文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、創業理念(社是)「顧客第一」と社名「大気社」が示す「エネルギー・空気・水」の環境対応技術を核として、グローバルに事業領域を拡大し、安定的かつ持続的な成長を目指します。そして全てのステークホルダーにとって魅力ある会社づくりをすすめ、社会に貢献してまいります。
当社グループは、2022年5月16日に開示しました中期経営計画において、「エネルギー・空気・水の創造的なエンジニアリングにより、持続可能な社会へ貢献する」、「多様な人材・知見を活かし、インクルーシブなグローバル企業となる」ことを長期ビジョンとして掲げております。
① エネルギー・空気・水の創造的なエンジニアリングにより、持続可能な社会へ貢献する
Innovative Engineering for a Sustainable Society - with energy, air and water -
社会的課題の解決へのチャレンジを通じて、エネルギー・空気・水に関わる、ハード面の技術革新、ソフト面の経験知の蓄積、新たな領域への知的探索により、総合エンジニアリング力の強化を図ります。それが新規事業・新規顧客の開拓や既存顧客への「専門性の高い顧客ニーズへの処方箋」の提供に繋がり、当社の差別化戦略となると考えております。そして差別化によって、企業成長を実現すると同時に、社会的課題の解決、すなわち持続的な社会への貢献を目指します。その1つとして、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて取り組んでまいります。
② 多様な人材・知見を活かし、インクルーシブなグローバル企業となる
Diversity & Inclusion as a Global Company
当社にもともとあった多様性を受容する企業風土をベースに、より各人が能力を発揮でき、相乗効果を生む仕組みづくりを進め、真のグローバル企業として、国を問わず活躍できる企業となることを目指します。さらに当社においては、技術開発を含む事業活動において社内外の多様な人材・技術を結合・融合させて新たな価値を生み出すこともインクルージョンの一つと捉え、二つの意味でインクルーシブな企業を目指します。
当社グループは、2022年5月16日に、2023年3月期から2025年3月期の中期経営計画を公表いたしました。その概要は以下のとおりであります。
非財務目標
事業活動に伴うCO₂排出量(スコープ1・2)を、2030年までに46%削減することを目標として掲げております(2015年度実績比)。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、長期ビジョンの実現に向けて、既存の事業ポートフォリオを「資本効率」「長期戦略との整合性」「関係会社ガバナンス」の視点で見直し、長期的に付加価値を創造できる筋肉質な事業構造へ転換していきます。中期経営計画においては、①コア事業のさらなる強化、②新たな価値創出への挑戦、③変革・成長を支える経営基盤の強化」を経営課題と定めております。
(ア)環境システム事業
・付加価値を生み出し続ける事業展開
カーボンニュートラルの実現に向けた脱炭素ビジネスへの取組みを推進していきます。また、技術ニーズに応え続ける体制とプロフェッショナルの育成や、産業空調分野におけるノウハウ・知財の蓄積を図ります。
・技術の大気社を強化
新技術開発センターやR&Dサテライトにおける顧客ニーズの把握と共同開発を進めるとともに、営業部門と開発部門の協働による顧客への積極的な技術提案とシーズの掘り起こしを図ります。
・業務の仕組みの改善と生産性向上
働きやすさ向上のための業務のデジタル化・DX化、ムリ・ムダ・ムラをなくす業務プロセス変革、サプライヤーとの関係強化と共に成長できる仕組みづくりを推進していきます。
(イ)塗装システム事業
・国内外での確固たる地位の確立
非日系顧客のニーズに応える技術の多様化、パートナー企業との協働による非四輪新規顧客へのアプローチ、海外ネットワークを活用した現地に根差した事業展開を推進していきます。
・グローバルな社会課題を意識した開発
カーボンニュートラル実現のため、技術開発により顧客の生産技術の変革に貢献します。また、海外拠点と連動した開発体制の構築強化を図ります。
・業務の仕組みの改善と生産性向上
業務プロセスのデジタル化による現場業務の遠隔化・自動化、グローバルな教育プログラムの設計、プロジェクト管理体制の見直しによる人員最適化を推進していきます。
自社の知財や無形固定資産を活かした経営戦略の立案・推進を図ります。また、本社支社のオフィス内にR&Dサテライトを設置して顧客ニーズを把握することで、顧客視点の開発を進めるとともに、学術機関やスタートアップ企業など外部知見との融合によるオープンイノベーションから、新規事業の開拓を図ります。
・人的資本の育成・確保
イノベーションを生み出す組織風土づくり、社員エンゲージメントの向上、計画的な人材価値の開発を推進していきます。
・新たな価値提供に向けたデジタル戦略
現場のデジタル化・DX化による生産性向上、グローバルなIT・DX体制構築とともに、研究開発や新事業創出に向けたデジタル融合を強化していきます。
・グループガバナンス体制強化
資本コストを踏まえた事業ポートフォリオマネジメントの構築と、関係会社の取締役会・監査機能の実効性強化を図ります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの事業においては、受注環境の変化が、売上、利益に大きく影響を与える可能性があります。環境システム事業では、海外における日系企業の投資の減少、塗装システム事業では、国内自動車メーカーの国内生産縮小の継続、世界的な半導体不足による新規の設備投資の減少により、受注工事高が減少し、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。また、自動車メーカー各社のカーボンニュートラル実現に向けた生産設備の変化への対応が遅れると、顧客離れを招き、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
これに対し環境システム事業では、海外において、現地系企業への営業体制の強化、国内営業と連携した日系メーカーへの受注活動の推進を行ってまいります。また、塗装システム事業では、カーボンニュートラル実現に向けた顧客の生産設備に変化をもたらす当社の技術開発を加速するとともに、自動化技術を軸に、従来からの四輪・二輪車市場に加え、他の産業への参入を推し進め、オートメーション事業の拡大を目指してまいります。
当社グループが事業を展開する地域において、地震、津波、風水害等の自然災害や、感染症等の世界的流行が発生したことで損失が発生し、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。なお、大規模・広域な自然災害の発生にあっては、当社グループの直接的な物的・人的被害のみならず、顧客の事業活動、ひいては経済情勢にまで影響が及び、その影響が長期化することによって、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
これに対し国内外の不測の災害や事故、事件などの発生に備え、危機管理の基本方針を定め、危機管理体制を構築しています。危機が発生した場合、人命や事業継続に対する影響度に応じて対応レベルを3段階に区分し、それぞれのレベルに対応した危機対策を実施することを定めています。
2020年初めに顕在化した新型コロナウイルス感染症拡大により、従業員への被害、建設資材の調達遅延や建設工程の停止などの影響で、当社グループの経営成績等への影響を及ぼす可能性があります。
新型コロナウイルス感染症の対策につきましては、最も高い対応レベルでの危機対策を実施することとし、代表取締役社長を対策本部長に、事業部長、本部長等を構成員とする危機対策本部を立ち上げ、在宅勤務の推奨、時差出勤、自動車通勤の導入などの通勤時のリスク低減対策、会社行事・業務活動見直しなどの感染防止対策、感染者への適切な対応等、グループ全体として対応を行っております。
海外各地において展開している事業については、予期しない法規制の改正、政情不安等が業績に影響を及ぼす可能性があります。外貨建工事契約に係る請負代金の入金及び発注代金の支払いについて為替変動による損失発生の可能性があります。さらに、連結財務諸表作成にあたっては海外関係会社の財務諸表を換算するため、為替相場の変動により当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。また、客先の倒産による債権の貸し倒れ、事前に想定できなかった問題の発生やこれらのリスクに対処できないことなどにより、海外関係会社の事業計画が達成できず業績が悪化し、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
これに対し海外進出先の政治・経済や法令の動向について情報収集を行い、カントリーリスク・海外の法規制リスクの抑制に努めます。外貨建工事契約に係る請負代金の入金及び発注代金の支払いから発生する為替リスクについては、先物為替予約等のヘッジを実施し、債権の未回収リスクについては、受注前審査による与信管理を強化するなど、可能な限りリスクの回避をしております。また、引き続き海外関係会社のガバナンス体制の高度化を進めてまいります。
カーボンニュートラル、省エネルギー、環境対策の改善・向上、オートメーション化等、顧客からの高まるニーズに対応したシステムの開発が遅れた場合、他社との技術的な差別化が図れず、受注機会損失や顧客からの信頼度や企業評価の低下などにより、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
これに対し、カーボンニュートラルの実現に向けた脱炭素ビジネスへの取組みとしての環境負荷低減技術、当社の強みとなる技術である自動化技術の開発・実証を進め、社会的課題の解決を目指してまいります。そのために、デジタル技術を活用し、当社グループの横断的な活動の強化や学術機関・スタートアップ企業との融合による革新的技術開発の推進により、社会のニーズを先取りしたテーマに取り組んでまいります。
当社グループの事業分野である、建設業・設備工事業は、人材に大きく依存しております。国内においては、高齢化の進展や技術者育成の遅れにより、スキル・経験を有する技術者・技能者の数や質の低下が懸念される中にあって、中長期計画を達成するための施工体制が構築できない場合、業績への影響が発生する可能性があります。また、海外においても、現地従業員の育成の遅れや離職により、現地化推進を担う中核人材が確保できず、長期的な海外事業展開に影響が発生する可能性があります。
これに対し協力会社との連携を強化すると共に、従前より行っているモジュール化の更なる推進、機械化・工場生産化を進めてまいります。社内においては、研修を通じた基礎技術力の向上と現場における実践教育により、社員の技術力アップを図り、人材の育成を進めてまいります。また、デジタル技術を活用し、生産性を高めることにより、働き方改革を進め、魅力ある職場づくりを行い、人材確保に努めます。
また、海外においても、グローバル人事制度の導入により、中核人材の確保と育成に努め、現地化を進めてまいります。
なお、社員の健全な心と体の維持・増進のため、2020年に「健康経営宣言」を発表し、代表取締役社長を健康管理責任者とした健康経営推進体制を明示しました。
当社グループの事業分野は、建設業法、独占禁止法、労働基準法をはじめ、多くの法的規制を受けており、当社グループ役員または従業員が法令に違反する行為を行った場合には、当社グループの事業活動が制限され、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
これに対し法令順守の維持・意識の向上を図るため、eラーニングなどによるコンプライアンス教育プログラムの継続的な実施とフォローを行い、また、コンプライアンス意識調査を実施し、コンプライアンス活動の有効性の検証と改善プロセスへの反映により、ルール違反を起こさない風土・仕組みづくりを行っていきます。
施工段階における重大事故、品質不具合等の重大な契約不適合が発生した場合、社会的信用の失墜、及び業績面の影響が発生する可能性があります。請負工事については、顧客との間の工事請負契約に基づき、竣工後一定期間、契約不適合責任を負っており、この契約不適合責任に伴って発生する費用について、過去の実績に基づき完成工事補償引当金を計上しておりますが、当該費用が引当金残高を上回って発生することで、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
これに対し当社グループは、従前より行っているデジタルサイネージなどのIT技術の活用、作業手順の検討会で協力会社へ作業詳細手順図作成を指導するなど、安全意識・レベルの向上を図り、安全管理体制の強化に努め建設現場における安全衛生管理には万全の対策を講じています。また、施工管理システムの見直しや施工管理のIT化推進により品質不具合の未然防止に努めるとともに、全社ベースで技術品質の確保をするための体制を強化しております。
半導体不足や燃料高騰などの影響による建設資材の調達価格の高騰や少子高齢化・担い手不足により労務単価が高騰し、これを請負金額に反映させることが困難な場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
これに対し受注時の地域別適正原価の把握や、契約における物価変動リスクのヘッジなどを通じ、資材価格及び労務単価の変動リスクの抑制に努めております。
年々、高度化、多様化、巧妙化するサイバー攻撃や、従業員の不正による故意のデータ持出し等により、個人情報や顧客情報等の機密情報が漏洩した場合、信用の失墜や損害賠償などにより、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
これに対し当社グループのITセキュリティ診断により脆弱性を把握し、それに応じたITセキュリティの強化を行うとともに、社内規程の整備、社員教育の徹底等を進め、機密情報の外部への流出防止に努めております。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、これらの会計基準に基づき、決算日における資産・負債及び収益・費用の数値に影響を与える見積りが行なわれているものがあります。
会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」をご参照ください。
また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」をご参照ください。
なお、これらの見積りにつきましては、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。
当期における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大が進み経済活動に一定の制約があったものの、先進国を中心にワクチンが普及し、景気は回復基調を維持しました。一方で、米中貿易摩擦の長期化、資源価格の上昇、半導体をはじめとする部材の供給不足などによる景気への影響があり、不安定な状況が続きました。
米国では、インフレの進行や金融引き締めの加速等の懸念材料はあるものの、大規模な経済対策等により、景気の回復が進みました。欧州では、各国で経済活動の制限が緩和され、景気は回復に向かいましたが、足元ではウクライナ情勢の緊迫化、エネルギー価格の高騰等が景気減速の懸念となっております。中国では、新型コロナウイルス感染症や電力制限等の政府の規制に加え、資源価格の高騰で景気の回復ペースは減速しました。東南アジアでは、新型コロナウイルス感染症の急激な再拡大からは脱したものの、回復ペースは緩やかでした。日本経済は、新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言の解除後も、新たな変異株の流行や資源価格の高騰等、先行きは不透明な状況ですが、景気持ち直しの動きが続きました。
当社グループにおける市場環境につきましては、国内市場では電子部品、医薬品、自動車などのメーカーによる投資が好調であり、首都圏におけるオフィスビルの建設需要も堅調に推移しました。一方、海外市場では新型コロナウイルス感染症の影響による不透明感が依然続いており、各メーカーによる設備投資は慎重な動きが続きました。
このような状況のもと、当社グループは、1.「グローバル市場における確固たる地位の確立」、2.「将来への取り組みの強化」、3.「魅力ある会社づくりと強固な経営基盤の構築」の3つを基本方針とした中期経営計画(2020年3月期~2022年3月期)の最終年度を迎えました。期間中は、中長期的な成長を目指し、以下の取り組みを推進してまいりました。
はじめに「グローバル市場における確固たる地位の確立」につきましては、技術開発センターの実証センター化やTaikisha Lao Co.,Ltd.の設立による東南アジア事業の拡大に取り組みました。
次に、「将来への取り組みの強化」では、Nicomac Clean Rooms Far East LLP(現・Nicomac Taikisha Clean Rooms Private Limited)への出資によるインド市場への対応強化や、Encore Automation LLCへの追加出資によるオートメーション事業の拡充のほかに、植物工場事業の領域拡大及び自社量産工場設立によって、競争力の向上・事業領域の拡大に向けた方策を実施してまいりました。
最後に「魅力ある会社づくりと強固な経営基盤の構築」として、経費精算の電子化やテレワーク制度の導入等により、多様な働き方の実現に向けた取り組みを行いました。また、従業員の健康管理を経営的な視点で考え戦略的に取り組んでいる法人として、健康経営優良法人の認定を2年連続で取得することができました。
このような状況のもと、当期における受注工事高は、国内、海外ともに増加し、2,321億20百万円(前期比15.8%増加)となり、うち海外の受注工事高は、886億50百万円(前期比0.4%増加)となりました。
完成工事高は、国内では減少したものの、海外で増加したため、2,092億61百万円(前期比3.3%増加)となり、うち海外の完成工事高は、1,015億52百万円(前期比9.4%増加)となりました。
利益面につきましては、完成工事総利益は316億14百万円(前期比24億12百万円減少)、営業利益は94億28百万円(前期比22億61百万円減少)、経常利益は108億18百万円(前期比14億69百万円減少)、親会社株主に帰属する当期純利益は72億48百万円(前期比10億31百万円減少)となりました。
なお、会計方針の変更として、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)」に記載しております。
セグメントごとの業績(セグメント間の内部取引高を含む)は次のとおりであります。
環境システム事業
受注工事高は、海外では前期にタイで大型案件の受注があった反動で減少したものの、国内では産業空調分野が増加したため、環境システム事業全体では前期を上回りました。完成工事高は、国内の産業空調分野やベトナムなどで減少したものの、フィリピンやインドなどで増加したため、環境システム事業全体では前期を上回りました。
この結果、受注工事高は、1,589億17百万円(前期比17.3%増加)となりました。このうちビル空調分野は、433億29百万円(前期比5.6%減少)、産業空調分野は、1,155億88百万円(前期比29.0%増加)となりました。完成工事高は、1,343億99百万円(前期比0.3%増加)となりました。このうちビル空調分野は、409億78百万円(前期比0.1%増加)、産業空調分野は、934億20百万円(前期比0.3%増加)となりました。セグメント利益(経常利益)につきましては、93億2百万円(前期比18億90百万円減少)となりました。
塗装システム事業
受注工事高は、前期に北米で大型案件の受注があった反動で減少したものの、国内やマレーシアで増加し、前期を上回りました。完成工事高は、インドや欧州などで増加し、前期を上回りました。
この結果、受注工事高は、732億2百万円(前期比12.7%増加)となりました。完成工事高は、748億82百万円(前期比9.3%増加)となりました。セグメント利益(経常利益)につきましては、6億67百万円(前期比2億44百万円減少)となりました。
セグメントごとの受注工事高・完成工事高(セグメント間の内部取引高を含む)
当社グループが営んでいる事業の大部分を占める設備工事業では生産実績を定義することが困難であり、設備工事業においては請負形態をとっているため販売実績という定義は実態にそぐいません。
よって、受注及び売上の状況については「セグメントごとの業績」において報告セグメントの種類に関連付けて記載しております。
なお、参考のため提出会社個別の事業の状況は次のとおりであります。
設備工事業における受注工事高及び完成工事高の状況
① 受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高
(注) 1 前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含んでおります。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれております。
2 前期繰越工事高は、収益認識会計基準第84項ただし書きに定める経過的な取扱いに従い、当事業年度の期首より前に新たな会計方針を遡及適用した場合の累積的影響額を調整しております。
3 次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)であります。
4 当期受注工事高のうち海外工事の割合は、前事業年度は3.8%、当事業年度は4.3%であります。
5 前事業年度及び当事業年度における海外受注工事高はそれぞれ当期受注工事高の10%を超えていないため、主要な海外受注工事についての記載を省略しております。
② 受注工事高の受注方法別比率
工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。
(注) 百分比は請負金額比であります。
③ 完成工事高
(注) 1 海外工事の地域別割合は、次のとおりであります。
2 完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。
前事業年度 請負金額40億円以上の主なもの
当事業年度 請負金額20億円以上の主なもの
3 完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりであります。
前事業年度
当事業年度
④ 手持工事高 (2022年3月31日現在)
(注) 手持工事のうち請負金額30億円以上の主なものは、次のとおりであります。
当連結会計年度末の流動資産は前期末に比べ1.7%増加し、1,681億90百万円となりました。これは受取手形・完成工事未収入金等が35億43百万円、有価証券が10億円、材料貯蔵品が3億28百万円それぞれ増加し、現金預金が29億74百万円減少したことなどによります。
当連結会計年度末の固定資産は前期末に比べ5.5%減少し、599億69百万円となりました。これは機械、運搬具及び工具器具備品が20億36百万円、建物・構築物が3億53百万円それぞれ増加し、投資有価証券が30億72百万円、繰延税金資産が5億5百万円、それぞれ減少したことなどによります。
この結果、当連結会計年度末の資産合計は前期末に比べ0.3%減少し、2,281億59百万円となりました。
セグメントごとの資産は次のとおりであります。
(環境システム事業)
当連結会計年度末の流動資産は前期末に比べ0.4%増加し、780億52百万円となりました。これは受取手形・完成工事未収入金等が6億64百万円増加したことなどによります。
当連結会計年度末の固定資産は前期末に比べ4.5%減少し、313億67百万円となりました。これは機械、運搬具及び工具器具備品が5億11百万円、建物・構築物が3億77百万円それぞれ増加し、投資有価証券で23億43百万円減少したことなどによります。
その結果、当連結会計年度末の資産合計は前期末に比べ1.1%減少し、1,094億20百万円となりました。
(塗装システム事業)
当連結会計年度末の流動資産は前期末に比べ5.9%増加し、546億73百万円となりました。これは受取手形・完成工事未収入金等が27億19百万円増加したことなどによります。
当連結会計年度末の固定資産は前期末に比べ1.8%減少し、160億45百万円となりました。これは機械、運搬具及び工具器具備品が3億85百万円増加し、ソフトウエアが4億51百万円、繰延税金資産が3億90百万円減少したことなどによります。
その結果、当連結会計年度末の資産合計は前期末に比べ4.0%増加し、707億19百万円となりました。
当連結会計年度末の流動負債は前期末に比べ5.8%減少し、818億86百万円となりました。これは短期借入金が89億46百万円、完成工事補償引当金が2億38百万円それぞれ増加し、未成工事受入金が72億98百万円、支払手形・工事未払金等が49億47百万円それぞれ減少したことなどによります。
当連結会計年度末の固定負債は前期末に比べ0.9%減少し、154億84百万円となりました。これは長期借入金が8億35百万円増加し、繰延税金負債が9億44百万円減少したことなどによります。
この結果、当連結会計年度末の負債合計は前期末に比べ5.0%減少し、973億71百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は前期末に比べ3.5%増加し、1,307億88百万円となりました。これは、利益剰余金が41億91百万円、為替換算調整勘定が22億55百万円それぞれ増加し、その他有価証券評価差額金が23億29百万円、退職給付に係る調整累計額が4億84百万円それぞれ減少したことなどによります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期末に比べ18億78百万円減少し、487億91百万円(前期末は506億70百万円)となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の計上などにより増加したものの、未成工事受入金の減少や仕入債務の減少などにより、85億44百万円の資金減少(前期は9億73百万円の資金増加)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の払戻による収入や投資有価証券の売却による収入などにより増加したものの、定期預金の預入れによる支出や有形及び無形固定資産の取得による支出などにより、10億71百万円の資金減少(前期は69億13百万円の資金減少)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額や非支配株主への配当金の支払額などにより減少したものの、短期借入金の純増額などにより、60億円の資金増加(前期は14億35百万円の資金減少)となりました。
設備工事等のための材料費、労務費、外注費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに業務改革、技術開発、情報化投資、海外拠点の拡充など当社グループの市場競争力強化のための投資等に資金を充当しております。
主として営業活動により稼得した資金のほか、金融機関からの借り入れにより、必要資金を調達しております。また、運転資金の効率的な調達を行うため、主要取引銀行と貸出コミットメント契約を締結しております。
連結財務諸表を作成するにあたり、在外連結子会社の財務諸表を換算しているため、為替相場の変動により、総資産、キャッシュ・フロー、完成工事高及び経常利益に影響を受けております。主に米ドル、タイバーツ、ユーロ及びインドルピーの為替の変動が大きく影響しております。
主な在外連結子会社における完成工事高及び経常利益に与える為替変動による影響
(注) *1 子会社4社を含んだ連結数値
*2 子会社6社を含んだ連結数値
*3 子会社10社を含んだ連結数値
*4 換算レートは第76期及び第77期における期中平均レート
当社は2022年4月19日に、保有するGeico.S.p.A.(以下「Geico」という)の株式の一部の譲渡契約を締結し、2022年4月20日に当該譲渡手続きが完了いたしました。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。
当連結会計年度における研究開発費は
当社は、技術開発センター(神奈川県)、テクニカルセンター(神奈川県)の2研究開発組織において、空調設備及び塗装設備の各分野における技術開発を前期に引き続き精力的に実施し、多くの成果を得ました。
セグメントごとの研究開発は以下のとおりであります。
当連結会計年度における研究開発費の金額は
① 直膨空調システムの拡充
当社では、冷凍機の冷媒で空気を直接冷却する直膨空調システムの開発を進め、主に環境試験室用途に導入してまいりました。
当連結会計年度は、この技術を近年のウェルネスオフィスへ適用するために、直膨式輻射空調設備の開発を実施致しました。天井面設置のアンビエント空調用輻射パネル、机上設置を想定したタスク空調用輻射パネルに加え、足元部分に冷却時の廃熱利用タスク加熱用輻射パネルを追加することで、省エネ性と快適性を向上させたシステムとなっております。これらの直膨式輻射空調システムと、室全体に空気のよどみのない環境を提供する「ゆらぎ換気システム」を組み合わせることでニューノーマル時代に適応するウェルネス空調を提供いたします。技術開発センターやR&Dサテライトへ導入し、その快適性、省エネ性を体感していただくことで顧客へ技術PRを行い、拡販を進めてまいります。
② ロボット制御技術
当社では、将来へ向けた取り組みの一つとしてロボット制御技術に取り組んでおります。この取り組みは、当社の施工現場での活用のみならず、DX要素技術の集合体であるロボット開発を通じ、専門技術を持つ企業様との協働関係の構築・強化なども目指しております。また、この開発で得た技術や知見を他の開発へ展開することも目的とし取り組んでおります。
当連結会計年度は、試運転計測の自動化を目指し、自走式温湿度計測ロボットの開発に着手いたしました。技術開発センター内での試験や、実際の現場での活用を想定した本社事務所での計測試験を実施致しました。
今後は、無人計測である特徴を最大限活用するため、低露点室やクリーンルームなどの室内環境で活用するための改善や温湿度以外の計測器への対応などを進めてまいります。これらの技術は働き方改革への対応につながるものと考えております。既開発済みの複合現実(mixed reality)技術や画像認識技術などと組み合わせ、施工現場において多くの場面で活用することを目指し開発を続けてまいります。
③ 低露点室変風量制御
当社では、二次電池製造工程などで必要とされる低露点室向け省エネルギー技術として、変風量除湿システムの開発に取り組んでおります。これは、従来の技術では常に最大能力で運転されていた除湿装置を、室内負荷(主に人による除湿負荷)により送風量・除湿能力を可変させながら、室内負荷変動に追従する技術です。これにより消費エネルギーの大幅な削減が可能となります。
当連結会計年度は、この空調システムの開発・実証を行いました。この技術は、室内負荷減少時には装置供給風量・除湿量を低負荷運転状態へ移行し、負荷増加時にはそれらを定格運転へ移行させることで、負荷に合わせた運転状態を作るものです。運転容量の変更に際してシステムの応答性を考慮して制御することで、室内露点条件(給気露点温度条件)を保ったまま消費エネルギーの削減を実現いたします。
技術開発センター内に設けた検証室を活用し、室内負荷の変動に対する除湿装置の応答性を考慮した運転状態の変更、その変更タイミングなどの検証を完了いたしました。現在実用化へ向けての最終段階に入っております。今後はこの技術のPRを実施し、多くのお客様への導入を目指すと同時に、低露点室設備の受注拡大を図ってまいります。
④ 人追従空調システム
当社では、工場や倉庫における作業員向けスポット空調技術として、人追従空調システムの開発を実施いたしました。この技術は当社の開発技術のPRを通じて顧客ニーズを把握し、開発技術を発展させたものとなります。
当連結会計年度は、試作機の作成、検証を実施致しました。これは、対象エリア内(おおむね5m×5m程度)の人の動きをセンサー(色識別カメラ)でとらえ、可動式ノズル(X,Yの2軸)で対象者へスポット気流を供給し続けるシステムとなっております。これにより、大空間において局所空調を効果的に行うことが可能となり、空調エネルギーを削減することができます。同システムは、
1) センサーカメラと吹出口が一体となっており、ユニットして単体で設置可能
2) 100V電源があれば設置可能
3) 低消費電力・低圧損により省エネ
等の特徴を有しております。この特徴を生かし、工場組立工程、倉庫、搬出入ヤード、厩舎など空間面積に対して人が少ない場所、作業場所が移動する場所、空間を囲うことが難しい場所等への局所空調設備として導入を目指しております。現在量産化に向け、長期動作試験や先行導入による機能確認などを実施しております。これら省エネルギー技術を社会に提供することで脱炭素社会の実現へ貢献してまいります。
当連結会計年度における研究開発費の金額は
① IoT・AIを活用した塗装工場の監視解析システム「i-Navistar」の開発
最近のIT技術の流れの中において、当社はIoT・AIを活用した塗装工場全体における監視解析システム「i-Navistar」を主として自動車塗装ライン向けに展開しております。「i-Navistar」は、主に稼働解析システムと品質解析システムの2つより構成されています。稼働解析システムは、設備の運転状態を各種センサーにより常時監視し、測定値の傾向より故障予測をすることができるので、効率のよい保全作業を可能にし、設備稼働率の向上に繋がります。品質解析システムは、品質不良の要因を、収集された稼働・品質データをもとに解析することにより、要因特定までの時間を大幅に短縮する事ができます。また同時に熟練技術者への依存度を軽減することも可能になります。本システムの積極的なPR活動により、既に自動車塗装ラインへの納入実績に加え、更に新たな受注も決定しております。
また「i-Navistar」は3つ目の機能として、『無駄なエネルギーの見える化、シミュレーター機能を使った最適エネルギー管理』を目的とした塗装工場のエネルギーマネージメントシステム(EMS)を加えるべく開発を進めています。世界各地でのカーボンニュートラルへの取り組みが活発になるほど、EMSへの要求もさらに高まっていくものと予想しております。
今後も、お客様の要求に応えられるシステムを提供し続ける事ができるように、「i-Navistar」の継続的な進化を続けて、受注拡大を図ってまいります。
② 少風量ブース「i-LAVB」の開発
当社の主力設備である塗装ブース設備稼働によるCO₂排出量は、自動車塗装工場全体で排出されるCO₂のおよそ50%を占めております。近年高まっている地球環境負荷低減へ貢献できる技術としてブース給気量を削減し、同時にCO₂排出量削減可能な少風量ブース「i-LAVB」を開発しました。
従来のブースでは、上部の天井全面から均一なダウンフローを給気することによりブース内のクリーンな環境と安定した塗装品質を確保しています。少風量ブース「i-LAVB」は、ブース天井部に配置した半円ダクトからのコントロールされた局所給気によってより少ない風量で従来塗装ブースと同等の塗装環境を作り出すことを可能としました。
ブース各部位の気流を機能別に再考し、必要な機能に絞り込んだ気流(車体廻りの塗料ミストを速やかに除去するブースセンター気流と壁汚れを防止するブースサイド気流)に最適化することで、給気風量を削減しながら車体の塗装品質を確保する事ができました。この技術を導入することにより、温湿度制御に必要な空調エネルギー及びCO₂削減が可能となります。
現在、多くのお客様に導入の検討を進めていただいております。今後も継続して省エネルギー・環境負荷低減技術での社会への貢献を目標に「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に向けた開発を推進してまいります。