(1) 会社の経営の基本方針
当社は、「豊かな地域社会づくりに貢献する生活基盤創造企業」を標榜し、社会資本の整備を責務として事業を展開しております。当社グループにおいてはこの考え方をもとに、道路建設を主軸に土木、水利・環境、舗装資材の製造販売等の事業領域を確保し、社会基盤整備の担い手として、健全な発展と存続を目指しております。
(2) 中長期的な会社の経営戦略および対処すべき課題等
道路建設業界におきましては、政府による「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」の推進等により、公共投資は底堅く推移することが見込まれますが、足元では、原油高によるアスファルト合材の製造コスト高騰に歯止めがかからず、販売価格への転嫁が大きな課題となっております。また、数年先、そしてその先の将来に向けては、コロナ禍や地政学的リスクによる不確実性の高まり、少子高齢化による労働人口の減少懸念、地球環境問題の深刻化など様々な変化がみられるなか、企業として健全に存続し、持続的に成長するためには、競争力の維持・向上は勿論のこと、サステナビリティを巡る課題への取り組みが必要不可欠となっております。
当社グループでは、このような状況に対応するため、2021年5月、『2030年のあるべき姿』を「人の成長と企業の成長を両立し 持続可能な社会の実現に貢献する 真に強靭な企業グループ」とする長期ビジョンを明確にし、現在はその実現を目指し、主に以下の取り組みを進めております。
① 中期経営計画(2021-2023年度)
『2030年のあるべき姿』に向けた第1フェーズとして、2021年5月より、「中期経営計画(2021-2023年度)」を遂行しております。引き続き、「真に強靭な企業グループ」となる礎を築くべく、各種施策を着実に実行してまいります。
② サステナビリティを巡る課題への取り組み
サステナビリティへの対応を加速化すべく、本年4月、これまで部門横断的なプロジェクトとして進めてきた「SX推進プロジェクト」「DX推進プロジェクト」「働き方改革プロジェクト」「担い手確保プロジェクト」を「サステナブル経営戦略プロジェクト」「働き方改革プロジェクト」「ダイバーシティ推進プロジェクト」に再編、組織化いたしました。引き続き、職場環境の改善を含めた人材への投資、稼ぐ力と環境配慮を両立する投資活動を継続するほか、本年2月に申請したSBT(Science Based Targets)の達成に向け具体的な取り組みを進めるなど、サステナブルな経営を具現化してまいります。
③ 独占禁止法をはじめとする法令順守の徹底
当社は、2015年1月27日以前における独占禁止法違反行為により、2017年8月から2019年7月の間に、複数回、独占禁止法に基づく処分を受けております。
当社では、これら違反行為の発覚以降、再発防止策の確実な運用はもとより違法行為の徹底排除に取り組んでおりますが、今後とも、このような違反行為が存在した事実を風化させることなく、全社を挙げてコンプライアンス経営を推進してまいります。
なお、アスファルト合材の販売価格決定に関する違反行為により2019年7月に受けた課徴金納付命令で課徴金算定の対象とされた売上高の一部に関する見解の相違について公正な判断を求めるため、当社が、2020年1月に公正取引委員会を被告として東京地方裁判所に提起した課徴金納付命令の一部に対する取消訴訟につきましては、2021年8月5日に当社の請求を棄却する判決が言い渡されました。当社は、これを不服とし、同年8月18日、東京高等裁判所に控訴を提起しておりましたが、2022年6月8日に当社の請求を棄却する判決が言い渡されました。当社では、判決内容を精査し慎重に検討のうえ、今後とも適切に対応してまいります。
(長期ビジョンおよび中期経営計画の概要)
①長期ビジョン『2030年のあるべき姿』
「人の成長と企業の成長を両立し 持続可能な社会の実現に貢献する 真に強靭な企業グループ」
「基本方針」
1. 安定収益の拡大
当社は、道路舗装を主とした建設事業および舗装資材製造販売事業において、近年、一定の利益を確保するに至ったが、これら本業における技術と経験を磨き上げ、さらなる競争力強化に努め、安定収益を拡大する。
2.収益源の多様化
当社の事業は、国内道路建設市場の動向に大きく影響を受けるため、既存事業の領域拡大、さらには新たな事業分野の開拓も視野に入れ、収益源の多様化に挑戦し、環境変化に強い企業体質づくりを推進する。
3.人を基軸とした経営の実践
競争力の源泉である「人」の育成コストを経費ではなく「投資」と捉え、人材の成長に取り組むとともに、多様な人材を確保し、活躍の場を提供することにより、当社グループの組織力向上を図る。
4.新しい働き方の確立
長時間労働の是正はもとより、職場環境の再整備、デジタル化による業務プロセス改善等を図り、従業員のワークライフバランスと、組織の生産性向上を両立させる新しい働き方を確立、定着させる。
5.経営・財務基盤の充実
コーポレートガバナンスのさらなる改善やリスクマネジメントの強化、コンプライアンス重視の企業風土醸成等に継続的に取り組むとともに、財務健全性の確保および安定的な株主還元に努め、強靭で健全な経営・財務基盤を構築する。
『2030年のあるべき姿』重要業績評価指標(KPI)[連結]
②中期経営計画(2021-2023年度)
「個別戦略・重点施策」
1. 本業のさらなる競争力強化による安定収益の拡大
(建設事業)
・施工実績の蓄積と対応体制の強化により、国交省・高速道路会社発注工事における受注競争力を高める。
・国内の建設工事拠点(営業所)全てが地域で自立自活し、基盤数値の底上げを図る。
・底堅い需要が見込まれるインフラ老朽化対策、防災・減災分野、再生可能エネルギー事業への営業展開に注力する。
(舗装資材製造販売事業)
・自社工事を網羅する拠点配置、設備と営業員の拡充により、市場規模の大きい大都市圏において販売量を確保する。
・低環境負荷商品の充実と製品の品質向上により顧客の要求に応え、さらなる販売シェア拡大につなげる。
(技術開発)
・将来における舗装の役割や機能の変化を見据えた技術開発を遂行し、新たな付加価値を創出する。
2. 事業領域の拡大、新たな事業分野開拓への挑戦
・保有する道路の点検・診断技術等をさらに磨き、包括的維持工事の受注に向けたアドバンテージを獲得する。
・海外事業を軌道に乗せ、国内建設市場の変化に左右されない新たな収益の柱として確立する。
・既存事業とのシナジーや事業領域・マーケットの拡大につながるM&A・提携等を推進し、成長基盤づくりを加速する。
3. 人材の「採用・定着・育成」における好循環の創出
・ダイバーシティ採用の推進、教育機関との結びつき強化等により、目指す事業規模達成に必要な人材を確保する。
・従業員にとって働きやすく働き甲斐のある「魅力ある職場づくり」を推進し、エンゲージメントの向上を図る。
・多様化する人材に応じたキャリアパスの形成と教育体系の再構築により、従業員一人ひとりの能力を向上させる。
4. 生産性向上に資する新しい働き方の確立
・ICTの積極活用および業務効率化等により、生産性の向上と長時間労働の是正、4週8休を実現する。
・業務プロセスのデジタル化等による効率向上を図るとともに、ワークライフバランスの実現できる環境整備を推進する。
5. 強靭で健全な経営・財務基盤の構築
・独占禁止法違反再発防止策の完全実施、その他法令順守の徹底に注力し、ステークホルダーからの信用・信頼を回復する。
・コーポレートガバナンス強化の取り組みを継続するとともに、情報開示を充実させ、経営の透明性をさらに高める。
・会計処理の標準化を推進するとともに、会計実務に関する社内教育を強化し、変化する会計基準・税制に適切に対応する。
「資本政策(投資計画、財務計画、株主還元)」
1. 持続可能な事業基盤構築に向けた継続的・戦略的投資の実施
2. 財務健全性の維持・向上/資本効率とのバランスにも配慮
3. 配当性向30%程度・総還元性向50%以上を目標とした、安定的・継続的な株主還元
中期経営計画(2021-2023年度)主要経営指標[連結]
文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在(2022年6月23日)において当社グループが判断したものであります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在(2022年6月23日)において当社グループが判断したものであります。
(1) 経済情勢について
当社グループの事業内容のうち、主要な部分を占める建設事業および舗装資材製造販売事業の業績は、公共工事の発注動向に大きく影響されます。したがいまして、公共事業費の過度の縮減傾向は、当社グループの収益に悪影響を及ぼす可能性があります。また、同様の理由から取引先の経営状態が悪化した場合、貸倒れの発生等により当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2) 資材価格の変動について
当社グループで製造する舗装資材の主要な原材料はストレートアスファルトであり、原材料の仕入値は原油市場の動向に大きく左右されます。仕入価格の上昇を製品価格に転嫁できない場合、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、急激な需要動向の変化に伴う需給逼迫、あるいは為替の変動により資機材価格が上昇する可能性があるほか、建設事業につきましても同様に、資機材価格の高騰により利益率が低下する可能性があります。
(3) 法規制等について
当社グループは事業を遂行するうえで、建設業法、独占禁止法、労働安全衛生法等による法的規制等を受けております。当社グループでは、各種マニュアルの策定、教育・研修および内部監査の実施等により、これらの法的規制等の順守に努めておりますが、コスト増加や事業上の新たな制約につながる法的規制の新設や改廃、適用基準の変更等があった場合、または法的規制による行政処分等を受けた場合には、経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4) 契約不適合責任について
品質管理につきましては、品質保証に関する国際規格の認証を取得するなど、重要課題として取り組んでおりますが、当社グループの施工物件に契約不適合責任が発生した場合には、経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5) シンジケートローンならびに金利の変動について
当社は安定的な金融取引体制の構築を目的として、金融機関数社との間にシンジケートローン契約を締結いたしておりますが、本契約には一定の財務制限条項が付されており、これらの条件に抵触した場合には期限の利益を喪失し、一括返済を求められる可能性があります。
また、本契約による借入金残高は全て変動金利によるものであり、将来の金利情勢の動向により当社グループの経営成績が変動する可能性があります。
(6) 関係会社等に関する重要事項について
当社は、その他の関係会社である東急株式会社および東急建設株式会社をはじめとする東急グループ各社との間で、工事受注等の取引を継続的に行っております。
(7) 国際事業の展開に伴うリスクについて
国際事業を展開するうえで、海外諸国の政治・経済情勢、為替や法的規制等、事業環境に著しい変化が生じた場合、売上高の減少等、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(8) 新型コロナウイルス感染症等の拡大に係るリスクについて
新型コロナウイルス感染症等の感染拡大により、建設事業における工事の中止や、舗装資材製造販売事業における工場の操業停止を余儀なくされる事態に至った場合、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、工事の発注状況に大きな変動が生じた場合にも、(1)と同様の理由により悪影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化するなか、感染拡大や半導体不足、部品供給網の混乱により生産活動に停滞が生じるなど、総じて厳しい状況が続き、また、ウクライナ情勢の緊迫化を受け資源価格がさらに高騰するなど、年度終盤にかけては先行きに対する警戒感が一段と強まる展開となりました。
道路建設業界におきましては、防災・減災、国土強靭化対策等により公共投資は底堅さを維持したものの、主要資材であるアスファルトをはじめ、原材料価格が年度を通じて高値圏で推移するなど予断を許さない事業環境となりました。
このような情勢のもと、当社グループでは、2021年5月に策定した『2030年のあるべき姿』を示す長期ビジョンおよび「中期経営計画(2021-2023年度)」に基づき、本業のさらなる競争力強化による安定収益の拡大に努めるとともに、連結子会社であったエスティ建材株式会社の株式売却や賃貸事業を行ってきたオフィスビルの売却を実施し、事業体制の最適化を推し進めるなど、将来の環境変化に対応する「真に強靭な企業グループへ」と進化を遂げるべく、各種施策を推進してまいりました。
当連結会計年度における当社グループの業績につきましては、受注高(製品売上高および不動産事業等売上高を含む)は828億50百万円(前連結会計年度比7.5%減)、売上高は851億32百万円(同5.4%減)となりました。また、損益面につきましては、原油価格や資材価格高騰の影響などにより経常利益は43億58百万円(同48.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は33億4百万円(同36.2%減)となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。収益認識に関する会計基準等の適用が財政状態および経営成績に与える影響の詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)及び(セグメント情報等)セグメント情報 2 報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産その他の項目の金額の算定方法」をご参照ください。
セグメントの概況を示すと、次の通りであります。
なお、完成工事高、売上高および営業利益(セグメント利益)については、セグメント間の内部取引高等を含めた調整前の金額をそれぞれ記載しております。
当連結会計年度の業績につきましては、受注高は674億17百万円(前連結会計年度比8.8%減)、完成工事高は696億99百万円(同6.3%減)、営業利益は60億38百万円(同28.4%減)となりました。
当連結会計年度の業績につきましては、製品売上高は281億59百万円(前連結会計年度比2.0%減)となり、営業利益は16億23百万円(同48.7%減)となりました。
当社グループでは、建設事業および舗装資材製造販売事業のほか、不動産事業等を営んでおり、その他の事業における売上高は8億16百万円(前連結会計年度比6.7%増)、営業利益は1億55百万円(同1.0%増)となりました。
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末と比較し11億13百万円減少の782億95百万円となりました。未成工事支出金や現金預金の減少などにより、流動資産が23億32百万円減少した一方、アスファルトプラントの設備更新や事業所の建替え等により有形固定資産が増加したことなどにより固定資産は12億18百万円の増加となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末と比較し8億21百万円減少の377億97百万円となりました。工事未払金や未払法人税等の減少などにより流動負債は15億69百万円の減少となりましたが、退職給付に係る負債などが減少する一方、長期借入金が増加したことにより固定負債は7億48百万円の増加となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益33億4百万円を計上しましたが、期末配当金の支払や自己株式の取得などにより、前連結会計年度末と比較し2億92百万円減少の404億97百万円となりました。
当連結会計年度におきましては、仕入債務の減少や法人税等の支払などにより資金が減少する一方、税金等調整前当期純利益43億27百万円を計上したことなどにより、営業活動によるキャッシュ・フローは、46億46百万円の資金増加(前年同期は11億38百万円の資金増加)となりました。
当連結会計年度におきましては、アスファルトプラントの設備更新や本社ビル・事業所の建替えに伴う支出などにより、投資活動によるキャッシュ・フローは36億68百万円の資金減少(前年同期は36億22百万円の資金減少)となりました。
当連結会計年度におきましては、長期借入により資金が増加する一方、期末配当金の支払や自己株式取得による支出などにより、財務活動によるキャッシュ・フローは22億32百万円の資金減少(前年同期は23億43百万円の資金増加)となりました。
以上に加え、現金及び現金同等物に係る換算差額を調整した結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は前連結会計年度の期末残高と比べ12億20百万円減少し、128億14百万円となりました。
(注) セグメント間の内部取引については相殺消去しております。
(注) 1 当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載しておりません。
2 主要相手先別売上状況
総売上高に対する割合が100分の10以上に該当する相手先は次のとおりであります。
前連結会計年度
該当する相手先はありません。
当連結会計年度
該当する相手先はありません。
3 セグメント間の内部取引については相殺消去しております。
ハ. 建設事業における受注工事高、完成工事高及び繰越工事高
(注) 1 前期以前に受注した工事で契約の更改等により請負金額や工種に変更あるものについては、当期受注工事高にその増減額を含みます。
2 次期繰越工事高は、(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)に一致します。
3 当連結会計年度の期首から「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しており、当連結会計年度の「前期繰越工事高」については、当該基準等の適用による影響額を調整した後の数値となっております。
なお、参考のため提出会社単独の事業の状況を次に示しております。
(建設事業)
a. 受注工事高の受注方法別比率
工事の受注方法は特命と競争入札に大別されます。
(注) 百分比は請負金額比であります。
b. 完成工事高
前事業年度の完成工事のうち主なものは次のとおりであります。
当事業年度の完成工事のうち主なものは次のとおりであります。
c. 手持工事高(2022年3月31日現在)
手持工事のうち主なものは次のとおりであります。
(舗装資材製造販売事業)
製造及び販売状況
(注) 1 アスファルト合材の生産実績と売上数量との差異は、当社の請負工事に使用した数量であります。
2 その他製品売上金額は、アスファルト乳剤、砕石等の販売による売上高であります。
(その他)
売上状況
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討の内容
① 経営成績について
前連結会計年度が過去の実績を大幅に上回る好決算であったことから、前年との比較においては減収減益となりましたが、売上高、また、利益面においても概ね中期経営計画および期初の計画どおりの決算となりました。しかしながら、業界を取り巻く情勢としては、原油価格が高値圏で推移し、アスファルトや重油などの価格高騰により、特に損益面においては、大変厳しい事業環境が続いており、今後の国際情勢の動向も含め、予断を許さない状況となっております。
セグメントの経営成績につきましては、次の通りであります。
建設事業におきましては、堅調な官公庁発注工事の受注に注力するとともに民間顧客への営業も強化するなど、収益の拡大に努めてまいりました。また、ICT(情報通信技術)やAI(人工知能)の活用による現場における省力化や生産性向上にも継続して取り組んでまいりました。
当連結会計年度の業績につきましては、前年に高速道路や空港関連など、生産性の高い大型工事の受注が相次いだ関係で、受注高(674億17百万円(前連結会計年度比8.8%減))、完成工事高(696億99百万円(同6.3%減))はともに前年の実績を下回り、また完成工事高の減少に加え、利益率も反動減となったことにより、営業利益は60億38百万円(同28.4%減)にとどまる結果となりました。
舗装資材製造販売事業におきましては、今後の事業展開を見据えた拠点拡充や環境配慮型商品等の製造・販売体制の整備を進めるなど、収益確保に努めてまいりました。また、アスファルトプラントの設備更新を計画的に実施し、製造効率の向上や製品製造過程における環境負荷の低減にも注力してまいりました。
当連結会計年度の業績につきましては、製品売上高は281億59百万円(前連結会計年度比2.0%減)となり、原油価格高騰による製造コスト上昇の影響などにより、営業利益は16億23百万円(同48.7%減)となりました。
当社グループでは、建設事業および舗装資材製造販売事業のほか、不動産事業等を営んでおり、その他の事業における売上高は8億16百万円(前連結会計年度比6.7%増)、営業利益は1億55百万円(同1.0%増)となりました。
② 財政状態について
財政状態の概要につきましては、「(1)経営成績等の概要」に記載のとおりでございます。
当社グループでは、ここ数年、将来の健全な存続と持続的成長に向け、機械装置の更新や施工用機械の取得など事業の根幹を支える投資に注力しておりますが、かかる投資については、原則として自己資金により行われており、当連結会計年度末における固定比率につきましては66.2%となっております。
また、当連結会計年度末における純資産合計につきましては、親会社株主に帰属する当期純利益33億4百万円を計上しましたが、期末配当金17億34百万円の支払や自己株式25億円の取得などにより、前連結会計年度末と比較し2億92百万円減少の404億97百万円となり、自己資本比率は51.7%となっております。
なお、財政状態については事業全体で管理を行っており、セグメントごとでの記載が困難なため記載しておりません。
③ キャッシュ・フローについて
当社グループの資金状況につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローにおいて46億46百万円の資金増加 (前年同期は11億38百万円の資金増加)となり、前連結会計年度と比較し増加額は35億7百万円増加いたしました。
一方、投資活動によるキャッシュ・フローにつきましては、中期経営計画における投資計画では、工場・事務所・施工機械の更新に年平均50億円程度、3年累計で150億円程度の設備投資を計画しておりますが、大型の投資計画が次期にずれ込んだことなどにより、当連結会計年度におきましては36億68百万円の資金減少(前連結会計年度は36億22百万円の資金減少)となりました。
また、期中におきまして、本社ビル建替えのための資金として、新たに20億円を借入により調達しておりますが、期末配当金の支払や自己株式取得による支出などにより財務活動によるキャッシュ・フローは22億32百万円の資金減少(前連結会計年度は23億43百万円の資金増加)となっております。
④ 資本の財源及び資金の流動性について
当社における資金の使途は、大別すると、運転資金、事業投資(設備投資、戦略投資、研究開発、人材投資、等)、株主還元となります。運転資金を含む手元資金については、支出先行のビジネスモデル、請負工事の大型化、社会資本整備を担う企業としてあるべき財務健全性等に鑑み、月商の2倍程度の手元流動性は確保すべきであると考えております。
また、将来の持続的成長を実現するためには、継続的・戦略的な設備投資、技術開発が不可欠であり、当面は、環境負荷低減や生産性向上に向けた事業資産の質的な転換期にあることから、「中期経営計画(2021-2023年度)」期間においては3年累計で、総額150億円程度の設備投資を計画し、さらにM&A等により15億円程度の戦略投資を見込んでおります。
株主還元につきましては、配当性向30%程度、総還元性向50%以上を目標としており、2022年度中に総額8億円または120万株を上限とする自己株式の取得およびこれにより取得するすべての自己株式の消却を予定しております。なお、2022年3月期の総還元性向は109.6%となりましたが、『2030年のあるべき姿』で示すとおり、財政状態、資金状況、事業環境等を勘案し、機動的に追加的施策を実施することも選択肢としております。
一方、財源については、営業活動によるキャッシュ・フローを基本としておりますが、必要に応じ、長期借入、当座借越契約、コミットメントラインなどにより、資金調達あるいは手元流動性を確保することも想定しており、その意味でも、信用格付「A」相当を目安として、財務健全性の維持・向上を図っていく方針です。
また、当社グループでは、グループ内の資金の効率化を図るため、当社と各子会社間における資金融通制度を構築・運用いたしております。
なお、2022年3月末現在における現金及び現金同等物の期末残高は128億14百万円(前連結会計年度末は140億35百万円)、有利子負債残高は70億7百万円(前連結会計年度末は50億7百万円)となっております。
有価証券報告書提出日現在において、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による当社グループの財政状態、資金状況への影響はありませんが、公共工事発注動向への影響も含め、引き続き状況を注視しながら、上記方針のとおり財務健全性の維持・向上を図ってまいります。
⑤ 中期経営計画における主要な計画数値について
「中期経営計画(2021-2023年度)」における主要な経営指標の計画値および計画初年度となる2021年度の実績については以下のとおりです。
主要経営指標(連結)
⑥ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループを取り巻く環境は、ここ数年で目まぐるしく変化しており、こうした状況において、あらためて、当社グループはもとより社会全体の持続可能性を意識しながら、中長期的な視点・思考をもって経営に取り組むことの重要性を強く認識するところとなっております。
当社グループといたしましては、対処すべき課題(第一部 第2「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」)に記載のとおり、長期ビジョンおよび中期経営計画に掲げる各種施策に真摯に取り組み、将来のどのような環境変化にも対応できる「真に強靭な企業グループへ」と進化を遂げ、「豊かな地域社会づくりに貢献する生活基盤創造企業」として、社会に対する永続的な価値の提供と、中長期的な企業価値の向上を実現してまいります。
なお、当社の業績に影響を与える可能性のある事項につきましては第一部 第2「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
⑦ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在(2022年6月23日)において当社グループが判断したものであります。
特記事項はありません。
近年、社会インフラの重要性が再認識されるなか、道路建設業を取り巻く環境も大きく変化しており、舗装に求められる社会からのニーズもより多様化、高度化しております。
このような状況のもと、当社では、脱炭素、道路インフラ整備の効率化、長寿命化、生産性向上に重点を置いた開発テーマを選定し、研究開発活動を行っております。
なお、当社の研究開発活動は、技術研究所を中心に行われており、当連結会計年度における建設事業および舗装資材製造販売事業の研究開発費は、
主な研究開発
(1) 自己治癒型アスファルト混合物
アスファルト混合物層に発生したひび割れは、それ自体の強度を低下させるだけでなく、舗装体内への水の浸透により路盤や路床部の損傷の原因にもなります。このことからアスファルト舗装にひび割れが生じても時間の経過とともに復元する自己治癒型アスファルト混合物を研究しております。
現在はアスファルト混合物に自己修復性能がある粉末剤を添加することによりひび割れ部が再接着する手法を検討しております。
(2) AI技術を導入した路面性状測定車の開発
道路舗装については膨大な道路延長を限られた財政で効率よく維持管理することが求められています。このことから路面調査業務の効率化を目指し、普通車のルーフに高精細なカメラおよびレーザー測定器等を設置した路面性状測定車の開発・導入を進めてきました。
その中で最も解析時間を要する路面のひび割れ率の算定にはAI(人工知能)による画像処理システムを採用し省力化を実現しました。また、自動車の自動運転のためには車載センサーによる車線認識技術が重要となりますが、路面のラインのかすれが課題となっています。そのため、ラインのかすれ具合をAIによる画像認識により自動判別する機能を追加しました。
さらに、ポットホールについても管理する道路延長を考慮するとその発見に多大な労力が必要となるため、AIにより路面の画像の中からポットホールと考えらえる損傷を自動的に抽出し、パソコン上の画面で路線上での位置を表示できるようにしました。これらにより、インフラ調査におけるさらなるDX化を推進していきます。
(3) 代替アスファルトの開発
アスファルトについては、低炭素や原油の減産、価格高騰の面から石油アスファルトに替わる新材料が今後必要となることが予想されます。このことから、石油アスファルトを低減もしくは使用しない新規バインダーを研究しております。
現在は、候補資材を調査するとともに天然アスファルト等を使用したバインダーで混合物を作成し、物理性状を検証しております。
(4) DX技術の開発
舗設技術の向上及び省人力化を目的にアスファルト混合物の運搬、敷き均し、転圧までの一連の流れを最適化する管理システムを開発しています。現在はアスファルト混合物運搬ダンプの走行位置からフィニッシャーの敷均し速度を自動制御する手法を開発し、現場での適用性を検証しました。
また、ローラーについては走行折り返し時の制動による荷重を軽減させて平坦性を向上させるガイダンスシステムを開発しました。今後は実際に現場でローラーに装着し、オペレーターへの適用性と効果を検証していきます。