文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、創業理念(社是)「顧客第一」と社名「大気社」が示す「エネルギー・空気・水」の環境対応技術を核として、グローバルに事業領域を拡大し、安定的かつ持続的な成長を目指します。そして全てのステークホルダーにとって魅力ある会社づくりをすすめ、社会に貢献してまいります。
当社グループは、2019年5月15日に開示しました中期経営計画において、「特色あるエンジニアリングを通じ、最適な環境を創造するグローバルな企業グループを目指す」ことを長期ビジョンとして掲げ、次の3つを重点項目としております。
エネルギー・空気・水に関わる技術で、お客様の多様なニーズを満たすエンジニアリング集団を目指す。
先進的なソリューション技術でお客様の環境課題を解決し、豊かな地球環境を未来へ引き継ぐことに貢献する。
個人の創造性・多様性を尊重し、社員が自己の成長と働く喜びを感じることができる風土を大切にする。
当社グループは、2019年5月15日に、2020年3月期から2022年3月期の中期経営計画を公表いたしました。その概要は以下のとおりであります。
(単位:億円)
(注) 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、当社が2019年5月15日に公表した中期経営計画の前提となった事業環境とは大きく異なってくる恐れがあります。現在、影響を評価中ですが、中期経営計画の変更が必要となった時点で、速やかにお知らせいたします。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、「特色あるエンジニアリングを通じ、最適な環境を創造するグローバルな企業グループを目指す」という長期ビジョン達成のために、①グローバル市場における確固たる地位の確立、②将来への取り組みの強化、③魅力ある会社作りと強固な経営基盤の構築、を経営課題と定めております。
当社グループは、今後さらに競争力・収益力を高め、国内外設備業界における確固たる地位の確立を目指してまいります。「グローバル市場における確固たる地位の確立」の実現に向けて、以下の施策に取り組んでまいります。
(ア) 事業基盤の強化
環境変化、景気変動への対応力のあるバランスの取れた事業ポートフォリオの構築や、安定的な調達先、協力会社の確保、健全な財務基盤の維持により、事業基盤の強化を図ってまいります。
(イ) 競争力の向上
省エネ・省コスト・環境対応技術や自動化技術などにおける付加価値の向上を目指してまいります。また、研究所の拡充・活用による技術開発力の強化と、技術の見える化によりお客様への提案力を強化してまいります。さらに、IoT・AIなどを活用した新たなソリューションの開発推進、PR力強化による企業認知度の向上に取り組み、競争力の向上を図ってまいります。
(ウ) 収益性の向上
成長市場に経営資源を重点的に配分してまいります。また、現場作業の工法・業務プロセスの改善と水平展開、IT活用の推進などによる生産性の向上を図ってまいります。さらに、プロジェクト管理体制の強化により、収益性の向上を図ってまいります。
当社グループは、今後の市場環境の変化を見据え、ビジネス機会とする仕組み・体制づくりを推進してまいります。「将来への取り組みの強化」の実現に向けて、以下の施策に取り組んでまいります。
(ア) 事業領域の拡大
既存主要事業領域の深化及び、植物工場事業や自動車以外の大型自動塗装事業などの新規事業の拡大を図ってまいります。また、未進出国への事業拡大を目指してまいります。さらに、海外グループ企業とのアライアンス推進による海外顧客のニーズへの対応力強化により事業領域を拡大してまいります。
(イ) 環境対応
空調事業で培った技術力を活かし、温室効果ガスや環境負荷物質の削減など、お客様の環境課題への解決力の強化を図ってまいります。また、当社グループの事業を通じてSDGs、ESGなどの社会的ニーズへの対応を新たなビジネス機会として追求し、環境問題に対応してまいります。
当社グループは、会社の魅力を高める人材戦略と社会的信用を高めるコーポレート・ガバナンス体制の強化を進めてまいります。「魅力ある会社づくりと強固な経営基盤の構築」の実現に向けて、以下の施策に取り組んでまいります。
(ア) 人材戦略
柔軟な働き方を可能にする制度の拡充や処遇の向上、勤務時間の低減など、会社の魅力を高める施策による人材の確保を目指してまいります。また、キャリアプラン制度の浸透により、社員の能力伸長とやる気の向上を図ってまいります。さらに、多様な人材の活用による人的資源と組織力の増強や各海外子会社の状況に合わせた社員の確保を図ってまいります。
(イ) ガバナンスの強化
取締役会の監督機能の向上、資本コストを意識した経営の実践などによりコーポレート・ガバナンス体制を強化してまいります。また、国内外における内部統制を強化してまいります。さらに、法務リスク、情報セキュリティ、コンプライアンスなどに関し、グローバルなリスク管理体制を拡充してまいります。
コーポレート・ガバナンス体制のさらなる強化のため、役員・社員に対するコンプライアンス研修の実施、内部通報制度の整備・周知、原則毎月開催のコンプライアンス委員会による順守状況の検証など、具体的施策を実行し、法令順守の徹底に努めております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの事業においては、受注環境の変化が、売上、利益に大きく影響を与える可能性があります。環境システム事業では、国内における再開発案件の延期や製造業の設備投資の減少、オリンピック後の投資回復の遅れ、海外における日系企業の投資の減少、塗装システム事業では、国内自動車メーカーの国内生産縮小の継続や世界的な自動車販売の低迷による設備投資の減少、「CASE」(Connected(コネクティッド)、Autonomous/Automated(自動化)、Shared(シェアリング)、Electric(電動化))の流れによる投資分野の変化により、受注工事高が減少することで当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
これに対し環境システム事業では、国内において顧客層の裾野の拡大や原価低減活動の推進によるコスト競争力の更なる強化を進めていくとともに、海外では、現地系及び欧米系企業への営業体制の強化、国内営業と連携した日系メーカーへの受注活動の推進を行ってまいります。また、塗装システム事業では、自動化技術を軸とし、四輪・二輪車市場に加え、航空機・鉄道市場への参入を進め、オートメーション事業の拡大を目指してまいります。
当社グループが事業を展開する地域において、地震、津波、風水害等の自然災害や、感染症等の世界的流行が発生したことで損失が発生し、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社グループにおいては、大規模・広域な自然災害の発生にあっては、当社グループの直接的な物的・人的被害のみならず、顧客の事業活動、ひいては経済情勢にまで影響が及び、その影響が長期化することによって、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
これに対し国内外の不測の災害や事故、事件などの発生に備え、危機管理の基本方針を定め、危機管理体制を構築しています。危機が発生した場合、人命や事業継続に対する影響度に応じて対応レベルを3段階に区分し、それぞれのレベルに対応した危機対策を実施することを定めています。
2020年初めに顕在化した新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大により、従業員への被害、建設資材の調達遅延や建設工程の停止などの影響で、当社グループの経営成績等への影響を及ぼす可能性が高まっております。影響額につきましては、当連結会計年度末現在において合理的に算定することは困難であります。
新型コロナウイルス(COVID-19)の対策につきましては、最も高い対応レベルでの危機対策を実施することとし、社長を対策本部長とし、事業部長、本部長等を構成員とする、危機対策本部を立ち上げ、グループ全体の対応に当たっております。
海外各地において展開している事業については、予期しない法規制の改正、政情不安等が業績に影響を及ぼす可能性があります。外貨建て工事契約に係る請負代金の入金及び発注代金の支払いについて為替変動による損失発生の可能性があります。さらに、連結財務諸表作成にあたっては海外関係会社の財務諸表を換算するため、為替相場の変動により当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。また、事前に想定できなかった問題の発生やこれらのリスクに対処できないことなどにより、海外関係会社の事業計画が達成できないなど業績が悪化し、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
これに対し海外進出先の政治・経済や法令の動向について情報収集を行い、カントリーリスク・海外の法規制リスクの抑制に努めます。外貨建工事契約に係る請負代金の入金及び発注代金の支払いから発生する為替リスクについては、先物為替予約等のヘッジを実施するなど、可能な限りリスクの回避をしております。また、海外関係会社のガバナンス体制の高度化を進めてまいります。
省エネルギー、環境対策の改善・向上、オートメーション化等、顧客からの高まるニーズに対応したシステムの開発が遅れた場合、技術競争力が低下し、受注機会損失や顧客からの信頼度や企業評価の低下などにより、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
これに対し、環境負荷低減技術、自動化技術の開発・実証を進め、社会的課題解決を目指してまいります。そのために、情報通信技術を活用し、グループ組織横断的な活動の強化により、社会のニーズを先取りしたテーマに取り組んでまいります。
当社グループの事業分野である、建設業・設備工事業は、人材に大きく依存しております。国内においては、高齢化の進展や技術者育成の遅れにより、スキル・経験を有する技術者が不足し、中長期計画を達成するための施工体制が構築できないといった、業績への影響が発生する可能性があります。また、海外においても、現地従業員の育成の遅れや離職により、現地化推進を担う中核人材が確保できず、長期的な海外事業展開に影響が発生する可能性があります。
これに対し研修を通じた基礎技術力の向上と現場における実践教育により、社員の技術力アップを図り、人材の育成を進めてまいります。また、情報技術を活用し、生産性を高めることにより、働き方改革を進め、魅力ある職場づくりを行い、人材確保に努めます。
また、海外においても、グローバル人事制度の導入により、中核人材の確保と育成に努め、現地化を進めてまいります。
当社グループの事業分野は、建設業法、独占禁止法、労働基準法をはじめ、多くの法的規制を受けており、当社グループ役員または従業員が法令に違反する行為を行った場合には、当社グループの事業活動が制限され、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
これに対し法令順守の維持・意識の向上を図るため、コンプライアンス教育プログラムの継続的な実施とフォローを行い、ルール違反を起こさない風土・仕組みづくりをしてまいります。
施工段階における重大事故、品質不具合等の重大な瑕疵が発生した場合、社会的信用の失墜、及び業績面の影響が発生する可能性があります。請負工事については、顧客との間の工事請負契約に基づき、竣工後一定期間、瑕疵担保責任を負っており、この瑕疵担保責任に伴って発生する費用について、過去の実績に基づき完成工事補償引当金を計上しておりますが、当該費用が引当金残高を上回って発生することで、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
これに対し当社グループは、安全管理体制の強化に努め、建設現場における安全衛生管理には万全の対策を講じています。また、事故発生や品質不具合に備え,各種損害保険等に加入する等の対策も講じ、リスクの抑制に努めております。
建設資材の調達価格や労務単価等が高騰し、これを請負金額に反映させることが困難な場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
これに対し受注時の地域別適正原価の把握や、契約における物価変動リスクのヘッジなどを通じ、資材価格及び労務単価の変動リスクの抑制に努めております。
年々、高度化、多様化、巧妙化するサイバー攻撃や、従業員の不正による故意のデータ持出し等により、個人情報や顧客情報等の機密情報が漏洩した場合、信用の失墜や損害賠償などにより、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
これに対しITセキュリティの強化、社内規程の整備、社員教育の徹底等を進め、機密情報の外部への流出防止に努めております。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、これらの会計基準に基づき、決算日における資産・負債及び収益・費用の数値に影響を与える見積りが行なわれているものがあります。
見積りを行なう項目として、貸倒引当金、完成工事補償引当金、工事損失引当金等の引当金、退職給付会計、繰延税金資産・負債、固定資産の減損会計、のれん及び工事進行基準による完成工事高が該当します。
その中でも重要なものとして繰延税金資産・負債、固定資産の減損会計、のれん及び工事進行基準による完成工事高に関する見積りは、その計上にあたり将来の課税所得、事業計画、実行予算等の各種仮定を含めて過去の実績や個々の状況等に基づき継続的に評価、判断しております。また、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表 注記事項 (追加情報)(新型コロナウイルス感染症拡大に伴う会計上の見積りについて)」をご参照ください。
なお、これらの見積りにつきましては、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。
当連結会計年度における世界経済は、米中貿易摩擦に加え、年明け以降、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、国内外とも需要が落ち込み、経済環境が大幅に悪化しました。米国では個人消費を中心に内需は堅調に推移しましたが、外需の低迷などにより景気は減速傾向となりました。欧州では外需の落ち込みや英国のEU離脱をめぐる混乱などにより景気の減速が続きました。また、中国においても米中貿易摩擦の影響により企業の設備投資や個人消費が減少するなど、全体として景気の回復力が弱い状況が続きました。日本経済では雇用・所得環境の改善などにより個人消費は緩やかに回復しましたが、世界景気の回復力の鈍化を背景に輸出が弱含んでおり、全体としては横ばいで推移しました。
当社グループにおける市場環境につきましては、国内市場は米中貿易摩擦などの影響により、電子部品メーカーなどで調整局面が見られましたが、首都圏におけるオフィスビルの建設投資や製薬メーカーなどによる設備投資もあり、需要は堅調に推移しました。一方、海外市場は、景気の減速感が強まっているものの、フィリピンにおいては電子部品メーカー、北米においては自動車メーカーによる需要が好調に推移しました。
当社グループは中長期的な成長を目指し、当連結会計年度よりスタートした中期経営計画の各戦略における取り組みを推進してまいりました。
まず、コア事業を基軸とした事業領域の拡大に向けた取り組みとして、航空機や鉄道車両等、自動車以外の塗装設備事業における研究開発を加速させるべく、海外グループ企業とのアライアンスの推進に取り組み、当連結会計年度はEncore Automation LLCへの出資比率を100%へ引き上げました。今後はEncore社と航空機塗装向け自動化システムなどの技術をさらに深化させ、グローバルに展開してまいります。
次に海外事業においては、海外展開のさらなる強化を目指し今後の投資が期待できる地域への新規拠点の設立に取り組み、当連結会計年度はラオスに新たな連結子会社を設立しました。
また、国内事業におきましては、豊富な建設需要への対応力強化や働き方改革の推進のため、図面作図・積算業務の自動化システムの開発などの生産性向上への取り組みや、テレワーク制度の策定による人材確保への取り組みなどを行いました。
このような状況のもと、当連結会計年度の受注工事高は、国内・海外ともに減少し、2,269億9百万円(前期比6.2%減少)となり、うち海外の受注工事高は、1,023億12百万円(前期比8.7%減少)となりました。
完成工事高は、国内は増加したものの海外で減少し、2,253億78百万円(前期比0.0%減少)となり、うち海外の完成工事高は、930億29百万円(前期比12.3%減少)となりました。
利益面につきましては、完成工事総利益は376億94百万円(前期比14億40百万円増加)、営業利益は154億39百万円(前期比14億4百万円増加)、経常利益は159億91百万円(前期比9億6百万円増加)、親会社株主に帰属する当期純利益は91億32百万円(前期比2億90百万円増加)となりました。
セグメントごとの業績(セグメント間の内部取引高を含む)は次のとおりであります。
環境システム事業
受注工事高は、国内では産業空調分野は前期に大型案件の受注があったことによる反動減となったもののビル空調分野は増加し、また海外ではフィリピンやタイなどで増加したことから、全体としては前期を上回りました。完成工事高は、海外ではタイなどで減少したものの、国内においてはビル空調分野が大きく増加したことに加え、産業空調分野も増加したことから、全体としては前期を上回りました。
この結果、受注工事高は、1,605億22百万円(前期比1.2%増加)となりました。このうちビル空調分野は、477億55百万円(前期比2.2%増加)、産業空調分野は、1,127億67百万円(前期比0.8%増加)となりました。完成工事高は、1,573億78百万円(前期比5.5%増加)となりました。このうちビル空調分野は、549億63百万円(前期比19.1%増加)、産業空調分野は、1,024億14百万円(前期比0.6%減少)となりました。セグメント利益(経常利益)につきましては138億93百万円(前期比3億25百万円増加)となりました。
塗装システム事業
受注工事高は、北米などで増加したものの、前期に欧州で大型案件の受注があったことによる反動減などにより、前期を下回りました。完成工事高は、国内で増加したものの、北米、ロシアなど海外で減少し、前期を下回りました。
この結果、受注工事高は663億87百万円(前期比20.3%減少)となりました。完成工事高は、680億6百万円(前期比10.8%減少)となりました。セグメント利益(経常利益)につきましては、前期は第2四半期会計期間に北米のプロジェクトにおいて採算が悪化した影響がありましたが、その影響が解消したため、28億14百万円(前期比11億37百万円増加)となりました。
セグメントごとの受注工事高・完成工事高(セグメント間の内部取引高を含む)
(注) 各事項の記載については、消費税等抜きの金額で表示しております。
当社グループが営んでいる事業の大部分を占める設備工事業では生産実績を定義することが困難であり、設備工事業においては請負形態をとっているため販売実績という定義は実態にそぐいません。
よって、受注及び売上の状況については「セグメントごとの業績」において報告セグメントの種類に関連付けて記載しております。
なお、参考のため提出会社個別の事業の状況は次のとおりであります。
設備工事業における受注工事高及び完成工事高の状況
① 受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高
(注) 1 前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含んでおります。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれております。
2 次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)であります。
3 当期受注工事高のうち海外工事の割合は、前事業年度は8.1%、当事業年度は4.4%であります。
4 前事業年度及び当事業年度における海外受注工事高はそれぞれ当期受注工事高の10%を超えていないため、主要な海外受注工事についての記載を省略しております。
② 受注工事高の受注方法別比率
工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。
(注) 百分比は請負金額比であります。
③ 完成工事高
(注) 1 海外工事の地域別割合は、次のとおりであります。
2 完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。
前事業年度 請負金額25億円以上の主なもの
当事業年度 請負金額25億円以上の主なもの
3 完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりであります。
前事業年度
当事業年度
④ 手持工事高 (2020年3月31日現在)
(注) 手持工事のうち請負金額45億円以上の主なものは、次のとおりであります。
当連結会計年度末の流動資産は前期末に比べ0.0%減少し、1,689億58百万円となりました。これは現金預金が55億19百万円、有価証券が25億円それぞれ増加し、受取手形・完成工事未収入金等が79億79百万円減少したことなどによります。
当連結会計年度末の固定資産は前期末に比べ14.2%減少し、464億30百万円となりました。これは投資有価証券が49億90百万円、退職給付に係る資産が7億30百万円、繰延税金資産が11億92百万円、のれんが5億76百万円それぞれ減少したことなどによります。
この結果、当連結会計年度末の資産合計は前期末に比べ3.4%減少し、2,153億89百万円となりました。
セグメントごとの資産は次のとおりであります。
(環境システム事業)
当連結会計年度末の流動資産は前期末に比べ4.5%減少し、726億67百万円となりました。これは現金預金が24億61百万円増加し、受取手形・完成工事未収入金等が60億79百万円減少したことなどによります。
当連結会計年度末の固定資産は前期末に比べ12.7%減少し、217億85百万円となりました。これは投資有価証券が35億23百万円減少したことなどによります。
その結果、当連結会計年度末の資産合計は前期末に比べ6.5%減少し、944億53百万円となりました。
(塗装システム事業)
当連結会計年度末の流動資産は前期末に比べ12.9%減少し、506億50百万円となりました。これは現金預金が54億15百万円、受取手形・完成工事未収入金等が10億32百万円それぞれ減少したことなどによります。
当連結会計年度末の固定資産は前期末に比べ21.8%減少し、139億44百万円となりました。これは投資有価証券が15億20百万円、繰延税金資産が12億57百万円、のれんが5億76百万円それぞれ減少したことなどによります。
その結果、当連結会計年度末の資産合計は前期末に比べ15.0%減少し、645億95百万円となりました。
当連結会計年度末の流動負債は前期末に比べ4.9%減少し、939億24百万円となりました。これは支払手形・工事未払金等が17億88百万円増加し、短期借入金が44億31百万円、未払法人税等が12億29百万円それぞれ減少したことなどによります。
当連結会計年度末の固定負債は前期末に比べ19.0%減少し、86億22百万円となりました。これは繰延税金負債が13億79百万円、長期借入金が11億24百万円それぞれ減少したことなどによります。
この結果、当連結会計年度末の負債合計は前期末に比べ6.3%減少し、1,025億46百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は前期末に比べ0.7%減少し、1,128億43百万円となりました。これは利益剰余金が58億58百万円増加し、その他有価証券評価差額金が34億65百万円、資本剰余金が21億86百万円、退職給付に係る調整累計額が8億74百万円それぞれ減少したことなどによります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期末に比べ89億85百万円増加し、588億46百万円(前期末は498億61百万円)となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支払などにより減少したものの、税金等調整前当期純利益の計上や売上債権の減少などにより、213億86百万円の資金増加(前期は91億59百万円の資金増加)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の払戻による収入が定期預金の預入による支出を上回ったことなどにより増加したものの、有形及び無形固定資産の取得による支出が有形及び無形固定資産の売却による収入を上回ったことなどにより、8億77百万円の資金減少(前期は28億30百万円の資金減少)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純減、配当金の支払、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出などにより、114億75百万円の資金減少(前期は23億96百万円の資金増加)となりました。
設備工事等のための材料費、労務費、外注費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに業務改革、技術開発、情報化投資、海外拠点の拡充など当社グループの市場競争力強化のための投資等に資金を充当しております。
主として営業活動により稼得した資金のほか、金融機関からの借り入れにより、必要資金を調達しております。また、運転資金の効率的な調達を行うため、主要取引銀行と貸出コミットメント契約を締結しております。
連結財務諸表を作成するにあたり、在外連結子会社の財務諸表を換算しているため、為替相場の変動により、総資産、キャッシュ・フロー、完成工事高及び経常利益に影響を受けております。主に米ドル、タイバーツ、ユーロ及びインドルピーの為替の変動が大きく影響しております。
主な在外連結子会社における完成工事高及び経常利益に与える為替変動による影響
(注) *1 子会社4社を含んだ連結数値
*2 子会社6社を含んだ連結数値
*3 子会社1社を含んだ連結数値
*4 子会社6社及び持分法適用関連会社1社を含んだ連結数値
*5 換算レートは第74期及び第75期における期中平均レート
特記事項はありません。
当連結会計年度における研究開発費は
当社は、技術開発センター(神奈川県)、テクニカルセンター(神奈川県)、植物工場実証開発センター(東京都)の3研究開発組織において、空調設備及び塗装設備の各分野における技術開発を前期に引き続き精力的に実施し、多くの成果を得ました。また、Geico S.p.A.(イタリア・ミラノ都市圏・チニゼッロ・バルサモ)は、パルディスイノベーションセンターにおいて、塗装設備の分野における技術開発と改良を精力的に実施し、多くの成果を得ました。
セグメントごとの研究開発は以下のとおりであります。
当連結会計年度における研究開発費の金額は
当社では、完全人工光型・水耕栽培植物工場「ベジファクトリー」を展開しており、これまで照明や空調など栽培設備の最適化に加え、植物工場の自動化による栽培コストの低減に取り組んできました。
当連結会計年度は、LED波長の研究により色温度の異なる白色LEDを使い分けることで、お客様の要望に沿った野菜の栽培が可能となりました。また、栽培パネルを自動で出し入れする移載機の開発により栽培において人間が介在する部分が減少し、栽培コストの低減と生菌数の大幅な低減が可能になりました。
今後は、空調設備の最適化や栽培装置の更なる自動化などの開発を進め、栽培コスト低減とともに植体の品質向上にも取り組んでまいります。
当社では、冷凍機の冷媒で空気を直接冷却する直膨空調システムの開発を進め、主に環境試験室用途に導入してきました。
当連結会計年度は、従来の制御システムに単純適応制御を組み込んだ新制御システムを構築しました。これにより、試験条件変更時の設定条件への追従性及び試験の負荷変動に対する温度安定性の更なる向上を実現しました。また、運転調整にかかる人的負荷低減も可能とし、運転調整時の時間短縮も期待できます。
新たな制御を導入した直膨空調システムは、多種多様な環境試験室に加えて、オフィスビルや工場などへの展開も可能なことから、今後は更なる販売拡大を進めてまいります。
当社では、VOC(揮発性有機化合物)の排気処理装置の主力商品としてRTOを販売しています。RTOは燃焼排熱を蓄熱材に蓄熱し、これを処理ガスの予熱に再利用し、燃料消費量の低減を図る省エネルギー性の高い装置であります。RTOの処理効率と省エネルギー性の両立とともに、省スペース・省コストを実現するためには、排気に含まれる溶剤の種類や濃度における燃焼速度を事前に把握することが必要です。
当連結会計年度は、溶剤の種類ごとに燃焼速度を計測し、今まで困難であった希薄濃度域のデータ取得に成功しました。
今後は、燃焼速度も考慮したRTO運転シミュレーターを作成して、競争力を向上させ、RTOの販売拡大を進めてまいります。
当社では、環境問題に貢献する自然エネルギー利用技術の獲得を目標とし、太陽エネルギーを高い変換効率で電気と熱に変換する追尾集光式太陽エネルギー回収システムを利用した技術開発に取り組んでいます。一般的には、集光時に高温になる発電素子は水で冷却しています。
当連結会計年度は、水の代わりに冷媒を用いて発電素子を冷却し、熱回収するシステムを開発しました。蒸発式冷媒冷却方式は、水冷式と比べて放熱性能が優れており発電効率を維持するとともに、より高温での熱回収が可能です。さらに、相変化を利用するため搬送動力も削減できます。
今後は、冷媒による熱回収システムを空調システムに適用して、その有効性を検証し、発電及び熱利用の総合的な効率の向上に取り組んでまいります。
当連結会計年度における研究開発費の金額は
当社の主力設備である塗装ブースには、湿式スクラバー方式とドライ方式があります。近年では、大幅な省エネルギー効果、CO₂発生量削減効果が得られるドライ方式への要望が大きく、様々なお客様に採用頂いております。ドライ方式には、従来のプレコート材を使用するドライ方式と段ボール製フィルタにより塗料ミストを捕集するドライブースがあります。この段ボールタイプは、当社の連結子会社であるGeico S.p.Aにて「Dry Car」として数年前より商品化されておりますが、スペースに限りがある日本市場や既設工場では低床タイプのニーズが高まってきております。
当連結会計年度は、このニーズに応え、他社との差別化を図るべく、低床タイプの段ボール製フィルタ式ドライブース「ドライスクラバー」の開発を完了し、塗装ブースの商品に加える事に成功しました。ドライスクラバーの一番の特長は低床化になりますが、他にもフィルタ部分が自立で移動できるモジュール方式の採用によるメンテナンスの簡易化、モジュール毎の自動風量制御による大幅なエネルギーの削減などを実現しております。既にお客様からの受注も決定しており、導入計画を進めております。
今後は、継続的なフォローを行っていくとともに、お客様に満足の頂ける商品を提供できる様に、より一層の努力を積み重ね、更なる改良・改善を進めていく予定であります。
当社は、自動車塗装で培った自動塗装技術を基に、航空機、鉄道車両などの塗装ラインの自動化技術の開発にも取り組んでいます。これらの塗装ラインでは、塗装の前工程に被塗装面全面の研磨を行う事が一般的であり、この研磨工程にロボットを導入し自動化を図ります。さらにサンディングペーパーの自動交換装置や研磨粉塵の集塵装置などの付帯装置も組み込んだ全自動研磨システムとする事で、作業環境改善、研磨品質の安定化、研磨時間の短縮などの効果が得られます。
当連結会計年度は、従来のエアー駆動のサンディング装置に加え、サーボモータ駆動のサンディング装置をラインナップに加えたことにより、さらに安定した品質と処理時間の短縮が可能となりました。現在、国内の鉄道車両、建設機械や住宅機器など様々な分野のお客様に対し、納入に向けた検証テストを実施中であります。
今後もさらに様々な分野のお客様のニーズに応えられる自動研磨システムの開発を行い、拡販活動を推進していく予定であります。
従来より、欧米を初めアジア諸国でも、大気汚染に対する厳しい環境規制が施行されてきており、当社でも1999年からVOC(揮発性有機溶剤)処理装置の主力商品としてRTO(蓄熱型直接燃焼装置)を自社開発し、既に海外を含め390台を超える納入実績を達成してきました。
当連結会計年度は、特に中国におけるVOC規制がさらに強化される中で、競合他社製品との受注競争が活発になってきている背景を受け、自社製品のさらなる商品力向上を目指した新型RTO MarkⅢの開発を進めてまいりました。この新型ロータリー式RTO MarkⅢの特長は、旧型モデルの高いVOC処理性能や省エネ性能を継承しながらも、装置構造を大幅にシンプル化することで装置の信頼性を高めるのと同時にメンテナンス性の向上やメンテナンスコストも大幅に削減している点であります。具体的には、VOC処理性能はこの分野でトップクラスの99%を確保し、省エネ性においても温度効率95%と高い性能を誇っております。また、装置を構成している経年劣化の特性を持った素材や交換品を大幅に削減することで、メンテナンス性についても大幅に向上させています。昨年夏に製品開発が完了し、現在すでに大変多くの受注が決まっております。
今後も当社はRTO製造メーカとして約20年間培ってきた多くの経験を生かしてより高品質なRTOを販売し,大気環境汚染の抑制をはじめとした世界の大気環境保全に貢献していく予定であります。
Geico S.p.A は、当連結会計年度においてメイン開発アイテムである「J-Detectシステム」の開発が完了しました。J-Detectシステムは、塗装の欠陥を完全に自動で検出するシステムで、専門家と自社開発したハードおよびソフトウェアのテクノロジーの組み合わせで成り立っています。ロボット制御技術とこのシステムを組み合わせることで、車体(またはパーツ)の全ての塗装部位の品質検査を実行し、2D及び3Dの欠陥画像によるレポート、データと画像のデジタル処理、見つかった欠陥を先に定義されたカテゴリーごとに自動分類し、結果をデータベースに記録します。
従来の自動車塗装ラインの検査工程では、複数の熟練技術者による目視検査と不良部位へのマーキング作業を行っていますが、この新システムを導入することにより、人の感覚に頼ることなく品質不良の検出と精密分析を行うことが可能となり、検査結果の信頼性も大幅に向上します。J-Detectシステムは、作業者に依存せず、人による差やミスをとりのぞき、各車体に一貫した正確な分析を提供します。J-Detectシステムは、一般的な環境で動作できるように設計、開発されており、特殊環境における技術的なアプローチとは異なり、光の遮断や特別な光源などは必要ありません。
J-Detectシステムの開発は完了し、市販を開始しました。現在、自動車会社と協力して複数のパイロットプログラムの検証がなされ、また、他の自動車会社への導入検討がなされています。この様に、このシステムは、お客様の最も重要なニーズを満たし、将来のスマートペイントショップの開発に重要な役割を果たすシステムとなります。
今後もさらにお客様のさまざまなニーズに応えられる新商品の開発に注力し受注拡大を図ってまいります。