「第2 事業の状況」における各事項の記載については、消費税等抜きの金額で表示している。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものである。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染拡大の収束に向けた兆しが見えない中、社会・経済活動の抑制が続き、GDPが一時戦後最大の落ち込みとなり厳しい状況となっている。
一方、建設投資は、中長期的には五輪後も続く東京の大規模再開発をはじめ、北陸新幹線の金沢以西延伸、大阪・関西万博の開催、リニア中央新幹線の開通などへの投資があり、加えて台風・地震など自然災害に対する防災・減災対策を含めたインフラの整備など、国を挙げ着実な取組が必要なものが見込まれる。
このような状況の中、当社グループの経営陣は、「①複雑なことはしない。正しい取引を貫き、シンプルに生きる。」「②明るく公平な職場で、一生懸命働き、お客さまから信用を得る。」「③仕事を通して社会の発展に貢献し、健康で幸せな人生を目指す。」を経営理念に掲げ、総合設備企業として社会的使命を果たすとともに、安全と高い技術力で地域に貢献していく。
当社グループは、「北陸電工グループ中期経営方針」に基づき、「アクションプラン2023」に当社グループが直面する課題と施策を織り込み、最終年度の「売上高580億円、経常利益率10%」の達成を目指し、以下の重点方針にそって全社員で着実に推進していく。
<重点方針>
1.安全の確保と信頼される会社づくり
2.受注の拡大(受注=利益の源泉)
3.生産性と働き方の変革
当社グループの地盤である北陸地域は、大都市圏に比べ少子高齢化や人口減少のペースが速く、経済規模縮小と労働力減少が加速度的に進展していくと考えられることから、持続可能な北陸の形成に向け、コンパクトな北陸の良さを失わず一体感を持ちながら、三大都市とのアクセスの容易さを武器に地域・人材の多様化を図っていく必要がある。
また、電力業界の高経年化が進む送配電設備は生活に欠かせないライフラインであり、その維持・更新はBCPの観点からもサステナビリティやレジリエンスを直接高めるものである。地球温暖化防止を軸としたエネルギー政策やコロナ禍など、電力業界の事業環境が急激に変化している中、電力を安定供給することにより社会に貢献していく必要がある。
このような状況の中、当社グループは安定した工事量と利益を確保するため、更なる北陸地域シェアの底上げや大都市圏における受注・施工体制強化、事業領域の拡大と新規開拓などの施策を確実に遂行するとともに、業務の省力化・効率化・高度化により生産性と働き方の変革のスピードを加速し、競争力の強化を図っていく。
さらに、引き続き社会やお客さまから信頼されるよう、建設業の原点である安全と品質の確保を徹底し、企業の社会的責任の遂行と価値向上を目指すとともに、法令・社会規範を遵守し、当社グループの持てる力を存分に発揮し地域に貢献していく。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりである。
当社グループはこれらの起こりうるリスクの可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存である。
また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
官公庁の公共投資の動向は政府や地方自治体の政策によって大きく左右されるため、官公庁から受注する工事量が今後とも安定的に推移するとは限らないものと認識している。
また、当社グループの売上高において、当社の親会社である北陸電力㈱を中心とする北陸電力グループからの受注工事量は大きな割合を占めている。
したがって、北陸地域シェアの底上げや大都市圏における受注・施工体制強化など、その他の得意先からの受注工事量の確保・拡大に努めているが、公共投資や電力設備投資が予想を上回って削減された場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。
建設業界では、一契約における請負金額が大きく、また、工事完了後に工事代金を受け渡す条件で契約を締結することが多く、このため、当社グループが工事代金を受領する前に、当該取引先の資金繰りの悪化、或いは経営破綻により工事代金が回収できなくなる可能性がある。当社グループでは取引先に対する情報収集や与信管理を強化しているが、今後、回収不能債権額が多大となった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。
当社グループは材料調達において、調達先の分散化や代替材料を選定しているが、工事材料の価格が高騰し、請負金額に反映することが困難な場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。
当社グループが行う事業は、建設業法、建築基準法、独占禁止法、会社法等により法的な規制を受けている。そのため、上記法律の改廃や新たな法的規制の導入、適用基準の変更等によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。
しかしながら、「全てのお客さまに安心・安全な設備を提供すること」は当社グループの不変の使命であり、お客さまや地域社会から満足と信頼を獲得するため、持てる力を存分に発揮し不断の努力で取り組んでいく。
地震、台風等の大規模な自然災害や感染症の蔓延などにより、工事の中断や大幅な遅延、事業所・設備等の損傷など事業活動が停滞した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。
なお、現下の新型コロナウイルスの感染拡大については、今後の状況を注視し、事業活動の継続や従業員の健康確保のために必要な対応を適時適切に図っていく。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりである。
当連結会計年度末の総資産額は、536億98百万円となり、前連結会計年度末と比べ3億40百万円の増加となった。これは現金預金の増加(30億30百万円)、受取手形・完成工事未収入金等の減少(14億16百万円)などによるものである。
負債総額は、152億50百万円となり、前連結会計年度末と比べ22億19百万円の減少となった。これは工事未払金の減少(7億2百万円)、退職給付に係る負債の減少(12億42百万円)などによるものである。
純資産総額は、384億48百万円となり、前連結会計年度末と比べ25億60百万円の増加となった。これは、利益剰余金の増加(25億92百万円)などによるものである。
全社を挙げて積極的な営業活動を展開したものの、受注高は前連結会計年度と比べ84億86百万円減少し、419億66百万円となった。
厳しい受注環境により、売上高は前連結会計年度と比べ50億44百万円減少し、448億88百万円となった。
原価低減・工程管理の徹底など、工事採算性の向上に努めたものの、経常利益は前連結会計年度と比べ7億60百万円減少し、40億75百万円となった。
特別利益として退職一時金制度の一部を確定拠出年金制度へ移行したことに伴う退職給付制度終了益5億32百万円を計上したことなどにより、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度と比べ49百万円増加し、31億75百万円となった。
なお、セグメントごとの経営成績は、次のとおりである。
当社グループの主たる事業である設備工事業の受注高は419億66百万円(前連結会計年度比16.8%減)、完成工事高は440億38百万円(前連結会計年度比9.9%減)、完成工事総利益は74億75百万円(前連結会計年度比9.4%減)となった。
不動産賃貸業等で、売上高は8億50百万円(前連結会計年度比21.2%減)、売上総利益は2億44百万円(前連結会計年度比1.8%減)となった。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比べ34億30百万円増加し、242億50百万円となった。
営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支払いなどがあったものの、税金等調整前当期純利益の計上などにより、40億5百万円の資金増加(前連結会計年度比1億88百万円減)となった。
投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資による支出があったものの、有価証券の償還による収入などにより、17百万円の資金増加(前連結会計年度比13億91百万円増)となった。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払などにより、5億93百万円の資金減少(前連結会計年度比18百万円減)となった。
当社グループが営んでいる事業においては生産実績を定義することが困難であり、事業の大部分を占める設備工事業においては請負形態をとっているため販売実績という定義は実態にそぐわない。
また、設備工事業以外の事業では受注生産形態をとっていない。
よって、受注及び販売の実績については、「① 財政状態及び経営成績の状況」においてセグメントごとの経営成績に関連付けて記載している。
なお、参考のため提出会社個別の事業の実績は次のとおりである。
(注) 1.前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含む。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれる。
2.次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)である。
工事受注方法は、特命、競争及び工事委託契約に大別される。
なお、前事業年度においては北陸電力㈱と、当事業年度においては北陸電力送配電㈱とそれぞれ工事委託契約を締結している。
(注) 百分比は請負金額比である。
(注) 1.完成工事のうち主なものは次のとおりである。
前事業年度 請負金額1億円以上の主なもの
当事業年度 請負金額1億円以上の主なもの
2.完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりである。
前事業年度
北陸電力㈱ 15,334百万円 31.4%
当事業年度
北陸電力送配電㈱ 13,976百万円 31.7%
d.次期繰越工事高(2021年3月31日現在)
(注) 次期繰越工事のうち請負金額1億円以上の主なものは次のとおりである。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されている。この連結財務諸表の作成にあたって、見積りが必要となる事項においては合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っている。ただし、実際の結果は見積りによる不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合がある。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載している。
また、新型コロナウイルス感染症による当社グループ事業への影響は一定期間続くものと認識しているが、その影響は軽微である仮定に基づき会計上の見積りを行っている。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にある中、企業収益は一部に弱さがみられるものの、総じてみれば持ち直しの動きが続いた。
建設業界においては、公共投資は堅調に推移しており、民間設備投資もこのところ持ち直しの動きがみられるが、その一方で少子高齢化による労働者不足に加え、受注競争の激化・原材料等の調達における資源不足や価格上昇・人件費の高騰が続くなど、経営環境は厳しい状況で推移した。
この結果、経営成績等は「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりとなっており、現時点において、当社グループの目標とする経営指標である「アクションプラン2023」に対して堅調に推移していると認識している。
セグメントごとの見解としては、「設備工事業」においては、受注の確保を最優先課題に、既存のお客さまとの関係を強化し、確かな技術力により新規のお客さまの獲得を図り、北陸地域でのシェア拡大と大都市圏での営業基盤の強化に努めていく所存であり、「その他」においては、更なる設備投資をし、売上高と利益の確保に努めていく所存であるが、新型コロナウイルスの感染拡大が長期にわたる可能性があることから、特に「設備工事業」においては、現場での生産活動の停止・遅延や営業活動の縮小などが引き続き想定される。
また、資金需要については、設備工事業における土地、建物、機械装置等の設備投資資金であり、すべて自己資金によりまかなっている。資金の流動性については、営業債権の回収、営業債務の支払ともに概ね4ヶ月以内に滞りなく処理されており、営業活動に伴う資金収入を安定的に確保している。
特記事項はない。
当社グループは、設備工事業者として高度技術者集団を目指し、経営環境の変化や多様化する社会・顧客ニーズに的確に対応するため、安全・高品質・効率的施工を重要課題に掲げ、新工法・工具等の研究開発に取組んでいる。
当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は
セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりである。
(1) 設備工事業
「高精度GPSを用いた弛度観測」
送電鉄塔間を繋いでいる電線は、鉄塔強度を加味して電線の張力を「たるみ(弛度)」によって決めており、現在はその弛度を測量機械(ポケットコンパス)を使い、鉄塔上で目視による観測をしている。
鉄塔上での目視による観測では、霧や雨のような悪天候、長径間、障害物(樹木,建物)等により観測ができない場合がしばしばあり、その問題を解決するために本研究に取り組んでいる。
本件研究は、その弛度観測を行うため位置情報を計測するGPSユニットを電線に固定させ、そのGPSユニットから送られてくる位置情報をスマートフォンアプリ内で弛度値に変換し、実測値をリアルタイムに表示させて弛度を決定するものである。
これを実用化することにより、決められた時間内の施工が可能で、観測する管理要員を少なくでき、鉄塔上の作業量の効率が図れる。
「社屋エネルギーマネジメントシステムの構築」
当社は、太陽光・蓄電池・PHV・エコキュート等、事務所や家庭に設置できるエネルギーリソースを活用したエネルギーマネジメントシステムを構築し現在、実証試験中である。本システムは、再生可能エネルギーや電力市場への対応も視野に、遠隔監視・制御できる仕様としている。
(2) その他
研究開発活動は特段行っていない。