当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
①経営方針
会社の経営の基本方針
当社及び当社グループは、「品質管理」、「安全管理」、「コンプライアンス遵守の徹底」を事業活動の3原則として掲げています。地域密着型経営を通じて株主の皆様方を含むステークホルダーから寄せられるご期待に応え、その利益を第一に考えて経営を行って参ります。令和2年9月には「パートナーシップ構築宣言」を公表し、取引先・協力業者を始め皆様とより強固なパートナーシップの構築に努めて参ります。また、安定かつ持続的な成長を実現するため、人材育成に注力するとともに、企業を取り巻く状況の変化を瞬時に捉えるよう各種情報の収集及び分析に努めて参ります。更に日々の事業活動において顧客満足度を高めるべく技術力の向上、企画提案力の向上を目指し研鑽に励んで参ります。
今後とも、財務指標等の相対価値のみに左右されることなく、各ステークホルダーの皆様方から寄せられる信頼の醸成によって構築される絶対価値の向上を目指し企業価値の最大化を図って参ります。
中長期的な会社の経営戦略
当社及び当社グループは、コーポレートステートメントとして「未来を育てる人がいる」を掲げています。中長期的な視点に立ち当社及び当社グループの次世代を担う人材の育成、技能・知識の継承、収益性重視の経営施策を継続、財務体質の健全性を堅持し、持続的な成長戦略を描けるよう全役職員一丸となって邁進して参ります。また当社の使命として「高品質・高付加価値なものづくり」を通じて、快適に安心して過ごせる環境、安全で働きやすい健康的な職場環境を提供し、社員や家族のゆとりと豊かさの実現に努め、各ステークホルダーの方々とよりよい未来を共有することを認識し社業に取り組んで参ります(健康経営優良法人2025(大規模法人部門))。また「北野建設グループSDGs宣言」により、国連で採択された「持続可能な2030年までの開発目標(SDGs)」の理念を共有し、国際的な目標である「SDGs」の達成に向けて積極的に貢献することを推進して参ります(長野県SDGs推進企業登録認定済)。
他のゴルフ場、ホテル、広告代理店の各事業におきましても、当社グループの一員として経営理念及び経営方針等を共有し中長期的な成長を目指すべく鋭意努力して参ります。
(経営理念及び経営方針等)
(経営理念)
「顧客からの信頼を第一義に考え、高品質・高付加価値なものづくりに徹し、社会の期待に応え、ともに発展する」
(経営方針)
1.高品質・高付加価値なものづくり
2.コンプライアンスの重視とコーポレート・ガバナンスの強化
3.地域密着型経営
4.積極かつ堅実経営
(事業活動の3原則)
「品質管理」
ものづくり企業として顧客からの要望の実現に向け取り組むことを第一義の使命と考え、高品質・高付加価値な商品の提供と、絶え間ない技術変革に対応する技術者の育成に努めて参ります。
「安全管理」
全ての役職員並びに工事に携わる協力企業の作業員は、労働安全衛生管理を徹底し、労働災害及びその他災害事故の発生を防止します。
「コンプライアンス遵守の徹底」
法令や社会規範を遵守し、経営に健全なコーポレート・ガバナンスが機能し、かつ確保されるよう努めて参ります。
(各指針等)
1.高品質・高付加価値なものづくり
1)コンプライアンス遵守の徹底
2)営業・現業部門間の情報共有による顧客ニーズの把握徹底
3)各種リスクの認識と適切な管理(情報の共有化徹底)
2.営業指針
1)選別受注の徹底(収益性と債権保全の重視)
2)計画的な顧客訪問実施による情報収集の徹底
3)土地情報等の優良情報の収集及び分析
3.人材・組織戦略
1)適材適所の徹底、社員配置の適正化
2)社員教育の徹底、研修制度の充実、世代間の技能・知識継承
3)業務効率化による過重労働時間の削減
4.財務戦略
1)安定配当の継続
2)健全な財務体質の堅持
(サステナビリティ及び人的資本に関する方針等)
当社及びグループ会社は、サステナビリティの実践に向けて、最も重要な経営資源である人材に対して採用・育成などに積極的な投資を行うことで、持続的に企業価値を向上させることを目指しています。
②経営環境
当社及び当社グループを取り巻く経営環境は、我が国経済の動向と密接につながっています。令和7年1月24日に閣議決定された「令和7年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」によりますと、我が国経済は、現在、長きにわたったコストカット型経済から脱却し、デフレに後戻りせず、「賃上げと投資が牽引する成長型経済」に移行できるかどうかの分岐点にあります。
こうした中、政府は、賃金上昇が物価上昇を安定的に上回る経済を実現し、「賃上げと投資が牽引する成長型経済」への移行を確実なものとするため、日本経済・地方経済の成長、物価高の克服及び国民の安心・安全の確保を三つの柱とする「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」を打ち出しています。
しかし一方で、これまでにない速度で変化する国際情勢、エネルギー資源や原材料価格上昇、急激な為替変動、構造的な問題としての「労働者人口の高齢化の進展」や「慢性的な人手不足」を背景とする労務費の高騰等のリスクの存在は、健全な収益確保、業務効率を推進する建設業にとって予断を許さないリスク要因となっています。
当社グループの海外ホテルを含むホテル事業については、同様の影響を受けつつも堅調に推移しています。引き続き「顧客第一」を徹底した営業を展開して参ります。
この様な状況下ではございますが、当社におきましては、現在、人材の確保と育成、といった人への投資に加え、DXへの取組みを積極的に進めて参る所存です。これに伴い発生する経費等を見込んだ結果、次期の当社グループの見通しとしましては、総売上高830億円、営業利益36億円、経常利益40億円、親会社株主に帰属する当期純利益25億円の達成に注力して参ります。
③対処すべき課題等
当社及び当社グループは、経営方針として「コンプライアンスの重視とコーポレート・ガバナンスの強化」を掲げています。コンプライアンスの強化は企業に課せられた重要な命題であると認識し、全役職員に対する啓蒙を日々実践継続しています。また、企業を取り巻く各種リスクへ適切に対応するためには、コーポレート・ガバナンスの強化が重要であると認識しております。当社及び当社グループにおいてはコーポレート・ガバナンスの強化と併せ、「品質管理・安全管理・コンプライアンス遵守の徹底」を事業活動の3原則として重点管理することによって経営効率の改善に向けて積極的に取り組んで参ります。
具体的には、施工面において安全管理、品質管理、工程管理、予算管理等の各種管理を徹底することで顧客の皆様に対して「高品質・高付加価値なものづくり」の提供を目指して参ります。営業面においては受注段階における工事案件の内容を精査し収益性重視の基本方針に基づき意思決定の迅速化、権限と責任の明確化を図り、安定的な受注確保を目指して参ります。人事面においては建設系人材の採用が難しい環境にあり、積極的なキャリア採用を行っています。財務面においては引き続き財務健全性を堅持し、株主の皆様方に対する安定的な配当を実施することが当社の最重要課題であると認識し継続して参ります。
当社及びグループ会社(以下、当社グループ)は、「北野建設グループ行動指針」のもと、事業活動を通じ経営理念の具現化を実践するとともに、社会からの信頼に誠実に向き合い、持続的な発展に貢献することを目指しています。また、創業以来「企業は人なり」を標榜し、「人財はバランスシートに表せない資産である」「企業活動の原点は人にある」との考えをもとに、「未来を育てる人がいる」をコーポレートステートメントに掲げています。人財=未来を育てる、ものづくりを通じて、人を、社会を、次世代の未来を創り出します。
当社グループでは、企業価値の向上と持続可能な成長を実現するために、サステナビリティに関するマテリアリティ(重要課題)を特定しました。マテリアリティの特定プロセスとしては、社会課題のロングリストの抽出を行った上で、建設業界の動向、自社の経営理念・ビジョン・行動指針との関連を踏まえ、ステークホルダーにとっての重要度と自社への重要度の2軸で評価し、経営層との議論等を通じて特定しました。
特定した6つのマテリアリティについては、下記のとおりSDGsとも関連付け、各担当部門で取り組みを推進していきます。
<特定したマテリアリティ一覧>
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マテリアリティ |
マテリアリティの概要 |
関連するSDGs |
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環境に配慮した事業活動の推進 |
オフィスでの省エネルギー活動の推進や、お客様への環境負荷の低い設備導入の推奨により、気候変動に対応します。また、リサイクル材の利用や建設廃棄物のリサイクル率向上等に取り組み、環境負荷低減へ貢献します。 |
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人的資本の強化 |
従業員一人ひとりが適切なワークライフバランスを実現できるよう、柔軟な働き方の整備や長時間労働の防止を実施します。また、従業員のキャリアアップを支えるため、人材育成にも積極的に取り組み、従業員全員がいきいきと働ける環境を整備します。 |
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労働安全衛生の確保 |
労働安全衛生確保のための現場パトロールや安全指導を実施し、全ての従業員が安全かつ快適に働くことのできる環境を整備します。 |
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品質の確保と技術力の継承 |
品質管理体制の整備や、研修等を通じた専門性のある人材の育成および当社の持つ技術力の強化やノウハウの伝承により、高いレベルの施工品質を確保・維持します。 |
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文化の継承と地域社会への貢献 |
伝統文化・芸術の保全活動やスポーツへの協賛活動を通して、広く文化の継承をサポートするとともに、様々な地域の皆様との信頼関係を築きながら地域社会の発展に貢献します。 |
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責任ある企業活動の実施 |
行動指針や経営方針に則り、コーポレート・ガバナンスの強化や、コンプライアンス・リスクマネジメントの徹底に取り組み、お客様やステークホルダーの皆様からの信頼の確保に努めます。 |
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(1)ガバナンス
当社グループは、コーポレートステートメント「未来を育てる人がいる」に基づき、株主を含むステークホルダーの皆様と共に未来に向かって成長し、中長期的な企業価値の向上を実現するため、「北野建設グループコーポレート・ガバナンス憲章」を制定し、コーポレート・ガバナンスの充実に継続的に取り組みます。
特に、サステナビリティを推進する社内体制については、経営管理本部内に担当チームを設置しています。当該チームは、マテリアリティを含むサステナビリティ関連活動の推進に関する全社的な取りまとめを担っています。また、具体的な取り組みは、特定した6つのマテリアリティ毎に担当部門を定め、各担当部門では、マテリアリティを達成するための行動計画の策定、関連部門への働きかけを含めた具体的な施策を実施しています。各担当部門での取り組みは、当該チームにて取りまとめのうえ、本部会にて審議し、取締役会に報告しています。
※コーポレート・ガバナンス報告書は、東京証券取引所の上場会社情報に掲載しております。
コーポレート・ガバナンス報告
(https://www2.jpx.co.jp/disc/18660/140120220912531413.pdf)
※北野建設グループコーポレート・ガバナンス憲章は、当社ウエブサイトに掲載しております。
コーポレート・ガバナンス憲章(https://www.kitano.co.jp/docs/ir/governance.pdf)
(2)戦略
当社グループは、サステナビリティにおける取り組みを推進するために、前述のとおり6つのマテリアリティ(重要課題)を特定しています。今後も各マテリアリティの取り組みを推進することで、持続可能な社会の実現と企業価値の向上に努めます。
<特定したマテリアリティ>
1.環境に配慮した事業活動の推進
2.人的資本の強化
3.労働安全衛生の確保
4.品質の確保と技術力の継承
5.文化の継承と地域社会への貢献
6.責任ある企業活動の実施
①気候変動
当社グループは気候変動関連のリスクと機会を重大な経営課題であると認識し、「環境に配慮した事業活動の推進」をマテリアリティとして特定しています。
具体的には、作業所におけるCO2排出量の削減、建設混合廃棄物の発生原単位および混合廃棄物比率について年度ごとに目標値を定め、担当部門にて数値をとりまとめ集計し、取り組みを進めています。
②人的資本
当社グループは、サステナビリティの実践に向けて、特に人的資本への投資を重要課題と捉え、持続的な企業価値の向上を目指して人材採用・人材教育に資する戦略を設計しています。
また、企業価値向上や社会へのインパクトから課題を評価し、「人的資本の強化」および「労働安全衛生の確保」をマテリアリティとして特定し、下記の方針のもとで取り組みを推進しています。
◆採用方針
1.人材を最も重要な経営資源と捉え、積極的に採用活動を行います。
2.採用機会を逸することなく、通年でタイムリーに採用活動を行います。
3.新卒、キャリアともに積極的に採用活動を行います。
4.性別、国籍、勤務日数・勤務時間、障害の有無、在宅ワークなど多様性を排除することなく採用活動を行います。
◆人材育成(従業員のキャリア形成支援)の基本的方針
1.人材は唯一の経営資源と捉え、人材の力を最大限発揮できる投資を行います。
2.従業員が各々のキャリアを選択することができるよう、年齢や職歴、学歴などによらない脱年功的な人事制度とします。
3.自身の望むキャリアに向けて階層別の教育だけではなく、自身で選択できる教育機会を用意します。
4.従業員が公私共に、モチベーションを高く持てる環境を整えます(育児休業取得の推進、短時間勤務上限を子の小学校卒業まで延長など)。
◆安全衛生方針
当社は、安全衛生管理の確保のため、下記の「安全衛生方針」を表明し、当社および協力業者とで共通の認識をもって取り組みを推進しています。
「人命の尊厳は何人も侵すことの出来ない至上のものである」
全ての社員及び協力業者の作業員は、労働安全衛生管理を徹底し、労働災害及びその他災害事故の発生を防止しなければならない。安全衛生管理は企業存立の基盤をなすものであり、その確保と充実は企業の社会的責任である。
北野建設株式会社は、上記の安全衛生理念に基づき、安全衛生方針を表明する。
1.キタノコスモス(労働安全衛生マネジメントシステム)に則り、PDCAサイクル(計画-実行-検証-改善)を適切に運用し、安全衛生管理活動の形骸化防止を図る。
2.労働災害ゼロを目指し、建設事業所のあらゆる危険有害要因を排除するため、店社及び作業所の社員並びに関係する事業者が一体となって安全衛生管理活動を継続的に実施する。
3.労働安全衛生関係法令、建設事業所において定めた安全衛生に関する規定等を遵守することにより、全ての社員及び関係する作業員の快適な職場を確保する。
4.からだとこころの健康づくりと、メンタルヘルスケアの充実を通じて、全ての社員及び協力業者の作業員がいきいきと働ける環境を整備する。
人的資本に関する課題の具体的な取り組み事例は、下記のとおりです。
■キャリア採用プロジェクトの取り組み
社員一人一人が働きやすい環境づくりを行い、中長期且つ安定的に事業活動を継続する目的のため、キャリア採用プロジェクトを推進しています。どのような職種においても女性が活躍できる環境を整え、性差なく採用を進めていきます。
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目標項目 |
目標数値 |
令和6年3月末 時点の実績 |
令和7年3月末 時点の実績 |
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採用者に占める女性割合向上 |
40% |
21.1% |
21.7% |
■女性活躍推進の取り組み
女性が活躍できる環境を整えて推進するため、平成28年より「北野こまち会(女性技術者の会)」を立ち上げ、座談会の開催や同業他社との勉強会・意見交換会への参加等の活動を継続しています。また、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)に基づく厚生労働大臣認定制度「えるぼし2段階認証」を令和2年より継続して取得しています。
■健康経営の取り組み
経済産業省と日本健康会議が進める健康経営優良法人認定制度において、「健康経営優良法人(大規模法人部門)」の認定を令和3年より継続して受けています。法定健診の受診のみならず、二次検査の受診率向上、法定外の健診項目への補助増額などを通じて、社員の健康づくりを支援しています。
■満足度の高い制度づくり
誰もが働きやすい職場環境づくりのため、令和4年度に実施した社員意識調査結果について外部専門家による検証を行い、その結果を令和6年4月からの新人事制度に反映しました。脱年功主義は維持しつつ、より公平で公正な満足度の高い人事制度を追求していきます。また、従業員とのエンゲージメントを経営に活かす取り組みを実施しています。
今後も、社員に選ばれる企業を目指し、女性活躍推進や健康経営の取り組み、満足度向上のための制度作りなど、積極的に推進します。
(3)リスク管理
当社グループは、経営に関する様々なリスクを審議するため、主要なリスクの状況について定期的にモニタリング、評価、分析をし、本部会にて必要な指示、監督を行うとともに、その内容を定期的に取締役会に報告する体制を整えています。
なお、サステナビリティに関しては、企業価値向上と持続可能な成長を実現するためにリスクと機会を識別した上で、マテリアリティを特定しています。特定した6つのマテリアリティについては、社会情勢や事業環境の変化に伴うリスクと機会の状況を勘案したうえで、経営管理本部内の担当チームおよび各マテリアリティの担当部門にて取り組みを推進しています。
①気候変動
当社グループでは、「環境に配慮した事業活動の推進」をマテリアリティとして掲げ、担当部門にて気候変動に関する目標設定や進捗確認を行っています。気候変動関連リスクの緩和策として、事業継続計画書の整備や防災訓練を実施しています。
これらのリスク管理を通じて、今後も気候変動関連リスクに対処していきます。
②人的資本
当社グループでは、「人的資本の強化」および「労働安全衛生の確保」をマテリアリティとして掲げ、人的資本に関するリスクや課題に対応しています。業界や国境を越えた人材確保競争は継続的な社会的リスクとなります。また、気候変動に伴い屋外での作業環境が過酷になることは、当社グループで働く従業員に影響を及ぼし、グループの事業継続にも関わる大きなリスクです。
これらのリスクに対して、当社では労働条件や労働環境の改善を通して従業員、協力会社職員から「選ばれる会社」を実現するための各種取り組みを進めていきます。
(4)指標及び目標
当社グループは、中長期的な企業価値の向上と持続可能な成長を実現するために、特定した6つのマテリアリティの達成に向けてKPIを策定し、取り組みの進捗状況を管理しています。各マテリアリティに関するKPIおよび詳細は下記のとおりです。
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マテリアリティ |
KPI |
詳細 |
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環境に配慮した事業活動の推進 |
作業所(Scope1・2対象範囲)におけるCO2排出量 |
2035年度のCO2排出量を以下の数値とする。 (2013年度比60%減) 建築工事:5,320kg-CO2/億円、 土木工事:22,400kg-CO2/億円 |
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床面積辺りの建設混合廃棄物の発生原単位、または混合廃棄物比率 |
下記の両方またはいずれかとする。 ①建設混合廃棄物の排出率3%以下 ②建築の新築工事における建設混合廃棄物の延床面積あたり発生原単位を2025年度までに10kg/㎡以下 |
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人的資本の強化 |
一人当たり労働時間 |
正社員一人当たり平均年間労働時間2,200時間(2024年度比△3.5%)とする。 |
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人材育成体系の整備 |
全社向け研修および選択型研修を通して、会社および社員のニーズにあった教育を行う。 社員の研修受講費用 総額15百万円以上 |
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労働安全衛生の確保 |
労働安全災害の予防・再発防止策の継続的な実施 |
死亡重篤災害・重大災害ゼロを堅持するため、作業現場の巡視により、不安全設備の排除を徹底する。 |
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労働安全衛生に関する研修の実施回数 |
労働災害防止の観点から、当社社員に対して入社年次ごとに年間回数を設定した安全教育を実施する。 |
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品質の確保と技術力の継承 |
民間新築工事発注者アンケート結果(建築) |
民間新築工事発注者アンケートによる竣工時顧客満足度総合評価「優」評価数80%以上を目指す。 |
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優良工事表彰対象件数(土木) |
公共工事優良工事表彰対象数50%以上を目指す。 |
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文化の継承と地域社会への貢献 |
地域で暮らす人々の幸福度の向上 |
地域社会に潤いをもたらし、持続可能な豊かさを実現していく。 北野文芸座などを通じた文化普及活動、コミュニティを活性化させる。 祭事やスポーツイベントへの支援活動、スキー部・陸上部の選手たちによる感動体験の創造を継続する。 |
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責任ある企業活動の実施 |
コーポレート・ガバナンスの強化 |
取締役会の実効性評価を実施し、ガバナンスを改善する。 社員一人ひとりの社会的責任への意識を向上させる企業文化を醸成する。 会社のあり方や経営の方向性の基本を示す「社是」や「社訓」等を、社員が良く理解し活動することで、一体感のある企業運営を実現する。 |
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重大コンプライアンス事案 |
重大コンプライアンス事案の発生ゼロ。 |
①気候変動
当社グループでは、気候変動関連リスクや機会が当社に及ぼす影響を測定・管理するために、CO2排出量の削減目標を定めています。また、次年度以降は、Scope1,2のCO2排出量を算定できるよう、準備を進めています。
なお、目標に対する2024年度の実績および2025年度目標は下記のとおりです。
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2024年度排出量実績 (kg-CO2/億円) |
2025年度目標排出量 (kg-CO2/億円) |
2035年度目標排出量 (kg-CO2/億円) |
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作業所におけるCO2排出量原単位※ |
8,700(建築) 36,300(土木) |
10,300(建築) 42,400(土木) |
5,320(建築) 22,400(土木) |
※算定の組織範囲は、原則、当社グループの連結対象内の作業所です。
②人的資本
当社グループでは、人的資本の課題解決に向けて、正社員一人当たり平均年間労働時間および人材育成体系の整備に向けた研修の実施の目標を定めています。また、労働安全衛生の確保のため、労働安全災害の予防・再発防止策の継続実施、労働安全衛生に関する研修の実施についても目標を定めています。いずれも当社グループの重要課題と位置づけ、実現に取り組んでいます。
各目標について、2024年度の実績および2025年度目標は下記のとおりです。
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2024年度実績 |
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総額 |
総額 |
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死亡重篤災害・重大災害事故 発生防止 |
発生ゼロ |
発生ゼロ |
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労働安全衛生 研修実施 |
100%実施(32回) |
入社年次ごとに設定された年間回数実施 |
当社グループの経営成績、財政状態及び株価に影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
①建設市場の縮小リスク
当社グループが事業活動を行う市場である我が国の経済環境の動向は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
・景気後退懸念による企業の設備投資抑制による受注機会の減少
・工事完成時までの発注者側の業況悪化に伴う工事代金回収の遅延、又は貸倒れの発生懸念
・資材、エネルギー価格の高騰等による原価高騰
・災害等の影響による需要の減少及び上記に基づく建設市場の更なる収縮
②重大事故や契約不適合の発生リスク
当社グループが設計、施工した物件において、施工途中における重大事故の発生や完成後に契約不適合が認められた場合、多額の費用負担が生じ、業績に影響を及ぼす可能性があります。
③海外工事のカントリーリスク
当社グループの建設事業では海外工事を受注していますが、以下のような理由等により工事の進行に支障が生じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
・現地における政変・暴動の発生等による工事の中断、又は中止
・現地政府の政策、税制を含む各種制度等の変更による原価高騰
・政情不安等による当社社員の安全面の確保
④為替相場の変動リスク
当社グループの建設事業では海外工事を受注しています。現地での外貨必要資金は基本的に受注確定後、速やかに為替予約によるリスクヘッジを行っていますが、急激な為替市場の変動により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また海外におけるホテル事業も建設事業同様に為替変動リスクが顕在化する可能性があります。
⑤保有不動産等の価格変動リスク
当社グループでは不動産(販売用不動産等を含む)を多数保有していますが、不動産市況の動向によっては、時価評価額が下落し評価損が発生するなど、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥保有投資有価証券の価格変動リスク
当社グループでは投資有価証券(非上場を含む)を多数保有していますが、証券市場の動向によっては、時価評価額が下落し評価損が発生するなど、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦関連会社の業況リスク
当社グループ内の関連会社につきましては、堅実な経営を心掛けていますが、業況が変化した場合は当社グループへの影響が発生する可能性があります。
⑧法的規制等に関するリスク
当社グループの建設事業では建築基準法に代表される様々な法的規制を受けています。これらの規制を遵守できない事象が発生した場合、官公庁による営業停止、入札参加資格の停止処分を受け、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
①経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものです。
(1)財政状態及び経営成績の状況
イ.財政状態
(資産の部)
当連結会計年度末における資産の残高は755億89百万円(前年同期比2.9%減)となり、前連結会計年度末に比べ22億39百万円の減少となりました。主な要因としましては、「現金及び預金」が減少した一方で、「受取手形・完成工事未収入金等」及び「開発事業等支出金」、「投資有価証券」が増加したことによるものです。
(負債の部)
当連結会計年度末における負債の残高は283億60百万円(前年同期比16.9%減)となり、前連結会計年度末に比べ57億75百万円の減少となりました。主な要因としましては、「開発事業等受入金」が増加した一方で、「電子記録債務」及び「未成工事受入金」が減少したことによるものです。
(純資産の部)
当連結会計年度末における純資産の残高は472億29百万円(前年同期比8.1%増)となり、前連結会計年度末に比べ35億35百万円の増加となりました。主な要因としましては、「自己株式」が減少し、「その他有価証券評価差額金」が増加したことによるものです。
ロ.経営成績
当連結会計年度における我が国経済は、米関税政策による景気の下押しを受け、家計部門では、今年の春闘賃上げ率は高いものの、今年度後半の賞与や来年度の所定内給与の伸びは低下し、低い伸びが予想されます。企業部門では、米関税引き上げによる米中経済の悪化で、当面の輸出は減少し、ソフトウェア投資が引き続き増加すると予想されるものの、米関税を巡る不確実性が高く、製造業の機械投資などは弱い動きが見られます。世界経済におきましては、欧米経済の物価高や金融政策の影響による減速の可能性、資源価格の動向や為替変動など多くの不安定要素があるため、引き続き日本経済への影響に十分注意する必要があります。
当社グループが主に事業を展開している建設業界におきましては、政府建設投資、民間建設投資共に底堅く推移しておりますが、労働者不足や労務費の上昇、原材料価格の高騰、為替変動、同業他社との受注競争の激化等、引き続き注視が必要な状況が続いております。また、連結子会社のホテル事業につきましては、同様の影響を受けつつも堅調に推移しています。
かかる状況下におきまして、当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高808億53百万円(前年同期比4.8%減)、営業利益36億40百万円(前年同期比24.2%減)、経常利益40億70百万円(前年同期比19.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益33億81百万円(前年同期比13.3%減)となりました。
当社グループにおける経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、当社グループ各社の事業計画における売上高、営業利益を元に算出し、証券取引所にて開示している通期業績見込みの営業利益を重視しています。
なお、各社の事業計画策定にあたっては、数字ありきではなく、配分資源の効率性、市場環境の動向等を踏まえ、総合的に勘案した上で事業計画を策定しているため、目標値は年度ごとに変動するものとなります。
セグメントごとの経営成績は次のとおりです。
(建設事業)
当連結会計年度における建設事業の業績につきましては、売上高は前年同期比5.3%減の770億42百万円となり、セグメント利益は前年同期比27.1%減の31億67百万円となりました。
(ゴルフ場事業)
ゴルフ場事業の業績につきましては、売上高は前年同期比4.5%減の2億56百万円となり、セグメント利益は前年同期比58.2%減の6百万円となりました。
(ホテル事業)
ホテル事業につきましては、売上高は前年同期比10.6%増の28億19百万円となり、セグメント利益は前年同期比9.1%増の4億7百万円となりました。
(広告代理店事業)
広告代理店事業の業績につきましては、売上高は前年同期比3.3%減の8億53百万円となり、セグメント利益は前年同期比39.5%減の24百万円となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は180億27百万円(前年同期比30.3%減)となり、前連結会計年度末に比べ78億41百万円の減少となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の減少61億69百万円(前年同期は19億17百万円の資金の増加)の主な内訳は、税金等調整前当期純利益42億5百万円、未成工事支出金等の増加25億45百万円及び仕入債務の減少43億14百万円などによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少8億49百万円(前年同期は2億54百万円の資金の減少)の主な内訳は、有形固定資産の取得3億62百万円及び無形固定資産の取得3億71百万円などによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の減少12億35百万円(前年同期は13億7百万円の資金の減少)の主な内訳は、自己株式の取得5億95百万円及び親会社の配当金による支出6億30百万円などによるものです。
(3)財務政策
当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、自己資金又は借入による資金の調達を基本としています。建設事業において、工事代金の回収と下請工事代金の支払のタイミングが一致しないことにより生じる短期の運転資金需要については、金融機関からの短期借入を基本としています。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
②生産、受注及び販売の実績
当社グループが営んでいる事業の大部分を占める建設事業では生産実績を定義することが困難であり、請負形態をとっているため販売実績という定義は実態にそぐいません。
また、当社グループにおいては建設事業以外では受注生産形態をとっていません。
したがって受注及び販売の状況については記載可能な項目を「①経営成績等の状況の概要」におけるセグメントごとの経営成績に関連付けて記載しています。
なお、提出会社単独の事業の実績は、以下のとおりです。
1 建設事業部門
(1)受注工事高、完成工事高及び繰越工事高
|
期別 |
区分 |
前期繰越工事高 (百万円) |
当期受注工事高 (百万円) |
計 (百万円) |
当期完成工事高 (百万円) |
次期繰越工事高 (百万円) |
|
前事業年度 自 令和5年4月1日 至 令和6年3月31日 |
建築工事 |
50,855 |
84,729 |
135,584 |
72,069 |
63,514 |
|
土木工事 |
9,201 |
6,069 |
15,271 |
8,612 |
6,659 |
|
|
計 |
60,056 |
90,798 |
150,855 |
80,681 |
70,173 |
|
|
当事業年度 自 令和6年4月1日 至 令和7年3月31日 |
建築工事 |
63,514 |
92,163 |
155,678 |
69,337 |
86,341 |
|
土木工事 |
6,659 |
6,689 |
13,348 |
7,123 |
6,224 |
|
|
計 |
70,173 |
98,853 |
169,026 |
76,460 |
92,566 |
1 前事業年度以前に受注した工事で契約の変更により請負金額の増減がある場合、当期受注工事高にその増減額を含めています。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれます。
2 次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)に一致します。
(2)受注工事高の受注方法別比率
工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。
|
期間 |
区分 |
特命(%) |
競争(%) |
計(%) |
|
前事業年度 自 令和5年4月1日 至 令和6年3月31日 |
建築工事 |
54.7 |
45.3 |
100 |
|
土木工事 |
19.6 |
80.4 |
100 |
|
|
当事業年度 自 令和6年4月1日 至 令和7年3月31日 |
建築工事 |
51.0 |
49.0 |
100 |
|
土木工事 |
24.1 |
75.9 |
100 |
(注)百分比は請負金額比です。
(3)完成工事高
|
期別 |
区分 |
官公庁(百万円) |
民間(百万円) |
合計(百万円) |
|
前事業年度 自 令和5年4月1日 至 令和6年3月31日 |
建築工事 |
2,150 |
69,919 |
72,069 |
|
土木工事 |
6,839 |
1,772 |
8,612 |
|
|
計 |
8,989 |
71,692 |
80,681 |
|
|
当事業年度 自 令和6年4月1日 至 令和7年3月31日 |
建築工事 |
5,147 |
64,189 |
69,337 |
|
土木工事 |
5,315 |
1,808 |
7,123 |
|
|
計 |
10,462 |
65,998 |
76,460 |
1 完成工事のうち主なものは次のとおりです。
前事業年度の完成工事のうち主なもの
|
大和ハウス工業株式会社 |
(仮称)DPL長野千曲Ⅱ新築工事 |
|
株式会社ベルーナ |
株式会社ベルーナ吉見ロジスティクスセンター増築工事 |
|
大和ハウス工業株式会社 |
(仮称)Dタワー富山新築工事 |
当事業年度の完成工事のうち主なもの
|
公益財団法人倉石地域振興財団 |
公益財団法人倉石地域振興財団 栗田病院新棟新築工事 |
|
株式会社立飛ホールディングス |
(仮称)立飛アイスリンク新築工事 |
|
信濃毎日新聞株式会社 |
(仮称)松本製作センター新築工事 |
2 完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は次のとおりです。
前事業年度
|
相手先 |
完成工事高(百万円) |
割合(%) |
|
大和ハウス工業株式会社 |
10,833 |
13.4 |
当事業年度
|
相手先 |
完成工事高(百万円) |
割合(%) |
|
公益財団法人倉石地域振興財団 |
8,218 |
10.7 |
(4)繰越工事高(令和7年3月31日現在)
|
区分 |
官公庁(百万円) |
民間(百万円) |
合計(百万円) |
|
建築工事 |
8,572 |
77,768 |
86,341 |
|
土木工事 |
5,426 |
798 |
6,224 |
|
計 |
13,998 |
78,567 |
92,566 |
繰越工事のうち主なものは次のとおりです。
|
東急不動産株式会社 |
東急ハーヴェストクラブ草津&VIALA計画新築工事 |
令和8年11月完成予定 |
|
東京建物株式会社 穴吹興産株式会社 |
(仮称)南長野北石堂町計画新築工事および自営工事 |
令和9年8月完成予定 |
|
学校法人立教学院 |
(仮称)立教小学校新校舎建設及び東棟改修工事 |
令和8年7月完成予定 |
2 開発事業部門
開発事業等の売上実績
提出会社における開発事業等の売上高の推移は次のとおりです。
|
科目 |
前事業年度 自 令和5年4月1日 至 令和6年3月31日 |
当事業年度 自 令和6年4月1日 至 令和7年3月31日 |
||
|
件数 |
金額(百万円) |
件数 |
金額(百万円) |
|
|
建物 |
- |
- |
1 |
0 |
|
不動産賃貸収入他 |
20 |
1,257 |
21 |
1,197 |
|
計 |
20 |
1,257 |
22 |
1,197 |
特記事項はありません。
当社グループの研究開発は、建設事業において、さまざまな建設環境に適応して品質と生産性の向上に資することを基本方針としながら、広範な社会ニーズに適切に対応できるよう品質管理部技術研究室を中心に推進しています。また、多様化する社会動向や高度化する顧客ニーズに対応するために、公的機関、大学、異業種企業等との共同研究を推進・強化しています。
当連結会計年度における研究開発費は
主な研究活動は次のとおりです。なお、「ゴルフ場事業」、「ホテル事業」、「広告代理店事業」のセグメントにおいては特段の研究開発活動を行っていません。
(1)耐震性に優れた超高層RC、CFT、免震・制振等の各種構造の研究開発
構造解析技術や高強度コンクリート等の研究に基づき、CFT造や超高層RC造の設計及び施工技術を確立し、各種構工法システムをさまざまな建造物へ適用するとともに、さらなるレベルアップと応用展開を図るべく、現業部門への技術支援・研究活動を推進しています。
(2)環境関連技術の研究開発
環境に対し高度化する社会や顧客の要請に応えるべく、ビル風・熱・音・振動・空気質等の住環境評価予測技術や環境影響評価技術の確立を図っています。当事業年度は国立大学法人信州大学と当社のモデルハウスを利用した空調負荷低減に向けた共同研究を行っています。
また、地球環境の保護と改善につながる自然共生型技術や汚染物質浄化・エコエネルギーなど、環境関連技術の実用化研究を進めています。これまで次のような研究開発に取り組み実現させました。
・電子機器生産施設における微振動の計測解析と振動低減システム
・ビル風、騒音、振動、断熱等の環境予測シミュレーションシステム
・廃熱を利用したアイスアリーナ結露防止システム(特許工法)
・廃熱を利用した屋根融雪システム(特許工法)
(3)耐震補強とリニューアル対応技術の整備促進
耐震解析技術に基づく既存建物の調査診断や耐震補強の実績を積み重ねることにより、顧客のニーズに合わせて提案できる耐震・リニューアル技術の研究を推進しています。
また、当社の得意分野である社寺建築や木造文化財の施工実績を積み重ねることで、伝統的木造建築物の耐震診断・補強技術について研究活動を推進しています。
(4)建築物の長寿命化技術の開発
建物の建替えには膨大な環境負荷が掛かることから、適正なメンテナンスを行い既存の建物を長く共用する、建物の「長寿命化」が求められています。正確な建物劣化診断及び既存建物のライフサイクルを適切に考慮した維持管理手法、省エネルギーリニューアル技術等に基づき、建物のリニューアル提案及び大規模改修工事を行い、建築物の長寿命化を推進しています。
(5)技術提案力の強化と災害発生時の事業継続計画構築等による技術支援体制の整備改善
総合評価落札方式における技術提案へのバックアップ体制強化を図るとともに、品質・環境マネジメントシステムをベースとした品質向上・環境配慮に努めています。
また、首都圏における大地震を想定した事業継続計画(BCP)を構築し、災害発生時にも品質確保ができるよう技術支援体制の整備と改善を進めています。
(6)準大手・中堅ゼネコンとの共同研究開発
当社は令和元年度から準大手・中堅ゼネコン21社による「配筋検査システム」の共同研究開発に取り組み、令和2年9月からはゼネコン21社とプライム ライフ テクノロジーズ株式会社が共同で開発を進めています。この配筋検査システムは、AIカメラが配筋を立体検知し、鉄筋径、本数、ピッチを計測、鉄筋の配置を登録した設計データと自動照合し、その結果を帳票フォーマットへ自動的に反映することが可能で、AI及びICT技術により配筋検査に要する時間の大幅な短縮を実現します。令和6年4月よりゼネコン21社で先行導入を開始しました。ゼネコン4社により土木工事向けの配筋検査システムの共同研究開発も進め、「Sma-Easy\スマイージ」として商標登録を行いました。
また、鉄骨造の合理化工法に関する共同研究開発として、ゼネコン10社による「床スラブによる拘束効果を考慮した鉄骨梁横座屈補剛工法」ならびに、ゼネコン9社による「異幅柱接合部工法」の構造性能評価を令和4年度に取得しました。これらの工法は設計施工物件における実施設計に採用し、設計・施工の合理化に寄与しています。また、「異幅柱接合部工法」については「シンプルダイヤ」として商標登録を行い、令和6年度より適用範囲拡大のための共同研究開発を行っています。
上記のほか、ゼネコン4社による共同研究開発「AIを活用した画像解析による施工効率化研究会」やゼネコン15社による「コンクリート表層の改質による床施工の効率化ならびに品質の改善」についての検討会にも参加しています。