第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 会社の経営の基本方針

当社は、「豊かな地域社会づくりに貢献する生活基盤創造企業」を標榜し、社会資本の整備を責務として事業を展開しております。当社グループにおいてはこの考え方をもとに、道路建設を主軸に土木、水利・環境、舗装資材の製造販売等の事業領域を確保し、社会基盤整備の担い手として、健全な発展と存続を目指しております。

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略および対処すべき課題等

道路建設業界におきましては、社会インフラの老朽化や自然災害の激甚化がみられるなかで、国土強靭化対策の推進等により公共投資は底堅く推移することが見込まれます。一方、人件費をはじめとした建設コストの上昇や将来の担い手不足などといった課題も顕在化しており、企業として健全に存続し、持続的に成長するためには、競争力の維持・向上は勿論のこと、人材確保に向けた施策やサステナビリティを巡る課題への取り組みが必要不可欠となっております。

このような状況に対応するため、当社グループでは、『2030年のあるべき姿』を示す長期ビジョンを「人の成長と企業の成長を両立し持続可能な社会の実現に貢献する真に強靭な企業グループ」と定め、現在はビジョン実現に向けた第2フェーズとなる「中期経営計画(2024-2026年度)」に基づき、各種施策に取り組んでおります。

当社グループでは、気候変動、人口減少等の社会課題を踏まえたサステナブル経営の推進も含め、本業の収益拡大・成長基盤の確立、将来の成長ドライバー創出(獲得)といった主要課題に全社を挙げて取り組み、引き続き、持続的な成長と中長期的な企業価値、株主価値の向上を目指し、変革を推し進めてまいります。

 

 (長期ビジョン及び中期経営計画の概要)

①長期ビジョン『2030年のあるべき姿』

「人の成長と企業の成長を両立し 持続可能な社会の実現に貢献する 真に強靭な企業グループ」

 

□ 当社にとって最も重要な経営資源は「人」である。

  従業員エンゲージメントの高い企業風土のもと、充実した教育体制により磨き上げられた従業員一人ひとりが実力を遺憾なく発揮することで、企業をさらに成長させていく。

□ コロナ禍、自然災害等、予測不能な事態が頻発するなか、何かに備えるのではなく、基礎体力・危機対応力を向上させ「真の強靭化」を果たすことで、自らが持続可能な存在となる。

□ 有事・平時を問わず、生活基盤創造企業として期待される責務を誠実に果たし続けることにより、持続可能な社会の実現に貢献する。

 

 

「基本方針」

1.安定収益の拡大

当社は、道路舗装を主とした建設事業および舗装資材製造販売事業において、近年、一定の利益を確保するに至ったが、これら本業における技術と経験を磨き上げ、さらなる競争力強化に努め、安定収益を拡大する。

2.収益源の多様化

当社の事業は、国内道路建設市場の動向に大きく影響を受けるため、既存事業の領域拡大、さらには新たな事業分野の開拓も視野に入れ、収益源の多様化に挑戦し、環境変化に強い企業体質づくりを推進する。

3.人を基軸とした経営の実践

競争力の源泉である「人」の育成コストを経費ではなく「投資」と捉え、人材の成長に取り組むとともに、多様な人材を確保し、活躍の場を提供することにより、当社グループの組織力向上を図る。

4.新しい働き方の確立

長時間労働の是正はもとより、職場環境の再整備、デジタル化による業務プロセス改善等を図り、従業員のワークライフバランスと、組織の生産性向上を両立させる新しい働き方を確立、定着させる。

 

5.経営・財務基盤の充実

コーポレートガバナンスのさらなる改善やリスクマネジメントの強化、コンプライアンス重視の企業風土醸成等に継続的に取り組むとともに、財務健全性の確保および安定的な株主還元に努め、強靭で健全な経営・財務基盤を構築する。

 

『2030年のあるべき姿』重要業績評価指標(KPI)[連結]

項 目

2030年度目標

(2021年5月策定時)

2030年度目標

(2024年5月更新)

売上高

1,000億円

1,100億円

営業利益

80億円

80億円

当期純利益

50億円

50億円

ROE

10.0%

10.0%

自己資本

500億円

総資産

1,000億円

自己資本比率

50.0%

50%程度

 

 

②中期経営計画(2024-2026年度)

「個別戦略・重点施策」

1. 本業のさらなる競争力強化による安定収益の拡大

(建設事業)

・施工実績の蓄積と対応体制の強化(国交省・高速道路会社発注工事)

・インフラ老朽化対策、防災・減災分野、再生可能エネルギー事業への営業展開強化

(舗装資材製造販売事業)

・販売量確保に向けた地域戦略

・低環境負荷商品の販売強化(常温合材販売の事業基盤強化)

・優位性確保および環境対策を目的とした設備投資計画の実施

(技術開発)

低炭素アスファルト混合物によるCO2低減技術など社会環境の変化を見据えた技術開発および高度な技術提案

 

2. 事業領域の拡大、新たな事業分野開拓への挑戦

(社会インフラ整備における新しい技術と価値の提供)

・道路インフラの長寿命化

・リサイクル技術等環境関連技術の拡充

(道路等包括的民間委託への取り組み継続)

・発注者の抱える課題解決に向けた「事業モデル」の創出

・道路の点検・診断技術等のブラッシュアップ

(海外事業展開を含めた事業領域の拡大)

・既存事業とのシナジーや事業領域・マーケットの拡大につながるM&A・提携等の推進

・新たな事業分野開拓に向けた成長戦略の推進

 

3. 人材の「採用・定着・育成」における好循環の創出

(積極的なD&Iの推進・エンゲージメント向上)

・ダイバーシティ採用の推進および教育機関との結びつき強化による採用体制の強化

・働きやすく働きがいのある「魅力ある職場づくり」を推進することによるエンゲージメントの向上

(多様化する人材の能力向上)

・多様化する人材に応じた柔軟なキャリア形成の推進および教育体系の充実化

 

 

4. 生産性向上に資する新しい働き方の確立

(生産性の向上と業務効率化)

・ICTの積極活用と業務のデジタル化および分業の加速

(AI×人材=労働生産性向上)

・働き手を支え、働き方を変えるAIの導入

・社内業務の軽減

 

5. 強靭で健全な経営・財務基盤の構築

(ステークホルダーからの信用・信頼の回復)

・独占禁止法違反再発防止策の完全実施、その他法令順守の徹底

(コーポレートガバナンスの強化)

・非財務情報を含む情報開示のさらなる充実

・サステナブル経営の推進(マテリアリティへの取り組みの展開)

 

「財務資本戦略」

1. 持続可能な事業基盤構築に向けた継続的・戦略的投資の実施

2. 財務健全性と資本効率のバランスに配慮したBSのコントロール

3. DOE基準による、安定的かつ積極的な株主還元

 

「サステナブル重要テーマ(マテリアリティ)への取り組み」

<『2030年のあるべき姿』の実現に向け目指す姿>

(環境保全)

・事業活動を通じた負荷低減、事業活動における負荷抑制の両面で環境に貢献

(インフラ)

・すべての人が安心・安全・快適に利用できるインフラの整備に貢献

(自然災害)

・災害発生時の復旧・復興工事を通じ、地域の経済活動・生活再建に貢献

(地域住民)

・良き企業市民、地域社会の一員として、より良い生活環境の実現に貢献

(働きがい)

・誰もが働きやすい環境の構築、担い手を惹きつける企業への変革

(ガバナンス・コンプライアンス)

・当社グループにとって最良のガバナンスを追求

・コンプライアンス経営の推進により信頼を取り戻す

 

中期経営計画(2024-2026年度)主要経営指標[連結]

項 目

2026年度計画

売上高

1,000億円

営業利益

60億円

当期純利益

40億円

ROE

9.5%

自己資本比率

50%程度

 

 

文中における見通し、予想等の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において入手可能な情報に基づき当社グループが判断したものであり、様々な不確定要素が内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方および取り組みは以下のとおりです。

なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティを巡る課題への対応に関する基本的な考え方

当社グループではサステナビリティについての取り組みを重要な課題と認識しており、世紀東急工業コーポレートガバナンス・ガイドラインにおいて「当社は、社会資本整備の一端を担う企業として、サステナビリティを巡る課題への対応について、リスクの減少および収益機会の両面から、その重要性を認識し、これらの課題に対する積極的・能動的な取り組みを通じ、持続可能な社会の実現と企業価値の向上に努めるものとする。」と定めております。

 

(2) ガバナンス

サステナビリティ関連のリスクおよび機会に関する取締役会の監督体制

取締役会では、長期ビジョンを策定する過程において、その他のリスク・機会とあわせて、サステナビリティに関するリスク・機会とその対応策などについて審議を行い、その内容は、当社グループの「2030年のあるべき姿」、「マテリアリティ」および「中期経営計画」に反映されております。

気候変動、人的資本関連を含むサステナビリティ課題への対応に関し、重要事項については取締役会に報告されており、当社グループのサステナビリティへの対応状況を監督しております。

 

サステナビリティ関連のリスクおよび機会の評価・管理における経営陣の役割

当社におけるリスク管理は、管理本部担当役員をリスク管理総括管理者、取締役社長を最終的な責任者としております。

また、当社では、サステナビリティに関する方針策定、目標設定、取組の推進などを行う組織として、サステナブル経営戦略プロジェクト、ダイバーシティ推進プロジェクトを設置しております。両プロジェクトは取締役社長直下の組織として設置され、適宜、プロジェクトの取り組み状況を取締役会に報告し、監督を受けております。

なお、気候関連を含む環境全般への対応については、取締役社長が委員長を務め、環境マネジメントシステム総括管理責任者である事業推進本部担当役員ほか数名が委員を構成する環境対策委員会において審議され、必要に応じ、経営資源の投入や環境施策の追加・修正について指示を行うとともに、重要事項については取締役会に報告されております。

 

(3) リスク管理

サステナビリティ関連を含む全社的なリスクおよび機会については、通常の事業活動のなかで、それぞれの所管部署において検討・管理されており、必要に応じ、リスク管理総括管理者を委員長、内部監査の機能を有する内部統制推進部を事務局として緊急対策委員会を組成することで、実効性あるリスク管理体制を構築・運用しております。

なお、特に重要なリスクおよびその対応策に関しては、取締役会に報告されており、サステナビリティ関連の対応に関しても、こうしたリスク管理のプロセスに組み込まれております。

 

(4) 戦略

リスクおよび機会

サステナビリティ関連を含むリスクおよび機会については、長期ビジョンおよび中期経営計画を策定する過程において、その他のリスクおよび機会とともに外部環境および内部資源として分析・検討を行い、その概要について公表しております。

 

マテリアリティ

当社では、長期ビジョン『2030年のあるべき姿』策定に際し、中長期的な時間軸での将来の社会の姿、当社のビジネスモデル、当社の強み・弱み・リスク・機会、当社および社会における重要性等を勘案しつつ、あらためて「持続可能な社会の実現」と「当社グループの持続的な成長」の両立に向けた重要課題を体系的に整理し、長期ビジョンと一体不可分のものとしてサステナブル重要テーマ(マテリアリティ)を特定し、公表いたしました。

2030年に向けて目指す姿を明確にし、各種の課題に取り組むとともに、気候変動関連を含むサステナビリティに関するリスクおよび機会を考慮した、人的資本、知的資産、設備・施設、M&A等への投資を戦略的に進めています。

なお、「中期経営計画(2024-2026年度)」においては、個別戦略との両輪と位置づけ、計画に組み込み、経営戦略との統合を図っております。

 

人的資本に関する事項

イ. 人的資本への投資

当社グループにおいて、人材は価値創造の源泉であり、長期ビジョンにおいても、「本業における技術と経験を磨き上げ、競争力強化に努める」旨、「人を基軸とした経営の実践」、「新しい働き方の確立」を、基本方針として明示いたしております。

人的資本への投資については、人材の確保育成に向けた費用を、コストではなく投資と捉え、役職員の能力向上、職場環境・住環境の改善、従業員の処遇見直し、採用活動の強化等への取り組みを積極的に推進しております。

ロ. 多様性の確保に向けた考え方

当社では、多様なバックグラウンドを持つ人々の雇用促進は、将来にわたり人材を確保し価値を創造していくためには欠かすことができない課題と捉え、女性、外国人、社会人経験者を積極的に採用するとともに、ジェンダーや年齢、国籍に関係なく、個人の違いをお互いに認め尊重し合う風土を醸成し、社員一人ひとりが、能力を最大限に発揮できる環境づくりに努めております。

また、管理職等の登用に関しても同様の考え方に立ち、従前よりジェンダーや国籍、新卒採用・中途採用の別に関係なく、公正な評価に基づき人物・能力本位で行っております。

ハ. 人材育成方針・社内環境整備方針(長期ビジョン等において明示する方針(主なもの))

長期ビジョン『2030年のあるべき姿』、「中期経営計画(2024-2026年度)」、世紀東急工業グループコンプライアンス行動規範および世紀東急工業コーポレートガバナンス・ガイドラインにおいて次のとおり、方針を明示しております。

■『2030年のあるべき姿』(長期ビジョン)

(長期ビジョン)

人の成長と企業の成長を両立し持続可能な社会の実現に貢献する真に強靭な企業グループ

◇当社にとって最も重要な経営資源は「人」である。従業員エンゲージメントの高い企業風土のもと、充実した教育体制により磨き上げられた従業員一人ひとりが実力を遺憾なく発揮することで、企業をさらに成長させていく。

(基本方針3.人を基軸とした経営の実践)

競争力の源泉である「人」の育成コストを経費ではなく「投資」と捉え、人材の成長に取り組むとともに、多様な人材を確保し、活躍の場を提供することにより、当社グループの組織力向上を図る。

(基本方針4.新しい働き方の確立)

長時間労働の是正はもとより、職場環境の再整備、デジタル化による業務プロセス改善等を図り、従業員のワークライフバランスと、組織の生産性向上を両立させる新しい働き方を確立、定着させる。

 

■中期経営計画(2024-2026年度)

(個別戦略3:人材の「採用・定着・育成」における好循環の創出)

1. ダイバーシティ採用の推進および教育機関との結びつき強化による採用体制の強化

2. 働きやすく働きがいのある「魅力ある職場づくり」を推進することによるエンゲージメントの向上

3. 多様化する人材に応じた柔軟なキャリア形成の推進および教育体系の充実化

(個別戦略4:生産性向上に資する新しい働き方の確立)

1. ICTの積極活用と業務のデジタル化および分業の加速

2. 働き手を支え、働き方を変えるAIの導入

3. 社内業務の軽減

■世紀東急工業グループコンプライアンス行動規範

(行動規範①)

業務の遂行にあたり、安全が全てに優先することを認識する。

(行動規範⑨)

健全かつ良好な職場環境を整備し、維持する。

■世紀東急工業コーポレートガバナンス・ガイドライン

(多様性の確保)

当社は、異なる経験・技能・属性を反映した多様な視点や価値観が存在することは、会社の持続的な成長を確保するうえでの強みとなり得ると認識し、女性の活躍促進を含む人材の多様性の確保に向けた諸施策を推進するものとする。

 

気候変動に関する事項

イ. 気候変動下におけるレジリエンス

当社グループは「豊かな地域社会づくりに貢献する生活基盤創造企業」という企業理念のもと、社会に対する永続的な価値の提供と、中長期的な企業価値の向上を目指しています。深刻化する自然災害などが社会に大きな不安を与えるなかで、気候変動関連をはじめとするサステナビリティを巡る課題の解決に取り組み、当社グループのレジリエンス、さらには社会全体のレジリエンスを高めていくことは、企業理念の実現につながるとともに、持続可能な社会の実現にも貢献し得るものと考えております。

ロ. シナリオ分析

当社グループでは、気候変動に起因する事業への影響を考察し、経営計画の戦略立案・検討に反映させるため、IEA(国際エネルギー機関)やIPCC(気候変動に関する政府間パネル)等の公開情報を参照し、下記の気候変動シナリオを用いて分析を行っており、定性・定量の両面からリスクと機会を考察し、その対応について検討しております。

(4℃シナリオ) :現状を上回る気候変動対策が行われず、異常気象の激甚化が想定される。

(1.5℃シナリオ):脱炭素に向けてより野心的な気候変動対策の実施が想定される。

 

シナリオの概要

 

4℃シナリオ

(IEA:STEPS/IPCC:SSP5-8.5シナリオ等)

1.5℃(2℃未満)シナリオ

(IEA:NZE/IPPC:SSP1-1.9シナリオ等)

・2100年時点の気温上昇は、産業革命時期比4.4℃を

 想定。

 

・夏季の労働生産性の低下により工期が長期化し利益

 率が低下、また作業者の健康リスクが増加

 

・異常気象の激甚化の進行により工場、事務所、施工

 現場における物理的リスクが増加

 

・物理的リスクの顕在化や対策意識の高まりにより、

 防災・減災工事へのインフラ投資が増加

・2100年時点の気温上昇は、産業革命時期比1.5℃以

 下に抑えられる。

 

・炭素価格等のコスト増加により企業収益に影響、

 建設コスト上昇で工事発注量への影響も懸念

 

・太陽光発電をはじめ再エネ発電に関連するインフ

 ラ投資のさらなる増加

 

・需要家の意識や行動変容に伴い、低炭素化・脱炭

 素化にかかる技術力は勿論、企業としての取り組

 みも競争優位に影響

 

・中期的には4℃シナリオと同等の物理的リスク及び

 それに関連する機会が想定される(2030年時点で

 は、気温上昇ペースは、ほぼ同等。)

 

 

リスク、機会および対応策の概要

 

区分

影響する変化

(主なもの)

時間軸

事業

インパクト

(財務的影響度

[2030年度])

対応中、または今後対応するもの

4℃

1.5℃

移行

リスク

カーボンプライシング導入=コスト増加

(中・長)

SBTに基づくGHGガス排出量削減への取組

エネルギー・資材等の価格上昇

(中・長)

燃料転換、代替アスファルト等の研究開発

顧客等ステークホルダーの評価軸変化

(中・長)

CNに資する技術開発および製品・施工の提供、情報開示

物理的

リスク

自然災害(直接被害、工期遅延、工場操業停止等)

(短・中・長)

BCP等による工場・事業所のレジリエンス強化

夏季の気温上昇による健康リスク、

労働生産性低下

(短・中・長)

熱中症対策など労働環境の改善

施工の省力化・無人化、生産性向上技術の開発

機会

国土強靭化・再生可能エネルギー関連等のインフラ投資拡大

(短・中・長)

道路整備の効率化・長寿命化を実現する技術・サービス開発

再エネ関連インフラ整備需要への営業強化

低炭素化・脱炭素化技術のニーズ拡大

(短・中・長)

ニーズを捉えた製品・サービスの開発・提供

 

※IEA(国際エネルギー機関)やIPCC(気候変動に関する政府間パネル)等の公開情報等に基づく4℃および1.5℃

 (一部2℃)シナリオを描き、短期(~2026年:中期経営計画(2024-2026)最終年度)・中期(2030年頃)・

 長期(2050年頃)の時間軸で想定される移行面および物理面のリスク・機会を特定し、事業インパクトおよ

 び財務的影響度を大・中・小の3段階で評価。

 

(想定されるリスクへの対応)

特に大きな財務的影響が想定されるリスク項目としては、1.5℃シナリオ下のカーボンプライシング導入によるコスト上昇があげられます。リスクを軽減するため、2022年8月にSBT認定を受けたGHG排出量削減目標の達成に向け、各種取り組みを進めております。

物理的リスクに関しては、気温上昇による労働生産性の低下や健康リスクの増加が懸念されますが、ICT施工の高度化・DXによる施工の省人化・自動化・遠隔化、生産性向上技術の研究開発を推進するなど、担い手不足への対応と合わせ、影響緩和に向けた取り組みを進めております。

(想定される機会への対応)

社会全体が気候変動への対応に取り組むなか、カーボンニュートラルや気候変動下における社会のレジリエンスに貢献する技術、製品、サービスの需要は、今後さらに拡大していくものと想定されます。当社グループにおいても、再生可能エネルギー関連のインフラ整備や道路等社会インフラの長寿命化・脱炭素化といった市場のニーズを的確に捉え、事業機会の拡大につなげていきたいと考えております。

 

ハ. 当社グループの取り組み

当社グループでは、従前より、全国のアスファルト合材工場において運用改善により製造効率・燃費の向上に取り組むとともに、「ZEB Ready」の評価認証を受けた本社ビルをはじめ各事業所・工場にて、太陽光発電パネル、高性能バーナー、LED等、省エネ設備の導入を進め、燃料や電気の使用量削減に努めています。

引き続き、全社を挙げて省エネルギー化の取り組みを推進するほか、特に自社排出の約8割を占める舗装資材製造販売事業における削減にあたっては、計画的な設備の更新に加え、重油からの燃料転換、再生可能エネルギーの活用等も検討しながら、削減目標の達成を目指してまいります。

 

(5) 指標及び目標

人的資本に関する事項

イ. 多様性の確保等に関する自主的かつ測定可能な目標

■長期ビジョンおよび中期経営計画

(新卒採用(総合職)における女性比率)

・2023年度(実績):13.9% 2024年度(実績):20.0% 2026年度(目標):20% 2030年度(目標):20%

(総合職における女性社員数)

・2023年度(実績):65名 2024年度(実績):73名 2026年度(目標):100名 2030年度(目標):140名

(管理職における女性社員数)

・2023年度(実績):4名 2024年度(実績):4名 2026年度(目標):5名 2030年度(目標):7名

なお、当社では現在、本格的にグローバルな事業展開を行っておらず、外国籍の職員数も少数にとどまることから、外国人の管理職登用に関する目標は定めておりません。

また、中途採用者に関しては、従前より人物・能力本位で登用が行われ、採用時期によって特段の差が生じているとは認識していないため、あえて区分することにより生じうる懸念も考慮し、同様に、管理職登用に関する目標は定めておりません。

■「女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画」(2024.4-2026.3)

(目標1)

男女間の勤続年数の差を1年縮める。

(目標2)

総合職女性採用比率を20%以上とする。

ロ. 働きがい、働きやすさの向上に関する自主的かつ測定可能な目標

■長期ビジョンおよび中期経営計画

(従業員エンゲージメントスコア)

・2023年度(実績):B 2024年度(実績):B 2026年度(目標):BB以上 2030年度(目標):A以上

(有給休暇取得率)

・2023年度(実績):61.0% 2024年度(実績):55.4% 2026年度(目標):70% 2030年度(目標):70%

(男性育児休暇取得率)

・2023年度(実績):55.6% 2024年度(実績):36.4% 2026年度(目標):85% 2030年度(目標):85%

 

(注) 連結子会社においては、関連する指標のデータ管理が行われていないため、当社単体の指標、目標および実績を記載しております。

 

気候変動に関する事項

当社は、事業活動に伴う温室効果ガス排出量の削減に向けて以下の目標を設定し、2022年8月にSBT認定を取得しました。なお、排出量削減の進捗状況につきましては、当社統合報告書においても公表しております。

 

 

2020年度

排出量

(実績・基準)

2030年度までの10年間の削減目標

2022年度

排出量

(実績)

2023年度

排出量

(実績)

2030年度

排出量

(目標)

スコープ1

50,751t

スコープ1、スコープ2の排出量合計を、年平均4.2%、2030年度までの10年で42%削減する。[1.5℃水準]

42,472t

51,013t

36,630t

スコープ2

12,405t

8,717t

12,437t

スコープ3

 

(カテゴリー1)

419,722t

 

(356,629t)

カテゴリー1に分類される「購入した製品やサービスに係る排出量」を年平均2.5%、2030年度までの10年で25%削減する。[WellBelow2℃水準]

368,749t

 

(305,767t)

348,200t

 

(281,651t)

 

(267,471t)

 

なお、削減目標の達成に向けた具体的な取り組みについては、現在、前出のサステナブル経営戦略プロジェクトを中心に検討を進めているところです。

 

③ その他の事項

当社では、サステナブル重要テーマ(マテリアリティ)に関するその他の取り組みとして、以下の目標を設定しております。

■長期ビジョンおよび中期経営計画

(建設廃棄物のリサイクル率)

・2022年度(実績):96.2% 2023年度(実績):98.5% 2026年度(目標):98.0% 2030年度(目標):98.0%

(工事成績評点(対象年度平均))

・2022年度(実績):79.0点 2023年度(実績):79.3点 2026年度(目標):80点 2030年度(目標):80点

(役職員の安否確認訓練回答率(但し、訓練開始後、就業期間中:3時間以内、就業時間外:6時間以内))

・2023年度(実績):55.8% 2024年度(実績):50.8% 2026年度(目標):90% 2030年度(目標):90%

(コンプライアンス研修参加率)

・2023年度(実績):100% 2024年度(実績):100% 2026年度(目標):100% 2030年度(目標):100%

 

(注) 連結子会社においては、関連する指標のデータ管理が行われていないため、当社単体の指標、目標および実績を記載しております。

 

上記のほか、サステナビリティに関する考え方および取り組みに関する事項につきましては、その概要を統合報告書(https://www.seikitokyu.co.jp/sustainability/)において公表いたしております。

 

文中における見通し、予想等の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において入手可能な情報に基づき当社グループが判断したものであり、様々な不確定要素が内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経済情勢について

当社グループの事業内容のうち、主要な部分を占める建設事業および舗装資材製造販売事業の業績は、公共工事の発注動向に大きく影響されます。したがいまして、公共事業費の過度の縮減傾向は、当社グループの収益に悪影響を及ぼす可能性があります。また、同様の理由から取引先の経営状態が悪化した場合、貸倒れの発生等により当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 資材価格の変動について

当社グループで製造する舗装資材の主要な原材料はストレートアスファルトであり、原材料の仕入値は原油市場の動向に大きく左右されます。仕入価格の上昇を製品価格に転嫁できない場合、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、急激な需要動向の変化に伴う需給逼迫、あるいは為替の変動により資機材価格が上昇する可能性があるほか、建設事業につきましても同様に、資機材価格の高騰により利益率が低下する可能性があります。

 

(3) 法規制等について

当社グループは事業を遂行するうえで、建設業法、独占禁止法、労働安全衛生法等による法的規制等を受けております。当社グループでは、各種マニュアルの策定、教育・研修および内部監査の実施等により、これらの法的規制等の順守に努めておりますが、コスト増加や事業上の新たな制約につながる法的規制の新設や改廃、適用基準の変更等があった場合、または法的規制による行政処分等を受けた場合には、経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 契約不適合責任について

品質管理につきましては、品質保証に関する国際規格の認証を取得するなど、重要課題として取り組んでおりますが、当社グループの施工物件に契約不適合責任が発生した場合には、経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) シンジケートローンならびに金利の変動について

当社は安定的な金融取引体制の構築を目的として、金融機関数社との間にシンジケートローン契約を締結いたしておりますが、本契約には一定の財務制限条項が付されており、これらの条件に抵触した場合には期限の利益を喪失し、一括返済を求められる可能性があります。

また、本契約による借入金残高は全て変動金利によるものであり、将来の金利情勢の動向により当社グループの経営成績が変動する可能性があります。

 

(6) 関係会社等に関する重要事項について

当社は、その他の関係会社である東急株式会社および東急建設株式会社をはじめとする東急グループ各社との間で、工事受注等の取引を継続的に行っております。

 

(7) 国際事業の展開に伴うリスクについて

国際事業を展開するうえで、海外諸国の政治・経済情勢、為替や法的規制等、事業環境に著しい変化が生じた場合、売上高の減少等、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

 

(8) 感染症等の拡大に係るリスクについて

感染症等の拡大により、建設事業における工事の中止や、舗装資材製造販売事業における工場の操業停止を余儀なくされる事態に至った場合、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、工事の発注状況に大きな変動が生じた場合にも、(1)と同様の理由により悪影響を及ぼす可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の概要

① 経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用情勢の改善を背景に、緩やかな回復基調を辿りましたが、物価上昇の継続や米国の政策動向などへの懸念により、次第に先行きに対する警戒感が強まる展開となりました。

 道路建設業界におきましては、高速道路各社によるリニューアルプロジェクトや、政府による「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」の推進等により、工事の発注動向は底堅さを維持しましたが、ストレートアスファルトをはじめとした原材料価格が依然として高値圏で推移しており、予断を許さない事業環境となりました。

 このような情勢のもと、当社グループでは、『2030年のあるべき姿』を示す長期ビジョンおよびその第2フェーズとなる「中期経営計画(2024-2026年度)」に基づき、事業基盤のさらなる強靭化に努めるとともに、社会課題解決に貢献するサステナブル経営の推進にも注力し、「真に強靭な企業グループへ」の変革を加速させてまいりました。

 当連結会計年度における当社グループの業績につきましては、受注高(製品売上高およびその他の事業売上高を含む)は95,001百万円(前連結会計年度比1.0%減)、売上高は99,358百万円(同12.9%増)、経常利益は5,788百万円(同41.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は3,887百万円(同41.9%増)となりました。

 

 セグメントの概況を示すと、次の通りであります。

 なお、完成工事高、売上高および営業利益(セグメント利益)については、セグメント間の内部取引高等を含めた調整前の金額をそれぞれ記載しております。

 

「建設事業」

 当連結会計年度の業績につきましては、受注高は76,009百万円(前連結会計年度比2.8%減)、完成工事高は80,366百万円(同14.3%増)、営業利益は8,070百万円(同45.0%増)となりました。

 

「舗装資材製造販売事業」

 当連結会計年度の業績につきましては、製品売上高は33,935百万円(前連結会計年度比8.1%増)、営業利益は1,488百万円(同19.2%減)となりました。

 

「その他」

 当社グループでは、建設事業および舗装資材製造販売事業のほか、自動車等のリース事業や売電事業などを営んでおり、その他の事業における売上高は972百万円(前連結会計年度比2.0%増)、営業利益は158百万円(同8.0%減)となりました。

 

 

② 財政状態について

「資産の状況」

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末と比較し6,513百万円増加の82,556百万円となりました。売上債権が増加したことなどにより流動資産は4,079百万円の増加となり、また、退職給付に係る資産の増加などにより固定資産は2,433百万円の増加となりました。

 

「負債の状況」

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末と比較し5,354百万円増加の40,863百万円となりました。前連結会計年度末における長期借入金のうちシンジケートローン契約による5,000百万円が1年以内に返済期日を迎えることから、当連結会計年度末においてはその全額を流動負債に組替えて表示したことなどにより、流動負債は7,942百万円の増加、固定負債は2,588百万円の減少となりました。

 

「純資産の状況」

当連結会計年度末の純資産合計は、配当金3,283百万円の支払などの減少要因はありましたが、親会社株主に帰属する当期純利益3,887百万円を計上したことなどにより、前連結会計年度末と比較し1,159百万円増加の41,692百万円となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

「営業活動によるキャッシュ・フロー」

 当連結会計年度におきましては、税金等調整前当期純利益5,410百万円を計上しましたが、売上が減少した前連結会計年度と比較し、売上高および工事施工高が順調に伸長し、売上債権が大幅に増加したことなどにより、営業活動によるキャッシュ・フローは、971百万円の資金減少(前年同期は10,949百万円の資金増加)となりました。

 

「投資活動によるキャッシュ・フロー」

 当連結会計年度におきましては、アスファルト合材工場の設備更新や施工機械の取得、事務所の建替えに伴う支出などにより、投資活動によるキャッシュ・フローは1,339百万円の資金減少(前年同期は2,873百万円の資金減少)となりました。

 

「財務活動によるキャッシュ・フロー」

 当連結会計年度におきましては、配当金の支払や長期借入金の返済による支出などにより、財務活動によるキャッシュ・フローは3,376百万円の資金減少(前年同期は2,823百万円の資金減少)となりました。

 

以上に加え、現金及び現金同等物に係る換算差額を調整した結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は前連結会計年度の期末残高と比べ5,688百万円減少し、7,751百万円となりました。

 

 

④ 生産、受注及び販売の状況

イ. 受注実績

 

セグメントの名称

当連結会計年度(百万円)

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

建設事業

アスファルト舗装

57,944

1.2

コンクリート舗装

1,480

31.4

土木工事等

16,584

△16.3

76,009

△2.8

舗装資材製造販売事業

18,911

7.2

その他

81

△8.0

合計

95,001

△1.0

 

(注) セグメント間の内部取引については相殺消去しております。

 

ロ. 売上実績

 

セグメントの名称

当連結会計年度(百万円)

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

建設事業

アスファルト舗装

59,818

14.8

コンクリート舗装

1,553

23.5

土木工事等

18,994

12.1

80,366

14.3

舗装資材製造販売事業

18,911

7.2

その他

81

△8.0

合計

99,358

12.9

 

(注) 1 当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載しておりません。

2 主要相手先別売上状況

    総売上高に対する割合が100分の10以上に該当する相手先は次のとおりであります。

 前連結会計年度

該当する相手先はありません。

 当連結会計年度

該当する相手先はありません。

3 セグメント間の内部取引については相殺消去しております。

 

 

ハ. 建設事業における受注工事高、完成工事高及び繰越工事高

 

期別

工種別

前期繰越工事高
(百万円)

当期受注工事高
(百万円)


(百万円)

当期完成工事高
(百万円)

次期繰越工事高(百万円)

前連結会計年度

 

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

アスファルト舗装

22,417

57,243

79,660

52,114

27,546

コンクリート舗装

736

1,126

1,863

1,257

605

土木工事等

13,231

19,818

33,049

16,939

16,110

36,384

78,189

114,573

70,311

44,261

当連結会計年度

 

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

アスファルト舗装

27,546

57,944

85,490

59,818

25,671

コンクリート舗装

605

1,480

2,086

1,553

533

土木工事等

16,110

16,584

32,694

18,994

13,700

44,261

76,009

120,271

80,366

39,905

 

(注) 1 前期以前に受注した工事で契約の更改等により請負金額や工種に変更あるものについては、当期受注工事高にその増減額を含みます。

2 次期繰越工事高は、(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)に一致します。

 

なお、参考のため提出会社単独の事業の状況を次に示しております。

(建設事業)

a. 受注工事高の受注方法別比率

工事の受注方法は特命と競争入札に大別されます。

 

期別

区分

特命(%)

競争入札(%)

合計(%)

前事業年度

 

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

アスファルト舗装

55.2

44.8

100.0

コンクリート舗装

34.0

66.0

100.0

土木工事等

72.2

27.8

100.0

当事業年度

 

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

アスファルト舗装

61.7

38.3

100.0

コンクリート舗装

44.4

55.6

100.0

土木工事等

72.4

27.6

100.0

 

(注) 百分比は請負金額比であります。

 

 

 

b. 完成工事高

 

期別

区分

官公庁(百万円)

民間(百万円)

合計(百万円)

前事業年度

 

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

アスファルト舗装

19,371

28,019

47,391

コンクリート舗装

731

526

1,257

土木工事等

3,912

13,026

16,939

24,015

41,573

65,588

当事業年度

 

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

アスファルト舗装

23,970

30,601

54,571

コンクリート舗装

1,008

544

1,553

土木工事等

5,325

13,668

18,994

30,304

44,814

75,118

 

 

前事業年度の完成工事のうち主なものは次のとおりであります。

 

工事名称

発注者

東北自動車道R4盛岡管内舗装補修工事

東日本高速道路株式会社

東北自動車道宇都宮管理事務所管内舗装補修工事

東日本高速道路株式会社

北陸自動車道(特定更新等)富山管内舗装補修工事(2020年度)

中日本高速道路株式会社

神戸総合運動公園ユニバー記念競技場改修工事

神戸市

令和4年度西条維持出張所管内舗装修繕他工事

国土交通省中国地方整備局

 

 

当事業年度の完成工事のうち主なものは次のとおりであります。

 

工事名称

発注者

八戸自動車道R5八戸管内舗装補修工事

東日本高速道路株式会社

宮城県総合運動公園スタジアム等公認更新整備工事

宮城県

名神高速道路(特定更新等)一宮JCT~岐阜羽島IC間(上り線)舗装改良工事(2023年度)

中日本高速道路株式会社

京都高速道路事務所管内舗装補修工事(令和4年度)

西日本高速道路株式会社

舗装補修大規模修繕工事(2022-1-北)

阪神高速道路株式会社

 

 

 

c. 手持工事高(2025年3月31日現在)

 

官公庁(百万円)

民間(百万円)

合計(百万円)

18,816

19,884

38,701

 

 

手持工事のうち主なものは次のとおりであります。

 

工事名称

発注者

完成予定年月

首都圏中央連絡自動車道神崎大栄舗装工事

東日本高速道路株式会社

2027年7月

R6国道246号善波地区災害復旧その2工事

国土交通省関東地方整備局

2025年12月

北陸自動車道他(特定更新等)富山管内舗装補修工事(2024年度)

中日本高速道路株式会社

2026年12月

令和6年度玉島北部保守工事

国土交通省中国地方整備局

2026年3月

令和6年度沖縄自動車道(特定更新等)那覇IC~西原IC間舗装補修工事

西日本高速道路株式会社

2027年1月

 

 

(舗装資材製造販売事業)

製造及び販売状況

 

期別

アスファルト合材

その他
売上金額
(百万円)

売上高計
(百万円)

生産実績(千t)

売上数量(千t)

売上金額
(百万円)

前事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

1,582

1,213

12,741

5,360

18,101

当事業年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

1,548

1,201

13,233

6,145

19,379

 

(注) 1 アスファルト合材の生産実績と売上数量との差異は、当社の請負工事に使用した数量であります。

2 その他製品売上金額は、アスファルト乳剤、砕石等の販売による売上高であります。

 

(その他)

売上状況

前事業年度

15百万円

当事業年度

14百万円

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討の内容

① 経営成績について

受注高については、過去10年間の最高値となった前年実績と比較すると減少したものの、売上高については、工事の進捗が順調であったことや、製品の販売価格が上昇したことなどにより、前年実績を上回りました。損益面については、人的資本投資の拡充等による費用の増加はあったものの、工事利益の大幅な改善により、前年実績を上回る結果となりました。

当連結会計年度における当社グループの業績につきましては、受注高(製品売上高およびその他の事業売上高を含む)は95,001百万円(前連結会計年度比1.0%減)、売上高は99,358百万円(同12.9%増)、経常利益は5,788百万円(同41.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は3,887百万円(同41.9%増)となりました。

 

セグメントの経営成績につきましては、次の通りであります。

「建設事業」

建設事業におきましては、官公庁発注の大型工事の受注取り込みや、事業所の所在する地域顧客への営業強化に注力するとともに、インフラ老朽化対策や防災・減災分野等への営業展開にも取り組んでまいりました。また、現場における長時間労働の抑制や生産性の向上、業務効率化に向けたICT技術の活用も推し進めてまいりました。

当連結会計年度の業績につきましては、受注高は76,009百万円(前連結会計年度比2.8%減)となりましたが、高速道路関連工事など複数の大型工事の施工が順調に進捗したことなどにより、完成工事高は80,366百万円(同14.3%増)となりました。また、損益面については、施工高の増加に伴い工事の生産性が向上したことにより、資材価格や人件費上昇の影響を吸収し、営業利益は8,070百万円(同45.0%増)となりました。

 

「舗装資材製造販売事業」

舗装資材製造販売事業におきましては、原材料価格の高止まりが続くなか、製品需要の減少傾向が続き、厳しい事業環境となりましたが、製造コスト上昇分の販売価格への反映や、各拠点の市場規模・特性に応じた地域戦略の展開により、収益・販売量の確保に努めてまいりました。また、低環境負荷商品の販売強化にも取り組んでまいりました。

当連結会計年度の業績につきましては、アスファルト合材の販売価格が一定程度上昇したことなどにより、製品売上高は33,935百万円(前連結会計年度比8.1%増)となりましたが、変動費上昇の影響を吸収するには至らず、また、販売数量の減少、人件費や償却負担の増加もあり、営業利益は1,488百万円(同19.2%減)にとどまりました。

 

「その他」

当社グループでは、建設事業および舗装資材製造販売事業のほか、自動車等のリース事業や売電事業などを営んでおり、その他の事業における売上高は972百万円(前連結会計年度比2.0%増)、営業利益は158百万円(同8.0%減)となりました。

 

② 財政状態について

財政状態の概要につきましては、「(1) 経営成績等の概要 ② 財政状態について」に記載のとおりであります。

当社グループでは、ここ数年、将来の健全な存続と持続的成長に向け、機械装置の更新や施工用機械の取得など事業の根幹を支える投資に注力しておりますが、かかる投資については、主に自己資金により行われており、当連結会計年度末における固定比率につきましては75.1%となっております。

また、当連結会計年度末における純資産合計につきましては、配当金3,283百万円の支払などの減少要因はありましたが、親会社株主に帰属する当期純利益3,887百万円を計上したことなどにより、前連結会計年度末と比較し1,159百万円増加の41,692百万円となり、自己資本比率は50.5%となっております。

なお、財政状態については事業全体で管理を行っており、セグメントごとでの記載が困難なため記載しておりません。

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1) 経営成績等の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社グループでは、現行の「中期経営計画(2024-2026年度)」におけるキャピタル・アロケーション方針に基づき、株主還元、成長投資(設備投資及び戦略投資)、研究開発投資に3年間累計で220億円の支出を見込んでおります。

株主還元につきましては、安定的・積極的な配当に努めることを基本方針とし、株主還元指標を「DOE[純資産配当率]6%を目標(2025年3月期については8%を目標)」と定めており、3年間の配当金支払額は85億円を見込んでおります。当社の株主還元の考え方につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載しております。

成長投資につきましては、当社では、持続可能な事業基盤構築に向けた継続的・戦略的投資の実施が必要不可欠と考えており、工場・事務所・施工用機械等の維持更新および取得など、基幹事業の成長を目的とした設備投資に105億円、M&Aなどによる事業領域の拡大等を見据えた戦略投資に15億円の支出を見込んでおります。なお、計画初年度の投資額は、設備投資約15億円にとどまりましたが、引き続き、計画的かつ柔軟に、必要な投資を行ってまいります。

研究開発投資につきましては、環境負荷低減やDX技術開発など、サステナブル課題への対応や生産性の向上に向けた研究開発に15億円の支出を見込んでおります。

資金需要を満たすための財源については、営業活動によるキャッシュ・フローを基本としつつ、自己資本比率50%程度、DEレシオ0.3倍以下を目安に、長期借入、当座借越契約、コミットメントラインなどによる資金調達を行い、手元流動性を確保することも想定しております。当社では、運転資金を含む手元資金については、支出先行の事業モデル、請負工事の大型化・長期化の影響などを鑑み、月商の2倍程度の手元流動性は確保すべきと考えており、これらの考え方に基づき、信用格付「BBB+」相当を目安として、財務健全性の維持・向上を図っていく方針です。

2025年3月末現在における現金及び現金同等物の期末残高は7,751百万円(前連結会計年度末は13,440百万円)、有利子負債残高は6,706百万円(前連結会計年度末は6,806百万円)、自己資本は41,692百万円(前連結会計年度末は40,533百万円)、DEレシオは0.16倍(前連結会計年度末は0.17倍)となっております。

 

 

④ 中期経営計画における主要な計画数値について

「中期経営計画(2024-2026年度)」における主要な経営指標の計画値および実績については以下のとおりです。計画2年目となる2025年度においては、期首における豊富な手持工事などを考慮し、売上高については1年前倒しでの計画値達成を目標としております。

 

 主要経営指標[連結]

項 目

2024年度

実績

2025年度

予想

2026年度

計画

売上高

993億円

1,005億円

1,000億円

営業利益

58億円

59億円

60億円

当期純利益

39億円

39億円

40億円

ROE

9.5%

9.2%

9.5%

自己資本比率

50.5%

50%程度

 

 

⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因

当社グループでは、社会経済環境の不確実性が一層高まる状況において、本業のさらなる競争力強化はもとより、社会課題解決に向けたサステナビリティの推進など、中長期的な視点に立った経営の実践が重要であると認識しております。

当社グループといたしましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、長期ビジョンおよび中期経営計画に掲げる各種施策の取り組みを真摯に推し進め、「豊かな地域社会づくりに貢献する生活基盤創造企業」として、社会に対する永続的な価値の提供と、中長期的な企業価値ならびに株主価値の向上を実現してまいります。

なお、当社の業績に影響を与える可能性のある事項につきましては「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

⑥ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

文中における見通し、予想等の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において入手可能な情報に基づき当社グループが判断したものであり、様々な不確定要素が内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。

 

 

5 【重要な契約等】

当社は、株式会社三菱UFJ銀行をアレンジャーとするシンジケートローン契約を締結しており、その内容につきましては次のとおりであります。

 

(1) タームローン契約

①契約締結日 :2020年12月23日

②契約先の属性:都市銀行、信託銀行

③組成金額  :5,000百万円

④契約期間  :2020年12月28日から2025年11月28日まで(4年11ヶ月)

⑤担保の内容 :無担保

⑥財務上の特約(財務制限条項):

1. 2021年3月期以降の各決算期の期末日の貸借対照表及び連結貸借対照表における純資産の部の金額を、

 当該決算期の直前の決算期または2020年3月期の期末日の貸借対照表及び連結貸借対照表における純資

 産の部の金額のいずれか大きい方の75%以上にそれぞれ維持すること。

2. 2020年3月期以降の損益計算書及び連結損益計算書において、2期連続して経常損失を計上しないこと。

3. 2020年3月期以降の損益計算書及び連結損益計算書において、2期連続して当期純損失を計上しないこ

 と。

4. 2021年3月期以降の連結貸借対照表、連結損益計算書及び連結キャッシュ・フロー計算書に係るトータ

 ル・カバレッジ・レシオを15.0以下にそれぞれ維持すること。

 

(2) コミットメントライン契約

①契約締結日 :2022年12月27日(当初契約/1年毎更新)

②契約先の属性:都市銀行、信託銀行

③組成金額  :5,000百万円(借入限度額)

④契約期間  :2024年12月30日から2025年12月30日まで(1年)

⑤担保の内容 :無担保

⑥財務上の特約(財務制限条項):

2023年3月期以降の各決算期の期末日の連結貸借対照表における純資産の部の金額を、当該決算期の直前の決算期または2022年3月期の期末日の連結貸借対照表における純資産の部の金額のいずれか大きい方の75%以上にそれぞれ維持すること。

 

6 【研究開発活動】

近年、建設業を取り巻く環境も大きく変化しており、舗装に求められるニーズとして気候変動、労働人口の減少、高齢化、インフラの老朽化対策が喫緊の課題とされております。

このような状況のもと、当社では現行の「中期経営計画(2024-2026年度)」に即し、低炭素、建設DX、生産性向上、道路インフラの長寿命化に重点を置いた開発テーマを選定し、研究開発活動を行っております。

また、国土交通省が実施する「新技術導入促進計画」の技術公募にも積極的に参画し、開発技術の現場検証を行っております。

当社の研究開発活動は、技術研究所を中心に行われており、当連結会計年度における建設事業および舗装資材製造販売事業の研究開発費は、440百万円となりました。

 

主な研究開発

(1) 低炭素合材の開発

アスファルト混合物およびアスファルトプラントにおけるアスファルト混合物の製造工程に着目して低炭素合材の開発に取り組んでおります。

アスファルト混合物については、特殊添加剤等により材料を加熱せずに製造する混合物を開発し、室内レベルの検証まで完了しております。引き続き試験練り、試験施工を実施して混合物の性状確認、効果の検証を進めてまいります。また、中温化アスファルト混合物の製造工程における更なる製造温度の低減にも取り組んでおります。

 

(2) 代替アスファルトの開発

アスファルトについては、カーボンニュートラルや原油の減産、価格高騰の面から石油アスファルトに替わる新材料が今後必要となることが予想されます。このことから、石油アスファルトを使用しない新規バインダーを研究しております。

現在、国立研究開発法人土木研究所との共同研究「カーボンニュートラルに資するアスファルト代替舗装材料の研究開発」において試験施工を行い、促進載荷による同混合物の長期耐久性の評価、あわせて再生利用についての検証を行なっております。

 

(3) DX技術の開発

建設業界では生産性向上や慢性的な人手不足、働き方改革への対応として、建設機械の遠隔操作、無人化の取組みが進められています。当社では、舗装工事における中心的な施工機械であるアスファルトフィニッシャの遠隔操作・自動操舵システムを開発しております。当期までに複数の現場での検証を行い、国土交通省の実道で運転席にオペレータ不在でのアスファルトフィニッシャの遠隔操作の実証を行い一定の目途がつきました。今後は更に現場での実証を重ね、抜本的な建設現場の省人力化を図っていくi-Construction2.0を実現し、将来的には舗設作業の自動化を目指してまいります。

また、DX技術を活用して現場における品質管理、出来形管理を効率的かつ高精度で実施する手法の検討も行っております。

 

(4) 道路インフラの長寿命化

直轄国道や高速道路においては、舗装の長寿命化を図る上で路盤以下の耐久性向上が求められております。現在、当社では路盤の耐水性、耐久性向上に着目し、新たな路盤材料を開発し、室内レベルの検証まで完了しております。引き続き試験練り、試験施工を実施して混合物の性状確認、効果の検証を進めてまいります。

また、老朽化の進んだ道路インフラの維持管理においては、耐久性の高い維持補修材料が求められています。さらにSDGsの観点から、環境負荷の低い材料も求められております。このような背景のもと、当社では再生骨材を 50%以上配合しながらも、高い強度と付着力を有する段差修正材「αフラット」を開発・製品化し、エコマーク認定を取得いたしました。当製品は、舗装に生じたポットホールや橋梁ジョイント等の段差を修正するための補修材料であり、今後、当社の環境配慮製品として全国展開を図ってまいります。