文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、創業理念(社是)「顧客第一」と社名「大気社」が示す「エネルギー・空気・水」の環境対応技術を核として、グローバルに事業領域を拡大し、安定的かつ持続的な成長を目指します。そして全てのステークホルダーにとって魅力ある会社づくりをすすめ、社会に貢献してまいります。
当社グループは、2019年5月15日に開示しました中期経営計画において、「特色あるエンジニアリングを通じ、最適な環境を創造するグローバルな企業グループを目指す」ことを長期ビジョンとして掲げ、次の3つを重点項目としております。
エネルギー・空気・水に関わる技術で、お客様の多様なニーズを満たすエンジニアリング集団を目指す。
先進的なソリューション技術でお客様の環境課題を解決し、豊かな地球環境を未来へ引き継ぐことに貢献する。
個人の創造性・多様性を尊重し、社員が自己の成長と働く喜びを感じることができる風土を大切にする。
当社グループは、2019年5月15日に、2020年3月期から2022年3月期の中期経営計画を公表いたしました。その概要は以下のとおりであります。
(単位:億円)
(注) 新型コロナウイルスの感染症拡大に伴い、当社グループの市場環境において産業空調分野、自動車塗装分野を中心に各メーカーの設備投資が抑制傾向となっており、2年目の受注工事高は目標値を大幅に下回る結果となりました。このような厳しい受注環境において中期経営計画の2022年3月期目標の達成が困難な状況となっておりますが、目標数値に近づけるよう引き続き努力を継続してまいります。また、当社の長期ビジョン達成のための経営課題への取り組みに変更はなく、それらについても着実に実行してまいります。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、「特色あるエンジニアリングを通じ、最適な環境を創造するグローバルな企業グループを目指す」という長期ビジョン達成のために、①グローバル市場における確固たる地位の確立、②将来への取り組みの強化、③魅力ある会社作りと強固な経営基盤の構築、を経営課題と定めております。
当社グループは、今後さらに競争力・収益力を高め、国内外設備業界における確固たる地位の確立を目指してまいります。「グローバル市場における確固たる地位の確立」の実現に向けて、以下の施策に取り組んでまいります。
(ア) 事業基盤の強化
環境変化、景気変動への対応力のあるバランスの取れた事業ポートフォリオの構築や、安定的な調達先、協力会社の確保、健全な財務基盤の維持により、事業基盤の強化を図ってまいります。
(イ) 競争力の向上
省エネ・省コスト・環境対応技術や自動化技術などにおける付加価値の向上を目指してまいります。また、研究所の拡充・活用による技術開発力の強化と、技術の見える化によりお客様への提案力を強化してまいります。さらに、IoT・AIなどを活用した新たなソリューションの開発推進、PR力強化による企業認知度の向上に取り組み、競争力の向上を図ってまいります。
(ウ) 収益性の向上
成長市場に経営資源を重点的に配分してまいります。また、現場作業の工法・業務プロセスの改善と水平展開、IT活用の推進などによる生産性の向上を図ってまいります。さらに、プロジェクト管理体制の強化により、収益性の向上を図ってまいります。
当社グループは、今後の市場環境の変化を見据え、ビジネス機会とする仕組み・体制づくりを推進してまいります。「将来への取り組みの強化」の実現に向けて、以下の施策に取り組んでまいります。
(ア) 事業領域の拡大
既存主要事業領域の深化及び、植物工場事業や自動車以外の大型自動塗装事業などの新規事業の拡大を図ってまいります。また、未進出国への事業拡大を目指してまいります。さらに、海外グループ企業とのアライアンス推進による海外顧客のニーズへの対応力強化により事業領域を拡大してまいります。
(イ) 環境対応
空調事業で培った技術力を活かし、温室効果ガスや環境負荷物質の削減など、お客様の環境課題への解決力の強化を図ってまいります。また、当社グループの事業を通じてSDGs、ESGなどの社会的ニーズへの対応を新たなビジネス機会として追求し、環境問題に対応してまいります。
当社グループは、会社の魅力を高める人材戦略と社会的信用を高めるコーポレート・ガバナンス体制の強化を進めてまいります。「魅力ある会社づくりと強固な経営基盤の構築」の実現に向けて、以下の施策に取り組んでまいります。
(ア) 人材戦略
柔軟な働き方を可能にする制度の拡充や処遇の向上、勤務時間の低減など、会社の魅力を高める施策による人材の確保を目指してまいります。また、キャリアプラン制度の浸透により、社員の能力伸長とやる気の向上を図ってまいります。さらに、多様な人材の活用による人的資源と組織力の増強や各海外子会社の状況に合わせた社員の確保を図ってまいります。
(イ) ガバナンスの強化
取締役会の監督機能の向上、資本コストを意識した経営の実践などによりコーポレート・ガバナンス体制を強化してまいります。また、国内外における内部統制を強化してまいります。さらに、法務リスク、情報セキュリティ、コンプライアンスなどに関し、グローバルなリスク管理体制を拡充してまいります。
コーポレート・ガバナンス体制のさらなる強化のため、役員・社員に対するコンプライアンス研修の実施、内部通報制度の整備・周知、原則毎月開催のコンプライアンス委員会による順守状況の検証など、具体的施策を実行し、法令順守の徹底に努めております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの事業においては、受注環境の変化が、売上、利益に大きく影響を与える可能性があります。環境システム事業では、国内における再開発案件の延期や製造業の設備投資の減少、海外における日系企業の投資の減少、塗装システム事業では、国内自動車メーカーの国内生産縮小の継続や世界的な自動車販売の低迷による設備投資の減少、「CASE」(Connected(コネクティッド)、Autonomous/Automated(自動化)、Shared(シェアリング)、Electric(電動化))の流れによる投資分野の変化により、受注工事高が減少することで当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
これに対し環境システム事業では、国内において顧客層の裾野の拡大や原価低減活動の推進によるコスト競争力の更なる強化を進めていくとともに、海外では、現地系及び欧米系企業への営業体制の強化、国内営業と連携した日系メーカーへの受注活動の推進を行ってまいります。また、塗装システム事業では、自動化技術を軸とし、四輪・二輪車市場に加え、他の産業への参入を進め、オートメーション事業の拡大を目指してまいります。
当社グループが事業を展開する地域において、地震、津波、風水害等の自然災害や、感染症等の世界的流行が発生したことで損失が発生し、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社グループにおいては、大規模・広域な自然災害の発生にあっては、当社グループの直接的な物的・人的被害のみならず、顧客の事業活動、ひいては経済情勢にまで影響が及び、その影響が長期化することによって、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
これに対し国内外の不測の災害や事故、事件などの発生に備え、危機管理の基本方針を定め、危機管理体制を構築しています。危機が発生した場合、人命や事業継続に対する影響度に応じて対応レベルを3段階に区分し、それぞれのレベルに対応した危機対策を実施することを定めています。
2020年初めに顕在化した新型コロナウイルス感染症拡大により、従業員への被害、建設資材の調達遅延や建設工程の停止などの影響で、当社グループの経営成績等への影響を及ぼす可能性があります。
新型コロナウイルス感染症の対策につきましては、最も高い対応レベルでの危機対策を実施することとし、社長を対策本部長とし、事業部長、本部長等を構成員とする、危機対策本部を立ち上げ、在宅勤務の推奨、時差出勤、自動車通勤の許可による通勤時のリスク低減対策、会社行事・業務活動見直しによる感染防止対策、感染者対応等、グループ全体の対応に当たっております。
海外各地において展開している事業については、予期しない法規制の改正、政情不安等が業績に影響を及ぼす可能性があります。外貨建工事契約に係る請負代金の入金及び発注代金の支払いについて為替変動による損失発生の可能性があります。さらに、連結財務諸表作成にあたっては海外関係会社の財務諸表を換算するため、為替相場の変動により当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。また、事前に想定できなかった問題の発生やこれらのリスクに対処できないことなどにより、海外関係会社の事業計画が達成できないなど業績が悪化し、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
これに対し海外進出先の政治・経済や法令の動向について情報収集を行い、カントリーリスク・海外の法規制リスクの抑制に努めます。外貨建工事契約に係る請負代金の入金及び発注代金の支払いから発生する為替リスクについては、先物為替予約等のヘッジを実施するなど、可能な限りリスクの回避をしております。また、海外関係会社のガバナンス体制の高度化を進めてまいります。
省エネルギー、環境対策の改善・向上、オートメーション化等、顧客からの高まるニーズに対応したシステムの開発が遅れた場合、技術競争力が低下し、受注機会損失や顧客からの信頼度や企業評価の低下などにより、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
これに対し、環境負荷低減技術、自動化技術の開発・実証を進め、社会的課題解決を目指してまいります。そのために、情報通信技術を活用し、グループ組織横断的な活動の強化により、社会のニーズを先取りしたテーマに取り組んでまいります。
当社グループの事業分野である、建設業・設備工事業は、人材に大きく依存しております。国内においては、高齢化の進展や技術者育成の遅れにより、スキル・経験を有する技術者・技能者の数や質が低下し、中長期計画を達成するための施工体制が構築できないといった、業績への影響が発生する可能性があります。また、海外においても、現地従業員の育成の遅れや離職により、現地化推進を担う中核人材が確保できず、長期的な海外事業展開に影響が発生する可能性があります。
これに対し協力会社との連携を強化すると共に、従前より行っているモジュール化の更なる推進、機械化・工場生産化を進めてまいります。社内においては、研修を通じた基礎技術力の向上と現場における実践教育により、社員の技術力アップを図り、人材の育成を進めてまいります。また、情報技術を活用し、生産性を高めることにより、働き方改革を進め、魅力ある職場づくりを行い、人材確保に努めます。
また、海外においても、グローバル人事制度の導入により、中核人材の確保と育成に努め、現地化を進めてまいります。
当社グループの事業分野は、建設業法、独占禁止法、労働基準法をはじめ、多くの法的規制を受けており、当社グループ役員または従業員が法令に違反する行為を行った場合には、当社グループの事業活動が制限され、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
これに対し法令順守の維持・意識の向上を図るため、コンプライアンス教育プログラムの継続的な実施とフォローを行い、ルール違反を起こさない風土・仕組みづくりをしてまいります。
施工段階における重大事故、品質不具合等の重大な瑕疵が発生した場合、社会的信用の失墜、及び業績面の影響が発生する可能性があります。請負工事については、顧客との間の工事請負契約に基づき、竣工後一定期間、瑕疵担保責任を負っており、この瑕疵担保責任に伴って発生する費用について、過去の実績に基づき完成工事補償引当金を計上しておりますが、当該費用が引当金残高を上回って発生することで、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
これに対し当社グループは、従前より行っているデジタルサイネージなどのIT技術の活用、作業手順の検討会で協力会社へ作業詳細手順図作成を指導するなど、安全意識・レベルの向上を図り、安全管理体制の強化に努め建設現場における安全衛生管理には万全の対策を講じています。また、施工管理システムの見直しや施工管理のIT化推進により品質不具合の未然防止に努めております。
建設資材の調達価格や労務単価等が高騰し、これを請負金額に反映させることが困難な場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
これに対し受注時の地域別適正原価の把握や、契約における物価変動リスクのヘッジなどを通じ、資材価格及び労務単価の変動リスクの抑制に努めております。
年々、高度化、多様化、巧妙化するサイバー攻撃や、従業員の不正による故意のデータ持出し等により、個人情報や顧客情報等の機密情報が漏洩した場合、信用の失墜や損害賠償などにより、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
これに対しITセキュリティの強化、社内規程の整備、社員教育の徹底等を進め、機密情報の外部への流出防止に努めております。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、これらの会計基準に基づき、決算日における資産・負債及び収益・費用の数値に影響を与える見積りが行なわれているものがあります。
会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」をご参照ください。
また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」をご参照ください。
なお、これらの見積りにつきましては、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により景気後退に陥りました。第1四半期では、各国政府による緊急対策として、外出禁止令や企業の操業停止、移動制限などによる経済活動の抑制が行われ、世界経済は大きく悪化しました。第2四半期に入ると、経済活動の再開により回復の兆しが見られました。その後は、新型コロナウイルスのワクチンの普及や各国政府の財政支援等により、世界各地で景気が改善傾向にあります。
当社グループにおける市場環境のうち国内市場では、ビル空調分野においては、第1四半期では緊急事態宣言などによる設備投資への影響が見られましたが、その後は回復に向かいました。一方、産業空調分野においては、景気悪化の影響や先行き不透明感の高まりから、各メーカーによる設備投資は慎重な動きが続きました。海外市場では、産業空調分野、自動車塗装分野ともに、各メーカーの設備投資は調整局面が続きました。
このような状況のもと、当社グループは中長期的な成長を目指し、以下の取り組みを推進してまいりました。
まず、資本提携による海外事業領域の拡大に向けた取り組みとして、2020年7月30日にインドにおいてクリーンルーム向けパネルの製造・販売会社Nicomac Clean Rooms Far East LLP(現・Nicomac Taikisha Clean Rooms Private Limited、以下「Nicomac社」)に出資し、連結子会社化しました。中長期的に経済成長が見込まれるインド市場において、高機能の空調設備を必要とする医薬品製造環境を中心に、同社の高品質なパネル製造、据付技術と当社の空調設備技術の融合により、同国のクリーンルーム建設市場への対応力強化を目指します。
なお、Nicomac社のみなし取得日を2020年9月30日としているため、同社の第1四半期、第2四半期の業績に関しては、当連結会計年度に係る連結損益計算書及び連結包括利益計算書には含まれておりません。
次に、コア事業を基軸とした事業領域の拡大に向けた取り組みとして、植物工場事業のさらなる領域拡大・拡充を目的に、プラント建設から野菜の生産・販売まで一貫したソリューションを提供すべく、100%出資の子会社である株式会社ベジ・ファクトリーを設立しました。今回の子会社設立により、当社グループは野菜生産販売まで手掛ける総合アグリ事業者としての新たなブランド構築を目指します。
また、当社の付加価値の向上に向けた取り組みとして、塗装分野において、“塗着効率100%”を実現する自動塗装システム「i-ESTA100TE」をトヨタ車体株式会社と共同で開発しました。
従来の空気の力で塗料を微粒化していた塗装機の塗着効率が70%程度であったことに対し、新型の静電霧化塗装システムはエアーを使わず、塗料の微粒化と塗料粒子の車体への塗着に静電気の力だけを用います。これにより、従来難しいとされていた塗着効率100%を実現することができ、設備の簡略化・エネルギー削減に加え、環境負荷の低減が可能となりました。
このような状況のもと、当連結会計年度における受注工事高は、国内、海外ともに減少し、2,004億69百万円(前期比11.7%減少)となり、うち海外の受注工事高は、883億28百万円(前期比13.7%減少)となりました。
完成工事高も、国内、海外ともに減少し、2,025億48百万円(前期比10.1%減少)となり、うち海外の完成工事高は、927億91百万円(前期比0.3%減少)となりました。
利益面につきましては、完成工事総利益は340億27百万円(前期比36億66百万円減少)、営業利益は116億90百万円(前期比37億49百万円減少)、経常利益は122億87百万円(前期比37億3百万円減少)、親会社株主に帰属する当期純利益は82億79百万円(前期比8億53百万円減少)となりました。
セグメントごとの業績(セグメント間の内部取引高を含む)は次のとおりであります。
環境システム事業
受注工事高は、海外ではタイを含む東南アジアなどで減少し、国内では産業空調分野において前期に大型案件の受注があったことによる反動減の影響もあり、前期を下回りました。完成工事高は、国内においてはビル空調分野、産業空調分野とも減少し、海外ではタイを含む東南アジアで減少したことから、前期を下回りました。
この結果、受注工事高は、1,355億18百万円(前期比15.6%減少)となりました。このうちビル空調分野は、459億10百万円(前期比3.9%減少)、産業空調分野は、896億7百万円(前期比20.5%減少)となりました。完成工事高は、1,340億58百万円(前期比14.8%減少)となりました。このうちビル空調分野は、409億52百万円(前期比25.5%減少)、産業空調分野は、931億6百万円(前期比9.1%減少)となりました。セグメント利益(経常利益)につきましては、111億92百万円(前期比27億1百万円減少)となりました。
塗装システム事業
受注工事高は、北米などで減少したことから、前期を下回りました。完成工事高は、国内で減少したものの、北米、欧州など海外で増加し前期を上回りました。
この結果、受注工事高は、649億51百万円(前期比2.2%減少)となりました。完成工事高は、684億97百万円(前期比0.7%増加)となりました。セグメント利益(経常利益)につきましては、9億11百万円(前期比19億3百万円減少)となりました。
セグメントごとの受注工事高・完成工事高(セグメント間の内部取引高を含む)
(注) 各事項の記載については、消費税等抜きの金額で表示しております。
当社グループが営んでいる事業の大部分を占める設備工事業では生産実績を定義することが困難であり、設備工事業においては請負形態をとっているため販売実績という定義は実態にそぐいません。
よって、受注及び売上の状況については「セグメントごとの業績」において報告セグメントの種類に関連付けて記載しております。
なお、参考のため提出会社個別の事業の状況は次のとおりであります。
設備工事業における受注工事高及び完成工事高の状況
① 受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高
(注) 1 前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含んでおります。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれております。
2 次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)であります。
3 当期受注工事高のうち海外工事の割合は、前事業年度は4.4%、当事業年度は3.8%であります。
4 前事業年度及び当事業年度における海外受注工事高はそれぞれ当期受注工事高の10%を超えていないため、主要な海外受注工事についての記載を省略しております。
② 受注工事高の受注方法別比率
工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。
(注) 百分比は請負金額比であります。
③ 完成工事高
(注) 1 海外工事の地域別割合は、次のとおりであります。
2 完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。
前事業年度 請負金額25億円以上の主なもの
当事業年度 請負金額40億円以上の主なもの
3 完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりであります。
前事業年度
当事業年度
④ 手持工事高 (2021年3月31日現在)
(注) 手持工事のうち請負金額30億円以上の主なものは、次のとおりであります。
当連結会計年度末の流動資産は前期末に比べ2.1%減少し、1,653億87百万円となりました。これは受取手形・完成工事未収入金等が46億86百万円増加し、現金預金が55億66百万円、有価証券が15億円、未成工事支出金が12億81百万円それぞれ減少したことなどによります。
当連結会計年度末の固定資産は前期末に比べ36.7%増加し、634億68百万円となりました。これは投資有価証券が82億88百万円、退職給付に係る資産が39億30百万円、のれんが33億28百万円それぞれ増加したことなどによります。
この結果、当連結会計年度末の資産合計は前期末に比べ6.3%増加し、2,288億55百万円となりました。
セグメントごとの資産は次のとおりであります。
(環境システム事業)
当連結会計年度末の流動資産は前期末に比べ7.0%増加し、777億70百万円となりました。これは現金預金が27億86百万円、受取手形・完成工事未収入金等が15億65百万円それぞれ増加したことなどによります。
当連結会計年度末の固定資産は前期末に比べ50.7%増加し、328億37百万円となりました。これは投資有価証券が59億10百万円、のれんが34億19百万円、顧客関連資産が13億89百万円それぞれ増加したことなどによります。
その結果、当連結会計年度末の資産合計は前期末に比べ17.1%増加し、1,106億8百万円となりました。
(塗装システム事業)
当連結会計年度末の流動資産は前期末に比べ2.0%増加し、516億44百万円となりました。これは受取手形・完成工事未収入金等が34億55百万円増加し、未成工事支出金が12億50百万円減少したことなどによります。
当連結会計年度末の固定資産は前期末に比べ17.2%増加し、163億40百万円となりました。これは投資有価証券が20億66百万円、繰延税金資産が4億56百万円それぞれ増加したことなどによります。
その結果、当連結会計年度末の資産合計は前期末に比べ5.2%増加し、679億85百万円となりました。
当連結会計年度末の流動負債は前期末に比べ7.5%減少し、869億19百万円となりました。これは支払手形・工事未払金等が55億73百万円、完成工事補償引当金が3億61百万円それぞれ減少したことなどによります。
当連結会計年度末の固定負債は前期末に比べ81.2%増加し、156億25百万円となりました。これは繰延税金負債が43億24百万円、長期借入金が28億16百万円それぞれ増加したことなどによります。
この結果、当連結会計年度末の負債合計は前期末に比べ0.0%減少し、1,025億44百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は前期末に比べ11.9%増加し、1,263億11百万円となりました。これはその他有価証券評価差額金が58億60百万円、利益剰余金が48億59百万円、退職給付に係る調整累計額が27億18百万円それぞれ増加し、為替換算調整勘定が6億10百万円減少したことなどによります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期末に比べ81億75百万円減少し、506億70百万円(前期末は588億46百万円)となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、仕入債務の減少などにより減少したものの、税金等調整前当期純利益の計上やたな卸資産の減少などにより、9億73百万円の資金増加(前期は213億86百万円の資金増加)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入などにより増加したものの、連結の範囲の変更を伴う子会社出資金の取得による支出や有形及び無形固定資産の取得による支出が有形及び無形固定資産の売却による収入を上回ったことなどにより、69億13百万円の資金減少(前期は8億77百万円の資金減少)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入が長期借入金の返済による支出を上回ったことなどにより増加したものの、配当金の支払や非支配株主への配当金の支払などにより、14億35百万円の資金減少(前期は114億75百万円の資金減少)となりました。
設備工事等のための材料費、労務費、外注費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに業務改革、技術開発、情報化投資、海外拠点の拡充など当社グループの市場競争力強化のための投資等に資金を充当しております。
主として営業活動により稼得した資金のほか、金融機関からの借り入れにより、必要資金を調達しております。また、運転資金の効率的な調達を行うため、主要取引銀行と貸出コミットメント契約を締結しております。
連結財務諸表を作成するにあたり、在外連結子会社の財務諸表を換算しているため、為替相場の変動により、総資産、キャッシュ・フロー、完成工事高及び経常利益に影響を受けております。主に米ドル、タイバーツ、ユーロ及びインドルピーの為替の変動が大きく影響しております。
主な在外連結子会社における完成工事高及び経常利益に与える為替変動による影響
(注) *1 子会社4社を含んだ連結数値
*2 子会社6社を含んだ連結数値
*3 子会社1社を含んだ連結数値
*4 子会社10社を含んだ連結数値
*5 換算レートは第75期及び第76期における期中平均レート
特記事項はありません。
当連結会計年度における研究開発費は
当社は、技術開発センター(神奈川県)、テクニカルセンター(神奈川県)、植物工場実証開発センター(東京都)の3研究開発組織において、空調設備及び塗装設備の各分野における技術開発を前期に引き続き精力的に実施し、多くの成果を得ました。また、Geico S.p.A.(イタリア・ミラノ都市圏・チニゼッロ・バルサモ)は、パルディスイノベーションセンターにおいて、塗装設備の分野における技術開発と改良を精力的に実施し、多くの成果を得ました。
セグメントごとの研究開発は以下のとおりであります。
当連結会計年度における研究開発費の金額は
当社では、完全人工光型・水耕栽培植物工場「ベジファクトリー」を展開しており、これまで照明や空調など栽培設備の最適化や植物工場の自動化装置の開発により栽培コストの低減のみならず植体の品質向上に取り組んでまいりました。
当連結会計年度は、自社で開発しました栽培パネルを自動で出し入れする移載機に合わせ、栽培パネルおよび栽培ベッドの材質、形状を刷新して植物工場の自動栽培システムを開発し、栽培室の無人化による低生菌数化が可能となりました。また栽培品種、栽培日数及び栽培密度の研究や気流の改良による生理障害抑制の取り組みにより、植体の品質向上と収量増加の両立が可能となりました。
今後は、育成状況監視システム、外気からのCO2供給装置、さらなる空調設備の最適化、省エネ化など、「ベジファクトリー」事業の拡大を支える技術開発に取り組んでまいります。
当社では、冷凍機の冷媒で空気を直接冷却する直膨空調システムの開発を進め、主に環境試験室用途に導入してまいりました。
当連結会計年度は、環境試験室の実機検証ルーム構築に着手いたしました。近年、試験内容の高精度化に伴い、試験室の負荷変動に対する室内条件の安定性や試験条件変更に伴う追従性など試験環境に対する要求も高くなってきております。また、省エネルギー性能に対しても一段と高いレベルでの実現が要望されております。空調システムに新たな制御方法を組み込み、これらの実現に向けた技術開発及び実機検証を行ってまいります。
これら実証試験を通じて得た技術は環境試験室用途のみでなく、オフィスビルや工場などへ展開してまいります。
試験室空調設備の運転状況可視化として複合現実(mixed reality)技術を導入し性能の差を分かりやすく表現することで、お客様へ技術PRを行い、更なる販売拡大を進めてまいります。
当社では、VOC(揮発性有機化合物)の排気処理装置の主力商品としてRTOを販売しております。RTOは燃焼排熱を蓄熱材に蓄熱し、これを処理ガスの予熱に再利用し、燃料消費量の低減を図る省エネルギー性の高い装置であります。
当連結会計年度は、運転状態見える化と運用改善提案、異常発生時のトラブル早期解決、予兆検知から保全提案が行えるようRTO予兆保全システムを開発しました。
このシステムは、エネルギー使用量の見える化による効率改善に寄与し、お客様の事業(製造)機会損失を抑制し生産性向上に貢献します。さらに、装置の予期せぬ故障・停止を未然に防ぎ、環境負荷物質の流出リスクを低減し、地球環境保全に貢献します。
今後は、システムの導入拡大を図り、遠隔サポートサービスと高精度な予兆/異常診断サービスを展開し、RTOの受注拡大を図ってまいります。
④ 移動式高性能エアバリアユニット「Air Infection Block Plus」の開発
当社では、新型コロナウイルス感染症対策として、これまで培ってきた気流制御技術を活用して、社会貢献ができないかという観点から、医療従事者向け感染防止装置の開発に着手いたしました。
当連結会計年度は、移動式高性能エアバリアユニット「Air Infection Block Plus(通称AIB⊕ )」を開発し、販売を開始いたしました。
これは、中央部に開口部を有する可動式パーティション構造とすることで、医療従事者と患者が対面となる診察時やPCR検査などの検体採取時に、医療行為の自由度を確保しつつ、開口部にプッシュプル式エアカーテンを設けることで、新型コロナウイルス感染者から医療従事者への飛沫感染リスクを低減させます。補助噴流と吸気口への積極誘引を行うなどの気流制御技術を駆使し、小粒径飛沫・飛沫核による汚染濃度を大幅に低減させ、医療従事者を守ります。また、殺菌効果をプラスしたHEPAフィルターの採用で2次感染を抑制します。
模擬呼気、咳・くしゃみ発生装置を試作し、呼気が効果的に遮断されていることを気流可視化技術により検証しております。
今後もさまざまな技術を活用し、新型コロナウイルス感染症対策など社会貢献を進めてまいります。
当連結会計年度における研究開発費の金額は
① 塗着効率100%を実現する静電霧化塗装システム「i-ESTA100TE」の開発
自動車塗装工場における塗装ブース設備のCO2排出量は、工場全体で使用するエネルギーのおよそ46%となっております。これは塗装品質を安定させるためにブース内の温湿度の調整や、被塗物に塗着しなかった塗料ミストを捕集する際に大量のエネルギーを消費するためです。
当社はこの課題を解決すべく、静電気の力で塗料を微粒化する静電霧化塗装システム「i-ESTA100TE」をトヨタ車体株式会社と共同で開発しました。
従来の塗装機は圧縮エアーを用いて塗装しており、塗料粒子を圧縮エアーの気流に乗せて車体に塗着させます。そのため、車体表面に沿って流れる気流によって塗料粒子が吹き飛ばされてしまい、塗着効率は70%程度に留まっておりました。これに対し新型の静電霧化塗装システムは、圧縮エアーを使わず、静電気の力だけで塗料の微粒化と塗料粒子の車体への塗着を行います。これにより塗着効率100%を実現することができ、ブース関連設備の簡略化・エネルギー削減に加え、環境負荷の低減が可能となりました。
2021年6月にはお客様の生産ラインへの納入が計画されており、また多くのお客様に導入の検討をいただいております。今後とも省エネルギー・環境負荷低減技術での社会への貢献を目標に「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に向けた開発を推進してまいります。
② 自動ティーチングシステム「i-ART」の開発
自動車製造工場では塗装研磨工程において「労務コストの削減」や「品質の安定化」の観点で産業用ロボットによる作業の自動化が一般的になっておりますが、自動車以外の製造現場では、現在自動化が進んでいない状況となっております。その大きな理由としてはロボットのティーチングを行える専門技術者が少ないこと、ワークの種類が非常に多いため膨大なティーチング時間が必要となってしまうことの2点が挙げられます。このような背景から当社では上記専門技術者を必要とせず、自動でティーチング作業を行うことができる強力な支援ツールである「i-ART」を開発いたしました。
従来は専門技術者によるティーチングプログラム作成が一般的であり、非常に多くの時間と労力を必要としておりましたが、i-ARTを使うことで、ロボットによる塗装・研磨・シーリング作業を誰でも簡単に短時間でティーチングを行うことが可能となり、専門技術者が不在の状況でもティーチング作業工数の低減、品質の安定化といった大きな効果が得られます。
現在、国内の鉄道車両、建設機械や住宅機器など様々な分野のお客様に対し、導入に向けた検証テストを実施中であります。今後も様々な分野のお客様のニーズに応えられるようにi-ARTの機能の拡張をさらに進め販売拡大を推進してまいります。
③ 多目的簡易シェルター「バリアーキューブ」の開発
近年、新型コロナウイルス感染症拡大により、災害時における避難所や人が密集するところでは、感染リスクを低減させる為の対策が求められるようになっております。当社ではこれら社会のニーズに応える為、感染の不安や避難時のストレスの低減に有効なシェルターの開発を2020年4月から開始し、避難所等での一時的な隔離の用途の他に簡易診察室としての利用も可能なシェルターである「バリアーキューブ」を商品化し同年7月に販売を開始いたしました。
バリアーキューブは、組み立て式簡易シェルターとなっており、大人2人で簡単に組み立てることができ、天井および側パネルにより完全に仕切られた個室の形となるため、高いプライベート性を確保しながら感染リスクを有効に低減することができます。また、構造体には採光性が高いプラスチック段ボール(プラダン)を採用し、閉塞感を感じることのないよう配慮した設計としております。プラダンは耐久性,耐薬性,耐水性に優れ、除菌スプレーをかけるなどの除菌処理が可能であるため、長期間の使用においても感染リスクの低減効果を維持することができます。
さらに大きな特長としては、ファン付HEPAフィルター(High Efficiency Particulate Air filters)を装備している点です。シェルター内外の空気をHEPAフィルターでろ過しクリーンな空気を供給または排気することができるため、ウイルス感染リスクを確実に低減させることができます。今後もこのバリアーキューブの普及を通じて、さらに社会に貢献できる活動を進めてまいります。
④ 塗装ラインの仮想試運転テクノロジーの導入
Geico S.p.A.は、当連結会計年度においてプラントでの試運転期間の短縮化を可能にするシステムの開発を開始しました。そしてこの開発の為に必要となるすべての制御ハードウェアを組み込んだ仮想試運転ルーム(Virtual Commissioning Room)をミラノ市内にあるパルディスイノベーションセンターに設置しました。
この仮想試運転ルームでは実装置を使って実際に試運転やシステムの検証を行うのと同じように、仮想モデル上でPLC(Programmable Logic Controller)ソフトウェアを動作させ、プログラムバグの確認や制御ロジックの不具合の是正を行うことができます。この事前検証により実設備での試運転作業の大幅なスピードアップ化を図ることができます。
現在Geico S.p.A.ではこの仮想試運転ルームを二つの目的で使用しております。一つは塗装工場の建設プロジェクトを実際に計画する際に用いる場合であり、もう一つは社内の研究開発の為のツールとして利用する場合です。当初は塗装工場建設プロジェクト向けとしての使用を想定しておりましたが、これに加えて現在はGeico S.p.A.が新しく開発する装置のプロトタイプを仮想モデル化し、実際に製作する前にそのロジックの動作や機能を評価するツールとしても使用しております。この時に作成した仮想モデルと設計情報は実際の塗装工場建設プロジェクトの際に用いることができます。
翌連結会計年度では、この仮想試運転ルームを使った検証をヨーロッパの2つのプロジェクトで実施します。
またこのテクノロジーを導入したことで、ユニット統合型の電気式オーブン、DryCar(段ボールフィルタ式塗料ミスト捕集装置)、LeanDip(前処理/電着工程向け回転式コンベア)などの開発品を含め、今まで以上にスピーディな開発が可能になっております。
今後もお客様のさまざまなニーズに応えるため、この仮想試運転テクノロジーを活用し更なる受注拡大を図ってまいります。