

8,018百万円

10.0%

 

当事業年度

㈱竹中工務店

12,681百万円

14.7%

 

 

④  次期繰越工事高(2026年3月31日現在)

 

区分

官公庁

(百万円)

民間

(百万円)

(百万円)

空調工事

6,224

44,008

50,233

衛生工事

3,959

29,107

33,066

電気工事

993

18,546

19,540

11,177

91,663

102,840

(注)1  次期繰越工事のうち主なものは、次のとおりであります。

 

 

完成予定年月

日清製粉グループ本社(仮称)用賀

オフィス新築工事

 

空調設備工事

清水建設㈱

(2027年3月)

(仮称)品川駅西口地区A地区新築計画

 

電気設備工事

大成建設㈱

(2029年1月)

サンエー新本社・食品加工センター新築工事

 

衛生設備工事

㈱竹中工務店

(2028年5月)

野村不動産Landport京都伏見新築工事

 

空調・衛生設備工事

清水建設㈱

(2027年5月)

新千葉県立図書館・県文書館複合施設空調設備工事

 

空調設備工事

千葉県

(2028年11月)

 

 

 

 

 

 

 

(2)財政状態の状況

当連結会計年度末の総資産は、前年度末と比較して110億20百万円増加し、1,109億35百万円となりました。

資産増加の主な要因は、前期と比較して受取手形・完成工事未収入金等が22億66百万円、電子記録債権が15億46百万円減少し、工事代金の回収により現金及び預金が76億12百万円、上場株式等の時価上昇により投資有価証券が68億73百万円増加したためであります。

当連結会計年度末の負債総額は、前年度末と比較して20億34百万円増加し、302億65百万円となりました。

負債増加の主な要因は、前期と比較して支払サイトの短縮化等により支払手形・工事未払金等が45億70百万円減少したものの、未払法人税等が3億77百万円、未成工事受入金が27億19百万円、上場株式等の時価上昇により繰延税金負債が18億4百万円増加したためであります。

当連結会計年度末における純資産は、前年度末と比較して89億85百万円増加し、806億69百万円となりました。

増加の主な要因は、利益剰余金が配当や自己株式取得等により減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益86億81百万円の計上等により14億64百万円、上場株式等の時価上昇によりその他有価証券評価差額金が47億16百万円増加したことによるものであります。

 

 

(3)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

①キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、116億45百万円のキャッシュインとなりました。これは税金等調整前当期純利益の増加に加え、売上債権の減少によるキャッシュインが増加したことなどによるものであります。

投資活動によるキャッシュ・フローは、13億99百万円のキャッシュインとなりました。これは売上高の拡大に伴い運転資金の増加を見据え、短期資産運用の対象を有価証券・投資有価証券から現金同等物にシフトしたことに伴いキャッシュインが増加したことなどによるものであります。

財務活動によるキャッシュ・フローは、44億35百万円のキャッシュアウトとなりました。前期比では6億69百万円増加しておりますが、これは自己株式の取得や配当金の支払に伴うキャッシュアウトが増加したことなどによるものであります。

以上により、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前年度末と比較して86億9百万円増加し、313億88百万円となりました。

 

②資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの主な運転資金需要は、工事に係る材料費・外注費、商品販売に係る製品の購入のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用及び税金の支払い等であります。営業費用の主なものは、人件費、地代家賃等であります。設備資金については、多額の資金需要はありません。

運転資金及び設備資金は、自己資金を原資としておりますが、債権回収と債務支払いのタイミングのズレから資金が必要になった場合、短期借入金で調達します。運転資金を機動的に調達するため、取引銀行3行と当座貸越契約(当座貸越極度額51億円)を締結しております。

 

(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  (1)連結財務諸表  注記事項  連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。

この連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  (1)連結財務諸表  注記事項  重要な会計上の見積り」に記載のとおりであります。

 

 

5【重要な契約等】

特記事項はありません。

 

 

6【研究開発活動】

当社グループは、「事業直結の技術開発と技術戦略の展開」および「資本及び事業・技術提携による事業領域の拡大」を掲げ、研究開発活動を推進しております。なお、当連結会計年度における研究開発費は146百万円であります。主な研究開発の内容は次のとおりであります。

 

(設備工事事業)

(1) データセンター関連技術研究

クラウド化や生成AIの普及により、データセンターではサーバーの高発熱化とエネルギー消費量の増加への対応が重要となっております。当社は、当社研究施設を活用し、液体冷却技術と熱源技術を組み合わせた冷却性能、省エネルギー性、施工性及び運用面に関する検証を進めました。あわせて、施工品質向上に向けたモックアップ環境の整備、接続方式や施工上の留意点の整理、実証成果の技術資料化を進め、安全性・品質向上に資する基盤整備に取り組みました。また、コンテナ型データセンター設備に関する検証知見の検討を進めました。

 

(2) DX・スマート関連技術開発

デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進にも取り組みました。具体的には、BIM(Building Information Modeling)をベースとした設計・施工・保守の効率化技術の検討を継続して進め、設計図・施工図及び設備情報を活用した業務の効率化と施工品質向上に資する手法の整理を行いました。

IoTの利活用としては、遠隔地や屋外環境における設備情報の取得、異常検知及び環境監視の自動化に資する技術の調査・検証を進めました。

 

(3) エネルギーマネジメント

建物及び設備の運用段階におけるエネルギー最適化に向けて、外気冷熱を活用した熱源システムの性能評価と最適化に取り組みました。年間運用データの再検証、実運用データとシミュレーションとの乖離要因の整理、運転モード切替時の安定稼働に関する技術整理を進めるとともに、運用改善やランニングコスト比較に向けた基礎資料の整備を行いました。

 

(設備機器販売事業)

研究開発活動は行っておりません。

 

(設備機器製造事業)

研究開発活動は行っておりません。