文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、人と環境の共生を目指し、建設基礎技術で豊かな社会創りに貢献するため、社員一人ひとりの可能性を引き出し、顧客そして社会から信頼される技術者集団を目指すこととしている。
(2)目標とする経営指標および中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、今後持続的に成長できる会社グループとして生き残っていくために、中長期的には、技術の伝承と生産性の向上、働き方改革の推進を図り、数値目標達成のため、全社を挙げて最大限の業績の進展に努めていく。
①目標と重点施策
(a)技術の伝承と生産性の向上
・階層別技術教育の強化と高齢化に対する技術開発による技術の伝承を図る。
・需要を先取りした技術開発への取組み強化を図る。
(b)社内業務・社内システムの見直しによる働き方改革の推進
・支店、現場における事務処理業務の簡素化を図る。
・本社経理事務の自動化による業務形態の変革を実現する。
②数値目標(令和8年3月期)
受注高 28,950百万円
売上高 29,330百万円
営業利益 1,460百万円
経常利益 1,630百万円
親会社株主に帰属する当期純利益 980百万円
(3)対処すべき課題
今後の見通しについては、公共投資は、引き続き底堅く推移することが見込まれ、民間設備投資においても、堅調な企業収益を背景に持ち直しの傾向が続くことが予測される。一方、建設技能労働者不足が深刻化し、建設資材価格や労務費の高騰が継続するなど、業界を取り巻く環境は、厳しさを増していくものと予測される。また、米国現地法人において、当期の連結業績に大きく貢献したLNG基地地盤改良工事の次期施工が、現時点で見込めないことから、売上高および利益が当期と比較して大きく減少する見通しである。
以上、内外の状況を慎重に考慮した上で、当社グループの数値目標の達成に向け、重点施策に従って、全社を挙げて取り組んでいく所存である。
(1)基本的な考え方
当社にとってのサステナビリティは、当社の掲げる企業理念に基づき「人と環境の共生をめざし、当社の有する建設基礎技術を最大限に発展・活用するという当社の企業価値」と「豊かな国土、環境創りに貢献するという社会的存在価値」を継続的に成長させることを目的としている。
(2)ガバナンス
当社のサステナビリティを実現するため、各部署のサステナビリティ担当による進捗状況の定期的な報告を取締役会で行っていく。
(3)戦略
①人材(人的資源)への取組
a.人材の多様性
当社グループは、今後の事業継続において、人材の確保が非常に重要であるという認識のもと、社員の年齢構成の変化や業態の変化に対応するために、様々な職歴を持つ中途採用者、勤勉で技術力を求めて来日する外国人または日本国内で建設、土木業に興味を持つ女性の採用、起用を積極的に行う。
現在、米国現地法人や本社・支店の技術系社員として外国人を採用している。これらの人材は、今後その能力を活かして所属部署の戦力として活躍する人材であり、近い将来に管理職への登用も期待できる。女性社員は、当社グループの業種から全社員に占める比率は低い水準であるが、今後は技術系の女性社員の採用・育成に取組む。
b.人材育成
当社グループは、社員の成長をサポートするため、新入社員をはじめ中堅社員・幹部社員にも定期的に社内教育を実施し、技術の向上や新知識の習得に努めている。また、社員のモチベーション向上を目指して、様々な表彰制度を設けている。
c.人権尊重
当社グループは、法令、社内規則及び企業倫理に違反する行為を抑制・防止・是正するため、内部通報制度を設けている。また、定期的に内部通報に関する周知および研修を行っている。
d.健全な職場環境
当社グループは、社員の多様性を尊重しながら受け入れ、健康で明るく、仕事も生活も充実した毎日を送ることができるよう、社員一人ひとりが元気に働ける職場環境の実現を目指している。業務の簡素化やワークライフバランスに配慮した各種制度の整備(育児・介護に関する制度、定額残業制の導入等)、長時間労働の削減対策、有給休暇取得の奨励等の取組を進めている。
②地球環境への取組
気候変動等に伴う地球環境問題への取組として、当社グループの主要事業である建設基礎工事を通じて、地域環境整備の一助となる取組を積み重ね、地球環境に貢献できる新しい工法の研究を進めている。
(4)リスク管理
サステナビリティに関する基本方針や重要課題、さらには重要課題の監視、管理等のため、サステナビリティ関連のリスクを機会について分析し、対応策について検討を行う。リスクと機会については、今後各部署のサステナビリティ担当にて定期的に確認を行い、必要に応じて重要課題及び指標や目標を見直すなど適切に対応する。
(5)指標および目標
次の指標の実績は、提出会社のものを記載しており、具体的な目標は策定次第公表する。
|
指 標 |
実績(当連結会計年度) |
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労働者の男女の賃金の差異 |
全労働者 |
62.4% |
|
正規雇用労働者 |
69.7% |
|
|
パート・有期労働者 |
64.8% |
|
(注)人材育成・社内環境整備は連結子会社各社で行われているが、規模・制度の違いから一律に記載せず、人材の大多数が所属する提出会社単体について記載している。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがある。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
(1)法的規制に関するリスク
当社グループの国内事業は、売上高の約6割(令和7年3月期60.3%)が公共工事である。公共工事への参加を希望する場合は、一般競争(指名競争)参加資格審査申請書の提出と厳格な入札執行が要求されており、これらの手続きにおいて虚偽の申請や不正な入札行為を行った場合は、建設業許可の取消し、営業の停止や指名停止の処分が科せられ、当社グループの経営計画に多大な影響を及ぼすことになる。
①一般競争(指名競争)参加資格審査申請
公共工事の入札参加を希望する場合は、経営事項審査の総合評定値通知書を添付のうえ、一般競争(指名競争)参加資格審査申請書を関係省庁に提出し、認定を得なければならない。
この際、経営事項審査申請内容に虚偽の記載があった場合は、行政処分(建設業許可の取消し、営業の停止)や指名停止処分が科せられる。また、一般競争(指名競争)参加資格審査申請においても、虚偽の記載等があった場合は、競争参加資格の認定は受けられず、認定後に発覚した場合には取消されることがある。
②入札行為
独占禁止法違反や官製談合等の不正な入札行為を行った場合は、公正取引委員会から排除勧告が行われる。排除勧告を受けた場合は、営業禁止や営業停止の行政処分の他、国および地方自治体から指名停止の処分が科せられる。
(2)公共工事依存に関するリスク
当社グループの国内事業は、売上高に占める公共工事の割合が非常に高いため、その業績は、国および地方自治体の財政事情に左右される公共投資の規模に大きな影響を受ける。公共投資が削減された場合、さらに同業他社との過当な価格競争が余儀なくされ、その結果、当社グループの受注高、売上高、利益が減少するリスクがある。
(3)技術水準維持に関するリスク
当社グループは、常に仕事の量と質に見合った組織と人員体制を指向していく必要がある。このような中で、技術水準を維持するためには、職員一人一人に高い技能、技術力および管理能力が求められる。特に工事品質の保持とオリジナル工法の技術力の向上と維持は、当社グループにとって重要な課題であり、業績に大きな影響を及ぼすので、技術者の育成が重要であると考えている。
(4)工事施工に関わるリスク
工事施工中における人的・物的事故あるいは災害の発生や工事引渡後における手直し工事の発生等、予期せぬ費用
の発生により、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
(5)不採算工事の発生に関わるリスク
工事施工段階での想定外の追加原価等の発生により、不採算工事が発生した場合には、当社グループの業績は影響
を受ける可能性がある。
(6)貸倒リスク
当社グループは、売上高の約9割(令和7年3月期97.5%)が下請工事であるため、公共工事が縮小された場合にともなう競争激化や、金融機関の不良債権処理圧力等の影響を受けた発注ゼネコン(地場ゼネコン含む)の倒産による貸倒リスクがある。
(7)海外事業リスク
当社グループは今後の海外工事への参入を図るため、その拠点として米国に子会社を設立している。今後、海外市場において予想を超えた為替相場の変動や海外工事を行う国の政治、経済、法制度等に著しい変化が生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性がある。
(8)自然災害やパンデミックに関わるリスク
大規模な自然災害、感染症の大規模な流行(パンデミック)等により、政治、経済環境に甚大な制限が課される場合、消費市場の停滞等により、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
(9)不安定な国際情勢や円安の影響について
不安定な国際情勢や円安の影響等により、資源価格やエネルギー価格の高騰が続いている。この影響が長期化した場合は、資材価格やエネルギー価格等の高止まりにより、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりである。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果もあり、緩やかに回復してきた。一方、米国の通商政策の影響や物価上昇の継続などにより、景気の先行きは不透明な状況になっている。
この間、国内建設業界においては、国土強靭化の基本方針に沿った施策が進められ、関連する公共投資は底堅く推移したものの、建設資材価格や労務費の高騰に加え、建設業従事者の高齢化と人材確保の問題などにより、業界を取り巻く環境は、厳しい状況が続いている。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなった。
a.財政状態
当連結会計年度末の総資産の残高は、317億79百万円となり、前連結会計年度末に比べ10億60百万円の減少となった。
当連結会計年度末の負債の残高は、88億26百万円となり、前連結会計年度末に比べ20億72百万円の減少となった。
当連結会計年度末の純資産の残高は、229億53百万円となり、前連結会計年度末に比べ10億13百万円の増加となった。
b.経営成績
当連結会計年度の業績については、受注高は、国内では、着工時期の先送りや受注競争の激化等により、厳しい結果となった。一方、米国現地法人においては、前期受注した大型案件であるLNG精製プラント基地地盤改良工事の反動により、前期実績を大きく下回ったものの、ダム補強工事などの受注により、全体としては計画を上回ることができた。
その結果、国内・海外の受注高合計は、前年同期比51億62百万円(15.7%)減の277億72百万円となった。その主な内容は、「法面保護工事」が38億20百万円(前年同期比15.5%増)、「アンカー工事」が14億67百万円(同17.1%減)、「重機工事」が128億97百万円(同31.7%減)、「注入工事」が33億52百万円(同12.2%減)である。
売上高については、受注高の減少に伴い、国内は厳しい状況となったが、米国現地法人において、大型案件であるLNG精製プラント基地地盤改良工事が順調に進捗したことから、計画および前期実績を大きく上回った。
その結果、売上高は、全体で前年同期比67億4百万円(28.4%)増の302億79百万円となった。その主な内容は、「法面保護工事」が33億3百万円(前年同期比13.3%増)、「アンカー工事」が12億53百万円(同60.4%減)、「重機工事」が168億54百万円(同88.3%増)、「注入工事」が39億39百万円(同7.0%増)となっている。
利益面では、国内においては、一部の支店において非常に厳しい結果となったが、設計変更による価格転嫁、ならびに竣工間近工事における原価精査による採算改善等により、工事利益率が向上し、計画を上回ることができた。一方、米国現地法人においても、大型案件であるLNG精製プラント基地地盤改良工事が順調に進捗したことから、計画および前期実績を大きく上回った。
その結果、連結営業損益は18億91百万円の利益となり(前年同期は10億12百万円の営業利益)、経常損益については19億24百万円の利益となった(前年同期は14億1百万円の経常利益)。親会社株主に帰属する当期純損益については、14億39百万円の純利益となった(前年同期は9億32百万円の純利益)。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ15億91百万円の減少となり、40億40百万円となった。
当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりである。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、4億49百万円の収入(前連結会計年度は16億51百万円の収入)となった。
これは、仕入債務の減少額24億13百万円(前連結会計年度は4億58百万円の収入)、法人税等の支払額6億86百万円(前連結会計年度は3億67百万円の支出)、受取利息及び受取配当金2億24百万円(前連結会計年度は1億88百万円)等により資金が減少する一方で、税金等調整前当期純利益19億24百万円(前連結会計年度は13億80百万円)をはじめ減価償却費12億30百万円(前連結会計年度は10億16百万円)、売上債権の減少額9億81百万円(前連結会計年度は6億90百万円の支出)等により資金を獲得したことが主な要因である。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、18億65百万円の支出(前連結会計年度は14億26百万円の支出)となった。
これは、主として有形固定資産の取得による21億10百万円の支出(前連結会計年度は11億28百万円の支出)と、利息及び配当金の受取額2億24百万円(前連結会計年度は1億88百万円の収入)によるものである。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、2億58百万円の支出(前連結会計年度は3億83百万円の支出)となった。
主な収入は、長期借入による収入38億円であり、主な支出は、短期借入金の減少額31億円、自己株式の取得5億円(前連結会計年度は0百万円の支出)、配当金の支払額3億19百万円(前連結会計年度は2億59百万円の支出)及びリース債務の返済による支出1億13百万円(前連結会計年度は1億14百万円の支出)等があったためである。
③生産、受注及び販売の実績
a.受注実績
|
区 分 |
前連結会計年度 (自 令和5年4月1日 至 令和6年3月31日) (百万円) |
当連結会計年度 (自 令和6年4月1日 至 令和7年3月31日) (百万円) |
|
|
建設工事 |
32,075 |
26,742 |
(16.6%減) |
|
建設コンサル・地質調査等 |
859 |
1,030 |
(19.9%増) |
|
合 計 |
32,934 |
27,772 |
(15.7%減) |
b.売上実績
|
区 分 |
前連結会計年度 (自 令和5年4月1日 至 令和6年3月31日) (百万円) |
当連結会計年度 (自 令和6年4月1日 至 令和7年3月31日) (百万円) |
|
|
建設工事 |
22,414 |
29,355 |
(31.0%増) |
|
建設コンサル・地質調査等 |
1,161 |
924 |
(20.4%減) |
|
合 計 |
23,575 |
30,279 |
(28.4%増) |
(注)1.当社グループでは、生産実績を定義することが困難であるため「生産の実績」は記載していない。
2.受注実績、売上実績とも「建設コンサル・地質調査等」には、前連結会計年度に不動産の賃貸収入として104百万円、当連結会計年度に不動産の賃貸収入として103百万円がそれぞれ含まれている。
3.最近2連結会計年度の主な相手先の売上実績に対する割合は次のとおりである。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 令和5年4月1日 至 令和6年3月31日) |
当連結会計年度 (自 令和6年4月1日 至 令和7年3月31日) |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
Bechtel Energy,Inc. |
2,491 |
10.6 |
8,668 |
28.6 |
なお、参考のため提出会社個別の事業の状況は次のとおりである。
(1)受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高
前事業年度(自 令和5年4月1日 至 令和6年3月31日)
|
工種別 |
前期繰越工事高 (百万円) |
当期受注工事高 (百万円) |
計 (百万円) |
当期完成工事高 (百万円) |
次期繰越工事高 (百万円) |
|
法面保護工事 |
2,117 |
3,308 |
5,425 |
2,915 |
2,509 |
|
ダム基礎工事 |
198 |
1,039 |
1,237 |
1,132 |
105 |
|
アンカー工事 |
2,157 |
1,769 |
3,926 |
3,168 |
758 |
|
重機工事 |
1,682 |
7,216 |
8,898 |
5,086 |
3,812 |
|
注入工事 |
2,923 |
3,816 |
6,739 |
3,681 |
3,058 |
|
維持修繕工事 |
0 |
486 |
487 |
283 |
203 |
|
環境保全工事 |
71 |
592 |
663 |
422 |
241 |
|
その他土木工事 |
828 |
2,186 |
3,015 |
1,859 |
1,156 |
|
建設コンサル・地質調査 |
617 |
859 |
1,477 |
1,161 |
315 |
|
計 |
10,597 |
21,274 |
31,872 |
19,711 |
12,161 |
当事業年度(自 令和6年4月1日 至 令和7年3月31日)
|
工種別 |
前期繰越工事高 (百万円) |
当期受注工事高 (百万円) |
計 (百万円) |
当期完成工事高 (百万円) |
次期繰越工事高 (百万円) |
|
法面保護工事 |
2,509 |
3,820 |
6,329 |
3,303 |
3,026 |
|
ダム基礎工事 |
105 |
451 |
556 |
514 |
42 |
|
アンカー工事 |
758 |
1,467 |
2,225 |
1,253 |
972 |
|
重機工事 |
3,812 |
4,447 |
8,260 |
5,380 |
2,880 |
|
注入工事 |
3,058 |
3,352 |
6,410 |
3,939 |
2,471 |
|
維持修繕工事 |
203 |
548 |
752 |
564 |
188 |
|
環境保全工事 |
241 |
1,317 |
1,558 |
925 |
633 |
|
その他土木工事 |
1,156 |
2,887 |
4,043 |
2,000 |
2,043 |
|
建設コンサル・地質調査 |
315 |
1,030 |
1,345 |
924 |
421 |
|
計 |
12,161 |
19,323 |
31,484 |
18,806 |
12,678 |
(注)1.賃貸収入等工事以外の売上は、「建設コンサル・地質調査」に含めている。
2.前期以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含む。
3.次期繰越工事高は、(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)である。
4.「その他土木工事」は、一般土木工事、土留工事、推進工事、建築および造成地の基礎杭工事、地すべり防止工事、災害復旧工事等である。
5.「注入工事」は、地盤補強・止水のための都市部における薬液注入工事、老朽ため池の止水注入工事、トンネル裏込注入工事、管路・水路の充填・閉塞のグラウト工事等である。
6.「建設コンサル・地質調査」の[当期受注工事高][計][当期完成工事高]のそれぞれの欄には前事業年度に不動産の賃貸収入として104百万円、当事業年度に不動産の賃貸収入として103百万円がそれぞれ含まれている。
(2)受注工事高の受注方法別比率
工事の受注方法は、特命と競争に大別される。
|
期別 |
特命(%) |
競争(%) |
計(%) |
|
|
前事業年度 |
(自 令和5年4月1日 至 令和6年3月31日) |
95.8 |
4.2 |
100 |
|
当事業年度 |
(自 令和6年4月1日 至 令和7年3月31日) |
96.0 |
4.0 |
100 |
(注) 百分比は請負金額比である。
(3)完成工事高
|
期別 |
区分 |
官公庁(百万円) |
民間(百万円) |
計(百万円) |
|
前事業年度 (自 令和5年4月1日 至 令和6年3月31日) |
法面保護工事 |
1,682 |
1,233 |
2,915 |
|
ダム基礎工事 |
1,132 |
- |
1,132 |
|
|
アンカー工事 |
2,223 |
944 |
3,168 |
|
|
重機工事 |
2,427 |
2,658 |
5,086 |
|
|
注入工事 |
1,352 |
2,329 |
3,681 |
|
|
維持修繕工事 |
109 |
173 |
283 |
|
|
環境保全工事 |
343 |
78 |
422 |
|
|
その他土木工事 |
1,363 |
495 |
1,859 |
|
|
建設コンサル・地質調査 |
973 |
187 |
1,161 |
|
|
計 |
11,609 |
8,102 |
19,711 |
|
|
当事業年度 (自 令和6年4月1日 至 令和7年3月31日) |
法面保護工事 |
2,315 |
988 |
3,303 |
|
ダム基礎工事 |
514 |
- |
514 |
|
|
アンカー工事 |
903 |
350 |
1,253 |
|
|
重機工事 |
2,657 |
2,722 |
5,380 |
|
|
注入工事 |
1,610 |
2,328 |
3,939 |
|
|
維持修繕工事 |
254 |
310 |
564 |
|
|
環境保全工事 |
679 |
246 |
925 |
|
|
その他土木工事 |
1,467 |
532 |
2,000 |
|
|
建設コンサル・地質調査 |
564 |
359 |
924 |
|
|
計 |
10,967 |
7,838 |
18,806 |
(注)1.官公庁には、当社が建設業者から下請として受注したものが含まれている。
2.区分の建設コンサル・地質調査欄の民間には、前事業年度に不動産の賃貸収入として104百万円、当事業年度に不動産の賃貸収入として103百万円がそれぞれ含まれている。
3.完成工事のうち主なものは、次のとおりである。
前事業年度の完成工事のうち主なもの
|
西松・安藤ハザマ・青木あすなろ特定建設工事共同企業体 |
:立野ダム建設(一・二・三期)工事のうち基礎処理工
|
|
(株)安藤・間 |
:高原トンネル上部斜面対策工事に伴う抑止アンカー工 |
|
大林・鴻池・中山・JFEエンジニアリングJV |
:道央自動車 大谷地地区橋梁リニューアル工事
|
|
安藤ハザマ・五洋・若築特定建設工事共同企業体 |
:東海第二発電所 防潮堤(海水ポンプ室エリア区間)設置他工事 |
|
大林組・鉄建建設共同企業体 |
:品川駅北部駅改良・駅ビル整備他 |
当事業年度の完成工事のうち主なもの
|
エコサイクル(株) |
:横浜市戸塚区戸塚町5016計画新築工事に伴う土壌汚染対策工事 |
|
鉄建・徳倉・工藤 北海道新幹線、栄原高架橋特定建設工事共同企業体 |
:北海道新幹線、栄原高架橋 |
|
大興物産(株) |
:八重洲二丁目中地区第一種市街地再開発事業 |
|
(株)鴻池組 |
:令和6年度沖永良部農業水利事業地下ダムグラウチング(その2)工事 |
|
大成建設(株) |
:竹迫地区土木工事のうち深層混合処理工 |
4.完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先はない。
(4)次期繰越工事高(令和7年3月31日現在)
|
区分 |
官公庁(百万円) |
民間(百万円) |
計(百万円) |
|
法面保護工事 |
2,497 |
528 |
3,026 |
|
ダム基礎工事 |
42 |
- |
42 |
|
アンカー工事 |
448 |
523 |
972 |
|
重機工事 |
1,266 |
1,613 |
2,880 |
|
注入工事 |
238 |
2,233 |
2,471 |
|
維持修繕工事 |
38 |
149 |
188 |
|
環境保全工事 |
607 |
25 |
633 |
|
その他土木工事 |
1,758 |
285 |
2,043 |
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建設コンサル・地質調査 |
308 |
112 |
421 |
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計 |
5,470 |
7,207 |
12,678 |
(注)1.官公庁には、当社が建設業者から下請として受注したものが含まれている。
2.次期繰越工事のうち主なものは、次のとおりである。
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安藤ハザマ・五洋・若築特定建設工事共同企業体 |
:東海第二発電所 防潮堤(海水ポンプ室エリア区間)設置他工事 液状化対策工事 |
令和7年7月完成予定 |
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(株)内外テクノス |
:舞鶴若狭自動車道三国岳トンネル工事に伴う1・2号逆T擁壁STマイクロパイル工 |
令和8年7月完成予定 |
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大林・鴻池・中山・JFEエンジニアリングJV |
:道央自動車 大谷地地区橋梁リニューアル工事 |
令和8年3月完成予定 |
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清水・岩田地崎特定建設工事共同企業体 |
:新東名高速道路川西工事 法面工 |
令和8年9月完成予定 |
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大成・東洋・藤田建設興業特定建設工事共同企業体 |
:令和4年度馬毛島滑走路等新設工事(その2) |
令和8年1月完成予定 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されている。この連結財務諸表の作成にあたって、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施している。詳細については、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4.会計方針に関する事項及び(重要な会計上の見積り)に記載のとおりである。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
当連結会計年度末の総資産の残高は、317億79百万円となり、前連結会計年度末に比べ10億60百万円の減少となった。その主な要因として、流動資産では、現金預金が減少したこと等により、21億26百万円減少した。固定資産では、機械・運搬具が増加したこと等により10億66百万円増加した。
負債の残高は、88億26百万円となり、前連結会計年度末に比べ20億72百万円の減少となった。その主な要因として、長期借入金が増加したものの、支払手形および短期借入金が減少したこと等によるものである。
純資産の残高は、229億53百万円となり、前連結会計年度末に比べ10億13百万円の増加となった。その主な要因として、利益剰余金が増加したこと等によるものである。
この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は、72.2%となり5.4ポイントの上昇となった。
2)経営成績
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、「第2 事業の状況 4〔経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析〕 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 b.経営成績」に記載のとおりである。
また、受注高、売上高の内訳は、「第2 事業の状況 4〔経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析〕 (1)経営成績等の状況の概要 ③生産・受注及び販売の実績」に記載のとおりである。
3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 4〔経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析〕 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりである。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは売上高及び営業利益を重要な経営指標として位置付けている。
当社が策定した中期経営計画(2023年度~2025年度)に従い、米国現地法人JAFEC USA,Inc.を含めたグループ全体としての数値目標の達成に向け、重点施策に従って、全社を挙げて取り組んでいく所存である。
c.資本の財源及び資金の流動性
資本の政策については、財務の健全性や資本効率など当社にとって最適な資本構成を追求しながら、会社の将来の成長のための内部留保の充実と、株主への利益還元との最適なバランスを考え実施していくことを基本としている。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は40億円を保有していることから、十分な財源及び高い流動性を確保していると考えている。運転資金及び設備資金については、自己資金または借入により資金調達することとしている。
令和7年3月現在、長期借入金(1年内返済予定を含む)の残高は38億円である。また、当連結会計年度末において、複数の金融機関との間で合計50億円のシンジケート方式によるコミットメントライン契約(借入実行残高0円、借入未実行残高50億円)及び合計45億円のタームローン契約(借入実行残高38億円、借入未実行残高7億円)を締結している。なお、本報告書提出日現在において、重要な資本的支出または重要な買収等の予定はない。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 4〔経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析〕 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりである。
当社は、シンジケート方式によるコミットメントライン契約及びタームローン契約(契約日 令和7年3月26日)を締結している。財務制限条項の詳細は連結財務諸表「注記事項(連結貸借対照表関係)」及び財務諸表「注記事項(貸借対照表関係)」に記載のとおりである。
(建設工事)
当社グループは、ものづくりの施工技術を提供する専門業者として、「建設基礎技術で豊かな社会づくりに貢献する」ことを企業理念としている。そして、生産性向上や品質確保に重点を置き、当社独自技術について研究開発を進めている。
また、「削孔」と「注入」という当社グループの基本技術にさらなる磨きをかけるために、大学や公的機関、民間企業、あるいは海外企業等との技術交流、共同開発を積極的に推進し、かつ、ICT(情報通信技術)を活用した機械化施工技術の構築を目指す。
当連結会計年度における研究開発費は
(1) 自動化に関する研究開発(パーカッションドリルに関する事項)
スキッド型パーカッションドリル(A-RPD)の一連の作業は自動化され、適応口径は3インチ~5インチとした。ダム基礎処理工および薬液注入工の先行削孔にも適応範囲を拡大している。また、複数台を現場に導入し、従来施工との優位性について検証を進めている。
(2) 自動化に関する研究開発(小口径ボーリングマシンに関する事項)
小口径ボーリングマシン(ABM-10)をダム基礎処理工および薬液注入工で展開し、削孔テストを繰り返し行い、課題の抽出・改善に取り組んでいる。また、複数台を現場に導入し、従来施工との優位性について検証を進めている。
(3) 自動化に関する研究開発(吹付に関する事項)
モルタル製造機および吹付装置の自動運転は、簡易フレコンサイロとの連動を確認し、総合テクニカルセンターにて一連動作ができることを確認した。現場導入を視野に入れ、圧送距離や圧送量などの性能向上に向け、試験を行っている。
(4) 工事所有権関係
当連結会計年度末における保有特許件数は66件、出願中の件数は9件、保有実用新案件数は0件であった。また現業に係わる施工実施権は80件を保有している。
なお、子会社においては、研究開発活動は特段行われていない。
(建設コンサル・地質調査等)
研究開発活動等は特段行われていない。