第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)  会社の経営の基本方針

当社並びにグループ各社は、社是「顧客第一」と社名「大気社」が示す「エネルギー・空気・水」の環境対応技術を核として、グローバルに事業領域を拡大し、安定的かつ持続的な成長を目指します。そして全てのステークホルダーにとって魅力ある会社づくりをすすめ、社会に貢献してまいります。

 

(2)  目標とする経営指標及び中長期的な会社の経営戦略

平成28年5月16日に開示をしました平成29年3月期から平成31年3月期の中期経営計画(「中期経営計画について」)により開示を行った内容から重要な変更はございません。

当該開示資料の詳細につきましては、次のURLからご覧いただくことができます。

(当社ウェブサイト)

https://www.taikisha.co.jp/

(東京証券取引所ウェブサイト(上場会社情報検索ページ))

http://www.jpx.co.jp/listing/co-search/index.html

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(3)  対処すべき課題

①  経営基盤の強化

当社は、社会のニーズや市場環境の変化に柔軟・迅速に対応し、上記の経営の基本方針を実践するため、(ア)コーポレート・ガバナンス体制のさらなる充実、(イ)グローバルなコンプライアンス体制の強化、(ウ)人材力の向上、(エ)事業基盤強化のための戦略的な投資を積極的に行うことで、経営基盤を強化してまいります。

これらの項目を実現していくための具体的な実行計画を、各担当部門の年度方針に盛り込み、常に方針書に立ち戻りながら活動を継続しております。

 

②  成長が期待される市場や分野への注力による事業展開

当社は、一般ビルの空調設備の設計・施工から生産設備のエンジニアリングまでを行う環境システム事業部と、自動車を中心とした塗装プラントをエンジニアリングする塗装システム事業部の2事業部制で事業を展開しております。

環境システム事業部は、国内はもとより海外市場においても事業を引き続き拡大させてまいります。特にエネルギー負荷を減らし低炭素社会の要求にあった設備設計、既存設備のリニューアルや生産効率をあげるエンジニアリング、高効率の排気処理装置の販売、植物工場等の新規事業開拓など、環境ビジネスの充実を図ってまいります。また、原価管理を一層徹底し収益力を強化してまいります。

塗装システム事業部は、自動車の塗装・塗着効率の向上や塗装工場全体のエネルギー負荷を減らすといった総合エンジニアリング型ビジネスをさらに発展させ、インド、中国、米国及び欧州などで新設・改造される塗装プラントについて、日系自動車メーカーはもとより現地資本の自動車メーカーからの受注も増やして業績を伸ばしてまいります。また、航空機塗装等、自動車以外の塗装設備事業、新素材に対応する塗装技術、コンベヤシステム等の周辺領域へと事業を拡大してまいります。

 

③  法令順守の経営

当社は、上記の経営の基本方針に基づき、「法令とその精神を順守し、公正で自由な競争のもとに適正な取引を行い、透明性と高い倫理観で、顧客・取引先、株主、社員、地域・社会、地球環境に貢献する。」という経営ビジョンを策定しております。

この経営ビジョンは、当社が法令順守を経営の根幹におきながら、当社を取り巻くすべてのステークホルダーに対して価値を生み出し、社会的責任を果たしていく決意を示したもので、役員・社員に対するコンプライアンス研修の実施、内部通報制度の整備・周知、原則毎月開催のコンプライアンス委員会による順守状況の検証など、具体的施策を実行することにより法令順守の徹底に努めております。

今後も、法令順守を根幹とした、より一層高い透明性と倫理観のある経営を推進してまいります。

 

(4)  株式会社の支配に関する基本方針

①  当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針

当社は、当社株式の売買は市場に委ねられるべきものと考えており、当社株券等の大量買付行為を行う大量買付者による当社株券等の買付けの要請に応じて当社株式の売却を行うか否かは、最終的には当社株式を保有する株主の皆様のご判断によるものと考えております。また、大量買付者による経営への関与は、必ずしも企業価値を毀損するものではなく、それが当社の企業価値の拡大につながるものであれば何ら否定するものではありません。

しかしながら、大量買付行為を行う大量買付者の中には、その目的等に鑑みて、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を損なう恐れがある場合や株主の皆様に当社株式の売却を事実上強要する場合等、不適切な大量買付行為が実施される場合も存在すると考えております。

このような当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益に反する不適切な大量買付行為が実施される場合には、株主の皆様が大量買付者による買付け要請に応じるか否かについて判断を行うだけの必要十分な情報及び時間を確保することや当社が大量買付者との交渉の機会を確保することが必要であると考えております。

さらに、継続性を維持した企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を確保し、向上させるという目的を達成するためには、当社グループ内の各事業会社の位置付けや役割を十分に理解しつつ、より中長期的な観点から将来の展望を見据えて安定的な経営を目指していくことが必要であります。

このように、当社といたしましては、大量買付者による当社株券等の大量買付行為が行われた場合に、株主の皆様が、当社及び当社グループの特性を踏まえた上で、当該大量買付行為に応じるか否かを判断するために必要十分な情報及び時間を確保すること、また、当社が、大量買付者との交渉の機会を確保することが、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を確保し、向上させることにとって不可欠であると考えております。

 

②  基本方針の実現に資する特別な取組み

当社は、企業理念を「永続的に成長し、社会に貢献する会社づくり」、「魅力ある会社づくり」の二点に定めております。この企業理念を実現するために、当社は、付加価値増大を通じたステークホルダーの繁栄、技術を通じた豊かな環境の創造と産業社会の発展、仕事を通じた社員の自己実現、相互信頼・協調・合理性のある組織風土の醸成等を目指しております。このような当社が目指すところを経営ビジョンとして換言したものが「法令とその精神を順守し、公正で自由な競争のもとに適正な取引を行い、透明性と高い倫理観で、顧客・取引先、株主、社員、地域・社会、地球環境に貢献する。」であります。

以上の企業理念・経営ビジョンに基づき、平成29年3月期から平成31年3月期までの3ヶ年を計画期間とした中期経営計画の下、環境システム事業及び塗装システム事業を中心とした当社事業の持続的な発展を目指すとともに、企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を確保し、向上させることに努めてまいります。

また、当社は、企業価値を毀損する最大の経営リスクは法令違反であることを強く認識し、法令順守の実行を通じ、企業価値を高め、広く社会から評価されるべくコーポレート・ガバナンスを一層充実させることを、経営の最重要課題としております。取締役会、監査役会、経営会議、コンプライアンス委員会、内部監査室等の活動を通じて、また、内部統制システムの整備を通じて、建設業法や金融商品取引法をはじめとした関連諸法令の順守に努めております。

 

 

③  基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み

当社は、平成20年1月31日開催の取締役会において、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を確保し、向上させることを目的として、議決権割合を20%以上とする当社株券等の買付行為、又は結果として議決権割合が20%以上となる当社株券等の買付行為(以下、かかる買付行為を「大量買付行為」といい、大量買付行為を行う者を「大量買付者」といいます。)に対する対応策(買収防衛策)の導入を決議し、平成20年6月27日開催の当社第63回定時株主総会、平成22年6月29日開催の当社第65回定時株主総会、平成25年6月27日開催の当社第68回定時株主総会及び平成28年6月29日開催の当社第71回定時株主総会において、その内容の一部変更及び継続について株主の皆様にご承認をいただいております(以下、現在の買収防衛策を「本プラン」といいます。)。

本プランは、大量買付行為が行われる場合に、株主の皆様に当該大量買付行為に応じるか否かを適切にご判断いただくための必要十分な情報及び時間を確保するために、取締役会が、大量買付者に対して、事前に大量買付情報の提供を求め、当該大量買付行為についての評価、検討、大量買付者との買付条件等に関する交渉又は株主の皆様への代替案の提示等を行うとともに、原則として、取締役会からの独立性が高い社外取締役、社外監査役及び社外有識者の中から選任される委員で構成される独立委員会の勧告に従って、大量買付行為に対する対抗措置を発動するための手続(以下、「大量買付ルール」といいます。)を定めております。

大量買付者が、大量買付ルールを順守しなかった場合、又は大量買付ルールを順守している場合であっても、当該大量買付行為が、合理的かつ詳細に定められた客観的要件に該当するような、当社に回復し難い損害をもたらすことが明らかであると認められる行為である場合には、原則として、独立委員会の勧告に従って、対抗措置の発動を決定し、これを行うものとします。

具体的な対抗措置としては、新株予約権の無償割当てその他法令及び当社定款において取締役会の権限として認められているものの中から、その時々の状況に応じて、適切なものを選択するものとします。

 

④  前記取組みが、基本方針に沿い、株主の共同の利益を害するものではなく、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないことについて
ア  ②の取組みについて

上記②「基本方針の実現に資する特別な取組み」に記載した取組みは、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を継続的かつ持続的に確保・向上させるための取組みとして策定されたものであり、基本方針の実現に資するものです。

したがいまして、かかる取組みは、基本方針に沿い、当社の株主の皆様の共同の利益を害するものではなく、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではありません。

 

イ  ③の取組みについて

当社は、上記③「基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み」に記載した取組みは、以下の各理由により、基本方針に沿い、当社の株主の皆様の共同の利益を害するものではなく、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。

(ア)  買収防衛策に関する指針において定める三原則を完全に充足していること

本プランは、経済産業省及び法務省が平成17年5月27日付で公表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」において定められた(ⅰ)企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、(ⅱ)事前開示・株主意思の原則、(ⅲ)必要性・相当性確保の原則の三原則を完全に充足しております。

(イ)  企業価値研究会が公表した買収防衛策の在り方の趣旨を踏まえていること

本プランは、経済産業省に設置された企業価値研究会が平成20年6月30日付で公表した「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」の趣旨も踏まえた内容となっております。

(ウ)  株主の皆様の意思の重視と情報開示

本プランの有効期間は、第71回定時株主総会終了後3年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時株主総会(平成31年6月開催予定の第74回定時株主総会)の終結の時までとなっております。

ただし、本プランの有効期間満了前であっても、株主総会において本プランを廃止する旨の決議がなされた場合には、本プランはその時点で廃止されることになっており、この点においても、本プランの継続及び廃止は、株主の皆様の意思を尊重した形になっております。

さらに、対抗措置の発動の是非について、株主の皆様のご意思を確認する機会を設けるために、株主総会(以下「株主意思確認株主総会」といいます。)を開催することができるものとし、対抗措置の発動について、株主の皆様の意思を尊重して行うことを明らかにしております。

そして、株主の皆様に、本プランの廃止等の判断、大量買付行為に応じて当社株式の売却を行うか否かについての判断等の意思形成を適切に行っていただくために、取締役会は、大量買付情報その他大量買付者から提供を受けた情報を株主の皆様へ取締役会が適当と認める時期及び方法により開示することとしております。

(エ)  取締役会の恣意的判断を排除するための仕組み

当社は、本プランの導入及び継続にあたり、取締役会の恣意的判断を排除するために、独立委員会を設置しております。

当社に対して大量買付行為がなされた場合には、独立委員会が、大量買付行為に対する対抗措置の発動の是非等について審議・検討した上で取締役会に対して勧告し、取締役会は、原則として、独立委員会の勧告に従って決議を行うこととされており、取締役会の恣意的判断に基づく対抗措置の発動を可及的に排除することができる仕組みが確保されております。

さらに、本プランは、大量買付者が、本プランにおいて定められた形式的な大量買付ルールを順守しない場合又は大量買付者が、当社の企業価値を著しく損なう場合として合理的かつ詳細に定められた客観的要件を充足した場合にのみ発動することとされており、また、一定の場合には、株主意思確認株主総会を開催することができ、株主の皆様の過半数の賛成を得られた場合にのみ、対抗措置が発動されることとされており、この点においても、取締役会による恣意的な対抗措置の発動を可及的に排除する仕組みが確保されているものといえます。

(オ)  デッドハンド型やスローハンド型買収防衛策ではないこと

本プランは、取締役会により廃止することができるものとされていることから、デッドハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の過半数を交替させてもなお、発動を阻止できない買収防衛策)ではありません。また、当社は取締役の任期について期差任期制を採用していないため、本プランは、スローハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の交替を一度に行うことができないため、その発動を阻止するのに時間を要する買収防衛策)でもありません。

 

2 【事業等のリスク】

当社グループとして、有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、以下の事項には将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1)  民間設備投資の変動

世界的な経済情勢の変化等の影響を受けて、顧客の投資計画に中止・延期や内容の見直しなどが発生することにより、当社グループの業績に影響を及ぼす場合があります。

 

(2)  海外事業展開に伴うリスク

海外各地において展開している事業については、予期しない法規制の改正、政情不安等が、業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、外貨建工事契約に係る請負代金の入金及び発注代金の支払いについては、先物為替予約等のヘッジを実施するなど可能な限り為替リスクを回避しておりますが、なお為替変動による損失発生の可能性があります。さらに、連結財務諸表作成にあたっては在外連結子会社の財務諸表を換算するため、為替相場により業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)  請負工事における瑕疵担保責任

請負工事については、顧客との間の工事請負契約に基づき、竣工後一定期間、瑕疵担保責任を負っております。この瑕疵担保責任に伴って発生する費用について、過去の実績に基づき完成工事補償引当金を計上しておりますが、当該費用が引当金残高を上回って発生する可能性があります。

 

(4)  売上債権回収リスク

新規受注先に対しては信用調査により受注可否の判断を行い、既存受注先に対しては与信状況の定期的な見直しを行っておりますが、受注先の倒産等のため工事代金の回収が不能になることにより、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)  価格競争激化に伴うリスク

工事請負事業は受注競争が厳しい環境下にあり、同業他社との価格競争に陥る可能性があります。その結果、採算性が悪化し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)  資材価格の変動

建設資材等の調達価格が高騰し、これを受注金額に反映させることが困難な場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)  資産保有に伴うリスク

保有する不動産、有価証券等の時価の変動が業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)  退職給付制度に関するリスク

年金資産の時価の下落や運用利回りの悪化、割引率等数理計算上で設定される前提に変更があった場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(9)  自然災害・事故

予期しない自然災害、あるいは事故等により損失が発生し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループにおいては、危機管理体制の整備に努めておりますが、大規模・広域な自然災害の発生にあっては、当社グループの直接的な物的・人的被害のみならず、顧客の事業活動、ひいては経済情勢にまで影響が及び、その影響が長期化することによって、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 法令違反リスク

当社グループにおきましては、全社一丸となって法令を順守する経営の徹底に努めております。それにもかかわらず、なお当社グループの役員又は従業員が法令に違反する行為を行った場合には、当社グループの事業活動が制限され、業績に影響を与える可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、これらの会計基準に基づき、決算日における資産・負債及び収益・費用の数値に影響を与える見積りが行なわれているものがあります。

貸倒引当金、完成工事補償引当金、工事損失引当金等の引当金や繰延税金資産・負債、及び工事進行基準による完成工事高等に係わる見積りは、過去の実績や個々の状況等に基づき継続的に評価、判断しております。

なお、これらの見積りにつきましては、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。

 

(2) 経営成績

当連結会計年度における世界経済は、米国では個人消費の増加、企業業績や雇用情勢の改善などを背景に緩やかな拡大基調が続き、欧州でも個人消費や輸出の増加などが下支えとなり、緩やかな回復基調が続きました。中国では、政府の経済政策もあり景気は堅調に推移し、他のアジア地域も同じく堅調に推移しました。日本経済は、企業業績の改善や、雇用・所得環境の改善を背景に消費も持ち直しの動きが見られるなど、景気は緩やかな回復基調が続きました。

 

当社グループにおける市場環境につきましては、環境システム事業は、タイなどの海外市場におきましては日系顧客による設備投資は依然として低調な状況が続きました。一方、国内市場におきましては前期に引き続き東京都心における再開発を中心に建設需要が高い状況が続きました。また、スマートフォンや自動車電装品向け電子部品メーカーによる投資が好調に推移しました。

塗装システム事業は、競争環境は一段と厳しさを増しているものの、北米、中国で積極的な投資が行われ、インドでも投資拡大の動きがみられました。

 

このような環境のもと、当社グループは中長期的な成長を目指し、以下の取り組みを推進してまいりました。

まず、国内事業における施工対応力の強化と社員の残業時間の削減を目指し、セグメント間の人員のシフトや採用人数の拡大、ITの積極活用による現場業務の軽減などを推進しました。

さらに、コア事業を基軸とした事業領域の拡大についても積極的に取り組んでまいりました。

環境システム事業では植物工場「ベジファクトリー」事業において、顧客ニーズへの対応力の向上やさらなる海外展開を目指し、国内では東京都板橋区に実証開発センターを、海外ではタイのアユタヤにデモセンターを設立しました。

また、海外事業における電気工事の対応力強化を目的に、タイにおいて配電盤、制御盤の組立及び据付を事業内容とするBTE Co., Ltd.への資本参加を行いました。

塗装システム事業においては、グループ会社が連携し国内外において、航空機や鉄道車両等、自動車以外の塗装設備事業へ営業活動を推進しております。これらの新規事業における研究開発を加速させるべく、現在、神奈川県座間市に開発統合センター(仮称)の設立を進めております。

 

 

これらの結果、当連結会計年度の受注工事高は、海外は減少したものの国内で増加し、2,198億44百万円(前期比0.7%増加)となり、うち海外の受注工事高は、1,015億77百万円(前期比7.7%減少)となりました。

完成工事高は、国内、海外ともに増加し、2,318億98百万円(前期比15.6%増加)となり、うち海外の完成工事高は、1,161億70百万円(前期比17.6%増加)となりました。

利益面につきましては、環境システム事業が好調に推移し、完成工事総利益は327億79百万円(前期比46億22百万円増加)、営業利益は121億80百万円(前期比37億7百万円増加)、経常利益は130億82百万円(前期比32億40百万円増加)、親会社株主に帰属する当期純利益は72億54百万円(前期比9億49百万円増加)となり、すべて前期を上回りました。

 

セグメントごとの業績(セグメント間の内部取引高を含む)は次のとおりであります。

 

環境システム事業

受注工事高は、国内のビル空調分野で減少したものの、国内の産業空調分野および中国などで増加したことにより、前期を上回りました。完成工事高は、国内の産業空調分野および国内のビル空調分野で増加し、前期を上回りました。

この結果、受注工事高は、1,475億11百万円(前期比13.1%増加)となりました。このうちビル空調分野は、436億12百万円(前期比10.5%減少)、産業空調分野は、1,038億98百万円(前期比27.2%増加)となりました。完成工事高は、1,399億48百万円(前期比12.3%増加)となりました。このうちビル空調分野は、458億45百万円(前期比4.5%増加)、産業空調分野は、941億3百万円(前期比16.6%増加)となりました。セグメント利益(経常利益)につきましては118億85百万円(前期比19億4百万円増加)となりました。

 

塗装システム事業

受注工事高は、中国、東南アジアなどで増加したものの、前期に北米において自動車メーカーの大型設備投資があったことによる反動減などにより、前期を下回りました。完成工事高は、中国などで減少したものの、北米などで増加し、前期を上回りました。

この結果、受注工事高は、723億33百万円(前期比17.7%減少)となり、完成工事高は、920億29百万円(前期比21.0%増加)となりました。セグメント利益(経常利益)につきましては11億60百万円(前期は1億15百万円のセグメント損失(経常損失))となりました。

 

セグメントごとの受注工事高・完成工事高(セグメント間の内部取引高を含む)

区分

前連結会計年度

(自  平成28年4月1日
  至  平成29年3月31日)

(百万円)

当連結会計年度

(自  平成29年4月1日
  至  平成30年3月31日)

(百万円)

前期比

(%)

受注工事高

 

 

 

 

環境システム事業

ビル空調

48,739

43,612

△10.5

 

 

産業空調

81,690

103,898

27.2

 

 

小計

130,430

147,511

13.1

 

 

(うち海外)

(35,441)

(40,543)

(14.4)

 

塗装システム事業

 

87,893

72,333

△17.7

 

(うち海外)

 

(74,608)

(61,033)

(△18.2)

 

合計

 

218,323

219,844

0.7

 

(うち海外)

 

(110,050)

(101,577)

(△7.7)

完成工事高

 

 

 

 

環境システム事業

ビル空調

43,857

45,845

4.5

 

 

産業空調

80,708

94,103

16.6

 

 

小計

124,565

139,948

12.3

 

 

(うち海外)

(36,638)

(37,202)

(1.5)

 

塗装システム事業

 

76,085

92,029

21.0

 

(うち海外)

 

(62,210)

(79,016)

(27.0)

 

合計

 

200,650

231,977

15.6

 

(うち海外)

 

(98,849)

(116,219)

(17.6)

 

(注)  各事項の記載については、消費税等抜きの金額で表示しております。

 

 

生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

 

当社グループが営んでいる事業の大部分を占める設備工事業では生産実績を定義することが困難であり、設備工事業においては請負形態をとっているため販売実績という定義は実態にそぐいません。

よって、受注及び売上の状況については「セグメントごとの業績」において報告セグメントの種類に関連付けて記載しております。

 

なお、参考のため提出会社個別の事業の状況は次のとおりであります。

設備工事業における受注工事高及び完成工事高の状況

① 受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高

期別

区分

前期繰越
工事高
(百万円)

当期受注
工事高
(百万円)


(百万円)

当期完成
工事高
(百万円)

次期繰越
工事高
(百万円)

前事業年度

(自平成28年4月1日

 至平成29年3月31日)

環境システム
事業

ビル空調

49,343

46,149

95,493

41,490

54,002

産業空調

19,019

46,676

65,696

44,447

21,248

小計

68,363

92,826

161,189

85,938

75,251

塗装システム事業

11,138

19,395

30,533

19,439

11,094

合計

79,501

112,222

191,723

105,378

86,345

(うち海外)

(4,502)

(8,163)

(12,665)

(7,909)

(4,755)

当事業年度

(自平成29年4月1日

 至平成30年3月31日)

環境システム
事業

ビル空調

54,002

41,610

95,613

43,875

51,737

産業空調

21,248

63,306

84,555

56,901

27,654

小計

75,251

104,917

180,169

100,777

79,391

塗装システム事業

11,094

20,786

31,880

22,807

9,072

合計

86,345

125,703

212,049

123,584

88,464

(うち海外)

(4,755)

(12,378)

(17,134)

(12,327)

(4,806)

 

(注) 1  前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含んでおります。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれております。

2  次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)であります。

3  当期受注工事高のうち海外工事の割合は、前事業年度は7.3%、当事業年度は9.8%であります。

4  前事業年度及び当事業年度における海外受注工事高は当期受注工事高の10%を超えていないため、主要な海外受注工事についての記載を省略しております。

 

② 受注工事高の受注方法別比率

工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。

期別

区分

特命(%)

競争(%)

計(%)

前事業年度

(自平成28年4月1日

 至平成29年3月31日)

環境システム
事業

ビル空調

15.8

25.3

41.1

産業空調

28.8

12.8

41.6

小計

44.6

38.1

82.7

塗装システム事業

6.0

11.3

17.3

合計

50.6

49.4

100.0

(うち海外)

(3.4)

(3.9)

(7.3)

当事業年度

(自平成29年4月1日

 至平成30年3月31日)

環境システム
事業

ビル空調

15.0

18.1

33.1

産業空調

34.4

16.0

50.4

小計

49.4

34.1

83.5

塗装システム事業

2.9

13.6

16.5

合計

52.3

47.7

100.0

(うち海外)

(1.4)

(8.4)

(9.8)

 

(注)  百分比は請負金額比であります。

 

③ 完成工事高

期別

区分

国内

海外

合計
(B)
(百万円)

官公庁
(百万円)

民間
(百万円)

(A)
(百万円)

(A)/(B)
(%)

前事業年度

(自平成28年4月1日

 至平成29年3月31日)

環境システム
事業

ビル空調

4,897

36,593

41,490

産業空調

612

43,358

477

1.1

44,447

小計

5,509

79,951

477

0.6

85,938

塗装システム事業

12,007

7,432

38.2

19,439

合計

5,509

91,958

7,909

7.5

105,378

当事業年度

(自平成29年4月1日

 至平成30年3月31日)

環境システム
事業

ビル空調

6,729

37,146

43,875

産業空調

696

55,882

321

0.6

56,901

小計

7,426

93,029

321

0.3

100,777

塗装システム事業

10,801

12,006

52.6

22,807

合計

7,426

103,830

12,327

10.0

123,584

 

(注) 1  海外工事の地域別割合は、次のとおりであります。

地域

前事業年度(%)

当事業年度(%)

東南アジア

20.8

50.1

東アジア

45.2

18.3

その他

34.0

31.6

100.0

100.0

 

2  完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。

    前事業年度  請負金額30億円以上の主なもの

大成建設㈱

六本木三丁目東地区再開発

北京現代汽車有限公司

北京現代 第四新工場

㈱金沢村田製作所

金沢事業所 空調・衛生・ユーティリティー設備工事

 

    当事業年度  請負金額25億円以上の主なもの

大成建設㈱

西品川一丁目再開発 (A街区) 空調・衛生設備工事

東和薬品㈱

山形工場新棟 空調・衛生設備工事

㈱竹中工務店

新東京武田ビル 空調・衛生設備工事

 

3  完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりであります。

    前事業年度

該当する相手先はありません。

 

    当事業年度

㈱竹中工務店

12,929百万円

10.5%

 

 

④ 手持工事高  (平成30年3月31日現在)

区分

国内

海外

合計
(B)
(百万円)

官公庁
(百万円)

民間
(百万円)

(A)
(百万円)

(A)/(B)
(%)

環境システム事業

ビル空調

6,480

45,256

51,737

産業空調

142

27,491

20

0.1

27,654

小計

6,623

72,748

20

0.0

79,391

塗装システム事業

4,286

4,785

52.7

9,072

合計

6,623

77,035

4,806

5.4

88,464

 

(注) 手持工事のうち請負金額40億円以上の主なものは、次のとおりであります。

㈱金沢村田製作所

能美工場用立上げ改修設備工事

平成30年6月完成予定

ソニーセミコンダクタ
マニュファクチャリング㈱

長崎 Fab1 空調設備工事

平成30年12月完成予定

鹿島建設㈱

竹芝開発業務棟新築空調設備工事

平成32年5月完成予定

 

 

 

(3) 財政状態
(資産)

当連結会計年度末の流動資産は前期末に比べ5.4%増加し、1,611億74百万円となりました。これは現金預金が48億84百万円、受取手形・完成工事未収入金等が9億64百万円それぞれ増加したことなどによります。

当連結会計年度末の固定資産は前期末に比べ21.0%増加し、558億6百万円となりました。これは投資有価証券が50億95百万円、退職給付に係る資産が13億27百万円それぞれ増加したことなどによります。

この結果、当連結会計年度末の資産合計は前期末に比べ9.0%増加し、2,169億80百万円となりました。

 

セグメントごとの資産は次のとおりであります。

(環境システム事業)

当連結会計年度末の流動資産は前期末に比べ18.6%増加し、798億10百万円となりました。これは現金預金が16億3百万円、受取手形・完成工事未収入金等が103億円それぞれ増加したことなどによります。

当連結会計年度末の固定資産は前期末に比べ14.4%増加し、241億55百万円となりました。これは投資有価証券が27億65百万円増加したことなどによります。

その結果、当連結会計年度末の資産合計は前期末に比べ17.6%増加し、1,039億66百万円となりました。

(塗装システム事業)

当連結会計年度末の流動資産は前期末に比べ14.2%減少し、515億15百万円となりました。これは受取手形・完成工事未収入金等が93億40百万円減少したことなどによります。

当連結会計年度末の固定資産は前期末に比べ30.8%増加し、193億74百万円となりました。これは投資有価証券が22億72百万円、繰延税金資産が5億71百万円それぞれ増加したことなどによります。

その結果、当連結会計年度末の資産合計は前期末に比べ5.3%減少し、708億90百万円となりました。

 

(負債)

当連結会計年度末の流動負債は前期末に比べ5.8%増加し、937億44百万円となりました。これは支払手形・工事未払金等が53億3百万円、短期借入金が27億15百万円、未払法人税等が23億97百万円それぞれ増加し、未成工事受入金が36億73百万円減少したことなどによります。

当連結会計年度末の固定負債は前期末に比べ23.0%増加し、125億86百万円となりました。これは繰延税金負債が17億43百万円、長期借入金が6億20百万円それぞれ増加したことなどによります。

この結果、当連結会計年度末の負債合計は前期末に比べ7.6%増加し、1,063億30百万円となりました。

 

(純資産)

当連結会計年度末の純資産合計は前期末に比べ10.4%増加し、1,106億50百万円となりました。これはその他有価証券評価差額金が32億73百万円、退職給付に係る調整累計額が8億96百万円それぞれ増加し、自己株式が36億53百万円減少したことなどによります。

 

(4) キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期末に比べ106億20百万円増加し、422億92百万円(前期末は316億72百万円)となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フローの状況)

営業活動によるキャッシュ・フローは、未成工事受入金の減少や未払消費税等の減少などにより減少したものの、税金等調整前当期純利益の計上や仕入債務の増加などにより、93億37百万円の資金増加(前期は66億79百万円の資金増加)となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フローの状況)

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形及び無形固定資産の取得による支出が有形及び無形固定資産の売却による収入を上回ったことなどにより減少したものの、定期預金の払戻による収入が定期預金の預入による支出を上回ったことなどにより、13億90百万円の資金増加(前期は65億5百万円の資金減少)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フローの状況)

財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純増や長期借入れによる収入が長期借入金の返済による支出を上回ったことなどにより増加したものの、配当金の支払いや自己株式の取得などにより、8億85百万円の資金減少(前期は52億86百万円の資金減少)となりました。

(資本の財源及び資金の流動性)
① 資金需要

設備工事等のための材料費、労務費、外注費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに業務改革、技術開発、情報化投資、海外拠点の拡充など当社グループの市場競争力強化のための投資等に資金を充当しております。

② 資金の源泉

主として営業活動により稼得した資金のほか、金融機関からの借入により、必要資金を調達しております。また、運転資金の効率的な調達を行うため、主要取引銀行と貸出コミットメント契約を締結しております。

 

(5)  為替相場の変動による財政状態及び経営成績の変動状況

連結財務諸表を作成するにあたり、在外連結子会社の財務諸表を換算しているため、為替相場の変動により、総資産、キャッシュ・フロー、完成工事高及び経常利益に影響を受けております。主に米ドル、タイバーツ、ユーロ及びインドルピーの為替の変動が大きく影響しております。

 

第69期

第70期

第71期

第72期

第73期

平成26年3月

平成27年3月

平成28年3月

平成29年3月

平成30年3月

総資産のうち「為替換算調整勘定」

(百万円)

1,158

3,742

1,528

349

1,141

キャッシュ・フローにおける「現金
及び現金同等物に係る換算差額」
(百万円)

3,185

1,878

△1,700

△1,584

776

 

 

主な在外連結子会社における完成工事高及び経常利益に与える為替変動による影響

 

第72期

第73期

増減

為替変動による影響
A×B
(百万円)

平成29年3月

平成30年3月

TKS
Industrial
Company 
*1

完成
工事高

外貨ベース(米ドル  千)

168,477

184,856

2.09

386

換算レート(円)*5

110.30

 

112.39

円貨ベース(百万円)

18,583

 

20,776

経常利益

外貨ベース(米ドル  千)

△15,025

△11,041

2.09

△23

換算レート(円)*5

110.30

 

112.39

円貨ベース(百万円)

△1,657

 

△1,240

Taikisha
(Thailand)
Co., Ltd.
*2

完成
工事高

外貨ベース(タイバーツ  百万)

6,616

5,882

0.19

1,117

換算レート(円)*5

3.12

 

3.31

円貨ベース(百万円)

20,644

 

19,470

経常利益

外貨ベース(タイバーツ  百万)

139

△182

0.19

△34

換算レート(円)*5

3.12

 

3.31

円貨ベース(百万円)

436

 

△603

五洲大気社工程有限公司
*3

完成
工事高

外貨ベース(中国元  百万)

677

537

0.08

43

換算レート(円)*5

16.56

 

16.64

円貨ベース(百万円)

11,223

 

8,948

経常利益

外貨ベース(中国元  百万)

21

35

0.08

2

換算レート(円)*5

16.56

 

16.64

円貨ベース(百万円)

358

 

595

Geico S.p.A.
*4

完成
工事高

外貨ベース(ユーロ  千)

160,358

252,836

5.43

1,372

換算レート(円)*5

121.41

 

126.84

円貨ベース(百万円)

19,469

 

32,069

経常利益

外貨ベース(ユーロ  千)

6,347

3,192

5.43

17

換算レート(円)*5

121.41

 

126.84

円貨ベース(百万円)

770

 

404

Taikisha
Engineering
India Private
Ltd.

完成
工事高

外貨ベース(インドルピー  百万)

3,128

3,233

0.09

291

換算レート(円)*5

1.63

 

1.72

円貨ベース(百万円)

5,100

 

5,561

経常利益

外貨ベース(インドルピー  百万)

389

219

0.09

19

換算レート(円)*5

1.63

 

1.72

円貨ベース(百万円)

634

 

376

 

(注) *1  子会社4社を含んだ連結数値

*2  第72期は子会社5社、第73期は子会社6社を含んだ連結数値

*3  子会社1社を含んだ連結数値

*4  第72期は子会社7社、第73期は子会社7社及び持分法適用会社1社を含んだ連結数値

*5  換算レートは当該連結会計年度における期中平均レート

 

4 【経営上の重要な契約等】

特記事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

当連結会計年度における研究開発費は10億24百万円であります。

当社は、技術開発センター(神奈川県)、座間技術センター(神奈川県)、植物工場実証開発センター(東京都)、塗装システム事業部開発部門(大阪府)の4研究開発組織において、空調設備及び塗装設備の各分野における技術開発を前期に引き続き精力的に実施し、多くの成果を得ました。また、Geico S.p.A.(イタリア・ミラノ県・チニゼッロ・バルサモ)は、パルディスイノベーションセンターにおいて、塗装設備の分野における技術開発と改良を精力的に実施し、多くの成果を得ました。

 

セグメントごとの研究開発は以下のとおりであります。

 

(1)  環境システム事業

 

当連結会計年度における研究開発費の金額は5億27百万円であります。

 

①  ベジファクトリーにおける導入コストの低減

当社では、LED照明を用いた完全人工光型・水耕栽培植物工場における結球レタスの安定量産化に成功し、「ベジファクトリー」として国内外において販売しております。

当連結会計年度は、作物の生育段階ごとに照射するLED照明の強さを従来よりきめ細かく調整することにより、高品質な作物の栽培技術を確立しました。また、LED照明器具や反射板の性能評価を実施した結果、光量や発光効率の高いLED照明を使用することで灯数削減などが可能となり、導入コストの低減に成功しました。

今後は,空調設備の最適化や栽培装置の自動化などを進め,栽培コスト低減を進めてまいります。

 

②  直膨放射空調システムの開発

当社では、冷凍機の冷媒で空気を直接冷却する直膨空調システムの開発を進め、主に環境試験室に導入してまいりました。

当連結会計年度は、直膨方式による放射空調システムの開発を行いました。放射空調システムは、放射パネルの放射冷却により室内を冷房するシステムで、冷たい気流が人に直接当たらず、室内の温度ムラも少ないため、快適な空間の提供が可能になります。従来の方式では、放射パネル内の埋没配管に冷水を循環し、放射パネルの冷却を行います。このような水による従来の方式に対し、冷凍機の冷媒による直膨方式では、配管スペースの低減、漏水リスクの低減などの効果が期待できます。

直膨放射空調システムは、オフィスビル、医療・福祉施設など、環境試験室以外への展開も期待できるため、今後はさらなる販売拡大を図ってまいります。

 

③  RTO(蓄熱型直接燃焼装置)の省エネルギー性の向上

当社では、VOC(揮発性有機化合物)の排気処理装置の主力商品としてRTOを販売しております。RTOは燃焼排熱を蓄熱材に蓄熱し、これを処理ガスの予熱に再利用し、燃料消費量の低減を図る省エネルギー性の高い装置です。

当連結会計年度は、RTOについてこれまでに開発を行った、圧力変動を抑制するための新しい切替弁方式及び多塔化方式や、燃焼室の温度の均一化を図るための燃焼室内の構造最適化についての実証実験に注力してまいりました。これまでの開発成果を反映させた実大装置によるVOC処理の実証実験を行い、省エネルギー性能の向上を確認できました。

今後は開発成果を反映させた実大装置を顧客の生産現場に導入し、長時間の実運転での検証を進め、受注拡大を図ってまいります。

 

④  消音チャンバの性能向上

空調機によって温度調整された空気はダクトを通じて各部屋に送風されますが、空調機内に設置する送風機の騒音も各部屋に伝わります。この騒音を低減させるためにダクト経路内に消音チャンバと消音器を設置します。近年、オフィスビルでは空調機を設置する機械室のスペースが極端に狭くなっているため、消音器を機械室内に設置することが難しく、施工における課題となっております。

当社では、消音器を設置せずに消音チャンバのみで十分な消音性能を発揮させるために、消音チャンバの高性能化に取り組んでおります。当連結会計年度は、音響解析により消音チャンバの構成や仕様を最適化する設計技術を確立し、従来と比較して10dB以上の消音量の向上に成功いたしました。

今後は、国内連結子会社である日本ノイズコントロール㈱とともに試験導入などを行い、実用化を図ってまいります。

 

(2)  塗装システム事業

 

当連結会計年度における研究開発費の金額は4億96百万円であります。

 

①  「平型炉用新型エアシール」の開発

当社の主力設備の1つである乾燥炉は、乾燥炉本体が出入口より高い位置にある梯形炉と、乾燥炉本体が出入口と同じ高さにある平型炉の2種類があり、国内外における多数の自動車メーカーに採用いただいております。

従来は、乾燥炉本体が出入口より高いため、出入口熱損失の少ない梯形炉へのニーズが高い状況でした。しかし、近年では梯形炉と比較して短い工程長やイニシャルコストの削減において優位性がある、平型炉へのニーズが増加しております。従来の平型炉用エアシールは梯形炉と比較して出入口熱損失が多いという短所があります。そこで、当社では、当連結会計年度において、従来の平型炉と比べ大幅に出入口熱損失が少ない平型炉用新型エアシールを開発いたしました。

この平型炉用新型エアシールの開発により、熱損失低減に優れた梯形炉と同等の性能の平型炉を提供することが可能になりました。

国内外での受注がすでに複数決定しており、導入に向けて計画を進めております。今後も更なる改良・改善を継続し、顧客満足度の高い商品開発を進めてまいります。

 

②  「塗膜研磨・拾い研ぎシステム」の開発

当社は、自動車塗装で培った自動塗装技術をもとに、近年自動化が加速している航空機、鉄道車両の塗装ラインの自動化技術にも取り組んでおります。航空機および鉄道車両の塗装ラインは、自動車の塗装ラインと異なり、塗装の前工程において被塗装面の研磨を行うことが一般的であり、従来は主に手作業で行われておりました。しかし、近年は、作業環境の改善、研磨品質の安定化、研磨時間の短縮などへの対応のために、研磨作業の自動化へのニーズが高まっております。

当連結会計年度は、このニーズに対応するため、ロボットによる効率的な自動研磨システムの開発を行いました。その結果、ロボットによる高い再現精度により塗膜面を短時間で均一に研磨する塗膜研磨システムの供給が可能となりました。

また、鉄道車両のパテ塗膜研磨においては、凹凸のある塗膜の凸部を研磨し、パテ塗膜面を滑らかにすることが求められます。この作業は、同じ作業を繰り返す従来のロボットシステムでは対応することが困難です。そのため、ロボットシステムに視覚センサーを追加し、車両ごとに異なる塗膜凸部を検出し、塗膜凸部だけを研磨することが可能な拾い研ぎシステムを開発しました。

現在、中国最大の輸送車両製造メーカーへの納入に向けた検証テストを実施し、早期の受注を目指しております。

今後も、研磨システムの自動化への旺盛なニーズに対応するため、更に効率性と仕上り品質の高いシステムの開発に取り組んでまいります。

 

③  塗装ブース用搬送装置「Lean Dip HP」の改良

Geico S.p.A.は、塗装ブース用搬送装置である「Lean Dip HP」の販売拡大を進めております。

当連結会計年度は、「Lean Dip HP」の返送ラインの大幅な改良を行いました。「Lean Dip HP」は、前処理・電着ラインでの下地処理及び塗装をするための搬送装置であり、前処理電着塗装作業完了後、搬送用の台車は設備入口まで戻ります。従来、この返送ラインは作業を行う設備ラインと同規模のスペースが必要でした。そこで、必要スペースの低減を図るために、返送ラインの形状の大幅な改良を行い、従来より30%のスペース低減に成功しました。

改良版「Lean Dip HP」は顧客から高い評価をいただき、大手自動車メーカーへの導入に向けた検討が進められております。今後もさらに顧客のニーズに応えられる新商品の開発を行い、受注拡大を進めてまいります。

 

④  「Industry4.0」への対応

Geico S.p.A.は、「Industry4.0」の技術導入を視野に入れた顧客のニーズに対応するためのシステム開発を積極的に進めております。その開発コンセプトに対し、「SURCAR Cannes 2017」において、「The Award for Innovation」の栄誉ある賞を受賞いたしました。

今後は、VR技術、AR技術などの新しい技術を取り入れたメンテナンスシステムの開発をはじめとし、実ラインへの導入に向けた検討を進めてまいります。