文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、創業理念(社是)「顧客第一」と社名「大気社」が示す「エネルギー・空気・水」の環境対応技術を核として、グローバルに事業領域を拡大し、安定的かつ持続的な成長を目指します。そして全てのステークホルダーにとって魅力ある会社づくりをすすめ、社会に貢献してまいります。
当社グループは、2022年5月16日に開示しました中期経営計画において、「エネルギー・空気・水の創造的なエンジニアリングにより、持続可能な社会へ貢献する」、「多様な人材・知見を活かし、インクルーシブなグローバル企業となる」ことを長期ビジョンとして掲げております。
① エネルギー・空気・水の創造的なエンジニアリングにより、持続可能な社会へ貢献する
Innovative Engineering for a Sustainable Society - with energy, air and water -
社会的課題の解決へのチャレンジを通じて、エネルギー・空気・水に関わる、ハード面の技術革新、ソフト面の経験知の蓄積、新たな領域への知的探索により、総合エンジニアリング力の強化を図ります。それが新規事業・新規顧客の開拓や既存顧客への「専門性の高い顧客ニーズへの処方箋」の提供に繋がり、当社の差別化戦略となると考えております。そして差別化によって、企業成長を実現すると同時に、社会的課題の解決、すなわち持続的な社会への貢献を目指します。その一つとして、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて取り組んでまいります。
② 多様な人材・知見を活かし、インクルーシブなグローバル企業となる
Diversity & Inclusion as a Global Company
当社にもともとあった多様性を受容する企業風土をベースに、より各人が能力を発揮でき、相乗効果を生む仕組みづくりを進め、真のグローバル企業として、国を問わず活躍できる企業となることを目指します。さらに当社においては、技術開発を含む事業活動において社内外の多様な人材・技術を結合・融合させて新たな価値を生み出すこともインクルージョンの一つと捉え、二つの意味でインクルーシブな企業を目指します。
2023年3月期から2025年3月期の中期経営計画の概要は、以下のとおりであります。
非財務目標
事業活動に伴うCO2排出量(スコープ1・2)を、2030年までに46%削減することを目標として掲げております(2015年度実績比)。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、長期ビジョンの実現に向けて、既存の事業ポートフォリオを「資本効率」「長期戦略との整合性」「関係会社ガバナンス」の視点で見直し、長期的に付加価値を創造できる筋肉質な事業構造へ転換していきます。中期経営計画においては、①コア事業のさらなる強化、②新たな価値創出への挑戦、③変革・成長を支える経営基盤の強化」を経営課題と定めております。
(ア)環境システム事業
・付加価値を生み出し続ける事業展開
カーボンニュートラルの実現に向けた脱炭素ビジネスへの取組みを推進していきます。また、技術ニーズに応え続ける体制とプロフェッショナルの育成や、産業空調分野におけるノウハウ・知財の蓄積を図ります。
・技術の大気社を強化
新技術開発センターやR&Dサテライトにおける顧客ニーズの把握と共同開発を進めるとともに、営業部門と開発部門の協働による顧客への積極的な技術提案とシーズの掘り起こしを図ります。
・業務の仕組みの改善と生産性向上
働きやすさ向上のための業務のデジタル化・DX化、ムリ・ムダ・ムラをなくす業務プロセス変革、サプライヤーとの関係強化と共に成長できる仕組みづくりを推進していきます。
(イ)塗装システム事業
・国内外での確固たる地位の確立
非日系顧客のニーズに応える技術の多様化、パートナー企業との協働による非四輪新規顧客へのアプローチ、海外ネットワークを活用した現地に根差した事業展開を推進していきます。
・グローバルな社会課題を意識した開発
カーボンニュートラル実現のため、技術開発により顧客の生産技術の変革に貢献します。また、海外拠点と連動した開発体制の構築強化を図ります。
・業務の仕組みの改善と生産性向上
業務プロセスのデジタル化による現場業務の遠隔化・自動化、グローバルな教育プログラムの設計、プロジェクト管理体制の見直しによる人員最適化を推進していきます。
自社の知財や無形固定資産を活かした経営戦略の立案・推進を図ります。また、本社支社のオフィス内にR&Dサテライトを設置して顧客ニーズを把握することで、顧客視点の開発を進めるとともに、学術機関やスタートアップ企業など外部知見との融合によるオープンイノベーションから、新規事業の開拓を図ります。
・人的資本の育成・確保
イノベーションを生み出す組織風土づくり、社員エンゲージメントの向上、計画的な人材価値の開発を推進していきます。
・新たな価値提供に向けたデジタル戦略
現場のデジタル化・DX化による生産性向上、グローバルなIT・DX体制構築とともに、研究開発や新事業創出に向けたデジタル融合を強化していきます。
・グループガバナンス体制強化
資本コストを踏まえた事業ポートフォリオマネジメントの構築と、関係会社の取締役会・監査機能の実効性強化を図ります。
当社グループは、「創業理念」「企業理念」のもと、持続可能な社会の実現と企業の永続的成長に向けて、グローバルな社会課題に積極的に取り組むことを通して、豊かな環境の創造と産業社会の発展に貢献するとともに、企業価値向上を目指しております。
サステナビリティ全般に関するガバナンスにつきましては、経営会議において、全社的な行動計画を策定しており、当該計画について取締役会に付議し決定しています。また、全社方針検討会では、計画に基づいた取り組み状況を確認・評価するとともに目標の見直しを実施し、その結果を年2回以上の頻度で取締役会へ報告しています。これら報告を受けた取締役会では、リスク・機会について監督を行い、目標及び進捗のモニタリングを実施しています。
サステナビリティ全般に関するリスク管理につきましては、リスクマネジメント委員会において、当社グループの総合的な観点から、各リスクのリスク度評価、対応すべきリスクの選定、リスク低減に向けた方針等の策定・実行を行っています。同委員会は代表取締役社長を委員長として、年2回及び必要時に開催することとし、全社的なリスクマネジメントの基本方針及び責任体制、運営などを定め、周知・徹底を図っています。
当社グループにおける重要なサステナビリティ項目は以下のとおりであります。
(1) 気候変動に関する取組
(2) 人的資本・多様性に関する取組
それぞれの項目に係る当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
また、当社の企業統治の体制については「4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ② 企業統治の体制の概要」をご参照ください。
(1) 気候変動に関する取組
当社グループは、優先的に取り組むべき経営上の重要課題(マテリアリティ)のひとつに「気候変動の緩和と適応」を位置づけ、本業である省エネルギー性能の高い空調・衛生設備や塗装プラントの提供を通じて、環境負荷低減に取り組んでおります。
なお、2021年12月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同を表明しております。
① ガバナンス
気候変動への対応を含むグローバルな社会的課題への対応は、当社グループの存在意義(パーパス)そのものであるという考え方のもと、経営会議においては、リスクや機会を認識しビジネスチャンスとして捉え、経営戦略に織り込む活動を行っています。経営会議では、環境保全活動に係る全社的な行動計画を策定しており、当該計画について取締役会に付議し決定しています。
また、全社方針検討会では、計画に基づいた環境保全活動の取り組み状況を確認・評価するとともに目標の見直しを実施し、その結果を年2回以上の頻度で取締役会へ報告しています。
これらの報告を受けた取締役会では、気候関連のリスク・機会について監督を行い、目標及び進捗のモニタリングを実施しています。
気候関連リスク・機会の評価および管理については、リスクマネジメント委員会の委員長である代表取締役社長に責任を付与しています。
② 戦略
気候関連のリスク及び機会を特定・評価し、事業に与える影響を把握するため、環境システム事業及び塗装システム事業を対象に、2035年度において、当社グループへの影響度が高いリスクと機会の要因を洗い出し、世界の平均気温上昇が2℃未満に抑制されることを想定した2℃未満シナリオと、4℃程度上昇する4℃シナリオについて、それぞれ政策や市場動向の移行に関する分析と、災害などによる物理的変化に関する分析を実施しました。当社グループは「炭素税」「顧客行動の変化」「省エネ・再エネ技術の普及」を移行の要素、「平均気温の上昇」を物理的な要素と認識し、重要なリスク・機会として特定しました。
ア 4℃シナリオ
政府による低炭素政策も限定的で、低炭素社会への移行は限定的な範囲に留まり、平均気温の上昇によりヒートストレスや自然災害リスクが高まります。これらは当社グループの事業に対し、以下のような影響をもたらすと想定されます。日本国内では炭素税が導入されない想定のため、炭素税導入による資材原価の上昇の影響は限定的です。事業ごとにみると、環境システム事業ではネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)、塗装システム事業では省エネ設計プラントの需要が広がるものの、顧客からの低炭素対応要請による売上への影響も限定的と想定されます。その一方で、平均気温の上昇に伴い、植物工場・空調システムの需要の取り込みや施工現場における熱中症・感染症対策の強化が必要になります。
イ 2℃未満シナリオ
物理リスクの影響は限定的な範囲に留まりますが、各種規制や顧客からの要請など移行リスクへの対応が必要になります。これらは当社グループの事業に対し、以下のような影響をもたらすことが想定されます。政府による低炭素政策の強化により、炭素税負担及び資材原価の上昇の影響がもたらされ、コストの上昇が見込まれます。事業別にみると、環境システム事業では、顧客からの低炭素対応要請が強まり、省エネ規制、新築のZEB義務化等により、既存の空調施工売上は減少する一方で、当該要請等に対応した製品・技術の開発により売上が拡大することが見込まれます。塗装システム事業では、塗装工程の低炭素化への需要が拡大し、低炭素化・省エネ化非対応の既存の製品売上が減少する一方で、これらの対応をした製品・技術の開発により売上が拡大することが見込まれます。
シナリオ分析の結果、当社グループの事業に影響を与える重要な気候関連のリスク及び機会、2035年度時点における財務影響は以下のとおりです。
ⅰ)移行リスク・機会
ⅱ)物理リスク・機会
詳細は当社ウェブサイトにて開示しております。
https://www.taikisha.co.jp/sustainability/taikisha/tcfd/
③ リスク管理
当社グループでは、気候変動を含む重大なリスクの低減と顕在化するリスクの最小化に努めています。
リスクマネジメント委員会においては、当社グループの総合的な観点から、各リスクのリスク度評価、対応すべきリスクの選定、リスク低減に向けた方針等の策定・実行を行っています。同委員会は、代表取締役社長を委員長として、年に2回及び必要時に開催することとし、全社的なリスクマネジメントの基本方針及び責任体制、運営などを定め、周知・徹底を図っています。
気候変動を含む重大なリスクに関しては、各所管部門において項目を抽出し、「経営への影響」や「発生の頻度」を考慮に入れ、大・中・小の3段階で「リスク度(重要度)」を判定しています。その中で戦略や財務上、重要な影響を与える大の項目に関しては、優先的に対応すべきリスクとして選定し、重点管理方針・目標の立案を行った上でリスクマネジメント委員会へ報告します。これを受け、リスクマネジメント委員会では、全社的・統合的な観点から各リスクのリスク度評価及び重点管理方針・目標について討議し、基本方針の策定を行います。その後、各所管部門では活動計画の遂行状況のモニタリングを実施し、結果をリスクマネジメント委員会へ報告します。リスクマネジメント委員長(代表取締役社長)は、全社のリスクマネジメントの状況を取りまとめ、内部統制委員会での討議を経て、年に2回、取締役会への報告を行います。
また、経営全般の重要事項を決定する経営会議では、気候変動のリスクや機会に対する討議をはじめ、気候変動シナリオの見直しや長期戦略への反映を行っています。気候変動リスクを含めた関連の課題に関しては、リスクマネジメント委員会の報告と並行して、取締役会への報告の検討も行います。
④ 指標と目標
ア 気候関連のリスク及び機会の管理・評価に用いる指標
気候関連のリスク及び機会の管理のため、温室効果ガス(GHG)排出量だけでなく、エネルギー消費量や水使用量、廃棄物排出量等の指標を設定して種々の対策を実行しています。
(注) 1 上記GHG排出量につきましては、株式会社サステナビリティ会計事務所による第三者保証を取得しています。
2 2022年度のGHG排出量につきましては、2023年10月発行の統合報告書で開示予定です。
イ 削減目標
事業活動に伴うCO2排出量(スコープ1・2)を、2030年度までに46%削減することを目標として掲げています(2015年度実績比)。また、当社グループの設計施工による設備の運用段階におけるCO2排出に関し、以下の長期的な削減目標のもと積極的に排出削減に取り組み、脱炭素社会の実現に貢献します。
(2) 人的資本・多様性に関する取組
当社は、中期経営計画(2022年度~2024年度)において、「変革・成長を支える経営基盤の強化」を基本方針の一つに掲げ、人的資本経営に資する人材の育成・確保や、これらに付随する社内環境整備を通じて「イノベーションを生み出す組織風土づくり」「社員エンゲージメントの向上」「計画的な人材価値の開発」に取り組んでいます。
社員ひとりひとりの専門性を高めるだけでなく、顧客・取引先・社内とのコミュニケーション能力の向上、健康・安全の確保、コンプライアンス意識の醸成・浸透等の研修を通じて、企業理念である「永続的に成長し、社会に貢献する会社づくり」を目指しています。
なお、本項に記載する方針及び指標については、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、本項は連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。
① 戦略
Ⅰ 育成(人材の育成・確保)
(ア) 人材育成・スキルアップ
企業理念達成のため当社が求める6つの人材像「1.モラル意識の高い社員」「2.コミュニケーション意欲の高い社員」「3.チャレンジ意欲のある社員」「4.高い業務能力を持つ社員」「5.広い視野を持つ社員」「6.マネジメント力のある社員」を育成目標と考え、入社年度から主体的に目標達成に向けた行動ができる人材の育成に取り組んでいます。中堅社員からは、専門能力だけでなく経営知識を高め、経営感覚を養えるようなプログラムを新たに準備し、2023年度より個々人の達成レベルに合わせたカリキュラムを実施します。
また、個人の成長とスキルアップを支援する仕組みとして、中長期的なキャリアプラン制度を導入しています。本制度では全社員が自律的に能力開発に取り組むためのキャリアプランを作成し、定期的な上司との1on1の面談を通じて目標達成に向けた必要なスキルや能力の可視化を行い、計画的に取り組んでいます。
Ⅱ 流動性(社内環境整備)
(ア) 採用・維持
採用市場の状況を踏まえたうえで、人事部と事業部による社員年齢構成の将来予測と長期的な事業計画に基づいた採用計画を作成し、積極的な採用活動を行っています。一方、人材の流出を抑制するため当社離職者の就業環境や離職理由を把握・分析し、社内環境の整備等の施策に取り組んでおります。
(イ) 高年齢者の就業機会確保
高年齢者の就業機会確保の施策として、60歳定年後再雇用制度の廃止と定年年齢の65歳への引き上げを行いました。これにより、高年齢者の就業意欲を向上させ、恒常的な人員不足の解消と次世代への高年齢者の技術継承につなげていきます。
また、社員のニーズに対応するため、社員自身が60歳から65歳の間で退職年齢を決定できる選択定年制も導入しました。
Ⅲ ダイバーシティ(社内環境整備)
(ア) ダイバーシティ
当社は2016年4月に「ダイバーシティマネジメント推進のための基本方針ならびに活動方針」を策定し、年齢、性別、人種、国籍、宗教、障がいの有無等にかかわりなく、様々な価値観や考え方を有した多様な人材が最大限の能力を発揮できる職場環境の充実を目指し、持続的な企業価値の向上に結び付けるための継続的な施策を行っています。
また、2023年4月にはダイバーシティアンドインクルージョン推進課を新設し、属性にとらわれない包括的なダイバーシティマネジメントを進めていきます。
(イ) ワークライフバランスの支援
家庭と仕事の両立支援に向けた様々な施策に取り組み、働きやすい仕組みづくりを進めています。育児・介護においては、一部法律を上回る施策を整備しており、社員が必要に応じて制度を活用できるよう環境整備と啓蒙活動を行っています。
(ウ) 賃金の公平性(社内環境整備)
社員が年齢や性別、職務経験にとらわれず自己の能力を発揮でき、適時・柔軟に職務に就けるように、職務ごとに分かれていた等級を一本化した能力等級制を採用することで、チャレンジ精神の醸成を目指しています。
なお、女性活躍の一つの指標である男女の賃金差異は全体で59.7%ですが、現行の制度上、同一等級内における男女の賃金格差はありません。この差異の要因は、係長級以上の女性社員が少ないことによるものです。
※ 厚生労働省 女性の活躍推進企業データーベースにて開示している割合です。
Ⅳ 健康・安全・エンゲージメント
(ア) 社員の健康(人材の育成・確保)(社内環境整備)
社員は会社の成長を支える人材として重要な経営資源の一つであることから、社員の心身の健康維持・増進を重要な経営課題の一つと位置づけ、2020年に「健康経営宣言」を発表し、2021年度から3年連続で「健康経営優良法人ホワイト500」を取得しています。
社長を健康管理責任者とする社員の健康推進体制を構築し、社員の健全な心と体の維持・増進のため、生活習慣や健康意識の改善施策を計画・実行し、評価・改善を行っています。
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https://www.taikisha.co.jp/sustainability/society/health-management/#anc-02
・健康戦略① 長時間労働の低減
2024年度の時間外労働の上限規制順守と社員のワークライフバランス向上のため、経営企画本部長を議長とする「長時間労働対策会議」において、労使が一体となり長時間労働の現状把握と意見交換及び各部門での支援策の報告を行っています。2022年度は主に現場業務に従事する社員の長時間労働の実態把握及び課題抽出や、DXを取り入れた業務効率化の検討と現場支援ITツール導入後の効果検証及び活用方法の検討等を実施しました。
・健康戦略② 生活習慣の改善
社員の健全な心と体の健康維持・増進を図るため、社員それぞれが健康管理の目標を定めて自身の体の状態に関心を持ち、運動習慣の定着や食生活の改善といった健康的な生活習慣の確立を目指した活動を推進しています。
また、当社全体の施策としてウォーキングイベント・禁煙支援・禁煙タイムの設定、健康に関するeラーニング等を実施しています。加えて、健康診断後の二次検査と特定保健指導を就労時間内と認め、受診しやすい環境を整備する等、社員に健康意識を根付かせる活動を推進しています。
・健康戦略③ メンタルヘルスの向上
ストレスチェックと同時にエンゲージメント調査を行うことで、各部門における課題を把握し、不調者の発生を未然に防ぐとともに、職場環境の改善を推進しています。
また、ストレスチェックとは別に、社員が自覚する心身の不調についての記名式アンケートを実施し、不調の兆しのある社員に対し、専門医による面談や人事部によるヒアリング等を行っています。
(イ) 職場の安全
建設業界における「安全第一主義に徹した計画・施工」を実践するため、労働安全衛生法に則った教育に加え、当社で過去にあった労働災害の事例を基に動画を作成し、安全教育に活用しています。海外拠点に対しても、当該動画を英語、中国語に翻訳して配布するとともに、安全責任者会議を実施しており、当社グループの安全管理技術の向上を図っています。
また、安全衛生に関する情報及び書式等を社内ネットワークで共有し、労働災害を防ぐための職場環境整備に役立てています。
※1 労働災害の発生状況を評価する指標で、100万延べ実労働時間当たりの労働災害による死傷者数で労働災害の頻度を表したものです。統計をとった期間中に発生した労働災害のうち、4日以上の休業災害による死傷者数を同じ期間中の全労働者延べ実労働時間数で割り、それに100万を掛けた数値です。
※2 1,000延べ実労働時間当たりに起こった労働災害により、どの程度の損失が発生したかの程度を表したものです。統計をとった期間中に発生した労働災害による延べ労働損失日数(労働災害により労働不能となった日数)を同じ期間中の全労働者の延べ実労働時間数で割り、それに1,000を掛けた数値です。
Ⅴ コンプライアンス
(ア) コンプライアンス・倫理(人材の育成・確保)(社内環境整備)
コンプライアンス意識の醸成・浸透を図り、コンプライアンス違反の予防に取り組んでいます。企業倫理と法令順守の意識向上を目的として、通報窓口に寄せられた内容等を踏まえた動画を作成し、eラーニングによる問題行為への気づきと相談・通報をすることの重要性を周知しています。
また、2022年度は海外関係会社のコンプライアンス意識調査を実施し現状把握と課題の分析を行っており、来期からはそれぞれの課題に応じた教育を計画します。
これらにより、今後も当社グループ全社員のコンプライアンス意識の醸成・浸透に努めます。
※ 2020年度までは別形式で実施しているため、2021年度から開示しております。
② 指標及び目標
上記「① 戦略」で記載した「人的資本の育成・確保」と「社内環境整備」における方針の指標に関する2022年度の目標と実績は次のとおりです。
※ 「男女間賃金格差」「男性労働者の育児休業取得率」は「
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの事業においては、受注環境の変化が、売上、利益に大きく影響を与える可能性があります。環境システム事業では、海外における日系企業の投資の減少、塗装システム事業では、国内自動車メーカーの国内生産縮小の継続、ウクライナ危機の長期化による経済活動の縮小や世界的な半導体不足による新規の設備投資の減少により、受注工事高が減少し、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。また、自動車メーカー各社のカーボンニュートラル実現に向けた生産設備の変化への対応が遅れると、顧客離れを招き、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
これに対し環境システム事業では、海外において、現地系企業への営業体制の強化、国内営業と連携した日系メーカーへの受注活動の推進を行ってまいります。また、塗装システム事業では、カーボンニュートラル実現に向けた顧客の生産設備に変化をもたらす当社の技術開発を加速するとともに、自動化技術を軸に、従来からの四輪・二輪車市場に加え、他の産業への参入を推し進め、オートメーション事業の拡大を目指してまいります。
当社グループが事業を展開する地域において、地震、津波、風水害等の自然災害や、感染症等の世界的流行が発生したことで損失が発生し、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。なお、大規模・広域な自然災害の発生にあっては、当社グループの直接的な物的・人的被害のみならず、顧客の事業活動、ひいては経済情勢にまで影響が及び、その影響が長期化することによって、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
これに対し国内外の不測の災害や事故、事件などの発生に備え、危機管理の基本方針を定め、危機管理体制を構築しています。危機が発生した場合、人命や事業継続に対する影響度に応じて対応レベルを3段階に区分し、それぞれのレベルに対応した危機対策を実施することを定めています。
2020年初めに顕在化した新型コロナウイルス感染症拡大により、従業員への被害、建設資材の調達遅延や建設工程の停止などの影響で、当社グループの経営成績等への影響を及ぼす可能性があります。
新型コロナウイルス感染症の対策につきましては、最も高い対応レベルでの危機対策を実施することとし、代表取締役社長を対策本部長に、事業部長、本部長等を構成員とする危機対策本部を立ち上げ、在宅勤務及び時差出勤の推奨などの通勤時のリスク低減対策、会社行事・業務活動見直しなどの感染防止対策、感染者への適切な対応等、グループ全体として対応を行ってきました。今後の感染拡大状況に応じて適時に対応していきます。
海外各地において展開している事業については、予期しない法規制の改正、政情不安等が業績に影響を及ぼす可能性があります。外貨建工事契約に係る請負代金の入金及び発注代金の支払いについて為替変動による損失発生の可能性があります。さらに、連結財務諸表作成にあたっては海外関係会社の財務諸表を換算するため、為替相場の変動により当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。また、客先の倒産による債権の貸し倒れ、事前に想定できなかった問題の発生やこれらのリスクに対処できないことなどにより、海外関係会社の事業計画が達成できず業績が悪化し、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
これに対し海外進出先の政治・経済や法令の動向について情報収集を行い、カントリーリスク・海外の法規制リスクの抑制に努めます。外貨建工事契約に係る請負代金の入金及び発注代金の支払いから発生する為替リスクについては、先物為替予約等のヘッジを実施し、債権の未回収リスクについては、受注前審査による与信管理を強化するなど、可能な限りリスクの回避をしております。また、引き続き海外関係会社のガバナンス体制の高度化を進めてまいります。
カーボンニュートラル、省エネルギー、環境対策の改善・向上、オートメーション化等、顧客からの高まるニーズに対応したシステムの開発が遅れた場合、他社との技術的な差別化が図れず、受注機会損失や顧客からの信頼度や企業評価の低下などにより、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
これに対し、カーボンニュートラルの実現に向けた脱炭素ビジネスへの取組みとしての環境負荷低減技術、当社の強みとなる技術である自動化技術の開発・実証を進め、社会的課題の解決を目指してまいります。そのために、2023年4月新宿本社にR&Dサテライト施設「TAIKISHA INNOVATION GATE Shinjuku」を開設し、コミュニケーションの幅を広げ、社内外のソリューションの融合やイノベーションの発掘につなげていくとともに、デジタル技術を活用し、当社グループの横断的な活動の強化や学術機関・スタートアップ企業との融合による革新的技術開発の推進により、社会のニーズを先取りしたテーマに取り組んでまいります。
当社グループの事業分野である、建設業・設備工事業は、人材に大きく依存しております。国内においては、高齢化の進展や技術者育成の遅れにより、スキル・経験を有する技術者・技能者の数や質の低下が懸念されることに加えて、2024年4月から建設業においても時間外労働の上限規制が適用されることに伴い、技術社員の総労働時間の減少が見込まれ、中長期計画を達成するための設計・施工体制が構築できない場合、業績への影響が発生する可能性があります。また、海外においても、現地従業員の育成の遅れや離職により、現地化推進を担う中核人材が確保できず、長期的な海外事業展開に影響が発生する可能性があります。
これに対し協力会社との連携を強化すると共に、従前より行っているモジュール化の更なる推進、機械化・工場生産化を進めてまいります。社内においては、研修を通じた基礎技術力の向上と現場における実践教育により、社員の技術力アップを図り、人材の育成を進めてまいります。また、デジタル技術を活用し、生産性を高めることにより、働き方改革を進め、魅力ある職場づくりを行い、人材確保に努めます。
また、海外においても、グローバル人事制度の導入により、中核人材の確保と育成に努め、現地化を進めてまいります。
なお、社員の健全な心と体の維持・増進のため、2020年に「健康経営宣言」を発表し、代表取締役社長を健康管理責任者とした健康経営推進体制を明示し、さまざまな社員の健康施策の立案・実施とともに、その施策効果の検証と継続的な改善を行ってまいります。
当社グループの事業分野は、建設業法、独占禁止法、労働基準法をはじめ、多くの法的規制を受けており、当社グループ役員または従業員が法令に違反する行為を行った場合には、当社グループの事業活動が制限され、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
これに対し法令順守の維持・意識の向上を図るため、eラーニングなどによるコンプライアンス教育プログラムの継続的な実施とフォローを行い、また、コンプライアンス意識調査を実施し、コンプライアンス活動の有効性の検証と改善プロセスへの反映により、ルール違反を起こさない風土・仕組みづくりを行っていきます。
施工段階における重大事故、品質不具合等の重大な契約不適合が発生した場合、社会的信用の失墜、及び業績面の影響が発生する可能性があります。請負工事については、顧客との間の工事請負契約に基づき、竣工後一定期間、契約不適合責任を負っており、この契約不適合責任に伴って発生する費用について、過去の実績に基づき完成工事補償引当金を計上しておりますが、当該費用が引当金残高を上回って発生することで、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
これに対し当社グループは、従前より行っているデジタルサイネージなどのデジタル技術の活用、作業手順の検討会で協力会社へ作業詳細手順図作成を指導するなど、安全意識・レベルの向上を図り、安全管理体制の強化に努め建設現場における安全衛生管理には万全の対策を講じています。また、施工管理システムの見直しや施工管理のデジタル化、品質に関する全社的な情報共有の推進により不具合の未然防止に努めるとともに、全社ベースで技術品質の確保をするための体制を強化しております。
半導体不足や燃料高騰などの影響による建設資材の調達価格の高騰や少子高齢化・担い手不足により労務単価が高騰し、これを請負金額に反映させることが困難な場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
これに対し受注時の地域別適正原価の把握や、契約における物価変動リスクのヘッジなどを通じ、資材価格及び労務単価の変動リスクの抑制に努めております。
年々、高度化、多様化、巧妙化するサイバー攻撃や、従業員の不正による故意のデータ持出し等により、個人情報や顧客情報等の機密情報が漏洩した場合、信用の失墜や損害賠償などにより、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
これに対し当社グループのITセキュリティ診断により脆弱性を把握し、それに応じたITセキュリティの強化を行うとともに、社内規程の整備、社員教育の徹底等を進め、機密情報の外部への流出防止に努めております。
今後、脱炭素社会へ移行していく中で、政策、法律、技術、市場が変化し、企業の財務やレピュテーションにさまざまな影響を及ぼす可能性があります。当社においても、顧客の気候変動対応の動きにうまく適応できないことによる顧客離れ、カーボンニュートラル対応技術開発の遅れによる競争力の低下、炭素税導入によるコスト増加、また、平均気温上昇による労働生産性の低下や猛暑日の増加による施工中止など、これらの移行・物理リスクが当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
これに対し、設備の小型化、省エネ化など低炭素な施工技術・システムの開発、工場のZEB化など省エネ設備の施工拡大、施工における機械化・自動化の推進などに取り組んでまいります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、これらの会計基準に基づき、決算日における資産・負債及び収益・費用の数値に影響を与える見積りが行なわれているものがあります。
会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」をご参照ください。
なお、これらの見積りにつきましては、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。
当期における世界経済は、新型コロナウイルス感染症に対する防疫と経済活動の両立が進む一方、ウクライナ危機の長期化に伴う資源価格の高騰、欧米におけるインフレ加速に伴う政策金利の引き上げ、米中の緊張関係の高まりなど、先行き不透明な状況が続きました。
米国では、雇用関係は堅調なものの、インフレの進行や金融引き締めなどを背景に、景気後退の懸念が高まりました。欧州においては、行動制限の緩和により景気は回復傾向にあったものの、エネルギー価格の高騰やロシアからのエネルギー輸入制限等が経済活動の制約となりました。中国では、2022年12月までのゼロコロナ政策により、成長が鈍化しました。東南アジアでは、新型コロナウイルスの感染状況は落ち着き、景気の回復傾向が続きました。日本経済は、行動制限の緩和により経済活動が正常化したものの、為替変動やエネルギー価格の高騰などにより、緩やかな回復基調で推移しました。
当社グループにおける市場環境につきましては、海外市場では新型コロナウイルス感染症や資源価格の高騰などの影響による不透明感があったものの、各メーカーによる設備投資は回復傾向が続きました。
一方、国内市場では電子部品や医薬品などのメーカーによる投資が好調であり、首都圏におけるオフィスビルの建設需要や自動車メーカーによる投資も堅調に推移しました。
このような状況のもと、当社グループは中長期的な成長を目指し、以下の取り組みを推進してまいりました。
環境システム事業では、付加価値を生み出し続ける事業展開の一環として、インドの連結子会社Nicomac Taikisha Clean Rooms Private Limited(2020年7月にパネル製造据付技術と空調設備技術の融合のため子会社化)への出資比率を74%から100%へ引き上げました。同社は、インドの製薬メーカーを主要顧客とし、クリーンパネル等の製造から施工(据付)まで一貫して行っておりますが、近年はインド国内への販売に留まらず、周辺国や米国等へも輸出を行っています。
インド経済は人口増加、都市化の発展、経済改革などを背景に、今後も底堅い成長が見込まれています。インドにおけるクリーンルーム市場は、現在は医薬品向けの工場が大半ですが、今後はインド政府の産業誘致・育成政策に基づく半導体・リチウムイオン電池などの製造施設向けの需要拡大も期待されます。今回の出資比率引き上げを機に、同社が持つ大手製薬メーカーへの高いブランド力と、日本で豊富な医薬品向けの工場実績を持つ当社の知見を組み合わせ、インドにおいて、付加価値が高いクリーンルーム建設市場における事業拡大戦略をいっそう推進します。
塗装システム事業では、グローバルな社会課題を意識した開発の一環として、IoT・AIを活用して自動車塗装ラインの監視・要因解析を行うシステム「i-Navistar」に、新たにエネルギーマネジメントシステム(EMS)機能の開発を進めました。
自動車塗装ラインには多種多様な設備が導入され、生産現場においては、熟練技術者の知見をもとに長時間かけてそれらのデータ分析と検証が繰り返され、不具合が発生した際の原因の特定も、多くの場合、人の手に依存している現状にあります。こうした生産性や品質上の課題解決のために、当社では、従来よりIoT・AIを活用し稼働停止及び品質不良が発生した際の要因解析を行うシステム「i-Navistar」の開発に注力してきました。今回さらに、自動車メーカー各社の脱炭素化への取り組みに貢献すべく、『無駄なエネルギーの見える化、シミュレーター機能を使った最適エネルギー管理』を目的とした塗装工場の「エネルギーマネジメントシステム(EMS)」機能の開発を進め、すでに多くの自動車メーカーから高い関心が寄せられています。
世界各地で、今後ますます脱炭素化への取り組みが加速していくに伴い、EMS機能へのニーズも高まっていくことが予想されています。こうした開発製品の高度化に引き続き取り組み、社会的課題の解決と気候変動に伴う需要の取り込みに努めてまいります。
このような状況のもと、当期における受注工事高は、国内・海外ともに増加し、2,886億70百万円(前期比24.4%増加)となり、うち海外の受注工事高は、1,359億56百万円(前期比53.4%増加)となりました。
完成工事高は、国内は増加したものの海外は減少し、2,147億93百万円(前期比2.6%増加)となり、うち海外の完成工事高は、805億56百万円(前期比20.7%減少)となりました。
利益面につきましては、完成工事総利益は330億71百万円(前期比14億56百万円増加)、営業利益は115億56百万円(前期比21億27百万円増加)、経常利益は130億1百万円(前期比21億83百万円増加)、親会社株主に帰属する当期純利益は79億17百万円(前期比6億68百万円増加)となりました。
セグメントごとの業績(セグメント間の内部取引高を含む)は次のとおりであります。
環境システム事業
受注工事高は、国内の産業空調や中国、台湾などで増加したことにより、前期を上回りました。完成工事高は国内の産業空調やタイなどで増加したことにより、前期を上回りました。
この結果、受注工事高は、2,080億78百万円(前期比30.9%増加)となりました。このうちビル空調分野は、361億88百万円(前期比16.5%減少)、産業空調分野は、1,718億89百万円(前期比48.7%増加)となりました。完成工事高は、1,718億68百万円(前期比27.9%増加)となりました。このうちビル空調分野は、453億55百万円(前期比10.7%増加)、産業空調分野は、1,265億12百万円(前期比35.4%増加)となりました。セグメント利益(経常利益)につきましては、145億99百万円(前期比52億96百万円増加)となりました。
塗装システム事業
受注工事高は、欧州で減少したものの、中国やインド、韓国などで増加し、前期を上回りました。完成工事高は、国内、欧州、北米及び中国などで減少し、前期を下回りました。
この結果、受注工事高は、805億91百万円(前期比10.1%増加)となりました。完成工事高は、429億60百万円(前期比42.6%減少)となりました。セグメント損失(経常損失)につきましては、16億6百万円(前期はセグメント利益6億67百万円)となりました。
セグメントごとの受注工事高・完成工事高(セグメント間の内部取引高を含む)
当社グループが営んでいる事業の大部分を占める設備工事業では生産実績を定義することが困難であり、設備工事業においては請負形態をとっているため販売実績という定義は実態にそぐいません。
よって、受注及び売上の状況については「セグメントごとの業績」において報告セグメントの種類に関連付けて記載しております。
なお、参考のため提出会社個別の事業の状況は次のとおりであります。
設備工事業における受注工事高及び完成工事高の状況
① 受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高
(注) 1 前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含んでおります。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれております。
2 前事業年度の前期繰越工事高は、収益認識会計基準第84項ただし書きに定める経過的な取扱いに従い、前事業年度の期首より前に新たな会計方針を遡及適用した場合の累積的影響額を調整しております。
3 次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)であります。
4 当期受注工事高のうち海外工事の割合は、前事業年度は4.3%、当事業年度は4.5%であります。
5 前事業年度及び当事業年度における海外受注工事高はそれぞれ当期受注工事高の10%を超えていないため、主要な海外受注工事についての記載を省略しております。
② 受注工事高の受注方法別比率
工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。
(注) 百分比は請負金額比であります。
③ 完成工事高
(注) 1 海外工事の地域別割合は、次のとおりであります。
2 完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。
前事業年度 請負金額20億円以上の主なもの
当事業年度 請負金額25億円以上の主なもの
3 完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりであります。
前事業年度
当事業年度
④ 手持工事高 (2023年3月31日現在)
(注) 手持工事のうち請負金額45億円以上の主なものは、次のとおりであります。
当期末の流動資産は前期末に比べ9.7%増加し、1,844億67百万円となりました。これは受取手形・完成工事未収入金等が192億79百万円増加し、有価証券が30億円減少したことなどによります。
当期末の固定資産は前期末に比べ12.2%減少し、526億38百万円となりました。これは機械、運搬具及び工具器具備品が59億3百万円、投資有価証券が31億17百万円、建物・構築物が3億45百万円それぞれ減少したことなどによります。
この結果、当期末の資産合計は前期末に比べ3.9%増加し、2,371億5百万円となりました。
セグメントごとの資産は次のとおりであります。
(環境システム事業)
当連結会計年度末の流動資産は前期末に比べ49.8%増加し、1,169億52百万円となりました。これは受取手形・完成工事未収入金等が306億64百万円、現金預金が67億87百万円それぞれ増加したことなどによります。
当連結会計年度末の固定資産は前期末に比べ8.8%減少し、286億13百万円となりました。これは投資有価証券が21億94百万円、のれんが3億68百万円、建物・構築物が3億25百万円、機械、運搬具及び工具器具備品が3億20百万円それぞれ減少したことなどによります。
その結果、当連結会計年度末の資産合計は前期末に比べ33.0%増加し、1,455億65百万円となりました。
(塗装システム事業)
当連結会計年度末の流動資産は前期末に比べ32.1%減少し、371億41百万円となりました。これは受取手形・完成工事未収入金等が174億46百万円減少したことなどによります。
当連結会計年度末の固定資産は前期末に比べ24.2%減少し、121億61百万円となりました。これは機械、運搬具及び工具器具備品が24億97百万円、投資有価証券が9億23百万円それぞれ減少したことなどによります。
その結果、当連結会計年度末の資産合計は前期末に比べ30.3%減少し、493億3百万円となりました。
当期末の流動負債は前期末に比べ17.2%増加し、959億40百万円となりました。これは未成工事受入金が164億4百万円、支払手形・工事未払金等が83億69百万円それぞれ増加し、短期借入金が125億93百万円減少したことなどによります。
当期末の固定負債は前期末に比べ40.8%減少し、91億72百万円となりました。これは長期借入金が55億7百万円、繰延税金負債が8億42百万円それぞれ減少したことなどによります。
この結果、当期末の負債合計は前期末に比べ8.0%増加し、1,051億12百万円となりました。
当期末の純資産合計は前期末に比べ0.9%増加し、1,319億92百万円となりました。これは、為替換算調整勘定が27億61百万円、自己株式の取得及び消却により13億85百万円、利益剰余金が4億3百万円それぞれ増加し、資本剰余金が15億17百万円、その他有価証券評価差額金が13億72百万円、退職給付に係る調整累計額が5億26百万円それぞれ減少したことなどによります。
当期末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期末に比べ48億45百万円減少し、439億46百万円(前期末は487億91百万円)となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権の増加などにより減少したものの、税金等調整前当期純利益の計上や仕入債務の増加、未成工事受入金の増加などにより、48億6百万円の資金増加(前期は85億44百万円の資金減少)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入などにより増加したものの、有形及び無形固定資産の取得による支出や連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による支出などにより、17億48百万円の資金減少(前期は10億71百万円の資金減少)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の純増減額や配当金の支払額、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出などにより、98億22百万円の資金減少(前期は60億円の資金増加)となりました。
設備工事等のための材料費、労務費、外注費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに業務改革、技術開発、情報化投資、海外拠点の拡充など当社グループの市場競争力強化のための投資等に資金を充当しております。
主として営業活動により稼得した資金のほか、金融機関等からの借り入れにより、必要資金を調達しております。また、運転資金の効率的な調達を行うため、主要取引銀行と貸出コミットメント契約を締結しております。
連結財務諸表を作成するにあたり、在外連結子会社の財務諸表を換算しているため、為替相場の変動により、総資産、キャッシュ・フロー、完成工事高及び経常利益に影響を受けております。主に米ドル、タイバーツ、中国元及びインドルピーの為替の変動が大きく影響しております。
主な在外連結子会社における完成工事高及び経常利益に与える為替変動による影響
(注) *1 子会社3社を含んだ連結数値
*2 子会社6社を含んだ連結数値
*3 換算レートは第77期及び第78期における期中平均レート
特記事項はありません。
当連結会計年度における研究開発費は
当社は、技術開発センター(神奈川県)、テクニカルセンター(神奈川県)の2研究開発組織において、空調設備及び塗装設備の各分野における技術開発を前期に引き続き精力的に実施し、多くの成果を得ました。また、株式会社ベジ・ファクトリー(埼玉県)において、植物事業の分野における技術開発と改良を精力的に実施し、多くの技術開発としての成果を得ました。
セグメントごとの研究開発は以下のとおりであります。
当連結会計年度における研究開発費の金額は
① 直膨空調システムの拡充
当社では、冷凍機の冷媒で空気を直接冷却する直膨空調システムの開発を進め、主に環境試験室用途に導入してまいりました。
当連結会計年度は、昨年度実施した直膨輻射空調システムの拡販へ向け、より低コストで既存システムへ容易に導入できる方式を検討し、技術開発センター新研究棟へ検証設備が導入できるよう、計画を進めております。本システムは小型熱源とセットで導入できるため、竣工後のテナント工事として室単位で容易に直膨輻射システムが導入可能となります。これにより、多くの顧客へ快適性と経済性を両立させたウェルネス空調を提供することができます。
当社では、この直膨空調システム拡販のため、技術開発センターに快適性や省エネ性を体感・検証できる設備を導入し、引き続き顧客へのPRを行ってまいります。
② ロボット制御技術
当社では、将来へ向けた取り組みの一つとしてロボット制御技術に取り組んでおります。この取り組みは、当社の施工現場での活用のみならず、DX要素技術の集合体であるロボット開発を通じ、専門技術を持つ顧客との協働関係の構築・強化なども目指しております。また、この開発で得た技術や知見を他の開発へ展開することも視野に入れ、活動に取り組んでおります。
当連結会計年度は、昨年度実施した自走式温湿度計測ロボットを改良し、産業空調の現場で利用するために、大空間での自己位置特定、指定ポイントへの高精度の移動、計測器との連携技術の開発を実施しました。実際の現場での試運転も完了し、工事進捗に合わせ室内環境の計測を実施いたしました。これらの活用を通じての生産性を検証することで、作業効率改善の評価も実施してまいります。
また、電子部品工場や製薬工場等で利用する超高性能フィルターのリーク試験の自動化にも着手いたしました。今までは作業員による計測、結果の評価を行っておりましたが、対象のフィルター枚数が非常に多く設置されるため大きな作業負荷が発生していました。同作業の自動化を行うことにより、大きな作業効率改善が期待できると考えております。あわせて同装置を実現場で活用し、その効果の評価とさらなる改良を計画しております。
これらIT技術を積極的に導入することで、作業効率改善のみならず、働き方改革を実現することができると考えております。
③ 人追従空調(FOLLOAS)
当社では、工場などの作業場での環境改善と省エネルギーを両立させる技術として、可動式ノズルを利用した人追従空調技術の開発を実施しています。
従来のスポット空調は空調空気を一定の方向に、作業員の有無にかかわらず給気し続けていました。本技術はセンサーカメラで空調ターゲット(人)の位置を特定し、可動式ノズルによりそれを追従し空調気流を供給し続けます。これにより、作業場所毎に設置していた吹出ノズルを集約し、快適性を確保したうえで大幅な省エネルギーを実現することができます。
この技術は、倉庫や搬出入ヤードなど、作業員の移動が多い空間や、作業の特性上囲いができない場所でのスポット空調技術として広く活用できます。
当連結会計年度は、試作機を製作し、顧客環境でフィールド試験を行い、基本動作、快適性、実用にあたっての要望事項などの確認を実施いたしました。その改良版による再試験も行ったことにより、実用化に向けての要求性能の評価が完了いたしました。今後、早期の量産化に向けて取り組みを進めてまいります。
④ 室圧制御技術
当社では製薬工場などで必要とされる室圧制御技術の開発を実施し、これまで統合室圧制御装置タイコム、外風圧除去装置等の技術を提供してまいりました。これらの技術により、製造環境の安定化は大幅に向上いたしました。しかしながら、台風時などの強風や風向の変動が大きい場合、製造環境が所定の条件から逸脱する場合があります。当社は、これらの気象条件においても製造環境が維持できるシステムの開発を行っております。
当連結会計年度は、室圧制御のカギとなる設備である、圧力制御ダンパー、変動の物理的な抑制技術に着目し、室圧変動の改善効果について検証いたしました。
圧力変動を周波数分析したところ、圧力制御ダンパーは周波数の低い領域では変動抑制効果を発揮していましたが、比較的高い周波数領域では、変動に追従できておらず、制御ができていませんでした。この部分を改善するために、単純適応制御(当社の環境試験室等でも利用している制御技術)を導入した結果、低い周波数から高い周波数まで圧力制御ができていることが確認できました。
同様に、高い周期の変動を物理的に吸収するために、変動に合わせて可動する部分を設けた圧力変動抑制チャンバーを導入し、高い周波数領域の変動の影響を低減できることが確認できました。
これらの技術検証のため、技術開発センター内に専用検証室(Nicomac Taikisha Clean Rooms Private Limited社製パネル利用)を設け、その効果を確認いたしました。検証結果をもとに、顧客環境でのフィールド試験を実施する計画です。
今後は外乱に強い室圧制御技術をPRしながら多くの顧客への導入を目指すとともに、いかなる状況でも製造環境を維持できるシステムを目指して開発に取り組んでまいります。
当連結会計年度における研究開発費の金額は
① 水素バーナー乾燥炉開発
自動車製造工場において塗装工程からのCO2排出量は非常に高い割合を占めており、当社では塗装設備からのCO2排出量削減に対し、様々な取組みを行っております。2021年には自動車塗装工程における1台あたりCO2排出量を65kg-CO2/台まで削減し、2030年以降には50kg-CO2/台を達成することを目標としております。これは2050年温室効果ガス実質ゼロを見据えた再生可能エネルギーや水素燃料など、エネルギー供給側の転換や塗装工程の進化を加味した目標値であり、水素燃料の塗装工程への導入や、塗装設備のオール電化の取組みも進めております。
自動車塗装工程で排出されるCO2のうち約37%が塗装ブース、約24%が塗装乾燥炉から発生しておりますが、これは自動車の塗装品質を確保するために塗装ブース内温湿度の熱源や塗膜乾燥に必要な乾燥炉の熱源に、多量の天然ガスを消費するためです。昨今、CO2を排出しないエネルギーとして水素燃料が注目されており、水素燃料の活用技術の革新も進んでおります。当社では2022年度に水素用バーナーを用いた設備をテクニカルセンターに導入し、水素燃料による塗装設備の商品化のためのNOx、水分などの発生影響への対処、安全性の検証などを進めており、顧客への導入準備も始めております。
引き続きカーボンニュートラル実現へ向けてエネルギー変革や塗装工程の進化に対応し、顧客の要求に応えられるシステムを開発推進してまいります。
② 少風量ブース「i-LAVB」の開発
当社の主力設備である塗装ブース設備の稼働によるCO2排出量は、前述のとおり、自動車塗装工場全体の約37%を占めております。そこで近年ニーズが高まっている環境負荷低減技術として、この度ブース給気量を削減し、同時にCO2排出量の削減が可能な少風量ブース「i-LAVB」を開発しました。
少風量ブース「i-LAVB」は、ブース天井部に配置した半円ダクトからのコントロールされた局所給気によって、より少ない風量で従来の塗装ブースと同等の塗装環境を作り出すことができます。現在、多くの顧客から問い合わせがあり、すでに一部では導入も始まっております。
さらに現在、従来の少風量ブース「i-LAVB」の半円ダクトで培った技術を発展させ、様々な部品ラインに適応可能な小型の少風量ブースの開発も進めております。シンプルな形状とすることで、局所気流のコントロール性の向上及びメンテナンス性の向上を実現しております。
同技術を導入することで、より幅広い分野で温湿度制御に必要な空調エネルギー及びCO2削減が可能となります。
今後も継続して省エネルギー・環境負荷低減技術での社会への貢献を目標に「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に向けた開発を推進してまいります。