(1)業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、年度前半から第3四半期においては、政府および日銀の経済・金融政策による円安・株高の進展により企業業績の順調な改善が顕著に見られたが、今年に入り中国をはじめとするアジア新興国の景気減速から円高・株安へと潮目が変わり、日本経済は不透明な情勢となっている。
建設業界においては、公共事業費の減少が進みつつある中で、年度前半の復興関連工事ならびに首都圏再開発事業などが堅調に推移し、総じて好調な業績となった。
当社グループは、中期経営計画(2014年度~2016年度)に基づいて、具体的な施策①「選択と集中による安定した収益力の確保」、②「技術力の向上と技術の継承」、③「防災・減災工事、維持・修繕工事への取組強化」を全社を挙げて取り組み、業績の進展に努めてきた。その結果、復興関連工事ならびに首都圏再開発事業における都市土木注入工事および重機工事の受注の増加とこれら工事の原価低減に努めたことにより、売上・利益ともに順調に推移した。また、米国現地法人のJAFEC USA,Inc.が米国進出後初の単年度黒字を計上し、当社グループの利益面で大きく寄与することとなった。
当連結会計年度の業績については、東日本大震災復興関連工事ならびに首都圏を中心とした都市再開発整備事業を中心に取り組んできたが、一方、米国現地法人では予定していた大型地盤改良工事の発注が先送りとなった。その結果、受注高が、「法面保護工事」が53億90百万円(前期比2.7%増)、「重機工事」が46億96百万円(前期比49.9%減)、「注入工事」が46億78百万円(前期比14.9%増)、「アンカー工事」が21億74百万円(前期比29.7%減)で、受注は全体として前期比41億65百万円(15.7%)減の223億73百万円となった。
売上高は、通期において手持ち工事の進捗が順調に進み、全体として前期比19億5百万円(8.6%)増の241億13百万円となった。その主な内容は、「重機工事」が76億84百万円(前期比44.6%増)、「注入工事」が46億25百万円(前期比5.4%増)、「法面保護工事」が41億62百万円(前期比9.7%増)、「アンカー工事」が26億85百万円(前期比17.5%減)となっている。
収益面に関しては、東日本大震災復興関連工事において追加工事の受注・施工が順調に推移し、さらに、都市部における重機工事が大きく増加したことによる施工高増および利益額増に加えて、原価低減努力により工事利益率が前期比2.0ポイント増加した。また、前述したとおり、米国現地法人が単年度黒字を計上した。その結果、営業利益は14億21百万円となった(前期は7億35百万円の営業利益)。経常損益については、1億78百万円の為替差損を計上し、13億33百万円の経常利益となった(前期は10億27百万円の経常利益)。親会社株主に帰属する当期純利益については、投資有価証券売却益76百万円の計上等により、9億51百万円となった(前期は16億47百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)。
セグメントの業績は、次のとおりである。
(建設工事) 売上高は232億55百万円、営業利益は13億58百万円となった。
(建設コンサル・地質調査等) 売上高は8億57百万円、営業利益は62百万円となった。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ21億60百万円の増加となり、68億42百万円となった。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりである。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、11億20百万円の収入(前期は13億97百万円の収入)となった。
これは、税金等調整前当期純利益13億78百万円(前期の税金等調整前当期純利益19億73百万円)や減価償却費8億6百万円(前期の減価償却費5億23百万円)により資金が増加したものの、売上債権の増加により資金が9億55百万円減少(前期は4億29百万円の収入)したことが主な要因である。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、15億19百万円の収入(前期は9億73百万円の収入)となった。
これは、有形固定資産の取得により26億3百万円を支出(前期は14億72百万円の支出)したものの、定期預金の払戻による収入と預入による支出の合計で30億99百万円の収入(前期は3億円の支出)を獲得した他、有価証券及び投資有価証券の売却及び償還により14億51百万円の収入を獲得したことが主な要因である。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、4億74百万円の支出(前期は2億22百万円の支出)となった。
これは、配当金の支出額が2億27百万円(前期は86百万円の支出)となった他、自己株式の取得により1億63百万円を支出(前期は0百万円の支出)したことが主な要因である。
(注) 上記金額には消費税等は含まれていない。以下、「2.生産・受注及び販売の状況、第3 設備の状況」の金額についても同様である。
(1)受注実績
|
セグメントの名称 |
前連結会計年度 (自 平成26年4月1日 至 平成27年3月31日) (百万円) |
当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) (百万円) |
|
|
建設工事 |
25,403 |
21,477 |
(15.5%減) |
|
建設コンサル・地質調査等 |
1,135 |
895 |
(21.2%減) |
|
合 計 |
26,538 |
22,373 |
(15.7%減) |
(2)売上実績
|
セグメントの名称 |
前連結会計年度 (自 平成26年4月1日 至 平成27年3月31日) (百万円) |
当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) (百万円) |
|
|
建設工事 |
20,965 |
23,255 |
(10.9%増) |
|
建設コンサル・地質調査等 |
1,242 |
857 |
(30.9%減) |
|
合 計 |
22,207 |
24,113 |
( 8.6%増) |
(注)1.当社グループでは、生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載していない。
2.受注実績、売上実績とも「建設コンサル・地質調査等」には、前連結会計年度に不動産の賃貸収入および植物工場売上として150百万円、当連結会計年度に不動産の賃貸収入および植物工場売上として107百万円がそれぞれ含まれている。
3.売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先はない。
なお、参考のため提出会社個別の事業の状況は次のとおりである。
(1)受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高
前事業年度(自 平成26年4月1日 至 平成27年3月31日)
|
工種別 |
前期繰越工事高 (百万円) |
当期受注工事高 (百万円) |
計 (百万円) |
当期完成工事高 (百万円) |
次期繰越工事高 (百万円) |
|
法面保護工事 |
1,417 |
5,247 |
6,664 |
3,794 |
2,869 |
|
ダム基礎工事 |
428 |
306 |
734 |
254 |
480 |
|
アンカー工事 |
2,252 |
3,094 |
5,346 |
3,252 |
2,093 |
|
重機工事 |
585 |
3,900 |
4,485 |
2,794 |
1,691 |
|
注入工事 |
2,460 |
4,070 |
6,531 |
4,388 |
2,143 |
|
維持修繕工事 |
158 |
244 |
403 |
387 |
16 |
|
環境保全工事 |
550 |
1,076 |
1,626 |
1,068 |
557 |
|
その他土木工事 |
1,219 |
1,995 |
3,215 |
2,506 |
709 |
|
建設コンサル・地質調査 |
283 |
1,135 |
1,419 |
1,242 |
177 |
|
計 |
9,356 |
21,072 |
30,428 |
19,689 |
10,739 |
当事業年度(自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日)
|
工種別 |
前期繰越工事高 (百万円) |
当期受注工事高 (百万円) |
計 (百万円) |
当期完成工事高 (百万円) |
次期繰越工事高 (百万円) |
|
法面保護工事 |
2,869 |
5,390 |
8,260 |
4,162 |
4,098 |
|
ダム基礎工事 |
480 |
1,158 |
1,638 |
844 |
794 |
|
アンカー工事 |
2,093 |
2,174 |
4,268 |
2,685 |
1,583 |
|
重機工事 |
1,691 |
3,327 |
5,019 |
3,964 |
1,054 |
|
注入工事 |
2,143 |
4,678 |
6,822 |
4,625 |
2,196 |
|
維持修繕工事 |
16 |
641 |
657 |
592 |
64 |
|
環境保全工事 |
557 |
770 |
1,327 |
637 |
690 |
|
その他土木工事 |
709 |
1,967 |
2,677 |
2,032 |
644 |
|
建設コンサル・地質調査 |
177 |
895 |
1,072 |
849 |
223 |
|
計 |
10,739 |
21,004 |
31,744 |
20,393 |
11,350 |
(注)1.賃貸収入等工事以外の売上は、「建設コンサル・地質調査」に含めている。
2.前期以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含む。
3.次期繰越工事高は、(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)である。
4.「その他土木工事」は、一般土木工事、土留工事、推進工事、建築および造成地の基礎杭工事ならびに地すべりの防止および災害復旧工事等である。
5.「注入工事」は、地盤補強・止水のための都市部における薬液注入工事、老朽溜池、トンネル裏込、管路・水路の充填・閉塞のグラウト工事等である。
6.「建設コンサル・地質調査」の[当期受注工事高][計][当期完成工事高]のそれぞれの欄には前事業年度に不動産の賃貸収入および植物工場売上として150百万円、当事業年度に不動産の賃貸収入および植物工場売上として107百万円がそれぞれ含まれている。
(2)受注工事高の受注方法別比率
工事の受注方法は、特命と競争に大別される。
|
期別 |
特命(%) |
競争(%) |
計(%) |
|
|
前事業年度 |
(自 平成26年4月1日 至 平成27年3月31日) |
90.7 |
9.3 |
100 |
|
当事業年度 |
(自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
92.8 |
7.2 |
100 |
(注) 百分比は請負金額比である。
(3)完成工事高
|
期別 |
区分 |
官公庁(百万円) |
民間(百万円) |
計(百万円) |
|
前事業年度 (自 平成26年4月1日 至 平成27年3月31日) |
法面保護工事 |
3,145 |
649 |
3,794 |
|
ダム基礎工事 |
253 |
1 |
254 |
|
|
アンカー工事 |
2,264 |
988 |
3,252 |
|
|
重機工事 |
1,522 |
1,271 |
2,794 |
|
|
注入工事 |
1,666 |
2,721 |
4,388 |
|
|
維持修繕工事 |
352 |
35 |
387 |
|
|
環境保全工事 |
282 |
786 |
1,068 |
|
|
その他土木工事 |
2,144 |
362 |
2,506 |
|
|
建設コンサル・地質調査 |
958 |
283 |
1,242 |
|
|
計 |
12,590 |
7,099 |
19,689 |
|
|
当事業年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
法面保護工事 |
2,848 |
1,313 |
4,162 |
|
ダム基礎工事 |
829 |
14 |
844 |
|
|
アンカー工事 |
2,469 |
215 |
2,685 |
|
|
重機工事 |
1,968 |
1,996 |
3,964 |
|
|
注入工事 |
2,315 |
2,309 |
4,625 |
|
|
維持修繕工事 |
546 |
46 |
592 |
|
|
環境保全工事 |
231 |
405 |
637 |
|
|
その他土木工事 |
1,342 |
690 |
2,032 |
|
|
建設コンサル・地質調査 |
636 |
212 |
849 |
|
|
計 |
13,188 |
7,204 |
20,393 |
(注)1.官公庁には、当社が建設業者から下請として受注したものが含まれている。
2.区分の建設コンサル・地質調査欄の民間には、前事業年度に不動産の賃貸収入および植物工場売上として150百万円、当事業年度に不動産の賃貸収入および植物工場売上として107百万円がそれぞれ含まれている。
3.完成工事のうち主なものは、次のとおりである。
前事業年度の完成工事のうち請負金額2億円以上の主なもの
|
間・大林・前田共同企業体 |
:浜岡防波壁地震対策工事に伴う汚泥処理工事(イーキューブ) |
|
(株)安藤・間 |
:第二東名高速道路岡崎サービスエリア工事 |
|
(株)大林組 |
:赤坂一丁目地区第一種市街地再開発事業施設建築物等新築工事及び既存建築物等 |
|
仙台市 |
:復宅北第12号造成宅地滑動崩落緊急対策(北中山三丁目工区外2工区)工事 |
|
福岡県八女県土整備事務所 |
:下名地区災害関連緊急地すべり対策工事 |
当事業年度の完成工事のうち請負金額4億円以上の主なもの
|
青山機工(株) |
:浜岡防波壁設置工事(東工区)5号特殊部地盤改良 |
|
清水・奥村石巻市復興整備事業共同企業体 |
:石巻半島部造成 地盤改良・薬注 (河北)二子地盤改良工事CDM |
|
(株)安藤・間 |
:第二東名高速道路岡崎サービスエリア工事 |
|
鉄建建設(株) |
:千葉駅改良・駅ビル建替工事他 |
|
戸田建設(株) |
:(仮称)大手町一丁目第3地区第一種市街地再開発事業新築工事に伴う除去式アンカー工事 |
4.完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先はない。
(4)次期繰越工事高(平成28年3月31日現在)
|
区分 |
官公庁(百万円) |
民間(百万円) |
計(百万円) |
|
法面保護工事 |
2,660 |
1,437 |
4,098 |
|
ダム基礎工事 |
775 |
18 |
794 |
|
アンカー工事 |
1,304 |
278 |
1,583 |
|
重機工事 |
668 |
386 |
1,054 |
|
注入工事 |
1,703 |
493 |
2,196 |
|
維持修繕工事 |
61 |
2 |
64 |
|
環境保全工事 |
627 |
62 |
690 |
|
その他土木工事 |
583 |
61 |
644 |
|
建設コンサル・地質調査 |
195 |
28 |
223 |
|
計 |
8,580 |
2,769 |
11,350 |
(注)1.官公庁には、当社が建設業者から下請として受注したものが含まれている。
2.次期繰越工事のうち請負金額7億円以上の主なものは、次のとおりである。
|
清水建設・前田建設工業・東洋建設JV |
:東京外環自動車道大和田工事に伴う軟弱地盤処理工事 |
平成29年8月完成予定 |
|
清水・熊谷組特定建設工事共同企業体 |
:東京外かく環状道路 大泉ジャンクション立坑工事 |
平成28年8月完成予定 |
|
東鉄・鉄建共同企業体 |
:上中里・王子間盛土耐震補強工事(切土部) |
平成30年12月完成予定 |
|
清水・鉄建・IHI異工種建設工事共同企業体 |
:群馬八ッ場ダム 法面吹付・防護 |
平成30年10月完成予定 |
|
清水・京成・東急建設共同企業体 |
:東京外かく環状道路(千葉県区間)建設に伴う京成電鉄本線(18K156m付近)との交差部に伴うDCI多点注入 |
平成28年5月完成予定 |
当社グループは、中期経営計画(2014年度~2016年度)に基づいて、全社を挙げて取り組み、業績の進展に努めてきた結果、復興関連工事ならびに首都圏再開発事業における都市土木注入工事および重機工事の受注の増加とこれら工事の原価低減に努めたことにより、売上・利益ともに順調に推移した。
また、米国現地法人のJAFEC USA,Inc.が米国進出後初の単年度黒字を計上し、当社グループの利益面で大きく寄与することとなった。
今後の見通しについては、首都圏インフラ整備ならびにリニア新幹線の工事着手など受注環境には明るさが見えてきているが、収益環境については、公共工事全体の減少傾向と受注競争の激化とともに資材費、労務費の高騰により依然として厳しい状況が予想される。
このような厳しい収益環境の中、中期経営計画(2014年度~2016年度)の最終年度である来期、米国現地法人JAFEC USA,Inc.を含めたグループ全体としての数値目標の達成に向け、重点施策等に従って、全社を挙げて取り組んでいく所存である。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがある。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
(1)法的規制に関するリスク
当社グループの事業は、売上高の約7割(平成28年3月期65.5%)が公共工事である。公共工事への参加を希望する場合は、一般競争(指名競争)参加資格審査申請書の提出と厳格な入札執行が要求されており、これらの手続きにおいて虚偽の申請や不正な入札行為を行った場合は、建設業許可の取消し、営業の停止や指名停止の処分が科せられ、当社グループの経営計画に多大な影響を及ぼすことになる。
①一般競争(指名競争)参加資格審査申請
公共工事の入札参加を希望する場合は、経営事項審査の総合評定値通知書を添付のうえ、一般競争(指名競争)参加資格審査申請書を関係省庁に提出し、認定を得なければならない。
この際、経営事項審査申請内容に虚偽の記載があった場合は、行政処分(建設業許可の取消し、営業の停止)や指名停止処分が科せられる。また、一般競争(指名競争)参加資格審査申請においても、虚偽の記載等があった場合は、競争参加資格の認定は受けられず、認定後に発覚した場合には取消されることがある。
②入札行為
独占禁止法違反や官製談合等の不正な入札行為を行った場合は、公正取引委員会から排除勧告が行われる。排除勧告を受けた場合は、営業禁止や営業停止の行政処分の他、国および地方自治体から指名停止の処分が科せられる。
(2)公共工事依存に関するリスク
当社グループは、売上高に占める公共工事の割合が非常に高いため、当社グループの業績は、国および地方自治体の財政事情に左右される公共投資の規模に大きな影響を受ける。公共投資が削減された場合、さらに同業他社との過当な価格競争が余儀なくされ、その結果、当社グループの受注高、売上高、利益が減少するリスクがある。
(3)技術水準維持に関するリスク
当社グループは、常に仕事の量と質に見合った組織と人員体制を指向していく必要がある。このような中で、技術水準を維持するためには、職員一人一人に高い技能、技術力および管理能力が求められる。特に工事品質の保持とオリジナル工法の技術力の向上と維持は、当社グループにとって重要な課題であり、業績に大きな影響を及ぼすので、これまで取り組んできた直営施工体制の拡充を図ることが重要と考えている。
(4)貸倒リスク
当社グループは、売上高の約9割(平成28年3月期91.4%)が下請工事であるため、公共工事が縮小された場合にともなう競争激化や、金融機関の不良債権処理圧力等の影響を受けた発注ゼネコン(地場ゼネコン含む)の倒産による貸倒リスクがある。
(5)海外事業リスク
当社グループは今後の海外工事への参入を図るため、その拠点として米国に子会社を設立している。今後、海外市場において予想を超えた為替相場の変動や海外工事を行う国の政治、経済、法制度等に著しい変化が生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性がある。
特記事項なし。
(建設工事)
当社グループは、ものづくりの施工技術を提供する専門業者として、建設基礎技術・独自施工技術の生産性向上や品質確保に重点を置き、研究開発を実施している。
また、「削孔」と「注入」という当社グループの基本技術を磨くとともに、「環境」「防災」「補修・保全」を軸とした応用とアライアンスを含めた新技術の構築を念頭に、大学・公的機関、民間企業、あるいは海外企業等との技術交流、共同開発を積極的に推進している。
当連結会計年度における研究開発費は56百万円であり、これらの研究開発の概要は以下のとおりである。
(1)動的グラウチング技術の高度化
ダム基礎処理・岩盤地下貯蔵施設を主な対象として開発した「動的グラウチング工法」の、施工技術の高度化(高圧、低流量管理)および適用分野の拡大に関する研究を行っている。
(2)資源循環型法面保護工法の開発
簡易軽量な法枠材「ヤマノフレーム」とプラスチック受圧板「クロノパネル」の組合せによる、抑止力導入可能な緑化基礎工を開発した。耐久性の更なる向上に取り組んでいる。
(3)注入技術向上化に関する研究
軟弱地盤に注入と停止を繰り返しながら継続的に注入する「インチング注入工法」を開発した。軌道直下などの注入工事において変位を抑制しながら改良ができ、さらに均質な改良体の形成および確実な止水効果が期待できる。
(4)法面補修、維持管理手法の開発
老朽吹付法面の背面充填注入に適用できる「注入プラグ」を開発した。部材の機能を更に高めるために、付着力および材料強度の向上を図っている。
(5)自走式万能削孔機による地盤改良技術の開発
BG機をベースマシンとしたCDM工法の実証実験を実施し、実用性を確認した。BG機をベースマシンとすることで、フロントツールス交換のみで先行削孔と地盤改良が可能となり、機械の機動力も向上する。無線による施工管理システムの開発も完了しており、これをBG機に搭載することにより省力化施工を実現し、作業員の高齢化に備える。
(6)超低空頭型マイクロパイル施工技術の開発
2mの空頭制限下で小口径鋼管杭の施工ができる削孔装置と排土装置を開発した。今後は更なる施工効率の向上を図り、供用中構造物直下の基礎の補強等に適用拡大を期待している。
(7)トンネル覆工背面等の充填に適用できるグラウト材の開発
トンネルの覆工背面や護岸背面および基礎捨石部などの充填に適用できる、可塑性と水中不分離性を備えたグラウト材を開発した。ダムの仮排水トンネル背面の裏込め充填などに用いられている。距離が長いトンネルへの適用を念頭に、長距離圧送性能の向上を図っていく。
(8)工業所有権関係
当連結会計年度末における保有特許件数は54件、出願中の件数11件、保有実用新案件数は0件であった。また、現業に係わる施工実施権は71件を保有している。
なお、子会社においては、研究開発活動は特段行われていない。
(建設コンサル・地質調査等)
研究開発活動は特段行われていない。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表及び財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されている。
なお、当社グループの財政状態や経営成績にとって重要であり、かつ相当程度の経営判断や見積を必要とする重要な会計方針は以下のとおりである。
完成工事高の計上基準
完成工事高の計上は、当連結会計年度末までの進捗部分の成果の確実性が認められる工事については工事進行基準(工事の進捗率の見積りは原価比例法)を、その他の工事については工事完成基準を適用している。工事進行基準においては、決算期末に工事進行程度及び工事損益を見積って工事収益を計上するため、法令の制定・改廃、経済事情の激変、物価・賃金の変動などの要因により、見積りを変更する必要が生じた場合には、工事損益に影響を与える可能性がある。
貸倒引当金
当社グループは、貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別的な回収可能性を検討の上、一定の基準に基づき貸倒懸念先または要注意先に区分し、それぞれの区分に応じた必要額を計上している。なお、貸倒懸念債権等特定の債権については財政状態等支払能力について一定の基準により引当区分について毎期見直しを行っている。
繰延税金資産
会計上と税務上の資産負債との間に生じる一時的な差異に係る税効果については、当該差異の解消時に適用される法定実効税率を使用して、繰延税金資産を計上している。
将来の税金の回収予想額は、当社グループの将来の課税所得の見込み額に基づき算出され、十分な回収可能性があると考えているが、将来の課税見込み額の変化により繰延税金資産を取崩さなければならない可能性がある。
工事損失引当金
工事損失引当金は、受注工事に係る将来の損失に備えるため、期末手持工事のうち損失の発生が見込まれ、かつ、その金額を合理的に見積ることができる工事について、損失見込額を計上している。
なお、当該引当金額は、当連結会計年度末直近の実行予算により見積って計上していることから、外部環境など工事収支に影響を及ぼす事柄の変化により、見積り時より異なってくる場合がある。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、東日本大震災復興関連工事ならびに首都圏を中心とした都市再開発整備事業を中心に取り組んできたが、一方、米国現地法人では予定していた大型地盤改良工事の発注が先送りとなった。その結果、当期受注高は223億73百万円(前期比15.7%減)となった。
売上高については、手持ち工事の進捗が順調に進み241億13百万円(前期比8.6%増)となった。
また、収益面では、東日本大震災復興関連工事において追加工事の受注・施工が順調に推移し、さらに、都市部における重機工事が大きく増加したことによる施工高増および利益額増に加えて、原価低減努力により工事利益率が前期比2.0ポイント増加となり、また、米国現地法人が単年度黒字を計上した結果、営業利益は14億21百万円(前期は7億35百万円の営業利益)となった。経常損益については、1億78百万円の為替差損を計上し、13億33百万円の経常利益(前期は10億27百万円の経常利益)となった。親会社株主に帰属する当期純利益については、投資有価証券売却益76百万円の計上等により、9億51百万円(前期は16億47百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となった。
なお、受注高、売上高のセグメント別内訳は、第2(事業の状況)2(生産・受注及び販売の状況)に記載のとおりである。
(3)経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループは、建設業界を取り巻く厳しい経営環境の中で、今後持続的に成長できる会社グループとして生き残っていくために、中長期的には、収益力の確保、技術力の向上と技術の継承、防災・減災工事、老朽化対策工事への取り組み強化を図り、数値目標達成の為、全社を挙げて最大限の業績の進展に努めていく。
①目標と重点施策
(a)選択と集中による安定した収益力の確保
・技術に基いた受注・施工により、不採算工事の撲滅を図る。
・総合力を発揮できる機能とするため、本社の統制力を強化し、選択と集中を可能にする。
(b)技術力の向上と技術の継承
・研修・専門部会活動を推進し、社員の能力向上と技術の継承を図る。
・独自工法(BG、超多点注入等)の施工体制を拡充し、対応力の強化を図る。
・打合せ簿を活用し、顧客のニーズを把握し社員相互の認識を同じとする。
・グループ内で人事交流を行い、社員相互の経験を高める。
(c)防災・減災工事、維持・修繕工事への取り組み強化
・維持、修繕工事に対する事業化項目の絞り込みと関連する技術の標準化を図る。
・防災・減災工事に有効な保有技術を再評価、位置付けを行い備える。
・協力会社との信頼関係を強化し、安定した施工対応力を提供する。
②数値目標(平成29年3月期)
受 注 高 27,700百万円
売 上 高 23,900百万円
売上総利益 2,920百万円
営業利益 550百万円
経常利益 690百万円
(4)経営戦略の現状と見通し
今後の見通しについては、首都圏インフラ整備ならびにリニア新幹線の工事着工など受注環境には明るさが見えてきているが、収益環境については、公共工事全体の減少傾向と受注競争の激化とともに資材費、労務費の高騰により依然として厳しい状況が予想される。
このような厳しい収益環境の中、中期経営計画(2014年度~2016年度)の最終年度である第64期、米国現地法人JAFEC USA,Inc.を含めたグループ全体としての数値目標の達成に向け、重点施策に従って、全社を挙げて取り組んでいく所存である。
(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析
「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりである。
[(注)「事業の状況」に記載した金額には消費税等は含まれていない。]